A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【地下音楽アクショニズム】春日井直樹『walk:2019/8/16』『HELL』『CRAZY COLOR IN MY HEAD』『Vinyl Masochism』

2019年09月30日 07時34分32秒 | 素晴らしき変態音楽


DJイベント『盤魔殿』で密かなブームになっている音楽家が春日井直樹である。謎多きカセットレーベルDD.Recordsで80年代中旬にカセット作品をリリース。90年代は愛知県名古屋で中古レコード店とライヴハウス経営に専念し様々なイベントを企画、2000年代前半にサイケデリックなソロ作品をリリースするも再び沈黙。しかし2018年になって突如過去音源のアナログ化をはじめとする怒濤のリリースラッシュが始まった。DD.Records以前の音源『Dada 1981』、DD.Recordsからのカセット作品の再編集盤『DD. Records Works 1983-84 Part One〜Part Five』、アシッドフォーク作『呪歌』、『walk : 2018/11/7~12/7』と名付けられた散歩音源カセットブック31本セット、電子音響作『Normal Electronics』、アンビエントテクノイズ『Film:Music』、200種類ハンドメイドジャケットのジャンクノイズ作『Scum Treatment Vol.2』、2018年のカセットアルバム『SUPER GURU』のCDR版。1年余りで50作を超える作品をリリースした。

Naoki Kasugai / 「 film:music」「SCUM TREATMENT VOL.2」(ダイジェスト)


夏になってもそのスピードは止まらず、walk(散歩)シリーズの最新カセット『walk : 2019/8/16』、VHSビデオ『HELL』、カセット2作『Crazy Color In My Head』『Vinyl Masochism』が連続リリースされた。そのすべてがハンドメイド・コラージュジャケット/ブックレット付属の一点モノとなっている。

●Naoki Kasugai(春日井直樹) - walk : 2019/8/16
(60分カセットテープ+ハンドメイド廃棄物コラージュジャケ(ジャケはそれぞれ全て違う1点モノ)


春日井が毎日の日課としている散歩の際のフィールドレコーディングをエレクトロニクス加工。永遠に続くかと思われる足音が奇怪な電子音に浸食されるドローンノイズは、日常=非日常のオーマガトキへと聴き手を導く。散歩中に回収した廃棄物が塗り固められたオブジェ(汚物)ジャケットの袋を開けるとマイルームが非日常に犯され、もう後戻りが出来なくなる。カセットが止まってもザッザッザという無限ループが耳の奥から聴こえる。

●Naoki Kasugai (春日井直樹)– HELL
VHS VIDEO + mp4 data + DVD-R


廃物利用のジャンクアート。「道に廃棄してあったVHSビデオテープの映像と音源を加工してマスター映像と音源を制作。その際、捨ててあった13本の劣化したVHSビデオテープにマスター映像と音源をダビングして使用」(プレスリリースより)。「制作過程」=「創造物」というAV(Audio Visual)アクショニズムが春日井の日常である。言い方を変えれば生産的オナニスト、すなわち己の快楽以外何も産まない筈の自慰行為により優れた「作品」を産み落とす生き方はアートフォームの単為生殖と呼べるだろう。

●Naoki Kasugai(春日井直樹) - Crazy Color In My Head
(カセット+ハンドメイド・コラージュ6ページ歌詞ブックレット付)


90年代にMarble Loveというサイケデリックバンドで活動し、2000年代にはソロでサイケポップアルバム2作『What In The Psychedelic World !? 』と『マーブルの世界』をリリースした春日井の活動は、ローカルアーティストの常で当時は広く知られることはなかったが、天然色のマジカルポップサウンドは、英米の新奇サイケバンドに勝るとも劣らないクオリティを誇る。『Crazy Color In My Head』はその続編といえる万華鏡のサイケデリックワールド全開のアシッド作。以前YouTubeのみで発表された同名アルバムの改編版だが、筆者が最も気に入っていた「おっぱい大きな女の子」が未収録なのが少し残念。

●Naoki Kasugai(春日井直樹) - Vinyl Masochism
(カセット+ハンドメイド・コラージュジャケ+SMレコードオブジェ付)


ウルトラポップな『Crazy Color In My Head』と同時リリースのウルトラジャンクノイズ作。サディスティックに陵辱したレコードを音源として制作された。商品説明に「ナイフで徹底的に傷つけバーナーで燃やしムチ打ち最後に小便をぶっかけた」とあるが、嘘や誇張ではなくその通りの行為をしたのだろう。狂気を猟奇で標記するとこんな病気が産まれるのだろう。説明書通りにSMプレイのBGMにしたら本当に死に至るかもしれない。音の臨死体験を味わえる怪作である。

春日井直樹 / MARMALADE SKY (PV)(2016) japanese psychedelic music


公式ツイッターによれば更に幾つもの作品を製作中。創造物か排泄物か?宝石か灰汁か?異端のアウトサイダーの美学をいましばらく追って行きたい。

Daytrip Records公式サイト

狂気への
日帰り旅行
デイトリップ

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【爆裂超革命】音楽革命戦士の歌〜爆裂女子/ビートルズ/J.エアプレイン/頭脳警察/T.レックス/ピストルズ/クラッシュ/アーバンギャルド/キスエクetc.

2019年09月25日 08時27分40秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


爆裂女子『爆裂超革命』
2019.9.22 sun 新宿MARZ

2018年1月7日にデビューした「最強で最狂!暴れまくりのパンクロックアイドル」爆裂女子-Burst Girl-は、筆者がデビュー時から推し続けてきて、いわゆる「古参」を自称できる唯一のアイドルグループである。9/16に中心メンバーのしばくぞ零ちゃんが卒業し、デビュー20ヶ月にして初のメンバーチェンジを経験した彼女たちが、オーディションで選んだ新メンバーを加えての新体制披露ワンマンライヴが朝の新宿血かライヴハウスで開催された。



パンクを体現した看板メンバーの脱退で果たして新体制がどうなるのか不安もあったが、パープルカラーの新衣装に身を包んで拡声器と爆裂旗を手に登場した5人のメンバーの爆裂パフォーマンスにそんな不安は一気に消え去った。ステージも客席も一緒になって激しくぶつかり合うライヴ空間は、この日が初ライヴとは信じられない熱量と一体感に貫かれ、新生爆裂女子の存在感を知らしめる歴史的な瞬間であった。

爆裂女子-BURST GIRL-/超革命【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


11/20ニューシングル『超革命』リリース、2020年1/7にワンマンライヴ『爆裂大解放』開催決定。由良、凛、都子、杏來、路亜の5人体制の爆裂女子にアイドルシーンに革命を起こしてほしい。その願いを実現するための手引きとして、音楽界の革命の歌をオレ目線で集めてみた。

●ザ・ビートルズ


ポップス/ロックだけでなく世界中のカルチャーやアートに大きな影響を与えたビートルズこそ革命的なバンドだった。1968年のシングル「Hey Jude」のB面に収録された「Revolution」には「暴力革命の仲間に入れるなよ」という歌詞がある。その後にリリースした10作目のアルバム『The Beatles(通称ホワイト・アルバム)』にはスローバージョンの「Revolution1」と前衛的な「Recolution 9」が収録されている。

The Beatles - Revolution



●ジェファーソン・エアプレイン


ビートルズにも影響を与えたドラッグ・カルチャーが花開いた60年代後半のサンフランシスコ中心にサイケデリック革命が起こった。その代表的バンド、ジェファーソン・エアプレインの5枚目のアルバム『Volunteers』は反戦思想の濃い政治的な歌を多数収録。69年の「ウッドストック・フェスティバル」での演奏は60年代へのララバイのように聴こえる。

Jefferson Airplane - Revolution (Live, Woodstock 1969)



●カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ


サイケデリックロックのもう一方の雄、カントリー・ジョー率いるフィッシュは学生運動/反戦運動のメッセージ色の濃いアシッドロックを聴かせる。特に67年「モンタレーポップフェスティバル」でのヘルメットを冠った勇姿はラヴ&ピースの象徴である。

Country Joe and the Fish Section 43



●山下洋輔トリオ 


同じ頃日本では学生運動の嵐が吹き荒れており、学生の反戦デモや過激派の闘争が盛んだった。学生運動の拠点の早稲田大学の講堂にピアノを持ち込んでフリージャズをプレイしたのは山下洋輔率いるピアノトリオ。学生運動家の乱入や占拠が起きると予想されたが、それに反して活動家たちも聞き惚れていたという。音楽が平和のための武器足り得る証拠である。

バリケードの中のジャズ 山下洋輔トリオ.flv



●頭脳警察


その一方で新左翼・全共闘・全学連などによる政治運動が激化した時期の最後、1972年にレコードデビューした頭脳警察は、タブーに挑戦する政治的に過激な歌詞と、ラディカルなライブパフォーマンスによって、発禁や放送禁止、コンサート会場への出入り禁止などセンセーションを巻き起こした。中でも革命三部作と呼ばれる「世界革命戦争宣言」「赤軍兵士の詩」「銃をとれ」は動乱の時代へのエピローグであった。

頭脳警察-世界革命戦争宣言~銃を取れ!



●T. レックス


マーク・ボラン率いるT.レックスは派手なメイクと衣装のグラムロックで音楽シーンのみならずファッション界にも革命を起こした。70年代後半グラムロック・ブームの衰退と共にマーク・ボランは失意のうちに不慮の事故で死亡するが、ロックのヤバさを象徴する音楽性と生き様は現在でも語り継がれている。

Marc Bolan & T. Rex - Children Of The Revolution (1972)




●セックス・ピストルズ


グラムロックと入れ替わるように登場したパンクロックこそ商業化するロックシーンの草の根革命だった。「アナーキー・イン・ザ・UK」「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」と歌ったピストルズの存在自体がセンセーションだった。

Sex Pistols - Revolution In The Classroom (2013 Remaster)



●ザ・クラッシュ 


セックス・ピストルズと並ぶロンドンパンクの雄ザ・クラッシュは音楽性を広げ、レゲエやダブ、ゴスペル、フォーク、R&B、ロカビリーなど様々な音楽要素を取り入れ世界を代表するロックバンドに変貌して行った。3rdアルバム『ロンドン・コーリング』のエンディングを飾るこの革命ソングは、ジャマイカのシンガー、ダニー・レイ作曲のレゲエソング。

The Clash - Revolution Rock (Official Audio)



●ザ・タイマーズ


1988年にRCサクセションの忌野清志郎を中心に結成された覆面バンド。ライブイベントや学園祭にゲリラ的に出没し、メジャーデビューしたあとも歌番組出演で放送事故すれすれの際どいパフォーマンスを行うなど話題になった。ヘルメットを冠ったパフォーマンスは6,70年代革命の時代へのオマージュである。

タイマーズ 生放送事故



●アーバンギャルド


時代は変わって21世紀の日本で結成されたトラウマテクノポップバンド、アーバンギャルドは、「少女」「性」「死」「病」といったネガティブなモチーフをテーマに病める少女たちの人気を博す。松永天馬の描く世界には日本のサブカルチャーの歴史が形を変えて登場する。地下アイドルシーンにも多大な影響を及ぼしていることは間違いない。

アーバンギャルドTV出演/スカート革命 2011



●xoxo(Kiss&Hug) EXTREME


2016年にデビューしたプログレッシヴ・アイドルユニット、通称キスエク。今年9月16日、爆裂女子のしばくぞ零ちゃん卒業と同じ日にめるたんこと楠芽瑠が卒業した。キスエクの革命ソングは3部構成のシフォニックな組曲。爆裂女子とともにアイドル界に革命を起こしてほしい。

〜組曲「革命」より〜「革命」/ xoxo(Kiss&Hug) EXTREME 2018.2.4.目黒鹿鳴館 ファーストワンマンライブー革命ー


革命は
アイドルだけじゃ
終わらない

コメント (2)
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灰野敬二+太田惠資@下北沢Lady Jane 2019.9.15 sun

2019年09月18日 00時29分39秒 | 灰野敬二さんのこと


立待の月聴覚の月

start 7:30 pm 2 stages
charge:¥3,300(予約¥2,800)+ Drink Fee

灰野敬二 (g, polygonola)
太田惠資 (vln, voice)

西瓜を眺めていた櫻井博士が生んだポリゴノーラという、音階を持って倍音を奏でる手強い多角形楽器に挑む、悲しみのヴァイオリニストであり妖かしのヴォイスも油断大敵なのだ。



灰野がここ5年くらい特にアコースティック寄りのライヴで好んで使う創作打楽器がポリゴノーラ。広島大学の櫻井直樹教授が、スイカを叩いた時の音をヒントに発明した楽器である。数ヶ月前NHK「ためしてガッテン」の「おいしいスイカの選び方」特集で、突然灰野のライヴ動画がオンエアされてSNSで話題になったが、それがスイカから生まれた楽器ポリゴノーラの紹介のひとつだった。過去ブログを遡ったところ、筆者がこの楽器を初めて観たのは、2014年10月19日渋谷ラストワルツでの灰野敬二と狩俣道夫のデュオライヴだった。そのときはガムランのような民俗音楽用の楽器だと思ったが、同年12月6日下北沢Lady Janeでの灰野と太田惠資のデュオライヴでは、当時「OTO」と呼ばれていたポリゴノーラがメインの楽器として使われた。金属を叩く音にも関わらずメタルの冷たさではなく有機的な円やかさを帯びた音響が厄払いの火打石のように思えた、とある。


朝生愛, 樋口寿人@八丁堀七針/灰野敬二、太田惠資@下北沢Lady Jane 2014.12.6(sat)

それから5年近く経ち、五角形や六角形や吊り下げ型までポリゴノーラの種類が増え、同時に灰野の編み出した演奏法もバラエティが増えた。様々なポリゴノーラから紡ぎ出されるバイオニック・サウンドが、太田のエスノ風味のバイオリンプレイと絶妙にミックス/リエゾンし、どこの国にもない不思議な民俗音楽を産み出す。この日はさらに、中近東テイストのフレーズを奏でるバイオリンに、灰野がチャルメラで絡む展開があり、見事なまでに不可知な邪宗無国籍エスノ空間を産み出し、下北沢をアラビアンナイトの千一夜物語にワープさせるマインド辺境の旅へ誘ってくれた。



変化し続ける街の様相を横目に、40年前と殆ど変わらぬ豊穣な空間を保ち続けるLady Janeに座って、新しくも懐かしいスイカから生まれた不思議な楽器の音色を聴いていると、音楽も政治も人生もすべて人間の営みの自然な滋養の基として味わうべきだと心の底から叫びたくなる。そんな衝動を心の底に秘めて、二人の音楽の達人による極上の音楽体験を味わい尽くした日曜日の夜であった。

西瓜とは
違った音の
ポリゴノーラ

【灰野敬二ライヴ情報】
9月23日(月祭)東京・秋葉原CLUB GOODMAN
RICHARD PINHAS LAST JAPAN TOUR

open18:30 start19:00
adv.¥3300 door¥3800 (+drink order)
出演:RICHARD PINHAS/灰野敬二/吉田達也/武田理沙




10月18日(土) 福岡UTERO
GOUACHE fukuoka mens & meld presents
『不失者ライブ』

OPEN/START 18:00/19:00
ADV/DOOR 4,000/4,500 (ドリンク別)

不失者(灰野敬二、ナスノミツル、RyosukeKiyasu)
ドンマツオ(ズボンズ)
Nyantora(ナカコー)+duenn

TICKET予約:
twitter @meld_fuk
instagram @meld_fuk
のそれぞれのDM
または
gouache.nakamura@gmail.com




10月27日(日) 東京・渋谷 宇田川町空き地
DANCE TRUCK TOKYO : 2019

2019年10月26日(土)・27日(日)
18:00-20:00
入場無料(事前予約不要)
*灰野敬二は10月27日(日)に出演

ACT出演:Abe"M"ARIA、五十嵐結也、川村美紀子、きたまり、しでかすおともだち、白井剛/Dill、灰野敬二、東野祥子、メガネ(座)、森下真樹/森下スタンド、山川冬樹、ロクディム


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【PUNK LIVES! 2019】ラフィンノーズ/スタークラブ/ロリータ18号/ライダーズ/ニューロティカ/コックニー・リジェクツetc.+爆裂女子 零ちゃん卒業へ向けて

2019年09月16日 12時23分14秒 | ロッケンロール万歳!


[PUNK LIVES! 2019]
〜10th ANNIVERSARY〜

9/8(日)新木場STUDIO COAST
前売¥5,800(スタンディング・税込み・ドリンク代別途)
OPEN 10:00 / START 11:00

[出演]
ANGER FLARES / BEYOND HATE / BRAHMAN / THE CHINA WIFE MOTORS / COCKNEY REJECTS (UK) / FIVE NO RISK / THE DISASTER POINTS / FUNGUS / GBH (UK) / GOOD4NOTHING / HAT TRICKERS/ JUNIOR/ KiM / LAUGHIN' NOSE / locofrank / MONOEYES / THE PRISONER / RADIOTS / THE RYDERS / SA / THE STAR CLUB / RAISE A FLAG / Resolute Immortal Partizan / VIBRATE TWO FINGERS / 九狼吽 / the原爆オナニーズ / ニューロティカ / 壬生狼 / 雷矢 / ロリータ18号



パンクとは何か?という問いは生命とは何か?宇宙とは何か?万物とは何か?という問いと同様にこれまで数多くの人達が頭を悩ませて来た究極の疑問のひとつに違いない。ダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』によると生命と宇宙と万物の答えは「42」であった。しかしパンクとは何か?という疑問の答えはパンク勃発から43年経った今でも未だハッキリしてはいない。

●原爆オナニーズ


拙著『地下音楽への招待』(ロフトブックス)の帯には「パンクよりも自由な世界へ」と書かれている。これは筆者ではなく編集担当の加藤彰氏が考えた文句だが、世界的なパンクムーヴメントの影に隠れるように70年代後半から80年代前半の日本で密かに興った特異な音楽現象=地下音楽を表すのに誠に分かり易いキャッチコピーであることは確かだ。しかしよく考えるとパンクは自由な世界を求める現象だったのだろうか?

●THE PRISONER


元々パンクロックとは60年代アメリカを中心にビートルズやローリング・ストーンズに憧れたテーィンエイジャーが結成したガレージバンドを表す言葉だった。両親や学校への反抗心、日常生活への欲求不満をロックビートに乗せて歌う衝動的なロックンロールは、雁字搦めの社会からの自由を求める動きだったと言えるだろう。

●JUNIOR


70年代後半にニューヨークとロンドンで勃発したパンクムーヴメントも、商業化したロックビジネスから、自分たちの手にロックを取り戻す試みであり、保守的な社会への反抗であった。その意味で自由を取り戻す運動ではあったが、すぐに新たな流行のひとつとして資本主義システムの中に取り込まれていった。

●RADIOTS


その一方で東京や大阪の小さなライヴハウスやカフェやイベントスペースで他人とは異なる表現活動を実践していた地下音楽家は、圧倒的少数派(マイナー)故に資本主義に塗れることもなく、売れる売れないという商業ベースではなく、Do It Yourselfの精神を保ちつづけて、自分のやりたいようにやれる自由を求めつづけたのである。

●THE STAR CLUB


筆者がパンクロックにハマったのは1977年中学3年の時ラジオや雑誌を通してだった。キッスやエアロスミスといったハードロックだけでは満足できず、プログレやブルースなど別のスタイルに興味を持ちはじめた14歳の筆者の目には、髪をツンツンに立て破れたTシャツを着て鋭い目つきでこちらを睨みつけるパンクロッカーは衝撃的なカッコ良さだった。ギターソロのない2,3分のシンプルなロックンロールは弾丸のように心臓ではなく心に刺さった。

●THE RYDERS


日本でも東京ロッカーズをはじめとするパンク/ニューウェイヴ系のバンドが紹介されはじめ1979年には吉祥寺マイナーや荻窪ロフト等でフリクション、ミラーズ、SYZE、BOYS BOYSなど個性的なバンドを観た。同年高校の同級生とGLANDESというパンクバンドを結成し学園祭に出演した。セックス・ピストルズ、クラッシュ、ジェネレーションX、ジャムに加えてアナーキーやSEX(SYZE)のカヴァーで、エンディングでヴォーカリストがマイクスタンドを破壊するパフォーマンスが大受けだった。

●BRAHMAN


一浪して大学へ入学した82年には好みはポストパンクやオルタネイティブロックに移っていて、真っ当なパンクロックを聴くことは減った。学園祭でオールナイトのハードコアパンクイベントが開催されたが、続々集まってきた革ジャンモヒカンのパンクス集団が怖くなり観るのは断念した。しかしラフィン・ノーズやウィラード、ばちかぶり等は学園祭やライヴハウスに観に行った。特にばちかぶりの変拍子のハードコアサウンドと田口トモロウの目を見開いた異形にはリアルパンクのスリルを感じた。86年就職したころブルーハーツのデビューアルバムを聴いてパンクの血が騒いだ。

●GOOD4NOTHING


しかし90年代に入ると洋楽ロック、特にオリジナルサイケやブリットポップ一本やりになり、パンクロックを聴くことは殆どなくなった。グリーンデイやランシドなどのパンク・リバイバルやハイスタンダードなどのメロコアにも興味は惹かれなかった。自分の中ではパンクは死語に近いイメージになっていった気がする。

●HAT TRICKERS


2000年4月に渋谷On Air Eastで開催されたJapan Puck Rock Festival 2000というイベントに友人に誘われて観に行った。ライダーズ、コブラ、アナーキー、スタークラブ、ラフィンノーズといった80年代日本のパンクバンドが集結し、会場には色とりどりのモヒカンやスパイキーヘアが鋲付きの革ジャンで多数集結していて、82年のオールナイトハードコアライヴで見た光景を思い出させた。懐かしさと共にシンプルでポップなパンクサウンドが新鮮で十代に戻った気がした。中古盤屋で日本のパンクのCDを買い集めたが、興味は再びノイズ/アヴァンギャルドに移り、パンクのCDは棚の奥に締まって聴くことは無くなった。

●ロリータ18号


ノイズや地下音楽のライヴに通ううち、新宿ロフトの企画で原爆オナニーズ、スターリン(遠藤ミチロウ)、非常階段の合体ユニット原爆スター階段や、パンタとアナーキーの合体ライヴを観たり、ガールズガレージバンドの対バンでロリータ18号を観たりすることはあり、時折パンク熱が高まりかけることはあったが、燃え上がることはなく無難な日々が続いた。

●COCKNEY REJECTS


2012年7月に初めて観たでんぱ組のライヴでのハードコアやスラッシュメタルを彷彿させるヲタクの盛り上がりに驚愕し、BiSのハードパンクサウンドに心酔。2015年頃から通いはじめた地下アイドルのライヴ現場は目黒鹿鳴館、新宿ロフト、高円寺2万電圧といった、かつてパンクやメタルを観たライヴハウス。メタルやパンク、オルタナやプログレなど様々な音楽要素を持ったアイドルがカオスを楽しむ饗宴は混沌の80年代の天国注射の昼や愛欲人民十時劇場といった地下ベントを思わせた。

●ニューロティカ


その中でも世界で一番激しいアイドル・偶想Dropを前身とし、2018年1月にデビューした爆裂女子-Burst Girl-が筆者の第3次パンクロック熱の起爆剤だった。石井聰亙監督の映画『爆裂都市 Burst City』に因んで命名され、同映画の主題歌バトル・ロッカーズ「セル・ナンバー8」のカヴァーをはじめ、オリジナル・パンクロックの要素の強いシンプルかつポップなパンクナンバーは、40年前と同じく弾丸のように心臓ではなく心に刺さった。その勢いでガーゼやスタークラブ、復活した亜無亜危異といったパンクのライヴへ通いはじめた。

●LAUGHIN' NOSE


そして2019年9月8日台風が近づく中『PUNK LIVES 2019』という昼から夜まで11時間に及ぶパンクロックフェスに参戦した。以前は激しすぎて立ち入れなかった最前エリアでステージダイブを避けながら腕を振り上げてモッシュする自分の体力に我ながら感心する。これも爆裂女子の激しすぎるライヴで鍛えられたお陰である。なによりも年齢も性別も経歴も思想も異なる人達がすべてを忘れて音楽を楽しむ環境に身を置くことの出来る喜び。パンクとは何か、という問い自体が意味をなさない、人間の根源的な欲求を発散できる場所、それがパンクロックに違いない。

●ANGER FLARES


パンクには
感謝の気持ち
忘れない

それを教えてくれた爆裂女子の中心メンバーしばくぞ零ちゃんが、本日卒業ライヴを行う。これから会場の目黒鹿鳴館へ向かう直前に、感謝を籠めた本ブログをアップできて感無量である。今日は自分が一番楽しむことにしよう。

●爆裂女子


爆裂女子-BURST GIRL-/ナンシー【OFFICIAL MUSIC VIDEO】














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【えいたそモダニズム】Episode 30『アヒル・デ・フェスタ』レジデンツ/グリムス/M.マクラーレン/ステレオラブ/NWW/D.ジョンストン/K.チーフス/でんぱ組etc.

2019年09月11日 00時01分34秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


7月16日秋葉原Club Goodmanでの成瀬瑛美ワンマンライヴの1ヶ月後の8月16日渋谷EdgeEndでの盤魔殿vol.27で筆者はでんぱ組.inc『プレシャスサマー!』へのオマージュとして『レリジャスサマー!』として宗教縛りのDJをした。キリスト教、般若心経、法華経、イスラム教、ヒンドゥ教、ハレクリシュナ、創価学会、幸福の科学、エホバの証人、オウム真理教、バカボン教、テンプル・オブ・ザ・サイキック・ユース、ビクトル・ユーゴー、ヤホワ13、暗黒教団といった宗教ソングの中に筆者が籠めた想いは“僕たちは愛し合う/神にそむいて”(オックス「神にそむいて」)という瑛美への禁断の愛であった。それが瑛美に届いたかどうかは分からないが、でんぱ組が活動を続ける限り、そして瑛美がソロを含め人前に出てくる限り、筆者の想いは変わることがないと断言しよう。そんな一途な想いが叶ったのか、再び瑛美と(衆人環視の中)二人で話す機会が訪れた。



8月27日(火)渋谷ヴィレッジヴァンガード
『ポン・デ・フェスタ』発売記念!
『浴衣・デ・フェスタ』〜成瀬瑛美2ショットチェキ撮影会

8月9日にTOY’S STOREとヴィレッジヴァンガード一部店舗で限定販売されたでんぱ組のニューシングル『ボン・デ・フェスタ』の購入者特典会。浴衣姿というのが肝だったが、気付いたら自宅に浴衣や和服が見つからず、秋葉原グッドマンワンマンの時に買ったえい10周年Tシャツで臨んだ。登場してすぐ予定外の『ボン・デ・フェスタ』ひとりアカペラ歌唱の大サービス。これこそまさに太陽神降臨。黄色い浴衣姿の美しさに目が眩みながらステージへ上がる時手にしたのは家を出がけにポケットに入れたアヒルのゴム人形だった。「アヒルだよ」と差し出したところ「わあい」と喜んで素敵な笑顔でチェキに収まる。浴衣が素敵だね、と褒めつつ新たなお題を求めると「アヒルにしようか。きっといろいろあるよね?」との応え。珍しくこちらのネタに乗ってきたよ、とほくそ笑んで短いながらも心温まる瞬間を噛み締めた。



●でんぱ組.inc『ボン・デ・フェスタ』


でんぱ組.incが贈る2019夏ソング『ボン・デ・フェスタ』は、作詞 只野菜摘によるお盆をテーマに、人との出会いや別れを通して、時代を超え今ここで生きている素晴らしさを歌ったナンバー。作曲・編曲は、Tom-H@ckによる情報量溢れ、展開の激しいでんぱ組.incど真ん中なサウンドに仕上がっている。イラストアートワークは前作に引き続き、エース明が担当。竜宮城をテーマに、どこかギーク感や昭和感が滲み出る作品になっている。

前作『子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡』ではぴょんぴょん=ウサギ、コケコッコー=ニワトリに化したえいたそが、今回はカメになって悪戯っ子たち=未鈴、ねも、ぺろりんに虐められたり、浦島太郎=ピンキーを竜宮城に連れて行く過酷な役柄を笑顔で熱演。でんぱ組の元気のもとはえいたそにあり。「えいたそは宗教」と夢眠ねむがオフレコで語ったとか。

でんぱ組.inc「ボン・デ・フェスタ」Music Video


【えいたそモダニズム】Episode 30『アヒル・デ・フェスタ』
そんな重責を担う瑛美が、筆者が持参した黄色いアヒルを見て癒されたとしても不思議ではない。素直な気持ちがそのまま口から出たのかもしれない。幼い頃に一緒にお風呂に入ったアヒルの人形の思い出は、瑛美の純真を取り戻すヒーリングパワーを持っている。そんな「アヒルのパーティー(アヒル・デ・フェスタ)」を筆者の愛に溢れた妄想力で紐解いて行くとしよう。



●The Residents『Duck Stab!』


アメリカを代表する前衛ロックコンボ、レジデンツが1978年にリリースした7インチEP。それまでの作品に比べ分かり易いポップな作風で彼らにとっては珍しくすぐに完売したという。同年末にLP『Duck Stab/Buster & Glen』として再リリースされた。

瑛美に「お題はアヒル」と言われた瞬間筆者の頭に浮かんだのがアヒルをナイフで突き刺すこのジャケット。1978年新宿CISCOで筆者が初めて買ったレジデンツのレコードだった。このEPで聴けるサウンドは意外に取っ付き易く、雑誌ZOOの記事やPlayer誌の八木康夫の連載で読んで想像していた難解で訳の分からない変態バンドとは少し違っていた。しかしその後『サード・ライヒン・ロール』を買って変態節に心酔するキッカケとなったEPであり、後々実は奇天烈な『謎サウンド』の宝庫であることに気付き今は一番の愛聴盤。不滅のレジデンツ愛はえいたそ愛に繋がっている。

The Residents - Duck Stab! / Buster & Glen (1978) [Full Album]



●Federal Duck『Federal Duck』


フェデラル・ダックは60年代末にペンシルヴァニア州ハバフォード大学で結成された。地元のダンスパーティやフェスティバルで人気を博し、Musicor Recordsから1968年にアルバム『フェデラル・ダック』をリリース。キャッチーなサイケポップやアシッドフォークから管楽器を加えたクラシカルなナンバーやグッドタイムミュージックまで多彩な音楽性を持つB級サイケの名盤。バンドはこの一作で解散し、メンバーの何人かはカントリー/ブルーグラス・シーンで活動した。

80年代半ばから60年代サイケのレコードを集め始めた。就職して90年代は海外出張に行く機会が多く、その度に現地の中古レコード屋で盤を掘った。「連邦政府のアヒル」という名のこのレコードは94年にニューオリンズで購入した。ジャケットはバブルガムポップに有りがちな子供狙いのコミカル風味が濃いが、サウンドは結構本気のサイケデリア。現在はそこそこのレア盤になっているようだ。カラフル衣装のサイケアヒルの本性を見た。

Federal Duck - Federal Duck 1968 (FULL ALBUM) [Psychedelic Rock]



●Fuzzy Duck『Fuzzy Duck』


ファジー・ダックは1970年に元AndromedaのMick HawkswothやTucky BuzzardのPaul Francisらによって結成されたハード・ロック・グループ。翌年に小レーベルのMAMからセルフ・タイトルのアルバムでデビューを飾る。Roy Sharlandのハモンド・オルガンが印象的な正統派HRの良作。1972年12月解散。解散後Hawksworthは末期のKilling Floorに加入。Watt-RoyはEast Of Edenに加わっている。

「ファジー Fuzzy」とは毛羽立った/フワフワしたという意味から転じて「曖昧な/ハッキリしない」という意味で使われる。「曖昧なアヒル」を意味するこのバンドのサウンドは寧ろ明快なブリティッシュハードロック。わずか500枚限定のマイナー・プレスのため後年になってマニアに高値で取引されるレア・アイテムとなったが、現在ではSpotifyでも手軽に聴けるスタンダード・アイテムに。マイナーからスタンダードへ、マイナスからスタートしたでんぱ組や瑛美の生き方に似たレコ話である。

FuzzyDuck



●Grimms『Rockin' Duck』


グリムスはボンゾ・ドッグ・バンド、ザ・スキャフォルド、リヴァプール・シーンの三つのバンドのメンバーにより1971年に結成された6人組バンド。ロック、コメディ、ポエトリーを融合したスタイルでブリティッシュポップらしい洒脱サウンドを展開した。73年の2ndアルバム『ロッキン・ダック』はジャケットのアヒルが立体的に飛出すギミックジャケットでリリースされた。グリムスとしての活動は76年に終了するが、メンバーのニール・イネスはソロやビートルズのパロディバンド、ラットルズ等で活躍した。

ブリティッシュポップの源流のひとつにコメディがある。モンティ・パイソンに代表されるウィットに富んだ庶民の笑いが特徴。音楽だけでなく文学やコメディの要素を持つグリムスの世界の象徴がアヒルである。ステージで頭に被り、1stアルバム『Grimms』のジャケットに地紋として登場したアヒルをメインに据えた本作こそ、英国諧謔ポップミュージックの真髄と言えよう。いつも笑顔でみんなを笑わせるえいたその世界もアヒルがいればもっと輝くだろう。

"Rockin' Duck", Grimms (Rockin' Duck, 1973)



●Malcolm Mclaren『Duck Rock』


セックス・ピストルズの仕掛人マルコム・マクラーレンの83年の1stソロアルバム、邦題『俺がマルコムだ!』。NYでまだマイナーだったHip-Hopとアフリカ音楽を融合、Hip-Hopを世間に知らしめた歴史的名盤として評価されている。トレヴァー・ホーンが共作、プロデュースを担当。スクラッチを初めて導入した先行シングル「バッファーロー・ギャルズ」もヒットしている。

ニューヨーク・ドールズとセックス・ピストルズで猥雑で破壊的なロックのアンチヒーローを産み出したマルコム・マクラーレンは元々ファッション・デザイナー。次なる流行ヒップホップをいち早く取り入れてポップチャートに送り込んだ才覚はペテン師ならではの閃き。duckには「(責任を)避ける、身をかわす」という意味があるから、Duck Rockとは世渡り上手なロックという意味かもしれない。えいたそもアヒルのように世渡り上手になって芸能界を生き抜いてほしい。

Malcolm Mclaren - Duck Rock (1983)



●Nurse With Wound / Stereolab『Crumb Duck』


エレクトロ系ロックバンド、ステレオラブと英国地下音楽の重鎮ナース・ウィズ・ウーンド(NWW)のコラボ作品。93年に10インチEPとしてリリースされた。クラウトロックバンド、ファウストに捧げられた「Animal or Vegetable (A Wonderful Wooden Reason ......)」とステレオラブの曲をNWWのスティーヴン・ステイプルトンがリミックスした「Exploding Head Movie」の2曲を収録。後にコンピレーションでリリースされるも既に廃盤。

90年代、筆者はギターロック一本やりだったのでステレオラブはあまり聴かなかったのだが、変態魔王NWWとのコラボにはちょっと驚いた。ノイ!やクラスター等音響系クラウトロックの影響がNWWにより肥大化し頭痛がするほどポップなサウンドが生まれた。「アヒルを粉砕せよ」というタイトルで言い得て妙。人差し指と人差し指に挟まれたアヒルの困惑した表情がカワイイ。瑛美がこんな表情をしたらキュン死しちゃうに違いない。

Nurse With Wound / Stereolab - Animal Or Vegetable (A Wonderful Wooden Reason)



●Daniel Johnston『Space Ducks:Soundtrack』


アメリカのアウトサイダーシンガーソングライター、ダニエル・ジョンストンのコミック・ブック『Space Ducks: An Infinite Comic Book of Musical Greatness』のサウンドトラック・アルバム。2012年リリース。D.ジョンストンの楽曲以外に他のアーティストがコミック『Space Duck』にインスパイアされた楽曲を提供している。

ビートルズとお化けのキャスパーとキャプテン・アメリカとマウンテン・デューを愛する永遠の12歳「世界イチピュアなおっさん」と呼ばれるダニエル・ジョンストンもアヒルが大好き。自分で描いた宇宙アヒルの冒険漫画に自ら音楽を付けて喜ぶ自己満足が世界中の音楽ファンを楽しませる。えいたそが自分が好きなことを追い求めると世界がハッピーになるのに似ている。

daniel johnston - space ducks - 2012



●Kaiser Chiefs『Duck』


2003年夏に結成。英国リーズ出身の5人組。今までのアルバム6枚全てが全英TOP10入りしている英国人気バンド=カイザー・チーフス、2016年アルバム『Stay Together』以来、3年振りのニュー・アルバム!プロデュースは2015年アルバム『Education, Education, Education & War』を手がけたBen H. Allen IIIと、Snow Patrol、James Bay、Jake Bugg等で知られるIain Archer。

遅れて来たブリットポップバンド、カイザー・チーフスはギターロックのスピリットを保ち続けて今や英国を代表する人気バンドに成長した。久々のアルバムに「アヒル」と名付けた真意は分からないが、太陽も登場する明るく楽しいサウンドは掛け値なしのロックの王道。8月に横浜アリーナで開催されたアイドルフェス「@JAM EXPO 2019」の選抜ユニット・@JAM ALLSTARS 2019のセンターに選出されたえいたそも名実共にアイドルの王道。王者の貫禄で突き進もう。

Kaiser Chiefs - People Know How To Love One Another (Official Video)


アヒルとは
サイケでパンクな
アイドル像

▼相性は70%くらいがベスト。


▼ラバーダックレースを一緒にやるのが夢。
Buck Creek Duck Race
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【セットリスト&音源公開】9/1開催『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.28:Fête d'observation de la lune noire 暗黒月見会』

2019年09月04日 07時47分39秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.28
Fête d'observation de la lune noire 暗黒月見会


渋谷 DJ Bar EdgeEnd
2019/9/1 sun
18:00 Open/Start 
1000yen incl. 1drink

18:00-18:30 Free Zone (自由参加)
18:30-19:00 DJ Bothis aka 山田遼 
19:00-19:30 DJ BEKATAROU aka 伊藤元 
19:30-20:00 DJ SatosicK 
20:00-20:30 DJ Necronomicon aka 剛田武 
20:30-21:00 DJ ケロリン aka ケロッピー前田
21:00-21:30 DJ Vaby aka 大場弘規 
21:30-22:00 DJ emamouse 
22:00-22:30 DJ Paimon aka Moppy 



●Free Zone (自由参加)


DJ Vaby
1. O.S.T. The Exorcist / Tubular Bells
2. Danielle Dax / Big Hollow Man

DJ BEKATAROU
1. WOLF VOSTELL / Heuwagen
2. Yannick Franck / Copy Cat
3. Yannick Franck / What Can I Do

DJ Necronomicon
1. クラフト / 曇りのち晴れ
2. 喜多郎 / 朝の祈り




●DJ Bothis aka 山田遼 


broken flagレーベル特集
1. Ramleh / Ramleh
2. JFK / Penisator
3. S.P.I.T.E. / Untitled (From “Violence”)
4. Death Mag 52 / Untitled Track 1 (From “Death Mag 52”)
5. Ramleh / deathtoll
6. Toll / Out2
7. Male Rape Group / S/T
8. Consumer Electronics / Filthy Art
9. Ramleh / Leavin' Here
10. Ramleh / Purge






●DJ BEKATAROU aka 伊藤元 


金属等の雨
1. WOLF VOSTELL / Radio-dé-coll/ age
2. ほぶらきん / 村のかじや
3. Hogg / Religion Is Fun & Bathing Is Free
4. Yannick Franck / Just Like A River
5. エスキモーの歌 :
現地録音・監修 / 小泉文夫
歌 / アラスカエスキモー
(1).子守唄
(2).もしもロシア人がエスキモーの大統領になったら
(3).ネクタイを締めてダンスへ行こう
(4).狩の歌
(5).魚獲りのうた
(6).土を掘る歌
(7).幸せの歌
6. Komare / Substrate




●DJ SatosicK


ダークパンク/ポジティヴパンクをメインに
1. Datsustora / Of Final
2. Darkcell / Into The Cell
3. Progetto Morte / New Life
4. Jennifer Veillerobe / Untitled (from Luftlöcher)
5. Controlled Death / Untitled (from Evil Discharge)
6. Necrofilia / Essere Per La Morte
7. The Klinik / Public Pressure


 

●DJ Necronomicon aka 剛田武

 
デスイージーリスニング
1. 都立清瀬高等学校第11回卒業式 / 5組 We Are The World
2. Nocturnal Emissions / You Temped Me
3. Paul Mauriat and his Orchestra / Michelle
4. 新潟交通民謡研究会 / 佐渡おけさ
5. F.B. Mache / Terre de Feu, 2nd Version
6. 沖縄電子少女彩 / 赤い靴 / キャプテン・ビーフハートに捧ぐ
7. 哀秘謡(灰野敬二 ) / 赤い靴
8. ザ・キャンディ / 花はどこへ行った
9. 川島誠 / Improvisation
10. 春日井直樹 / Sex Sex Seventeen
11. Raymond Lefevre / Allegro de la 40eme Symphonie de Mozart
12. 武満徹 / Vocalism A.1
13. Euqisumorih / セキセイインコ
14. N.S.P. / 赤い糸の伝説





●DJ ケロリン aka ケロッピー前田


サウンドのネイキッドランチ
1. Cabaret Voltaire / Western Mantra from “Three Mantras”
2. Brian Jones / War Song/Standing + One Half (Kaim Oua Nos) from “the Pipes of Pan at Joujouka”
3. William Burroughs / Origin And Theory Of The Tape Cut-Ups from “Break Through In Grey Room”
4. Stelarc & Petros Vouris / StickMan Alive (Live performance excerpt) from “StickMan: Aural Body Autopsy”
5. Jon Hassell & Brian Eno / Ba-Benzélé from “Fourth World, Vol. 1: Possible Musics”
6. William Burroughs / K-9 Was In Combat With The Alien Mind Screens from “Break Through In Grey Room”
7. DJ TKD & Keroppy Maeda / BURST Generation Vol,2 (Original Track)
8. Jon Hassell / Farafina / Tales Of The Near Future from ‎”Flash Of The Spirit”
9. David Tudor / Phonemes from “Three Works for Live Electronics”
10. David Tudor / Pepsibird from “The Art Of David Tudor 1963–1992”
11. Ornette Coleman / Midnight Sunrise from “Dancing in Your Head”
12. Brian Jones / Your Eyes Are Like a Cup of Tea from “the Pipes of Pan at Joujouka”




●DJ Vaby aka 大場弘規
 

オールTNB(関連)
1. The New Blockaders / The Pulp Sessions Part I (Ltd 250)
2. The New Blockaders / Live At Morden Tower 13th July 1983 (Ltd 100)
3. The New Blockaders With Vortex Campaign / Mandrakemanfits (Ltd 100)
4. The New Blockaders / Le Retentir Non (Ltd 16)
5. The New Blockaders & Kommissar Hjuler Und Frau / Kampfer, Die Nicht Kampfen (Ltd 75)
6. The New Blockaders & Mama Baer / Klimpermusik (Ltd 177)
7. GX Jupitter-Larsen With The New Blockaders / Live At The Schimpfluch Carnival (Ltd 250)
8. The New Blockaders & Xtematic / Part I (Ltd 80)
9. The New Blockaders & The New Movement / Nihilisten Auf Schienen (Ltd 20)
10. The New Blockaders / Epater Les Bourgeois (LTD 10)
11. The New Blockaders And Ferial Confine / Gesamtkunstwerk
12. New Blockaders With Ferial Confine / Untitled (Ltd 300)






●DJ emamouse


踊れてキモくて素敵で楽しい辺境のニュー民族音楽
1. erpent / where the water buffalo roam
2. swi?elized souηds /_guck
3. Brood Ma / Jagerbomb
4. Omar Souleyman / Yuweli (Rezzett Rerez
5. CHICO CAPONE / Cheat Codes
6. Siete Catorce / 140
7. tipper / its like
8. Bryant Canelo / DRAFT KINGS
9. NHK yx / 1630 - 03 1040s
10. Hamilton Scalpel / Uprated Nite Zone
11. Kohei Matsunaga & Masayuki Imanishi / Texture Foggy #02
12. 2-Bou / Higher_(feat_Current_Value)
13. NHK yx / 1630 - 04 1907
14. Dani Rev / NARCISSISTIC CATHEXIS
15. Hodge / Bam
16. NHK yx koyxen feat. Speedy K / StepMove #01
17. Poseidon x Leon Ross / Mercury
18. Chia Chun Xu / No-Input Pedal Work

https://soundcloud.com/jeromemixfileseries/jerome-mixfile-490-emamouse
 


●DJ Paimon aka Moppy 


UKダブ&レゲエ
1. The Mothmen / Afghan Farmer Driving Cattle
2. African Head Charge / Off The Beaten Track
3. Missing Brazilians / Crocodile’s Court
4. Prince Far I and the Arabs / Back Weh
5. Jonah Dan / Inter Galctic Dub Rock
6. New Age Steppers / Fade Away
7. Ranking Ann / Moonlight Lover
8. Doctor Pablo & The Dub Syndicate / Man of Mystery




●MIX音源公開:ダウンロード期限 2019年11月1日(金)
*接続の不調により音質と定位にお聴き苦しい箇所があります。ご了承ください。

GigaFile Link

月は亡く
盤魔の音が
響くのみ

次回予告
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.29
Jour Physique sans dieu 神無体育の日


Shibuya DJ Bar EdgeEnd
2019/10/14 Monday/Holiday
18:00 Open/Start 22:30 End
1000yen incl. 1dtink

Regular DJs and Special Secret Guests
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【寫眞集天國】『佐藤ジン:Underground GIG 東京1978 – 1987』『爆裂女子写真集:Riot Girls』『Gallery Nomart:アートの奇跡』

2019年09月03日 02時32分43秒 | 書物について


自分でも忘れかけていたのだが、筆者は中学1年の時「写真部」に入っていた。放課後に活動する部活ではなく(そちらは軟式テニス部だった)、授業のひと枠のクラブ活動の時間だったと思う。特に写真が好きだった訳ではないが、子供の頃集めたTVヒーローのブロマイドや大阪万博の絵はがきが好きで、写真に憧れはあった。デジタルカメラやスマホが普及した現代からは信じられないが、昭和50年代は写真は金のかかる趣味だった。小中学生で自分のカメラを持っているのは金持ちのボンボンだけだった。だから写真部に入れば親のカメラを自分の物にできるし、写真屋に出すと高価な現像やプリントが自分で出来るので、安上がりで楽しめると考えたのかもしれない。オートマチックカメラを手に意気揚々と撮影に臨んだのだが、カッコいい被写体が思い浮かばず、近所の原っぱで遊んでいる妹や、テレビ漫画の画面を撮影する程度だった。学校の暗室で丸い缶に現像液と撮影済みのフィルムを入れてかき混ぜるのだが、蓋のしめ方がユルくて光が入ってしまいダメにしたり、上手く現像できても印画紙に投影する時に焦点が合わずボケ写真になったりで、結局まともな写真は出来なかった。悔しくて、奇麗に出来た他人の写真をくすねて、自分の写真と偽って親に見せた暗い思い出がある。



それ以来写真熱は冷めてしまい、大学時代の自分のバンドの写真もあまり残っていない。特に吉祥寺GATTYに出演していた即興ユニットOTHER ROOMの写真が1枚もないのは返す返す残念でならない。80年末に一眼レフを買って(もちろんフィルム式)子供を中心に家族写真をたくさん撮った。90年代には「写るんです」等使い捨てカメラが人気になり写真を撮る機会も増えた。増え続ける写真を、最初のうちはアルバムに整理していたが、次第に面倒くさくなり、子供が中学に進学して以降は段ボールに詰め込んだまま放置してある。



2000年代からデジタルカメラが普及しはじめ写真屋に現像を頼む必要が無くなり、さらにスマートフォンの写真機能の向上により、いつでもどこでも高度な写真/動画が撮れるようになった。しかし今度は撮り放題撮り過ぎてスマホの中の写真は万単位の枚数になり、もはや整理どころか見返すことも大仕事になった。無尽蔵に増える写真データをどうにかしてまとめてお気に入りの写真集を作ることを夢みてはや何年も経つ。そんな筆者の手元にほぼ同時期に素晴らしい写真集が3冊届いた。ジャンルもテイストも異なるが、筆者が愛好する世界を凝縮した感慨深い写真ばかりである。家へ帰り食事や風呂やブログ執筆を終えてから、お気に入りのレコードを聴きながら写真集のページを捲るのが、筆者の秋の夜長の理想的な過ごし方になるだろう。



●佐藤ジン『Underground GIG Tokyo 1978 – 1987 Action Portrait by Gin SATOH』


灰野敬二の1stアルバム『わたしだけ?』のジャケット写真を撮影したことで筆者が最大にリスペクトするカメラマン佐藤ジンは、70年代末に発生した日本のパンク/ニューウェイヴ/地下音楽のシーンを、楽器やマイクの代わりにカメラで記録した、というより描き出した。つまり「行動する肖像(アクション・ポートレート)」である。86年刊行のオリジナル版『GIG』が週刊誌を思わせるザラ紙の印刷だったのに比べ、新装版は高品位紙の印刷なのでかなり質感は異なる。しかし佐藤ジンにより描き出された行動する写真の迫真性は、変わらないどころか、30年以上の時間を経て、より鮮烈・鮮明に心と魂に刺激を与える気がする。実物を見た記憶はどうしても時間と共に変化してしまうが、写真を見る=記憶を感じることは、実体験を超えるほどリアルなエクスペリアンス足り得ることを実感する。

Friction フリクション Rare VHS Clip / Japanese Rock 軋轢

版元ドットコム


●爆裂女子写真集『Riot Girl』


デビューして1年半のパンクロックアイドル爆裂女子の初のオフショット写真集。2019年1月7日新宿ロフトで開催されたデビュー1周年ワンマンライヴ『No Future Idol?』の写真集は、激し過ぎるライヴパフォーマンスの魅力をそのまま記録したパンクなフォトドキュメントだったが、今回の写真集は「女の子」であり「アイドル」である4人の笑顔を自然体で捉えたハッピーなフォトブックである。タータンチェックのステージ衣装でソファの上で戯れるセッションは、仲のよい4人の笑いの絶えない楽屋風景を思わせるし、多摩川の河原で撮影したという私服のアウトドアセッションではそれぞれのメンバーの魅力を最も良く引き出すシチュエーションで、最もいい表情を撮ったキュートなポートレートばかり。ライヴの激しさと写真集の愛らしさの落差は、筆者の推しメン都子ちゃんの「ライヴはストロング、心はセンチメンタル」というキャッチフレーズそのもの。こんなに素敵な写真の数々を形に残せる幸せを心に刻んだ4人の、今後の躍進に期待が高まるばかりである。

爆裂女子 2019.7.28「爆裂地獄バスツアー」@ライブバス

まんだらけ公式サイト


●ノマル30周年記念BOOK『アートの奇跡』


橋本孝之とsaraからなるコンテンポラリーミュージックユニット.es(ドットエス)の本拠地である大阪のギャラリーNomart(ノマル)は、1989年大阪で版画工房としてスタートした。その後デザイン編集スタジオ、現代美術ギャラリー、前衛音楽のレーベルと拡張を続け、現代を生きるアーティストたちと共に創造し続けるノマルの30年間の記録をまとめた書籍。写真も多数あしらわれているが、写真集というよりは記録集と呼べるだろう。残念ながら筆者はまだノマルを訪れたことはないが、橋本孝之が言うには超アンダーグランドな基本理念を貫き通す希有なギャラリーの膨大な関連作品カタログや展覧会記録をページを捲って行くに連れて、大阪のみならず日本、アジア、世界中のアートの闘いの歴史を俯瞰するような気持ちになる。なによりも嬉しいのはノマル・ディレクターの林聡をはじめ、写真に写るアーティストやミュージシャンたちの表情がみな充実した笑顔で輝いていることである。

.es(ドットエス 橋本孝之 Takayuki Hashimoto & sara) 2019/8/3 Gallery Nomart

Nomart Store

『アートの奇跡』の表紙に記された「人はアートがなくても生きられるが、活きるためにはアートが必要である。」という言葉は、アートをミュージックに置き換えても真理である。その意味ではこの3冊の写真集は、「人」が本当に生きる(活きる)ために必要なものが何なのか、雄弁に語ってると言えるだろう。少なくとも筆者にが活きるためにこの3冊がこの上なく励みになることは確かである。

地下音楽と
アイドルとアートの
写真集

  



 
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【JazzTokyo #257更新】UP Unit(クリス・ピッツィオコス・ユニット)『Riding Photon TIme(光子時間に乗って)』

2019年09月01日 09時40分42秒 | 素晴らしき変態音楽


音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が公開された。カヴァー特集は『姜泰煥+高田みどり/永遠の刹那』。剛田武は下記のディスクレビューを寄稿した。

●CP Unit / Riding Photon Time

#1630 『CP Unit / Riding Photon Time』

観客の息の根を止めるクリス・ピッツィオコス・ユニットの真空ライヴ空間。
ピッツィオコスたちが、享楽的なコールマンや、エモすぎるアイラーや、理知に支配されたブラクストンよりも、神秘的なコルトレーンの世界に無意識のうちに近づいていることを意味している。

光速で
走る石には
苔は生さない

CP UNIT - Live at Unlimited 32, Schlachthof, Wels, Austria, 2018-11-11
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