JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

光が粒にみえるから

2006年08月05日 | d-f

「ど~ん!どどど~ん!」
今日は、近く(?)の港での花火大会です。この地域ではもっとも大きな花火大会なので、子供たちが小さい時には近くまで出かけ、ビール飲み飲み楽しんだものですが、やっぱり歳のせいでしょうか、この暑いのに人混みに酔うのがどうにも我慢できず、今年は音だけの花火大会となりました。

さて、今日はどうしても紹介したい本に出会いましたので、そのお話。
皆さんは、東田直樹君という中学生をご存じでしょうか?
今月で14才になる彼は、自閉症という病と向き合う、作家・詩人なのであります。

           『暑い 暑い』  東田直樹作
       僕は元気
       びっくりするほど
       夏の暑さは
       このままでいい
       暑い 暑い
       どこがいいの? こんなに暑いのに
       僕には分かっている
       これは 地球の怒りだと
       僕の怒りと同じだと
       どこかで雪が降っていても
       怒りはまだまだおさまらない


私が彼を始めて知ったのは、昨年の10月、朝日新聞の『ひと』というシリーズ記事を見てからです。
話そうとする瞬間、「口の中で言葉が消える」のだそうで、言葉の代わりに文字で自分を表現しようと、筆談を練習したそうです。
筆談を始めたのは、『はぐくみ塾』という『だっこ法』『筆談』を用いて障害児の指導を行うところへ、通い始めたのがきっかけだったそうですが、手軽に話ができるようにと、手に直接指で文字を書かせる方法や、アルファベットを並べた文字カードでの指さし筆談を、お母さんが考え出し、あらがう直樹君の手を取って猛特訓、約一年で、彼の心の内を理解できるまでになったそうです。
「たとえば、自閉傾向の子どもがよくやる、目の前で手をヒラヒラする行為が、「光が粒に見えるから」それと遊んでいるのだと、その理由が分かる。」
なんとも素敵なお母さんではありませんか。

直樹君は4歳ごろから、詩と物語を書き始め、2004,5年には、連続で「グリム童話賞」の大賞を受賞、「書いている間、僕は普通の子になれる」と彼は表現します。
そんな彼の文章を、ぜひ読んでみたいと思っていましたが、先日やっと一冊を発見、その素直で、生き生きとした文章に感動してしまいました。

言葉だけでしか、表現できない私、愛情をも無くしてしまったかのような、昨今の一部の親、
みんな、こういった文章を読んで、自分自身を思い直すべきなのかもしれません。

さて、音楽もまた、言葉とは違う表現方法ですよね。
今日の一枚は、御存じ、数少ないモンク、マイルス共演盤であります。
1954年12月24日、世に言う「ケンカ・セッション」が4曲、収録されています。マイルスとモンクがケンカをしたのかしないのか?そんなことは、どうでもよい話しで、この演奏が良いか悪いか、好きか嫌いか、それだけのことだと思います。
マイルスとモンクは、同じジャズでも、表現方法が大きく違っていた、そして、お互いそれに対して、プライドと敬意を持っていたということなのでしょう。
もう一つ、この時の話で面白いのは、マイルス、モンク以外はM.J.Qのメンバーであるということ、
「あれあれ?ジョン・ルイスはどうしちゃったのかな???」
プレスティッジのボブ・ワインストックが、ルイスを嫌いだったから、というのが原因とされていますが、これも本当なのかな?
ともかく、そのおかげで、マイルス、モンクの共演がここに実現したのでありました。
この時の演奏、残り二曲は、もちろんアルバム「BAGS' GROOVE」に収録されています。

MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS
1954年12月24日[1,2,4,5] 1956年10月26日[3]録音
MILES DAVIS(tp)
THELONIOUS MONK(p) MILT JACKSON(vib) PERCY HEATH(b) KENNY CLARKE(ds)[1,2,4,5]
JOHN COLTRANE(ts) RED GARLAND(p) PAUL CHAMBERS(b) PHILLY JOE JONES(ds)[3]
1.THE MAN I LOVE (take 2)
2.SWING SPRING
3.'ROUND ABOUT MIDNIGHT
4.BEMSHA SWING
5.THE MAN I LOVE (take 1)