酒飯増亭はマエケンだ

2013-08-28 15:06:59 | 食べる
食事というより「日本酒+あて」の組み合わせ。
日本文化の食の伝統です。

横川の『酒飯増亭』

感心しました。


酒は幾種類かあるうちから「竹鶴」にしました。

燗は何が宜しいですかと尋ねると、どれも合う
という近頃珍しい品ぞろえです。

燗のつけかたにかなり神経を配っておられましたね。
これも流石です。

猛暑が去ったとはいえまだまだ暑い。
しかし夏でも燗
これが和です。

もともとは日本酒に在ったフーゼル油の臭いを飛ばす
ために燗をし始めた、と聞きますが
その後、燗を念頭にした日本酒作りが進んだので
日本酒は燗、なのです。

ましてや冷蔵庫で冷たくするなどは邪道
・・言い過ぎですかね。
ここ数十年の流行りに過ぎません。

日本料理を頂くには、やはり燗のほうがよろしい。

そういえばほぼカウンターだけの小さな店内には
冷房が掛かっていません。
風が通り抜けるだけ。

夏でも燗、冷房なしといえば神楽坂の『伊勢藤』でした。
(三十年以上前の情報)

へえ、広島でもこんな店あったんだ。

できれば電車通りから一本程中に入ってて欲しいね。
店の前に朝顔とかゴーヤとか這わせるとかさ。
でも多分ご主人の好みがあるんでしょうね。
「らしい」店構えはしたくないとか。


さて「竹鶴」=大和雄町とありました。

「白鴻」などで雄町というと(酒の個性にも因るので
しょうが)個性の強い酒ができると思ってました。
(素人考えです)

『酒飯増亭』で頂いた燗の「竹鶴」は、旨い。
味に、広がり、厚みがあります。
しっかりしているけれど優しくもある。

実は私は淡白な水のような酒が好きなので
竹鶴は呑んだことがありませんでした。

好みとは違う酒なのに、竹鶴はうま~い!
食べ物と合う酒造りですね。

私が好きな「天寶一」は酒の力で口中をさっと
洗いますが、「竹鶴」はとろけるように消します。
剛と柔ですかね。

ともあれ、提供される肴とピッタリの相性でした。

ごま豆腐、胡瓜の和物、茄子揚浸、刺身、コロッケ
どれも極上の料理で、かつ酒のアテでした。

量は少食の我々にはちょうど良いくらいです。
酒ばかり飲んで肴は嘗めるほど、というタイプには
少し多いかもしれません。
でも近年そういう(塩で酒タイプ)は減ったでしょう。

酒も肴も程よく頂く。


貧乏人の哀しさで、食べる速度が速い私に合わせて
次々と料理を出していただきました。
なくなると次、このタイミングのよいこと。

我々に合わせて頂いたのでしょうが、もしかすると
店のペースがそうかもしれません。
もしそうなら一般的には若干早いかな。

酒の二本目が終わった辺りでご飯が出てきました。

え?もう飯・・・ちょっと品数が足りないかなあ。
(\4200‐のコースですから、量的に若干高いか)

三本目を頼むつもりになりきっていたので
タイミングは悪いが「すみません、もう一本」

ご主人が、サービスでしょうね、鱧をたっぷりと
出して下さり、また一本呑めました。

ご飯も良い米でしたね。
漬物も及第点。

できれば「コースの次はご飯になります」という
案内が欲しかったね。


とはいえ店の雰囲気もサービスもほぼ申し分なしでした。

するとお値段か、問題は。
若くて量が必要ならば高いという人もいるでしょう。

でもね、まず食材が宜しい。
料理の腕は勿論宜しい。
こぢんまりした空間。

これらを考えると決して高くはありませんね。
次を予約して帰りました。

美味い処をバシっと出す。
ケチらない。
従って割高には見える、
それで認める客だけ来てくれればよい。
これは気持ちが良い考え方です。

真っ向勝負のマエケンだね。


食材を生かすための微妙で奥行きの深い味付は
他店ではないものかもしれません。
ご主人独特の感性か。

山葵ひとつにしても繊細でしたね。


燗は伊勢藤と同じく、本数を重ねるごとに微妙に
温度をあげて供されました。

この酒ならこの温度で、というのが決まっていそうですね。
(季節に応じた調整はあるのかなあ)

ああ、酒に弱くなってしまった自分が情けない。
5~6本は呑まないとねえ。

◎追記

「酒飯増亭」というのは
(酒召しまして)と読むのかしらん


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