雪だるま倶楽部

日々を離れ
日常から脱却した世界
そんな風景を切り取っています

志賀直哉旧居

2008年08月16日 | 奈良散策
春日大社境内から志賀直哉旧居へ向け
ささやきの小径を歩きます
未舗装の小径
積もり積もった落葉が周囲を埋め尽くす
歩く足音もサクサクと鳴る

       

やがて民家が見え始め
わずかな区間の登り坂が見えてくれば
ささやきの小径は終わり

民家に囲まれた住宅街にあるのが志賀直哉旧居
白壁に囲まれた静かな佇まい

    

志賀直哉の代表作の一つ
「暗夜行路」
前編を発表したのは1921年
唯一の長編小説の前編を書き終えた志賀直哉は
それまで住んでいた、山科の地を離れ
ここ奈良の地へと移り住む
1925年の事だった

    

尤も
移り住んだのは奈良市幸町
そこに3年少々
その後
若草山が良く見える高畑の地に新居を求め
自ら設計した建物を建築する

1929年から1938年までの約十年間を過ごした高畑サロン

   

彼の生涯で最も長い時を過ごした場所となる

        

この建物の書斎で
彼が生み出した傑作
「暗夜行路」
続編を完成させる
執筆に17年を費やした、唯一の長編作品

        


他にも
「万歴赤絵」
「鳥取」
「豊年虫」
「雪の遠足」
「リズム」
「颱風」
「プラトニック・ラブ」
といった作品を残している

        



書斎に面した日本庭園から
奥へと進むと
突然景色が広がる
芝生を配した西洋風庭園
建物だけでなく
庭園も和洋折衷となっている

   

そして
洋風サロン

   

和室に面した廊下の突き当たりに
開放的な空間が広がるサロンがある

床は石畳でなく
瓦というのも、いかにも日本的雰囲気が漂うサロン

  

彼はこのサロンを気に入っていた様で
彼を慕って集まってきた文豪たちに
このサロンでよく話し込んだと伝えられている

武者小路実篤や小林秀雄、尾崎一雄といった文豪も
きっとこの部屋を訪れた事でしょう

    

椅子に座り
彼の作品の一つも読んでみたくなるひと時でした

      
コメント (4)
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