骨壺と塩 

骨壺と塩  

私は、20年ほど前から骨壺を持っている。皆さん断捨離などと言って、持っているものを死ぬ前に捨てて、死の準備をすることは流行っているようだが、死ぬときに本当にいるものは、棺桶や骨壺である。棺桶も20年以上前から準備してあって、戒名もあるから死後の準備は万端である。捨てるものなどは、業者に頼めば全てお金で解決できる。

 

写真の骨壺は、ある時友人の陶芸家が、誰かから骨壺を頼まれたから一緒に作っておこうかと言ってくれた。有り難くお願いすることにした。その時に、使うまでは塩でも入れておいたらと言う話をしたので、現在では塩が入って食卓にある。骨壺の大きさは、直径が8センチ、高さが8センチである。蓋は乗せると静かに中の空気が抜けて収まる。中の塩は、ペルーで買った塩で少しピンクがかっている。アンデス山脈は海から隆起した山であるから、いたるところに塩が出る。観光で有名なウユニ塩湖などもその例で、山の上に塩の湖がある。

このピンクの塩は、マチュピチに行ったときに近くに塩作りの村があって買って来た。山の中腹から水が湧き出していて、この水に塩分が含まれている。山の斜面に小さな水田を沢山作り、その中に流して水分を蒸発させている。朝食の目玉焼きなどにかけて食べているが、結構気に入った味である。

これとは別の4000メートルぐらいの場所で、ジャガイモに泥をつけて食べたことがある。動物ではいろいろのミネラルが入った土を食べることが知られている。南米でもペッカリーやバクが土喰いで知られている。ヒトがなぜ土喰いをするのかは、あまり知られていない。小さなボールに泥の液があり、茹でたジャガイモをつけて食べた。特に塩分は感じられず、変わった味もしなかった。ジャガイモは、ピンポン玉の半分ぐらいで、一口で食べられる大きさであった。この農家では、クイ(テンジクネズミ)やアルパカを飼育していた。

 

タンザニアでは、首都から調査地に入る道のわきに、岩塩を掘っている場所がある。タンガニーカ湖に流れ込む一番大きな川のマラガラシの脇にウビンザという町があり、ここで岩塩を掘ってマラガラシ川の水に溶かして、水田に引き込んで干している。この行程で漏れ出した水が所々で乾燥して塩になっているので、通りかかったときには少々頂戴する。マラガラシには、ワニもカバも住んでおり、時々見かける。当然彼らの排泄物も入っているが、そのために旨くなっているような気もする。

 

オーストラリアの中央を南北に走る道の近くには、塩の湖があり、乾きあがって一面白く堆積しており、ブルドーザーで押して大きなトラックに積んでいるところがある。かなり広くて、見渡す限りの塩の堆積である。近くを走る国道沿いにも、塩が氷のように30センチもの厚さになって浮いているところもある。ここに流れ込む小さな川の脇に塩が堆積していたので、少々頂いて旅行中の調理に使った。かなり美味しい塩でもっと持って来るのだったと後悔した。

 

カンボジアでは、塩はコッコンと言う海辺の町で作っている。潮の満ち引きを使って塩田に海水を入れ、乾燥させて結晶させている。塩が堆積してくると水を止めて乾燥させるので、最後はかなり埃っぽい塩になる。家では、瓶に水と塩を入れ飽和状態にして置き、上の埃の部分を取ってから使っていた。天然の塩の味は悪くない。

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