マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

その男ヴァン・ダム

2009-01-08 11:17:30 | 映画ー劇場鑑賞
ーその男ヴァン・ダムーJCVD
2008年 ベルギー/ルクセンブルク/フランス
ジャン=クロード・ヴァン・ダム(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)フランソワ・ダミアン ジヌディーヌ・スアレム カリム・ベルカドラ ジャン=フランソワ・ウォルフ アンヌ・パウリスヴィック サスキア・フランダース ディーン・グレゴリー 

【解説】
アクション俳優のジャン=クロード・ヴァン・ダムが本人を演じ、新境地を開拓したメタ・フィクション・コメディー。仕事も干され親権争いでも不利に立たされたヴァン・ダムに襲いかかるさらなる悲劇を、皮肉とユーモアたっぷりに描き出す。監督は本作が長編2作目となるマブルク・エル・メクリ。ハリウッドで成功と挫折を経験し、辛酸をなめてきたからこそのヴァン・ダムの哀愁と切なさのにじむ熱演が、じんわりと心にしみてくる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
かつての輝きを失ったアクション・スター、ヴァン・ダム(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)。ギャラは下がり親権争いでも窮地に立たされ、疲れたヴァン・ダムは故郷ベルギーに戻ってくる。ところが、偶然立ち寄った郵便局に強盗犯がいたことから、警察や市民はヴァン・ダムを犯人だと思い込んでしまい……。(シネマトゥデイ)

【感想】
アクションスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムのセルフパロディーと聞いていたから、ドン引けするかとおそるおそる見に行ったら、これがなかなか面白かった。

友達が、「試写会当たったから一緒にどう?」と誘ってくれた。
いわゆるポヒュラーな作品しか見ない彼女が、どうしてこの映画?と思っていたら、携帯サイトのプレゼント応募に、軽い気持ちで応募したらしい。

私は、公開されたら見に行くつもりだったので、ラッキーでした。

私はアクションものが苦手なので、JCVDの映画は1本も見たことがない。
唯一、引田 天功(プリンセス・テンコー)が婚約したとか言う時に名前を知ったくらいです。
このうわさは何だったのでしょうね?

で、最初に見たのがこの映画とは、ジャン=クロードさんには失礼だなあとは思いますが、とても面白かったです。

☆ネタバレ
一番いいところは、徹底的にパロっているところ。
落ち目のスターを自ら演じて、さらに独白までしちゃっています。
この独白、泣かせるところもあるけど、「3人の子供を持っている母親は、どの子を一番愛しているとはいえないように、何人の妻がいても、どの人も特別だ」なんてしゃあしゃあというところ、ある意味スターだなあ、と納得しました。

「ジョン・ウーをハリウッドに連れてきたのに、切られた」とか「主役をセガールに取られた」とか「作品を選り好んでいる立場ではない」とか「娘の親権を取るために金がいる」とか、現実に絡んで笑えない話もたくさんあるけど、かえって私なんかは人間味を感じてしまいました。

面白かったのは、アクションスータの面目躍如となるオープニングの長まわしのシーンや、郵便局強盗に間違われる本編。

特に、華麗な回し蹴りが2回出て来るんだけど、1回目は犯人の一人の熱烈なファンに頼まれて、回し蹴りを指南するシーン。
JCVDは、人にくわえさせた煙草を人を傷つけることなく回し蹴りで落とすけど、犯人は人の顔面を蹴ってしまう。
ガーン!!
「あっ」と思わず、声を上げてしまいました。

もう一回は、犯人に羽交い締めにされて頭に銃を突きつけられて郵便局の外に出て来るシーン。
華麗な回し蹴りで犯人をがつんとやっつけた、さすがアクションで鍛えた人は違うねえ、かっこいいねえと思っていたら、それは空想で、本当は警官にねじふせられて逮捕されたという、ちょーかっこわるい結末。

JCVDに憧れて、彼を大スターだと思っている人の中には、ここまでやるかーと、引く人もいると思うけど、案外JCVDを知らない人には、新しい魅力と感じられるのではないかなあ。
これくらい捨て身でチャレンジしたんだから、新しいファン層の獲得になればいいなあと思いました。

郵便局のシーンはシドニー・ルメット監督作品「狼たちの午後」を下敷きにしているそうです。
ジョン・カザール似の犯人が出てきます。

映画好きには、見どころの多い映画ではないかな?

アラトリステ

2009-01-08 11:09:21 | 映画ー劇場鑑賞
ーアラトリステー ALATRISTE
2006年 スペイン
アグスティン・ディアス・ヤネス監督 ヴィゴ・モーテンセン(ディエゴ・アラトリステ)エドゥアルド・ノリエガ(グアダルメディーナ伯爵)ウナクス・ウガルデ(イニゴ・バルボア)ハビエル・カマラ(オリバーレス伯爵)エレナ・アナヤ(アンヘリカ・アルケサル)アリアドナ・ヒル(マリア)

【解説】
スペインの人気作家、アルトゥーロ・ペレス=レベルテの冒険小説を映画化した歴史ロマン。ヨーロッパの強国として君臨しながらも斜陽の時代にあったスペインを舞台に、腕一本で混迷の時代を生き抜いた男の真の姿に迫る。『イースタン・プロミス』のヴィゴ・モーテンセンは全編スペイン語の難役に挑み、アウトローとして生きる男の悲哀を見事に体現してみせた。スペイン映画界史上最高額の約40億円を投じて撮影された戦闘シーンなどに息をのむ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
17世紀初頭、西欧を支配下に置くスペインでは、国王フェリペ4世の代わりにオリバーレス伯爵(ハビエル・カマラ)が国政を牛耳っていた。1622年、国王に仕える兵士ディエゴ(ヴィゴ・モーテンセン)は、遠征中のフランドルで果敢に戦い帰国する。1年後、マドリードに戻った彼のもとにイギリス人二人を暗殺せよという依頼が舞い込むが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
長い映画で、正直、眠かったです。
この映画、スペインの歴史とか、この時代のヨーロッパの情勢などを予備知識として入れてから見ないと、私のようなことになってしまうのではないでしょうか。

原作はスペインで人気のあるアルトゥーロ・ペレス=レベルテ作の小説シリーズで、冒険物語です。

新大陸の発見以後、そこから得られる富で、圧倒的な強さを誇り、ヨーロッパ全土を支配しようとしていたスペイン王国だったが、旧態依然とした体制は腐敗を生み、17世紀フィリペ4世の時代には、衰退のかげりを見せていた。

物語は、80年戦争とも言われるフランドルの戦いから幕を明ける。
「フランドルとは、旧フランドル伯領を中心とする、オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域。中世に毛織物業を中心に商業、経済が発達し、ヨーロッパの先進的地域として繁栄した。」(ウィキペディアより)
しかし、16世紀神聖ローマ皇帝カール5世は、ネーデルラント17州すべての主権者として専制政治を行い、その後フランドルはスペインの支配下に入った。
スペインの圧政に喘ぐ人々の間にプロテスタントが広まり、異端審問などの宗教弾圧も加わって、フィリペ2世の時に、地元の有力貴族が中心になって反乱が起きた。
この戦いは、1600年頃までに北部7州はネーデルラント連邦共和国として独立し、1609年にはスペインとは停戦となったが、停戦条約終了の1621年から、この独立戦争はヨーロッパ全土を巻き込んだ30年戦争へとつながっていった。

この戦いで登場する人物が主人公のディエゴ・アラトリステ(ヴィゴ・モーテンセン)。
騎士というより傭兵という感じ。
同じ国王に仕える騎士である三銃士などの華麗さはまったくありません。

戦いを終えて普通の生活をしている彼の本拠地はマドリードで、そこでは闇の暗殺者でもあります。
さる高貴な方から依頼が来て、理由は聞かずお金のために暗殺を請け負っている。

そんな彼が、なぜ英雄なのか。
それは、やくざ映画のような義侠心や男気のある人物だからではないでしょうか。

亡くなった戦友の息子を養子にして、関係がうまくいかないにも関わらず、愛し、見守り、育む様子や、永遠の恋人と、これも純愛から結ばれない不器用さが、スペインの国民に愛される人物なのだと思いました。

最後の戦いは1642年のロクロワの戦いを描いていました。
フランスがスペインを壊滅させた戦い。
黄金時代の終焉を彩る国民的ヒーロー。
悲劇を予感させるラストでした。

ハンティング・パーティ

2009-01-05 10:43:44 | 映画ーDVD
2009年初はこの映画。
本当は夫が見たいと言う「沈黙の惑星」が一番はじめだったんだけど、この作品は私はダメでした。
かなり未来のSFで「惑星ソラリス」みたいな話でしたが、遠い星に不時着した隊員たちが、疑心暗鬼の中に陥りながらジャングルをさまよう映像と、彼らが幻想の中で裸で怯えているシーンが織り交ぜられていて、あとは会話で進んでいく作品でした。
観念的で哲学的過ぎ。
かなり退屈しました。

ーハンティング・パーティーTHE HUNTING PARTY
2007年 アメリカ/クロアチア/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
リチャード・シェパード監督 リチャード・ギア(サイモン・ハント)テレンス・ハワード(ダック)ジェシー・アイゼンバーグ(ベンジャミン)ダイアン・クルーガー(マルヤナ)

【解説】
実在のジャーナリストが体験した驚がくの実話を基に、命知らずな報道マンたちのきずなを描く社会派エンターテインメント大作。監督は大人気ドラマ「アグリー・ベティ」の第1話を手掛け、エミー賞監督賞に輝いたリチャード・シェパード。再起を求める戦場リポーターをリチャード・ギア、彼とともに戦火をくぐった元戦場カメラマンを『クラッシュ』のテレンス・ハワードが演じる。実話ならではのリアリティーと、スピード感あふれる展開が楽しめる痛快作。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
紛争から5年、未だ危険地帯のある2000年のサラエボ。かつては花形戦場リポーターだったサイモン(リチャード・ギア)、彼とともに戦火をくぐったカメラマンのダック(テレンス・ハワード)、そして新米テレビプロデューサーのベン(ジェシー・アイゼンバーグ)は、国連にもCIAにも捕らえられない戦争犯罪人“フォックス”を追うことに……。(シネマトゥデイ)

【感想】
この映画、オープニングが素晴らしいです。
つかみはオッケー!!って感じ。

公開当時、予告編を見てもっとおちゃらけの映画かと思っていました。
案に相違して、すごく硬派な社会派エンターテインメントでした。

まずキャスト、テレンス・ハワード、リチャード・ギア、ジェシー・アイゼンバーグがいいです。
三人の個性が絶妙です。

かつてはいくつも賞を取る花形戦場レポーターだったのに、ボスニアの戦争をレポートしている時にキレてクビになり、今はフリーのレポーターとして細々とレポートを売りながら食いつないでいるサイモン(リチャード・ギア)。
私は、ラブロマンスのギアさんより、こういう硬派なギアさんがいいなあ。
実生活でも硬派だものね。

9年間サイモンとチームを組んで各戦場を渡り歩いたカメラマンのダック(テレンス・ハワード)。
サイモンが去った後は、その功績を認められ、いまや有名カメラマンとして、地位も名誉もお金も得た。
このテレンス・ハワード、よいよー。
カメラマンとして体当たり取材している時がすごくいい。
新しい一面じゃないかなあ?

そして、新米テレビプロデューサーのベン(ジェシー・アイゼンバーグ)は、父親がテレビ局の副社長で、初めての海外取材に、父親の七光りから自立しようと意気込んでいる。

ボスニア戦争から10年、平和になったサラエボの取材に、ベンとともにやってきたダック。
戦場をサイモンとともに命を賭けて走り回っていたことが甦る。
そういう生活に戻りたいのかー?

自問していると、サイモンが突然現れた。
「フォックスの居所がわかった。インタビューを取りに行くから一緒に行こう」
このあと、ギリシャで美女とのデートが待っているダック。
迷う、迷う。
が、ジャーナリストの血が騒ぎ、サイモンの話に乗ってしまった。

それを聞きつけたベン、父親や世間を見返すため、この二人に食らいついていく。

しかしこの話、サイモンの作り話で、ひたすら私情怨恨からフォックスの首にかかった懸賞金が目当てだとわかる。
でも、もう遅い。
国連軍から、彼らはCIAの工作員だと誤解され、フォックスの耳にも届いてしまった。

何度も銃を突きつけられ、脅され、もうここまでかと思う場面の連続の末ー。

ボスニアで何があったのか、ほんとうに知らないことばかりです。
でも、ボスニアの町の映像は、私が去年訪れたトルコの田舎の町に似ていました。
あのあたりは、人種の交差点、いろんな人種や宗教や文化が共生してきた町なのですね。
それを「民族浄化」の名の下に、人類史上でも稀な内戦というより、虐殺が行われた。
この映画で表現されている以上の残虐行為が日常的に行われていたのでしょう。

サイモンの怒りは、個人的なものだけど、そういう人間は数限りなく生み出されていたのでしょう。

そして、その首謀者、フォックスのモデルにもなっているカラジッチはまだ、セルビアの山奥で生き延びていると映画にはテロップで流れました。
本や戯曲も出版しているそうです。
ウィキペディアによると、2008年7月21日に逮捕されたと書いてありました。

この作品は、2000年10月に出版された雑誌「エスクァイア」にスコット・アンダーソンが書いた実録記事 What I Did on My Summer Vacation (僕が夏休みにしたこと)を原案としているそうですが、内容はすべてフィクションだそうです。

内戦は、本当に怖いです。
人々を行動に駆り立てる何か強いものが存在するのでしょうが、弱者にはとても理不尽なものです。
女、子供が犠牲になっていきます。
旗印は、国民の幸福、自由や富みなど、素晴らしい言葉でしょうが、残ったものは、破壊された町と、死んだ人と、傷ついた人と、その傷が癒えても決して直らない荒んだ心でしょう。
さらに、無数の地雷、汚染された土と水。

戦争で解決できるものなんてひとつもないと、歴史が物語っているのに、何度も繰り返される悲劇。
今年こそ、ひとつでも紛争が解決されることを願いたいのに、お正月の話題がいきなりイスラエル軍の地上作戦。
これでは、人類が神から見放される日も近いのではないでしょうか。
心配になります。

私の2008年の映画ー昨年の劇場鑑賞の映画を振り返って

2009-01-03 16:16:28 | Weblog
総括が年を越してしまいました。

2008年12月24日鑑賞した「僕らの僕らのミライに逆回転」が最後で、計88本でした。
長期の旅行や、たくさんの用事があったのに、意外によく見たなあという感想です。

ダントツ1位が「ダークナイト」

ヒースが亡くなったということもありましたが、ヒースだけではなく、バットマンもトゥーフェイスも、印象深いキャラクターたちの競演で、とても印象深い作品となりました。

2位グループでは、「エリザベス ゴールデンエイジ」

「ラスト、コーション」

「最高の人生の見つけ方」

「宮廷画家ゴヤは見た」

「再会の街で」

3位グループに、「アクロス・ザ・ユニバース」

「文七元結」

「ローリングストーンズ シャインアライト」

邦画では、「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」が第1位!!


「L change the WorLd」が妙に気に入りました。
あとは、「歓喜の歌」「私は貝になりたい」「タカダワタル的ゼロ」「おくりびと」です

今年は苦手なコメディ部門も「ゲットスマート」「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」「僕らのミライに逆回転」とお気に入りの作品が続き、うれしかった!!
「ダークナイト」もそうですが、アメコミのいい映画も多かったのも去年の特徴ではないかしら。
「アイアンマン」は予想以上に面白かったし、「インクレディプル・ハルク」もよかったー!!

その他にも、まだまだ面白い映画がたくさんありました。
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」、「ぜんぶフィデルのせい」、「やわらかい手」、「迷子の警察音楽隊」、「いつか眠りにつく前に」、「ダージリン急行」、「マイ・ブルーベリー・ナイツ」、「バンテージポイント」、「ノーカントリー」、「ヒットマン、地上5センチの恋心」、「アイム・ノット・ゼア」、「つぐない」、「幻影師アイゼンハイム」、「イースタンプロミス」、「ぼくの大切なともだち」、「告発のとき」、「あの日の指輪を待つ君に」、「ウォンテッド、イントゥ・ザ・ワイルド」、「P.S. アイラヴユー」、「ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」、「ブラインドネス」、「1408号室」、「ウォーリー」

こうして見ると、ホラーもあるし、ドキュメンタリーもあるし、アニメもある。
収穫の多い2008年だったような気がします。

今年はどんな映画と出会えるのかな?
わくわく楽しみな1年の幕開けです。