ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

イノーヴェ (Innover) @名古屋市東区・高岳

2015年04月20日 | 名古屋(東区・北区)

近代建築を観察しながらブラブラとしていた時に、タイル壁で味のある古い建物が目に入り、その1階が洒落た店になっていた。店はフレンチ・ビストロの「イノーヴェ(Innover)」。前から評判は耳にしていたが入った事がなかった。「あぁ、ここだったのか」と店の前まで行くと、ちょうど昼の開店準備中のオープンなキッチンが見え、天気のいいのどかな休日だったこともあって、とても雰囲気が良かったので飛び込みで入ってみた。予約がたくさん入っているようだったが、運よくカウンターに座る事が出来た。2階にも客席があるが、調理の様子を見る事が出来るのは嬉しい。厨房は意外と狭いが、オープンなだけに効率よく綺麗に整頓されていて、調理は主人ともう1人、給仕1人の3人の男性が切り盛りしている。2階には別の方が居るようで、調理された料理は厨房の隅にあるエレベーターで2階まで運ばれるよう。

ランチとはいえ、前菜とメインをそれぞれ5種類もの中から選ぶことが出来る。どれも旨そうで選ぶのが困難だったが、何とかそれぞれ2つを選び、調理を待つ。その間にも予約客が次から次へと入ってくる。予約なしで断られていた人もいたのでラッキーだったな。たまにオープンキッチンの店で、無駄な動きが見えてしまったり、テンパっている調理人を見る事があるが、見られているって大変だろうなァ。こちらの2人は飄々としていて、主人の大きな指示の声も無く、しっかりと分担された調理が手際良く進んでいくのを見るのは楽しい。

水とカットされたバゲットが用意され、思ったよりも早く前菜の牛ランプ肉のローストと、スライスした生野菜にビネグレット・ソースが添えられて運ばれた。薄くカットされた肉はしっかりとした食感で、仕上げは冷製サラダ仕立てだが火入れの具合もちょうど良く、旨い。メインは鰆(さわら)のポワレ。何切れもの切り身の下にショート・パスタが敷かれている。ソースはゆるめ、多めなので、スープのようにもいただける。こちらも鰆の風味がしっかり味わえて旨い。どちらの料理も味付けが控えめで、素材の味をしっかりと味わう事が出来るのがいい。最近はどんな料理でも、濃くて分かり易い味付けが流行りなので、こういう調理の出来る店に出会うとホッとします(ま、味濃い洋食も大好きなんだけれど…)。テンポ良くいただいた後には2階からバニラソースのかかった小さいケーキとコーヒーが運ばれた。調理が一段落した主人がホウボウの仕込みをし始めたので、コーヒーを飲みながら眺める。いかにも新鮮で旨そうなホウボウ。夜にどんな調理で出てくるんだろう。ランチの味には充分満足したが、内容に比してびっくりするほど安い値段にも満足。(勘定は¥1,500)

 ↑ 「イノーヴェ」の入っている「柴田ビル」。詳しい建築年は分からないが、タイル壁でなかなか味のあるビルだ。

 

 ↑ すぐ南の桜通沿いにある「太洋ビル(太洋商工ビル)」。建造は昭和6年(1931)。施工した大林組のHPに当時の写真がある。閉まっていて入れなかったのが残念。

 

 ↑ 太洋ビルの裏手にある「日本陶磁器センタービル」(昭和9年・1934建造)。窓枠などの傷みが目立つが、戦前のスクラッチタイル壁は健在。表は新ビル。

 ↑ そのまたすぐ近くには「エザキ株式会社(旧・同心会館)」(大正末期建築)。綺麗に保存、使用されている。近代建築好きにとって東区ってなんて素敵な場所…。

 

 ↑ 元宗教系の建物だったらしく、壁には動物を模したレリーフ(左は獅子、右は牛か象か猪か…)。ヒンドゥー教の神「ガネーシャ」のようにも見えるが…。

 

イノーヴェ (Innover)

愛知県名古屋市東区代官町29-18 柴田ビル 1F

( 代官町 泉 新栄 フレンチ ビストロ 近代建築 )

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする