ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Original Album Classics / Run DMC

2015年04月22日 | ヒップホップ

Original Album Classics / Run DMC (2008)

ラップ、ヒップ・ホップを世界的にメジャーにしたとも言えるランDMC(Run DMC)。その5枚のアルバムを簡易紙ジャケットに入れたボックス使用の「オリジナル・アルバム・クラシックス」シリーズ。このシリーズは安価に代表作を楽しめるとあって、今までにいくつも購入している。各社から同様の企画で発売されているが、ボーナス・トラックを収録しているものと、そうでないものがあり、このランDMCの作品群にはボーナス・トラックが収録されている。

一番ヒットした作品は、やはり1986年の「Raising Hell」。今をときめくリック・ルービン(Rick Rubin)プロデュースで、エアロスミス(Aerosmith)他のハードロックのサンプリング・ギター・リフとの融合で、世界的な大ヒットとなった。自分が最初に買ったのもコレ。当時自分はそれまでにヒップ・ホップのオリジネーター(Glandmaster FlashやAfrica Banbata)をほとんど聴いたことがなかったので、その斬新な手法には驚いたなァ。高校生だった自分はこのアルバムをアメリカのショッピング・モールで購入し、中西部の片田舎で少し暮らした時に持って行って聴いていたんだけれど、あからさまにみんな拒否反応を示していたのが面白かった。世界的大ヒットだったにも関わらず、アメリカ国内でも当時まだヒップ・ホップはごく一部の都会でしか受け入れられていなくて、白人比率が高く、保守的なアメリカの田舎では全然受け入れられていなかったのだった。

こうして聴いてみると、ファースト「Run DMC」(1984)はスカスカな音ではあれど、スタイルは出来上がっていて、2枚目の「King of Rock」(1985)ではそのスタイルが完成されたと言っても過言ではない。逆に今聴くと、この1、2枚目あたりの音の方が新鮮で面白い。大ヒット作のあとで印象が薄く、バンドの状態としても様々な紆余曲折を経た「Tougher Than Leather」(1988)、「Back From Hell」(1996)も、決してアルバムのクオリティは低くなく、素晴らしい水準を保っているのはさすが。「Tougher Than~」なんて名盤と言ってもいいんじゃないか。ただ90年代も半ばになった「Back From~」辺りになると、巷にサンプリングが氾濫したことによって、あれだけ何をやっても面白かったヒップ・ホップが、「何をやっても面白くない」という状況になってしまったのは皮肉だ。もうこの頃になると、あらゆる方法論は出尽くしてしまった感がある。

オークションにて購入(¥1,414)

  • CD (2008/10/3)
  • Disc: 5
  • Format: Box set, CD, Import
  • Label: Arista Europe
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