神楽坂・伊勢藤

2009-09-22 10:53:00 | 塾あれこれ
かれこれ40年近く前よく通いました。
「いせとう」と読みます。

ネットで見るといまだ健在、それほど変わっていない
様子ですね。

神楽坂を牛込見附からずっと上って毘沙門天の向かいを
右へ折れると暗い路地があります。(当時の話)
ぽつんと門口の灯りがともる和風建築が「伊勢藤」
江戸時代のような雰囲気でした。

お酒を静かに頂く(居酒屋?)です。
大きな声を出すような酔っ払いは厳禁なのです。
酔客が店に入ろうとしても断られていますね。

夏でも冷房がなく、貸してくれる渋団扇片手に燗酒です。
ビールなど無かった、今もそうでしょう。

カウンターの向こうに座敷があり、囲炉裏を切っています、
炭火が熾り、周りの灰に燗のための容器が差しこんである、
そこにチロリが入ります。
灰を通した熱の湯せんが燗によいのでしょう。
チロリも分厚い錫だったと思います。

私が行き始めたのは昭和40年代の後半、オバアサンが燗を
つけておられましたが、しばらくして息子(たぶん)に
変わりました。
そのとき酒の味も微妙に変わったのを記憶しています。
オバアサンのほうが柔らかかった。

もちろん酒の銘柄など一切変わらず、ただ人が変わった
だけですが、今もあの方が燗をつけておられるとすると
きっとオバアサンの味になっておられるでしょう。

サスガに夏は、ぬる燗から始まります。
銚子を重ねるごとに燗の温度が少しずつ上がり、
ほどよく酔わせていただきます。

ほろ酔いで外に出たときの気持ちよさったらない。
冷房が効いていたら外に出てムっとしますよね。


静かに飲む店ですから、一人で居たいときによく通い
ました。

一度隣の人の銚子代わりのときに、「ま一杯だけ」と
つないであげようとして店のご主人から「それは」
ピシリと注意されてしまいました。

いまでも厳しく客を育てているんでしょうかね。

ちなみに隣に座られた方と話をするのは構いません。
あのときは宮内省で雅楽をしておられる方だった。

話が盛り上がって、ついね、一杯だけとやって
マナー違反を言われたわけ。

人が多い町だからできる商売でしょうけれど
今のノリで若者が行って排除されてるンだろうねえ。


写真は伊勢藤とは何の関係もありません。
ザクロの木に実がなっていたのですが写真じゃ見えない
ですね。尾道の天寧寺です。


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