A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

山本精一の踊れないフュージョン~Para「Curriculum」

2008年07月31日 00時07分29秒 | 素晴らしき変態音楽
「脳細胞を筋肉にして踊る、数学的ダンスミュージック」と称する山本精一氏率いるインスト・バンドParaのセカンド・アルバムがリリースされた。その名も「カリキュラム=教育課程」。タイトルを聞いた時キング・クリムゾンの「ディシプリン=修練」を思い出した。
その印象は当たらずとも遠からず、という感じである。音を聴いてまず思い出したのはフランク・ザッパだった。gx2、synthx2、dsx1という楽器編成もザッパ的。特有の変拍子のリフの繰り返しは「ディシプリン」期(第4期?)クリムゾンの執拗なリフレインを思わせる。しかしParaにはクリムゾンにあった極度の緊張感はない。あくまでリラックスしてユーモラスな演奏を楽しんでいる様子が伺える。そういう意味でもザッパ的な印象が強い。
テクニックは抜群、演奏の偏差値が高く、かつてのチェンバー(室内楽)・ロックやフュージョンにも通じてしまうところがお気楽な山本精一氏らしい。氏のイラストによる蝶々の爽やかなアートワークも良い。
相当練習したのだろうがそれを感じさせない円熟のプレイは、全編天に昇るような明るい希望に溢れており心地よいことこの上ない。

繰り返し
鳴り続けるよ
変拍子

ライヴも楽しそうだな。吉田達也氏じゃないけど変拍子で踊るのも快感だ。

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山下洋輔さんの新ユニット、4HANDS

2008年07月30日 00時02分47秒 | アート!アート!アート!
昨日のTBS「NEWS 23」に"閉塞社会に風穴を"と題して、山下洋輔氏(66)、ペインターの西村記人氏(59)、能楽太鼓の大倉正之助氏(53)、United Future OrganizationのDJ松浦俊夫氏(41)の4人からなるユニット、4HANDSが出演した。伝統芸能と西洋芸術とクラブ・カルチャーの出会いだった訳だが、西村氏の両手を使った大胆なアクション・ペインティングが素晴らしく、そのアートが音楽の混沌をひとつに纏めていた。テレビでの10分ほどの演奏では時代に風穴を開けるほどの驚異的なパフォーマンスとは思えなかったが、洋輔さんがまたひとつ新しい遊びを産み出したことは確かだろう。
今後このユニットでライヴ等も予定されているようだから期待したい。私としては松浦氏による若者のクラブ・カルチャーへの浸透を期待するのである。
4HANDS HP

ジャンル超え
ここに集いし
四戦士

それにしても西村氏のペインティングは迫力があった。



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Hair Stylistics「Electric Succuess In The Ghetto」

2008年07月29日 00時01分48秒 | 素晴らしき変態音楽
月刊ヘア・スタイリスティックスの第4弾が届いた。今回のジャケットは中原昌也氏による祭壇を思わせる鮮やかな薔薇の写真である。そこに常磐響氏のアメリカン・コミック風女性のエロチックなグラフィックが写っているところがヘアスタらしい。
boidのインフォによれば、「作り込まないこと」をテーマにしたアルバムとのことで、ほぼ一発録音の様だが、音の完成度、感触は前3作とそんなに変らない。変っているとすれば作り込んでいない分、中原氏の内面がそのまま表現された無垢な作品集だということだ。どの曲も少ない音数で天真爛漫に奏でられている。特にタイトル・ナンバーのTrack 3の頭の中を飛び回る電子音が可愛くて素敵だ。Track 4の似非ディスコ/エレポップ風味の諧謔味も面白い。
月刊ヘア・スタイリスティックスは12作全部出揃ったところで評価するべきものかもしれないが、こうして毎月進行状況をレポートして行くのも楽しい。

赤い薔薇
裏を返せば
向日葵だ

寝苦しい真夏の夜に相応しい爽やかなノイズ群である。

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考えさせるメルヒェン~崖の上のポニョ

2008年07月28日 00時09分00秒 | 映画やDVDのこと
ジブリ映画最新作「崖の上のポニョ」を観てきた。朝イチの回で30分くらい前に行ったら良い場所に座れた。開映間近には超満員に。
CGを使わないすべて手書きのアニメーション。5歳の子供にも判る単純なストーリー。悪役の登場しないハッピーな映画。確かにお子様向けの小品という感じだが、流石宮崎駿、大人をも惹き付ける謎と不思議の交錯する作風は健在。
久石譲のスコアは意外に重厚なオーケストラ・サウンドで映画を盛り上げる。

ここから後はネタバレになるので、これから観る予定の人は読まないで下さい。

謎その1:何故ポニョは人間になりたかったのか?
謎その2:ポニョが空気中でも生きられるのは何故?
謎その3:所ジョージが声を担当するフジモトは一体何者?
謎その4:街が水没しても人々がのんびりしているのは何故か?
謎その5:月があんなに地球に近づいたのは何故?
謎その6:嵐の夜、船が水平線に集まっているのは何故か?あれは現実のものか?
謎その7:ポニョの妹達は将来ポニョのように成長するのか?
謎その8:人間になったポニョはリサの家で育てられるのか?

色々文句の付けようはあるけど、結局は"宮崎ファンタジー"ということで片付けられるのね。
楽しくなかったかといえば楽しかったし退屈しなかった。でもやはり小学生あたりが観ると一番反応するのではないか。
だが地球環境の様々な問題を意識させる内容は大人にこそ似合っているのかも知れない。
崖の上のポニョ HP

魚の子
地上に出たら
可愛い子

スタジオジブリはやはり凄いな、というのが実感だった。




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落下する音魂~一柳慧+久里洋二「ドリップ・ミュージック」

2008年07月27日 00時24分08秒 | 素晴らしき変態音楽
Omega Pointの"日本の電子音楽シリーズ"vol.9。一柳氏がユニークな実験アニメーター、久里洋二氏の為に1974に制作した未発表の音楽作品が最近久里氏のアトリエで発見され、今回書き下ろしの新作漫画を附属させてリリースされた新作CD。
「しずくが落ちるような」と久里氏が表現したように、ピアノの音を素材に電気変調を施し下降する発振器でエフェクトしたサウンド。一柳氏らしい輪郭のはっきりした鋼鉄のような電子音響がスローモーションの雨粒のように落下する。久里氏の漫画の奇妙な世界との相乗効果で酩酊感たっぷりだ。
24'18"という短い収録時間だが、30年以上前に創造された音響パラダイスは今日のような暑い日に一抹の清涼感を与えてくれる。1974年の夏も暑かったに違いない。
リリースに合わせ吉祥寺のカルト書店"百年"で久里洋二氏の原画展が開催されている。書店の壁の一面のみに10数点ほど展示されているだけだが、久里氏のクリエイトするユーモラスな世界を感じた。
久里洋二の部屋

下降する
音のしずくに
身を浮かべ

このサウンドを使った映像作品が存在するのならぜひ見てみたいものだ。



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中原昌也、ヨシダダイキチ、U-ZHAAN@Super Deluxe 2008.7.24(thu)

2008年07月26日 00時04分55秒 | 素晴らしき変態音楽
この日の六本木Super DeluxeはL'Arc~en~Ciel、UAやオリジナル・ラブなどのビデオの制作で知られるアートディレクター生西康典氏の企画"Blows & Bombs" vol.4。ご存知Hair Stylisticsの中原氏がエレクトロニクス、ヨシダダイキチ氏はシタール、ASA-CHANG&巡礼のメンバーでもあるU-ZHAAN氏はタブラというノイズとインド音楽の異種混合戦だった。100人は入っただろうか、Super Deluxeは今までに無い盛況ぶりだった。ASA-CHANG&巡礼の人気だろうか?
中原氏が池袋の書店ジュンク堂でトークショーというダブルブッキングだったため、第1部はヨシダ+U-ZHAAN+生西(映像)という組み合わせで45分間。U-ZHAAN氏のタブラは流石、インド音楽の基本の上に現代的な感覚を活かした素晴らしいプレイを聴かせる。ヨシダ氏のシタールはヴォリュームペダルを使ったりヴィブラートさせたりインド音楽とは離れた演奏だが、個人的には今ひとつだった。私にとってシタールにはインドの香りがこびり付いている。まず椅子に座って弾くのが気に入らない。シタールは床に蹲踞の姿勢で座って弾かなければならないのだ。
私のバンドFLOWER TRIPでもシタールやタブラを使っていたので馴染み易いセッションだった。
21:00頃中原氏到着。「お待たせしてスミマセンでした」とのMCで3人のセッションが始まる。中原氏は鍵盤の付いたシンセとオシレーター、リズムマシーン、エフェクターなどを使っていた模様。タブラのリズムが妙にハマる。元々中原氏のノイズはオーガニックだから、こうしたエスニックな楽器との親和性は高いのだ。シタールは余り弾かず控えめな演奏。もっとかき鳴らせば良いのに、と不満が募った。いつまでもトロけた状態が続きそうな演奏は大きな流れを産み出し満員の観客を包みこむ。1時間の演奏はダレる部分もなくちょうどいい長さだった。「お疲れさまでした」という中原氏のいつものMCで終了。観客も満足したようでアンコールの拍手はない。
私は会社の暑気払いの酔いが残ったまま、気持ちよく帰途についた。バスがすぐ来て座れたし電車も座れてラッキーな一日は過ぎて行った。
ASA-CHANG&巡礼 HP

雑音と
エスノ音楽
お友達

そろそろ月刊ヘア・スタイリスティックスのCDが届く頃だ。



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遂に雪辱。社内プレゼント争奪戦。

2008年07月25日 00時00分45秒 | ありきたりな日常
今日はついに勝った。と言っても何のことですかー?って感じだと思うが。会社の暑気払いパーティーのプレゼント大会でのこと。
まずはビンゴでTシャツ(何故かRamones)とゴルフボールセットを当てた。せこい賞品だけど今回は良しとしよう。
続いて現金を賭けたジャンケン大会。会長から2万、営業本部長から 1万。合計3万円を3人で山分けだ。
最初から負けてしまい諦めかけたが、一人辞退者が出た。
チャンス!2度目は順調に勝ち進み決勝へ。前回と同じくずっとチョキを出して勝ってきたので最後はグーで勝負!
やった!他の二人は過去の栄光にすがってチョキで来た。
こちとらヘタに前回苦汁を舐めていないんだよっ!
現金1万円をGET。たかが1万円と思うなかれ。これで山下洋輔さんの紙ジャケCDが4枚買えるのだ。それ以上に私にとっては前回の雪辱戦としての意味が大きかった。
ほろ酔い気分で六本木Super Deluxeへライヴを観に行った(続きは明日)。

酔っ払い
ジャンケン勝って
いい気分

こんなに当たったのは7年前新年会でホームシアターセットを当てて以来だ。

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あっと驚くタメゴロー。公開!自作サイケデリック・ギター

2008年07月23日 23時53分21秒 | Weblog
FLOWER TRIPでサイケデリック・ロックもどきをやっていた頃、エリック・クラプトンのクリーム時代のペイントSGに憧れて、自分でポスターカラーで3ヶ月かけてギターに色を塗った。元はサンバーストの渋いストラトキャスターだったのが鮮やかなペイントでサイケというよりトロピカルな脳天気ギターに変身した。音は変った訳じゃないけれどライヴでのステージ映えは相当したと思う。
このギターを使った次のライヴで対バンのMagic Mushroom Syndromeのベーシストが真似してSGベースにペイントしてきたのには苦笑した。しかし彼の方が絵は上手かった。
私の持っているギターはここまで行かなくても皆どこか改造しいる。ギターを弄るのが好きだったのだ。自分だけのギターを求めて改造を繰り返した。だから全然弾かなくなってしまった今でもオークションなどで人に売るのは躊躇してしまうのである。

我が宝
手塩にかけた
ギター達

そんなギターが押し入れを占領していてはっきり言って邪魔者でしかない。

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ゆらゆら帝国さえ入っていれば~V.A.「アートロック宣言」

2008年07月22日 23時46分45秒 | 素晴らしき変態音楽
以前も書いたように私は80年代から90年代初頭にかけてバンド活動に燃えていた。キッスのコピーバンドに始まって、高校時代にパンク、大学ではニューウェイヴ、プログレ、フリージャズ、果ては達郎やユーミンまで節操なしにバンドに参加してきた。そして大学卒業後は一貫してサイケデリック・ロックを追求するFLOWER TRIPというバンドで活動した。80年代末から90年代前半にかけては同傾向のバンドを集めて"アートロック宣言"というタイトルのシリーズギグを下北の屋根裏や高円寺の20000Vを中心に主宰した。10回くらいやっただろうか。うろ覚えだが4人時代のゆらゆら帝国や、後のDIPのドラマーが在籍したMagic Mushroom Syndromeというバンドもいたような気がする。後期には我が"FLOWER TRIP"、テレヴィジョンとクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスが合体したような"スペシャル・ヴュー"、ジャックスがパンクになったような"SOLID CALM SKY"、妖艶な女性Vo.を擁したブラック・サバス的オルタナバンド"Das Gemeine"の4バンドが一緒になって活動していた。その内Das Gemeineは自分たちでソノシートを作ったので、残りの3バンドで金を出し合い1993年に限定300枚プレスしたのが「アートロック宣言」というオムニバスCDだった。Disk Unionをはじめ都内のその手のレコード屋に置いてもらったのだが全く売れなかった。その内にバンドも活動休止や解散していった。FLOWER TRIPはVo.が医者になり忙しくなったり他のメンバーも子供が出来たりで自然消滅した。CDのほう、せめて当時のゆらゆら帝国にでも参加してもらえば価値が出たのになぁ。ヤフオクを見たら2点出品されていた。こいつはホントにレアですよ。
リリースから15年。当時自分たちが如何に情熱を持って活動していたのかが身に滲みる。ギターこんなに上手かったんだと自画自賛。続けていれば今頃はゆら帝の2番手くらいにはなっていたかもしれない(たぶん無理)。とにかく継続は力なり、である。

若き時代
バンドに賭けた
情熱よ

思わず今日は恥ずかしい過去を晒してしまった。失礼仕った。


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ノイズ者による常識指南書~山本精一「ゆん」

2008年07月22日 00時01分52秒 | 書物について
ボアダムス、想い出波止場、羅針盤、ROVOなど様々なユニットでギタリスト、ヴォーカリストとして、また変態的に多作な画家としても活躍する山本精一氏のエッセイ集。大部分「ギターマガジン」に「ギタバリョー第二部精神群像篇」として連載されたもの。だからといってギターや音楽の事よりも何気ない日常を描いた文章が多い。読んで最初に思ったのは音楽性に比べ意外に常識人だな、ということ。しかし読み進むうちに極当たり前の風景がちょっとズレた感覚で氏の頭の中で解釈されて独特の行動として現れてくる仕組みが判るような気がしてくる。印象的なのは山本氏がいかに"いい人"かということである。
自ら経営する大阪のアンダーグラウンドロックの拠点ライヴハウス"難波ベアーズ"で10時間連続のサイケデリックライヴを行ないラリる以前に疲労困憊したこと、アルゼンチンのノイズミュージシャンのほほんとしたな生活態度、赤ん坊に大音量でノイズを聴かせると防衛本能が働いてすやすや眠ってしまうこと、40年来帽子を愛用していること、マイナー指向の知人が氏に諭されて1年間王道の音楽を聴き続けて"ついにクラプトンがわかった!"と嬉々として電話をかけてきたこと、屋久杉を見るために何時間も歩き酷い目にあったこと、など印象に残る話が色々ある。一話3ページなので飽きないで楽しく読むことが出来る。至って普通である。世の中の前衛を気取る者たちは是非この本を読んで反省して欲しい。
奥付けの作者紹介欄には"造音作家"とある。言い得て妙である。
山本精一 HP

ゆんで知る
この世の常識
無駄じゃない

実はこの本、職場のある港区の図書館に注文したら区内の図書館には蔵書がなく、大田区の図書館からわざわざ借りてくれたものなのだ。だから扱いは丁寧に、と注意された。電車の中で開く時もちょっぴり緊張してしまうのである。



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