もう中国製品は信用できないのか、それとも誰かが製造過程で毒物を混入させた無差別テロなのか、中国産の冷凍餃子を巡る食中毒問題は、食の安全を根本から脅かす大問題に発展しそうな様相だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000183-jij-int
事の発端は、千葉県の家族が今月22日夜に中国産の冷凍餃子を食べたところ、下痢や嘔吐の食中毒症状を訴え入院、うち5歳の女児が一時重体となったもの。県警は餃子の具である韮(にら)から、有機リン酸系の農薬成分「メタミドホス」を検出。製造過程で薬物が混入したとみて業務上過失傷害の疑いで捜査を開始、流通・販売ルートなどを調べている。
また同じ冷凍餃子を食べて食中毒症状となった例が同県内と兵庫県内で2件あり、他にも被害報告は続出している状況だ。
・中国産ギョーザで食中毒多発、重体も 殺虫剤成分を検出
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/119282/
問題の冷凍餃子は、JT(日本たばこ産業)の関連会社ジェイティフーズが製造元の中国、天洋食品から双日食料の仲介で輸入、販売しているものだ。双日食料は総合商社双日の関連会社で、双日はニチメンと日商岩井が合併して創設された会社である。つまり、問題の食品の輸入、販売には我が国の大手企業が関わっているということだ。
・約10年前から取引仲介=過去にトラブルなし-双日食料
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008013001266
また、製造元の天洋食品からはジェイティフーズの他に加ト吉、味の素、それに江崎グリコも製品を輸入していることが判明し、対応に追われている。
ところで、ネット上ではこれら一連のニュースを受け、中国製品に対する信頼性を問う意見や、テロを疑う憶測などが殺到しているが、事の真相はさておき、これだけ冷凍食品や輸入食品が国民の間に浸透してしまった現状にも警鐘を鳴らすべきではないかと私は思う。
コンビニやファミレスなどの急速な発展と共に、冷凍食品や惣菜などスーパーでの買い物も、料理をするための食材の購入というより出来上がりの食品を購入するという形態に変化しつつある。勿論その背景には、女性の社会進出などの影響で家庭料理の大切さというものが蔑ろにされてきたという要因がある。更に企業も過剰な競争原理の中でコスト減を迫られ、人件費の安い中国などに進出し、結果として国内の雇用は圧迫され、格差社会が加速した。
今回の事件も確かに悪いのは製造元の衛生管理であろう。だがそうした信頼性が疑わしいところへ頼らざるを得なくなった日本社会のあり方そのものにも責任があるのではないだろうか。日本の農家や猟師が収穫した食材で、家庭の主婦が調理したものを食べる。そんな国家全体としての自給自足の生活が、食の安全を確保する最大の近道と言えるのではないだろうか。