カンボジアの食材 20 お米 

カンボジアの食材 20 お米      金森正臣(2006.10.31.)

写真:家の近くにあるバンケンコー市場のお米屋さんに並べられた米各品種。上についているラベルは、1kgの米の値段が、リエルで示されている。1300リエルから2000リエル位が示されえている。1ドル4000リエルだから、だいたい1kgで40円から60円ぐらいか。上段2列は、普通のウルチ米。最前列は、手前が餅米、右は赤米に近い仲間。ウルチか餅かは不明。左手前の下のバケツは、青い一番手前が赤米の仲間の黒い米。左はモミ殻が付いているが、白い米。

 米屋さんは何処も同じようなスタイルで売っている。その品種の多さは驚くばかり。日本では産地別に銘柄が決まっていたりする。しかしカンボジアでは、全部長粒米だが、使途の異なる品種がある。日本でも餅米とウルチ米は使途が異なるが、カンボジアでは更に用途が分けられており、それごとに系統(品種?)が異なる。例えば、クイティウと言う麺を作る米は、バケツにあるモミ殻の付いた米。これは精米して、土の中に半分埋めた瓶に水と一緒に2-3日置く。その後に練るとどろどろになり、沸騰している湯の中に細い穴から押し出すと麺になる。

 赤米も餅とウルチがあり用途が違う。ウルチでもお粥にする米は、小さい米だと言う。冷や飯に水を足して煮てお粥にすると言ったら怒られてしまった。全くおかゆ専用の米があり、水から焚く。そう言えば学生の頃、冬山の休息日に、先輩が米からおかゆを煮だして、半日煮ていたのを思い出した。ハレの日に造る、餅米を使って中にバナナか豚肉、豆などを入れて、バナナの皮に包んで蒸すチマキ風の保存食も、逸れようの餅米があると言う。日本ではこれほど用途によって系統が分かれては居ない。

 もちろん作る環境によって、様々な系統は発達している様だ。日本では昔、水の冷たいところ、水田の奥などで異なる系統を栽培していた。カンボジアでは、水温の差は少ないが、水深の相違が大きい。水の深いところでは、草丈が1.5mを越すものもある。メコン流域は、昔は「浮き稲」と呼ばれる、増水に適応して5mにもなる稲もある。しかし現在では、収穫期に難があるため、ほとんど栽培されていない。このような環境による系統の差ではなく、カンボジアでは使用目的によって、分化している。メコンデルタの米の伝統的文化であろう。

 米は何処が起源かは明らかではないが、メコンデルタは多分米の原種があった場所の様に思われる。広い氾濫原と年間どこかには残っている湿地。多くのイネの仲間の植物などを見ていると、有史以前から米が使われていた可能性がある。
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