A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ふわふわ。ソニック・ユース「デストロイド・ルーム」

2007年03月30日 23時17分29秒 | 素晴らしき変態音楽
灰野敬二さんに「ふわふわ」という曲がある。”ふわふわ 浮かんでいるよ 前よりもずっと下の方で 誰も行きたがりはしないところなのさ それでいい 君がそれで気がすむなら...”という歌で、20年間、形を変えて演奏されてきた名曲だ。ソニック・ユースの新作「デストロイド・ルーム」を聴いてこの曲が頭に浮かんだ。
「デストロイド・ルーム」はニュー・レコーディングではない。「B-sides & Rarities」と副題が付いているように、1994年から2003年までのシングルのみのカップリング曲やコンピレーション参加曲などレアな音源を集めたアルバムだ。11曲中歌入りの曲は3曲のみ。インストアルバムといっていい。
新作「ラザー・リップト」は90年代初期に戻ったかのようなシンプルなサウンドが話題になったが、今回のアルバムはそれより古い80年代前半、バンドがまだインディーで活動していた時代を髣髴させるサウンドだ。また、自分たちのレーベルSYRからリリースしてきた現代音楽/実験音楽の世界も併せ持っている。
全体的にシンプルなリズムと沈殿していくようなギターサウンドが大部分を占める。圧巻なのは25分に亘る「ザ・ダイアモンド・シー」。元々1995年に発表された「ウォッシング・マシーン」の収録曲だが、歌があって次第に荒れ狂うギターサウンドがあって、また歌に戻った後は、まさに水中を「ふわふわ」と漂うようなギターノイズになる。オルタナティヴロックの雄SYの姿とはまた違った、思い切り趣味に浸った(ルーツに戻った?)彼らのスタイルが堪能できる。
そんなSYが4月に日本へやってくる。今回はジム・オルーク抜きでのステージだ(だが最近のライヴ映像を観ると、ベーシストが参加しているらしい)。「デストロイド・ルーム」の曲はおそらく演奏されないだろうが、このアルバムをリリースしたことである意味過去を清算したSYの新しい世界を経験できるに違いない。しかもフロント・アクトはヴォアダムス。観るしかないね!
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クロマニヨンズ@川崎Club Citta

2007年03月28日 01時19分59秒 | 素晴らしき変態音楽
先日月曜日「Head Rock Night Vol.36」というイベントにクロマニヨンズが出演した。バンドが7組出演するイベントだったので、演奏時間は30分くらい。
上半身裸のヒロトに赤いT-シャツにバンダナのマーシーはLes Paul Jr.を構えている。「クロマニヨン・ストンプ」でスタート。観客も狂ったように熱狂。私ももちろん一番前のブロックで歌い踊りまくった。「僕たちは楽しいロックンロールを演りに来ました。みんなも楽しんでね!」というヒロトのMCに体の心から喜びが溢れてくる。セットリストは:
1.クロマニヨン・ストンプ/2.キラービー/3.エレキギター/4.グレート/5.紙飛行機/6.歩くチブ/7.タリホー/8.弾丸ロック/9.バットマンのテーマ。
「紙飛行機」は新曲でマーシーらしい哀感メロディーの必殺R&R。「歩くチブ」ではヒロトが後半のスローパートに銀色の筒(男の恥部?)を頭から被って歌うという人を食った演出も。
とにかく一緒に歌うことに必死で肝心な演奏を良く観ていなかった!ドラムがとてもパワフルだったのだけは覚えている。
「春のウラウラ祭り」ツアーのチケットはどうしても手に入らなかったけど(涙)、昨日のハイロウズは演奏時間が短かった分、気合入りまくりのステージで、普通のツアーよりもテンションの高い最高の演奏だったと思う。
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ヒリヒリ。MO'SOME TONEBENDER「SUPER NICE」

2007年03月21日 11時51分13秒 | 素晴らしき変態音楽
現在のJ-ROCKシーンでも一二を争う硬派R&Rバンド、モーサムトーンベンダーの最新作。初期はゴリゴリする岩石のようなビートがフリクションを彷彿させるバンドとして注目していた。その後早活動10周年。より柔軟性を持った音楽性を展開するようになり、人気も上昇して来た。
今回のアルバムは音をそぎ落としていく事に焦点を絞った前作「Rockin'Luuura」の反動か、様々な要素を詰め込んだバラエティのある、しかしモーサム流R&Rに貫かれたサウンドになった。面白いのが1曲目「Tiger」。シャープなビートの上に3人が同時にヴォーカルを取る、という掟破りなハチャメチャロックチューン。それと「You are Rockn'Roll」ではカッコいいリフの上に語り(ラップではない)を乗せるという新機軸。この2曲をシングルでリリースした、というのも彼ららしくて興味深い。ほかにはほのぼのしたアコースティックナンバー「オバケ」も楽しい。
個人的には前作の方がどちらかといえば好きなのだが、「SUPER NICE」も素晴らしいアルバムだと思う。4月には初の日比谷野音ワンマンがあるとのこと、ぜひ参戦してゴリゴリ&ヒリヒリしたステージを体験したい。
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ザ・フラテリス「コステロ・ミュージック」

2007年03月17日 13時37分36秒 | 素晴らしき変態音楽
最近テレビのiPodのCMにも使われ話題となっているイギリス・グラスゴー出身の3人組ザ・フラテリスのデビュー盤「コステロ・ミュージック」を聴きました。これが凄くいい!最近のUKロックの中では出色の出来だと思います。g,b,dsというシンプルな編成で、柔軟なビートにストレートで哀愁あるメロディが乗る、というUKポップの醍醐味を発揮しています。捨て曲は1曲もなし。
ビートルズ、キンクス、スモール・フェイセズ、10CC、Sailor、ELOなどブリティッシュ・ロックの名バンドの影響が感じられますが、私はリバプールから90年代はじめに登場したザ・ラーズを強く思い起こしました。ザ・ラーズの歌った「不滅のメロディー(Timeless Melody)」こそ、まさにザ・フラテリスに相応しいキャッチフレーズだと思います。
イギリスでもBrit Awardの新人賞を受賞する等、結構売れているみたいですが、ザ・ラーズのように一発屋で終わらないで、これからも素晴らしいメロディーを生み出していってほしいものです。
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灰野敬二、三上寛、JUNKO他@千駄ヶ谷Loop Line

2007年03月10日 21時21分26秒 | 灰野敬二さんのこと
昨日、フランス大使館主催の「音響詩 SOUND POETRY / poesie sonore」というイベントが千駄ヶ谷のLoop Lineという会場で開催されました。出演者は灰野敬二、JUNKO、三上寛、足立智美、芳賀徹の5人。「音響詩」とは意味を持たない言葉による詩、という意味だそうですが、今回は詩にこだわらず「声」を素材とした演奏会になりました。
芳賀徹さん(女性)は2歳くらいの娘さんと一緒に登場。囁き声で意味がありそうでない不思議な詩を披露。
足立智美さん(男性)は「音響詩」の意味に最も近いパフォーマンス。意味のない言葉の羅列ををPower Bookで変調させて面白い音響を聴かせます。「音響彫刻」といってもいいのでは。
三上寛さんはお気に入りの詩を朴訥とした語りで聴かせる朗読。私は詩は中原中也くらいしか読みませんが、三上さんの朗読に詩への興味をそそられました。
JUNKOさんは非常階段での演奏と同じ超高周波絶叫パフォーマンス。30分間耳に突き刺さる高音ノイズヴォイスを聴いていると、意識が遠くへ置き去りにされてしまいます。こんなパフォーマンスを出来る人は世界広しといえども彼女くらいでしょう。
灰野さんはPAとギターアンプにそれぞれつないだ2本のマイクを使用。パーカッションを交えながら迫力のあるヴォイスパフォーマンスを展開。サンプラーを使い「アアァァァキィィィィグオォォォォ~」という複数の猛獣の叫びの様な声が会場中を吹き荒れます。灰野さんが目の前1メートルのところでのたうち回る恐ろしいほどの衝撃。
人間の声で表現できる物は無限にあるという事を実感したイベントでした。でもこのイベントが何故フランス大使館主催で開催されたのかは不明です。特にフランスと関係の深い出演者がいた訳でもないのですが。
(写真は詩の朗読をする三上寛さん。)
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サンヘドリン@新大久保Earthdom

2007年03月05日 22時09分03秒 | 灰野敬二さんのこと
一昨日、新大久保Earthdomでkuruucrew M presents『SCUM BIRTHDAY 2007』というイベントがあり、灰野さんのバンド、サンヘドリンが出演するので観てきました。合計10バンドも出演する長丁場のイベントでさすがに疲れました。
灰野さんは相変わらず風邪が良くならないらしく、白いマスクをつけてセッティングをしていました。しかしサンヘドリン(灰野敬二g,vo、吉田達也ds、ナスノミツルb)のステージは短かったものの音の凝縮度の高い素晴らしいものでした。灰野さんはまたもやSGを使用。どうも今年はSGで行くようです。
そのほかに面白かったのはAstro+Hair Stylistics+Jazzkammerのノイズセッション。Hair Stylisticsは元暴力温泉芸者の中原昌也氏、Jazzkammerはノルウェーを代表する二人組ノイズユニットです。中原氏はたくさんのエフェクターをつないだ電子ノイズを、Jazzkammerはギターとシンバル、壊れたスネアを電気処理したノイズ、Astroはシンセサイザーを使い、視覚的にも面白い演奏を観せてくれました。
イベントの主催バンドKuruucrew(狂うクルー)は最後に出演、8ビートのインストサウンドで踊らせてくれました。最後にJazzkammerを加え、ダンスビートと電子音が絡み合うカッコいいサウンドでイベントは終了。
帰りに東京の無国籍街、新大久保の中華料理屋でラーメンを食べました。
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忘却の詩人スコットウォーカー

2007年03月02日 22時10分46秒 | 素晴らしき変態音楽
ウォーカー・ブラザーズを知っていますか?60'sファンなら「太陽はもう輝かない」「ダンス天国」「孤独な太陽」などの大ヒットを当時連したアイドル3人組だと知っているでしょう。日本でもビートルズに匹敵する人気を誇ったそうです。そのリーダー的存在でもありメイン・ヴォーカリストだったのがスコット・ウォーカー(本名スコット・エンゲル)です。
独特の朗々としたテノールは一度聴いたら忘れないほど魅惑的。
今回ウォーカー・ブラザーズとともにスコット・ウォーカーのソロ・アルバム5作が紙ジャケCD再発されました。ヒット曲志向のウォーカー・ブラザーズに比べて、スコットのソロ・アルバムにはシャンソン歌手ジャック・ブレルのカヴァーや、フランツ・カフカに影響された哲学的な香りのする曲が多数収録されています。時にロマンティック、時にダイナミックなスコットのヴォーカルには寂寥感と深い哀愁が感じられます。今回掲載したジャケット写真は1stの「スコット1」ですが、この陰影のあるポートレイトの世界そのまま。ヨーロッパ的な雰囲気を醸し出していますが、実は彼はアメリカ人です。
デヴィッド・ボウイ、レディオヘッド、ジュリアン・コープ、モリッシー、U2などが敬愛するシンガーであり、日本でも灰野さんが「最高のロック・ミュージシャンのひとり」と評価するスコット・ウォーカーの濃厚なダンディズムの世界に浸ってみませんか?

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