A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【論考と実践】「体験」する音楽。レコードとデレク・ベイリー/E.パーカー/阿部薫/灰野敬二

2014年03月30日 00時32分00秒 | 素晴らしき変態音楽


昨年12月末にアナログ盤蒐集癖が完全復活した筆者はCD不要論を公表した。

整理するとCD離れの理由は、
1)複製可能
2)面替え
3)データ化可能
4)悪操作性
5)不可知感

結論)CDよりアナログ盤に惹かれる理由は、裏切らないし楽しいから。

筆者のブログ記事から4ヶ月経って、アメリカのギズモードの記者が同様の分析記事を発表した。最近話題の細胞論文のように剽窃をした訳ではなかろうが、筆者の論点をより判り易く裏付けしている。

「体験」する音楽。レコードが注目される理由とは (⇒記事全文はコチラ

逆剽窃のようだが、この記事がいつ削除されるか判らないので、コピペしつつ筆者のコメントを併記したい。

90年代、僕は火曜日になると放課後レコードショップに走って、新譜の棚をチェックしていた。たまにCDを買うと、家に帰って急いで開けてラジカセにセット、宿題をやるふりをしながら聞き入っていた。なんと素晴らしい経験だったか。しかし今、あの経験に価値が見出されることはない。あれは、古くさい話なのだ。

まず、マリオ記者は90年代高校生の頃音楽にハマったという。90年代CDは売り上げを伸ばしアナログ盤を市場から駆逐。永遠に劣化せず手軽で扱い易いCDこそ究極の記録媒体だと信じていた。新譜はもちろん、過去の知られざる音楽の発掘CDにもワクワクした。一方でレコード盤を扱う中古レコード店も各地に存在し、レア盤コレクターやDJ志望者に人気だった。仕事で海外出張が多かったので、どこヘ行っても空き時間はレコード漁りに費やした。大都市じゃなくても必ず地元のレコード屋があり、探せば必ず未知の秘宝に巡り会った。
マリオ記者もそんなワクワク感を共有していたのだ。そのワクワク感が今は無い、古臭いと言う。その原因はデジタル時代の音楽の聴き方の変化だと言う。しかしレコードにはカムバックの流れが来ている。

レコードの時代は1度終り、今この再ブームの訪れに注目しているのは何も僕だけではない。何故か? その理由は一概には言いにくい。レコードを買う必要がない時代において、人々は敢えてレコードを選んでいる。CDは古くさくて、デジタル音楽は実態がない、そんな時代で、人々がお金を払って手に入れる物理的な価値がレコードにはあるようだ。

デジタル時代の変化とは単に媒体が不要になっただけでは無く、所有せず好きな音楽を聴けるという、概念的な変革だった。デジタル音楽の入れ物としての役割しかないCDには当然需要がない。

SpotifyやRdio、Beats Music等のより手軽で安価な音楽ストリーミングサービスの台頭によって、「音楽を所有する」ということは、ただ好きな時に好きな場所で好きな端末で音楽を聞くという単純なものではなくなってしまった。複雑化したのだ。

よく音質に関して「アナログ盤>CD>デジタル」という比較が口にされるが、リスナーにとって音質は二の次である。オーディオマニアが高価なオーディオ装置で防音された部屋で聴くなら兎も角、PCに接続したミニスピーカーやヘッドフォンで音楽を聴く多くのリスナーは、些細な音質の差は気づかない。マリオ記者は「アナログ盤の方がデジタル、CDより音がいい」というよく言われる幻想も「彼らはただレコードの表面を針がひっかくあの音が好きなだけじゃなかろうか。」と看破する。

その大きいフォーマットにまずはずしりとした実のある重みを感じ、カバーデザインに満足する。CDではこうはいかないのではないか。レコードをセットして片面聞いひっくり返してもう片面を聞く、この面倒とも言える流れには、なんともインタラクティブな趣がある。聞くという経験に、常に自分が物理的に、そして感情的に巻き込まれている気持ちになる。

レコードの脆さも魅力のひとつ。傷がついたり針が飛んだりすることも体験の証だから。持ち歩けない不便さというCDやデジタルに比べて最大の欠点も、無料のデジタル版ダウンロードで解決する。つまり、音楽を手軽に聴くだけではなく、個人的な体験、ある種儀式や宗教にも似た霊的体験が得られることがアナログ盤の魔法なのである。

人々がレコードに注目する理由、それは単純にレコードの方が楽しめるからだ。
所有するという体験に重きをおく人々は、どんどんレコードへと舞い戻っている。そこには、ただCDを買うのより、もっと満たされる物理的な体験があるからだ。カムバックの理由はいくつかあるにしても、突き詰めていけばすべて体験という言葉にたどり着く。レコードを買うことで得られる、暖かくて胸騒ぎがするなんとも幸せな気持ち、これは他の音楽の在り方では手に入らない。


レコードは、ただの音楽ではない。レコードは体験である。そして、それはお金を払う価値があるものだろう。



レコードを通しての究極の音楽体験、それは筆者にとってはデレク・ベイリーのソロLPである。バンドのレコードは、爆発しそうな衝動で落ち着かなくなることはあるが、「個」と「個」で真っ向から対峙出来るのはソロ演奏である。ライヴではオーディエンスは自分ひとりではないので、一対一で語り合うのは難しい。筆者がなるべく最前列を確保するのは、演奏者と自分の間に他人を入れず、マンツーマンの関係に近づける為である。近づけるだけで、実際には幻想に過ぎない。

しかしレコードなら間違いなく「個」対「個」の関係を結べる。やり方には決まりがある。素敵な写真をあしらった30cmのジャケットからLPを取り出し、指紋を付けないように気をつけてターンテーブルに乗せる。アームをレコードの外周に下ろすと、針が落ちてプツンと音を立てる。溝を擦るプチノイズの中から立上がる孤独な魂。デレクと私の会話が始まる。20分前後神経を集中させると、会話が一旦終わりプチっと針が上がる。レコード盤を裏返して最初から繰り返し。まさに人間ならではのややこしい営みである。

体験としてのレコードとデレク・ベイリー。どちらもシンプルな思考とこんがらがった手続きがあるから面白い。私が人間性を取り戻す為には欠かせない儀式・祈り・哲学なのである。



レコードを
聴くときは
部屋の電気を
消すのです

エヴァン・パーカー、阿部薫、灰野敬二も同じ体験が出来る。





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米国産パワポプ女子、MZ. MOXY(ミズ・モクシー)にご注目!

2014年03月29日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


オフィスではいつもインターFMを流しっぱなしになっている。音楽が多くでDJが英語(最近は日本語が多いが)なので気を取られて仕事の邪魔になることもない。

今朝いつものようにラジオを聴きながら仕事をしていたら、キノコホテルやレッチリに続いて流れ出した曲に心がさざめいた。毎週金曜日午前中の番組ジョージ・ウィリアムスとタロヲの『WTF!? What The Friday!?』はパンクやオルタナや変態音楽が掛かる素敵なプログラムで、今日はゲストに少年ナイフのNaokoが生出演というネ申番組。特にガールズバンド贔屓なので、素敵な出会いがある。実際キノコホテルを初めて聴いてキュン死してのは、彼らの昔の番組『Good Morning Garage』だった。この場を借りてお礼を言いたい。

筆者の心を射止めた楽曲は、ネオアコ流れの正統派パワーポップで、トゥイー&ジャングリー、ドリーでミクスチャーでケニッキーなキュート女子ナンバーだった。早速インターFMのサイトで確かめると"SUNNY DAYS" MZ. MOXYとある。聞いたことがない名前なので、早速ググってみた。

MZ.MOXY(ミズ・モクシー)


ミズ・モクシーはソングライター、ギタリスト、歌手。時にダークで生意気なハッピー・メロディ。ピカピカのモダンなプロダクションによる、ちょっとレトロなインディポップソング。もしマーク・ボランとデビー・ハリーの間に子供が生まれたら、それがミズ・モクシーに違いない。

ショートバイオ
ニュージャージー州の人口800人の街ユニオンビーチに生まれ育つ。ニューヨークへ移り音楽活動。

影響を受けたアーティスト
T Rex, Blondie, The Primitives, Morrissey, The Smiths, Duran Duran, Blur, XTC, The Cars, Early Rolling Stones, The Zombies, The Animals, The Kinks, Pulp, The Stone Roses, Wings, The Kaiser Chiefs, The Charlatans, The Cure, The Niagaras

コラボしたプロデューサー
アンディ・スターマー(ジェリーフィッシュ、パフィー)
ジョー・ズーク(モデスト・マウス、ケイティ・ペリー、ジュウェル、リパブリック)
ダンテ・マッケイ(ミッシング・パーソンズのデイル・ボジオ、グレッグ・ホークス他)
ジョン・トラヴィス(ファウンテンズ・オブ・ウェイン、セイヴ・フェリス、シュガーレイ)

ミュージックヒストリー
2007年、アメリカ産ヒーローアニメ『ベン10』のアンディ・スターマーが手掛けた主題歌を歌った。このアニメは日本を含む160カ国で放送され、アメリカだけで視聴者数は8800万人に上る。YouTubeのPVの再生数は800万。



2011年8曲入ミニアルバム『Lick-N-Listen』をリリース。



(PV出演者は本人ではありません)

2013年、ヴァージン・グループ会長リチャード・ブランソンへの公開ラブレターソング「Dear Richard Branson」をリリース。



ミズ・モクシーの作り方(レシピ)
良心的なソングライティング2片+ロリポップロック1片
レトロを一振り、悪戯を一つまみ、おまけにヴィンテージ・ブーツを一足加える。
45分焼いて、冷めないうちにお楽しみください!




日本ではほとんど知られていない彼女がラジオで流れたのはこの最新ニュースのため。
●アラン・マッギーの「359ミュージック」がJaq Gallier、Sourya、Mz.Moxyと契約
かつてクリエイション/ポップトーンの立役者アラン・”マーヴェリック”・マッギーが、昨年5月にチェリー・レッド・レコードとのジョイントベンチャーで設立した「359ミュージック」の新規契約を発表した。

359ミュージックの本に新規に加わるのは、ノッティグヒルのシンガーソングライターJaq Gallier、パリのインディートロニカSourya、ゴーゴーポップ・レディMz.Moxy。Mz.Moxyの新曲「Sugar」は5月19日リリース。



日本でも人気の高いアラン・マッギー肝いりだから、今後のポップシーンでの活躍が期待できる。まだまだ未知数だが、他ならぬジョージ&タロヲの縁だから注目していきたい。



募集中
歌って踊れる
女の子

パワーポップ男子がみんなオタク(geek)っぽいのは何故?

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リンゴ・デススター@渋谷TSUTAYA O-nest 2014.3.26(wed)

2014年03月28日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


- GODS DREAM JAPAN TOUR 2014 -
 RINGO DEATHSTARR


Elliott Frazier - Guitar, Vocals / Alex Gehring - Bass, Vocals / Daniel Coborn - Drums

一年ぶりの「林檎死星」来日公演。昨年のライヴレポはコチラ。[3/29 00:15リンクを直しました]



シュゲイザー、ニューゲイザー、J-ゲイザー或はドリームポップと呼ばれるバンドに筆者が惹かれる大きな要因はズバリ美女子の存在である。音楽的にはハッキリ言ってどれも大差ない。厚くファズを効かせたギターと重いベース、直線的なドラムに暮夜けたファルセットヴォーカルを基本型に、ファズを切ってディレイをかけてアルペジオを弾いたり、簡単なリズムチェンジをオカズに入れたり、時々怒鳴ったりしてればシューゲの出来上がり。あとはジャズマスターを如何にカッコ良く構えるかとか、俯いたまま動かないギタリストの代わりにベースがヘドバンし続けるとか、タム回しのとき腕を大袈裟に振リ上げるとか、小賢しい工夫をするだけ。レコードで聴いたら殆ど区別がつかない。そんなドングリの背比べの中でお気に入りを見つける方法はルックス重視しかない。バンド女子目当だから、まず男オンリーはNG。シューゲ界に女子は多いし、大抵ベースが女子なので、ベース女子ヲタの恰好のネタである。
そんな基準で選んだマイベスト・シューゲTOP5発表!

5. THE PAINS OF BEING PURE AT HEART


「純粋な心でいる為の痛み」というバンド名とジャケのイメージがまず魅力的。キーボードの中国系ペギー・ワンがキュート。1stのローファイな音がいい。

4. LUSH


なってったてシューゲ界女番長二人組ミキ・ベレーニ&エマ・アンダーソンの存在感に尽きる。後期ブリットポップ化してからもふたりのおキャンなオーラが素敵だった。

3. MY BLOODY VALENTINE


シューゲの首領マイブラも女子ふたり、特にビリンダ・ブッチャー(g,vo)の佇まいが印象的。存在感は薄いがベース女子デビー・グッキのボーイッシュなショートヘアもいい。

2. ASOBI SEKSU


ニューゲイザーで最初に気に入ったのが遊びでエッチOK?のこのバンド。ユキチクダテの英語と日本語入り交じる歌声にクラクラ。J-ゲイザーの期待の☆だが、2013年10月惜しくも解散。ユキの今後が気になる。

1. RINGO DEATHSTARR


やっと本稿の主人公。アレックス・ゲーリングはシューゲ海の美女NO.1間違いなし。が、アレックスのカワユさに鼻の下を延ばして油断してると、骨太のガレージロックに頭をガツンとやられること必至。13th FLOOR ELEVATORSやZZ TOP、JOHNNY WINTERを生んだオースティン・テキサスのパワーは揺るぎない。

会場は前回と同じでTSUTAYAが付いただけ。前回はねごとさんご一行との遭遇に足が震えたが、今回はライヴが被っているので、不意打ちを喰らうことはない。その代わり某大物バンド(ル○シ○とかス○ゾーとか)が見学した模様。動員は今回の方が多い印象。イマドキの若い世代中心で、真面目そうなサブカルロックファン風が多く、熱心に音楽やバンドの話をしている。バンドマンの彼氏がロック初心者の彼女に蘊蓄を語る図もチラホラ。ロックコンサートが本来あるべき姿なので嬉しくなる。J-POPやフェスの、盛り上がらなきゃダメ、という押し付けがましさには閉口する。

今回が7回目の日本なのでメンバーもリラックスして楽しんでいる。期待のアレックスのファッションは昼間渋谷で買ったという漢字プリントのスウェットに黒のパンツ。筆者を含みスカートを期待した男子ファンにはお気の毒だが、凛とした立ち姿と溢れる笑顔が超キュート。エリオット・フレイザーの豪快なギターとダニエル・コボーンのタイトなドラムは根っこにハードパンクがあることを証明する。ストレートな曲調が多いが、アップテンポとスローを使い分けた構成で聴いてて飽きることがない。前回よりもアレックスがリードヴォーカルの曲が多かった気がした。前回やったツェッペリンネタは無し。アンコールを含めて約100分、高いテンションに貫かれたステージだった。

物販でアレックスがジャケ表に初登場した最新作『GOD'S DREAM』のアナログ盤を購入。サイン会で「ボディはスレンダーだけどサウンドはファット」と言ったら笑ってくれた。眩しい笑顔を網膜に焼き付けて会場を後にした。




林檎たち
星は死んでも
歌は生き残る

そのままタワーレコードに寄り、プールイ表紙のムック本『IDOL & READ』を購入。裏表紙がみりんちゃんで嬉しくなったが、タワレコ特典のポストカードがヤヴァ過ぎて、折角のアレックススマイルが脳裏からすっ飛んでしまった。

コメント (2)
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【JAPAN TIMES翻訳】外国人記者が斬る!BABYMETAL現象&アイドルシーンの現在。

2014年03月27日 01時32分59秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


BABYMETALは「奇妙な日本」ストーリーの最終章ではない。
イアン・マーティン(Japan Times March.25th,2014

英国人は狂ってるね、違うかい?。「バブーシュカ」のPVでコントラバスの周りを踊り狂うケイト・ブッシュ、ファンキーな骸骨コスチュームでニンマリするロビー・ウィリアムス、ククレイジーなテレタビーズとお馴染みの奇妙なダンス。こんな完全にブッ飛んだ気狂い沙汰をやらかす英国人ってどうなんだろう?







聞いたことのない話だろうし、ちょっと怠けてリサーチ不足で、しかも人種差別っぽいが、「英国人」を「日本人」に置き換えて、ケイト、ロビー、ティンキー・ウィンキー、ディプシー、ラーラ&ポーをきゃりーぱみゅぱみゅとBuzzFeedで話題のBABYMETALに置き換えてみよう・・お分かりのように、日本人って狂ってるよね。それ以上何が言える?





何かが狂っているように見えるとき、それは大抵ブッシュ大統領のような特異で型破りな突然変異のせいである場合が多いが、それが組織的に毎回発生する場合は、不合理な状況に於ける合理的な反応である可能性が高い。すなわち日本の狂気は、機能不全のポップ産業に対するアイドル・シーンの反応なのである。

70年代、日本のメインストリームのポップスが健全だった頃は、幅広い音楽スタイルに精通した作曲家たちの豊富なアイデアがメインストリームに活かされていた。それはジャズ、クラシック、サイケデリック、フォークと前衛の世界から来たアイデアだった。当時活躍した音楽家は、荒井(現・松任谷)由実等のスターのように自分で曲を書いたり、森田公一や穂口雄右、または作詞家の阿久悠等のように他人の為に曲を作ったりして、メインストリームで自らを表現することが可能だった。



ポップス歌手にとって、若く・可愛く・女性であることは確かに有利だったが、それでもオーディションで優勝し生歌でライヴをする必要があった。才能がルックスよりも重要だったのである。

80年代にルックスとマーケティングががっちり結びつくようになった。クロスメディアマーケティング、特にコマーシャル出演を通じて、スターが製造され宣伝された。音楽と才能は二の次になった。こうした新しいタイプのスターは「CM(商用)アイドル」と呼ばれた。



90年代にJ-POPはCMアイドル・システムへの反動として、成熟し現代的なイメージのバンドや歌手に力を注いだ。しかし、90年代末にアルバムの売り上げが下降すると、新人ミュージシャンのメジャーへの道は次第に閉ざされた。大きなレーベルは新人バンドへのチャンスを減らし、作家やプロデューサーに払うお金は縮小し、マーケティング方法は再検討された。

大プロデューサーの小室哲哉は、プロデュースした安室奈美恵や鈴木亜美といったスーパースターと同じくらい自分のバンドGlobeのセールスを上げられた。小室の現代版と言われる中田ヤスタカと彼のグループCapsuleは、中田がプロデュースしたきゃりーぱみゅぱみゅやPerfumeなど商業的に強いイメージのアクトの半分も売れはしない。





この状況を頭に置いて見れば、最初はモーニング娘。続いてAKB48が象徴するアイドルポップの復活は、いくつかの点で破壊分子的な存在だと見做すことができる。何故なら、メインストリームのポップ産業に於いて、唯一実力主義を体現するのがアイドルなのだから。



もの凄く男尊女卑的とはいえ、ファンとメンバーの接触により親密さの幻想を保持しようとするAKB48の努力は注目するに値する。たとえ秋葉原の小劇場・握手会・姉妹グループ・グループの中で最も人気者を決める定期的な "選挙"のすべてが収益を得るためだとしても。



音楽的には、AKB48は、ありがちなスーパーマーケット向けポップスであり、メインストリームの劣化コピーに留まっている。しかし、アイドル・シーンのどんなグループでも、他人を傷つけることを恐れる(その結果逆に全員を傷つけることになるが)あまり、人と違うことを避ける傾向を持つメインストリームJ-POPに着いて行けない特定のユーザーや非主流文化に向けて音楽を提供することが可能である。そのためにアイドルシーンは、アンダーグラウンドの音楽作家にプロとして音楽ビジネスに参画する機会を好意的に与えている。

こういったところからBABYMETALが生まれたのだ。彼ら曲の多くは、アングラロック界では有名なポストハードコア/シューゲイズ/メタル/スクリーモバンドCOALTAR OF THE DEEPERSの奈良崎伸毅(通称NARASAKI)の作品である。



NARASAKIは過去に、アヴァンポップ音楽家/作曲家のヒャダインこと前山田健一と一緒にアイドル界のスーパースター、ももいろクローバーZに曲を提供している。他にもニューウェイヴバンド相対性理論のやくしまるえつこ、ピチカート・ファイヴの小西康陽、テクノポップ・パフォーマンス・ユニット(M) otocompo のウスイノブヤ(Dr.Usui)などが、様々なアイドルグループを通じて自らの音楽を発表している。伝説的ノイズバンドの非常階段のJOJO広重でさえ、自称“アンチアイドル”BiSとのコラボアルバムを制作し、アイドルシーンに名を連ねた。









こうして起こった現象により、「カワイコちゃん+α=\\\(お金)」という単純だが効果的なマーケティングモデルを採用することで、アイドル・シーンはオルタナティヴ音楽のアイデアがメインストリームの周辺に参入する新たなルートを開いたのである。そして、サブカルチャー(非主流文化)を愛好するグループにアピールし、強力で筋金入りのファンベースを確立することで、巨大化するインターネットの助けを得つつ、均質化を目指すコアなメインストリーム主流派から無視された文化の一面に発言権を与えた。

アイドルシーンは今や、拡散し様々な方向にひび割れを起こす程の段階に達した。インディーシーンでは隠されてきた女子力プロモーションを白日の下に晒し、タワーレコードのような店が音楽的に関連のないバンドをまとめて「ガールズバンド」としてプッシュしはじめ、サブカルイベントがアイドル的なプレゼンテーションとマーケティングを採用するようになった。







最近のアイドル界で勢力を増してきた平等主義でインディーでサブカルなファンの前では、AKB48のようなオタク中心の過剰な男尊女卑スタイルは非力になった。今のファンは、AKBほどあからさまに性を売り物にせず、より音楽的なグループ、ももいろクローバーZやでんぱ組.inc、そしてBABYMETALを好む傾向がある。



「奇妙/奇怪な日本」ストーリーを何の疑いもなく受容し反復する西洋のメディアは、これらの新しいグループの背後にいる人たちによってますます踊らされることになる。アイドルとは呼べないきゃりーぱみゅぱみゅの大成功に続いて、でんぱ組.incやBABYMETALが「アイドルから・・・世界へ!」という掛け声と共にの海外市場へ進出が続く。



BABYMETALは「My First HEAVY METAL in TOKYO 2012(2012年東京での私のヘビメタ初体験)」というビデオの中で「What’s going on in Japan?(日本で何が起こっているのか?)」と問いかける。彼らのこれまでのキャリアはその質問への注意深く練り上げられた回答に他ならない。もちろん海外のオーディエンスの存在をはっきり意識したうえで。



BABYNMETALのようなアイドルの狂気が観るものすべてに明らかな一方で、それは特定の経済・創造・マーケティング環境から愉しみを作り出す為に自分が何をやっているかを正確に判っている人々の仕事なのである。その意味では、DragonforceやManowarといった西洋のメタルバンドが何十年もファンを喜ばせ同時に落胆させてきた演劇性ほど馬鹿げたものは、他にはないのかもしれない。







なるほどね
外国人にも
わかるのか

【SCOOP!】
でんぱ組.inc、「日清カップヌードル」のCM出演することになりましたー!今日からテレビで流れるのでぜひ見てね( ´・ヮ・`) ‏


[3/27 11:00追記]
★でんぱ組、カップヌードルCMで“SAMURAI”たちの主君に⇒コチラ

<CM企画意図>
『日本という国の良さ、楽しさ、オリジナリティを一番理解していないのは、実は私たち日本人かもしれません。
今回のCMでは、「外国人から見た日本」をテーマに、日本の楽しさや、オリジナリティを逆輸入し、若者達に、この国をもっと楽しもうとメッセージしていきます。
キャッチコピーは「SAMURAI, FUJIYAMA, CUPNOODLE」。
楽しくなければ、美味しくない。
カップヌードルは、いつの時代も、そう信じています。』
(日清カップヌードル公式サイトより)

*ホントにJAPAN TIMESの記事にピッタリのCMだおヽ(*´∀`*)ノ!バビュアンス!w





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【写真満載】きゃりーぱみゅぱみゅ@オーストラリア UNSWロードハウス 2014.3.23(sun)

2014年03月26日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


"KPP NANDA COLLECTION WORLD TOUR 2014"in Sydney, Australia
- DATE: Sunday, 23 March 2014
- Door Open: 7 p.m. / Start: 8 p.m.
- Venue: "UNSW Roundhouse"
the University of New South Wales
Kensington Campus, Sydney.



きゃりーぱみゅぱみゅがワールドツアーのアメリカ・カナダー公演に続き、オーストラリア・シドニーでの公演を行なった。
当初1100名を収客するはMetro Theatreで行う予定だったが、チケット発売後わずかで即完したため、シドニーで5本の指に入る名門大学であるUniversity of New South Walesというキャンパス内にある2100名を収容するホールでの実施となった。



きゃりーはライブ前日の22日に現地入り、SBS、ABCといった 主要TV局と個別取材やオーストラリアで高視聴率を誇る週末朝のニュース番組「Sunrise」の収録へ参加。この番組は過去、One Direction、Pink、Fergie、Avril Lavigne、Psy、Coldplayなどが出演したという人気番組。番組はサテライトスタジオで放送されており、事前にきゃりーのtwitterやfacebookからの呼びかけによって集まった約100名のファンに見守られながらファッションモンスターを熱唱するなど、シドニーでもタイトなスケジュールをこなした。



そしてライブ本番、チケットは勿論ソールドアウト。きゃりーの出演するコマーシャルやミュージックビデオの衣装や思い思いの原宿ファッションに身を包んだ若者達がメルボルン、キャンベルなどから一斉に集まっていた。
3月のシドニーは夏から秋に移り変わってゆく季節、とはいえまだまだ暑い日が続いていた。30度近い気温に少し雨がふったせいもあり、2100名を収容した会場は熱気でムンムンだった。



アルバム「なんだこれくしょん」から「インベーダーインベーダー」でライブがスタート。きゃりーの登場に悲鳴のような声援があがった。
途中のMCでは少し上達した英語で、赤道を超えて初めて南半球にきた感想を「とても暖かい」と報告。「This is my second world tour. This is my first time in Australia!I came across the equator to the south hemisphere for the first time.It's really hot here!」

また、先日国内で発売を発表したばかりの「ファミリーパーティー」をミュージックビデオの解禁に先駆け世界初披露。「Now, this is my first time ever to sing this song live.It's about robot. Please check out my dance move.」と英語でタイアップとなる映画をモチーフにロボットをコンセプトに作ったダンスに注目して欲しいと説明し、初めてのロボットダンスを披露した。



さらには「昨日はコアラとカンガルーを見てきました! 今日はシドニータワーに登ってスカイウォークをやってきました!」と昨日の取材の合間にホテルの近くにある動物園、水族館やシドニータワーに行き、少しのオフを堪能しオーストラリアを満喫できたと話した。

アンコールでは恒例のうさぎの付け耳で登場予定だったが、前日の動物園でコアラの付け耳を入手、シドニー限定で「I'm koala!!!」と登場、きゃりーらしいジョークで会場を和ませた。
(ライヴレポート:HARAJUKU KAWAii!! STYLE



<フォトこれくしょん>
Photos by Johnny Au(the AU.review








★きゃりーぱみゅぱみゅ、初オーストラリア上陸でコアラに⇒コチラ

南下した
なんだこれくしょん
何でも来い



■きゃりーぱみゅぱみゅ国内ホールツアー(タイトル未定)
07月27日(日) 埼玉・戸田市文化会館
08月08日(金) 東京・オリンパスホール八王子
08月12日(火) 宮城・仙台サンプラザホール
08月13日(水) 宮城・仙台サンプラザホール
08月15日(金) 千葉・松戸 森のホール21
08月23日(土) 北海道・ニトリ文化ホール
08月24日(日) 北海道・ニトリ文化ホール
08月26日(火) 北海道・帯広市民文化ホール
08月30日(土) 栃木・栃木県総合文化センター
08月31日(日) 長野・ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
09月06日(土) 新潟・新潟県民会館
09月07日(日) 石川・本多の森ホール
09月14日(日) 山梨・コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
09月15日(月・祝) 千葉・市川市文化会館
09月18日(木) 広島・広島文化学園HBGホール
09月20日(土) 香川・アルファあなぶきホール
09月22日(月) 愛媛・ひめぎんホール
※詳細は4月1日(火)に発表予定。
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後藤まりこ+大森靖子@下北沢GARDEN 2014.3.23(sun)

2014年03月25日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


後藤まりこと大森靖子
出演者:後藤まりこ大森靖子

ご来場者さまへ:この日のイベントは、後藤まりこと大森靖子が同じ時間に同じステージに立って一緒にライブをします。対バン形式ではなく本当の意味で共演するライブイベントです。
⇒イベントの詳細はコチラ



3月14日恵比寿リキッドルームでの『絶対少女』レコ発ツアーファイナルで、カーネーション、ソウル・フラワー・ユニオン、レピッシュなどのメンバーによるバンドをバックにハンドマイクで歌った大森靖子は、激しくヘドバンして床を転げまわるパフォーマンスを見せた。自分の分身ともいえるアコギを手放したとき、溢れ出る情念は小さなマイクロフォンだけでは堰き止めることが出来ず、身体を痛めつけることでしか発散できなかったのだろう。その姿は80年代の「パンク蛹化の女」+「ロリータ108号」=戸川純を継承しているようだった。

同時に筆者の頭に浮かんだのは、地団駄を踏むように飛び跳ね、PAスピーカーに登りオーディエンスの頭上に身を翻す後藤まりこのパフォーマンスだった。二人ともアイドルフェスに出演し異質な空間を共有していることもあり、今回の後藤の共演イベントに圧倒的多数の支持を得て大森が抜擢されたことも納得である。

破壊的なみどりでの活動から、J-POPシンガー&女優へと羽ばたいた後藤の人気は揺るぎない。一方高円寺の魔窟のようなライヴハウスから成り上がりアキバヲタ&原宿女子の支持を得る大森の注目度も鰻上り。オルタナ女子vsフォーキー女子のタイマン勝負は一瞬でSOLD OUT。この日の為にチェキくじが用意され物販は大賑わい。



<同じ時間に同じステージに立つ>とはどういうことかイマイチ想像がつかなかったら、ステージに登場した二人がそれぞれの曲を同時に歌い始めたのに目から鱗。正に宣伝文句に偽りなし。後藤はエレキギター、大森はアコギ、二人っきりのステージ。

「後藤まりこvs大森靖子」動画

その後は代わりばんこに持ち歌を披露しあうスタイルで、お互いに相手の歌に呼応して茶々を入れたりハモったり、相思相愛近親相姦いちゃいちゃした交歓が続く。数年前に後藤がツイッターで自分の電話番号を晒したとき、電話した大森に後藤が善人を装ったアドバイスをした話、それ以前に後藤がやはりツイッターで女子バンドのメンバー募集をした時に大森がキーボードで応募し、一度だけスタジオ入りした話、など二人のマル秘ラブアフェアが暴露される。

キュート&クレイジーなロックシンガー後藤まりこと、人間の性(さが)を暴き出すフォーキー大森靖子。ふたりの表現手段は白黒・明暗・水と油・陰陽・凸凹の好対照を成すが、目指す地平を同じくするが故に、呉越同舟のステージは意外に居心地がいい。1時間強のセッションのエンディングは「ミッドナイト清純異性交遊」を後藤のギターで大森が歌うシュールパンクバージョン。前日のソウルフラワーBiS階段のカオス空間に似た熱狂と興奮を醸し出した。

●大森「スタジオ4時間とってたけど、1時間くらいやったら、二人して「もうコレくらいでいいよねー」「ねー」って練習終わっちゃった。
これ、お互いが互いをダメにする関係だ、って思った」

 

ツイッター
経由で咲いた
百合の花

日本国全土を巻き込んだ春先のカオスの元凶はコレ。


[4/1 16:00追記]
★後藤まりこと大森靖子、同時パフォーマンスで見せた新境地⇒コチラ

                      
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ソウル・フラワー・ユニオン/BiS/非常階段/ソウルフラワーBiS階段@渋谷O-West 2014.3.22(sat)

2014年03月24日 00時29分20秒 | 素晴らしき変態音楽


『ソウル・フラワー・ユニオン「闇鍋音楽祭2014」』
出演:ソウル・フラワー・ユニオン
ゲスト:BiS、非常階段、BiS階段

80年代末から90年代前半ニューエスト・モデルに夢中だった。よくミクスチャーロックの先駆けと言われるが、筆者にとってはヴィジュアルを含めたサイケデリック感覚が魅力だった。特に中川敬の太いヴォーカルと奥野真哉のオルガンに惚れていた。自分のバンドではどうやってもブルース+プログレ風味のヘヴィ・サイケしか出来なかったので、ニューエストのパンキッシュでキレの良いサウンドに憧れた。中川の硬派な歌詞も素晴らしかった。妹バンドのメスカリン・ドライヴも悪くなかったが、歌詞が英語なのがイマイチに感じた。

1993年に両バンドは合体してソウル・フラワー・ユニオン(以下SFU)となる。最初の3枚は購入したが、徐々に疎遠になり聴かなくなった。今思えば、サバート・ブレイズやゆらゆら帝国、スピッツやサニーデイ・サービスといった若干若いバンドに心移りしたのだろう。阪神・淡路大震災以降、社会的な活動で話題になるが、個人的には別れた恋人みたいな気分で忘却を決め込んでいた。

だから、JOJO広重がツイッターでしきりにSFUと合体すると呟いても余りピンと来なかったのが事実だった。しかし、昨年10月の京都ボロフェスタ2013で実現したソウルフラワーBiS階段のライヴ動画を観て心が動いた。ニューエスト時代の代表曲「こたつ内紛争」を演奏しているのである。SFUから心が離れた理由のひとつは彼らが沖縄音楽に接近したことがある。いつからか「ロックにとって南方志向は敗北」という信念めいた気持ちがある。真の芸術は極北を目指すべきであり、温暖で過ごし易い南にはロックが歌うべき苦悩が存在しない、ということ。たいへん歪(いびつ)で差別的な考え方なので、直さなければと思うのだが、いまだに心の何処かに偏見意識が残っていてどうにもならない。しかし南方かぶれのハズのSFUが、BiSと非常階段を迎えて初期のストイック(筆者にはそう聴こえる)なビートナンバーを演奏したことに感動し、焼け木杭に火がついたように東京での「闇鍋音楽祭2014」のチケットを購入した次第。



BiSの解散公演が発表になり、残り少ないBiS階段のライヴなのでBiS研究員が殺到、例年は余裕のある「闇鍋音楽祭」のチケットがSOLD OUT。会場ステージ前は「IDOL」Tシャツが占拠。狭い会場だとモッシュに巻き込まれるので前方は避けるが、O-Westは広いので右端前から3列目に座を定める。

●BiS~BiS階段~非常階段


BiSは内臓白セーラー服で登場。力一杯のステージと呼応してブチ上げる研究員を見るにつけ、アイドルとファンの理想的な関係が結ばれていることを感じる。「アイドルを愛でるのはポケモン育成ゲームのようなもの」という考察が正しければ、先のないアイドルに忠誠を尽くす必要はないハズだが、BiSの場合は「死ぬまで一緒」なのである。ひとつの法則で説明出来る程人間は単純じゃない。



「eat it」でJOJO広重、T.美川、Junkoが加わりBiS階段に。ノイズが鳴るとメンバーと研究員のテンションが過激化する。「好き好き大好き」の途中でファーストサマーウイカがドラムを叩き、ヒラノノゾミが美川の隣で電子楽器を操作。曲が終わると他のメンバーは引っ込み非常階段に雪崩れ込む。ういぽんのドラムは派手でなかなかいい。のぞしゃんも健闘する。このふたりは4月のJAZZBiS階段に参加するので、その顔見せを兼ねていたのかもしれない。



BiSのふたりが退場すると岡野太がドラムに加わり、レギュラーメンバーでの非常階段。会場の雰囲気を一変させるハードコアなノイズ演奏。コレを聴くと、さっきまでアイドルがステージに立っていたことが嘘のようだ。「KING OF NOISE」の地位が35年経っても揺るぎないことを如実に証明した。研究員も判ってきたのだろう、演奏の聴かせ処でコブシを挙げて歓声を発する。



Set List
1. Give Me Your Love全部
2. nerve
3. primal.
4. Hide Out Cut
5. My Ixxx
6. idol
-以上BiS
7. eat it
8. DiE
9. 好き好き大好き
-以上BiS階段

●ソウル・フラワー・ユニオン


キーボードの奥野真哉は大森靖子ワンマンに参加したし、ベースのJIGENは頭脳警察のサポートメンバー。知らず知らずにSFUのメンバーと接触していた訳だ。この日は伊丹英子の代わりにうつみようこがチンドン太鼓で参加。コーラスの上村美保子とふたりで合いの手を入れて盛り上げる。中川敬のヴォーカルは相変わらずパワフル。「人生は祭りだ!」と言う通り、陽性のパワーに溢れた演奏だが、歌の内容はかなり硬派。阿波踊りやハイサイ音頭が入っているが、芯にあるロケンロー魂が不滅であることを感じさせた。



●ソウルフラワーBiS階段


中川によるところの今日4番目のバンドが登場。いきなりジャックスの「堕天使ロック」。中川~うつみ~広重とリードヴォーカルを分け合う。1983年のスターリンとの合体ライヴ、スター階段でもジャックスの「マリアンヌ」が演奏された。日本地下音楽の背骨はジャックスで出来ているのかもしれない。2曲目はバンド演奏で「nerve」。研究員はもちろん会場中がヒートアップ。美川がBiSの振付けで踊っている。3曲目はSFUの「海行かば 山行かば 踊るかばね」。「原発反対!」のコール&レスポンスはバリケードの中の頭脳警察か70年代イタリア共産党大会のアレアを想わせた。アンコールの「こたつ内紛争」では蒲鉾1000個がステージや2階席から会場に撒かれ、アッパーな曲調が火に油を注ぎ完全なカオス状態。BiSメンバーが会場中あちこちに散って何が何だか判らないけどこりゃあめでたいお祭り気分に酔った。



★世の中何が起こっても不思議じゃないんだ ソウルフラワーBiS階段出演「ボロフェスタ2013」レポート⇒コチラ






闇鍋の
中は混沌
おめでたい

同じくボロフェスタ2013で対バンした「わっほい?お祭り.inc」ことでんぱ組.incは3月22日に一般発売した5/6日本武道館公演チケットが完売。こちらもめでたいヽ(*´∀`*)ノ!!!☆



★いざ武道館!でんぱ組.inc、伝説のライブ目指し心境明かす⇒コチラ
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【海外便り】「灰野敬二が英語で歌うとどうなるか?」を徹底解剖!

2014年03月23日 01時18分09秒 | 灰野敬二さんのこと


長年の愛読者のHKさんから教えていただいたのだが、灰野敬二が2月25日に東京現代美術館で開催されたレクチャー(インタビューアー:原雅明)で、新バンド「Hardy Soul」の活動と絡めながら英語で歌うことについていくつか言及していたそうだ。

●Hardy Soulを始めた理由は、灰野敬二の音楽歴における<ロスト・アラーフ以前>を見せるためである。
灰野は高校を中退してからロスト・アラーフを結成するまでの間、R&バンドのヴォーカリストとして歌っていた。キャバレーやビアホールで演奏したが、大抵数曲で中止にされてしまったという。その理由はHardy Soulの演奏を観れば何となく判る。本気過ぎるのである。

●話を通じ易くするために対外的には<R&B>という言葉を使っているが、Hardy Soulにおいて本当にやろうとしているのは<ゴスペル>である。

●Hardy Soulでは絶対に英語でしか歌わない。

上記のポリシーがまずあり、それに則ってバンドの練習を続けてるうちに、

●過去に哀秘謡などでとりあげた曲、たとえば「骨まで愛して」などがゴスペルの解釈で演奏できることに気づき、今、それを独自に英訳している最中である。
SDLXの終演後、楽屋で灰野は「拘りが段々無くなっている。日本語で歌うという拘りを捨てたら楽になり、英語でも自分の表現が出来ることに気がついた」と話してくれた。

3月9日のマニ・ノイマイヤーとのセッションでは日本語中心だったから、決して英語に転向したわけではない。灰野にとっては日本語も英語も自分の表現であることに違いは無い。つまりギターやエアシンセやハーディガーディなど楽器を持ち替えるように、言語も使い分けるに違いない。今まで日本語だけだった灰野の歌の世界が数倍に広がった訳である。



さて、3月2日スーパーデラックスに於ける灰野+オルーク+アンバーチのライヴ音源を聴いたアメリカのAn Unofficail Keiji Haino Websiteの管理人David Kefferが感激のあまり長い感想文をメールしてきた。英語で歌う灰野についての英米人の反応の一例として翻訳を掲載する。

灰野の歌詞 
デヴィッド・ケファー

私自身作家なので、歌詞に関しては特別のこだわりを持っている。陳腐な歌詞は聴きたくない。それが私がジャズやインスト曲を好む理由だ。サックスのように楽器が声の役割を果たすならば、バカげた歌詞に悩まされることも無いから。

一方、常に私の心の琴線に触れる、型にはまらない歌を作る音楽家も数人存在する。
以前話したように私はAnd Also The Trees(アンド・オルソー・ザ・トゥリーズ)という英国のバンドが好きだが、それはシンガーの声と歌詞の選び方に負うものだ。
またSwans(スワンズ)/Angels of LightのMichael Gira(マイケル・ギラ)は、アルバムに必ず1,2曲本当に力強い歌詞の曲があるので好きだ。
もうひとりの好きな作詞家はDavid Sylvian(デヴィッド・シルヴィアン)。特に2003年の『Blemish』でデレク・ベイリー等ノンイディオマティックな音楽家とコラボして以降の歌詞が素晴らしい。

この3人に灰野敬二を加えたい。今までずっと灰野の歌詞を愛してきた。1990年代に灰野の大抵のCDブックレットに掲載されていた歌詞の英訳を読んでとても興奮した。灰野の考えを完全に捉えた Alan Cummings(アラン・カミングス)の翻訳スタイルが好きだ。Alanは本当に上手い。

だからアランが日本からロンドンへ移住して以来、灰野のアルバムに歌詞の英訳が掲載されなくなったことにガッカリしていた。アルバムを聴きながら同時に英訳された歌詞を読むことで、日本語を理解出来なくても、充実した体験を得ることが出来たのだから。

1990年代に化学工学科の大学院生だった頃、フィルムの流体力学の研究のためにコニカや富士フィルムから留学中の日本人の同級生が数人居た。彼らに灰野のCDの日本語タイトルと歌詞を見せたら、いつも笑われた。彼らから、「不失者」とは極めて英訳し辛いが、「失われない人」のような意味だと教えられた。少なくともそれは90年代初期以来の私が理解していた事実のひとつだった。

私が運営する出版社「Poison Pie Publishing House」では、私が書いた小説のイントロとして、物語の導入部に詩を引用している。何度か灰野の言葉を引用した。⇒デヴィッド・ケファーの著作及び出版社についてはコチラ

例えば、2012年の“The Sutra of Reverse Possession: A Novel of Non-Idiomatic Improvisation(所有逆転の教典:非イディオマティック・インプロヴィゼーション小説)” では、歌詞ではないが、灰野の詩を引用した。

”That, which while enfolding this now and
present perfume,
speaks, ‘I will use to the fullest this form
bestowed upon me’
and blurs into the firmament~
ah, where and in what form will it next be
devised”
―Keiji Haino


『デレク・ベイリーの魂の安息のための祈り』(The Wire, February 2006, issue 264)より
初めて読んだ時から私はこの詩が好きで、ポスターを作って数年前に灰野に送ったこともある。

別の例では、2010年の“The Horties: An Invisible Novel” に次の歌詞を使った。

”The tenderness remembered most
Is the calm when everything becomes nothing
When I no longer know which way to go is
When I rejoice most, I suppose
Watching you then is when I
No longer have need of wings”
―Keiji Haino


一番憶えている 優しさは
何もかもなくなっている時のやすらぎ
どっちの方がいいかもわからなくなってしまっている時が
一番 しあわせかな
そんな時の君をみている僕は
もう翼なんか要らなくなった時さ


不失者『完結されもしない死』(1997年 徳間ジャパン)より「僕に似つかわしいもの」アラン・カミングス訳
私はこの引用部分の一風変わったロジックが好きだ。

3番目の例は、1999年の“Alton & Eugenia: Twelve Stories”で、以下の歌詞を導入詩として使った。

”You, miracle, yearning for a miracle,
If you confess you were nothing
From the beginning all will go well, won't it?”
―Keiji Haino

奇跡を待ち望んでいる奇跡自身よ
お前自身が何もなかったと告白すれば
初めから 何もかもうまくいくのさ


不失者『完結されもしない死』より「うまくいったのに?」アラン・カミングス訳
この部分はこの小説全体を貫くテーマである疑問を捉えている。

灰野の歌詞はそれ自体で最高の文学だと思う。
そういうわけで、灰野が英語で歌うのを聴くのはとてもスリリングだった。特に最近のCDには歌詞の英訳が付いてないから。
演奏自体に関しては、日本語で歌うのと変わらず完璧に一貫性のある演奏だ。何回も聴き返した。
私の家族もそれぞれ私の部屋に来て、それを聴いた。最初は8歳の息子ジョセフ、次に妻。彼らは今まで灰野敬二の音楽を家のあちこちで聴いてきたので、灰野が英語で歌うのを聴いてとても興味を持った。

私は今まで灰野が日本語で歌うのを聴いて、言葉の意味は理解出来ないが、演奏を通して歌詞の感情を感じ取った。
(灰野が英語で歌うことで)演奏を聴くのと歌詞を理解することが両方が同時に出来ることは素晴らしい体験だ。灰野が英語の歌詞でレコードを作ったら、気に入るリスナーは多いだろう。たぶん嫌う評論家も少しはいるだろうが。

歌詞に関して言えば、灰野のお気に入りの歌詞のアラン・カミングス翻訳版の書籍を出版して欲しい。例えば右ページに日本語、左ページに英語のスタイルで。そんな書籍は最高だ!以前英訳された歌詞と訳されたことの無い歌詞両方含めればいい。
出来れば私の「Poison Pie Publishing House」から出版するのでも大歓迎。もっと宣伝の上手い出版社を見つけてもいい。
なにとぞご検討の程、よろしくお願いします。

英語なら
判るの人は
80カ国超

<灰野敬二アメリカツアー>
2014.03.27(Thursday)
The Wick & desertshore Present Keiji Haino solo
@The Wick(260 Meserole St.11206Brooklyn, NY, US)

2014.03.29(Saturday)
Big Ears 2014
@Knoxville, Tennessee(March 28-30)
LINEUP:Nazoranai (Keiji Haino, Oren Ambarchi, Stephen O’Malley), etc..

2014.03.30(Sunday)
Big Ears 2014
@Knoxville, Tennessee(March 28-30)
LINEUP:Keiji Haino (solo), etc..

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大友良英「千住フライングオーケストラ 縁日」@足立市場 2014.3.21(fri)

2014年03月22日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


大友良英 「千住フライングオーケストラ 縁日」
日時:平成26年3月21日(金・祝) 14:00ー19:00 ※雨天時は内容変更
会場:東京都中央卸売市場 足立市場[足立区千住橋戸町50]
出演:大友良英、遠藤一郎、大友良英スペシャルビッグバンド ほか



3月21日足立市場で大友良英プロデュースの一風変わった縁日を開催します。沢山のへんてこな屋台が出る中、千住フライングオーケストラが音の出る凧をあげたり、大友良英スペシャルビッグバンドの演奏があったり(もちろん“あまちゃん”もやります)、他にもいろいろあります。いろいろやります。春の一日、大人から子供まで、のんびりゆる~くちょっぴり風変わりな縁日を楽しんでみませんか。
(大友良英)

■いろいろ演目
オープニングセリモニー
秘密のマグロショー
大友良英スペシャルビッグバンド on ターレー
遠藤一郎 よってらっしゃいみてらっしゃい、いまだかつてない大漁旗ランニング/未来龍千住大空凧
千住フライングオーケストラ 音の出る凧/音の出る提灯

■いろいろ屋台
フリージャズCosmos Report屋台、ラス セレシータス、うずまき屋台、さかなうたやさん、シャシャ コーロリン 春の音、箱のたたき売り、音遊び「とねり」小屋、ハ、てづくりがっき「りーるとぅりーる」屋、(その場で中継)ゆびさき森ものがたり、宇宙積み木、へんなうごきサイファー、オバケダイガク、えとことばの釣りぼり、ノイズ占い、あなたにも、「前髪マジックミラー」屋台、はにぃとゆーみんの占いコーナー、日々の花々、似顔絵コン、非公式物産展、喫茶 『図画工作』、おにんぎょうづくり屋台、アラクネ釣り堀、people太のヒトヤ、twinkle、がちゃぽんポエム、かるたかたるや、秒ノイズ、★アロマ&和ハーブハンドケアと和素材ものづくり★、コンクリートドロップ、大人の鬼ごっこ、オノマトペラッパー、仮面屋さん、MD屋 ーまだまだ現役!MDプレーヤー一挙100台、大放出!ー、ジョナクルキャッツ☆、石積みや、ドーナツ屋 アスカタスナ、ぽろっと寄りみち ほくろさんぽ、become works!!、しましま屋台、ピンポンゲーム・跳跳楽、ビリビリ焼きそば(焼きそばは販売してませんよ~)、テキトーに音出そ~よぉ 椅子→弦楽器?、いちまいばなし、おんみつ屋、tokyo african、ちよだ音楽連合会、ハナミヤ、ノイズ占い、おやつ石、旅する服屋さんのしぜんぞめ開運おみくじ、宇宙積み木
橋戸町理事会(もつ煮込み・ソースせんべい・缶ジュース・くじ)、千住河原町自治会(玉こんにゃく)、JOTOクラブ(焼きそば)、千寿城東小学校おやじの会(牛串・マグロ串)、千住魚河岸ねぎま鍋(ねぎま鍋)、おくのほそ道ネットワーク(千寿葱ピクルス・芭蕉煎餅)、宏月(復刻 文化フライ)、千住家元チョコバナナ(チョコバナナ・ポップコーン)、ぺこぺこ亭(フランクフルト・唐揚げ・カレーコロッケ)、ヤッチャイ屋台(北のあま酒ちゃん、惣菜パン、コロッケ、牛鉄板焼き)
などなど



2012年11月3日足立市場でジョン・ケージ「ミュージサーカス」というイベントが開催された。芸術監督はヴォイスパフォーマーの足立智美。広い会場で複数のパフォーマンスが同時多発的に行われる。パフォーマンスの順番はケージの偶然性理論に従って分刻みで細かく指定されているが、観客は難しいことを考えず色んな音楽や踊りを楽しめる。実際に家族連れや年配者が多くアートイベントというよりお祭りに違いなかった。

足立区のアートプロジェクト「音まち千住の縁」が今年はもっとハッキリと「お祭り」を打ち出した。2011年に大友良英が中心になってスタートした千住フライングオーケストラによる「縁日」。前回のようなアート色よりも日常性・庶民性を打ち出すのは大友らしい。"あまちゃん"スペシャルビッグバンドの出演も話題作りではなく、地元住民へのサービスだろう。注目は市場で使われているターレットトラック(ターレー)を利用した一般公募による"いろいろ屋台"。1年半前もよくぞこんなに多彩なパフォーマーが集まったものだ、と感心したが、今回は音楽・芸能に留まらないので、より混沌とした参加者が望める。



事前にタイムスケジュールが公開されなかったので、のんびりと市場へ向かった。会場に着いた時にはスペシャルビッグバンドとマグロショーが終了していた。メイン会場に並ぶ屋台を観て歩いた。多くの屋台で子供を中心に観客を巻き込んだ出し物が行われている。音楽や踊り、ゲームやお絵描き、それ以外にも奇想天外なものがある。"おやつ石"という口に入れて味わう小石の販売、"世界一短いCD"は収録時間1秒のCDR販売。何のためにあるのか判らない屋台も。歩きながら声をかけたり、ゲームに参加したり、結構楽しめそうだが、如何せん寒い。3月後半は普通なら桜開花間近で暖かい筈だが、よりによって北風の強い真冬日。風が吹いたらやる予定の"音の出る凧"は風が強過ぎて無理そう。日暮れ後開催する"音の出る提灯"まで待つのは寒くて断念。1時間程うろついて退散。野外イベントは天候に左右されるから仕方ない。出演者は帰るわけにもいかないので、結構辛かったかもしれない。



縁日で
遊んで過ごして
風邪引くな

結局大友の姿は見れなかったが、今年のフェスティバルFUKUSHIMAはどんなだろう?

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ZEK3=清水くるみ+米木康志+本田珠也@新宿ピットイン 2014.3.19(wed)

2014年03月21日 01時08分14秒 | 素晴らしき変態音楽

(写真の撮影・掲載については出演者・会場の許可を得ています。以下同)

ZEK3!
清水くるみ(P)米木康志(B)本田珠也(Ds)
Led Zeppelinの曲のみ演奏、毎回ハードに熱く疾走するこのピアノトリオ。本田珠也のジョン・ボーナム化!も聞き所のひとつ。でも、もちろんこのメンバー。ジャズトリオとしても魅了満載です。



ペーター・ブロッツマン来日ツアーの最終公演は、荻窪アケタの店での「Brötzmann-Yagi-Honda」、すなわちブロッツマン(sax,cla)+八木美知依(21絃箏、17絃箏)+本田珠也(ds)のトリオだった。ツアー最後の夜に相応しい地球を揺るがす(earth-shaking)熱演だったという。マニ・ノイマイヤーとの共演を観て改めて感銘を受けた八木の箏に、ブロッツマンのサックスの咆哮と本田の爆裂ドラムが加わったカオスを見逃したのをプチ後悔。そんな矢先に清水くるみから予期せぬメールが突然届き、ピットインでZEK3のライヴがあることを知った。先月なってるハウスで初めて観て、本田と清水と米木が生み出す非ジャズグルーヴに昇天しかけたトリオを、ジャズの聖地ピットインで追体験することにした。



清水からのメールによると、ZEK3は今年結成10周年を迎える。結成のいきさつは前回本田に聞いた話とは若干食い違いがある。
「ある時、ロックにも名曲があるので、ロックの名曲のセッションをしてみましょう、と。ところ が、売れっ子の二人(私以外の)の共通空き日が半年先だったので、選曲をメールでやり取りしているうち、ZEPの曲が、インプロヴィゼイションの素材とみた場合、他のものとは可能性、奥行きが断然深いと気付き、ZEPの曲のみのセッションにしないか珠氏に打診したと ころ、面白そうだね、と。その(一回こっきりの筈の)セッションは2003年末でしたが、面白いから続けよう、と、2004年からZEK3として活動を始めました。」(清水くるみ 原文ママ)
10年前のことだから記憶違いは当然。また「バンド間では、『話は面白ければいい』という格言もあります」(清水)という通りに、事実に拘るのは野暮ってもの。重要なのはZEPの知名度に肖るのではなく、即興演奏の素材としての楽曲の可能性を追究すること。「素材」だから有名曲である必要はないし、ZEPの名を借りて人気を集めようという意図もない。



最初くらいは静かにやりましょう、とクラシック風のコーダで始まったステージは、音響の良さもあり、ロマンティックな抒情性に溢れている。曲が進むにつれ熱を帯び、清水と本田が激しいプレイを繰り広げる。真ん中に立つ米木が堅実なベースラインでボトムを固めるので、左右の二人は自由気ままにインプロヴィゼ―ションを展開できる。客席中央で聴いたら立体的なステレオ感が楽しめるだろう。



圧巻は2ndセットの「モビー・ディック」に違いない。40分近く繰り広げられるドラムソロは、ボンゾ(ジョン・ボーナム)が憑依したとしか思えない本田の本領発揮だった。観ている方も知らず知らずに身体に力が入り、心地よい疲労感を覚えた。本田が「このトリオを観ることは、僕のドラムを理解すること」と語った意味が120%実感できた。トータル演奏時間の三分の一がドラムソロという無謀なセットリストは、ジャズ/ロック/即興のジャンル分けを一掃する気概に満ちたこの三人にしか考えられないだろう。そういう意味ではバンド名通り「絶句」してしまう一夜だった。

1st Set
1) Friends (Led Zeppelin III)
2) Hots on for Nowhere (Presence)
3) Ramble On (Led Zeppelin II)
4) Four Sticks (Led Zeppelin IV)

2nd Set
1) Gallows Pole (Led Zeppelin III)
2) Moby Dick (Led Zeppelin II)
3) Ten Years Gone (Physical Graffiti)
4) Whole Lotta Love inc Goodtimes Badtimes (Led Zeppelin II / Led Zeppelin))

encore
Train Kept a Rollin’ (The Yardbirds)

ZEPから
ZEKまで
音楽の輪



【ライヴスケジュール】
<ZEK3>
4月27日 小岩コチ  
5月5日  中野セロニアス    
5月15日 関内KAMOME
6月21日 入谷なってるハウス
7月21日 新宿ピットイン
<ZEK3 九州ツアー>
7月23日 大分BRICK BLOCK 
24日 宮崎Life Time  
26日 UMKJamNight   
27日 高鍋(会場未定)
29日 鹿児島(会場未定) 
30日 熊本おくら
31日 長崎パラノイア  
8月1日 柳川ファンクール   
8月3日・4日 福岡New Combo

<ZEKオーケストラ>
5月12日 西荻窪アケタの店
tp渡辺隆雄 as林栄一 ts片山弘明 bs松本健一 p清水くるみ b早川岳晴 ds本田珠也
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