訃報続きの昨今ですが、我が家の固定電話機もついにその時がやってきました。
昨年、近所へ落雷があり、我が家の電化製品にも多少なりとも影響が出たことがありました。
電話機もその一つで、それ以来ときおり雑音が入ったり、親機の呼び出し音が鳴らなかったり、それでもゴマカシゴマカシ使っておりましたが、ついに相手の声がまったく聞こえなくなってしまったのです。
早々に近くの量販店で仕入れてまいりましたが、ここからが大変、うちの母はテレビのリモコンですら使い方をマスターするのに、何日もかかったという世話のやけるお方で、壊れた電話機のメモリー・ダイヤルを使えるようになったのが、なんと昨年というありさま。
「せっかく、電話簿見ずにかけられるようになったのに」
「大丈夫、こんどの電話機もメモリー機能があるから」と言っても
「また、使い方が違うんだろ」
明日は、ダイヤル・メモリーの登録作業と母への使用方法の特訓を、しなければいけません。極力機能の少ない単純な電話機を探してきましたので、
「母、頼むから憶える気(!)をだしてくれ」
最近の技術の進歩には、私ですらついて行けないこともあります。今使用している携帯電話も、全ての機能を私は把握していません。「宝の持ち腐れ」なのか「いらぬ機能を付けすぎ」なのかはわかりませんが、価格に含まれているかとおもうと、ちと腹が立ったりしてしまいます。
ブルーノートが新技術、ステレオ録音を導入したのは、アート・ブレーキーの「ORGY IN RHYTHM」(1957年3月7日録音)からでした、しかし、モノラル録音も併用して行っていたため、ステレオ盤の発売をすぐに始めたわけではありません。初のステレオ盤を出したのは、その録音から2年以上後の1959年8月のことです。アルフレッド・ライオンも、やはり新技術には一抹の不安があったのでしょうか?
そのくせ、ライオンは演奏の切り貼り(編集)によって、アルバムを作る技術は、すでに行っていました。
今日の一枚、「SONNY'S CRIB」もそんな一枚です。
1曲目「WITH A SONG IN MY HEART」は、テイク10の演奏から、ソニー・クラークのピアノ・ソロをカットし、テイク9のピアノ・ソロをはめ込みました。
2曲目「SPEAK LOW」も、テイク7の演奏からトランペットとピアノのソロ部分をテイク6のものに差し替えてあります。
完璧主義のライオンにとっては、迷わずこの技術を活用したのでしょう。
さて、母の「機械音痴」も困ったものですが、私ももう一度携帯の取説を読み直してみましょうか。
SONNY'S CRIB / SONNY CLARK
1957年9月1日録音
SONNY CLARK(p) DONALD BYRD(tp) CURTIS FULLER(tb) JOHN COLTRANE(ts) PAUL CHAMBERS(b) ART TAYLOR(ds)
1.WITH A SONG IN MY HEART
2.SPEAK LOW
3.COME RAIN OR COME SHINE
4.SONNY'S CRIB
5.NEWS FOR LULU
おまけ、
A面はスタンダード、B面はオリジナル、A,B面がはっきりと分かれているアルバムです。「ブルー・トレイン」録音から1ヶ月、やっぱコルトレーンはイイ!