マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

バベル

2007-12-15 15:38:20 | 映画ーDVD
ーバベルー
2006年 アメリカ アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督 ブラッド・ピット(リチャード)ケイト・ブランシェット(スーザン)ガエル・ガルシア・ベルナル(サンチャゴ)役所広司(ヤスジロー)菊地凛子(チエコ)二階堂智(ケンジ)アドリアナ・バラーザ(アメリア)エル・ファニング(デビー)ネイサン・ギャンブル(マイク)ブブケ・アイト・エル・カイド(ユセフ)サイード・タルカーニ(アフメッド)ムスタファ・ラシディ(アブドゥラ)アブデルカデール・バラ(ハッサン)小木茂光(-)マイケル・ペーニャ(-)クリフトン・コリンズJr(-)
村田裕子(ミツ)

【解説】
モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本を舞台に、ブラッド・ピット、役所広司らが演じるキャラクターが、それぞれの国で、異なる事件から一つの真実に導かれていく衝撃のヒューマンドラマ。『アモーレス・ペロス』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、言語、人種、国などを超え、完成度の高い物語を作り上げた。名だたる実力派俳優たちが名演を見せる中、孤独な少女を演じ、海外のさまざまな賞に名前を連ねる菊地凛子の存在感のある演技に、目がくぎ付けになる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
モロッコを旅行中のアメリカ人夫婦のリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)が、突然何者かによって銃撃を受け、妻が負傷するという事件が起こる。同じころ、東京に住む聴覚に障害を持った女子高生のチエコ(菊地凛子)は、満たされない日々にいら立ちを感じながら、孤独な日々を過ごしていた……。(シネマトゥデイ)

【感想】
キーワードはタイトルから考えても通じない「言語」。
そしてストーリーは、因果は巡るというようなお話。
けっこう、厳しいレビューが多いけど、私にはいい余韻が残る映画でした。
「21グラム」や「アモーレスペロス」と同じテイストです。
激しさは、少しなりをひそめたか?

公開当時はもっとからからに乾いたお話かと思って、ちょっと敬遠した部分もありました。

間違っていました。
完成度の高い作品でした。

お金があっても、病院へ行けない。
妻の苦しみを救うどころか、命さえも守ってやれない、無力感。

だから、銃が悪いんだ、というような話ではなく、どの国の男も女も大人も子供も、同じように悩み苦しみ、決して単純ではない、複雑な生を生きているんだと、いろんな事象を断片的に見せてくれる映画だと思いました。

日本のパート、いろいろ言われているし、私も見ていて感じのいいものではなかったけど、「言語」が通じないというキーワードから、傷ついて落ち込んでもう最低という時に、殻に閉じこもるのではなく、自分をさらけ出すという意味では、ケイコ(菊池凛子)の行動も、そういうことなのかなあ、と考えながら見ていました。
自分をさらけ出すというのと、全裸になるというのは明らかに違うけど、あれはケイコが壊れているのではなく、なんとか壊れない方法を模索した結果だと思えました。

 ケイコ

父(役所広司)に抱きとめられて、きっと彼女も生きる強さを取り戻せる、という予感のあるラストで、とてもよかったと思いました。

スーザン(ケイト・ブランシェット)とリチャード(ブラッド・ピット)の夫婦は、3人目の赤ちゃんを、生後間もなく亡くしての傷心旅行。
おそらく、生涯で一番辛い時に、なぜモロッコかとも思うけど、二人で向き合うしかないような遠いところへの旅は、逆効果ではなかったかしら?
子供に不幸があった時、寄り添える夫婦と責め合う夫婦とありますね。
ケイトが撃たれる前の二人は後者でした。

 スーザン

夫婦だからって、心が通じ合っているとは限りません。
当然、そばにいると思って闇のなかを手でまさぐったら、夫は逃げていなかったのです。
「子供の死は、私に責任があると、彼は私を責めているのだろうか」疑心暗鬼が首をもたげます。
悲しみのなかで閉ざされていく心。
夫婦の絆は失われていきます。

でも、瀕死の自分に、必死に付き添う夫を見て、妻も心を和らげます。
おしっこのシーンから、二人が心を打ち明けあうシーンは感動的でした。
素直になるって本当に難しいことですね。

砂漠の村の人たちも、アメリカ人観光客はテロリストの村みたいに怯えていたけど、素朴ないい人たちでした。

二人には、大きな代償だったけど、絆を取り戻せたようで、不幸中の幸いでした。

さて、アメリカに残してきた子供たちの話です。
結局、このエピソードが一番辛いのではないでしょうか。

留守宅を預かるアメリア。
息子の結婚式があって、何が何でもは出席したいと思う。
しかし、旅に出た雇い主夫婦が不慮の事故にあい予定通りに帰れなくなった。

つてをあちこち頼んでみたが、どこも断られ、日帰りだし、連れて行こうと思う。
迎えにきたのが甥のサンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)ーお調子者の若造。

 サンチャゴ

無事結婚式を終えて、帰路に着いたまでは良かったが、国境で疑われ、サンチャゴは酔いも手伝ってか、キレてしまい、国境突破。
これは重罪です。

しかも、夜中だというのに砂漠にほうり出され、彼は戻ってこない!!
なんという無責任。

 助けをもとめで砂漠を彷徨うアメリア

アメリアは死ぬかという思いをしながら助けを呼んだけど、警察は彼女を犯罪者扱いーというか、犯罪者になってしまっていたのですが。
しかも、アメリカ人の子供を、親に無断で連れ回して、命の危険にさらしたという罪まで犯してしまったのです。
16年間のアメリカでの生活基盤がパアになってしまいましたが、「愚かだ」と切り捨ててしまうにはあまりに哀れでした。
可哀相な子供たちも無事保護されたということが、救いでした。
もし、子供たちの身に何かあったら、強制送還ではすまなかったでしょう。



物語の発端となったアブドゥラとユセフの兄弟。
仲が良かったわけではないが、二人で家の仕事を良く手伝ういい子たちでした。
おませな弟が不器用な兄をからかって喧嘩になったとしても、貧しくとも家族助け合って、暮らしていたのに。
ヤギを襲うコヨーテを追い払うため銃を1丁買ったおかげで、世界中を揺るがす大事件を起こしてしまいました。
言い値の半額に、ヤギ1頭をおまけした程度の銃です。

ユセフはなまじ小器用だったお陰で、取り返しのつかない大それたことをやらかしてしまいました。
お父さんも、銃がどんなに危険なものか、子供たちに教えなかった。
その代償はとてつもなく大きかったわけですが、ユセフはその後、どういう人生を送るのでしょうね。

時系列も前後するのですが、「21グラム」ほどややこしくなかったと思いました。
ブラピが電話で子供と話しながら嗚咽するシーン、いいなあ。
この後、子供たちの身に降りかかる出来事を、私たちは知っているだけに、なんとも言えない気持ちになりました。

 リチャード

菊池凛子さんは、助演女優書ノミネートも納得の自然な演技で、すごく良かったと思いました。

「だから、どうなの?」というような、答えを求めずに見たい映画です。

ライトアップ!イルミネーション大戦争

2007-12-15 15:24:31 | 映画ーDVD
ーライトアップ!イルミネーション大戦争ー
2006年 アメリカ ジョン・ホワイトセル監督 ダニー・デヴィート(バディ・ホール)マシュー・ブロデリック(スティーブ・フィンチ)クリスティン・デイヴィス(ケリー・フィンチ)クリスティン・チェノウェス(ティア・ホール)アリア・ショウカット(マディソン・フィンチ)ディラン・ブルー(カーター・フィンチ)サブリナ・オルブリッジ(アシュリー・ホール)ケリー・オルブリッジ(エミリー・ホール)

【解説】
ダニー・デビート、マシュー・ブロデリック共演のドタバタコメディ。スティーブの家の向かいに越してきたバディーは、“宇宙衛星からの画像”で我が家を確認できなかったことに落胆。派手なクリスマスイルミネーションで自宅を飾ろうとするが…。(TSUTAYADISCAS)

【感想】
去年のクリスマス映画なのに、日本では公開しなかったのですね。

この映画の主役は、なんといってもお家を飾るクリスマスイルミネーション。

天才的な営業マンなのに、やりがいや生き甲斐を感じられないバディ・ホール(ダニー・デヴィート)が、「宇宙衛星画像で我が家が見えない」という些細なことがきっかけで、家をイルミネーションすることを思いつき、ご近所の迷惑もかえりみず、のめり込んだあげく、とうとう家族にも見放されるお話。

でも、このイルミネーションはすごい。
音楽もすごい。

小さな町は大騒ぎ。

モラルとしてはどうなの?とか、お金はどうなっているの?と疑問符もいっぱいあるけど、気がつかないフリが嫌みじゃないのも、ダニー・デビートの芸だと思いました。

受けて立つ眼科医のスティーブ・フィンチ(マシュー・ブロデリック)。
彼も、堅物で少し鈍感でモラルもおかしい隣人を、楽しそうに演じていました。

クリスマスイルミネーション、したくてもできない人は、楽しめますよ。