思考回路が単純なので、タンバリンというバンドの続きはタンバリン・ソング特集、略してバリ特。バリンは打楽器の中でもとりわけ持ち運びが楽で、歩いたり踊ったりしながらでも演奏出来るし、形もジャラジャラ派手で目立つ。幼稚園でのお遊戯会では合奏でバリンをやりたがる園児が多くてじゃんけんで決めるという。シャレオツなのでファッションにもなるし、激しいステージでも片手でプレイ可能。子供と同じで目立ちたがりのロケンローラーにもピッタリ。
そんな中でも、好きが嵩じて歌を捧げてしまった無類のタンバリンフェチばかりを集めてみた。並べるとそれぞれのバリン愛が強烈にアピールされてオモしろい。
RED
●ブランキー・ジェット・シティ「赤いタンバリン」
カッコ良さに命を賭けるロケンローラーにバリン愛好家は多い、特にR&Rカオス主宰者のベンジー&チバは筋金入り。鮮烈な赤バリンで叩き付けるBLANKEY JET CITY1998年の11thシングル。オリコン11位のヒット。タンバリンは叩くのではなく撃つものだと明らかにした。人は愛し合うために生きているという噂を流した張本人がベンジー。今でも時々歌う。
ブランキー・ジェット・シティ「赤いタンバリン」
BLACK
●ミッシェルガン・エレファント「ブラック・タンバリン」
ベンジーのライバル、チバユウスケ率いるTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのメジャーデビューアルバム『cult grass stars』収録。インディーズ時代からの持ち歌であり、1993年の1stアルバム『MAXIMUM! MAXIMUM!! MAXIMUM!!!』にも収録されているが歌詞が違う。黒いタンバリンは3年経っても変化しないので泣いている。
ミッシェルガン・エレファント「ブラック・タンバリン」
1000
●ROSSO「1000のタンバリン」
色勝負は引き分けだったので、チバは数で闘いを挑んだ。2001年TMGE在籍中にチバが、2000年に解散したBJCの照井利幸や元フリクションのイマイアキノブ等と結成。2003年TMGE解散を受けて本格始動。2004年11月の1stシングルが「1000のタンバリン/アウトサイダー」。オリコン12位。星空を見上げれば1000のタンバリンが鳴るという都市伝説を産んだ(USO)。道なき道を猛ダッシュするブルーハーツの「1000のバイオリン」(1993)を意識したのかも。
ROSSO「1000のタンバリン」
FLOWER
●清春「花柄のタンバリン」
色でも数でもない、バリンの魅力は柄だ!と言い放つのが黒夢(Black Dream)の清春(Clean Spring)。2005年の3rdソロアルバム『官能ブギー』に収録のこのナンバーで、幻覚マイムかアレルギーか、ラリッたような陶酔感を七色の花柄バリンの鈴の音で表現した。
清春「花柄のタンバリン」
MAGIC
●ファントム・ギフト「魔法のタンバリン」
愛しい君に捧げるタンバリンには魔法がかかっている。J-Rock以前の日本のロック界にターンという打撃音を鳴り響かせたのはネオGSの貴公子の1987年の3rdEPだった。星の王子様の手にはマジックタンバリンが。指差しポーズに失神女子が多数発生した。
ファントム・ギフト「魔法のタンバリン」
MISTER
●ザ・バーズ「ミスター・タンブリン・マン」
海外に目を移せば、流石にサイケの本場アメリカのフォークロックの曙はバリンソングで訪れた。ロジャー・マッギン、ジーン・クラーク、デヴィッド・クロスビーによりロサンゼルスで結成された鳥バンドの1965年のデビュー曲。十二弦ギターのイントロは、リッケンバッカーにお任せ。翌年サイケに突入する彼らの最大のヒットチューン。原曲はディランに会ったらヨロシクと。
The Byrds - Mr. Tambourine Man
GREEN
●レモン・パイパーズ「グリーン・タンバリン」
おサイケバリンの決定盤。60年代後半、お子様向けロックとして「バブルガムミュージック」と呼ばれた一連のバンドのひとつLEMON PIPERS(檸檬笛吹き団)の1968年のデビュー曲。元々ガレージロックをやっていた彼らがデビューに当たってお子様向けバンドに転身を強要され、否否やった曲らしいが、キャッチーなメロディとサイケなインド嗜好がバランスの取れた名曲だと言える。「GREEN」はお金やセックス、安価のマリファナを意味するスラングであり、タンバリンで打ち鳴らすアンチモラルソングでもあった。
The Lemon Pipers - Green Tambourine
BLACK
●ベック「ブラック・タンバリン」
アメリカにも黒バリン派がいた。オルタナ界のヒットメイカー、ベック・ハンセンの2005年のアルバム『グエロ』収録のナンバー。全米No.2ヒット作で、この黒バリンソングもシングルカットされ、ラジオヒットした。モータウン・ビートにサイケのメロディーを乗せたテン世代らしいフレッシュなナンバー。
BECK - Black Tambourine
タンバリン
耽美な罵詈雑言
浴びせます
LOVE
●岡村靖幸「ラブタンバリン」
でも結局大切なのは、色でも数でも柄でも魔法でもなくって、生きる為の心の糧=愛(LOVE)なのよ、と真理を告げるのがオカムリンこと岡村ちゃん。1989年の9thシングル。派手な愛情表現をタンバリンで鳴らすバブル歌謡の典型だが、その2年後1991年に同名バンドがデビューし、渋谷系の歌姫として人気を博するのだから、オカムリンはおかんむりではなかろう。
岡村靖幸「ラブタンバリン」