毎日のできごとの反省

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池上彰氏の歴史観

2017-05-31 16:27:46 | 歴史

博識で有名な池上彰氏の歴史観を象徴する、テレビ番組を偶然見たので、紹介する。

その1:バルト三国は、元ソ連だった

 平成28年11月26日のテレビ朝日の番組での、池上氏の発言である。トランプ大統領の当選に関連して「バルト三国はかつてはロシアと同じくソ連だった」という主旨のことを言った。その上、バルト三国のうちの一国がトランプの当選に伴い、ロシアが攻めてきたら、という想定の演習をしている、とこともなげにいうのである。

 この奇妙さは池上氏が、南北朝鮮はかつて日本と同じく大日本帝国だった、とこともなげにいうはずはない、ということを想像すればわかる。独立国だったバルト三国は軍事力による脅迫によって「ソビエト連邦に参加したい」と「自発的に要請して」ソ連邦の一部にさせられたのである。ソ連時代の苛酷な支配、粛清やシベリアへの強制移住などの怖ろしい体験をしているからこそ、バルト三国はトランプが選挙中に表明していた孤立主義によって、ロシアから再侵略を受けないかと恐怖して、演習をしていたのである。

 これらの歴史的経緯をすっ飛ばして、ロシアがバルト三国にいかに怖れられているかをも説明しないで、単に対露軍事演習などをしている、と平然と言うのである。売り物にしている池上氏の博識とは、GHQによって洗脳された史観に基づくものでしかない。GHQ史観のデパートに過ぎない。

その2:象徴天皇とは

 平成29年4月2日の週のテレビ番組であったと思う。池上彰氏の解説で皇室のうんちくを紹介する番組があった。冒頭のあるタレントへの氏の質問で、象徴天皇の「象徴」とはどんな意味か、と聞いた。聞かれたタレントが的確に答えられなかったのは仕方ない。驚いたのは、氏の解説が憲法改正直後に政府が出した、憲法の解説書を引用しただけだったことである。

 事実はGHQが日本政府に提示した英語の憲法草案にsymbolとあったのを象徴と直訳したことが発端となったのは、常識であり明快な答えである。池上氏はこのことを絶対に言わない。理由は単純である。日本国憲法はGHQに強要された、とは間違えても言いたくなかったのである。そのことは日本国憲法擁護論者でも、今では認めていることなのに、である。

 池上氏はテレビなどで、教養ある解説者としてひっぱりだこである。氏の解説は明快で公平であるように思われるからである。ところが池上氏は上記のふたつの例のように、自身の主張に都合の悪いことは、知っていて言わない、という悪癖があることは覚えて置いたほうがいい。