A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【セットリスト+MIX音源公開】新春地下音楽はじめ〜盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.32』 @ 渋谷 DJ Bar EdgeEnd 2020/1/26 sun

2020年01月29日 09時10分27秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.32
Nouvel an sous terre tôt 新春地下はじめ

2020/1/26 sun 渋谷 DJ Bar EdgeEnd

雪の予報で客足が心配されたが、魔盤を求める愛好家たちが集まりとても良いスタートを切った。レギュラーDJ陣の安定の異端音楽DJプレイ、ゲストのDJ malo23 a.k.a. Mark LoweとDJ Vegavis a.k.a. 鈴木恒史のそれぞれ個性的なDJプレイ、ライヴアクトDJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+橋本孝之(.es)の白熱のパフォーマンス。DJ Vaby a.k.a. 大場弘規がインフルエンザ感染のため欠席だったが、渋谷の夜を新年あけましておめで地下の祝祭で飾った。



TIME TABLE
18:00-18:30 Free Zone 自由参加
18:30-19:00 DJ Vegavis a.k.a. 鈴木恒史
19:00-19:30 DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
19:30-20:00 DJ Bothis a.k.a. 山田遼
20:00-20:30 DJ malo23 a.k.a. Mark Lowe
20:30-21:00 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
21:00-21:30 LIVE ACT:DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+橋本孝之(.es)



●DJ Battle : Free Zone 自由参加


DJ Necronomicon
1. ポール・モーリア・グランド・オーケストラ / エーゲ海の真珠
2. Chihiro S. LACRYMOSA / Lacrymosa
3. Still / sa-ma-yo-i
4. Synchronize / Priest
5. バグダッド・ハネムーン / 僕の青空

DJ Qliphoth
1. Hierakonpolis / Flint Glass
2. Ergon / Igor Wakhévitch – LOGOS
3. Gnonmo / Ariel Kalma – Osmose

●DJ Vegavis a.k.a. 鈴木恒史


1. D-DAY / Citron(Live at 渋谷LA MAMA Jul.1986)
2. アマリリス / おとうさん
3. コクシネル / 夜の唄
4. 泯比沙子 & KLINA-MEN / HAGOLOMO
5. Neo Museum / 月あかり
6. STILL / Sweet Warm Rain
7. SARASVATI / dendrocacaglia
8. 4-D (Mode-2) / 雪鳥
9. 4-D (Mode-2) / en Soirée de Chérubin
10.アマリリス / 愛の呪文(石川秀美カヴァー Live at 新宿LOFT Oct.1986 私家版)

●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元


1.Conrad Schnitzler / Conrad no.2 (from "Conrad & Sohn")
2.THE DADA COMPUTER by 5XOD / Automation
3.Conrad Schnitzler / Conrad no.3 (from "Conrad & Sohn")
4.DJ置石 / コブシゴリラBurst Bash Loopout
5.5XOD / Negative Terminal Data
6.Conrad Schnitzler / Gregor no.5 (from "Conrad & Sohn")
7.DJ置石 / ミクロ/マイクロスケープズームイン高周波振動型sine wave,拡大現地録音響vs竹床しばき型Bamboo Atackz + LOUD E / Get Down On Me

●DJ Bothis a.k.a. 山田遼


1.His Divine Grace - Les Chevaux De Feu
2.Apoptose - Violet Silence
3.Nocturne - Offensive...
4.Apoptose - I Say Seven
5.Les Joyaux De La Princesse - Untitled(taken from”Croix De Bois - Croix De Feu” 1st song)
6.Taint(R.I.P) - Justmeat

●DJ malo23 a.k.a. Marc Lowe


1. Jeff Buckley: You & I
2. Trent Reznor & Atticus Ross, feat. Karen O: Immigrant Song
3. David Bowie: Bring Me the Disco King (Marc Lowe Remix)
4. Marc Lowe: Blackened Nails
5. Marc Lowe: The Sea at Dawn
6. Danger Mouse & Sparklehorse, feat. David Lynch: Dark Night of the Soul
7. Jonsi & Alex: Boy 1904

●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


1. El divino Dalí / Être Dieu - Igor Wakhévitch / Salvador Dalí
2. Mange-machine / Flint Glass | Polarlight 4.1 |Transister – Zoran’s Equation
3. Oorlog / Empusae - Mortusae
4. the edge of certainty / Iszoloscope –the edge of certainty
5. Hymme a Sathanael / Igor Wakhévitch – Hathor
6. Red Passage Overture / ESA –Themes of Carnal Empowerment Pt.1 : LUST
7. prologue / Ah Cama-Sotz –Ghost in the Shadows
8. sakrahl / Ah Cama-Sotz–Ghost in the Shadows
9. Über Die Brutalität / hypnoskull – Die4 Generation
10. One eYed Man / This Morn‘ Omina –7 Years of Famine
11. kaban / Tzolk’in –same
12. Beauty of Decay / Empusae (Circumsounds –Flint Glass)
13. The servant of wrath part 1 / Flint Glass & Collapsar – Deus Irae
14. Echorgen / Ariel Kalma – An Evolutionary Music
15. Sabbat Ⅲ〚The Dark Path〛/ Ah Cama-Sotz – Mantra
16. dust particles / Flint Glass – hierakonpolis

●LIVE ACT:DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+橋本孝之(.es)


DJ Necronomicon使用音源
・Field Recording London March 2019
・Necronomidol / Sarnath
・Pierre Henry / Variations Pour Une Porte Et Un Soupir
・Pierre Henry / Voile D'Orphée I Et II
・Pierre Henry / La Noire À Soixante
・黛敏郎 / まんだら 電子音響と声による
・Karlheinz Stockhausen / Gesang der Junglinge
etc.

DJ Necronomicon使用楽器


【MIX音源】
盤魔殿 vol.32 20200126sun EdgeEnd FULL SIZE
ダウンロード期限 2020年3月29日(日)

GigaFile Link

DJを
してみたい人は
音源(CD,LPetc)持って
自由参加の
FREE ZONE

【NEXT PARTY】
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.33
Anniversaire de l'empereur dé mon 魔の天皇誕生日

2020/2/24 (mon/holiday) 渋谷 DJ Bar EdgeEnd
18:00 Open/Start ¥1,000 (1drink 込)

Special Live Act: Mojo Beatnik(投げ銭制)
盤魔殿 DJ+ゲスト
<令和天皇誕生日の翌日は盤魔天皇が生まれる日>

MOJO BEATNIK 20170819@hatagaya heavy sick
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【華麗なるラブ・サウンドへの招待】第1回:『ポール・モーリア・ビートルズの世界』〜Paul Mauriat meets Paul McCartney

2020年01月24日 01時48分57秒 | こんな音楽も聴くんです


『ポール・モーリア / ビートルズの世界』
ポール・モーリア・グランド・オーケストラ
Le Grand Orchestre De Paul Mauriat Joue Les Beatles
Philips ‎– PM-10 / 1973

A1 Michele
A2 Girl
A3 Yesterday
A4 Hey Jude
A5 Get Back
A6 My Sweet Lord
B1 Let It Be
B2 Penny Laine
B3 Ticket To Ride
B4 Lady Madonna
B5 Goodbye
B6 Eleanor Rigby

最近海外で日本の音楽の一部のジャンルに突然注目が集まる現象が起こっている。環境音楽(ニューエイジ/アンビエント/ヒーリング)やシティポップなどがそうだ。それに影響されて日本のレコードヲタクが曾ては百均コーナーでも見向きもされなかった駄盤や、逆に誰にも知られず地下に葬り去られた堕盤を求めて大枚が飛び交う主客転倒が見られる。人の振り見て我が振り直せ、じゃないが誰も知らない珍盤を求めて日々エサ箱やネットショップを掘り続ける盤魔殿DJも大いに反省する必要があるかもしれない。指先を黴と埃で真っ黒にしながら100円レコードコーナーを掘る理由は、奇盤珍盤との予期せぬ出会いを求める気持ちもあるが、寧ろ自分が聴かず嫌いして避けて来たメジャーレコードへの贖罪の旅に近い。彼らを100円の墓場から救い出し、黴と埃を拭って新鮮な聴力でじっくり鑑賞することで、地上を彷徨うレコードの生霊を極楽浄土へ成仏させようとするレコ助けか塩ビエクソシストを気取っているに違いない。

さて、昭和40年代の小学生にとって一番有名な海外ミュージシャンは、ビートルズやベートーベンではなくポール・モーリアだったと断言したい。給食の時間の放送委員の校内放送で「エーゲ海の真珠」「オリーブの首飾り」「恋はみずいろ」がヘヴィローテーションされたいたし、商店街で流れるNHK第1放送は1時間に数回ポール・モーリアをかけていた。 漫画雑誌の「オバケのQ太郎」か「おそ松くん」か「天才バカボン」に登場したゴージャス気取りのキザ男が、通販で買った合皮のライオンの皮を敷いたソファでネスカフェゴールドを飲みながらポール・モーリアのレコードを聴いて悦に入るエピソードが強烈に記憶に残っている。それほど日常風景に溶け込んだ彼の音楽こそ本当の意味での環境音楽と言えるだろう。逆にいえば当たり前過ぎて語ることが憚られる(語れるほど詳しい人がいない)禁断の存在かもしれない。

Paul Mauriat - Love Is Blue~El Bimbo 恋はみずいろ~オリーブの首飾り


イージーリスニング、ムード音楽、さらにはラブサウンドと言う意味不明なジャンルに於いて「王様」の称号で呼ばれたポール・モーリアだが、実際に聴いてみるとレーモン・ルフェーブル、フランク・プゥルセル、カラベリときらめくストリングス等他のイージーリスニング・アーティストとはひと味違う個性的なサウンドを持つことがわかる。まずはモーリア自身が弾くチェンバロのエレガントな音色、艶のあるストリングスと生々しいドラムやギターの対比、スキャットとシンセサイザーを同レベルで並べる斬新なアレンジ、ステレオ効果やオーディオ映えを吟味したレコーディングの妙。「Easy Listening=平易な聴きとり」の真逆の「凝りまくった聴取体験」を与えてくれる。。にもかかわらず気楽(Easy)に聴けるのは彼の天賦の才に違いない。つまり安全なドラッグである。それでもキメすぎると命に関わる大事に至るかもしれない。それはつまり、無数に発売された曲順違いのベスト盤を無限に買い続けるしかないポール・モーリア・コレクターと言う名のレコード廃人へと至る道である。

Paul Mauriat — Toccata


昨年100円コーナーで入手した13枚組ボックスセットをその日の気分で流してはキザ男よろしく悦に入っていたが、実のところ一番好きなのはポール(といえばモーリア先生以外に有り得ない)のご尊顔であることに気がついた。トレードマークの口髭と深い灰色の瞳、無造作に整えたヘアスタイルにさり気なくオシャレなパリファッションで優しい微笑みを浮かべるポール様!嗚呼(溜め息)。。。。数多いベスト盤にはポールのアー写ジャケットは以外に少ない。あっても指揮中の似たような写真のクソコラが多い。その中にあってポールの豊かな表情を様々な角度から捕えたポートレートを表4枚、裏4枚もあしらったこのアルバム・ジャケットの贅沢さは彼のリリース作品中、1,2を争う萌えジャケである。しかも天下のビートルズ・ナンバーのコンピレーション。世界一有名なロックバンドを世界一のラブ・サウンドの王様が奏でる。カラヤンのベートーベンを遥かに凌駕するこのアルバムこそ、後世に語り継がれるべきポールの遺産だと考えてみれば、今頃天国のポール(モーリア)がもうひとりのポール(マッカートニー)に「早くおいで」と手招きをしている姿が容易く幻視できるだろう。

Paul Mauriat - Beatles Album (France / Holland 1972) [Full Album]


実はこのジャケットは日本盤のみ、曲順も日本人好みに並べ替えてある。日本人のポール愛と共にポールが大の日本贔屓だった証拠である。 (左上からフランス/イギリス/ベネズエラ/ニュージーランド/日本各国盤)



モーリアも
マーッカートニーも
イニシャルはP.M.

筆者が敬愛する地下音楽家も「ポール・モーリアにはときどきドキッとさせられる」と語っていた。

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【先行プレビュー】フリージャズ革命のドキュメンタリー映画『FIRE MUSIC:A HISTORY OF THE FREE JAZZ REVOLUTION』パイロット版

2020年01月22日 01時03分42秒 | 映画やDVDのこと


FIRE MUSIC: A HISTORY OF THE FREE JAZZ REVOLUTION
Executive produced by Thurston Moore & Nels Cline, Tom Surgal's FIRE MUSIC is the definitive documentary of the Free Jazz revolution.

監督:トム・サーガル、制作:ダン・ブラウン、エグゼクティブ・プロデューサー:サーストン・ムーア(Sonic Youth) & ネルス・クライン(Wilco)/上映時間71分

2015年に制作が発表され、アメリカのクラウドファウンディング「Kickstarter」で制作資金を集めた(筆者も75ドルで申し込んだ)っきり、制作が遅れに遅れていたドキュメンタリー映画『ファイアー.ミュージック:フリージャズ革命の歴史』が4年半経ってやっとパイロット版が完成した。昨年春と秋にアメリカのフィルムフェスティバルでプレミア上映されたが、日本では観ることが出来ず諦めていたところ、今年に入って資金支援者のみに限定ストリーミング公開された。
【朗報】サーストン・ムーア等がフリー・ジャズのドキュメンタリー映画を製作中。支援者募集も。



1950年代〜70年代当時のジャズシーンのライヴやミュージシャンの映像と、数多くのフリージャズのミュージシャンの証言(インタビュー)を中心に作られている。イントロのアーケストラの破壊的なライヴ・パフォーマンスに度肝を抜かれる。それ以外にもレアな演奏シーンやオフシーンが多数登場する。インタビューは字幕無しなので詳細な内容まで聴き取れなかったが、フリージャズ革命の渦中に居た者ならではの貴重なドキュメントになっている。ソニー・シモンズとプリンス・ラシャの二人が異口同音に語る出会い(プリンス・ラシャの山師っぽい語り口がいい)、エリック・ドルフィの最期を看取ったIngrid Sertsoとカール・ベルガーの逸話、ドルフィーを認めるコルトレーンと偽物呼ばわりするマイルス、音楽界に衝撃を与えたにも関わらずギャラが少なくて貧困生活を余儀なくさせられるニューヨークの黒人フリージャズ・ミュージシャン、特に駅のベンチで数ヶ月間野宿生活を送ったというカーラ・ブレイ、それを解決するためにビル・ディクソン等が組織したジャズ・コンポーザーザ・ギルド、そしてジャズの10月革命の喜び。ニューヨークとは異なる形でフリージャズが発展したシカゴやセントルイスのシーン、しかし事態は好転せず、彼らを最先端の芸術家とリスペクトするヨーロッパ、特にパリへの移住、70年代ニューヨークへ帰国したミュージシャン達を迎えたサム・リヴァースのスタジオ・リブヴィーをはじめとするロフト・シーンの活況。ヨーロッパの伝統に支えられ独自のフリー・ミュージックが発展したヨーロッパ・シーン。最後を飾るのは土星から来た音楽家サン・ラ。映画のエンディング近くに出てくる「80年代以降、ジャズの主流が逆行し、時代はアヴァンギャルドを消去する方向に転換した」というテロップが目に痛い。



●主なフィーチャー
Charlie Parker チャーリー・パーカー
Ornette Coleman オーネット・コールマン
Cecil Taylor セシル・テイラー
New York Scene ニューヨーク・シーン
John Coltrane ジョン・コルトレーン
Eric Dolphy エリック・ドルフィー
Jazz Composers Guild ジャズ・コンポーザーズ・ギルド
The October Revolution ジャズの10月革命
ALbert Ayler アルバート・アイラー
Midwest Is Burning 中西部は燃えている
Art Ensemble Of Chicago アート・アンサンブル・オブ・シカゴ
The Loft Scene ロフト・シーン
Europe ヨーロピアン・フリー・ミュージック
The Man From Saturn 土星から来た男(サン・ラ)



●主なインタビュー出演者(ほぼ登場順)
Bobby Bradford
Sonny Simmons
Ingrid Sertso
Carla Bley
Tristan Honsinger
Noah Howard
Rashied Ali
Norman 'Sirone' Jones
Prince Lasha



John Tchicai
Karl Berger
Archie Shepp
Bill Dixon
Roswell Rudd
Burton Greene
Barry Altschul
Dave Burrell
Marion Brown



Muhal Richard Abrams
Anthony Braxton
Roscoe Mitchelle
George Lweis
Oliver Lake
Joseph Jarman
Gunter Hampel
Wadada Leo Smith



Sam Rivers
Warren Smith
Günter Sommer
Peter Brötzmann
Barry Guy
Han Bennink
Paul Lytton
Misha Mengelberg
Evan Parker
Derek Bailey
John Gilmore
Marshall Allen



制作が開始されてから、ラズウェル・ラッド、ムハール・リチャード・エイブラムス、セシル・テイラー、ミシャ・メンゲルベルクなど往年のミュージシャンが鬼籍に入った。それも制作が遅れた原因であろう。しかしこの映画により記録としてアーカイヴされたことで『フリージャズ革命』の真の歴史が後世に残されることになった。とはいえ、30年以上に亘る動乱のすべてをたった1時間強にまとめることには無理があるのも確か。ここから始めて、より詳細な時代検証が進むことに期待したい。

また、パイロット版ではまだ多少編集や手直しが必要な部分が目付くが、改善され完成した暁には、日本語字幕付きで小規模でもいいので劇場公開されることを願っている。



革命の
語り部達の
勇姿を観よ

Sun Ra 1969 french TV
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【地下音楽への招待】LLEレーベル特集 第3回:ジャジー・サイド・オブ・LLE:実吉國盛UNIT/宇江須文左衛門GROUP/Kaleidoscope

2020年01月19日 02時45分54秒 | 素晴らしき変態音楽


創造的ミュージシャンのネットワークとして年齢や経験を問わず様々な演奏家が集まったLLEは後にプログレッシヴロック専門誌となった音楽雑誌『Marquee Moon』が宣伝・配給を協力していたため、プログレやアングラロックのイメージが強いが、一方でジャズや即興音楽に特化した活動も盛んだった。筆者がことあるごとに触れて来た<地下ロックと地下ジャズの近そうで実は遠い関係>が、ほぼ同一線上に並んだ希有なレーベルがLLEだった。その意味では、アンダーグラウンド・ロックの象徴・灰野敬二やノイズ・インダストリアルの先駆者NORD等と同時に阿部薫の弟子と言われる即興サックス奏者・芳賀隆夫のアルバムをリリースしていたピナコテカレコードと共通した精神がある。

TAKAO HAGA 芳賀隆夫 - A. Piyo


ピナコテカのオーナー佐藤隆史はフリージャズが好きで、1978年にジャズ喫茶として吉祥寺マイナーを開店。約1年後に「Free Music Box」と名乗って逸脱的・解体的・混沌的な音楽創造の場に変わって以降も、吉沢元治や板橋克郎などフリージャズ系ミュージシャンが出演していた。同様にLLEの創設者のひとりである実吉國盛は即興ジャズ・トランペッターであり、LLEに集まったミュージシャンの中にもフリージャズ志向の演奏家がいた。さらに注目すべきは、参加ミュージシャンの間でジャンルを超えた交流が行われたことである。ロック志向のミュージシャンがフリージャズとセッションしたり、ジャズのプレイヤーがプログレバンドに参加したりと、自由な交配によりユニークな音楽が産まれた。オムニバス盤『LUBB-DUPP 精神工学様変容II』にフリージャズユニット犬狼都市(キュノポリス)が収録されたことに象徴されるように、LLEでは当初からフリーミュージック、フリージャズ、ロック、プログレなど異なる体質を持つ音楽家同士が、音楽を意識し合い、広い意味での音楽制作を行うことが目的だったという。そんなLLEのJazzy Sideを代表する2枚のアルバムを紹介しよう。

●Kunimori Saneyoshi Unit ‎/ Free Association LLE Label ‎– LLE/IMI-1004 1982


実吉國盛(tp), 石井千尋(ds), 原宏樹(p), 宇江須文左衛門(g), 細田茂美(g), 嶋田博之(b)

A1 Made In J. J.
A2 R. Army Poisened Pie Drums – Senjin Ishii
A3 Inner Switch Guitar – Wess Monzaemon
A4 All Work And No Play Makes Jack A Dull Boy Piano – Hiroki Hara
B1 Scissorstone Guitar – Shigeyoshi Hosoda
B2 Uncle A.A. N.Y. River Piano – Hiroki Hara
B3 The Far East Bass – Hiroyuki Shimada
B4 So What Why Not

LLEはコンサートシリーズ『精神工学様変容』の他に、『IMI=Improvisation Music Institution』と『DUAL COSMOS』というふたつの企画コンサートを企画していた。LLEの中心メンバー実吉國盛のリーダー・アルバムとして制作された本作『Free Association(自由連想法)』では、曲ごとに異なる楽器プレイヤーを迎えデュオ演奏を繰り広げる。実吉のトランペットは、極端に先鋭的なプレイを避け、共演者の個性を活かす包容力のある演奏を聴かせる。70年代終わりにINCUSやFMPといったヨーロピアン・フリーミュージックのレコードの日本盤が発売され、アメリカのフリージャズとは異なるシリアスかつストイックな演奏が一部のミュージシャンやファンやファンに衝撃を与えた。実吉たちも影響を受けたことは確かだが、お互いをリスペクトする「和の心」が感じられる演奏は極めて日本的である。個人的には細田茂美のオブジェ感のあるギタープレイB1や原宏樹のスケールの大きいピアノ演奏A4,B2、何よりも実吉のトランペットの多重録音デュオB4が気に入っている。ちなみに『IMI』とは、より個人的な音楽、まだ未分化の音を自由に発表する場とのこと。しかしレーベル名に『IMI』と入った作品はこれ1作のみである。実吉國盛は俳優として活動し、現在は「ちゃんサネ」という芸名で鹿児島でタレントとして司会・ナレーター等の活動をしつつ、Art Scramble Of Kagoshima名義で演奏活動も行っているようだ。

アート・スクランブル・オブ・カゴシマ

Art Scramble Of Kagoshima:実吉国盛(Trumpet,ちゃんサネ,etc...)/内薗恵理子(Piano,Keyboard,etc…)/森田孝一郎(Drums, Percussions,etc...)


●宇江須文左衛門Group/Kaleidoscope / ‎Dual Cosmos LLE Label ‎– LLE-1002 1982


WES SIDE:宇江須文左衛門Group
A1 Dizzy
A2 I Remember Bird

KALEIDO SIDE:Kaleidoscope
B1 Empty Storm
B2 Halcion Drift
B3 Product Mix
B4 Praha Lady

『DUAL COSMOS』とは2つのバンドの演奏時間を拡大した私的なコンサートである。名前からしてジャズ好き以外何者でもない宇江須文左衛門(as,ss,g)を中心にしたクインテットバンド宇江須文左衛門GROUPと、サックス奏者・山崎慎一郎を核とするジャズロックバンド、カレイド・スコープによるスプリット・アルバム。案山子の写真が懐かしくも宇宙的なスケールを感じさせる。当時荻窪グッドマンや吉祥寺GATTYで宇江須の演奏を観たが、ジャズ・ギタリストのウェス・モンゴメリーをもじった名前に反してギターではなくサックスで、過激なフリージャズでもラウンジ・リザーズのようなフェイクジャズでもなく、比較的真っ当なジャズコンボだったと記憶している。このアルバムでは、シンセの電子音が飛び交うモンド感と、某有名ロックナンバーのフレーズが飛出す遊び心が面白い。カレイド・スコープは後期ソフト・マシーンやブラッフォードに通じるジャズロックだが、逸脱する山崎のサックスプレイがスリリング。プログレバンド、ネガスフィアのキーボード奏者・川崎薫が参加。
山崎慎一郎は現在も即興演奏家として精力的に活動している。宇江須文左衛門は暫く荻窪グッドマンを中心に活動していたが、現在の消息は不明。

宇江須文左衛門 Group / Kaleidoscope - Dual Cosmos (1982, LLE Label) full album


全てがスピードアップした現代に聴くとLLEの大らかな即興ジャズは、コンピューターの喧噪から逃れるリゾートミュージックかもしれない。DIYインプロ精神の発露が正しく結晶したダイヤモンドの原石である。

ジャズるには
自由な心
あればいい

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【地下音楽への招待】LLEレーベル特集 第2回:発展形オムニバス『LUBB-DUPP - 精神工学様変容 II』『A SLICE OF LIFE』 +Trembling Strainライヴレポート

2020年01月13日 02時56分21秒 | 素晴らしき変態音楽


2020年1月12日(日) 御茶の水明治大学アカデミーコモン
Trembling Strain 2020
メンバー:pneuma as 高沢悟(perc)、山崎慎一郎(g,vo)、照内央晴(pf)、鈴木祐子(fl,vo)、方波見智子(perc,vo)、細田茂美(g)

LLEレーベル代表者のひとりであるpneuma(プネウマ)こと高沢悟が90年代に率いていた実験音楽ユニット「Trenbling Strain」が約20年ぶりに復活し、精神保健関連イベント『きらりの集いTOKYO2020』でライヴを行った。メンバーはLLE時代から活動する山崎慎一郎(KAREIDOSCOPE, ラクリモーザ他)、細田茂美(國盛実吉ユニット、犬狼都市、N.H.K.他)を中心に、即興シーンの現役ミュージシャンたち。アコースティック編成のアンサンブルで、全員パーカッションや手拍子でのポリリズム、音数の少なさを活かした囁きのサイレントプレイ、セリフの掛け合いによる演劇的パート、エンディングは美しいメロディのフォークバラード、と約40分に亘る壮大なストーリー性のある即興演奏を披露した。愛知県の病院長を務め多忙な高沢は20年ぶりの人前での演奏の為にみっちりとスタジオ・リハーサルを重ねたというだけあり、素晴らしいステージだった。この1回で終わることなく、ぜひこれからも活動を続けてもらいたいと願う。


高沢悟の音楽活動再開と共に、LLEレーベルの知られざる活動記録と作品のアーカイヴ化が進むことを祈りたい。80年代インディーズの中でパンク/二ューウェイヴ/地下音楽だけに留まらない個性的な音楽を世に送り出したLLEレーベルの業績はもっと評価されて然るべきである。このブログ記事がその一助になれば幸いである。
前回に引き続き、LLEレーベルを象徴するオムニバスアルバムを紹介しよう。

●LUBB-DUPP 精神工学様変容 Psychotronic Metamorphosis II PM-1005 / 1982

収録アーティスト:犬狼都市(キュノポリス)/Glass Philosophy/腐乱死体/D.R.Y Project /サラマンドラ館/Location/フリーメイソンズ・ブラック・ブレイン/Anima

企画ライヴのタイトルを冠したLLEレーベル第1弾『精神工学様変容』の続編。ジャンルを限定せず「精神を変容させる」アーティストが集合したラインナップは、オムニバス第2弾『無限夢』ほどのポップさは無く、むしろ地下音楽のカオスを象徴するサウンドが色濃い。パンク/ニューウェイヴばかりのインディーズシーンにLLEが迎合しない(出来ない)ことを宣言した作品と言えなくはないだろうか。

A1 犬狼都市(キュノポリス)/ 天地核
元New Jazz Syndicateで当時荻窪グッドマン(現高円寺グッドマン)を経営するソプラノサックス奏者鎌田雄一率いるフリージャズユニット。現在も高円寺グッドマンを中心に活動している。

A2 Glass Philosophy / ギャンブル
初期Ultravoxを思わせるエレポップデュオ。モノトーンの色彩が地下に通じる。

A3 腐乱死体 / 腐乱死体
フリーインプロヴィゼーションの5人組。吉祥寺マイナーの愛欲人民十時劇場に出演していそうなケイオティックな地下音楽。

A4 D.R.Y Project / レクイエム・フォア…
現在エレクトロニクス系音楽ライター兼中野のレコード/CDショップ Shop Mecano店長の中野泰博によるテクノポップ・ソロユニット。

B1 サラマンドラ館 / たこの吸い出し
B2 サラマンドラ館 / 栄養クリーム
シンガーソングライターとうじ魔とうじのユニット。不思議な歌詞のアシッドフォーク。

B3 Location / t.v.l
二人組エレクトロユニット。吐き捨てるようなヴォーカル・スタイルが東京ロッカーズっぽくて個人的に気に入っている。

B4 フリーメイソンズ・ブラック・ブレイン / なぜならば…
日本のNICOの異名を取る女性シンガー多加美を擁するアコースティックバンド。カトゥラ・トゥラーナ/ラクリモーザのChihiro S.(斎藤千尋)が参加、ペイガンフォークに通じるエスニックな世界を展開。

B5 Anima / GREY CITY
中野泰博を含む3人組シンセユニット。捩じれたリズムとダークなヴォーカルはキャバレー・ヴォルテールやTG等初期インダストリアル系。

フリーメイソンズ・ブラックブレイン - なぜならば…



●A SLICE OF LIFE LLE-1009 / 1984

収録アーティスト:SOFT WEED FACTOR/ うばざくら/背徳者/Veetdharm Morgan Fisher

LLEレーベルの9枚目のLP、通算14作目の4バンドによるオムニバス。4組とも長めに収録されているから、オムニバス/コンピレーションと呼ぶより4Way Splitアルバムと呼んだ方が相応しいかもしれない。

ここに収録されている音楽は、それぞれ個性的で特徴的だけど、自分たちの音を持った素晴らしいミュージシャン達の創り出す虚りのないメッセージに満ちている。このレコードを聴いて何かを感じてくれれば、これで私たちとあなたは同じ A SLICE OF LIFEを共有した訳だ。このアルバムに参加したミュージシャン達が出会ったように、私たちとあなたの出会いがここにある。(高沢悟のライナーノーツより)

1作目『精神工学様変容』の帯裏コメントに記した現在の音楽シーンへの挑戦(前回のブログ記事参照)が、3年経って形になりつつあるという実感があったのだろうか。『A SLICE OF LIFE(人生のひとこま)』というタイトルはアルバムに参加したモーガン・フィッシャーが名付けたという。70年代ブリティッシュ・ロック・シーンで活躍したフィッシャーが日本に移住してLLEレーベルと出会った喜びをこの言葉に籠めたのだろう。そうした出会いをレコードを通じて多くの人と創り出したいという高沢の想いが綴ってある。しかしながらLLEレーベルとしてはこのアルバムが最後のオムニバス作品となった。
 
A1 SOFT WEED FACTOR / ちかちかと
プログレッシヴロック研究家・坂本理が率いる8人組。サックス、バスクラ、チェロを含む複雑な変拍子の楽曲と高度なテクニックは、レコメン系チェンバーロックに引けを取らない。音源は他にBelle AntiqueのコンピCD『Lost Years In Labuyrinth』に2曲収録されている。

A2 うばざくら / 月と舞台
A3 うばざくら / 眼球に接吻を
A4 うばざくら / 鞠をつきましょう
大阪を拠点に活動する女性ヴォーカル+ギター+ベースの3人組。美しいメロディのシンプルなサウンドだが、空気中に蕩けていくようなリバーヴが狂った夢の中を漂うような浮遊感を醸し出すジャパニーズ・トラッド・アシッドフォーク。

B1 背徳者 / Cold Living
B2 背徳者 / Decision
白塗りゴスロックトリオ。ダークでヘヴィなサウンドは、同時代のポジティヴパンクやゴシックパンクに比べて深い情念と音の奥行きを感じる。バンド名通り背徳的な罪の十字架を背負っているかのようである。3年前に活動再開し、年々活動ペースが上がって来ている。

B3 Veetdharm Morgan Fisher / The Emerald Isle
B4 Veetdharm Morgan Fisher / In A Gentle Way
B5 Veetdharm Morgan Fisher / Going Nowhere
モット・ザ・フープルのオリジナル・メンバーで、クイーン等人気バンドのサポートでも活躍していたキーボード奏者のモーガン・フィッシャーが、80年代実験的な音楽を追究しはじめ、辿り着いたのがプライヴェートなアンビエントサウンドだった。そうした方向性の最初期にこのオムニバスに参加した事実は、まさに「人生のひとこま」をLLEと分け合ったと言えるだろう。85年にLLEからVeetdharm名義の単独アルバム『Water Music』をリリースした。

背徳者 - Decision


こうしてLLEレーベルのオムニバス・アルバムを見てくると、いわゆるレーベルのショーケース的サンプラーや単なる寄せ集めではなく、緩やかな共同体としてのLLEの共通意識の元に結びついた「人生のひとこま」の集合体であることがわかるだろう。オムニバス以外の単独作品にも感じられるこうした意識を、言葉で説明することは不可能に違いない。やはり実際の音楽/パッケージ/ライヴに触れることでしか理解できないものもある。Trembling Strainの復活ライヴを観れたことで、触れなければ理解しえないLLEの意識に少しだけ近づくことが出来たことは本当に幸福だと思う。高沢の言葉のように、これからLLEとあなたの出会いが始まることを願って止まない。

人生の
薄切りスライス
召し上がれ

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【注目!イベント情報】1/26(日)開催。珍レコDJイベント『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.32』Nouvel an sous terre tôt 新春地下はじめ

2020年01月12日 01時24分32秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.32
Nouvel an sous terre tôt 新春地下はじめ


2020/1/26 sun 
渋谷 DJ Bar EdgeEnd

18:00 Open/Start ¥1,000 incl. 1drink

異端音楽開運祈願
Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Idol, Black Metal, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval, UnderGround,… Everything Weirdness About Music!

Regular DJs:
DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
DJ Bothis a.k.a. 山田遼
DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫

Special Guest:
DJ malo23 a.k.a. Marc Lowe
DJ Vegavis a.k.a. 鈴木恒史

LIVE ACT:DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+橋本孝之(.es)

TIME TABLE
18:00-18:30 DJ Battle 自由参加
18:30-19:00 DJ Vegavis a.k.a. 鈴木恒史
19:00-19:30 DJ Bothis a.k.a. 山田遼
19:30-20:00 DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
20:00-20:30 DJ malo23 a.k.a. Marc Lowe
20:30-21:00 LIVE ACT:DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+橋本孝之(.es)
21:00-21:30 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
21:30-22:00 DJ Vaby a.k.a. 大場弘規



【異端DJの聴かせどころ】
●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
今回は年末に評判の良かった「La Tene」を始め、ターキッシュ・サイケ、ケルト風味を感じるトラディショナルフォークやスピリチュアルでアフロ・フリーな民族トライバル・グルーヴなんぞも取り入れ混沌とした世界をお届けしたく思います!しかしながらも皆様のハートの琴線に触れるような盤魔殿に相応しいマテリアルをチョイスしましたので震えてお待ち下さいませ!!




●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
新年あけまして最初の盤魔殿を少し賑やかにお祝いしたく存じます…!




●DJ Bothis a.k.a. 山田遼
新年一発目の盤魔殿ということで、今回は原点回帰して、自分が本当に好きな音楽を紹介していきたいと思います。具体的には、「Les Joyaux De La Princesse」、「Apoptose」、「His Divine Grace」といった、ジャンルでいうとダークアンビエント、ネオ・クラシカル、中世マーシャル、インダストリアルなどの、日本ではあまりリスナーが居ないと思われるアーティスト達を紹介できればと思います。「聴いていて楽しい」「明るい」「暗い」というような、表層的な聴取の対象としての音楽とは一線を画す、何ものにも消費されない遺産の数々を探求しましょう



Les Joyaux De La Princesse Croix De Bois Croix De Feu



●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
アリエル・カルマとイゴール・ワケビッチなどINA-GRM関連ミュージシャンなどの音楽をプレイしながらサイケな映像をシンクロさせるVDJをする予定です。




●DJ malo23 a.k.a. Marc Lowe
DJ malo23 (マークロウ) はエレクトロニックミュージシャンでもあります(ソロで打ち込みと鍵盤・ボーカルがメインスタイルで、時々ギターやドラムも入れます)。せっかくDJをやらせていただいていますので、少しでも自分の作曲したものやリミックスを他の曲と混ぜて行きたいと思います。インダストリアル、ダンス系(IDM)、アンビエント、オルターナティブ、クラシックやジャズも好きな僕は何を流して行きますでしょうか?お楽しみに。




●DJ Vegavis a.k.a. 鈴木恒史
鳥さんの生活が第一。日夜、鳥ファーストで生きているDJ Vegavisです。
<80'sジャップインディ・フィメールヴォーカル特集>
<80年代>とは何だったのか? 結論からいえば、それは<無の時代>であった。むろん、公式には<西武=パルコ文化>が君臨した時代であり、<YMO=糸井重里的言説>が支配した時代であるが、まさにそれこそが、80年代が無の時代であるということの証左である。80年代が無の時代である、という認識がなければ、今日のVaporwaveの隆盛はありえないのだ。
フェミニンを偽装しながら、<柔らかいファシズム>として機能していた<西武=パルコ文化>のマッチョ的言説を、「超えるのではなく、横をすり抜けて」(柄谷行人)、したたかに存在していた女性ヴォーカリストたちの歌声に耳を傾けながら、語の真の意味での<フェミニズム>について考えてみたい。

アマリリス1.wmv



●LIVE ACT:DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武 + 橋本孝之(.es)
2019年4月12日幡ヶ谷FORESTLIMITで開催された【∵23∵盤魔殿】盤魔殿Vol.23でデビューしたDJ+Saxデュオが復活。アナログディスクのプチノイズとアルトサックスのフリークトーンが交配するハイブリッド音響プレイをお届け。音源は初期電子音楽とミュージック・コンクレート、楽器はノイズドールとリードフルートを使用予定。



Iannis Xenakis - Polytope


飢餓新年
異端詣で
盤虐め

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【地下音楽への招待】LLEレーベル特集 第1回:異端精神に満ちたオムニバス盤『精神工学様変容』と『無幻夢』+Trembling Strainライヴのお知らせ

2020年01月10日 02時37分56秒 | 素晴らしき変態音楽


日本のパンクや地下音楽に興味を持っている人ならご存知だと思うが、80年に自主レーベル海賊艇K/カムイレコードからリリースされたオムニバス・アルバム『都市通信』が40年ぶりにCD再発される。リリース直後にレーベル主宰者が姿をくらませたため、少数しか流通せず幻のアルバムとなると共に、集めた予約金を持ち逃げしたことで自主レーベル界の不祥事として語り継がれていた作品である。昨年突然レーベル主宰者がSNSを通じて事情を明らかにして謝罪し、今回の再発に繋がったとされる。穿った見方をすれば話題性を利用した宣伝とも思えなくはないが、音源として貴重なことは間違いない。当時海賊艇Kは吉祥寺マイナーでライヴ企画をしていて、高校生だった筆者もこのアルバムに収録された美れいとNON BANDは観た記憶がある。他のシンクロナイズと螺旋も名前は知られていた。

ここ数年、海外レーベルからの日本の地下音楽の再発が盛んになり、カセットレーベルDD.RecordsのJUMAや、アンビエントユニットBE-2(ハーツヴァイス)、関西アンダーグラウンドのレアな作品がリイシューされるようになり、2016年9月に拙著『地下音楽への招待』が発行されたときから更に地下音楽発掘作業は進んでいる。こうなってくると次は何が掘り起こされ、世界のマニアの注目を集めるかが気になるものだ。で、筆者としては『地下音楽への招待』第11章<音楽雑誌『マーキームーン』の試行錯誤>で触れた個性派自主レーベル「LLEレーベル」こそ掘り甲斐があると思う。

そこで何回かに亘ってLLEレーベルの作品を紹介してみようと思い立った。当時の自主レーベルとしては流通がしっかりなされ入手は難しくなかった筈だが、パンク/ニューウェイヴというより、プログレッシヴロック/電子音楽/エクスペリメンタル/ゴシックロックのイメージが強く、一部の熱心なファン以外にはなかなか広がりにくかったように思える。現在も精力的な活動を続けるミューシャンが少なくないので、過去と現在が切れ目なく続く貴重な存在として注目すべきであろう。
今回はLLEの象徴と言えるオムニバス作品2作を紹介する。

●精神工学様変容 Psychotronic Metamorphosis PM-1001 / 1981

収録アーティスト:カトゥラ・トゥラーナ/パイディア/メタモルフォーゼ/ネガスフィア/ユニット-3

記念すべきレーベル第一弾リリース。帯裏のコメントがイカしている。

このレコードは、音楽が日本で初めて音楽本来の姿を取り戻した記念すべきものである。
このレコード制作にかかわる全ての人々は「プレイヤー」であり、自らの音を知り尽くしている。
あなたは、この一枚によって、世にある音楽のほとんどが、いかにゆがめられているかを知るだろう。


音楽性はパンク/ニューウェイヴではないが、旧来の商業的音楽へのアンチテーゼとして、プレイヤー自らが決定権を握るインディペンデント/DIY精神を共有していることは明らかだ。ダークなゴスロックのPHAIDIA、演劇的なユーロ歌謡KATRA TURANA、ジャズロックのメタモルフォーゼ、キーボードプログレのNEGASPHERE、アヴァンギャルドなUNIT-3。どのバンドも当時の音楽シーンにはほとんど無いユニークな音楽性と高度なプレイを誇っている。LLE企画ライヴのタイトルをそのままアルバムタイトルにしたとのことだが、聴いていると精神のB面が活性化するような異質感に満ちたアルバムである。

メタモルフォ [Metamorphose] ー ゼ - ヘラクレス



●無幻夢 Mugenmu LLE-1003 / 1982

収録アーティスト:メトロファルス/電動マリオネット/パイディア/メタモルフォーゼ/クラスナヤ ローザ/LIBIDO/ジャジュカ/ギャルズペニス

間にジャズ系スプリットアルバム『Dual Cosmos』を挟んでリリースされたレーベル3作目。シュールなイラストは、芸術的なアートワークが多いLLE作品の中でも最も印象的な1枚。ゴスロックのパイディアが中心になって参加バンドを集めたというだけあり、後に人気ニューウェイヴバンドとなるメトロファルスをはじめ、リズムボックスを取り入れた電動マリオネット、ダークサイケのLIBIDO、オルタナポップのギャルズペニスなど『精神工学様変容』よりポップでニューウェイヴ的なアルバムになった。前作にも参加したパイディア、メタモルフォーゼに加え、横浜地下シーンのプログレバンド、クラスナヤローザ(陰猟腐厭のドラマー原田淳が参加)と、後にルナパークアンサンブルで活躍する女性ヴォーカリスト、Rorieを中心とするアヴァンギャルドユニット、ジャジュカが異彩を放っている。(Rorieはキーボードでクラスナヤローザにも参加)。「音楽ジャンルを限定しない」と宣言するLLEのスタンスを証明するヴァラエティに富んだアルバムだが、全体を覆う悪夢のような異界感は80年代地下音楽の混沌を切り抜いている。

LIBIDO 「MIRAI~ラウズ」


ライヴ企画から派生したミュージシャンネットワークがLLEのスタートだという。複数のバンドが集まってライヴ企画をすることは東京ロッカーズをはじめパンク系でも行われていたが、この2作に収められた様々な個性の集合体は、LLEの精神的成熟度を象徴していることは間違いない。当時何度もチャンスがあったのにライヴに足を運ばなかったことが悔やまれる。

しかし後悔するのはまだ早い。先に書いたようにLLEメンバーの音楽活動は現在も体験することが出来る。決して回数は多くはないので、貴重な機会を見逃さないようにしたい。

★LLEレーベルの中心人物プネウマ氏率いるアコースティック・インプロユニット「Trembling Strain」ライヴ出演!
きらりの集いTOKYO2020
2020年1月12日(日)11:00〜15:00 御茶の水明治大学アカデミーコモン

Trembling Strain 2020
pneuma as 高沢 悟、山崎慎一郎、照内央晴、鈴木祐子、方波見智子、細田茂美
音楽は言葉にできない感情が生まれた時に、叫びやため息のようなものから始まったと思います。例えば切なる願いや失ったものへの慟哭のような感情がその一つでしょう。今回は作曲されているものと、即興を交えて、通常の形式から自由に音楽を作ってゆきます。ジャズでもクラシックでもフォークロアでもありませんが、こんな音楽の表現もあるのかと思っていただければよいかと思います。

Trembling Strain - Four Pictures (四つの弔歌)


他の出演:
個性派中毒性ライブアイドル【Baby♡♡Holic】(べびほり)
音楽・アートを通じて発達凹凸を楽しく知ろう 応援ソングライター yu-ka
落語 ~笑う門には福来る パート2~ 明治大学落語研究会
https://kirari2020.wixsite.com/tokyo/h

精神が
無幻の夢で
変容する

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【JazzTokyo#261更新】沖縄電子少女彩/マーシャル・アレン/橋本孝之/ピーター・コロヴォス/Fucm Hawj(クリス・ピッツィオコス弦楽アンサンブル)

2020年01月05日 22時35分14秒 | 素晴らしき変態音楽

Peter Kolovos & Friends / November 7, 2019 at Bar Isshee / Photo by turbo


音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が更新された。カヴァー特集は『高柳昌行|富樫雅彦』、他に『フェスティバル2019』『My Pick2019』など。剛田武は以下の記事と寄稿した。

My Pick 2019
このディスク 2019(国内編)
●沖縄電子少女彩 / 黒の天使

#02 『沖縄電子少女彩 / 黒の天使』

ジャンルを語るのはもう辞めにしよう。
沖縄電子少女彩をはじめ、現代産まれつつあるジャンル無用の表現者に対して如何に心を開けるかどうかで、これからの音楽の楽しみ方が大きく変わる気がするがどうだろう。


このディスク 2019(海外編)
●Marshall Allen他 / Ceremonial Healing

#01 『Marshall Allen, Danny Ray Thompson, Jamie Saft, Trevor Dunn, Balazs Pandi, Roswell Rudd / Ceremonial Healing』

世界の癒しはフリークアウト精神から産まれる。
マーシャル・アレン師を中心に6人の猛者がデタラメを極めた本作は、混迷する世界の癒しの儀式のサウンドトラックなのである。


このパフォーマンス 2019(国内編)
●橋本孝之 Solo Improvisation

#03 橋本孝之 Solo Improvisation

敬意と礼儀が求められる世界への回答。
このような理想的な表現環境がより広く伝わり実践されれば、神様なんかいなくても、この世の中をもう少し住み良い世界に創り直すことが出来るに違いない。


このパフォーマンス 2019(海外編)
●Peter Kolovos 来日公演 2019 feat. 川島誠/内田静男/山㟁直人/橋本孝之

#02 Peter Kolovos 来日公演 2019 feat. 川島誠/内田静男/山㟁直人/橋本孝之

アンダーグラウンド・カルチャーの保護と実践。
自分も観たり聴いたり論じたりするばかりではなく、実践者として現在進行形のシーンに関わらなければならない、と背筋を正される思いがした。


CD/DVD Disks
●Fucm Hawj / Steeple - フクム・ホージ / 尖塔

#1657 『Fucm Hawj / Steeple』

自覚的音楽家の自作他演は自然の摂理。
クリス・ピッツィオコスが作曲したスコアを基にした演奏である。ジャズ的な即興イディオムは殆どなく、クラシック音楽に於ける即興曲に似たコンセプチュアルなノンイディオマティック演奏が収められている。

2020年
お楽しみは
これからだ


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【2019年マイベスト10】春日井直樹/ネクロ魔/割礼/沖縄電子少女彩/マーシャル・アレン/スタークラブ/VANITY BOX/Fucm Hawj/ハイマーツ/ケヴィン・モービー

2020年01月04日 02時23分55秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿やJazzTokyoで2019年のBest Albumを選出したが、実はそういう作業は苦手である。気紛れで好みが変わりやすいし、少し時間が立つと以前何を聴いていたか忘れてしまうからだ。ブログやDJプレイリストは備忘録代わりになりそうだが、必ずしも好きな作品だけを取り上げている訳ではない。今回なんとかマイベストテンを作ってみたが、あくまで2020年1月3日の気分に基づいたリストだと考えていただきたい。参考として番号を振ったが、あくまで順不同である。

1. 春日井直樹 / Scum Treatment Vol.2


2018年突然怒濤のリリースラッシュを開始した名古屋の地下音楽家、春日井直樹は2019年LP3作,CDR1作,カセット6作,ビデオ1作を発売、さらに年末に『walk』カセット31本同時リリース。200枚すべて異なるコラージュジャケットや、一本ずつ手作りでデコレーションしたカセット作品など、パッケージヘの執念の深さは、サブスク/ストリーミング時代に独りで一向一揆を起こすようである。⇒JazzTokyoレビュー

Naoki Kasugai / 「 film:music」「SCUM TREATMENT VOL.2」(ダイジェスト)



2. NECRONOMIDOL / Scions Of The Blasted Heath


移り変わりの激しいアイドルシーンで5年の長きに亘って活動するネクロ魔の新体制初作品。魔ヲタによる研究本『魔都』にはクトゥルフ、ブラックメタル、インダストリアルなどのキーワードが満載。制作側のこだわりが徹底しているからメンバーもヲタクも安心して好きな世界へ行ける。

NECRONOMIDOL - CHILDREN OF THE NIGHT Music Video



3. 割礼 / のれないR&R


36年にわたり日本の地下ロックシーンで活動するサイケデリック・バンド割礼の9年ぶりのスタジオ録音盤。スローモーションのサウンドに凝縮された情念の嵐は2020年の幕開けに相応しい。割礼が存在することで性急すぎる地球の自転のスピードが少しだけゆっくりまったりするに違いない。⇒ライヴレポート

割礼 / アキレス (Live Session)



4. 沖縄電子少女彩 / 黒の天使


ポップとアヴァンギャルドを境目無しに飛び回る沖縄電子少女彩をはじめとする、現代産まれのジャンル無用の表現者に対して如何に心を開けるかどうかで、これからの音楽の楽しみ方が大きく変わることは間違いない。

沖縄電子少女彩『憎悪の階層』MV / Okinawa Electric Girl Saya『 Hatred hierarchy』



5. Marshall Allen, Danny Ray Thompson, Jamie Saft, Trevor Dunn, Balazs Pandi, Roswell Rudd / Ceremonial Healing


95歳を通過した変態ジャズの長老マーシャル・アレンの宇宙規模の自由な音楽が、たった30センチのレコード盤をターンテーブルに乗せるだけのささやかな儀式を通じて我々の現実世界と繋がる。これこそ真の癒しであり祝福である。⇒JazzTokyoレビュ

Sun Ra Arkestra (USA) Marshall Allen 95th Anniversary Tour live @ Porgy & Bess So 28. April 2019



6. THE STAR CLUB / SIXTY(DVD)


40年以上パンクし続ける不倒のパンクロッカー、スタークラブのパワーにノックアウトされ、オレの中の14歳が疼いて居ても立ってもいられないときは、DVD3枚に収められたHikage60歳記念ツアーに合わせて拳をあげるしかない。

The star club/Rock Power


THE STAR CLUB - The Early Years 1980-1982 [Box Set]



7. V.A. / Vanity Box, Vanity Tapes, Musik


大阪で阿木譲が作り上げた自主レーベルの象徴ヴァニティレコード。録音・制作自体は40年前だが、2019年の現在初めて明らかにされるニューシング(nu thing)が提示された。表現行為の記録の再構築により、煤のように堆積した記憶を払い除き、本質的な音楽そのものを新しい耳で体験すること、それが異形の偉業への正しい向き合い方である。⇒JazzTokyoレビュー

Salaried Man Club - The thought of Y (1981)



8. Fucm Hawj / Steeple


Fucm Hawj(フクム・ホージ)とは前衛サックス奏者クリス・ピッツィオコスのコンポジションを演奏する為の弦楽カルテット。異形のシリアス・ミュージックは、ジャズ的な即興音楽に新鮮みが感じられず、2019年はもっぱらクラシック売り場の現代音楽コーナーを掘っていた筆者の心情とシンクロする作品である。とはいえクールな唯物感はピッツィオコスのバンドCP Unitのハーモロディクスファンクジャズと同質である。

CP Unit - at Secret Project Robot - Feb 18 2019



9. ザ・ハイマーツ / あなたが欲しいの


ジャパニーズ・ガールズ・ガレージロックの新星ザ・ハイマーツの1st7インチ。某レコ屋でジャケット買い。A面のキュートなオリジナルとともに、B面のネオGSのファントムギフトと、US60'sガレージパンクのジェスチャーズのカヴァーにノックアウト。10年ぶりにGSガールの誘惑にハマりそうな予感。

ザ・ハイマーツ - あなたが欲しいの(The Highmarts - I Want You Bad)



10. Kevin Morby / Oh My God


USオルタナシンガーソングライター影の首領ケヴィン・モービーの5thアルバム。初期のサイケフォークが徐々にモダンポップ化しているが、意識を雲の上に遊ばせたまま地上に舞い降りた天使を擬人化したような風貌で、現代ロックシーンを浄化するデトックスの機能を発揮するに違いない。⇒ディスクレビュー

Kevin Morby - No Halo


マイベスト
あなたのベストと
どう違う

次点. ポール・モーリア / 華麗なるラブ・サウンド・ベスト156


今は亡きムード音楽の帝王ポール・モーリアの華麗なアレンジは、過剰な刺激に麻痺して鈍化している現代人の感性を癒すだけではなく、人と人を音楽で結ぶ友愛幻想を受け入れることで他の音楽とは異なる心の優越感を与えてくれる。シティポップ、環境音楽の次は、ラブ・サウンドの再評価が世界的に盛り上がるだろうと予言する。

Paul Mauriat - Live in Tokyo 1983 (full)
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不失者 Fushitsusha@高円寺ShowBoat 2019.12.30 mon

2020年01月02日 01時22分13秒 | 灰野敬二さんのこと


灰野敬二 Keiji Haino-2019年最終公演
不失者 -Fushitsusha-


2019年12月30日(月)東京・高円寺ShowBoat
開場 18:00/開演 19:00
前売¥4,300/当日¥4,800(税込・別途ドリンク代¥600)

【出演】不失者 -Fushitsusha-
灰野敬二 : vo, g, hardygurdy, perc, etc.
ナスノミツル : b, perc
Ryosuke Kiyasu : da, perc



2019年不失者のライヴは3回開催された。
5月3日(金・祝) 東京 渋谷WWW
不失者の日
LINE UP
不失者

10月18日(土) 福岡UTERO
GOUACHE fukuoka mens & meld presents 『不失者ライブ』
不失者(灰野敬二、ナスノミツル、RyosukeKiyasu)
ドンマツオ(ズボンズ)
Nyantora(ナカコー)+duenn

また5月3日WWW公演に先立ってドミューンで不失者特集が放送された。

4月17日(水)東京 西麻布DOMMUNE
「20190503 1800 WWW 不失者の日」記念4時間番組!
不失者「在り続けること」
出演:不失者(灰野敬二、ナスノミツル、Ryosuke Kiyasu)


2019.5.3 Shibuya WWW / Photo by 船木和倖

バンドとしての活動回数は多くはないが、ひとつひとつの活動の密度が途轍もなく濃い。4時間超えのライヴは他のアーティストでもあるが、曲の構成や形態が毎回全く異なる演奏は不失者以外に知らない。「即興」を掲げる演奏家は数多いが、不失者の場合はすべて綿密なリハーサルを重ねて披露される。その意味では各パートの演奏をすべて楽譜に書き起こして8ヶ月のリハーサルによりアヴァンギャルドロックの名作『トラウト・マスク・レプリカ』を産み出したというキャプテン・ビーフハートの方法論を受け継いでいるのかもしれない。ここ数年ライヴの度に演奏の難易度が高まっている印象があるが、それが難解・晦渋に陥ることなく、逆に歌詞や曲のイメージを明快に表している事実は、灰野とメンバーが共通の意識で創造活動を共にしている証拠だろう。


2019.5.3 Shibuya WWW / Photo by 船木和倖

2019年の最後を飾る高円寺ShowBoatでの不失者ワンマンライヴは立見スペースも身動きでいないほどの動員の中、例年よりもスムーズに15分押しでスタート。ベースとドラムが重たい打撃音を放射する中、灰野が鋭いギターで切り裂く。深いリバーヴにもかかわらず歌詞がはっきり聴き取れる。水の中を泳ぐようなスローな曲調だが、発する音が観客の耳まで届くスピードは光よりも早く感じされる。灰野が曾て語った「自分の出す音に対する覚悟」が貫かれているからだろう。第一部の最後に演奏された子守唄のように甘いメロディーの静謐なナンバーも、夢みるような酩酊感ではなく、意識を覚醒するメッセージが感じられる。「暗号」「おまえ」「いみくずし」といった定番曲が、歌詞を聴いて初めて曲名がわかるほど解体&再構築された演奏で披露され、聴いたことがあるのか初めてなのか頭が混乱するパラドックスに眩惑される。印象に残ったのは第1部の後半で3人全員パーカッションをランダムに叩いているように見えたパート。そのまま楽器で演奏した曲に繋がった、つまりドラムやべースやギターを使わずパーカッションだけで不失者の曲を演奏したのである。音程やメロディなんてなくても音楽に「魂」があれば聴き手に伝えられるわけである。


2019.5.3 Shibuya WWW / Photo by 船木和倖

曲調や演奏が常に変化するのは目的や手段ではなく、音楽の「魂」を少しも失われることなく表現し伝えようとする行為の結果に他ならない。それこそが40年に亘って貫かれてきた不失者の在るべき姿である。次にどんな形に変化するかはわからない。だからこそ私は不失者(灰野敬二)を18年間追い続けてきた。そのモチベーションは年々深まるばかりである。


2019.5.3 Shibuya WWW / Photo by 船木和倖

2020年
音の形は
どう変わる

▼ヘンリー・ロリンズ氏が来場。不失者を観るためにロサンゼルスから飛んで来たという。



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