マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ハンティング・パーティ

2009-01-05 10:43:44 | 映画ーDVD
2009年初はこの映画。
本当は夫が見たいと言う「沈黙の惑星」が一番はじめだったんだけど、この作品は私はダメでした。
かなり未来のSFで「惑星ソラリス」みたいな話でしたが、遠い星に不時着した隊員たちが、疑心暗鬼の中に陥りながらジャングルをさまよう映像と、彼らが幻想の中で裸で怯えているシーンが織り交ぜられていて、あとは会話で進んでいく作品でした。
観念的で哲学的過ぎ。
かなり退屈しました。

ーハンティング・パーティーTHE HUNTING PARTY
2007年 アメリカ/クロアチア/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
リチャード・シェパード監督 リチャード・ギア(サイモン・ハント)テレンス・ハワード(ダック)ジェシー・アイゼンバーグ(ベンジャミン)ダイアン・クルーガー(マルヤナ)

【解説】
実在のジャーナリストが体験した驚がくの実話を基に、命知らずな報道マンたちのきずなを描く社会派エンターテインメント大作。監督は大人気ドラマ「アグリー・ベティ」の第1話を手掛け、エミー賞監督賞に輝いたリチャード・シェパード。再起を求める戦場リポーターをリチャード・ギア、彼とともに戦火をくぐった元戦場カメラマンを『クラッシュ』のテレンス・ハワードが演じる。実話ならではのリアリティーと、スピード感あふれる展開が楽しめる痛快作。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
紛争から5年、未だ危険地帯のある2000年のサラエボ。かつては花形戦場リポーターだったサイモン(リチャード・ギア)、彼とともに戦火をくぐったカメラマンのダック(テレンス・ハワード)、そして新米テレビプロデューサーのベン(ジェシー・アイゼンバーグ)は、国連にもCIAにも捕らえられない戦争犯罪人“フォックス”を追うことに……。(シネマトゥデイ)

【感想】
この映画、オープニングが素晴らしいです。
つかみはオッケー!!って感じ。

公開当時、予告編を見てもっとおちゃらけの映画かと思っていました。
案に相違して、すごく硬派な社会派エンターテインメントでした。

まずキャスト、テレンス・ハワード、リチャード・ギア、ジェシー・アイゼンバーグがいいです。
三人の個性が絶妙です。

かつてはいくつも賞を取る花形戦場レポーターだったのに、ボスニアの戦争をレポートしている時にキレてクビになり、今はフリーのレポーターとして細々とレポートを売りながら食いつないでいるサイモン(リチャード・ギア)。
私は、ラブロマンスのギアさんより、こういう硬派なギアさんがいいなあ。
実生活でも硬派だものね。

9年間サイモンとチームを組んで各戦場を渡り歩いたカメラマンのダック(テレンス・ハワード)。
サイモンが去った後は、その功績を認められ、いまや有名カメラマンとして、地位も名誉もお金も得た。
このテレンス・ハワード、よいよー。
カメラマンとして体当たり取材している時がすごくいい。
新しい一面じゃないかなあ?

そして、新米テレビプロデューサーのベン(ジェシー・アイゼンバーグ)は、父親がテレビ局の副社長で、初めての海外取材に、父親の七光りから自立しようと意気込んでいる。

ボスニア戦争から10年、平和になったサラエボの取材に、ベンとともにやってきたダック。
戦場をサイモンとともに命を賭けて走り回っていたことが甦る。
そういう生活に戻りたいのかー?

自問していると、サイモンが突然現れた。
「フォックスの居所がわかった。インタビューを取りに行くから一緒に行こう」
このあと、ギリシャで美女とのデートが待っているダック。
迷う、迷う。
が、ジャーナリストの血が騒ぎ、サイモンの話に乗ってしまった。

それを聞きつけたベン、父親や世間を見返すため、この二人に食らいついていく。

しかしこの話、サイモンの作り話で、ひたすら私情怨恨からフォックスの首にかかった懸賞金が目当てだとわかる。
でも、もう遅い。
国連軍から、彼らはCIAの工作員だと誤解され、フォックスの耳にも届いてしまった。

何度も銃を突きつけられ、脅され、もうここまでかと思う場面の連続の末ー。

ボスニアで何があったのか、ほんとうに知らないことばかりです。
でも、ボスニアの町の映像は、私が去年訪れたトルコの田舎の町に似ていました。
あのあたりは、人種の交差点、いろんな人種や宗教や文化が共生してきた町なのですね。
それを「民族浄化」の名の下に、人類史上でも稀な内戦というより、虐殺が行われた。
この映画で表現されている以上の残虐行為が日常的に行われていたのでしょう。

サイモンの怒りは、個人的なものだけど、そういう人間は数限りなく生み出されていたのでしょう。

そして、その首謀者、フォックスのモデルにもなっているカラジッチはまだ、セルビアの山奥で生き延びていると映画にはテロップで流れました。
本や戯曲も出版しているそうです。
ウィキペディアによると、2008年7月21日に逮捕されたと書いてありました。

この作品は、2000年10月に出版された雑誌「エスクァイア」にスコット・アンダーソンが書いた実録記事 What I Did on My Summer Vacation (僕が夏休みにしたこと)を原案としているそうですが、内容はすべてフィクションだそうです。

内戦は、本当に怖いです。
人々を行動に駆り立てる何か強いものが存在するのでしょうが、弱者にはとても理不尽なものです。
女、子供が犠牲になっていきます。
旗印は、国民の幸福、自由や富みなど、素晴らしい言葉でしょうが、残ったものは、破壊された町と、死んだ人と、傷ついた人と、その傷が癒えても決して直らない荒んだ心でしょう。
さらに、無数の地雷、汚染された土と水。

戦争で解決できるものなんてひとつもないと、歴史が物語っているのに、何度も繰り返される悲劇。
今年こそ、ひとつでも紛争が解決されることを願いたいのに、お正月の話題がいきなりイスラエル軍の地上作戦。
これでは、人類が神から見放される日も近いのではないでしょうか。
心配になります。