A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【ライブレポート】『盤魔殿 即興道場』@渋谷DJ Bar EdgeEnd 2021.12.23(thu)

2021年12月26日 01時07分21秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 即興道場 
Disque Daemonium Improvisation Gym

2021.12.23 thu
渋谷DJ Bar EdgeEnd

ホスト:
剛田武:フルート、クラリネット
Rie Fukuda:シンセサイザー

演奏参加者:
斉藤圭祐:アルトサックス
Tanao:ギター
ケロッピー前田:ディジュリドゥ
加藤チャーリー千晴:鍵盤ハーモニカ
やましん:ソプラノサックス
マーク・ロウ:アコースティックギターとヴォーカル
溝辺隼巳:ウッドベース

タイムテーブル(予定)
19:00 開場~説明・セッティング
19:30 - 20:00 ソロ(各5分)
20:00 - 20:30 トリオ(各10分)
20:30 - 21:00 Rie Fukuda+剛田武 ライブ
21:00 - 21:20 全員セッション
21:20 - 21:30 談話

まず剛田から流れを説明してから、自己紹介を兼ねて各5分のソロ演奏でスタート。順番は剛田⇒ケロッピー前田⇒マーク・ロウ⇒加藤チャーリー千晴⇒斉藤圭祐⇒やましん⇒Rie Fukuda⇒溝辺隼巳。80年代荻窪グッドマンの即興道場はジャズ的な素質のあるミュージシャンが多かったが、この日集まった演奏者は、エスニック、ミニマル、アンビエント、弾語り、フリージャズ、エレクトロニクスと楽器もスタイルもバラバラで、早くもカオスの予感がたっぷり。ソロ演奏を見たおかげで初対面の参加者同士のコミュニケーションも生まれた。



第2部は9人の参加者を3人ずつに分けてのトリオ演奏。持ち時間は各10分。

●Rie Fukuda+マーク・ロウ+斉藤圭祐


Rie Fukudaとマーク・ロウは盤魔殿でDJとして何度も会っているが、演奏で共演するのは初めて。ソロでは自作曲(とデヴィッド・ボウイの曲)の弾き語りを聴かせたマークは、アコギにエフェクターをかけてストレンジなサウンドで、Rie Fukudaのシンセと共振する。そこに最年少19歳の斉藤の鮮烈なサックスが加わり、凛とした硬質な音空間が生まれた。最後にマークが「メリークリスマス」と一言、初共演の歓びを祝福した。

●ケロッピー前田+Tanao+加藤チャーリー千晴


ケロッピーのディジュリドゥとチャーリーの鍵盤ハーモニカのナチュラルなアコースティック・サウンドと、Tanaoの空間系エフェクターを駆使したギターの電子アンビエント音響が溶けあい心地よい酩酊感をもたらす。接触不良で音が途切れがちなギターを他の2人が励ますようなユーモラスな場面に笑いが起こる。偶然ギターアンプが倒れて爆音ノイズを発したのも即興演奏の醍醐味。心温まるコラボレーションだった。

●やましん+溝辺隼巳+剛田武


やましんこと山崎慎一郎は80年代にジャズロックバンド「カレイドスコープ」でLLEレーベルからアルバムをリリースしたベテラン・サックス奏者。筆者と同じころに荻窪グッドマンの即興道場に通っていたというから、当時筆者と会っているかもしれない。太陽肛門スパパーンにも参加するウッドベース奏者、溝辺隼巳は現在高円寺グッドマンに出演しているという。そんなグッドマン繋がりのトリオの初顔合わせコラボレーションは、80年代当時の即興道場を思わせるハードコアなフリー・インプロになった。ベテラン二人と共演することで、筆者のフルートの腕がほんの少し上達した気がする。演奏センスを磨くには即興コラボが効果的。

●Rie Fukuda+剛田武


最初は30分の演奏の予定だったが、これほど濃い演奏が続いた後なので15分程度に短縮することに。剛田はフルートからクラリネットに持ち替えて、軽くディレイをかけたので、スタッカートの残響が心地よい。Rie Fukudaの機材のひとつがご機嫌斜めで思ったように音が出せなかったというが、そんなトラブルも即興の一部。予定調和があり得ないのは人生や恋愛も同じ。10数分間の電子音と生楽器のランデヴーはこの場限りのラブアフェアと言えるかもしれない。

●盤魔殿アーケストラ(全員セッション)


最後は観客として来場した3人のお客さんも玩具の楽器で参加して総勢12名の大セッション。それぞれ好き勝手にカオスな演奏を繰り広げたが、時折楽器と楽器が呼応し合う場面があったり、騒音の中から玩具の音がリリカルな響きで立ち上がったり、音の広がりがアメーバのように伸縮したりしながらも、全体として一つの小宇宙を作り上げた。おそらく土星に帰ったサン・ラから時空を超えたバイブレーションが届いたに違いない。

予想をはるかに超えた異能即興演奏が繰り広げられた最高のクリスマスイヴイヴだった。
★次回は1月後半~2月に予定しています。

盤魔殿
聴いても演っても
語っても

【イベント情報】


2021年1月8日(土) 阿佐ヶ谷TABASA
盤魔殿 presents
第2回 輝く、盤魔殿レコード大賞!!!リベンジ・マッチ


開場・開演18時 終演20時30分
1000円+1ドリンク
盤魔殿DJ総出演!
出演者・お客さんの投票で選ぶ「第2回 盤魔王(バンマーキング)」決定戦。
詳細はこちら⇒【イベント情報】『盤魔殿 presents 第2回 輝く、盤魔殿レコード大賞!!!Revenge Match』~コロナ禍のため中止になった名物企画がついに復活!


2022年1月15日@阿佐ヶ谷TABASA 
唸る語る、盤魔殿vol.4 "思想としてのパワーエレクトロニクス、その日本的展開"
Development of power electronics as a political idea in Japan


開場19時
料金1500円+1ドリンク
出演 帝都御社Y 大久保正彦(LINEKRAFT) 持田保 宇田川岳夫 
限定20名 予約者優先 物販あり 予約者特典あり

*予約が定員に達しましたのでいったん募集を締め切ります。
キャンセル待ち、追加募集の問い合わせなどは以下のサイトから
https://mondor3.wixsite.com/website?fbclid=IwAR1VXx7Aei94zL2j2ji9kF64-U3PggTwF5l_hwoqJ80oO82o8XlanKDJcS4
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【魅惑の軽音楽 その3】哀愁のタンゴ10インチLP Part2~フランシスコ・カナロ&オスヴァルド・プグリエーセ/藤原嵐子,菅原 洋一&早川真平とオルケスタ・ティピカ東京

2021年12月22日 01時35分40秒 | こんな音楽も聴くんです


2021年も残すところあと10日となった師走に聴く音楽は何だろう。ロックやパンクやフリージャズやミュージック・コンクレートでも何でもいいのだが、筆者の心の半分はタンゴ熱に浮されているようだ。毎年必ず通っていた中古レコード店の年末セールには目もくれず、Hard-Offのジャンク・コーナーで埃塗れになりながら、自分の生まれる前に発売されたタンゴのレコードを掘り起こす師走の週末は、思いのほか暖かい気候と相まって、例年になく心が落ち着く思いがする。さて一昨日のハドフ巡りでゲットした麗しのタンゴ10インチ盤を聴きながら、ミニアコーディオンで即興演奏と洒落込もう。

●フランシスコ・カナロとオルケスタ・ティピカ&オスヴァルド・プグリエーセとオルケスタ・ティピカ
『カナロ対プグリエーセ名演ヒット集 Grandes Exitos de F.Canaro y O.Pigliese』
(Angel Records 東京芝浦電気 OW-1059 / 発売年表記ナシ)


1888年生まれで「タンゴの王」と呼ばれたフランシスコ・カナロ(Francisco Canaro)と、1905年生まれで“ジュンバ”と呼ばれる激しいスタッカートを活かした演奏で知られるオスヴァルド・プグリエーセ(Osvaldo Pugliese)というアルゼンチン・タンゴの2大巨匠のカップリング10インチ。発売元は東京芝浦電気株式会社となっているから、1960年にレコード会社 東芝音楽工業が創業する以前に発売されたものと思われる。1930~40年代のカナロの音源はSP盤用の録音と思われ、低域が弱い鄙びた蓄音機サウンドはたまらなく大正浪漫を感じる。それに比べて50年代の録音のプグリエーセはサウンドも演奏もモダンで「The New Shape of Tango to Come(タンゴ来るべきもの )」と呼びたくなる。「Nuevo Tango=新しいタンゴ」を生んだアストル・ピアソラがプグリエーセを高く評価しているという話も頷ける。

ORQUESTA FRANCISCO CANARO poema


Osvaldo Pugliese Buen amigo



●藤原嵐子、菅原 洋一、国井 敏成/早川真平とオルケスタ・ティピカ東京
『ARGENTINA TANGO ラ・クンパルシータ』
(日本エンゼルレコード C-19 / 1962.9.25)


1960年1月に発足したソノシート・レーベル、日本エンゼルレコード株式会社がリリースしたエンゼル・ブックスはソノシートとレコードの中間くらいの厚さの“フィルム・レコード”が特徴。特に10インチ(25センチ)のシリーズは高級感のあるコーティング・ブックレットで解説も充実している。そのシリーズのこのアルゼンチン・タンゴ10インチは、戦後まもない1947年に結成された日本のタンゴ楽団の草分けの早川真平とオルケストラ・ティピカ東京、1953年のアルゼンチン公演が大評判になったという「タンゴの女王」藤原嵐子、オルケストラ・ティピカ東京専属歌手として1958年にデビューしたばかりの菅原洋一、さらにアストル・ピアソラと並び称されるアルゼンチンのバンドネオンの名手フェルナンド・テルがゲスト参加した、超豪華なタンゴ・アルバム。収録曲は「ラ・クンパルシータ」をはじめアルゼンチン・タンゴの名曲ばかり。入門編であるとともに当時の日本のタンゴの水準の高さを証明する1枚でもある。

情熱(パシオナル)


タンゴとは
いのち湧き出る
こころの歌

解説の「~であります」口調が美しい日本語って感じ。



参考⇒【魅惑の軽音楽 その2】哀愁のタンゴ10インチLP~原孝太郎と東京六重奏団/ダイアモンド・エコーズ
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【イベント情報】『盤魔殿 presents 第2回 輝く、盤魔殿レコード大賞!!!Revenge Match』~コロナ禍のため中止になった名物企画がついに復活!

2021年12月16日 01時25分28秒 | 素晴らしき変態音楽


コロナ禍のため中止になった盤魔殿名物企画のリベンジ・マッチが決定!

盤魔殿 presents
第2回 輝く、盤魔殿レコード大賞!!!リベンジ・マッチ

2021年1月8日(土) 阿佐ヶ谷TABASA

開場・開演18時 終演20時30分
1000円+1ドリンク

盤魔殿DJ総出演!
出演者・お客さんの投票で選ぶ「第2回 盤魔王(バンマーキング)」決定戦。

出演:
DJ Athmodeus a.k.a.持田保
DJ BEKATAROU a.k.a.伊藤元
DJ Bothis a.k.a.山田遼
DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda
DJ Necronomicon a.k.a.剛田武
DJ Paimon a.k.a. Moppy
DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫
DJ Vaby a.k.a.大場弘規

【実施要項】
1. 各DJノミネート作品最大3作品、そのうち1枚は2021年リリース(再発含む)
2.順番は当日くじで決定、持ち時間15分でプレゼン&試聴
3. 最後にお客さんとDJ&スタッフの投票で盤魔王決定!

【出演DJの意気込み】*随時更新
DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫
長谷川時夫 - ストーンミュージック、Information overloaded unit - Same、Jack or Jive - Sincerely 以上新作3枚ノミネートします。

DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda
現在の関東アンダーグラウンドで活動する皆さんと、新旧変わりなく心に響く魅力的な盤を紹介したいと考えています。

DJ Athmodeus a.k.a.持田保
約2年に及ぶコロナ禍で変わったもの、変わらなかったものを歯ぎしりレベルで噛み締めながら年間ベストを選んでまいります。よろしくお願い申し上げます。

DJ Necronomicon a.k.a.剛田武
コロナ禍があってもなくても常に変わらず地表に蠢く音楽どもを掘り起こして白日の下に晒す日進月歩の突貫工事の果てのゲシュタルト崩壊。(盤魔)王様の耳は日吉ミミ。

DJ Bothis a.k.a.山田遼
まずは2021年出版のLINEKRAFTの最新作『ASURA』を中心に、Swedenの異端SSW JOAKIM SKOGSBERGの1971のデビュー作の再発版『JOLA ROTA』、北京の異能Zaliva-Dの最新12inch『Immorality』など、本質的にオルタナティブな重要作品を共有できればと思っています。



DJ BEKATAROU a.k.a.伊藤元
2021年に出会った作品を中心に瑞々しい音を伝えてくれる圓盤を皆様の耳に届けます。
よろしくお願い致します。

DJ Vaby a.k.a.大場弘規
触媒夜が準盤魔王に輝いた事も一因(?)で正規再発につながった前回(2019年12月27日)から早2年。果たして柳の下に2匹目の泥鰌は居るのであろうか?そんな企みを持ちつつも、魅力的なマテリアルをお届けしますので、何卒お楽しみ下さいませ。

DJ Paimon a.k.a. Moppy
最近、秘められた日本の地下音源が海外のレーベルからリリースされることが多いですが、今年も驚かされるリリースがありました。そんな驚愕の発掘音源で挑みたいと思います。


MLD. 1983-1986


Masahiko Sato. - Belladonna of Sadness



コメント (1)
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【灰野敬二オンライン情報】12/16(木)The World of Keiji Haino@NTS Radio/2022/1/8(土) 灰野敬二ソロ〜レジェンドオブノイズ2 in 鶴舞daytrip

2021年12月11日 00時28分44秒 | 灰野敬二さんのこと



The World of Keiji Haino "Stab victory in the back, at least do this."
灰野敬二の世界「勝利を 刺す これぐらいは やれよ」

2021/12/16(木) UK Time 11am(日本時間 8pm)
NTS Radio(イギリスの無料オンラインラジオ局)にて公開
https://www.nts.live/radio
Twitter: @ntslive
Instagram: @nts_radio

2021年9月16日(木)調布市せんがわ劇場
JAZZ ART せんがわ 2021
プロデューサー:巻上公一
に於けるライブ録音

灰野敬二(ヴォーカル、パーカッション、エレクトリック・ルドラヴィーナ)

石川 高(笙)
中村 香奈子(龍笛)
中村 仁美(篳篥)
中村 かほる(楽琵琶)




灰野敬二 ソロ 〜 レジェンドオブノイズ2 in 鶴舞daytrip 〜ライブ配信

2022.01.08 (土) 22:05 ~ アーカイブ視聴 02.07 (月) 22:50まで

大トリは、世界的な音楽家の灰野敬ニのエレクトリックルドラビーナとギターによるソロ!!

あのレジェンドオブノイズが復活!!
キング オブ レジェンドの灰野敬二!!!
名古屋では久し振りのドラびでお!
中部のレジェンドのファミコン地獄に、
エレキ笙の血を吸うカメラがジェンベの野口UFO義徳とのduo!
令和の裸のラリーズと名乗る 人間石鹸!
そして緻密なインダストリアルテクノイズのNational!!
大阪から、アブストラクトな雑音を巻き散らすjuri suzue!!
普通の音楽に飽きた方は是非!!

●今回は、全ての演奏時間が有料配信となります!

●予め3000円のチケットを購入されてください。全ての演奏がご覧頂けます。
購入リンクはこちらからどうぞ!

https://streaming.zaiko.io/_item/345021


【タイムスケジュール】     
18:45〜19:05 ファミコン地獄
19:15〜19:35 National
19:45〜20:00 血を吸うカメラ(進入禁止=電気笙)+ 野口UFO義徳(ジェンベ)
20:10〜20:35 人間石鹸(nanaumi+furuse+進入禁止)(モジュラーシンセ+ギター+ジェンベ、10holes、電子変調ボイス)
20:45〜21:05 juri suzue
21:15〜21:45 ドラびでお       
22:05〜22:50 灰野敬二


オンライン
聴いたり観たり
いとおかし

灰野敬二 x 蓮沼執太「う       た」2021.9.3 Shibuya WWW X

12/14(火)より、DAX Youtubeアカウントにてロングセット動画公開予定!

う       た|灰野敬二 x 蓮沼執太|U       TA|Keiji Haino x Shuta Hasunuma at WWW X



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【地下音楽ライヴ・レポート】Grazin’~ kill me Elkと職場の仲間達/MOGRE MOGRU/ilyons@吉祥寺NEPO 2021.12.6 (mon)

2021年12月08日 01時50分29秒 | 素晴らしき変態音楽


2021/12/6(Mon)@吉祥寺NEPO
【Grazin'】
1F open 17:30
B1 open/start 18:00/18:30

〈出演〉
ilyons
kill me Elkと職場の仲間達
MOGRE MOGRU

我が即興アンビエントユニットMOGRE MOGRU(通称モグモグ)の3回目のライヴ・パフォーマンス。これまでの2回はホームである『盤魔殿スピリチュアルラウンジ』での演奏だったので、初めての対外試合である。吉祥寺NEPOのブッキングによる「Grazin’」と題された対バン・イベント。Grazingとは「放牧、牧草地」という意味なので、タイプの異なるバンドを放し飼い状態で自由気ままにプレイさせるという意図だろうか。当日になって出演予定だったバンド王が都合により出演キャンセルになったのは残念だったが、結果的に出演した3バンドとも異なるスタイルにもかかわらず、どこか共通したコンセプトがあるように感じられ、NEPOならではのユニークなイベントになった。



●kill me Elkと職場の仲間達


一番手はグレイのロングヘア―ともじゃもじゃの髭のベーシストが率いるトリオ、kill me Elkと職場の仲間達。kill me Elkとはヴォーカル兼ベーシストの個人名で、他の2人は本当の職場の仲間達だという。何て良い職場だろう!ハードロッカー然としたごつい外見のElk(ヘラジカ)氏のハイトーンヴォイスとドリームポップなメロディ、グロッケンシュピール、ソプラノ・ピアニカ、オタマトーンなどを駆使したカラフルな演奏、シンプルなドラムセットの空間的なプレイが相まって、優しい夢のようなサウンドが繰り広げられる。得体のしれない愛おしさを感じる不思議な三人組である。


●MOGRE MOGRU


事前に簡単な流れを決めているものの、基本的にその場で生まれる即興演奏を主眼とする(というか同じことの再現ができない)我々MOGRE MOGRUのステージは、NEPOの幻想的な照明効果で想像以上に引き立った。剛田と黒い瞳の着物の衣装が昔のアングラ演劇のように見えていい感じだった。様々な楽器を持ち替えるので忙しくて、客席をよく見る余裕はなかったが、思っていた以上に多くの観客がいたようで嬉しい限り。Tanaoのギターが全くギターらしくないサウンドを発していたので、ギターを弾く真似をしていると勘違いしていた人がいたのが面白かった。結成して半年にも満たない新人バンドがこんな素晴らしいステージに立てたことに感謝したい。今後もよろしくお願いします。


Mogre Mogru @ 吉祥寺NEPO (Dec. 6, 2021) [Filmed & edited by Marc Lowe] from Marc Lowe on Vimeo.


動画撮影・編集:Marc Lowe

●ilyons


“ケミカル轟音プログレパンク”バンド、I love you Orchestraのメンバーの白水悠(ベース)、中平Jim智也(ギター)によるノイズ・ユニット。白水氏はNEPOの創設メンバーのひとりでもある。数多くのエレクトロニクスを操りながら、ギターとベースで重層的なサウンドを組み立てる。アンビエントでありプログレでありエレクトロニカでもあるが、意外にオーソドックスなブルーススケールのフレーズを繰り出すギターや、ミニマルなビートに乗せてベースを振り回し機材テーブルの上に立ち上がってプレイする姿を見て、根っこにあるのはロックに他ならないと感じた。

★配信ライブがアーカイブ視聴できます(視聴期間:12月12日まで)。ぜひご覧ください。
配信ライブチケット(1000円)⇒こちらから

NEPOの夜
異端音楽
放牧地帯

【イベント情報】
盤魔殿 即興道場 
Disque Daemonium Improvisation Gym




2021年12月23日(木)
渋谷DJ Bar EdgeEnd

19:00 open / 19:30 start
参加料金1000円(1drink付)
Special Live:Rie Fukuda + Takeshi Goda

楽器持参でどなたでも参加できる即興ジャムセッション。
即興が初めての方大歓迎。
楽器以外のヴォイス、舞踏、パフォーマンスなどもOK。
もちろん観覧のみでもOKです。
*ミキサー、ギター&ベースアンプ有。ドラム無。
*爆音演奏は不可。

お問い合わせ:剛田武 Twitter @mirokristel
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【Disc Review】『MALSTROM / Klaus-Dieter』~Power Jazz Trio from Germany

2021年12月06日 00時25分26秒 | 素晴らしき変態音楽


MALSTROM / Klaus-Dieter
text by 剛田武 Takeshi Goda
Berthold Records

MALSTROM:
Florian Walter – Saxophone
Axel Zajac – Guitar
Jo Beyer – Drums

1. Flerminger
2. Tinder: Zu Vino sag ich nie no. Achso und übrigens: Ich reise gerne.
3. Klaus Dieter ist verwirrt
4. Schnee im Sommer. Oder: Musik ist auch immer Ausdruck meines Konsumverhaltens.
5. Die Maskenpflicht-Verweigerer-Inzidenz-Befürworter-Lockdown-AHA-Glauben-Zweifel-Strategie
6. Matthiasbrücke
7. Somnambulismus ist die neue Work-Life-Balance
8. Pumpen mit Klumpen
9. Klaus Dieter geht baden
10. Smurfbrett

recorded at Fattoria Musica Osnabrück
by Steffen Lütke in May & June 2021

mixed and mastered at Fattoria Musica Osnabrück
by Steffen Lütke in August 2021

produced by Malstrom

Malstrom Official Site

"No Destruction, No Creation". The Shape of Power Jazz Trio to Come.

The latest album by Malstrom, a saxophone, guitar and drums trio formed in Germany in the early 2010s. The original members were Axel Zajac (g), Jo Bayer (ds), and Salim Javaid (sax). They have been active in the avant-garde music/ improvisational jazz scene in the Cologne - Essen - Bremen areas, and have released four albums so far, winning the German jazz competitions in 2016, 2017 and 2018.

I first heard about them in August 2019 from German avant-garde saxophonist Florian Walter, who was visiting Japan for the third time. Saying "I will join this band soon", he handed me a CD of Malstrom's second album "Phantom Architect" (2016). I listened to it and was aware that although there are many improvised parts, the style of the band was basically based on meticulously composed and structured music. For me it was a different impression from Walter as an free-improviser. I was also intrigued by the fact that Walter, who has been active in a variety of fluid projects including the experimental big band The Dorf, would be joining a "band" as a fixed member. After Japan tour, he returned home and joined Malstrom at the end of 2019 as a new saxophonist, replacing Salim Javaid. The following year, in 2020, the COVID-19 disaster occurred and the live performance activities were restricted. But the band meticulously rehearsed in the studio to develop the new Malstrom sound, and in the early summer of 2021, they went into the recording studio and this album was finally produced.


MALSTROM(L to R): Florian Walter(as), Jo Beyer(ds), Axel Zajac(g)  Photo by Nico Herzog

The title "Klaus-Dieter" was a popular male name in Germany in the past. As far as Walter knows, very few newborns have been named Klaus-Dieter in the past 20 years. In Japan, it would be something like Taro or Hanako. It's also the name of the humorous monster on the CD cover. When you think about the above fact, the goggle-eyed, big-headed figure seems to symbolize a pathetic old authority figure who missed out on the times and clings to the glory of the past. The album itself doesn't have a story, but you can feel the ridiculousness and sadness of the Klaus-Dieter monster in the background of the performance, not to mention the crazy song titles that are neither joking nor serious (see translation below).

M1. Fleminger (Flamingo as drunks call it)": A flowing guitar with irregular rhythm leads a wave attack of hard beat of drums and bass tone of 8-string guitar exploding, and bright saxophone surfing while cutting between the waves. It's like having a drill hole into your head and injecting an energy drink directly into your cerebral cortex.

M2. Tinder (a German dating app): I never turn down an invitation to drink. Oh, and by the way, I also like to travel": Enjoy the saxophone rampaging in all directions in a symphonic development that spins an avant-garde yet lyrical tale.

M3. Klaus-Dieter is Confused: The beauty of the turbulence of the three musicians jumbling around an abstract rhythm.

M4. Snow in Summer. Also, music is always an expression of my consumer behavior: I feel the "Ma (pause)" in this piece, which is similar to Japanese Noh. The tension of walking on a tight rope is quickly released into a relaxed and beautiful melody, and finally, the song returns to the tightrope walking again.

M5. Masked Duty - Denier - Incidence - Proponent - Lockdown - Alpha Hydroxyl Acid - Trust and Doubt Strategy: A circulation foxtrot with call & response of guitar and saxophone over an irregular beat. The superb guitar playing that can be heard throughout the song is very cool.

M6. Mathias Bridge: An extreme metallic tune that will drive you crazy.

M7. Sleepwalking is the New Work-Life Balance: Heavy rhythm but lyrical chord progression. The crazy saxophone gradually gets in tune with it.

M8. Sluggish Pump: A superb improvisation like a "tanka" or "haiku".

M9. Klaus-Dieter Goes for a Swim: A slow-motion number that lets you enjoy the sentimental side of the band. A floating dreamboat in a sea of nostalgia.

M10. Smurfboard: An emotional tune with a pleasant repetition of minimalist guitar phrases. The convulsive saxophone in the middle section is the essence of Florian Walter. The guitar explosion in the latter half of the song leads me direct into ecstasy. However, at the end of the continuous stimulation, the song returns to a minimalist pattern and ends suddenly. It's a graceful ending that leaves no regret.

Malstrom - "Maskenpflicht"


A 40-minute listening journey that activates the synapses in your brain with its dizzying development. The words "free jazz," "heavy metal," "progressive rock," "post-rock," and "minimal music" come to mind. But in this day and age, when all kinds of information is intermingled in the digital environment, it would be outdated and mind-boggling to use words like crossover and mixture. As the band's name meaning "whirling waves" implies, their methodology of creating new music after swallowing and destroying all kinds of elements is the proof of "No Destruction, No Creation". Here comes the new shape of power jazz trio. (December 2, 2021)

⇒日本語レビューはこちら



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【JazzTokyo#264更新】不気味可愛いジャケット2作揃い踏み~『マルストローム / クラウス=ディーター』/『ヒカシュー / 虹から虹へ』

2021年12月05日 00時39分14秒 | 素晴らしき変態音楽

Photo by Nico Herzog
音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が更新された。カバー・ストーリーは「ソニー・ロリンズ」。剛田武は以下の記事を寄稿した。

●MALSTROM / Klaus-Dieter

#2145 『MALSTROM / Klaus-Dieter』『マルストローム / クラウス=ディーター』

No Destruction, No Creation. 破壊から生まれた創造的パワージャズ。
「大渦潮」を意味するバンド名通り、ありとあらゆる要素を巻き込んでぶち壊してから新たな音楽を生み出すマルストロームの方法論こそ、<破壊なくして創造なし>という真理を音楽の最前衛で実践する新世代パワートリオの証である。

Malstrom - "Somnambolismus"



●ヒカシュー / 虹から虹へ

#2150 『ヒカシュー / 虹から虹へ』『HIKASHU / LA LA WHAT』

虹の向こうに何がいる?ヒカシューがいる!
2019年のマンスリーライヴで振り返った過去40年間の楽曲と、緊急事態宣言下で即興で制作された前作『なりやまず』の両方の要素、つまり作曲と即興が混然一体となったヒカシュー・ワールドの現在進行形が集約されている。

ヒカシュー"入念"/2021年1月25日吉祥寺スターパインズカフェ


チンピーシー
クラウス=ディーター
夢見てる

Malstrom live at int. Jazzwoche Burghausen 2019


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【特報】誰でも参加できる即興セッションイベント『盤魔殿 即興道場』12/23(木) 渋谷EdgeEndにて開催決定!

2021年12月03日 02時31分42秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 即興道場 
Disque Daemonium Improvisation Gym


2021年12月23日(木)
渋谷DJ Bar EdgeEnd

19:00 open / 19:30 start
参加料金1000円(1drink付)

Special Live:Rie Fukuda + Takeshi Goda

楽器持参でどなたでも参加できる即興ジャムセッション。
即興が初めての方大歓迎。
楽器以外のヴォイス、舞踏、パフォーマンスなどもOK。
もちろん観覧のみでもOKです。
*ミキサー、ギター&ベースアンプ有。ドラム無。
*爆音演奏は不可。



1982年大学に入学し、演奏の場を探していた筆者は、ニュー・ジャズ・シンジケートのサックス奏者だった鎌田雄一が店長を務めるライヴハウス、荻窪グッドマンの「即興道場」に参加した。楽器持参でドリンク代を払えば、誰でもセッションに参加できるイベントで、毎月一回程度開催されていたのである。サックスやトランペットやピアノの如何にもフリージャズっぽい演奏が多かったが、ギターやヴァイオリンなどで非ジャズ的な演奏をする参加者もいて、そこで知り合ったミュージシャンとバンドを結成したり、セッションをしたりして、地下音楽の世界へ足を踏み入れることになった。実際に即興道場に通ったのは1年程度の短い期間だったが、人生においても音楽と人との貴重な出会いの場であった。最近演奏活動を再開してから、似たような即興セッションに参加する機会が増え、他の演奏家やパフォーマーとの出会いも増えた。
川島誠+河崎純@高円寺グッドマン 2018.4.14 (sat)
【私と即興演奏】7/18(土)阿佐ヶ谷Yellow Vision『騒音天獄番外編・即興の夜』へ向けて~出演:野村雅美・剛田武・鈴木和哉・Rie fukuda+自由参加セッション

一方筆者が宇田川岳夫氏と共催している「盤魔殿 Disque Daemonium」は単なるDJイベントではなく音楽を媒介にした交流の場として開催してきた。2020年にレーベル"Les Disques Du Daemonium"をスタートし、ライヴを交えたイベントも開催している。しかし考えてみれば演奏者(パフォーマー)と聴衆(オーディエンス)の関係だけが“音楽による交流の場”ではない。参加者が全員演奏者(パフォーマー)であっても成り立つはずだ。また、表現者・演奏者が特殊技能を持つ特権階級であった時代はとっくに終わっている。いまや誰でも表現者となることが可能な時代である。さらに言えば「即興」とは決して特別な行為ではない。日々の生活において決められたスケジュールで決められた行動だけをしている人はいないだろう。常に何か予定外・予想外の事態に干渉され、そのたびに自らの判断で行動を選択をしている。それこそ「生きる」ということだ。そして、その場で即座に判断し次の行動を興すことこそ「即興」に他ならない。つまり生きることは即興することなのである。

難しいことはともかく、30数年前に筆者が地下音楽にハマるきっかけとなった「即興道場」を「盤魔殿」でやってみよう、というのが『盤魔殿 即興道場』のコンセプトです。音楽の知識や演奏テクニックの有無は全く関係なく、生きること=即興することを楽しみましょう。気軽にご参加ください。何が起こるか分からない場が生まれることを期待しています。

なお、会場はあまり広くないため、参加希望の方は事前に担当楽器・ヴォイス・舞踏等の内容を含めてご連絡いただけると助かります。ブログのコメント欄、もしくはTwitter, Facebookにてメッセージをください。お問い合わせもお気軽にどうぞ。


お問い合わせ:剛田武 Twitter @mirokristel

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