ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Another Self Portrait (1969-1971) / Bob Dylan

2016年05月10日 | クラシック・ロック

The Bootleg Series Vol.10 : Another Self Portrait (1969-1971) / Bob Dylan (2013)

いまだに発表が続くボブ・ディラン(Bob Dylan)のブートレグ・シリーズ第10弾。アーティスト存命中にアーカイヴが整備されることは、ファンにとってこの上ない喜びだと言えるが、最初はある程度しっかりとまとめられていたこのシリーズも、だんだんヴォリュームがデカくなり、”コンプリート”と称して数パターンの商品を発表するという痛し痒しの形態になってしまった。確かに歴史的に言ってもディランは研究対象として魅力的だけれと、純粋に音楽を楽しむとなるとヴォリュームの大きさはかえって障害となってしまう気がしてならない。自分も最初は律義に購入していたが、だんだん購入時期が遅くなり、「Volume 8」くらいからはデラックス・エディションが安くならないかしらんと様子を見てから買うようになってしまった。このタイトルでも結局4枚組が発表され、そちらには1969年のワイト島でのライヴが完全収録されているので、もちろんそちらが欲しかったが、値段が高いままなので妥協してこちらの2枚組を購入。2枚組ヴァージョンでも計113分なので、もっと絞って1枚に編集してくれた方が…というのがファンらしからぬ自分の正直な気持ち(その後シリーズはエスカレートし、6枚組、18枚組と続く…)。

この時期のディランはアルバム「Self Portrait」と「New Morning」の時期。どちらかというと地味で目立たない作品群で、発売当時は評論家からも酷評されたもよう(「このクソは何だ?」という米ローリング・ストーン誌の記事が有名)。自分も他人の曲中心の「セルフ・ポートレイト」は意図的な滑らかな発声もあって何度聴いても印象が薄い。当人も後年「海賊盤対策」だったと発言した(でもディランがそんなこと考えるかな…)。ただ意外な事にこのアルバムはディラン初の全米ナンバー・ワンを獲得したのだとか。たった4ヵ月後に発売されたという次の「ニュー・モーニング」では”らしさ”が戻っていて、アナログ盤はお気に入りだった。

さてこんな時期のディランのアウトテイク集なので、正直どの曲も際立った個性が前に出てくる曲は少ないが、聴いている分にはしみじみといい雰囲気の曲が並ぶ。もちろん「ディランの作品だから」有難味もある訳で、これが他のアーティストの作品だったら好評価を付ける自信はない。まぁ、そもそもブートレグ・シリーズっていうのはそういうもんだろうけど、ディランに限ってはそんな中に「なぜ当時これを発表しなかった?」という、オリジナル作品よりも数段素晴らしい出来の曲が混ざったりすることがあるから油断ならないのだ。

amazonにて購入(¥1,280)

  • CD (2013/8/27)
  • Disc : 2
  • Format: CD, Import
  • label : Sony
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