A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のB級サイケ蒐集癖】第11夜[前編]:謎の凡人の非凡なサイケ『ボブ・スミスの光臨/The Visit from Bob Smith』

2018年01月31日 00時45分47秒 | 素晴らしき変態音楽


Bob Smith /‎ The Visit
Kent ‎– KST-551 / 1970

A1 Please 3:08
A2 Don't Tell Lady Tonight 3:10
A3 Constructive Critique 4:40
A4 Ocean Song 4:50
B1 India Slumber 7:55
B2 Source You Blues 6:02
B3 Sunlight Sweet 3:04
C1 The Wishing Song 5:04
C2 Can You Jump Rope 5:45
C3 Latter Days Matter 3:29
D1 Of She, Of Things 3:16
D2 Mobeda Dandelions 3:12
D3 The Path Does Have Forks 5:22
D4 Try, Try, To Understand Yourself 3:14

Musicians
Bob Smith - Vocals, Guitar
Mike Degreve - Guitar
Larry Chapman - Violin
Stan Keiser - Flute
Dan Preston - Mellotron, Keyboards
Skip Schneider - Drums
John Latini - Bass
Darryl Dragon - Keyboards, Vibes

ボブ・スミス、日本でいえば山田太郎のような平凡な名前だが、筆者の55年の人生で山田太郎という人物は国会議員と漫画のキャラクターしか知らないことを考えれば、逆に有り得ない名前かもしれない(アメリカではどうかわからないが)。そんなアンビバレント名前の男が残した謎に満ちたレコードが『ボブ・スミスの光臨/The Visit from Bob Smith』である。

このレコードと出会ったのは34年前の1984年に通っていた大学の生協の中古レコードセールだった。特価500円均一コーナーに紛れていたこの2枚組はさらに安価の200円の値札が付いていた。この特価コーナーはESPのフリージャズやNew Jazz Syndicate 、近藤等則・高木元輝等のE.E.U.(Evolution Ensemble Unity)などが混じっている穴場だったが、例え200円でもまったく知らないレコードを購入するのは貧乏学生にとっては勇気が要った。しかし裏ジャケにドン・プレストンの名前を見つけたことが決め手になった。今から思うと信じられないが、当時マザーズ・オブ・インヴェンションのレコードはほとんど廃盤で手に入らなかったこともあり、筆者の憧れの的だった。マザーズのメンバーのドン・プレストンが入っているなら多分ハズレは無いだろうと踏んだわけだ。

買って帰って聴いたところ、凡庸なブルースロックやカントリーフォークに雑じってファズギターやインド音楽が入った折衷的なアルバムで、アングラサイケやフリークアウトを期待した筆者にとっては肩透かしだったが、宗教めいた封入ポスターが気に入って暫く部屋に飾っていた。後にこのアルバムがコレクター市場で結構高値で取引されていることを知って聴き直してみたが、やはり2,3曲を除いて何処にでもあるB級アメリカン・ロックにしか聴こえなかった。当時モダーンミュージックの生悦住英夫氏がサンフランシスコのシャーラタンズを例に出して「つまらなく聴こえるアメリカン・ロックの中に本物のサイケデリックがある」と語っていたが、『ボブ・スミスの光臨』も同じかもしれない。そう思ったりしたが、結局10年以上聴くことはなかった。

昨日突然頭にこのアルバムが浮かんできて、震災で歪んで取り出しにくいレコード棚の奥から引っ張り出して聴いてみた。昨年買い替えた英国製のレコードプレイヤーから漂うように流れ出す深いリバーブに包まれたボブ・スミスの歌声が天国からの通信に聴こえてきた。やっと本物のサイケデリアが筆者の心に降臨したようだ。ネットで調べてみたらボブ・スミスのその後の消息を伝える記事を発見した。話が長くなりそうなので、次回ボブ・スミスの隠された真実を明らかにするとしよう。

Bob Smith - The Wishing Song 1970



.....To Be Continued....

ボブ・スミス
ドカベン喰らって
サイケする



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灰野敬二/MERZBOW/LEF!!! CREW!!!@東高円寺UFO CLUB 2018.1.26 (fri)

2018年01月28日 03時21分23秒 | 灰野敬二さんのこと


【U.F.O.CLUB22周年記念 "human filter"】
OPEN 19:00 / START 19:30
前売¥2,500(D別) / 当日¥3,000(D別)

LIVE:
・灰野敬二
・MERZBOW

MODULAR SYNTHESIZAR DJ:
・LEF!!! CREW!!!



ノイズとわたし。
記憶を辿ると物心ついた時、つまり覚えている限りで最初の幼少期から音楽ではない雑音が好きだった。幼稚園の机に耳を付けて机の下を指で擦ったり叩いたりして音が変わるのが面白くて1日中突っ伏していたり、学芸会でかぶったお面のゴムを弾くと耳に伝わる振動と音程が変わるのに夢中になって台詞や演技をすっかり忘れてしまったり、両耳を指で塞いだまま歩くと心臓の鼓動と足音がポリリズムを作ることが楽しくて車に轢かれそうになったりする端から見たら妄想がちで危ない少年時代を過ごした。雑音への興味はレコードにクレヨンで絵を書いたらどんな音がするかと思って好きな童謡やテレビ主題歌のドーナッツ盤を台無しにして泣きべそをかく結果に繋がった。

しかしそんな興味と幼稚園の頃通ったヤマハ音楽教室で習ったオルガンや小学校の音楽の授業はまったく別の世界だった。オルガンを弾くのは楽しかったが、ちゃんと弾けないと母親に厳しく叱られて泣きべそをかくばかり。それでも音楽は嫌いにならなかった。小学校ではハーモニカやリコーダーに燃えたのは勿論、合唱の時間は大抵の男子がやってられないとばかり歌う振りですますところを、張り切って大声で歌って教師に褒められ友達に疎まれるタイプだった。クラスで浮いても音楽で褒められれば平気だった。小学4年生からフルートを習いに行ったが、音楽教室の生徒は女子ばかりで恥ずかしくてサボってばかりいた。そのため練習不足で発表会で上手く吹けず悔し涙で泣きべそをかいて突っ立っていた。



中学生になってラジオでロックを知り夢中になった。エレキギターが欲しかったが小遣いでは買えず、クラシックギターにマイクを突っ込んでステレオに繋いでヴォリュームを上げたらハウリングした。ギターの角度によって音が変化するすることを発見し、夢中になって三日三晩やり続けてスピーカーを壊してしまった。壊れたスピーカーの雑音は、子供の頃から中毒的に好きなタバコの吸い殻の臭いと同じく快感中枢を否応無しに刺激した。

KISS『地獄の軍団』の「デトロイト・ロック・シティ」の自動車の衝突音や、ビーチ・ボーイズ『Surf′s Up』の「Student Demonstration Time」のディストーション・ヴォイスや、冨田勲やジェネシスのエレクトリックな効果音が好きだった。セックス・ピストルズで特に気に入ったのは、曲のエンディングからはみ出す吐唾の音やスイッチングノイズだった。ラジオでミュージックコンクレートが流れたときは歓喜のあまり感極まって「ラジオが発狂した!」と落涙し号泣した。

79年にポストパンクが出て来てレジデンツやザ・ポップ・グループを好になった。スロッビング・グリッスルやキャバレー・ヴォルテールも聴いたが機械的なリズムが好きになれなかった。フライング・リザーズの影響で始めたラジカセの多重録音に受験勉強よりも没頭して浪人した。ギルバート&ルイス/DOMEと、何よりも大竹伸朗の19/JUKEに大きな影響を受けて、出来上がった曲を再度レベルオーヴァーで録音し歪みまくった音質にして悦に入っていた。



82年に大学に入ってサックスを買って即興を始めた。荻窪グッドマンの即興道場で観た岸野一之(後のK.K.NULL)のプリペアドギターが初めて生で聴いたノイズ演奏だった。『愛欲人民十時劇場』や灰野敬二『わたしだけ?』に惹かれたが、それはノイズの有無ではなくて、音の気配の特異性故だった。アルバイトしていた吉祥寺ぎゃていでは有象無象の地下音楽が繰り広げられたが、シンセや電子楽器よりもギターや管楽器で雑音を奏でる方が好きだった。80年代後半に海外からソニック・ユースやノイバウテンが現れて、日本ではハナタラシやメルツバウが話題になったが、サイケに夢中になった筆者には響かなかった。60年代サイケデリックのテープ操作や自作電子楽器の不器用な雑音コラージュの方が心躍った。

21世紀になる直前の2000年末に訪れたノルウェーでWhitehouseを再発見して休眠していた地下音楽愛が再燃。『電子雑音』や『G-Modern』を手引きにノイズやジャパノイズを聴き始め、WhitehouseやGenocide Organ、インキャパシタンツやマゾンナ、メルツバウ、Hair Stylisticなどのライヴに通い、ノイズ/アヴァンギャルド・セールに並んで80年代インダストリアルを中心に買い漁った。しかし2011年の大震災で地球が壊れる音を経験してしまった後は、ちっぽけな人間のせせこましいNOISE(雑音)を聴く意味が感じられなくなった。それよりもヴィジュアル/サウンド/肌触り/香り/愛情を五感を通して脳内に注入して陶酔感を高める音楽分野(地下アイドル)を聴くべきだと実感した。



以上の理由でノイズ界隈から他界気味の筆者であるが、この日の灰野敬二とメルツバウの対バンイベントは、実質モジュラーシンセ生演奏のLEF!!! CREW!!!のDJを含め、NOISE OR NOT DOES NOT A MATTER (ノイズか否かは問題ではない)という真理を突きつけられ、MUSIC OR NOISE IS NOT MY CONCERN(音楽かノイズかなんて関係ねえ)と言い切れる正念現場であった。40年やり続ける者にはジャンルやレッテルなど不要であり無意味である。灰野が歌った『PAINT IT BLACK(黒くぬれ)』に忍び込ませた「BLACK IS MASTER OF WHITE(黒は白の主人)」という言葉にすべて集約されている。



黒と白
交わることなく
蕩け合う

【本日開催!】
GIGADISCO


開場 12:00 / 開演 13:00
予約 ¥3,500/当日¥3,800(+1drink)

急遽!!山本精一、大友良英参戦!!

連続9時間鳴り響く極悪爆音ディスコビート!
そのビートとアーティスト達は戦うのか?従うのか?無視するのか?
ドラびでお入魂の嫌がらせ企画第一弾!「GIGADISCO!」

このイベントの開催日1月28日にちなみBPM128で会場中に鳴り響くバスドラ4つ打ちディスコビート。
そのビートに乗っかりフィーバーするも良し、無視してアバンギャルドを気取るも良し、細分化し変拍子プログレ野郎に成るのも良し、ビートを見失い途方に暮れるのも良しやり方は全く自由!問答無用の4つ打ち地獄!

ディスコとは全く無縁の超豪華ラインナップでお贈り致します。

出演
灰野敬二 ー 日本が世界に誇る黒のカリスマ
大友良英 ー 説明不要!!世界が世界に誇る真のアーティスト!
山本精一 - 世界一の鬼才!!残した伝説は星の数ほど!!今回は何を?
七尾旅人 ー 唯一無二のライブパフォーマンス!即興演奏家としても超極上!
テンテンコ ー 神出鬼没変幻自在のアヴァンギャルド表現者!最強!キュート!
美川俊治 ー インキャパシタンツ、非常階段!レジェンドオブジャパノイズ!
吉田達也 ー RUINS世界が認める変拍子の神。超絶ドラマー
天鼓 ー 日本インプロ界の母ヴォイス界の先駆者
河端一 ー アシッドマーテンプル総帥世界が認めるサイケキング!スピードグル!
Li2MIHOLiC ー  スーパーパフォーマー若林美保と闇金ウシジマくんで御馴染みの倖田李梨の妖艶艶女アイドルユニット!
妖精マリチェル ー 東北を牛耳るノイズ女王実は妖精
isshee ー 千駄木バーイッシー経営バツイチ独身
齋藤久師 ー 世界最強のシンセ大魔神!!趣味は松茸狩り。
花園ディスタンス ー キッチュでクラシカル。超不思議なサウンドを生み出すスリーピースインストバンド
dj.sniff ー 先日大成功を収めたアジアンミーティングフェスのキュレーターでアジア即興界の黒幕
BONSTAR ー 抜群なセンス!何が起こるか分からない予測不能の面白さ!天才!
HATAKEN ー XJapan「SUGIZO」とのニューアルバムも待ちどうしい日本モジュラー界の首領
遊神 ー 岡山の生んだノイズアンビエントの天才。永遠に極楽浄土
ニーハオ! ー あのジョンゾーンも惚れ込んだ日本最強の超ギャルバン!チアパンク!元気印!
HIKARI ー FujiRockを永久追放になった伝説のバンド「BOMBORI」のリーダー復活!
galcid+Machina ー ニューアルバムで世界のレジェンドを骨抜きにしたgalcidと某化粧品CMも話題の歌姫Machinaの初モジュラーDUO!
沼田順 ー 時代の最先端を走り過ぎて今や風前の灯火倒産寸前ダウトミュージック社長
DJ.MEMAI ー 強烈な音像空間。他に類を見ない独自の世界感を構築するそのスタイルは必見!
飯田華子 ー 18禁エロ紙芝居!あの手この手で攻めまくる予測不能の48手 妖艶かつ淫靡
ドラびでお ー 無謀な主催者。

予約はコチラから

タイムスケジュール

1.13:00-13:20 A HIKARI(Granule)
2.13:20-13:40 B 沼田順
3.13:40-14:00 A ニーハオ!
4.14:00-14:20 B isshee
5.14:20-14:40 A memai
6.14:40-15:00 B 妖精マリチェル
7.15:00-15:20 A 花園ディスタンス
8.15:20-15:40 B dj.sniff
9.15:40-16:00 A HATAKEN
10.16:00-16:20 B BONSTAR
11.16:20-16:40 A 齋藤久師+Li2MIHOLiC
-------- 16:40-17:00 休憩(20分)
12.17:00-17:20 A galcid+マキーナ
13.17:20-17:40 B 遊神
14.17:40-18:00 A 吉田達也
15.18:00-18:20 B 飯田華子
16.18:20-18:40 A ドラびでお
17.18:40-19:00 B 河端一
18.19:00-19:20 A 山本精一
19.19:20-19:40 B 美川俊治
20.19:40-20:10 A 大友良英
21.20:10-20:30 B 天鼓
22.20:30-21:00 A 七尾旅人
23.21:00-21:20 B テンテンコ
24.21:20-21:50 A 灰野敬二
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【Disc Review】High Rise / High Rise II

2018年01月26日 02時27分32秒 | 素晴らしき変態音楽


High Rise / High Rise II
LP : Black Editions BE-002/002

Asahito Nanjo :b, vo
Munehiro Narita :g
Dr. Euro :ds

Side A
1 Cycle Goddess
2 Turn You Cry
3 Cotton Top
4 Last Rights
Side B
1 Wipe Out
2 Pop Sicle

Words by Asahito Nanjo
Music by High Rise

Recorded at Jam Studio Tokyo, 1986
Recording Engineer - Kazuteru Hama
Mixed by - Asahito Nanjo
Produced by - Asahito Nanjo

黒き住処に女神は舞い降りぬ

パンクすきな高校生だった筆者は一浪して1982年に大学に合格した頃にはアヴァンギャルドやフリージャズ、そしてサイケデリックを愛聴していた。『Pebbles』や『Nuggets』などのコンピと共にPsychoとEvaの二大サイケ再発レーベルのレコードを熱心に聴いていた。自分のバンドではネオ・サイケ風のオリジナル曲を作り、ファズとWOWOWで真似をしていたのはジミヘンではなくTerry Brooks & The Strangeだった。大学3,4年の頃音楽雑誌(『Marquee Moon』だと記憶していたが、その頃にはプログレ専門誌になっていて日本の地下音楽をレビューするとは思えないので『Fool's Mate』か別の雑誌かもしれない)のレビューでHigh Riseの1stアルバム『Psychedlic Speed Freaks』を最高のサイケと絶賛していたので、日本にも本格サイケが登場したかと気になって買いに行った。その当時はすでに明大前モダーンミュージックに時々行っていたはずだが、Hsigh Riseを買ったのは下北沢V-SCENEというレコード店だった。聴いてみたら、確かに歪みまくった音色はテリー・ブルックスに通じるが、ひたすら早弾きを続けるギターと爆音で突進するリズムセクション、メロディすら聴き取れないヴォーカルは期待していた酩酊感や陶酔感はなく、ハードコアパンクと同じ覚醒感があるだけに思えた。

当時サイケの専門家?たちは、上っ面のサウンドエフェクトやギミックに惑わされることなく、内面の狂気こそ本当のサイケデリックだと見抜かなければ意味がないと諭すように語らっていた。生悦住英夫がことあるごとに例を出したのはサンフランシスコのThe Charlatansの話。普通のアメリカン・ロックに聴こえるが、何度も聴けば内面に潜んだ本物のサイケデリアを理解できるはず。それと同じ意味合いでHigh Riseの覚醒した爆音も紛れもない本物のサイケデリックなのだろう。LIVE RECORDING BOOTLEG ALBUMと銘打ったのも納得のレアなレコードだとはわかっていたが、聴き返すことは滅多になかった。80年代半ば〜90年代前半の筆者は、自分のバンドの対バン以外の日本のバンドを観に行くことはほとんどなかったので、ライヴで本領発揮するHigh Riseの生演奏を経験したことは無い。21世紀に入って地下音楽の世界に舞い戻った後、後継バンドのGreen Flamesや成田宗弘のギターソロ演奏を何度か観て、往年のHigh Riseのステージに想いを馳せるばかりであった。
灰野敬二、藤掛正隆、成田宗弘他@東高円寺UFO CLUB 2010.8.6(fri)
>GREEN FLAMES/シベールの日曜日他@高円寺ショーボート 2011.9.15(thu)
ボーカロイドはサイケデリックなスピード狂の夢を見るか?~ハイライズとグリーン・フレームス

High RiseのCD/LPは西欧のレーベルから続々発売されたが、PSFからの正規のアナログ盤は『Psychedelic Speed Freaks』(84)と2nd『High Rise II』(86)の2作のみ。その2作目がBlack Editonsからアナログ盤でリイシューされた。オリジナル盤は聴いたことが無いので比較しようがないが、レベルオーバーの歪みのために低音域やギターのエッジまで曖昧になってしまった1stに比べ、音の迫真性はそのままに、重量感と切れ味が鮮烈に刻まれたサウンドは、例えば大阪の奇跡と呼ばれたサバート・ブレイズと比べても遜色がないばかりか、過剰な疾走感とギターの音数は、ある意味でギネス記録に迫るほどの見境のない狂気に貫かれている。歌メロや声質も魅力的で、80年代ポストモダン時代の地下に咲いた暗黒の花の威容を30年の月日を超えて目の当たりにすることが出来る。

蛇足でしかないが、当時就職して2年目の87年に筆者が借りて住んでいた大叔父所有のマンションは「石川台ハイライズ」という名前だった。4LDKひとり暮らしの部屋で毎晩奏でたギターの歪んだノイズは人生で最もサイケに振り切れた瞬間だった。『High Rise II』を聴く度に、サイケの桃源郷に舞い降りる覚醒した女神の幻影が頭の中を駆け巡る。

ハイライズ
天国近くに
棲む処


Black Editions Websiteで限定スペシャル・エディション(スプラッター・シルヴァー・クリア・ヴァイナル+High Rise "Tapes"カセットテープ付き)が購入できる。
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【Disc Review】Tokyo Flashback - P.S.F. Psychedelic Sampler

2018年01月25日 02時33分28秒 | 灰野敬二さんのこと


Tokyo Flashback - P.S.F. Psychedelic Sampler
2LP : Black Editions ‎– BE-001/012

A1. Marble Sheep & The Run-Down Sun's Children "22 February.1991"
A2. High-Rise "Mainliner"
B1. Ghost "Tama Yura"
B2. White Heaven "Blind Promise" (Alternate Take)
C1. Fushitsusha "Kotchi, Omae" (Here - You)
C2. Verzerk "Tsumi To Warai" (Crime and Laughter)
D1. Kousokuya "Akatsuki No Owari" (End of Dawn)
D2. Keiji Haino "Tattaima" (Right Now)

東京・地下・ 1991

モダーンミュージックのオーナー生悦住英夫が1984年に立ち上げたP.S,F,レコードのコンピレーション・シリーズ『Tokyo Flashback』の1991年の第一弾がアナログ盤二枚組でリイシューされた。オリジナルCDはプラケースに16ページ・ブックレットが入っただけの無味乾燥なパッケージだったが、アナログ盤はブック型ケース入厚紙見開きジャケットに、カラーLP袋と解説カード2枚が挿入された豪華な作りになっており、レコードヲタクにとっては灰野敬二『わたしだけ?』に続くBlack Editionsのこだわりが嬉しい。

筆者が最初に買ったのは92年の『Tokyo Flashback 2』だったと記憶しているが、ライヴ一発録音中心の音質は正直言って聴き辛く、余り熱心に聴かなかった覚えがある。第一弾のサウンド的にはそれ以上に歪み潰れた音質は、レコーディング費用を最小限に抑えるマイナー・レーベルの宿命かもしれないが、PSFの場合はそれよりもアルバム・タイトルのヒントとなった60年代ガレージパンクやサイケの盤起こしの再発盤に結果的に近づいたといえる。実際のところ『Pebbles』など初期コンピ盤の歪んだプチノイズ入の音色は、オブスキュアなB級ガレージ/サイケの魅力を倍増させる効果があった。後にマスターテープが発見されリイシューされたCDの余りにクリアな音質に、最初に聴いたときの魔法が消え失せてしまった経験も多々あった。

今回の再発に当たりアナログ用リマスタリング/カッティングされたレコード盤に刻まれた音は、煤を払ったようにヴィヴィッドになったが、元々の歪んだ音質は当然そのまま残っている。アナログ特有の太い低音が音の厚みを増加させ、曲によっては音の壁や塊のような迫力で迫ってくる。当時1991年に25年前の60年代サイケ音源の再発を聴いていたことを考えれば、2018年から25年以上前の91年の音源は、まったく同じ意味合いのオブスキュア音源と言える。以前も書いたが「Flashback=回想・回顧」というタイトルは、25年以上経った今になって初めて真の意味を露にしたのである。
【Disc Review】極私的東京地下音楽シーン回想録〜『V.A. / Tokyo Flashback P.S.F. 〜Psychedelic Speed Freaks〜』

マァブルシィプ&ザ・ランダウンサンズ・チルドレン、High-Rise、White Heavenのそれぞれジャーマン・ロック、ヘヴィサイケ、ガレージパンクにインスパイアされた大音量のハードロックは90年代地下ロックの大きな底流を形作った。その影響を諸に受けたのがコンピ中の最年少ユニットVerzerkである。ブリティッシュ・ロックの要素を持ったヘヴィなサウンドは、ベテラン揃いのラインナップの中で一際新鮮な光を放つ。マァブルシィプのメンバーでもあるMasaki Batoh率いるGhostのアシッド・フォークは当時仕組まれたワールド・ミュージックとはまったく異なる次元で民俗音楽をロック文脈に昇華していた。そして東京の地下音楽の源流吉祥寺マイナーで生まれた二つのバンド=光束夜と不失者の孤立性こそは、すべてのアンダーグラウンド生活者のサウンドトラックに相応しい。光束夜は金子寿徳の死により二度とこの世で聴くことは出来なくなってしまったが、灰野敬二の不失者は現在も苔むすことなく転がり続けている。最後を飾る灰野敬二のヴォイスのみのトラックは、地上と地下/生と死/光と闇/あっちとこっち云々を問うことなく、たった今ここに存在する音の気配に過ぎない。「過ぎない」ことの難しさがわかるかわかろうとしないかは、あなたの心の蕩け方次第だ。

積み上げた
カウンター越しに
聴こえる音



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【Disc Review】灰野敬二  ジョン・ブッチャー『光  眩しからずや』

2018年01月24日 00時58分43秒 | 灰野敬二さんのこと


KEIJI HAINO JOHN BUTCHER - Light Never Bright Enough
灰野敬二 ジョン・ブッチャー『光  眩しからずや』

LP/CD Otoroku ‎– ROKU018

Keiji Haino : Vocal, Guitars, etc.
John Butcher : Saxophones and Feedback

Recorded live at Cafe OTO on the 9th July 2016 by Luca Consonni.
Mixed by John Butcher.
Mastered by Giuseppe Ielasi.
Photography and design by ORGAN.

陰陽二元論の交わりを約束する眩しからぬ光の導き。

イギリス前衛ジャズ界のベテラン・サックス奏者ジョン・ブッチャーと灰野敬二が初めて共演したのは2016年1月9日(土)香港The Empty Gallery。同年7月9日(土)ロンドンCafe Otoで2度目の共演を果たした。本作はCafe Otoでのライヴ録音。各500枚限定のLPとCD、そしてダウンロードで2017年12月にリリースされた。収録曲はLPよりもCDとダウンロードが3トラック多い。

ジョン・ブッチャーについては余り詳しくないが、他のアーティストとの共演アルバムや昨年12月にCafe Otoで観たライヴの印象では、変化の少ないロングトーン中心で、フレージングやメロディではなく、音色や波形の起伏でアンサンブル全体をコントロールするドローン演奏家のイメージが強い。西洋の即興シーンでは、このようなドローン系の演奏に特化したアーティストやファンが少なからず存在する。例えばサーストン・ムーアのギターはノイジーではあるが、空間を切り裂くのではなく塗り潰すプレイと言える。一方で灰野の演奏は、ギターでもエレクトロニクスでも、もちろんパーカッションでも一音と一音の違いを意識した演奏であり、息継ぎやブレイクのない一続きの長音だとしても音と音の間に意志を集中させるという。それは音量や音数の大小ではなく、音楽創造過程に於ける「間」の意識であり、日本的に言えば「侘び寂び」の表出と言えよう。では西洋的な「塗り潰し(ドローン)」との差異の源は、一神教のキリスト教の原罪主義と、八百万の神の神道の祭祀主義の意識の違いだ、などと論議し出すと怪しい方向へ話が逸れるので、これ以上論を進めるのは辞めておこう。

もしブッチャーがドローン演奏に固執したとしたら、変化を潔しとする灰野のプレイが孤軍暴走し、コラボというよりフロントとバックに従属し溶け合うことなく分離したまま平行線の可能性がある。筆者が35年前にやっていた即興ユニット「OTHER ROOM」はメンバーがそれぞれ別の部屋で演奏する態度・意識で自主的/自己中心的な即興アンサンブルを目指したが、お互いを無視する強度に欠けて往々にして馴れ合いになった。そんな生半可な演奏を引合に出すのも憚られるが、自覚した演奏家にとっての「自主性」とは、交わりを作らないことでは勿論ない。交わるからこそ自覚した独立/孤立が意味を持つのであり、最初から接点がないところに自主も自覚も自己中心も有り得ないのは自明の理である。その意味では『光 眩しからずや/Light Never Bright Enough』というタイトルは、演奏空間に於けるブッチャーと灰野の接点との関係を見事に言い表している。どんなに明るい光であっても、二者が接点を保ちつつ別の方向へ離れたり付いたりする限りは、障壁にはならないし、逆に目的地にもなり得ない。眩しからぬ光こそ、両者のコラボレーションが変化し成長し続ける要因であり動機であり希望なのである。

灰野は歌、ギターetcとクレジットされているが、ポリゴノーラやパーカッション、チャイニーズオーボエなど多種の演奏。聴く限りは明確な歌詞は歌っていない。だからといってインストゥルメンタル・コラボレーションとは言い切れないのが、灰野の「歌/Vocal」なのである。このアルバムで聴けるブッチャーのプレイは、筆者が勝手に貼った「ドローン演奏家」のレッテルが、如何に浅はかで如何に上っ面で愚かな聴取態度に基づいていたか猛反省し、リスナーとしての自覚を取り戻すための絶好の導きとなったことを付け加えておきたい。

ブッチャーは
肉屋じゃないかと
早とちり


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【完全セトリ公開】盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.9 @渋谷EdgeEnd 2018.1.21(sun)

2018年01月23日 00時06分25秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.9
Dunkles Neujahrsfest

2018.1.21 Sun.
18:00 Open / Start
Charge ¥1,000 incl. 1 drink
Shibuya DJ BAR EdgeEnd



<Complete SET LIST>
●DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫 (18:00-18:30)


1 Tomohiko Sagae – Cold Eyes
2 Siamgda - Drumosphere
3 End Nightmare Visions – Perverse Pleasures
4 Chu Ishikawa(石川 忠)– DH (from Tetsuo Complete Box disk 1)
5 Chu Ishikawa(石川 忠)-EH(from Tetsuo Complete Box disk 2)
6 Lustmord - Corvus Mysticum
7 Hologram – In Pandemonium
8 DΣ/VR:/Z-STROBE
9 Zeitlich Vergelter – The Third System Of Transit
10 花園神社酉の市見世物小屋口上(1987年?フィールドレコーディング)



●DJ 黄桜 aka 永田希 - Guest DJ(18:30-19:00)


1.「HURTS」D'ERLANGER 1990
2.「光の涯 feat. MORRIE」SUGIZO 2017
3. Russell Haswell performing at WE CAN ELUDE CONTROL, Bexhill De La Warr Pavillion 9/6/12 https://www.youtube.com/watch?v=-YTPR9fdnA4
4. Karlheinz Stockhausen * Nachtmusik https://www.youtube.com/watch?v=YrTgPCxbfWY
5. 般若心経 コーラス ver. (heartsutra cho ver.) / 薬師寺寛邦(キッサコ) https://www.youtube.com/watch?v=958qchBNs60
6. 植物文様第十一集 笙箏組曲4 https://youtu.be/68Wc_TCveaI
7. [イヤホン推奨] 炭酸水の中に潜り込む/Dive into Sparkling water [Wear earphones] https://youtu.be/gec7xw2Chgs
8. TFOM 2014 AXONOX performance https://youtu.be/bHO8G_GJ8Ak
9. The Panacea Live @ 12 Jahre Rosi's, Berlin 19.09.15 https://soundcloud.com/thepanaceaofficial/the-panacea-live-12-jahre-rosis-berlin-190915
10. とろ美 - 如来16 (涅槃モード) https://youtu.be/N2b1nx0pI4s
11. nnnnnnnnnnnn 20130917 https://soundcloud.com/nagata_nozomi/20130917-1
12. nnnnnnnnnnnn DNNMC20110318-2 https://soundcloud.com/nagata_nozomi/dnnmc20110318-2

●DJ Bothis aka MSS(19:00-19:30)


1. 土取利行 - ああわからない
2. gavin bryars - hymnⅡ
3. 土取利行 - 民権数え歌
4. Game Miller&Steve Shill - The Moomins Theme
5. 土取利行 - ノンキ節
6. WARSAW - Transmission
7. ALLERSEELEN - KRIGER AUS STEIN
8. COLLAPSING NEW PEOPLE - deny me
9. 土取利行 - オッペケペー節
10. RON MORELLI - CRACK MICROBES
11. 土取利行 - あきらめろ節

●Undergroud Music Battle DJ Bothis (B) vs DJ Paimon (P)(19:30-20:00)


1. 4-D - 春嵐 (P)
2. Mr.Kite - Song For You〜Crazy or Lazy (B)
3. 胎児 - Radioactive Ash (P)
4. SS - 東京・明大前・キッド・アイラック・ホール (B)
5. Angel’in Heavy Syrup - 春爛漫 (P)
6. HALLELUJAHS - すぐ行くよどこにいても (B)
7. Moebius, Cony Plank, Mayo Thompson - Ludwig’s Law (P)
8. 角谷美知夫 - テレパシーなんかウンザリだ (B)
9. Nurse With Wound - Brained By Falling Masonry (P)
10. Spaltkreis Wassermann - Psychofron (B)
11.岩本清顕 - Love Will Tear Us Ap (P)
12. Game Miller&Steve Shill - Leaving Moomin Valley (B)

●DJ Paimon aka Moppy(20:00-20:30)


1. Can - Millionenspiel
2. Inner Space - Kamera Song
3. Dunkelziffer - Akino Aruhini
4. Phew - Signal
5. S.Y.P.H - Satarasch
6. Les Vampyrettes - Biomutanten
7. Bit’s - 2nd Byte
8. Phantom Band - Dream Machine
9. キラーCAN - ペーパーハウス



●DJ Necronomicon aka 剛田武(20:30-21:00)


1. Cosey Fanni Tutti / TIme To Tell
2. Pierre Henry / La Noire a Soixante
3. ・・・・・・・・・/ ねぇ
4. Fe-mail / Gossip
5. Luciano Berio / Visage
6. HAMIDASYSTEM / 蟬の声
7. Evan Parker, Derek Bailey, Han Bennink / The Topography of the Lungs
8. Gilli Smyth / Mother
9. Necronomidol / Hexennacht
10. Zoltan Jeney / To Apollo
11. Throbbing Gristle / Hot on the Heels of Love
12. テンテンコ / なんとなくあぶない
13. テンテンコ / 危険なハイウェイ

●Undergroud Music Battle: DJ Athmodeus (A) vs DJ Qliphoth (Q)vs DJ Necronomicon (N) (21:00-21:30)


1. DJ方 / ちっちぇ靴 (A)
2. Kenneth Anger – Technicolor Skull (Q)
3. ジャックス / からっぽの世界 (N)
4. LAIBACH / Final Countdow (A)
5. Wataru Kasahara(瘡原 亘)- 野良犬神楽 (Q)
6. みんなのこどもちゃん / 朝を殺したい (N)
7. 水牛楽団 / 人と水牛 (A)
8. End Nightmare Visions – Crazy (Q)
9. Kil Og Yun & Midnight SUN Pops/ Stardust (N)
10. URI GELLER / Come On And Love (A)
11. Mono No Aware – Fade In (Q)
12. Shushupe : An Ayahuasca ceremony in the Peruvian Amazon with Norma Panduro – Icaro 1(with chakapa and whistling) (Q)



●DJ Athmodeus aka 持田保(21:30-22:00)


1: MUSLIMGAUZE / Devour
2: EL MAHDY JR. / Ghost tapes
3: SAINT ABDULLAH / タイトル不明
4: OMAR SOULEYMAN / Wenu Wenu
5: ACID ARAB / Le Disco
6: BRIGITTE FONTAINE / Comme À La Radio 1995



●主な使用映像 by VJ Qliphoth
「鉄男」監督 塚本晋也
「イワン雷帝」監督 エイゼンシュテイン
「Dawnslayer」Necromidol PV
+自作効果映像 
使用ソフト: Resolume Arena6, Magic, Touch Deginer, Cross …etc 

盤魔殿
終焉の端(EdgeEnd)
極北地

<次回告知>
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.10
異端DJ豆撒き大会
2018年2月12日(月・祝)

18:00 Open/Start
Charge ¥1,000 incl. 1 drink
Shibuya DJ BAR EdgeEnd

Regular DJs + Guest DJs: T. Hashimoto(.es) & マイブラ男
来場者に『盤魔殿アマルガムvol.4』無料進呈

▼テンテンコさんも推奨

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【第一回女子音源を倩(つらつら)と聴く会】エモップ/ゴキ帝/ぜん君/ハミシス/テンテンコ

2018年01月22日 01時47分44秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


気が狂いそうな毎日を過ごす 
人間どもの面には苦悩の影は見えない
どうせこんなものだと諦め切っているのさ 
しかし見てみろ 俺たちの足元が砂に変わって崩れてく
社会という蟻地獄にハマり込んだ俺たちは 
ひたすら生きようともがくが 
どうにもならず沈んでゆく
(Euqismorih/アリ地獄)

高校時代に書いた歌がリピートする悪夢に魘されて遅すぎる昼寝から目覚めた夕方五時半、突然「最新女子音源を倩(つらつら)鯖(さば)く清らかな快晴の錆つく静寂の靖寧」という破調の短歌が頭に浮かんだ。これは俺にとって馴染み深い感覚である。幼少の頃から霊界からの呼び声を受信するラヂヲのように「架空の隠れ家に格闘家が核兵器を匿う革新的な革命を確信する覚醒剤」(5歳時)といった言霊が湯水のように沸き上がり走馬灯のように頭の中を駆け巡る経験には慣れっこになっていた。だからこそ今回の詔の意味するところを即座に察して次の行動を起こすことが出来たことは、俺にとっては白昼夢の幸運に違いなかろう。つまり歌詞の「社会」を「アイドル」に痴漢もとい置換すれば、俺のStatus Quo(現状そのまま)を表すテーマソングとなるのである。十代半ばにして40年後の自分の姿を予言していた童貞時代の自分の慧眼には我ながら恐れ入るのみである。

というわけで『女子音源を倩(つらつら)と聴く会』を発足することとした。会員は現在のところ俺だけだが、この記事を読んだ者は全員自動的に会員となることが規約の第三条二十四項に記載されているので、各自確認の上従うこと。万が一規約に違反したときは草葉の陰から一生呪ってやるからそう思え。

●エモクルスコップ『Pit Put Circle』


“エモくて苦しい”をコンセプトに2017年3月より活動を始めたアイドルグループ『エモクルスコップ』のファースト・フル・アルバム。デビューから11月までライブで披露された7曲に新曲3曲を加えた10曲構成。ネガティブとポジティブが混同した楽曲は耳から脳に侵入する。

初めて観た時、楽曲は正直言ってありがちなガールズロックだが、三人のメンバーのがむしゃらでときにやけっぱちなパフォーマンスが心に刺さった凸凹トリオ。腕を振り回して地団駄踏むパフォーマンスがなくてもサウンドだけでエモ苦しさを詰め込んだ秀逸なデビューアルバム。リリース直後にメンバーがひとり脱退してしまったが、更なる活動に期待したい。

【エモクルスコップ】『だっても』



●劇場版ゴキゲン帝国『インディーズベスト』


日常生活のあるあるを歌った歌詞が人気の劇場版ゴキゲン帝国。“理不尽と戦え。”をコンセプトに、デビューから1年間の活動の全てを込めたファースト・アルバムを完成させた!収録曲は“手を叩く”“オーオー言う”などライブでの楽しみ方がそのまま歌詞になった「GGT-ROCK」、全人類の心の叫びを歌った「人の金で焼肉食べたい」、全ての仕事を辞めたい人に送る曲「I NEET YOU」など、バラエティに富んだ、これぞまさに劇場版ゴキゲン帝国!という楽曲が盛りだくさん。

コスプレ衣装で焼き肉とかラーメンとか食い物を歌うバラエティ系のゴキ帝だが、初の公式アルバムは「ちゃんと」していて驚いた。売れるコミックバンドは演奏が上手いと例えにあるように、ゴキ帝のお笑い要素は綿密に作られた楽曲の完成度の高さに支えられていることがわかる。演じるメンバー(よく見ると、みんなかわいい)の芸達者加減もハンパない。音源版ゴキゲン帝国民に慣れる1枚。

【MV】劇場版ゴキゲン帝国 『人の金で焼肉食べたい』



●ぜんぶ君のせいだ。『新音』


病みかわいいをヴィジュアルコンセプトとするアイドルユニット「ぜんぶ君のせいだ。」2016年1月に1stフルアルバムでデビューし、11月に2ndフルアルバム、年を越え17年5月には9都市10公演のワンマンツアーを行い、各地ソールド続出した。前作から5ヶ月ぶりの作品となる3rdフルアルバムと同発にて、再録アルバムここに完成。現在までに発売しているアルバム2枚を全て再録・再MIXしている全23曲。

「病み」「病気」は現代人のキーワードであり、病みをテーマにした女子は少なくない。特に地下アイドルはほぼ全員病み経験者といって間違いない。病みを武器に世界と闘う5人組「ぜん君」こと「ぜんぶ君のせいだ。」は、ヘヴィメタ+テクノ+ディスコ+デスボイスの組み合わせも競争相手が多いが、すべて病んだ病みソングを22曲も持つ徹底振りは<アイドル界の病みの市>と言えるだろう。病みつきになる二枚組。

ぜんぶ君のせいだ。"せきららららいおっと"Official MusicVideo



●HAMIDASYSTEM『1st anniversary one man live Version Up 2017.12.16 SAT』


2017年12月16日、1周年記念ワンマンライブ「Version up」at Shibuya Milkyway にて収録されたライブ音源ですHAMIDASYSTEMの1年間の集大成となるライブを生音でお楽しみ頂けます。ミニアルバムメドレーから『抜けない根無し草』初披露音源まで!全9曲入り!

「はみ出すことを恐れない」をテーマにしたハミシスは「メロディック・エレクトロニカ」を名乗ると同時に新メンバーKOYAMA FLAMEが加入し4人組になった。4人組の正式音源はシングル1枚のみだが、新曲は2018年1〜3月連続で1曲ずつototoyで無料配信されている。それが待てない逸るヲタク向けにワンマンライブのライブ音源がリリースされた。微に入り細に入り綿密に細作されたオケはスタジオ録音で聴かなければ100%味わえないが、生歌のゆらぎやダンスの波動はライブならではの臨場感があり、ヴィジュアル抜きでも氷河世代(アイスエイジ)の貧血感が伝わって来る。ライヴDVDを出すのなら、カメラワークに徹底的に凝ったアート作品を望みたい。

HAMIDASYSTEM - 蝉の声 (Official Music Video)



●Malcolm Mask McLaren『Existence』


7月より新メンバー2人が加入しさらに勢いづく4人組アイドルMalcolm Mask McLarenの半年ぶりのシングル。EASYCOREに本格的に取り組んだ1作。表題曲「Existence」は作曲、編曲にギタリスト小川耕平(NAMBA69)を迎え、カップリングの「Reach you my thoughts」は四国・愛媛県のイージーコアバンドZACK STANCHより楽曲提供をうけている。より本格的なバンドサウンドを追い求めた渾身の1作。

メロディック・ハードコア(メロコア)を継承するパンキッシュアイドルMMMは、4人組になってマスクを外し、別グループに生まれ変わった。楽曲はメロコアからより複雑なイージーコアに変貌し、ダンスの切れとテンションが只管ポジティヴになった。三人組時代の凸凹っぷりが失われたのは残念だが、より幅広い層にリーチする可能性がアップしたのも確か。ロック魂を見せつけるシングル盤。

Malcolm Mask McLaren /「Existence」MV



●テンテンコ『きけんなあなた』


前作『工業製品』でBiS時代、アイドル時代のイメージを完全払拭したテンテンコ。本作はより自身の世界観をよりストレートに届けるため、インディーズ時代に話題を呼んだ“Good bye,Good girl.”のプロデューサーKosuke.Tと再タッグを組み楽曲を制作。京都で話題のエレクトロデュオ“Emerald Four”と2曲制作、7インチ完売シーンの期待値が高いカバーシリーズの自作として榊原郁恵の「ROBOT」をカバー、アレンジは「WA ショイ」と同じくTSUBAME&UKR、さらには、ゆらゆら帝国の坂本慎太郎が参加している。

今や地下ノイズシーンの新星としてジャパノイズの重鎮たちから一目置かれる存在になった元BiSのテンテンコは、それでもやはりアイドル沼の住人であることを宣言する1枚。外部スタッフとタッグを組んでも、80年代アイドル歌謡をカヴァーしても、ゆら帝メンバーとコラボしても、パフォーマンスの中心にあるのは歌であり声である。キュートな歌声は、工藤礼子と榊原郁恵とのミッシングリンクと言えるだろう。つまりNOISEと夏のお嬢さんが手をつなぐ冬の夢は夜開くのである。

テンテンコ / なんとなくあぶない


冬の夜
星を見上げて
推しの名は。

KOYAMA FLAME(HAMIDASYSTEM)左から2番目
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【ネクロ魔 瑳里ちゃんの地下音楽への招待 Vol.5 最終回】アート編:タコ/WHITEHOUSE/ザッパ/大竹伸朗/吉野大作/陰猟腐厭/太田蛍一/多加美

2018年01月19日 01時54分24秒 | 素晴らしき変態音楽


【ネクロ魔 瑳里ちゃんの地下音楽への招待 Vol.5】アート編

NECRONOMIDOL 『NEMESIS』
VELOCITRON / Specific Recordings - SPCFC022-2016 (30 Sep 2016)
イラスト:丸尾末広

ネクロ魔のシングルのジャケットは市場大介、駕籠真太郎、千之ナイフ、前田俊夫、長岡建蔵、氏賀Y太といった個性派イラストレイターや漫画家が手がけている。1stアルバム『NEMESIS』のジャケットは、レトロ/エログロ/怪奇幻想漫画イラストで知られ、THE STALIN、AUTO-MOD、筋肉少女帯、ジョン・ゾーンなどレコードCDジャケットも手がける丸尾末広。ネクロ魔メンバーもファンだと言う。ちょいとサブカル/アングラな芸術が似合う瑳里ちゃんに素敵なアート系ジャケットを紹介してもらおう。





タコ 『TAKO Second (LIVE)』
Chaos - CHAOS 00002 (1984)
イラスト:霜田恵美子

80年代地下音楽シーンを象徴する不定形ユニット「タコ」の2ndリリース。ゲストを多数迎えた企画盤の1stに比べ、EP-4の佐藤薫人や元ガセネタの大里俊晴など固定メンバーによる法政大学学生会館でのライヴ録音の2ndは「タコ」本体の作品と言える。ジャズとも現代音楽とも異なる野性味あふれる実験音響に、痙攣した言葉を吐き出す山崎春美のヴォーカルは、あの時代あの場所あの人々にしか創り出せない地下の香りに満ちている。「草葉の陰から一生呪ってやる」「ごめんなさい、本当にスミマセン」というフレーズは一部の地下音楽愛好家の間の合言葉になった。当時大人気の霜田恵美子のレトロなイラストが見事に時代にハマっている。

タコ 抗体兵





太田蛍一 『太田螢一の人外大魔境』
Yen Records - YLR-28010 (24 Aug 1983)
イラスト・装丁:太田蛍一

戸川純と上野耕治のユニット「ゲルニカ」に作詞とアートワーク担当で参加したイラストレーター太田蛍一のソロ・デビューアルバム。ゲルニカの二人に加え細野晴臣、鈴木慶一、巻上公一などが参加し、ノスタルジックな冒険音楽活劇を展開している。トレードマークのぐにゃり歪んだ人物像はヒカシュー、少年ホームランズ、ハイテクノロジー・スーサイドなどのジャケットにも描かれた。ヨーロッパを中心に海外でも高い人気を誇る。

人外大魔境 1





WHITEHOUSE 『Quality Time.』
Very Friendly - VFSL12  (Nov 1995)
イラスト:Trevor Brown

1980年イギリスでウィリアム・ベネットを中心に結成されたノイズバンド。エレクトロニック・ノイズとヒステリックなヴォイスを組み合わせたパワー・エレクトロニクスと呼ばれるスタイルの創始者。初期はモノクロコピーを貼ったチープなジャケットがトレードマークだったが、90年代以降ジャケットにお金をかけるようになった。イギリスのグラフィックアーティスト、トレヴァー・ブラウンが手がけたジャケットが2作ある。眼帯や包帯をして血を流す少女のグラフィックはアーバンギャルドなどサブカル系にファンが多い。

whitehouse- A Cunt Like You





The Mothers Of Invention『Weasels Ripped My Flesh』
Bizarre Records ‎– MS 2028 (Sep 1970)
イラスト:Neon Park

アメリカのサイケデリック〜ジャズロック〜アヴァンポップの親玉フランク・ザッパ率いるマザーズ・オブ・インヴェンションのアルバム。邦題は『いたち野郎』。アヴァンギャルドな即興演奏を多数含めた前衛ロックは、ザッパの作品中でも人気が高い。男性向け三文雑誌の電気剃刀の広告をパロディにしたジャケットを手がけたのはリトル・フィートのアルバムで有名なイラストレーター、ネオン・パーク。

The Mothers of Invention - Oh No / Orange County Lumber Truck





吉野大作&プロスティテュート 『死ぬまで踊りつづけて』
Japan Record - JAL-15 (1981)
画:山下菊二

80年代横浜オルタネイティヴ・シーンを代表するニューウェイヴバンド。高校の漢文講師でシンガーソング・ライターの吉野大作を中心とする。ザ・ポップ・グループなど同時代の前衛ロックに影響されたアグレッシヴなサウンドは、他の日本のパンク/NWとは一線を画す本物感がある。昭和のシュールレアリズムの代表的画家・山下菊二の絵画『葬列』を使ったジャケットも含め、借り物ではない日本的乱調を讃える卓越したアルバム。

Daisuck & Prostitute - 死ぬまで踊りつづけて





19/JUKE 『JUKE』
No Label - A-011, LM-1213 (1980)
デザイン:大竹伸朗

日本の現代美術を代表するアーティスト大竹伸朗が学生時代に結成したノイズバンド「19/JUKE」のデビュー・アルバム。メンバー表記がなく記号性の高いアートワークは、1分前後の野蛮な即興ノイズ音響が45曲も収録されたレコードと併せてアート性が極めて高いとともに、俺でも出来ると勘違いさせる初期衝動にあふれている。彼らがリリースした4枚のアルバムと1枚のEPは、筆者の現在(地下音楽愛好家/アイドルヲタク)の礎を築いた恩人といえる。

Juke/19 - Under The Moon






A-Musik 『e ku iroju』
Zeitgenossische Musik Disk DI-830 (1984)
イラスト・装丁:ヤギヤスオ

音楽評論家/大正琴演奏家の竹田賢一が80年代初頭に結成した「反ポップ・バンド」の1stアルバム。地下音楽界の有能ミュージシャンが集まって世界の反戦歌や抵抗の歌を演奏するプロジェクト。世界の抵抗歌の歴史や反アメリカ主義を詳細に記したブックレットは驚くほど豪華。中途半端なメジャーよりもインディーの方が遥かに自由であることを証明したアルバム。アートワークはザッパ・フリークのイラストレーター八木康夫(現ヤギヤスオ)。雑誌『Player』の八木の連載「PIPCO'S」は筆者の地下音楽の重要な入門書であった。

A-Musik 不屈の民





多加美 『-天使行- Y.DE NOIR II』
LLE Label - PM1006 (1983)
画:多加美

80年代前半に音楽雑誌『マーキー・ムーン』と恊働してプログレッシヴ/ゴシック/ポジパン/テクノ系の知られざるアーティストの作品を多数リリースした自主レーベルL.L.E.の女性アーティスト多加美の1stアルバム。pneumaによるダークなエレクトロニクスに乗る気紛れなメロディの歌声は「日本のニコ」の異名を持つ。混沌ではなく静謐が支配する世界は多加美自身が描いたカラフルな精神世界のペインティングこそ相応しい。

TAKAMI: Tenshi kou (Y De Noir II) / 01 - Saigo no Yume / LP, 1983, JAPAN





陰猟腐厭 『陰猟腐厭』
cragale records - MB-1003 (1984)
ペン書き:増田直行・原田淳・大山正道

横浜サイケデリックシーンの急先鋒・陰猟腐厭の1stアルバム。全曲即興で展開されるつかみ所のない曲展開は、魑魅魍魎の地下音楽シーンの真の良心と呼びたくなる。真っ白なジャケットで制作したところ「これじゃ売れない」と苦情が来て、メンバー三人が一枚一枚手書きのマジックペンで書き込んだというエピソードは、奇しくも究極の「アンチアート」ジャケット誕生秘話として語り継がれるべき。瑳里ちゃんも気になったようで、撮影終了後お気に入りのジャケットとして選んでくれた。

陰猟腐厭 Inryo fuen - グランド・ロック Ground Rock



瑳里ちゃんは
歌うアートの
博覧会

▼ブログ連載『ネクロ魔 瑳里ちゃんの地下音楽への招待』はこれにて。未発表写真ありますがご了承ください。
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【1月21日(日)18:00 渋谷EdgeEndにて開催】盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.9

2018年01月17日 23時50分44秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.9
Dunkles Neujahrsfest


2018.1.21 Sun.
18:00 Open / Start
Charge ¥1,000 incl. 1 drink
Shibuya DJ BAR EdgeEnd
03-5458-6385

All Star Regular DJs + Guest DJ 黄桜 aka 永田希

異端音楽新春祈願
Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Black Metal, Idol, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval, Game Music, UnderGround,… Everything Weirdness About Music!

★来場者に大好評『盤魔殿アマルガムvol.3』無料進呈


<Time Table>
18:00-18:30 DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫
18:30-19:00 DJ 黄桜 aka 永田希 - Guest DJ
19:00-19:30 DJ Bothis aka MSS
19:30-20:00 Undergroud Music Battle DJ Bothis vs DJ Paimon
20:00-20:30 DJ Paimon aka Moppy
20:30-21:00 DJ Necronomicon aka 剛田武
21:00-21:30 Undergroud Music Battle DJ Necronomicon vs DJ Athmodeus vs DJ Qliphoth
21:30-22:00 DJ Athmodeus aka 持田保
22:00 end

【異端DJたちの聴かせどころ】
●DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫
リズミックノイズ中心に石川忠を偲ぶ

●DJ 黄桜 aka. 永田希


持田保氏との不定期トークイベント「あなたの聴かない世界」レギュラー登壇者であり、書評家としても活動中の永田希のDJ名義。3DJ1ミキサーの変態ユニット建設中でも活躍していたが最近はお呼びがかからずもっぱらソロ活動中。複数音源の同時再生によるDJならではの音の体験を模索している。21日のテーマはワイドスクリーンハードコア。1970年前後のシュトックハウゼン、2000年前後のS.Y.L.、2010年前後のラッセル・ハズウェル、あとSUGIZOの新譜やYouTubeで見つけたASMR音源をかける予定。
(画像はガーゴイル『Future Drug 完全版』)


●DJ Bothis aka. MSS
 

今回はあまり明確なテーマを決めずに面白いリズムやメロディーの曲を中心に選んでいくつもりです。以前盤魔殿にDJとして御出演いただいた身体改造ジャーナリストのケロッピー前田さんが土取利行にパーカッションを師事したとおっしゃっていたことが興味深かったので、土取利行の「添田唖蝉坊・知道を演歌する Original recording」2013年(立光学舎)「明治の壮士演歌と革命家 Original recording」2014年(立光学舎)
あたりの作品から、東洋特有の「諦め思想」について徐々に考察していこうと思います。

添田唖蝉坊 ・あきらめ節 / 土取利行(弾き唄い) Akirame-bushi / Toshi Tsuchitori



●DJ Paimon aka. Moppy
昨年のCanのJaki LiebezeitとHolger Czukayの急逝がショックでした。それにより四月にロンドンで予定されていた再結成プロジェクトもお流れに。メンバーの参加曲などCanの関連作品で追悼したいと思います。

Les Vampyrettes - Biomutanten



●DJ Necronomicon aka. 剛田武


麗しのCosey Fanni Tuttiさまの初期音源付属ブックレットを眺めながら地下女子の肢体を想像するスケベ心はさておき、最新女子音源を中心に音の惨殺体験/歌の腐乱死体/旋律の自殺現場を幻視する萌えキュン原子爆弾をフロアに投下予定。

Cosey Fanni Tutti - Such Is Life



●DJ Athmodeus aka. 持田保
またその話かよ!とツッコミ入りそうですがBooman Nation Records熱(というかEl Mahdy Jr.熱)が年越しても個人的にアツいままなので、グローカルかつヘルメティックなナンバーを中心にかける予定。テーマは"踊る!ルネ・ゲノン!!!"で。あとバトルDJも予定されてますがこちらは基本"音のデッドボール"を目指して頑張りますので皆さん遊びに来ておくんなまし

El Mahdy Jr. - "Gravity" (Official Video)


地下女子も
盤魔殿に
いらっしゃい

NECRONOMIDOL(ネクロ魔)の今泉怜ちゃんと瑳里ちゃんに推薦していただきました
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【海外レビュー】コンストラクト & 灰野敬二『少しずつ曲がっている哲学 その先には湿地がある』

2018年01月17日 08時28分19秒 | 灰野敬二さんのこと


KONSTRUKT & KEIJI HAINO -
コンストラクト & 灰野敬二

A Philosophy Warping, Little By Little That Way Lies A Quagmire
少しずつ曲がっている哲学 その先には湿地がある

180gr LP + DL / Karlrecords KR043

Side A
All Things Will Be Reduced To Equal Dお Tっっ3 BBRc MMMあ元 Part 1 to 3
平均化されてしまう   Dお Tっっ3 BBRc MMMあ元 Part 1 to 3

Side B
The Darkness Of +(Plus) And The Paleness Of –(Minus) Drag Each To An Identical Distance And Reanalyse Blending In Some Pain Part 1 to 3
+(プラス)の濃さと-(マイナス)の薄さ  両者を同じ距離に弾いて分析し直す 少し痛みを混入させ Part 1 to 3

Korhan Futacı: saxophones, reeds, vocal
Umut Çağlar: synthesizers, reeds, flutes
Berkan Tilavel: electric drums, cymbal
Erdem Göymen: drums, percussion
+
Keiji Haino: electric guitar, vocal, electronics


2016年12月灰野敬二はトルコのイスタンブールを訪れ、フリー・オーガニック・ミュージック・コンボ「KONSTRUKT(コンストラクト)』と共演した。コンストラクトはこれまでマーシャル・アレン、エヴァン・パーカー、ペーター・ブロッツマン、ジョー・マクフィー、ウィリアム・パーカー、坂田明など世界的ジャズ/即興ミュージシャンとの共演をレコードでリリースし徐々に評価を高めてきた。2016年初頭にメンバーチェンジにより音楽的方向性の拡張をめざし、6月には元ソニック・ユースのサーストン・ムーアと共演した。こうした海外のアーティストと数多く交流するスタイルは、古くからイスタンブールがヨーロッパとアジアの文化・経済の交流の拠点として栄えてきたことと無関係ではなかろう。

現地では共演コンサートと併せてスタジオ・レコーディングも行った。その成果がLPレコード『A Philosophy Warping, Little By Little That Way Lies A Quagmire/少しずつ曲がっている哲学 その先には湿地がある』としてドイツのKarlrecordsからリリースされた。灰野の最近の作品の中ではとりわけエスニックな要素の高い作品で、A面は催眠的なパーカッションのビートに乗せてエレクトロニクスやサックスやギター、笛や打楽器が幻想のように浮かび上がる。B面はよりケイオティックに展開し、後半は轟音ハードコアジャズでトランス状態に突入するが、最終章のアコースティック演奏で心も身体も救われる想いがする。冷徹な灰野の世界が土着的かつバイオニックなコンストラクトのアンサンブルと共鳴し、ジャケットのブルーのグラデーションのように滲み出すポジティヴな生命礼賛の歌を奏でている。ヨーロッパ各地のメディアでもレビューやラジオのプレイリストに数取り上げられている。その中から幾つか紹介しよう。



All photos by Alp Egemen

【PRESS REVIEWS】
●オランダ『Gonzo Circus』
CLICK⇒http://www.gonzocircus.com/a-philosophy-warping-little-by-little-that-way-lies-a-quagmire/

In minder dan een decennium heeft het Turkse kwartet Konstrukt zich ontpopt tot de toonaangevende impro-band van zijn land en misschien wel een van de meest opvallende tout court. Met een open vizier en frequente bezoekjes aan verwante, maar regelmatig ook totaal onverwachte muzikale werelden, hebben ze zich ontwikkeld tot een ensemble dat grossiert in excentrieke, vrije combinaties, zinnelijke excursies en experimentele vrijbuiterij. Opvallend is daarbij vooral dat ze er een gewoonte van gemaakt hebben om buitenstaanders uit te nodigen in hun midden, waarbij dat vaak gaat om kanonnen van de vrije jazz en improvisatie, zoals Peter Brötzmann, Joe McPhee, Evan Parker, Marshall Allen, Akira Sakata en William Parker. Aan dat rijtje wordt nu ook gitarist-sjamaan Keiji Haino toegevoegd, en een halve beluistering van het resultaat vraag je je af waarom dat in Godsnaam niet eerder gebeurd was. Konstrukt is met die bezetting en dat instrumentarium (gaande van de klassieke saxen en drums tot allerhande Moogs, percussie en een imposante reeks folkinstrumenten) immers het ideale klankbord voor de ritualistische waanzin van de Japanner. Die brult, bezweert en hanteert huilende feedback tegen een achtergrond van pruttelende synths, slangenbezweerdersgeneuzel, dodelijk efficiënte robotfunk, uitzinnig gierende synths en saxen, en muzikale bricolage op het raakvlak tussen tribale hardnekkigheid, uit z’n voegen barstend sonisch experiment, folkflarden en de hallucinogene gekte die je intussen met Haino associeert. Van het abstracte aftasten en voorzichtige textuur- en resonantie-onderzoek dat doorgaans geassocieerd wordt met de vrije improvisatie, is hier geen sprake. Dit gaat zonder omwegen naar het hart van de creativiteit met een recht-voor-de-raapse, onweerstaanbare energie. Het is soms een regelrechte kosmische chaos, een zootje dat alle kanten tegelijk uitschiet, maar dan wel van de goedaardige soort. De brede grijns op je gezicht is er het bewijs van.

トルコ出身のカルテット「コンストラクト」は結成して10年足らずのうち彼の国で最も印象的な即興バンドとして浮上してきた。開かれた心と予期できない音楽への果敢な挑戦により、自由度の高い編成と感覚の拡張、実験精神に満ちたフリースタイル・グループに成長した。ペーター・ブロッツマン、ジョー・マクフィー、エヴァン・パーカー、マーシャル・アレン、坂田明、ウィリアム・パーカーなどのフリー・ジャズ/即興音楽の歴戦の猛者を招いてのコラボレーションは驚異的である。そして今、ギタリストのシャーマン灰野敬二がこのリストに加わった。その成果の半分を記録した本作を聴けば、このコラボが神の名に於いてなぜ今まで実現しなかったのか疑問に思うだろう。このラインアップとインストゥルメンテーション(古典的なサックスとドラムから、モーグ、パーカッション、そして印象的な民族楽器まであらゆる種類の楽器)によって、日本のリチュアル・マッドネスの理想的なサウンドレイヤーが形成される。トライバルな轟音、実験的なハウリング、フォーク・フィーリング、そして幻覚の境界面で、音楽のプリコラージュの蛇のような欲望、必殺ロボットファンク、熱狂的なシンセサイザーやサックスが拮抗し、その間で灰野の発する狂気に巻き込まれる。抽象的なスキャンと慎重なテクスチャと共鳴リサーチは即ちフリー・インプロヴィゼ―ションに繋がるが、彼らには何の迷いもない。強姦の権利や不可抗力のエネルギーに依存して創造性の核心を迂回することなくまっすぐ突き進む。時には完全な宇宙の混乱となり、すべてを破壊する混沌となるが、極めて良心的である。聴き手の顔に浮かぶ笑顔がその証である。



●ギリシャ『toperiodiko』
http://www.toperiodiko.gr/auditorium-12/#.WlbVH9Jl8dV

Το ιδίοτυπο τούρκικο φριτζαζίστικο κουαρτέτο KONSTRUKT, που δημιουργήθηκε εδώ και δέκα περίπου χρόνια, έχοντας συνεργαστεί με σημαντικά ονόματα της μοντέρνας μουσικής ( Evan Parker,Thurston Moore, Peter Brötzmann κ.α.), κάλεσε τον Γιαπωνέζο αβανγκαρντίστα θορυβοποιό και βοκαλίστα, Keiji Haino, σε ένα ηχητικό ταξίδι σε αχαρτογράφητα υφολογικά ύδατα. Το αποτέλεσμα με τίτλο, «Α Philosophy Warping Little By Little That Way Lies A Quagmire», κυριαρχείται από ηλεκτρονικά ξεσπάσματα, πανκ- τζαζ ρυθμολογία, ψυχεδελικές εξάρσεις- συνεχή αυτοσχεδιασμό σαξοφώνου, ολίγη ντίσκο και άγρια παιγμένο φιούζιον- παράλληλα με τα εκρηκτικά φωνητικά και τις κιθαριστικές απογειώσεις του Haino!
Πληροφορίες

約10年前にトルコで結成されたユニークなカルテットKONSTRUKT は、エヴァン・パーカー、サーストン・ムーア、ペーター・ブロッツマン等現代音楽の重要アーティストとコラボしてきた。本作では日本の前衛音楽の代表格、灰野敬二をイスタンブールに招き、未知の海の音の旅に出た。その結果がアルバム『少しずつ曲がっている哲学 その先には湿地がある』に結晶した。電子音の爆発、パンクジャズのリズム、サイケデリックな興奮、連続する即興サクソフォンが、灰野の爆発的なヴォーカルギターを。の襲撃!とディスク上で融合されている。



●イタリア『Musicmap』
http://www.musicmap.it/recdischi/ordinaperr.asp?id=5790

I Konstrukt sono un collettivo di free jazzers turchi, attivi da quasi dieci anni, molto considerati in patria e negli ambienti jazz europei. Composto da Korhan Futaci (sassofoni, voce, loop, voce, zurna, kaval), Umut Caglar (sintetizzatore Moog, percussioni, xilofoni, flauti di bambù), Berkan Tilavel (percussioni, piatti) ed Erden Goyomen (percussioni, batteria, piatti), il quartetto ha collaborato, per la prima volta, con il musicista giapponese Keiji Haino (chitarra elettrica, synth, percussioni, voce), icona della scena noise e avantgarde nel paese del sol levante. Il disco, intitolato “A Philosophy Warping, Little By Little That Way Lies A Quagmire” ed appena uscito per Karl Records, comprende essenzialmente due tracce: “All Things Will Be Reduced To Equal D…” e “The Darkness Of + And The Paleness Of -…”, ciascuna delle quali è divisa in tre parti. Le coloriture etniche e l’eleganza caratterizzano la parte A della prima traccia, fra ritmi densi e evoluzioni di sax, mentre la seconda assume la fisionomia di una jam session, con la corposa strumentazione sovrapposta. Simile è il discorso per quanto riguarda la terza e ultima parte della prima traccia, caratterizzata da assoli tipici di fine live, ma con più ordine e più consapevolezza rispetto alla seconda. Si fanno un po’ più liquidi e oscuri i suoni all’inizio della seconda traccia, prima di una parte B tiratissima e caratterizzata dalla maggiore presenza della chitarra, mentre più scarna e incentrata sulla sezione di fiati e l’ultima, che conclude un disco che rappresenta il sodalizio artistico fra un collettivo e un musicista universalmente riconosciuti. Il risultato finale non può che essere parecchio positivo. (Piergiuseppe Lippolis)

Konstruktは、ほぼ10年間、故国ヨーロッパのジャズ界で積極的に活動するトルコのフリージャズ集団である。メンバーはKorhan Futaci(サックス、ボーカル、ループ、音声、ズルナ、kaval)、Umut Caglar(モーグ・シンセサイザー、ドラム、木琴、竹のフルート)、Berkan Tilavel(パーカッション、食器)及びErden Goyomen(パーカッション、ドラム、プレート)の4人。日が上る国日本の前衛/ノイズの象徴・灰野敬二(エレキギター、シンセ、パーカッション、ボーカル)と初のコラボ。『少しずつ曲がっている哲学 その先には湿地がある』は、A面「平均化されてしまう   Dお Tっっ3 BBRc MMMあ元」とB面「+(プラス)の濃さと-(マイナス)の薄さ  両者を同じ距離に弾いて分析し直す 少し痛みを混入させ」がそれぞれ3つのトラックに分かれている。民族色と優雅さが、緻密なリズムとサックス進化を聴かせるA面1曲目を特徴付け、2曲目は楽器と楽器がオーヴァーラップするジャムセッションへと突入し、ライヴ終盤の典型的なソロで特徴付けられる3曲目のエンディングが、より秩序のある意識的な演奏態度を物語る。B面冒頭の凄まじいギターの存在感が際立つ1曲目は、2曲目に入り少し流動的で不明瞭になるが、終盤に向けてホーンセクションが集中力を発揮し完璧なエンディングを迎える。普遍的に認められた集団とひとりのミュージシャンの間のアーティスティックな関連を表すレコード。最終的な結果は非常に肯定的というしかない。(Piergiuseppe Lippolis)



●イタリア『Rockerilla』

Se l’attualità turca con la dittatura e la terribile repressione di Erdogan dovesse essere rappresentata in suoni, la musica dei locali Konstrukt dovrebbe essere presa in seria considerazione. I Konstrukt si muovono in modo frenetico in territori free jazz e non dispiaceranno a chi ama Archie Shepp, vuoi per le aperture etno-percussive, vuoi per le ampie concessioni al rumore che vengono ulteriormente ampliate dagli interventi del folle demiurgo della violenza sonora Keiji Haino.Il risultato fnale è un eccellente vinile che cattura

国民投票で独裁政権のエルドアン大統領を選択したトルコ人だが、音楽的にはKonstrukt(建築者)のフリージャズの精神が心の拠り所として存在する。彼らはアーチー・シェップを愛している人たちを気にしない。エスニックなパーカッシブなオープニングから、灰野敬二による健全な暴力が拡大され、大きな自由のために騒音の譲歩と狂った武装解除が促される。その最終結果をとらえた優れたレコードである。



●イタリア『Ondarock』
http://www.ondarock.it/recensioni/2017-konstruktkeijihaino-aphilosophywarping.htm

Con cadenza pressoché mensile, oramai, nuovi candidati si alternano (dal vivo e/o su disco) al fianco del guru dell’avanguardia nipponica Keiji Haino: intransigente fino al midollo, sempre con grossi occhiali da sole sul naso, il chitarrista, vocalist e terrorista del suono si è guadagnato la stima di tutta la scena underground internazionale, anche e soprattutto in ambito europeo.
Ogni sua incursione lascia un segno ben riconoscibile nei lunghi e criptici titoli di album e tracce, controparte oltremodo cerebrale di un approccio musicale che, al contrario, di norma ricerca la più schietta visceralità.

Solo quest’anno si sono già susseguite diverse pubblicazioni con formazioni rodate – i Nazoranai con Stephen O’Malley e Oren Ambarchi e il trio con Jim O’Rourke e Ambarchi – inediti incontri di nazionalità belga (“The Miracles Of Only One Thing”, per Sub Rosa) e ripescaggi dall’archivio occulto dei Fushitsusha. Giunge in coda il nuovo featuring marcato Karlrecords, che dopo il binomio con l’ensemble Zeitkratzer dedicato a Stockhausen documenta la sessione di Haino assieme al collettivo free Konstrukt.
Dieci musicisti con base a Istanbul, riuniti sotto un unico nome da quasi dieci anni, si sono a loro volta distinti per le collaborazioni di prestigio d’area avant-jazz e noise-rock – Evan Parker, Peter Brötzmann, William Parker, Joe McPhee, Thurston Moore – e il loro ultimo lavoro in studio “Molto Bene” (con l’etichetta milanese Holidays Records) è stato recepito in maniera entusiastica.

Le due facciate di “A Philosophy Warping...”, rispettivamente divise in tre movimenti, sono affidate a quattro membri in assetto misto, dove ogni musicista mette mano a diversi strumenti acustici e amplificati, dai sassofoni ai fiati della tradizione mediorientale (zurna, kaval, sipsi), tastiere Moog e Korg, percussioni tonali e batterie.
Sul lato A, con un incipit dalle movenze kraut, lo stregone Haino dispensa acuti ornitologici prima di lanciarsi nelle sue consuete grida profetiche e versi gutturali, mentre tutt’intorno si scatenano dialoghi caotici ed eclettici, un calderone di materia sonora viva che sfugge spontaneamente ai confini di genere. L’indole rumorista spinge i fraseggi al di fuori delle avanguardie jazz sino a sfociare, a metà del lato B, in un punk hardcore ulteriormente sporcato dalle brucianti distorsioni di Haino, che decide di unirsi anima e corpo alla foga strumentale lasciando da parte il microfono.

Di fatto, in meno di quaranta minuti succedono più cose di quante se ne possano raccontare, ed è forse la cosa migliore che si possa dire di un qualsiasi album di musica improvvisata. Pur non trattandosi di una session indimenticabile, “A Philosophy Warping...” apre la mente a sonorità estranee, persino rispetto a un catalogo “occulto” come quello della berlinese Karlrecords, divenuta in breve tempo un riferimento necessario per approfondire le avanguardie di ieri e oggi.
(29/11/2017)

ほぼ毎月のように、新しい参加者が交代で、日本前衛音楽の司祭、灰野とコラボしている。骨の髄から寛大で、常に大きなサングラスをしたギタリスト/ヴォーカリスト/健全なテロリストは、全世界の地下音楽シーン、特にヨーロッパで多大な尊敬を集めている。彼の襲撃の爪痕は、アルバムや曲目の長い謎めいたタイトルの中にお馴染みのシグニチャーを残している。これは逆に、はらわたから脳髄へと伝わる音楽的アプローチの所以である。

今年(2017年)だけで、すでに何枚もの作品がリリースされている。Stephen O'Malley & Oren AmbarchiとのNazoranai、そしてJim O'Rourke & Ambarchiとのトリオ、ベルギー国籍のミュージシャンとのコラボ(『唯一のものの奇跡』Sub Rosa)、Fushitsushaの未発表アーカイブの再発。そして今、以前現代音楽アンサンブルZeitkratzerとのコラボによるシュトックハウゼン作品をリリースしたKarlrecordsから、フリーミュージック・グループKonstruktと灰野のセッションがリリースされた。

エヴァン・パーカー、ペーター・ブロッツマン、ウィリアム・パーカー、ジョー・マクフィー、サーストン・ムーアといった一流アーティストが10年の間にイスタンブールを訪れた。アヴァンギャルドなジャズとノイズロックのコラボレーション作品『Molto Bene』(ミラノのレーベルHolidays Records)は熱狂的に受け入れられている。

それぞれ3つのトラックに分かれた2つの面からなる『A Philosophy Warping ...』は、4人のメンバーが交互に異なるアコースティック楽器を手がけ、サクソフォンから中東風の伝統楽器(zurna、kaval、sipsi)、MoogとKorgのキーボード、多彩なパーカッションとドラムを演奏。A面で、熟練した魔術師の灰野の予言の叫びで音楽の洞窟に飛び込み、鳥の目で俯瞰するように急激に変化する。すべての対話が混沌と折衷から解き放たれる。自然に逃れる生きた音の境界を極め、前衛ジャズの外へといとも自然に飛翔する。B面の中間部で、灰野の燃える歪みによってさらに激しくなりハードコア・パンクに流れ込む。灰野はマイクを離れて、身体と魂をインストゥルメンタル・サウンドで融合させることに専念する。

実際、40分もかからないうちに、彼らが伝えるよりも多くのことが聴き手の中に起こる。おそらく即興音楽のアルバムとしては最高の作品。『A Philosophy Warping ...』は、忘れられないセッションというだけでなく ベルリンのKarlrecordsのような "隠された"カタログに比べて、今日の音へ心が開かれるアルバムである。(29/11/2017)



● 『Ox』




●『Blow Up』



【RADIO PLAYLISTS】
●スロバキア『Radio Wave』
Echo Viktora Paláka, 15.12.2017
https://wave.rozhlas.cz/podivali-jsme-se-na-nekolik-desek-na-ktere-behem-podzimu-nezbyl-cas-a-byla-skoda-6489209

Konstrukt & Keiji Haino – All Things Will Be Reduced to Equal (Pt 1), 6:18 (Karlrecords)
Konstrukt & Keiji Haino – All Things Will Be Reduced to Equal (Pt 2), 4:55 (Karlrecords)
Konstrukt & Keiji Haino – The Darkness Of… (Part 1), 7:50 (Karlrecords)
Godspeed You Black Emperor – Undoing a Luciferian Towers, 7:47 (Constellation)
Svarte Greiner – The Boat Was My Friend, 4:17 (Miasmah)
Svarte Greiner - The Dining Table, 5:10 (Miasmah)
Blues for the Redsun – Deadspace / Knocking on the Cemetery Gates, 17:57 (Analog Freaks Records)



●スロベニア『RTV Slovenija - Drugi Val』
17.12.2017, 23.35 - 0.00
www.rtvslo.si

1. GALLON DRUNK »In The Long Still Night« / 10
(White/Watson/Delanian/Johnston/Edwards) - Get Ready 0.10
Šifra: 120-22-8-00

2. KONSTRUKT & KEIJI HAINO
„A Philosophy Warping, Little By Little That Way Lies A Quagmire“ / 1
(Keiji Haino, Konstrukt) - All Things Will Be Reduced To Equal Part 1 do 4.30
Šifra: 282-22-8-41

3. KONSTRUKT & KEIJI HAINO
„A Philosophy Warping, Little By Little That Way Lies A Quagmire“ / 2
(Keiji Haino, Konstrukt) - All Things Will Be Reduced To Equal Part 2 do 3.15
Šifra: 282-22-8-41

4. BROCKMANN & BARGMANN „Licht“ / 6
(Franz Bargmann, Timm Brockmann) - Sylvester do 3.30
Šifra: 170-22-8-00

5. BROCKMANN & BARGMANN „Licht“ / 8
(Franz Bargmann, Timm Brockmann) - Muezzin 3.20
Šifra: 170-22-8-00

6. HACKEDEPICCIOTTO „Menetekel“ / 3
(Alexander Hacke, Danielle De Picciotto) - Jericho do 3.50
Šifra: 170-22-8-14

7. HACKEDEPICCIOTTO „Menetekel“ / 4
(Alexander Hacke, Danielle De Picciotto) - Nosce Te Ipsum do 4.33
Šifra: 170-22-8-14

8. HACKEDEPICCIOTTO „Menetekel“ / 7
(Alexander Hacke, Danielle De Picciotto) - Prophecy 9.37
Šifra: 170-22-8-14



●エストニア『ERR Klassikaraadio』
Fantaasia - 02.01.2018
www.klassikaraadio.ee

1. Aidan Baker & Gareth Davis - Sky (katkend) 2017 05:00
Aidan Baker, Gareth Davis
Plaadifirma: Karl
albumilt "Invisible Cities"

2. Juju & Jordash - Herkie 2017 06:15
Gal Aner, Jordan Czamanski
Plaadifirma: Dekmantel
albumilt "Sis-boom-bah!"

3. Ceramic TL & Ipek Gorgun - Tactics Is Hench 2017 03:47
David Psutka, Ipek Gorgun
Plaadifirma: Halocine Trance
albumilt "Perfect Lung"

4. Annabel Lee - Autumn Requiem 2017 06:11
Annabel Lee
Plaadifirma: Youngbloods
albumilt "Cleansing"

5. King Gizzard And The Lizard Wizard - The Fourth Colour 2017 06:12
King Gizzard And The Lizard Wizard
Plaadifirma: Deliquesce Records
albumilt "Polygondwanaland"

6. Konstrukt & Keiji Haino - All Things Will Be Reduced To Equal ... Part 2 2017 04:56
Konstrukt , Keiji Haino
Plaadifirma: Karl
albumilt "A Philosophy Warping, Little By Little That Way Lies A Quagmire"

7. Nicolas Bernier - Synthese (299 792 458 m-s) 2017 12:14
Nicolas Bernier
Plaadifirma: Acte
albumilt "Transfert-Futur"

8. Utro - Что-То Не То Творится (Something Is Going Wrong) 2017 03:46
Utro
Plaadifirma: Talitres Records
albumilt "Третий Альбом"

9. Indirect meets Nikolaienko - Everybody Wants To Live By The Sea 2016 05:21
Anton Ostromeczky, Alexey Volosunov, Dmytro Nikolaienko
Plaadifirma: Muscut
albumilt "Ode To The Sea"

10. Ekke - Imitatsioonid 2017 03:48
Ekke Västrik
albumilt "Klangfarbenmodular"

11. Lafidki (feat Ayankoko) - Thai Hierontai 2017 03:55
Saphy Vong, Ayankoko
Plaadifirma: Chinabot
albumilt "Chinabot"

12. Kuzniak & Polak - Untitled 2017 02:49
Bartolomiej Kuzniak, Marcin Polak
Plaadifirma: demo

13. Lina Tullgren - Red Dawn 2017 05:11
Lina Tullgren
Plaadifirma: Captured Tracks
albumilt "Won"

14. Tarab & Artificial Memory Trace - AMT Entimorf 3 (katkend) 2017 07:00
Eamon Sprod, Salek Kwi
Plaadifirma: Cronica
albumilt "Obex"

15. Papiro - Incom 2017 05:22
Marco Papiro
Plaadifirma: Muscut
albumilt "Automare"

16. Rodrigo Gallardo - A la Muerte (Nicola Cruz Remix) 2017 04:20
Rodrigo Gallardo, Nicola Cruz
Plaadifirma: Wonderwheel
albumilt "El Origen"

17. Soshi Hosoi - Mister Diviner 2017 04:54
Soshi Hosoi
Plaadifirma: Hyperdub
albumilt "Diggin In The Carts - A Collection Of Pioneering Japanese Video Game Music"

18. Wondering O - Ahh 2017 04:38
Mihkel Tomberg, Roland Karlson
Plaadifirma: demo

19. Benjamin Thigpen - Pulse iii 2017 07:09
Benjamin Thigpen
Plaadifirma: empreintes DIGITALes
albumilt „Flux"



●『Radio Temps Rodez, 107 FM』フランス
La Boîte Noire 07.11.2017
http://tempsrodez.radio.fr
http://laboitenoireradio.blogspot.fr/2017/11/37-2017-11-07-radio-cancer-inspired-by.html

#37 : Radio Cancer, inspired by Mehdi Belhaj Kacem "Cancer"

Une programmation inspirée par le roman Cancer
de Mehdi Belhaj Kacem (1994)

Eric Lunde
"Pink Sugar Heart Attack"
(Heart & CrossBone, 2011)

Nicolas Ratti
"R402"
(Room40, 2017)

Ze-Ka
"Fission"
(Opa-Loka, 2017)

Family Fodder
"Disco Purge"
(Staubgold, 2016)

Hopek Quirin & Anton Mobin
"Tijekt"
(Middle Eight Recordings, 2017)

Konstrukt & Keiji Haino
"2"
(Karlrecords, 2017)

Nicolas Ratti
R401
(Room40, 2017)

Valerio Tricoli
"Metaprogramming from within"
(Bowindo, 2006)

Enregistrement Temporaire
"Clusters Animés"
(Komanull, 2012)

O3
"Arroyuelos"
(Sofa, 2017)

Half Japanese
"Turn your life around"
(SafeHouse, 1993)

Lou Barlow
"Breakdown Day"
(Smells Like records, 1994)

The Dead C
"Call Back your Dogs"
(Flying Nun, 1992)



●BBC Radio 3
Late Junction
Nov 28th 2017
www.bbc.co.uk/programmes/b09gdyw8

00:00
Guo Cheng
Sacanylon
CABALLO, YEAH!. INDEPENDIENTE.

00:04
Perumanam Hari & Satheesan Marar
Maddalam Chenda Keli
RECORDED BY ROLF KILIUS IN KRISHNA TEMPLE, THRIKKUR, KERALA IN 1997.

00:10
konstruKt & Keiji Haino
All Things Will Be Reduced To Equal Dお Tっっ3 BBRc MMMあ元 (Part 2)
A PHILOSOPHY WARPING, LITTLE BY LITTLE THAT WAY LIES A QUAGMIRE. KARLRECORDS.

00:22
Angel-Ho
Side A (excerpt)
RED DEVIL. NON.

00:28
Yearning Kru
U Neva Glissend
SWUMPENGELF. MANTILE.

00:29
Oxhy
versed in undoing
RESPITE UNOFFERED. QUANTUM NATIVES.

00:34
Johann Sebastian Bach
Cello Suite No. 2 in D minor, BWV 1008: Allemande
Performer: Yiorgos Kaloudis.
J.S.BACH: CELLO SUITES ON THE CRETAN LYRA. DNA LABEL.

00:39
Ross Daly & Kelly Thoma
Kontylies of Messara
LUNAR. LABYRINTH.

00:45
Subversive Intentions
Maryanne Amacher
KOOBAATOO ASPARAGUS SUBVERSIVE INTENTIONS SPLIT. SELF-RELEASE.

00:48
Lau
The Bell That Never Rang (Leafcutter John Remix) (feat. Leafcutter John)
REMIXES 2016. REVEAL RECORDS.

00:54
Alterations
June 19, 2016 Encore
VOID TRANSACTIONS. UNPREDICTABLE SERIES.

01:06
Ziúr
Fractals
U FEEL ANYTHING?. PLANET MU.

01:11
Steven Mackey
Blue Notes and Other Clashes: 1. Deep Hymn
Ensemble: PRISM Quartet. Ensemble: So Percussion.
COLOUR THEORY. XAS.

01:15
Petris Vasks
Klusas Dziemas (silent songs): 1. Nosapi Parsapi
Choir: Latvian Radio Choir. Conductor: Sigvards Kļava.
PETERIS VASKS: PLAINSCAPES. ONDINE.

01:20
Iannis Xenakis
Concret PH
Performer: Iannis Xenakis.
ADVENTURES IN SOUND. ÉL.

01:23
Anna Homler & Steve Moshier
Gu She' Na' Di
BREADWOMAN & OTHER TALES. RVNG INTL..

01:27
Stanley Cowell
Travelin' Man
MUSA - ANCESTRAL STREAMS. STRATA-EAST.

東西の
出会うところに
湿地あり

Live at SalonIKSV w/ KEIJI HAINO
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