STAP細胞論文に関する批判が大きな局面を迎えている。論文の共著者である大学教授が論文の撤回を呼びかけてから批判報道が広がった。論文の代表執筆者は雲隠れしたままだが、説明責任は免れないだろう。果たして論文の行方は、そしてSTAP細胞の信頼性、そして今後の社会的影響は如何に。
次から次へと疑惑が噴出するSTAP細胞論文問題、論文発表当初は絶賛の雨霰だった筆頭著者の小保方晴子氏も今や疑惑のデパートと化してしまった。更に彼女が博士号を取得した早大の博士論文にも本文や参考文献リストにネットサイトや他論文からの丸写しがあることが判明し、その一部は文字化けしているという。これを受けて一部からは学位取り消しを求める声も上がってきた。
窮地に追い込まれた形の小保方氏だが、我々も報道だけに踊らされるのではなく、報道から見えてくる世相や権力構造といったものを推測していかなければならない。
論文発表当初は、小保方氏について様々な側面から好意的な報道がなされていた。祖母から貰った割烹着姿で研究し、研究室の壁をピンクや黄色にし花柄のソファを置くなど女性らしい側面を持つ、実験器具にムーミンのシールなどを貼り付けたりしている、ファッション好きとしても知られ今回の記者会見でも英国の有名ブランドの指輪を着けていた、研究に関しては「並外れた努力家」、など、研究とは無関係な事柄も含め、彼女を全面的に持ち上げた報道だ。
しかも、最初は研究内容を信じてもらえず泣き明かした、風呂の時もデートの時も研究のことを考えている、など小保方氏に関する話題は全て美談とされた。
更に、研究室のスタッフ5人は全員女性とした上で、これは単に女性の登用を進めようというだけでなく、性別や国籍などの多様化を進めることで研究にも新しい発想と成果を生み出そうという「ダイバーシティー(多様性)」という考え方が反映していると言える、といったフェミニズムの正当性を誇示しようという報道側の戦略が垣間見えた。また「リケジョ」という言葉を流行させようという画策もあったようだ。恐らく今年の流行語大賞の候補として挙げる目算もあったことだろう。
だが間もなくして論文に問題点が見つかる。当初は写真の入れ違いなど些細な内容で研究の根幹は揺るがないとされ、マスコミも一部のネット報道以外全く問題にしなかった。これはフェミニズムの権力が報道にも幅を利かせているからであろう。女性である小保方氏の印象を少しでも低下させる報道はするな、という圧力があったのは想像に難くない。しかしこれが男性研究者の論文であったなら、マスコミはこぞって批判報道していたであろう。
フェミ陣営は、論文に問題があったとしても一過性のもので終わると当初考えていたのだろう。しかし問題点が次々と持ち上がり雲行きが怪しくなるにつれて、判断の変更を迫られることになる。
そして、論文の共著者である若山教授が論文撤回の意向を示す会見を行ったのをきっかけにマスコミは報道姿勢を180度転換し、一斉に論文批判を始める。ネットをやってない人々には、この時点で初めて論文が問題になっていることを知った人も多いはずだ。
更に今日になって、中日新聞や読売新聞では社説で論文の問題点を取り上げるなど社会問題としてこの問題を取り上げた。また小保方氏が博士号を取得した論文についても問題点が持ち上がるなど事態は益々深刻化している。
絶賛から擁護、そして一転して批判へとマスコミの報道は変遷していく。この流れを皆さんはどう感じるだろうか。そしてこのまま小保方氏を表舞台から引き摺り下ろして終わりにしてしまうのか。一体マスコミの役割とは何なのか。それこそSTAP細胞同様に何が何だかわからなくなってくる。
そして、最も恐れなければならないことは、今回の失態が日本国家全体の信用失墜につなげられてしまう恐れがあるということだ。従軍慰安婦や竹島、尖閣諸島など中韓との問題についても、日本の信頼が損なわれれば、中韓の主張があたかも正しいかのように世界中に広がってしまう。たださえ慰安婦の像が米国に建立されるなど日本は劣勢に立たされているというのに、更に日本批判に拍車がかかるような事態は避けなければならない。
このように考えると、今回の小保方批判は確かにフェミニズムの勢いに水を差すという点では一定の効果はあるかも知れない。しかしフェミニズムの強かさは並大抵ではない。フェミ陣営は勢力さえ伸ばせればそれでいいのだから、中韓との関係で日本を貶める材料としてこの小保方問題が利用出来るなら、同じ女性であっても「小保方切り」も平気でやるだろう。勿論それは正義に基づく制裁ではなく、陣営の利益のために利用するだけなのだ。
従って今回の問題も、小保方氏の思い込みが激しい性格などが災いし、大衆を騙す結果になってしまった、それはフェミニズムが女性の社会進出で社会が発展するという勝手な思い込みに通ずるところがあるといった、小保方=フェミニズムという図式で批判が出来るように批判の仕方も工夫する必要があるだろう。
・新たに画像酷似の指摘「根幹揺らぐ」 STAP細胞論文 2014年3月11日07時43分
http://digital.asahi.com/articles/ASG3B7F8QG3BULBJ011.html
生物学の常識を覆すとして世界に衝撃を与えた万能細胞「STAP細胞」の論文が、撤回される可能性が出てきた。発表からわずか1カ月余り。論文の不適切さを問う声が相次ぎ、共著者まで「確信が持てない」と表明した。次々に明らかになる問題に、理化学研究所の対応は後手にまわっている。
■理研幹部から「論文取り下げては」
「きょうの昼ごろに、理研の(幹部)3人から、メールや電話で『論文を取り下げてはどうか』と著者全員に連絡があった。それに後押しをされて、取り下げを呼びかけることにした」
10日夜、甲府市の山梨大。報道陣に囲まれ、論文の共著者である若山照彦教授は話した。
若山さんはマウスのクローンを作る第一人者。論文では、STAP細胞がどんな組織にでもなれる「万能性」を持つことを裏付ける決定的な証拠のための実験を担った。
STAP細胞の特徴は、①万能性を持ち、②体のふつうの細胞から作られる、という2点だ。こうした研究内容そのものにかかわる疑問が、今月に入り相次いで浮上した。
万能性への疑問は、論文不正などを取りあげるインターネットのブログで9日に指摘された。筋肉や腸の組織をとらえた計4枚の画像で、英科学誌ネイチャー発表の論文では、いずれもSTAP細胞から育ったと説明された。
だが、これらは論文の主著者である理研の小保方晴子ユニットリーダーが2011年に書いた博士論文の画像とそっくりだった。博士論文ではSTAP細胞ではなく、骨髄の中に元々含まれている万能の細胞を育てたとしていた。
若山さんは「この写真は細胞がいろいろなものに分化できることを示す写真で、研究の根幹が揺らいだ。私が実験をしたのが何だったのか、確信が持てなくなった」と話した。
第二の特徴にも疑念が出ている。論文では、血液に含まれるリンパ球という細胞からSTAP細胞をつくったとされ、人為的につくったことを示す遺伝子の変化がSTAP細胞に見つかったと書かれていた。
ところが、理研が今月5日に公表した詳しい作製手順には、STAP細胞を改変した細胞(STAP幹細胞)にはこの遺伝子の変化がなかったと書かれていた。
若山さんはこれまで小保方さんを擁護していた。論文については他にも、画像の「使い回し」や、記述の一部が別の研究者が発表した論文とほぼ同一だったとの指摘もあったが、STAP細胞を作ったという成果自体には影響しないと見られてきた。
若山さんは「研究成果を信じたい気持ちがあるので、一度論文を取り下げて、もう一度研究を行い、だれからも文句の出ない形で論文を出したい」と話した。
■撤回なら成果は「白紙」に
論文の撤回は、そこに記載された科学研究の成果全体が「白紙」となることを意味する。現段階でSTAP細胞ができたこと自体まで否定されたわけではないが、論文を発表した理研とは別のチームによる実験で同じ結果が示され、その結果が研究者のあいだで信用されるまでは、STAP細胞が本物とも言えない状態になる。
公表された論文の内容に問題が見つかった場合、意図的でない小さなミスであれば論文の訂正がなされる。しかし、データの改ざんや捏造(ねつぞう)、ほかの研究者の論文からの盗用といった不正行為があった場合は論文そのものを取り下げ、雑誌にも撤回の事実を明記するのが一般的なルールだ。論文不正に詳しい愛知淑徳大の山崎茂明教授は「誤った研究結果がそれ以上広まらないようにするのが撤回の目的」と話す。今回も、盗用を含む複数の不正の指摘がある。
撤回は、論文を書いた著者が自ら申し出るのが原則だが、雑誌の側がすることもある。京都府立医大が中心になった高血圧薬をめぐる臨床研究の論文は、掲載した欧州心臓病学会誌が昨年撤回している。悪質な不正があったとして、著者が所属する大学から解雇されたケースもある。
過去約70年間に掲載され、あとで撤回された世界の医科学系の論文2047本を分析した米国チームの報告によると、捏造や盗作などの不正行為が全体の67%を占める。不正を理由とした撤回の割合は増加傾向で、最近では75年当時のほぼ10倍にのぼるという。
今回の論文が掲載されたネイチャーのほか、サイエンスやセルといった影響力の大きい科学雑誌での撤回は実は珍しくない。「一流雑誌に載る論文ほど競争の激しい分野の研究が多い。それだけ、問題も生じやすい」と山崎さんはいう。
■理研、遅れる対応
これまで相次ぎ指摘されてきた問題点について、理研は「調査中」を理由に詳しい説明を拒んできた。研究の中心となった小保方さんも、論文の掲載時以降、取材に応じていない。
理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の広報担当者は10日夜、理研所属の著者について質問されても「いま対応を協議しているところです」と繰り返した。このうち小保方さんについては「様々な指摘を真摯(しんし)に受けとめている」と説明し、内部で対応を議論しているという。
STAP細胞の姿は、発表後まもなくから揺らぎ続けた。まず指摘されたのはSTAP細胞を用いて育ったマウスの胎児と胎盤の画像だ。別々の被写体のはずの2枚で一部が酷似していた。理研、ネイチャー誌が相次ぎ調査開始を公表。理研は「成果そのものは揺るがない」と自信を示した。
当初、「簡単にできる」と説明したことについても疑問が噴出。研究者から「再現できない」との声が相次ぎ、理研は製法の詳細を公表した。だが、その内容が当初の発表と矛盾するとの指摘が出て、さらに対応を迫られた。
理研を所管する文科省幹部は「理研の調査委の中に、STAP論文について、正しいと見ている研究者と、疑いの目を持った研究者がいるので結論が出ていない」と説明する。一方、日本分子生物学会は日本の科学研究の信頼性への影響を懸念し今月3日、迅速な調査結果の公表を求める声明を出している。
■これまでの主な経緯
1月29日 英科学誌ネイチャーにSTAP細胞の論文が掲載される
2月13日 「論文に不自然な画像がある」とインターネットなどで指摘され、理研が調査開始
17日 ネイチャーも調査開始を公表
18日 早稲田大が小保方さんの博士論文について調査を始める
共同研究者の若山・山梨大教授が朝日新聞に「画像取り違えの単純ミス」と説明
3月3日 日本分子生物学会が理研に対し、迅速な調査結果の公表を求める声明を発表
5日 理研がSTAP細胞の詳しい作製手順を公表
10日 若山教授が、論文取り下げの呼びかけを表明
・日本分子生物学会、STAP細胞論文への厳正な対応求める「単純ミスの可能性をはるかに超えている」 2014年03月11日 16時35分
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1403/11/news109.html
日本分子生物学会は3月11日、不自然な点が複数指摘されている「STAP細胞」論文への撤回を視野に入れた適切な対応と、事態を招いた原因の検証・報告を理化学研究所に対し「強く要望」する大隅典子理事長名の声明を発表した。
英科学誌「Nature」に投稿された新型万能細胞「STAP細胞」に関する論文に不自然な点が複数指摘されている問題に対し、(1)データに欠点が多く、結論が科学的事実に十分には担保されていない、(2)多くの作為的な改変があり、「単純なミスである可能性をはるかに超えており、多くの科学者の疑念を招いている」──と指摘。「当該研究の重要性は十分に理解していますが、成果の再現性は別問題として、これら論文に対しての適正な対応を強くお願いします」としている。
またSTAP細胞の研究主体となった理研に(1)Nature論文に関する生データの即時・全面的な開示と、撤回や再投稿などを含む迅速かつ適切な対応、(2)公正性が疑われるような事態を招いた原因に対する詳細な検証と報告――の2点を「強く要望」している。
今回の問題は単体ではなく「科学者を取り巻く環境を含めた課題であり、自省と自戒を持って注視している」とし、「我々、研究者が今一度、研究の公正性を含む研究倫理の問題として再度真剣に把握、分析し、システムの改善の努力に取り組む所存」と述べている。
同学会は3日にも本件に関する理事長声明を発表していた。「日本の科学をリードする研究機関の一つである理化学研究所が、可能な限り迅速に状況の正確な報告について公表されるとともに、今後の規範となるような適切な対応を取って下さることを本学会は期待します」と結んでいた。
・小保方さんの博士論文、参考文献リストもコピペか 2014年3月12日11時44分
http://digital.asahi.com/articles/ASG3D32NBG3DULBJ002.html
英科学誌ネイチャーに掲載された新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」論文の筆頭著者、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーが早稲田大に提出した英文の博士論文で、参考文献リストが他の論文と酷似していることが12日わかった。リストは論文の根拠となる文献を示すもので、学位取り消しの検討が求められる状況となっている。
博士論文は2011年2月付。動物の体中から万能性をもつ幹細胞を見つけ出すもので、STAP細胞の論文ではない。章別に参考文献リストがある。たとえば、第3章では本文に引用の印がないのに、文献リストには38件分の著者名、題名、雑誌名、ページが列挙されている。これは10年に台湾の病院の研究者らが医学誌で発表した論文の文献リスト53件のうち、1~38番とほぼ一致した。博士論文では一部文字化けしている文字があり、コピー・アンド・ペースト(切りばり、コピペ)の可能性がある。リストは著者名のABC順。元論文の38番はPで始まる姓のため、ありふれたSやTで始まる著者名が博士論文にはないという不自然さがあった。
普通の論文では本文で文献を参照した箇所に(1)などの番号を添えるが、図を除いて5ページある第3章の本文にはこのような番号はつけられていない。このため、意味不明な参考文献リストになっている。
この博士論文に関しては11日、米国立保健研究所(NIH)がネット上に掲載している文章との酷似が指摘されたばかり。酷似は108ページある博士論文の約20ページ分に及ぶとされたが、今回判明した参考文献リストを合わせると約35ページ分になる。
小保方さんは理研に就職する前、論文審査を通り博士の学位を得た。審査には早稲田大教授2人、東京女子医科大教授1人のほか、STAP細胞論文の責任著者になっている米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授も加わっている。
研究倫理に詳しい山崎茂明・愛知淑徳大教授は「これで論文審査を通ったこと自体が驚き。審査した教授や大学の責任は重い。学位取り消しを含めて検討すべきだ」と語る。早稲田大広報課は「確認中。学位取り消しに相当するかは調べきってから評価することになる」としている。(編集委員・浅井文和)
<論文問題が明るみになる前の報道>
・「リケジョ」小保方さんの経歴から読み解く教育・科学技術改革の成果とは?2014/02/27 17:00
http://benesse.jp/news/kyouiku/trend/20140227170058.html
かっぽう着姿の「リケジョ」(理系女子)としても注目を浴びた、独立行政法人理化学研究所(理研)の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が語った、彼女の経歴が物語る「近年の教育・科学技術改革」の成果とは?
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小保方さんは、2002(平成14)年に早稲田大学理工学部応用化学科(当時)にAO入試の一種である「創成入試」(同)の1期生として入学しました。AO入試は学力不問入試などと批判されることも多いのですが、やり方によっては「とんがった学生」(学部時代の指導教員だった常田聡教授)を選抜できる入試改革であることの証明でもあるでしょう。
再生医療の研究にもかかわらず、小保方さんの学位は博士(工学)です。2006(平成18)年に大学院に進学する時、病気で子宮をなくした人に光を当てたいと考えたと言います。研究の世界では学問領域を超えた「学際的」な研究は当たり前です。大学進学でも受験科目だけ勉強していればよいのではなく、幅広い知識や教養を身に付けておくことが求められます。
当時、ちょうど医学部のない早大は東京女子医科大学との連携を進めており、博士課程に進んだ2008(平成20)年には両大学が共同で設立した「東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設」(TWIns)を研究の拠点にしています。これは一つの大学だけですべてを抱えるのではなく、「機能別分化」によって特色を絞りながらもほかの大学とお互いの強みを生かして連携・協力を図っていくという、大学改革の流れに乗った対応ともいえます。
博士課程進学と同時に日本学術振興会の特別研究員となったのは、若手研究者を支援する国の政策によるものです。さらに今回の成果に直接つながるハーバード大学への留学は、国際的に卓越した教育研究拠点を作ろうとする文科省の「グローバルCOEプログラム」(当時)に採択された早大「『実践的化学知』教育研究拠点」の支援によるものでした。
2013(平成25)年からは理研のユニットリーダーに抜擢(ばってき)されるのですが、研究室のスタッフ5人は全員女性です。これは単に女性の登用を進めようというだけでなく、性別や国籍などの多様化を進めることで研究にも新しい発想と成果を生み出そうという「ダイバーシティー(多様性)」という考え方が反映していると言えます。
・万能細胞:作製の小保方さん おしゃれ好き、努力家「新星」- 毎日新聞 2014/01/30 3:32:00
mainichi.jp/shimen/news/20140130ddm041040145000c.html
「生物学の教科書を書き換える成果」と、国内外の研究者が驚きの声を上げた。理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)が作製成功を発表した新万能細胞「STAP細胞(刺激惹起<じゃっき>性多能性獲得細胞)」。人工多能性幹細胞(iPS細胞)を超える可能性を秘めた研究成果を主導したのは、30歳の女性の「新星」だった。
「研究者の仕事は世の人のため。一生懸命に頑張っていれば、いつかきっと誰かが評価してくれる」
今回の研究の中心となった同センター研究ユニットリーダー、小保方(おぼかた)晴子さんは、祖母の教えを忘れない。2009年、世界的に有名な科学誌に掲載を断られ、ひどく落ち込んだ。その時、励ましてくれたのが祖母だった。「とにかく一日一日、頑張りなさい」。その言葉を胸に、祖母からもらったかっぽう着に必ず袖を通して毎日、実験に取り組んでいる。
自分の研究室の壁はピンクや黄色、花柄のソファを置き、実験器具などには、「ムーミン」のキャラクターのシールなどが貼り付けてある。知人の間では「ファッション好き」で知られる小保方さん。今回の記者会見でも英国の有名ブランドの金色の指輪をつけて臨んだ。
その一方で、「研究に関しては並外れた努力家」と、指導した研究者らは、こう口をそろえる。
大学院生だった08年夏。半年間の予定で米ハーバード大の幹細胞研究の権威、チャールズ・バカンティ教授の研究室に留学した。帰国が迫ったころ、小保方さんは「骨髄細胞を使った幹細胞の最新研究」について発表することになった。1週間ほとんど寝ず、関連する論文約200本を読んで、発表に挑んだ。
その内容を聞いて、バカンティ教授は「研究室を開いて以来のベストプレゼンテーション」と大絶賛し、小保方さんが米国に残って研究を続けられるよう資金面などでの援助を決めた。「感性が鋭く、新しいことにどんどん取り組む」。バカンティ教授は毎日新聞の取材に、こう評した。
女性研究者の活躍が難しいとされる日本にあって、異例の若さで、研究室を仕切る。小保方さんは29日、毎日新聞の単独取材に「この研究は、今すぐ誰かの役に立つわけではない。いつか、世界に貢献できるようになりたい。そのために研究を続けたい」と決意を語った。【斎藤広子】
<その他のニュース>
・多摩センター駅連続殴打事件、28歳女を逮捕「鬱積晴らすため」 警視庁 2014.3.12 13:25
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140312/crm14031212540002-n1.htm
東京都多摩市の小田急多摩センター駅近くで1月、女性4人が相次いで顔などを殴られ、負傷した事件で、警視庁多摩中央署は傷害容疑で、同市落合、契約社員、木村友美容疑者(28)を逮捕した。同署によると、「日頃の鬱積を晴らすためにやった。持っていた携帯電話で殴った」と容疑を認めている。
逮捕容疑は1月27日午後1時40分ごろ、同駅近くの路上で、女性(52)の頭を殴り、軽傷を負わせたとしている。
同署によると、現場周辺の防犯カメラの映像などから木村容疑者の関与が浮上。約15分前にも77歳、67歳、23歳の女性が相次いで顔を殴られており、同署はこの3人に対する暴行容疑でも捜査している。