社会の荒廃 研究室(蜻蛉の眼鏡)

国連の女子差別撤廃条約に基づく男女共同参画を強行する女性独裁権力(フェミニズム)の社会病理に言及、コメント欄も充実。

厳罰化では問題解決には程遠い --特定商取引法の罰則規定強化--

2007-06-04 16:06:43 | 労働

 経産省は3日、悪質な訪問販売や電話勧誘などを規制する特定商取引法の罰則規定を大幅強化すると発表した。現行規定では行政処分を受けても新会社を立ち上げるなどして繰り返し悪質商法を行うなど抑止効果が薄いためということだが。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070604-00000011-san-bus_all

 厳罰化により抑止効果を狙うという手法として良く引き合いに出されるのは、飲酒運転の罰則強化の例だ。実際、罰則強化直前と直後で飲酒運転の検挙数は減少したという結果が出ているようだが、ここ1、2年は微増傾向にあるという。果たして厳罰化は抑止効果として有効と言えるのだろうか。

 こうした問題を考える際には、必ず現状の社会情勢に言及しなければいけないということは何度もこのブログでも申し上げている。今回の悪質商法の例で言うなら、そうしたことを行う人達の生活環境とはどういうものなのか、単なる怠け者なのか、まともな職に就けないから悪の道に手を染めるしかないのか、掘り下げて考えなければいけない。

 大企業は好決算を次々と発表し、景気は拡大しているなどとマスコミは宣伝する。しかし一方で、企業の非正規雇用が増加し、ワーキングプアやニートが増加する。こうした格差社会が蔓延している状況では、悪質商法や犯罪が横行するのも無理もない。

 しかもそんな深刻な状況下でも、女性にだけはアファーマティブ・アクションなどと称して就職優遇や働き易い職場環境の整備などを推進しているのだから、その煽りを受けてはじき出された男性などが社会不信に陥り、様々な形で報復行動を行うこともあるだろう。

 更にリストラの難を危うく逃れている正社員にもホワイトカラー・エグゼンプションといった過酷な労働環境を強いる。これでは負け組は勿論のこと、現状の勝ち組とされている群でさえ、いつ自分が負け組に転落してしまうかわからない、そんな不安に怯えながら、毎日の仕事に励む。そこには充実感といった仕事の楽しさなど微塵もないのだろう。

 このような荒廃した社会情勢では、厳罰化をするだけでは抑止効果など皆無に等しいと言えるのではないだろうか。やはり終身雇用制の労働体系や家族手当の支給などの給与体系といった、古き良き時代の制度を取り戻していくしか抜本的な解決方法はないと思うのだが。国民の安心とは、そうした生活の安定感があるからこそ得られるのだ。