マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

トガニ幼き瞳の告発

2014-03-13 11:00:33 | 映画ーDVD

ートガニ幼き瞳の告発ーSILENCED/DOGANI

2011年 韓国 125

ファン・ドンヒョク監督 コン・ユ(カン・イノ)チョン・ユミ(ソ・ユジン)キム・ヒョンス[子役](ヨンドゥ)チョン・インソ(ユリ)ペク・スンファン(ミンス)チャン・グァン(校長/行政室長)

 

【解説】

『マイ・ファーザー』のファン・ドンヒョクが監督と脚本を務め、実話を基にしたコン・ジヨンの小説「トガニ幼き瞳の告発」を映画化した衝撃作。聴覚障害を持つ子どもたちに暴行や性的虐待を行い、それを隠ぺいしようとした教育者たちの本性を暴き出す。本作の映画化を熱望した『あなたの初恋探します』などのコン・ユがこれまでのイメージを一新し、悩める教師役で新境地を開拓。国をも動かした、あまりにもむごい真実の物語に戦慄(せんりつ)する。

 

【あらすじ】

カン・イノ(コン・ユ)は大学時代の恩師の紹介で、ソウルから郊外のムジンという町の聴覚障害者学校に美術教師として赴任する。着任早々彼は校長の弟の行政室長(チャン・ガン)に、教職を得た見返りとして大金を要求される。最初から学内の重苦しい雰囲気を奇妙に感じていたイノは、ある晩、帰宅しようとして子どもの悲鳴を聞きつける。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

いつも私のブログを読んでいてくださるはおさんのオススメ。

すごく評価の高い作品ですが、私は見ているのが辛かったです。

 

ソウル郊外の霧で有名な町、ムジンにある聴覚障害者学校で起こった本当の事件。

信じられないほど残酷な事件。

 

妻を亡くし、幼く病弱な娘を母に預けてムジンの聴覚障害者学校に赴任して来たカン・イノ(コン・ユ)。

校長に挨拶に行くと、温厚そうな校長の話の後で、校長の双子の弟で行政室長の男から、着任できたお礼として、高額なお金を要求される。

母に無心すると、母は自宅を売って借家に移って工面してくれた。

 

授業が始まると、様子のおかしい児童が数人いて気になり、同僚の教師に相談するが、「障害者は心を開かない」と言われる。

また、仕事が遅くなり薄暗い学校から帰ろうとすると、女子トイレから悲鳴が。

開けようとしたときに守衛に止められた。

 

ある日、教え子のユリが尞の窓辺に危なっかしく座っているのを見て、あわててユリの部屋に。

ユリの顔には傷かあり、怯えていた。

そして、イノの手を引いてある部屋を指差す。

そこでは、寮長のユン・ジャエがヨンドゥを頭から洗濯機に突っ込んで虐待しているところだった。

イノは瀕死のヨンドゥを病院に運び、地元の人権センターの幹事のユジンに連絡した。

 

☆ネタバレ

ヨンドゥの話から、ヨンドゥとユリは校長から性的虐待を何度も受けていて、イノが赴任する前に電車にはねられてなくなった子供とその兄のミンスも教師から性的虐待も含む暴力を受けていることがわかった。

 

校長や教師に抗議に行っても相手にされず、地元警察に訴えても動く様子がない。

とうとうマスコミに取材を要請して、子供たちの証言を録画し、報道して始めて、警察が動き、校長たちは逮捕され裁判となった。

 

しかし、校長側に付いた弁護人が有力で、子供たちは必死で証言するが、結果は執行猶予が付いた判決となった。

 

イノにも何度も和解の話があり、イノの恩師まで懐柔されていた。

 

しかも子供たちはいずれも親がなかったり、病気だったり弱い立場の人たち。

和解金で納得した親もいた。

 

子供たちが性的虐待を受けていると言う事実、それだけでも耐えられない。

もちろん映像的には配慮してあるけど、考えるのもおぞましく思いました。

 

演じた子供たちが、とてもかわいく素敵な子供ばかりだったので、この子役の子供たちの心を傷つけていないかと、それもとても心配でした。

 

映画のテロップでは、この事件の後復職した人もいると書いてあったので、とても後味が悪かったけど、調べてみると、この映画の公開の後、大きな世論が起きて、映画のモデルとなった学校は廃校になったそうです。

釈放されていた人たちも、より厳罰に処されたそうです。

 

さらに、障害者の女性への虐待に対する罰則の厳罰化や、障害者や13歳未満への虐待に対する控訴時効の撤廃を定めた『トガニ法』を制定したそうです。

 

その事実を知ってようやく私の心も落ち着きました。

 

映画が社会現象となって法律を制定までいくなんて、すごいことですね。

被害にあった子供たちは、とても辛い思いをして、それは一生続くのですが、この法廷闘争を戦い抜いたことで、「自分もみんなと同じように大切な存在だと気づいた」という言葉に、救われる思いでした。

イノは敗れたのですが、世界を変えたのです。

 

イノは、裁判にかかり切りのイノに対して批判的な母に「今この子たちの手を放したら、娘の父には戻れない」と言います。

どんな子供でも愛される権利があるんだという教師魂を感じました。

また、自分の娘への深い愛がイノを支えているのだなあと思いました。

 

韓国映画の激しいリアリズムにはいつも驚かされます。

この映画は、子供への性的虐待がテーマだったので、見ている間はとても不愉快だったけど、この衝撃が法律を作ったとなれば、すごい映画と評価せざるを得ません。

 

またもや、恐るべし韓国映画。

 


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