昨年、母はフジテレビのドラマ「1リットルの涙」が大好き(?)で、毎週かならず「かわいそうでかわいそうで」と言いながら、涙を流して観ておりました。
「1リットルの涙」は、難病「脊髄小脳変性症」という恐ろしい病魔と闘い、25歳でこの世を去った、実在の少女の日記をもとに綴られた物語で、自分の人生が残り短い事実を知りながらも、ひたむきに生きた彼女の姿に、漫然と生きている自分を恥、生というものに深く感謝すべきことを教えてくれる、悲しくも素晴らしいドラマでありました。
今だ原因のつかめぬ難病は数多く存在しますが、「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」別名、ルー・ゲーリック病という病気があります。みなさんがよくご存じの方でいえば、宇宙物理学のホーキング博士が闘っておられる難病で、大リーガー、ルー・ゲーリックが発病した病気としてこの名で呼ばれ、原因は不明、運動神経だけが次第に破壊されていく恐ろしい病気です。
1979年の今日、1月5日にメキシコでこの難病により亡くなったジャズ・ジャイアンツがいます、チャールス・ミンガスであります。
デューク・エリントンを心から尊敬し、社会問題に鋭く意見し、ベーシスト、ピアニストとして、はたまた作曲者・詩人として、強く優しく生きる、そんな巨人でありました。
私が彼をこの場で紹介するのは、LD「ミンガス・ジャズ・ワークショップ・フィーチャリング・エリック・ドルフィー」以来でしょうか。
彼のアルバムがとんでもなく好きだとは言えない私ですが、今日だけは、彼の偉業を讃え、アルバムを聞き直すことにしました。
「直立猿人」でジャズ界に衝撃を与え、一年後に録音されたこのアルバムでは、詩人チャールス・ミンガスをかいま見ることができます。
「ティファナ・ムード」、「ミンガス・ブレゼンツ・ミンガス」、「アット・カーネギー・ホール」あたりまで今晩は聴くことにします。
THE CLOWN / THE CHARLES MINGUS JAZZ WORKSHOP
1957年2~3月録音
CHARLES MINGUS(b) CURTIS PORTER(as,ts) JIMMY KNEPPER(tb) WADE LEGGE(p) DANNIE RICHMOND(ds)
1.HAITIAN FIGHT SONG
2.BLUE CEE
3.REINCARNATION OF A LOVEBIRD
4.THE CLOWN
追伸、
1978年6月18日、当時のアメリカ大統領カーターが主催した「ホワイト・ハウス・ジャズ・フェスティバル」にゲストとして招かれたミンガス、車イスであらわれたミンガスに、カーターが激励を送ると、彼は、男泣きにむせびました。
おまけ、
正月休みに書きためたというほどでもないのですが、「ジャズ四方山話」を更新しました、よろしければご覧下さい。