カンボジアの地方 18 クラチェのイルカ

カンボジアの地方 18 クラチェのイルカ   金森正臣(2006.6.8.)

写真:この写真は、今回のものではなく、約一年前のもの。そのときには夕暮れごろに、ボートに乗って見学。今回は、川岸でビールを飲みながら夕日を楽しみながら見学。黒く3個見えている水紋がイルカ。左手の一頭には、子どもがついており手前に小さな水紋が見られる。

 5月12日にメコン川の上流のクラチェの町に泊まった。遅い昼をいつものレストランで食べて、町から車で20分ほど上流のイルカの観察スポットに見学に行った。

 クラチェの町は、プノンペンからメコン川の200kmぐらい上流になる。数回来ているが、何時もイルカは観察できている。2年ほど以前に、アメリカ人の若い女性研究者が居たことがあり、話を聞くことが出来た。その時は雨季にあたり、かなり水量が増えていた。そのため、今回の観察ポイントよりさらに上流に出かけて行って、偶然彼女が観察しているところに出会った。クラチェ(厳密にはクラチェの町から15kmほど上流のカムピ Kampiの村)のあたりには、40ぐらい居ること、イルカの生息には、餌捕りのために水深40-50mが必要なことなどを聞いた。そのために乾季の生息場所が、限られると言う。

 昨年も今回も乾季にあたり、観察できるポイントは極めて限定されている。乾季の観察ポイントには、貸しボートが有り、1人5ドルと言うが、現地人料金はもっと安いらしい。この写真は、昨年のものだがボートで出たときに周辺に10頭近くが居ることが観察された。昨年から今年にかけて10頭以上死んだと言う情報もあり、今回ボートより全体が見渡せる岸の高台の位置であったが、それにもかかわらず、数頭程度しか確認できなかったのは、やはり少なくなっているのか心配である。

 メコンのイルカは、英名:Irrawaddy Dolphin、学名:Orcaella brevirostris である。イラワジイルカと呼ばれるのは、ミャンマーのイラワジ川で最初に発見されたからと思われる。海産でも同じイルカがいることが知られているが、海産のものは淡水では生息できず、淡水のイラワジイルカは海水では生息できないことが知られており、分化が進んでいると思われる。またこのことからすると、海域で分離されることにより、同じイラワジイルカであっても、イラワジ川産とメコン川産は分化を始めている可能性が高い。
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