A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【灰野敬二情報】ブラジル国際交流基金ウェブサイトにて最新インタビュー公開/2019年ライヴ・スケジュール

2019年11月27日 01時15分10秒 | 灰野敬二さんのこと


日本のノイズミュージシャンの元祖、即興音楽の革新者
2018年12月ブラジル・リオデジャネイロの音楽フェスティバルNovas Frequências出演の為、初めて南米の地を踏んだ灰野敬二が、地元メディアのインタビューで活動当初のエピソードや音楽観、人生観そして他アーティストとの共演についてまで、幅広い内容を語った。

「表現という前に世界について考えれば、この45年間、世界は汚染が進んでいるし、住みにくい世界になっているとは思います。そんな中で、自分がどれだけ表現しても世界を良い方向に変えることができない、ということは残念だけどその通りです 。でも、唯一自分が変えられる物があるとすれば、それは「自分」なんだと思います。それだけは努力すればできる。他は関係性だからいくら誰かに「何々をやろうね」といっても結局他者がやろうと思わなければできる物じゃない。だから、自分は自分を良い方向に変え続ける、ということを徹底してやっていきたいと思っています。」

「自分が演奏する際に考えているのは、すべての音はミストーンではない、ということです。ミストーンはありませんが、演奏者は自分が発した音に責任を取る必要があると思っています。練習する、ということを自分のバンドのメンバーには言いません。でもあるタイミングで発するべきではない音があります。だから音をまず探すこと、そしてその音をいつ使うか、そして使わないかを学ぶことが重要だと考えています。」

「重要なことは知らない音楽に触れることです。「こんな凄い音楽知らなかった」と言うことで、一度自分が潰されることになります。それで自分は謙虚になれるし、自分より上があるということを他の人に示すことができます。」

記事全文⇒https://fjsp.org.br/ja/entrevista/keiji-haino-jp/


Keiji Haino Live Schedule
2019年
11月28日(木)・29日(金) シンガポール/Singapore, 72-13 Mohamed Sultan Road


The Observatory presents
Playfreely - The Transparency of Turbulence

Doors open at 7:30pm, Show starts 8:00pm
Tickets: $35/night, $49 for two nights

ARTISTS:
Akilesh (Singapore)
Dino (Taipei)
Fiona Lee (Hong Kong)
Keiji Haino (Tokyo)
Natalie Alexandra Tse (Singapore)
The Observatory (Singapore)
Park Minhee (Seoul)
Vavabond (Beijing)
Wukir Suryadi (Yogyakarta)
Yii Kah Hoe (Kuala Lumpur)

Programme lineup:
28 Nov (Thurs) - Solos & collective ensemble work with all artists
29 Nov (Fri) - Trios & quartets involving all artists


12月6日(金) ポルトガル/Portugal, Madeira, MUDAS - Museu de Arte Contemporânea da Madeira


MADEIRADiG 2019 | 29.11.-07.12.2019

Fri, 29 Nov 2019, 14:33 – Sat, 7 Dec 2019, 23:45 CST
Ticket : €16 – €102.65

Friday, 6th December | 21:30
Maria W Horn
Keiji Haino
+ Aftershow party in Ponta do Sol


12月30日(月)東京・高円寺ShowBoat


灰野敬二 Keiji Haino-2019年最終公演
不失者 -Fushitsusha-


開場 18:00/開演 19:00
前売¥4,300/当日¥4,800(税込・別途ドリンク代¥600)

【出演】不失者 -Fushitsusha-

【チケット】
■ShowBoat 店頭販売 / 電話・メール予約&代引注文受付
■プレイガイド ローソンチケット/イープラス

【入場順】
1.ShowBoatチケット(No.あり/整理番号順)
2.プレイガイド(No.あり/整理番号順)
3.予約(No.なし/整列順)
4.当日券(No.なし/整列順)
※ShowBoat店頭チケットの整理番号はご購入順になります。
※予約では整理番号がつきませんのでご注意ください。
※代引郵送にてご購入希望の方は、メールにて下記をお送り下さい。
(別途発送手数料¥580)
《公演日・公演名・住所・氏名・電話番号・購入枚数》

【問い合わせ】
ShowBoat
■Tel 03-3337-5745(14:00~23:00)
■Mail info@showboat.co.jp

世界中
響くくらいの
パフォーマンス

Keiji Haino (Oct.7, 2019 / Live at Les Ateliers Claus Brussels)
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【セットリスト+ミックス音源無料公開!】盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.30〜地下音楽勤労者に捧げるDJイベント

2019年11月26日 00時35分46秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.30
Jour de travail infernal 勤労地獄の日


2019/11/23 sat/holiday
渋谷DJ Bar EdgeEnd
18:00 Open/Start
1000yen incl. 1drink

雨の降る一日、普段は勤労者として働く盤魔殿DJたちが渋谷のクラブに集まり異端音楽の饗宴を繰り広げた。DJ Bothisが勤労のためやむを得ず欠席となったが、飛び入りDJ Vegavisが空きを埋めた。二桁を超えるお客さんが舞踏のように踊り出すハプニングも起こり、盤魔が済むと云う勤労の夜をメラメラと燃やし尽くした。

TIME TABLE
18:00-18:30 Free Zone 自由参加
18:30-19:00 DJ Vegavis a.k.a. 鈴木恒史
19:00-19:30 DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
19:30-20:00 DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda
20:00-20:30 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
20:30-21:00 DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
21:00-21:30 DJ 堀口謙
21:30-22:00 DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
22:00-22:30 DJ Athmodeus a.k.a. 持田保 

【完全セットリスト】
●Free Zone 自由参加


DJ Necronomicon
1. グレープ / ほおずき
2. 三輪車 / 水色の街
3. 経血 / 経血
4. 爆裂女子 / 超革命
5. Euqisumorih / (I Can't Get No) Satisfaction



DJ Vaby
1. Narumi & The Misters/Coolman
2. Volume Dealers/The Cold Giant.  



DJ BEKATAROU
1. Melvins / Boris


●DJ Vegavis a.k.a. 鈴木恒史


80'sジャップインディ・ソノシート特集
1. EP-4 / 5・21(Flexi Disc Version)
2. 暗黒大陸じゃがたら / 日本人ってくらいね(Live at 京都磔磔 May.1981)
3. 三浦俊一 / D-SIDE
4. SHINOBU / Ceramic Love(Original Version)
5. 荒木康弘 / PROT DRUM
6. 暗黒大陸じゃがたら / がまんできない(Live at 京都磔磔 May.1981)




●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元


電子音楽の光の沼
1.David Rosenboom / Portable Gold and Philosopher's stones
2.David Rosenboom / On Being Invisible
+
CITY DRAGON / Horoscopes For Horses
3.David Rosenboom / Piano Etude Ⅰ
4.Henk Badings / Electronic Ballet Music "Cain and Abel"
+
David Rosenboom / Piano Etude Ⅰ
5.Mediterhanean Youth Club / Correct Inefficient Market Outcomes
6.Henk Badings / Electronic Ballet Music "Cain and Abel"
+
toplessdeath A.K.A 脳BRAIN / ANAL 3
7.Cia Debutante / Satellite Speculations




●DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda


サイケのジャンル外からの解釈
1. RED LORRY YELLOW LORRY / Talk About The Weather
2. CHRISTIAN DEATH / DOGS
3. The SISTERS OF MERCY / Temple of Love
4. 怒号 / 夜と雷鳴
5. ENDON / DUALDUEL
6. PINKY&THE CRAZY LOVE MACHINE / ジャンキーパラダイス/
7. THE CRAMPS / Green Fuz
8. HIGH RISE / POP SICLE
9. 安東ウメ子 / イフンケ(子守歌)
10. 安東ウメ子 / フタレ チュイ




●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


ダークリチュアル
1 シェパードムーン / 白昼の追跡者  
2 Abodes of Daybreak / Arktau Eos
3 Chris & Cosey / Dancing On Your Grave
4 Mojo Beatnik / Freanzy Beat
5 Karjalan Sissit / Elämä Juoksuhaudoissa
6 沖縄テレビ水曜劇場「怪盗伝 運玉義留 名場面」/「怪盗伝 運玉義留」
7 Earthmonkey / Samsara Tsunami
8 Ah Cama-Sotz / Allerheiligenvlood Chapter 4
9 This Morn' Omina / Hannnibal Ad Portas
10 Mojo beatnik / The Time Has Cracked
11 種口裕人 / うたかた  




●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武


地下深き隣は何を聴く人ぞ
1. DADA / Yuuen - Inraku - Gaki
2. SABU / Marble
3. あがた森魚 / 恋のラジオ・シティ
4. AUNT SALLY / 醒めた火事場で
5. R.N.A.Organism / Yes, Every Africa Must Be Free Eternally
6. tolerance / I Wanna Be a Homicide
7. Sympathy Nervous / Go On And Off
8. BGM / Neo Dancer
9. Normal Brain / Frottage "One Way"
10. tolerance / **Gig's Tapes In "C"
11. Mad Tea Party / Hide and Seek
12. ポール・モーリア楽団 / マミー・ブルー
13. Eternal Womb Delirum #1 / やっぱり
14. フレンズ / 孤独のフォークシンガー
15. RQRQ / ゴンドラの唄
16. ザ・ハイマーツ / ハートにOK!
17. 割礼 / オレンジ




●DJ Ken Horiguchi 堀口謙


アンビエントサマーから極寒音響ノイズまで
1 Isidore Isou - Poe’mes lettrtes 1944-1999
2 Buddahastic Transparrent - Lamba(Le Soleil Lux)
&
OVMN ‎– The Hateful Bloated Lies Of Donald Trump
3 Dub Taylor - Lumière For Synthesized & Concrète Sound
4 David Lynch & Alan R. Splet ‎– Eraserhead Original Soundtrack
5 Gas ‎– Pop
&
White ‎– H
6 Air Liquide ‎– If There Was No Gravity
7 N. ‎– N.
8 Celer ‎– Viewpoint




●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規


邦楽7inch特集
1. S.H.I./Theme
2. Zouo/Making Love With Devil
3. Execute/A-Z
4. Copass Grinderz/Paranogun!
5. Captain Condoms/Good Speed You
6. God's Guts/Walk On The No Way
7. Real/愛のかけら
8. Honey Deep Wet!/東京アウシュビッツ
9. 鮫肌尻子とダイナマイト/ゲルピンロック
10. 連続射殺魔/甘美陰鬱
11. 戸川 純/レーダーマン
12. Yōran/Tag Along




●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保


異教サイケデリック・ロード第14章 愛別離苦 
1. Angus Maclise / The Invasion of Thunderbolt Pagoda
2. Brian Jones Present The Pipes of Pan at Jajouka
3. El Mahdy Jr. / Ghost Tapes
4. Luc Ferrari / Danae Organiques
5. 土方巽 / 慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる
6. Saint Abdullah / Zeynab
7. John C Lilly / E.C.C.O.



★ミックス音源公開:
PART 1:FreeZone〜DJ Vegavis〜DJ BEKATAROU〜DJ Ipetam〜DJ Qliphoth

ダウンロード期限:2020年1月24日(金)

GigaFile Link 1

PART 2:DJ Qliphoth〜DJ Necronomicon〜DJ Ken Horiguchi〜DJ Vaby〜DJ Athmodeus
ダウンロード期限:2020年1月24日(金)

GigaFile Link2

30回
何気に続く
盤魔殿

次回パーティ情報
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.31
Rencontre illégale de musique underground 地下音楽不法集会

12月27日 阿佐ヶ谷TABASA
18:00 Open予定/¥1000 + 1drink

Regular DJ + Special Guests

盤魔殿DJ選出2019年ベスト5決定戦
音源プレイとトークで2019年を振り返る忘年会&決起集会???
*会場がいつもと異なりますのでご注意ください。
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【地下アイドルへの招待】地下アイドルに負けるな!女子バンド応援宣言〜東京初期衝動/経血/花冷え。/ザ・ハイマーツ

2019年11月21日 01時22分34秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


地下アイドルへの招待
第23回:地下アイドルに負けるな!女子バンド応援宣言
東京初期衝動/経血/花冷え。/ザ・ハイマーツ

DJ Necronomicon ネクロノミコン(aka 剛田武)


地下アイドルにハマる前は女子バンドに夢中だった。そもそも1977年にパンクにハマって以来、女性ヴォーカルのバンドやガールズバンドを愛聴してきた女子好きである。カワイイロック女子とお付き合いしたいと夢みた思春期は遠い昔、人生の3分の1を過ぎ第何回目かの思秋期を迎えた筆者は会いに行けるうら若き女子=地下アイドルとの疑似恋愛に生き甲斐を見出して残りの人生を全うするつもりである。それはともかく、アイドルとバンドの違いは何だろう。曲を書かない/楽器を持たない/全員歌と踊りができる/接触できるのがアイドルなら、その逆なのがバンドだろうか。いや女子は女子、コミュ力の違いや愛想の善し悪しはあれど、自分を表現したい気持ちは同じに違いない。とすると問題は聴き手の心の蕩け方次第、バンド女子に心を持ってかれるのも時間の問題である。そんな地下アイドルヲタクに最も近い位置にある女子バンドを紹介しましょう。

●東京初期衝動


椎名ちゃん(Vo・Gt)、希(まれ)(Gt)、かほ(Ba)、なお(Dr)からなる4人組ガールズバンド。2018年4月12日に結成。2019年4月29日に1st EDシングル「ヴァージン・スーサイズ」、11月6日に1stアルバム『SWEET 17MONSATERS』を自主レーベルのチェリーヴァージン・レコードからリリース。筆者が観たのは去年12月の1回だけだが、ぶっ壊れたロッケンローを歌いながら会場の壁を登ろうとするはっちゃけたライヴパフォーマンスが壮快だった。プリクラJK世代の成れの果て的な傍若無人味が魅力。

東京初期衝動 - ロックン・ロール(MV)



●経血


まり(Vo)、TASAKI(G)、SHIGEKI(B)、2TOM(Dr)の女子x1,男子x3の茨城出身のハードコアバンド。80年代日本のハードコアをリスペクトするサウンドとまりのハイトーンで捲し立てる歌い方はCOMESのチトセやMelt-BananaのYasukoを彷彿させる。赤い拡声器を振り回し客席乱入も辞さない過激なパフォーマンスは艶かしさも溢れ、爆裂女子のヲタクにもハマるもの続出。パンクスだけの慰みものにしておくのは勿体ない。また観る日を楽しみにして生き続けることにしよう。

【Official MV】経血(KEI-KETSU) / disりたい



●花冷え。

花冷え。( HANABIE ​)

2015年6月結成4ピース(ほぼ)ガールズバンド。『スクールズアウト'17』準優勝、『ROJACK for COUNTDOWNJAPAN 18/19』入賞など確かな実績を残している。現在のメンバーはムーンウォーク ex-ヘッツ(B, Cho)、ユキナ(Vo)、マツリ(G, Vo)の3人(ドラムはトラ)。ルックスはアイドル並みにかわいいがステージに上がると堂々としたロックスター。シャウトと笑顔のギャップに萌える人多数。

花冷え。「Envy」 MV(Official Music Video)



●ザ・ハイマーツ


2013年JKバンドとして結成されたガレージガールズバンド。現在のメンバーはSuzu(Gt&Vo), Haruna(Ba), Karin(Dr)。 東高円寺UFO CLUBなどで活動し、2015年にサザナミレーベルから『Early Recordings』リリース。その後2枚のEPをリリース。ライヴはまだ観たことが無いが、ファントム・ギフト「ハートにOK」や、筆者が一番好きなUSガレージバンドThe Gesturesで有名な「ラン・ラン・ラン」の日本語カバーを聴くだけで目眩がするほど惚れ込んでしまった。

ザ・ハイマーツ - あなたが欲しいの(The Highmarts - I Want You Bad)


女子バンド
チェキ会あったら
うれしいね

▼といいつつ今夜はパンクロックアイドルの新作に溺れて夜更かしするしか。
●爆裂女子


アイドル界に革命を起こす!最強で最狂のパンクロックアイドル爆裂女子、5人体制初のシングル。パワーアップした爆裂女子を見逃すな!都子ちゃん作詞の「超革命」はヘルメットと拡声器で武装した可愛い革命戦士のアンセム。カップリングの「DISTORTION」は新メンバーによるニューヴァージョン。ヘヴィロックがキュートに変身。新体制の魅力たっぷりに迫ります。タワーレコード3店舗限定リリース:梅田NU茶屋町店、名古屋近鉄パッセ店、新宿店。それぞれリリースイベント有り。

爆裂女子-BURST GIRL-/超革命【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
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ピーター・コロヴォス/川島誠/内田静男/山㟁直人/橋本孝之@千駄木 Bar Isshee 2019.11.3 sun

2019年11月18日 00時58分45秒 | 素晴らしき変態音楽


Peter Kolovos 来日公演 2019

Peter Kolovos (guitar) + 川島誠 (alto sax) + 内田静男 (b) + 山㟁直人 (perc)+橋本孝之(alto sax, harmonica)

2019年11月7日(木)
東京【千駄木Bar Isshee】 open 19:30 / start 20:00
料金 投げ銭制(別途チャージ500円+ドリンクオーダー)

今回のピーター・コロヴォスの来日の主目的はPSFレコード関係の日本のアーティストや関係者に会って、今後の作品リリースのみならず、音源や素材を整理して保管する手助けを申し出ることだったという。11年前ロサンゼルスのユニバーサルスタジオの火事で多くの歴史的マスターテープが焼失したというニュースが報道された上に、最近発生したロサンゼルスの山火事を目の当たりにしたコロヴォスが、地震や台風被害が多い日本にあるマスターテープや写真素材の保護の使命感に狩られて飛んで来たと考えれば、黒船の来襲ではなく、義援隊の到着と言うべきだろう。一方元々ミュージシャンでもあるコロヴォスにライヴ演奏を見せてほしい気持ちはある、そう伝えたところ、願ってもない話に感謝。もちろんライヴをしてみたいとふたつ返事でOK。共演者選びは9月にコロヴォスの仕切でアメリカ・ツアーを成功させたサックス奏者川島誠の力を借りた。最大の問題はコロヴォスのためのギターを探すことだったが、サックス奏者橋本孝之がギブソンのレスポールを心良く貸してくれた。会場は千駄木Bar Issheeのに決まったがド平日の木曜日。動員が心配だったが蓋を開ければソールドアウトの超満員。知ってるミュージシャンの姿も結構ある。初めて観るコロヴォスの演奏ヘの期待が漂っている。

●橋本孝之SOLO


サックス一本銜えて屹立するダンディズム。真剣のような切れ味をもつハイトーンの一振りが期待の上の上を過ぎ去り際に聴覚シナプスを刺激する覚醒感。

●内田静男SOLO


打って変わって低音弦の弄りから発生する質量の波動が地下倶楽部の空気を浄化して、忘却に似た無我の境地を垣間見せるが、その隙間に弓が放つ嚆矢。

●ピーター・コロヴォスSOLO


レスポールのボディ上部のトグルスイッチを是ほど酷使するインプロヴァイザーはおるまい。シューゲイズしたまま音色と時間と空間を切断する執行人の如し。

●川島誠SOLO


情念の重みをひとり背負っていた曾ての面影は消え軽やかに飛翔するサックス奏者の姿があった。ヘヴィネスをコントロールし音に光を宿す術を産み出した喜び。

●山㟁直人SOLO


ドラムでもパーカッションでもなく皮を張った共鳴体になったスネアを摩擦するオブジェが熱を帯びて発火する前に音ヘ昇華し冷ます技はどんな轆轤職人でも敵うまい。

●セッション


くせ者揃いの5人が一斉に音を出すと、アンプ増幅された音だけが聞こえる現象を恐れたが、いかなる技か見事なバランスで観客の聴覚をやさしく蹂躙した。



コロヴォスは
ギリシャの名前
ソクラテス

再会を願って。
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【イベント情報】思想と音楽の麻具波肥(まぐわい)〜11/18(月)開催《哲学者の薔薇園》+盤魔殿 Collaboration Deeplistening Event Musica Rosarium

2019年11月16日 09時41分52秒 | 素晴らしき変態音楽


思想と音楽というテーマは筆者の得意とするところではない。寧ろ音楽は音楽として認知した上で神秘性にの化けの皮を剥ぐことで我が意を得たりと自己主張する傾向を賛美しがちな半生を送って来た。しかしながら日本人男性の平均寿命の3分の2を過ぎた辺りから、筆者の音楽受容シナプスに変化が現れたことに思い当たる節もなくない。まず第一にそれまで忌み嫌っていた音楽ジャンルを許容するばかりか、最初はポーズで語っていたのが近頃マジで好き、というか聴きたい気持ちが心の内から滲み出ることを意識する自分が存在する。そもそも「音楽は音楽、ジャンル分けなんてナンセンス」としたり顔で主張していた頃の気負いが虚構に似た空威張りに過ぎず、我こそがこの世界に生存するための導きとしてジャンルを必要としているヲタク気質の権化であるという事実に開眼したことを告白したい。

「人類みな兄弟」なんて有り得ないばかりか、兄弟ばかりじゃ子孫を残せない訳で、平等思想は人類を滅ぼす悪癖に違いない。音楽に関する好き嫌いをすべて取っ払うことが出来たら、聴くべきものは何も無くなることは自明の理であろう。つまり平和主義は個々人の嗜好を無化しみんな同じ顔の無い人間の製造を目論む体制側の手先なのだ。奴らを高く吊るせ!無個性人類繁栄祈願をするものは容赦なく抹殺する。機関銃をレコードプレイヤーに持ち替えて聴覚から内部革命を宣言する我らが霊魂武闘派盤魔殿、それこそ思想である。

神秘主義者の集いと盤魔殿が野合する今回のイベントでは、レコードではなくCDにて爆裂プレイリストをスピーカーの蛇口から滴らせるべく銀盤の山を掘る作業を続行中である。レコード盤面やLPジャケットを真似た仮想的な暗黒趣味が四谷の夜に血の雨を降らせ、神秘を紅色に塗り替える光景を幻視しつつ茶会記へ足を運んでいただければ幸い地獄である。(DJ Necronomicon談)



【イベント情報】
2019/11/18(月)15-23
《哲学者の薔薇園》+盤魔殿
Collaboration Deeplistening Event Musica Rosarium
@四谷三丁目 喫茶茶会記

料金 ¥1000+2D
DJ Time 18-22
DJ Qliphoth 
DJ Necronomicon 
MONT★SUCHT 
MC 由良瓏砂

TAROT BOOTH 20-23
Fortune teller Chloe
http://chloe.pocke.bz/
10min/¥1000

DJ TIME TABLE
18:00~18:45 DJ Qliphoth 
18:45~19:30 DJ Subrosa
19:30~20:15 MONT★SUCHT
20:15~21:00 DJ Necronomicon 
21:00~21:45 DJ Qliphoth 
21:45 MC 宇田川岳夫×由良瓏砂 
22:00 終演後物販(TAROT, Food etc.) 


<盤魔殿>と神秘主義講座哲学者の薔薇園とコラボイベント。
無言劇モントザハト/タロットブース黒絵/球体関節人形展示販売/当日フードメニューあり

アーティストプロフィール
●DJ/VJ Qliphoth (盤魔殿主宰|Ban-Ma-Den/Disque Daemonium)
タナトスとエロスが共存する生命の樹の鏡像としての邪悪の樹。
無意識の領域に潜む根源的な欲望をシジルとしての映像を通じて解放することを目的としている。
主催イベント「盤魔殿」
DJカルチャーの破壊を目指す踊れない曲に特化したマンスリーDJイベント盤魔殿の一員。
逝きつくところはサマーオブラブアンドデス
One of the resident VJ/DJ of Monthly DJ event Disque Daemonium.
Disque daemonium is the Heathan festival for the Heathan People who loves the Heathan Music.
Disque Daemonium is the event for the following music...
Avant Garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Punk, Hardcore, Idol, Black Metal, Middle East,Ethnic, Ritual, Medieval, UnderGround,...
Everything Weiredness About Muisc for the 3rd Summer of Love and Death!

●MONT★SUCHT
 
「MONT★SUCHT」
2004年、人形作家でもある由良瓏砂を中心に結成。
流動的なメンバー編成で、各自がアイデアと技術を出し合って、一つの舞台を創り上げてゆくユニット形態をとる。
東京DARK CATSLEにての二回の公演後、3年間のブランクを経て、2007年活動再開。
ライブハウス、カフェ、ギャラリーなどを中心に、
50回ほどの公演を行う
MYSTERIOUS THEATER SHOWと銘打ち、ドイツ神秘主義やシュルレアリスムを想起させるほの暗い幻想世界、耽美にして可憐なステージショーを現出する。
http://montsucht.web.fc2.com/


DJ Qliphoth 


DJ Necronomicon 


MONT★SUCHT 


Chloe

神秘主義
暗黒思想
盤魔殿

NECRONOMIDOL // SAMHAIN *New Song* Live At Koenji ShowBoat 9/16/18
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【イベント情報】11/23開催。楽しい異端DJイベント『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.30』Jour de travail infernal 勤労地獄の日

2019年11月09日 09時19分10秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.30
Jour de travail infernal 勤労地獄の日


2019/11/23 sat/holiday
渋谷DJ Bar EdgeEnd

18:00 Open/Start
1000yen incl. 1drink

Avant-garde, Noise, Industrial, Ambient, Neofolk, Ethnic, Ritual, Underground Idol… Everything Weirdness About Music!

Regular DJs :
DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
DJ Bothis a.k.a. 山田遼
DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫

Special Guests:
DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda
DJ 堀口謙

異端音楽マニア揃いのレギュラーDJ陣に加え、フィメール・パフォーマーRie Fukuda、現代ノイズ進化論・堀口謙がゲストDJとして出演!ますます進化する盤魔殿フィヴァーが晩秋の渋谷を暗黒に染める!
来場者全員にマニアックな音楽ZINE『盤魔殿アマルガム』を無料進呈


TIME TABLE
18:00-18:30 Free Zone 自由参加
18:30-19:00 DJ Bothis a.k.a. 山田遼
19:00-19:30 DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
19:30-20:00 DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda
20:00-20:30 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
20:30-21:00 DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
21:00-21:30 DJ 堀口謙
21:30-22:00 DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
22:00-22:30 DJ Athmodeus a.k.a. 持田保 



【異端DJの聴かせどころ】
●DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda
前回から引き続き、サイケのジャンル外からの解釈を探して行く方向です。様々なムードで行きます。




●DJ 堀口謙
A.N.T. 、SNH、Sporadic 、そしてdommune現代ノイズ進化論など、多岐に渡る活躍で知られる堀口謙が盤魔殿初参加!享楽のアンビエントサマーから極寒音響ノイズまでを横断するDJプレイは必聴!!!




●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
今月のお題:異教サイケデリック・ロード第14章 愛別離苦






●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
今回は邦楽7inch特集で特にジャンルに拘らず、しかし盤魔殿に相応しいテイストで攻めてみようと企んでます。古き良き80年代ジャップインディーからメジャーものまでのドキドキマテリアルをチョイスしてあなたのハートにお届けします!




●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
電子音楽を中心に
光の沼へ導きます…




●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
【地下深き隣は何を聴く人ぞ】近年国内外で盛り上がる7・80年代日本のアンダーグラウンド・ミュージックの再発音源を中心に、地下音楽のディープな世界をお届けします。




●DJ Bothis a.k.a. 山田遼
esplendor geometricoやLaibach中心に機械的なボディービートを特集します。




●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
11月23 日の聴かせどころはダークリチュアル



働こう
地下音楽を
聴くために

「ワルシャワ労働者の歌」
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【私的フリージャズ史】纐纈雅代Group/今井和雄Quartet/佐藤允彦Group/インスタント・コンポーザーズ・オーケストラ@新宿PIT INN 2019.11.3 sun を観て考えたこと

2019年11月06日 02時04分09秒 | 素晴らしき変態音楽


あれから50年~ ニュージャズホールを知ってるか?

11月3日 開場19:00 開演19:30~22:30
前売¥4,000+税 当日¥4,500+税(共に1ドリンク付)

【MEMBERS】
〇纐纈雅代グループ
纐纈雅代(As)レオナ(タップダンス)中山晃子(アライブペインティング)
〇今井和雄カルテット
今井和雄(G)藤堂勉(藤川義明:reed)井野信義(B)山崎比呂志(Ds)
〇佐藤允彦グループ
佐藤允彦(P)立花秀輝(As)広瀬淳二(Ts)松本ちはや(Per)
〇インスタント・コンポーザーズ・オーケストラ(佐藤允彦)
纐纈雅代、立花秀輝、広瀬淳二、近藤直司、蜂谷真紀、井野信義、松本ちはや、中村達也…and more

New Jazz Hall(NJH)は、副島輝人の呼びかけに富樫雅彦、高柳昌行、佐藤允彦、吉沢元治、沖至、高木元輝、豊住芳三郎などが参集、1969年11月20日にオープンしました。その目的は新しい音楽を模索し表現する場を確保することで、当時のpit inn 2階の楽器倉庫を借り受けたものでした。そこは『実験の場』であり、ナウミュージックアンサンブル、阿部薫など新人の『揺籃の場』であり、詩やアングラ映画など他分野との『交流の場』でもありました。 あれから今年11月で50年。そこで11月2日、3日、新宿pit innに12人のリーダーのもと40数名のミュージシャンが集まり、フリージャズ、即興の現在と今後を見据えたライブを展開します。 (Pit Inn公式サイトコメント)



2002年に副島輝人著『日本フリージャズ史』と出会うまでの1977年から25年間、筆者がどのように日本のフリージャズと出会いどのように受容しどのように消化して来たのか追想してみた。

1977年中3でパンクロックに開眼した筆者は、78年春高校に進学するとブラスバンド部に入部してバリトンサックスを吹きはじめる。特にブラバンが好きだった訳ではなくサクソフォンを演奏したかっただけである。何故サックスを選んだのか今となっては覚えていないが、FMラジオで番組を持っていたサックス奏者・渡辺貞夫に憧れたことも一因だろう。もちろん同時にロックやパンクが大好きで、家でギターの主にカッコ良くジャンプする練習を欠かさなかった。79年になると海外の音楽シーンでニューウェイヴが主流になり、従来のロックのスタイルから逸脱するポストパンクバンドが雑誌やラジオで紹介されるようになる。その中にザ・ポップ・グループやレジデンツといった前衛的なサウンドを持つグループがいた。どちらも即興音楽ではなかったが、曲の節々に出てくる調性やリズムを無視した、平たく言えばメチャクチャなギターやサックスやオルガンが刺激的でワクワクした。最も好きだったのはレジデンツの『The Third Reich 'N' Roll』のA面「Swastikas On Parade」の9分40秒から出てくる機関銃のようなサックスソロで、今でもこれを超えるサックスは聴いたことがない。

Swastikas On Parade


80年高3の頃、音楽雑誌で知った前衛ロックのカリスマ、キャプテン・ビーフハートの『Trout Mask Replica』を中古盤で見つけた。脱臼しそうなキチガイアンサンブルとデタラメバスクラリネットとソプラノサックスに狂喜。次にいよいよビーフハートの親分格サン・ラの『Live At Montreux』を購入。豪快なオルガンとデタラメサックスソロが最高で、マーシャル・アレンとジョン・ギルモアがヒーローになった。そこからアルバート・アイラーのESP盤『Spirits Rejoice』を聴き解脱。82年大学入学と共にアルトサックスを手に入れ、心置きなくデタラメサックスを吹けるようになった。これ以降のあれこれは拙著『地下音楽への招待』に詳しいので参照されたい。

Sun Ra Montreux 1976 (II): Take The A Train

LOFT BOOKS地下音楽への招待公式サイト

前置きが長過ぎた。さて日本のフリージャズを聴きはじめたのが何時頃なのか?たぶん高校時に山下洋輔のことは知っていた筈だ。『寿限無』のライヴ録音をラジオでエアチェックして良く聴いていた。円周率を音符に置き換えて演奏するなんてすげえ!と思った。坂田明がハナモゲラ語でテレビに出ていたが、サックス奏者だと知ったのは82年に大学に入ってからだろうか。バイトをしていたライヴハウス吉祥寺GATTYに置いてあった灰野敬二『わたしだけ?』やオムニバスライヴ盤『愛欲人民劇場』と一緒に阿部薫・吉沢元治『北<NORD>』を借りて帰って聴いた。灰野の<漆黒>も凄かったが、阿部薫の<極北>も恐ろしいほど魅惑的だった。方や黒、方や銀、どちらも最小限の楽器編成で魂の奥まで届く<歌>を絞り出す。今聴いても真っ黒な壁に赤い電球が灯るGATTYのトイレのカビ臭く湿った空気の重さが皮膚に触れるのを感じる。灰野が吉祥寺マイナーを中心に活動していたのは知っていたが、阿部薫がどこで演奏していたかなんてことは考えもしなかった。

Kaoru Abe - Motoharu Yoshizawa - Duo 75 Nord (Full Album)


GATTYと同時に荻窪グッドマンというライヴハウスで月一で開催されていた「即興道場」という誰でも楽器持参で即興セッションに参加できるイベントに通いはじめた。グッドマンの店長・鎌田雄一はフリージャズのソプラノサックス奏者だった。少しあとにたまたま大学生協の中古レコードセールで購入したNew Jazz SyndicateのLPに鎌田の名前を見つけて昂奮した。解説書にNJSは法政大学の学生会館で活動していると書いてあった。パンクやニューウェイヴや地下音楽のライヴで有名な法政学館はフリージャズの「場」でもあったのだ。「即興道場」にはゲストとして年配のサックス奏者・井上敬三が参加してこともあった。荻窪グッドマンも即興音楽の「場」であったことは間違いない。

Keizo Inoue - In Moers '81 - Side A


その他にはラジオや雑誌で話題になっていた生活向上委員会(レコードはギャグっぽくっていまいち)と梅津和時(RCサクセションでテレビに出ていた)、ピナコテカからLP『PIYO PIO』をリリースしたサックス奏者・芳賀隆夫(阿部薫の弟子とのこと)、ICPオーケストラの来日公演を企画したトランぺッターの近藤等則、近藤とともに法政学館でペーター・ブロッツマンと共演したドラマー豊住芳三郎、80年代に知っていた日本のフリー系ミュージシャンはそれくらいだろうか。間章はアルバート・アイラー、パティ・ウォーターズ、ブリジット・フォンテーヌや、やはり生協のセールで見つけたEvolution Ensemble Unity(高木元輝・近藤等則・吉田盛雄)『Concerte Voices』などの小難しい長文の解説で知っていた。

Takao Haga and Osamu Tamaguchi -- Tidal Wave (Complete Album)


90年代に高柳昌行やタージマハル旅行団などをロック/ノイズ文脈で知るようになるが、日本のフリージャズの豊潤な世界に触れることは『日本フリージャズ史』がなければ一生有り得なかったかもしれない。日本のフリージャズに50年以上もの歴史があること、富樫雅彦、佐藤允彦といったジャズのベテランがフリージャズの闘士だったこと、80年代以降も進化・深化していたこと、など新たな知識に心が拓かれる感動を覚えた。70年代後半に『ZOO』でパンクに、80年代に『Fool's Mate』『Marquee Moon』でユーロロックに、90年代『G-Modern』で地下音楽に感じたのと同じ自己革新体験であった。その流れで言うと10年代は紙媒体ではなく、ライヴ会場で地下アイドルに啓示を受けたことになる。

Masahiko Sato - Palladium (Full Album)


日本のフリージャズの震源地のひとつにニュージャズ・ホールがある。その解説は冒頭の公式コメントを参照されたい。50年前にその「場」の創出に関わった演奏家と聴衆、後追いで歴史を引き継ぐ演奏家と聴衆、大きく分けてふたつに大別される参加者により演じられた50年の歴史の重みは、完全な孫世代の纐纈雅代グループの溌剌とした音と動作と映像の戯れ、ほぼ現役世代の今井和雄カルテットの血肉化された禁欲と修練と求道、多世代混合の佐藤允彦グループの生真面目な悪巫山戯、即席部隊インスタント・コンポーザーズ・オーケストラを操るオリジネーターの悦楽が、目に見えない魔法の金粉を降り注いだ。激しい躍動感に満ちた演奏に於いても多少身体を揺らす程度で多くはじっと頭を垂れて聴き入っている観客の姿に、自らの牙城を守らんとする異端音楽戦士の心意気を感じた。

五十年
過ぎて変わらぬ
至上主義

▼一方で生きる歓びに身を任せて踊り狂うスタイルの「場」が30年続いたことも奇跡ではない。
渋さ知らズオーケストラ(20190916渋大祭)

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【JazzTokyo#259更新】『V.A. / VANITY BOX』/川島誠インタビュー/ピーター・コロヴォス来日公演

2019年11月04日 02時12分10秒 | 素晴らしき変態音楽


音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が公開された。カヴァー特集は『渋さ知らズ』。剛田武は下記のディスクレビューとインタビューを寄稿した。

●V.A. / VANITY BOX

#1649 『V.A. / VANITY BOX』

カタログ再構築(re-model)の有るべきスタイル
録音・制作自体は40年前だが、2019年の現在初めて明らかにされるニューシング(nu thing)として提示されている。それこそ作品番号に付された「remodel」の所以である。表現行為の記録の再構築により、煤のように堆積した記憶を払い除き、本質的な音楽そのものを新しい耳で体験すること、それがカタログへ向き合い方であろう。

R.N.A. Organism - R.N.A.O Meets P.O.P.O (Japan, 1980) (Minimal, Synth-pop, Experimental)


#1637 『Be-2 / Minimum Unit Of Human Existence 人類生存可能最小単位』
【レーベル特集】ヴァニティ・レコードは自惚れ地下音楽家の避難住宅だったのだろうか?


●川島誠 Makoto Kawashima インタビュー

Interview #197 川島誠 Makoto Kawashima〜アメリカ・ツアーで得たもの

初めて自分の音に触れたっていうか。日本では分からなかった感覚を感じられたということがこの旅の最大の収穫でしたね。
今年4月、PSFレコードの2015年のアルバム『HOMO SACER』がアメリカのレーベルBlack Editionsからアナログ・リイシューされたアルトサックス奏者、川島誠のアメリカ・ツアーが9月にニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスの3都市で行われた。2度目のアメリカで彼は何を感じたのか、さらに今後の演奏活動の展望について川島に話を聞いた。

Makoto Kawashima / Madokarano Kagayaki

#181 川島誠 インタビュー:みんなの「心」が集まって生まれる即興演奏

ロサンゼルス
ギターとサックス
コラボレーション

【予約受付中】川島誠出演!注目のライヴ
ピーター・コロヴォス Peter Kolovos 来日公演 2019


ピーター・コロヴォス Peter Kolovos (guitar) + 川島誠 (alto sax) + 内田静男 (b) + 山㟁直人 (perc) + 橋本孝之(salto sax, harmonica)

2019年11月7日(木)
東京 千駄木 Bar Isshee

open 19:30 / start 20:00
料金: 投げ銭制(別途チャージ500円+ドリンクオーダー)
http://www.bloc.jp/barisshee/

PSFのアナログリイシューを手がけるアメリカのレーベルBlack Editionsの主宰者であると共に、90年代から即興ギタリストとして活躍するピーター・コロヴォス Peter Kolovosの一夜限りの来日公演が決定。日本の個性派演奏家とのコラボレーションにより、新たなアヴァンギャルド・ミュージックが生まれるだろう。

He rapidly opens and closes the volume window on a dizzying series of extended guitar techniques, creating the inescapable impression of Derek Bailey covering The Residents’ Duck Stab.
拡張されたギターテクニックを駆使したヴォリューム操作の素晴らしさは、まるでDerek BaileyがThe Residentsの『Duck Stab』をカヴァーしているような印象を与える。ーーThe Wire誌

予約方法:
予約受付メールアドレス: barisshee@keh.biglobe.ne.jp タイトルを「11/7予約」とし、
上記アドレスに氏名(フルネーム)と人数(最大2名)をお知らせください。整理番号を返信いたします。
予約は11月6日24時で締め切ります。
それ以前に定員に達した場合はその時点で予約終了となります。
メールにてご予約、整理番号順の入場となります。
携帯からメールされる方は、PCからのメールを受け取れるようにしておいてください。
なお事前連絡無しの無断のキャンセルの場合、
今後の予約ができなくなる可能性もありますので、
充分ご承知おきください。
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【Disc Review】リセットエイジの到来〜クリス・ピッツィオコス『ファンシー・ニューヨーク・アーティスト』Chris Pitsiokos/ Fancy New York Artist

2019年11月03日 01時26分10秒 | 素晴らしき変態音楽


Chris Pitsiokos/ Fancy New York Artist
Download only : bandcamp
https://chrispitsiokos.bandcamp.com/album/fancy-new-york-artist

Chris Pitsiokos - alto saxophone, electronics (synthesizer and sampler), voice
Richard Lenz - amplified violin on tracks 2, 3, and 6

1. Modern Romance 02:11
2. McAvant Garde 04:08
3. Two Album Reviews in Translation 02:53
4. Hot Stamps 01:25
5. I Fell in Love with the Monad 02:39
6. 99cent Dreams 04:41

Recorded, mixed, composed by Chris Pitsiokos
2019年9月5日リリース

理論と技術をリセットすべき時代の到来を告げる未完結作。

1990年生まれのサックス奏者クリス・ピッツィオコスのソロ・アルバムがBandacmpでダウンロード限定でリリースされた。ソロとしては2015年4月の『Oblivion​/​Ecstasy』、2017年5月の『Valentine's Day』に続く3作目。これまではサックスのみだったが、今回はアルトサックスに加えエレクトロニクス(シンセとサンプラー)とヴォイスも使った多重録音で、3曲にヴァイオリンのリチャード・レンツがゲスト参加。全6曲20分の満たないミニアルバムだが、これまでこの若きサックスインプロヴァイザーがリリースして来た作品の中で最も左翼的なもしくはアナーキーな作品と言って問題なかろう。

悶えながら捻転するサックスのフリークトーンに極力ノイズ成分多めで絡みつくエレクトロニクス、暴虐なヴォイス、さらに2,3,6で被さる電気ヴァイオリンのヒステリックな悲鳴、周波数と音の位相がズレた音響のレイヤーの軋みから産まれるカオスが、聴き手の認知脳をコーティングする常識の膜をヤスリのように研磨する。一聴して、混沌こそ我が命と豪語して憚らないオルタナティヴカルチャーの残滓が漂っていた2011年にピッツィオコスがコロンビア大学の悪友と結成したノイズロックバンド、ボブ・クルーソーの悪夢のパフォーマンス(褒め言葉)を思い出す、実際リチャード・レンツはボブ・クルーソーのメンバーだった。だから本作はピッツィオコスのソロの体裁を借りたボブ・クルーソーの復活作と捉えることも出来る。

テクニックは演奏の妨げになるとして楽器を次々持ち替え、とにかく大音量で演奏することを自らに課した初期ボブ・クルーソーのスタイルは、徐々に楽器が固定化することで別のフェイズに変化して行ったが、その過程でNY前衛音楽界きってのドラマー兼レーベルオーナーのウィーゼル・ウォルターに出会ったことが切っ掛けで、2012年にピッツィオコスはブルックリン即興シーンに参入することになる。その7年後に当時の盟友と再びタッグを組んだ本作は、即興音楽の先を目指して磨きあげた高度な理論と技術を一旦初期化し動作性のクオリティを回復させる再起動(reset/reboot)作品と言えるのではなかろうか。しかもそれが単なるデモテープや試作品ではなく、高いプレイヤビリティーに支えられた完成型であると同時に未だ完結することのない現在進行形の即興の記録として我々の前に提示されたことは、「即興死すとも前衛は死なず」(またはその逆)精神が2020年代も有効であることの証明として、干渉され鑑賞するための手引きへと導くものに違いない。

もちろん、こんなイキった解釈は『高級でオシャレなニューヨークの芸術家』というタイトルに籠められたピッツィオコス特有のウィットの前には風前の灯火の如く無力化されてしまうかもしれないが。

Subway Practice - Chris Pitsiokos/Katharina Huber


リセットし
リスタートして
リブートす

現在クリス・ピッツィオコスはオルガン作品と弦楽作品を制作進行中。「フリーインプロヴィゼーション来るべきも」への期待が高まる。



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