彼岸前の仏壇掃除で、20歳で戦死した伯父が戦地から妹に送った絵はがきを見つけた。使われずに、引き出し奥に大切にしまい込まれてあった。
初めてみる伯父の筆跡だ。「満洲国奉天市陸軍官舎興亜寮第三号室18.4.18」とあった。声が聞こえたような感覚に襲われ、身震いがした。文字は一つの乱れもなく、ペンの強い筆圧に兵士としての覚悟が感じ取れた。寮の薄暗い部屋で妹の名を書く姿が浮かび、ふるさとを思う気持ちが伝わってくるのだった。
約80年の時を経て、伯父は私のなかで大きな存在となった。
宮崎市 磯平満子(65) 2021/4/7 毎日新聞鹿児島版掲載