新型コロナウイルスで見えたもの4  日本の社会の崩壊2

新型コロナウイルスで見えたもの4  日本の社会の崩壊2

先回、日本社会の崩壊に向かっている状況を書いた。続きとして、他の側面も考えておかなければならない。

最近政府も文科省も、教育の中にITを持ち込むことに熱心である。確かに今の社会では必要な技術かもしれない。しかしITの発達が、ヒトのコミュニケーション能力を奪っていることも確かであろう。

もう50年以上前になるが、京都大学の理学部動物生態学教室の森下先生の科研費に入れて頂き、長いこと研究費を頂いていた。年に2回ほどグループの会合があり、よく研究室に伺った。パソコンが普及しメールが気軽に使えるようになったころ助教授だった友達が、大学院生が向かい合って座っていて、話をしないでメールでやり取りをしていると嘆いていた。問題は議論が出来ない学生が増えつつあると言うことであった。直接話すと色々とトラブルが発生するが、メールだとトラブルになることが少ないと言うのが学生の言い分であった。話していると、十分に自分の意見が伝えられない時にどうするかの方法が未熟であると感じた覚えがある。

テレビが出たころに「一億総白痴化だ」と言ったのは大宅壮一氏であったが、現在そのようになりつつあると思われる。テレビを見ていると、自分で考えることはなく、テレビの話題に押されて思考が十分に深まらない。テレビなどは単に時間つぶしの道具にしかならなくぃ。その結果自分の考えは深まることもなく、テレビ的な価値観に流れて行く。もちろん議論をするだけの自分を持つことも難しくなる。単に聞いたことを中心に、話に加わっているだけである。
スマホなども同じで、見ている間は自分の思考は深まらない。また使って居る間は、周囲の観察もしていないので問題点も見つからない。
この様な状況に陥ると、他の人とのコミュニケーションの方法は退化する。
さらに問題なのは、誕生以来親が直接話す機会が減ると、子どもは聞き取ることが専門になり、話す機会が減少する。

大学でも1980年ごろから、相手の話を聞いていない学生が現れた様に覚えている。会話をしていて仲間に入っていても、相手の話を聞いていないので、いつでも自分が話し出してしまう。即ちコミュニケーションの基本である、相互、交互に話すことが出来なくなっていると感じた。
この様なヒト間の関係の変化は、社会の基本的関係を変えてしまい、社会の構成ができなくなる。
我々の社会は、この様な変化をしており、以前のような安定した人間関係は存在しない。この40年ほどの変化は、社会の不安定さを増している。

この様な中での新型コロナウイルスへの対処は、かなり難しい問題に直面しているであろう。

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