カンボジアの地方 19 コオロギ捕りの村

カンボジアの地方 19 コオロギ捕りの村   金森正臣(2006.6.9.)

写真:国道6号線(首都プノンペンからシェムリアップ:アンコールワットのある町に行く、トンレサップ湖の西側を回る道)を友人と車で走っていたら、白いビニールシートを使った簡単なセットが見られた。月に何回もこの道を走る友人は、このセットの見られるのは、だいたい雨季の始まり(4月の終わりから5月初め)から雨季の終わり(12月初め頃まで)までの期間だと言う。シェムリアップに着く頃には、19時を過ぎており、各セットの上にブラックライト(夜間採集で使うウルトラバイオレット:紫外線の多い蛍光灯)が点灯されていた。

 コオロギ捕りの設備は簡単なもので、白いビニールシート(3メートル四方ぐらい)を吊るし、上部でブラックライトを点灯する。飛んできたコウロギが、シートにぶつかって転がり落ちると、下に水を溜めてあり、その中に落ちる。蛾などの夜間採集と異なるところは、下部に水溜りがあること。跳ねるコオロギ対策が考えられている。水の中を泳いでいるところを、タモなどですくい捕られる。

 数年前に、国道6号線の脇にあるコンポントム(トム:大きな、コンポン:港の意味)の町で泊まったときに、農家の人が「雨季にはコウロギ捕りをする」と話していた。野良に出て白い幕を張り、火を焚いてコオロギを集めると言う。良い晩には、一晩に十数キロも捕れることがあると楽しみにしている様だった。コウロギは佃煮にされて、プノンペンの市場でも売られている。またビヤガーデンでは、コウロギやゲンゴロウ、タガメなどを売りに来る。カンボジアのある地方としては、重要な蛋白源であった時期もあるのだろう。

 現在では、火を焚いているところはなく、全て電化されている。と言っても電気が来ている所は少なく、多くは自動車のバッテリーの貸し出す業者があって、それを使ってブラックライトを点けていると思われる。自動車の中古バッテリーは、テレビを見るのにも貸し出されており、結構な商売の様だ。毎日回収して充電され、配達される。コンポントムの一部の地域では、昔何処かのNGOが支援して米銀行を行い、儲けで発電施設を持っていた(泊めてもらった村がそうであった)。しかし、ほとんどの地域は、貸しバッテリー屋の活躍の場であろう。

コオロギ捕獲セットは、千を越す位はあるであろう。こんなに有ったら、各個人が一晩に捕れる量は多くないであろう。友人は、コオロギが絶滅するのではないかと心配していた。捕獲されて市販されているのは、かなり大型のエンマコウロギの仲間と思われるが、少なくとも3種類はあり、環境の違うところで採集されている可能性が高い。



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