A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ピエール・アンリDVD「THE ART OF SOUND」

2008年06月28日 01時11分51秒 | 素晴らしき変態音楽
2ヶ月前にタワー・レコードに注文しておいたピエール・アンリのDVDがやっと入荷した。「THE ART OF SOUND~音響の芸術」と題された109分のドキュメンタリーである。
本編は2006年制作の50分のピエール・アンリの現在から過去を振り返るアンソロジー。冒頭ステレオ・マイクロフォンを手に街の音を収集するアンリの姿には60年に亘るミュージック・コンクレートを牽引してきたマッド・サイエンティスト的側面が伺える。彼の自宅は奇怪なオブジェが壁を覆い尽くし、大量の書籍が所蔵してある。2005年に自宅を開放してコンサートを行なった様子も収録されていて興味深い。倉庫には60年に亘って収集してきた音源が何千本ものオープンリールテープに収められ保管されている。
1950年の「孤独な男のためのシンフォニー」を始め、50~60年代の作品の映像もたっぷり収められている。特にバレエ音楽のシーンは面白い。
アンリの音楽の原点には子供の頃の体験があるという。幼い頃に聴いた様々な自然の音や自動車や汽車の音を再現したのがミュージック・コンクレートだと言う。それをミキサーを駆使して演奏する自分は作曲者であり指揮者でありソリストであるとも言う。輸入版のため英語の字幕を追いかけるのが大変だが、80歳近くなってもリハーサル時にスピーカーの位置から音色まで指示する姿に真の職人魂を感じた。
エキストラ映像で2003年に開催されたコンサートとリハーサル風景、66年のアンリが音楽を手がけた中編映画が収録されている。現代音楽ファンなら観ることをお勧めする。

80歳
眼光鋭い
芸術家

憧れのアンリの動く姿を観られるだけで嬉しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

勇気ある失敗作~スプーキー・トゥース&ピエール・アンリ「セレモニー」

2008年06月25日 23時53分49秒 | 素晴らしき変態音楽
トラフィックと並びアイランド・レコードを代表するロック・バンド、スプーキー・トゥースの6枚のアルバムが紙ジャケ再発された。その中には私にとって思い出深い1枚が入っている。彼らがピエール・アンリと共演した1970年のアルバム「セレモニー」だ。
ハード・ロックとミュージック・コンクレートの融合というアイデアに取り付かれたスプーキー・トゥースのキーボード奏者ゲイリー・ライトの独走という感じで制作されたこのアルバムは彼らの3作目であり、勝負作でもあった。結果はもろドラマティックなバンド・サウンドと無機的な電子音が一体化されることなく別々の世界で鳴り響くという希代の問題作。アンリの地元フランスでは高く評価されたらしいが肝心の英米でメディア、ファンから酷評され、プロジェクトを推進したゲイリー・ライトが脱退することになったという怨念のこもった作品だ。
しかしロックとエレクトロの融合が当たり前になった現代から見るとこの試みは早すぎただけであり、リリースされた当時ほど奇異には感じない。それよりもピエール・アンリの名前をロック・ファンに知らしめた歴史的な1枚ということが出来るだろう。実際私もこのアルバムでアンリを知り興味を持ったひとりだ。

失敗作
40年後は
名盤だ

指を突き抜け頭に釘を打つジャケットもグロテスクで秀逸だ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

頭のネジが緩む音~Hair Stylistics「Hard Marchen」

2008年06月24日 23時17分40秒 | 素晴らしき変態音楽
月刊ヘア・スタイリスティックスの第3弾が早くも届いた。毎月暴力的に送りつけられてくるのも傍迷惑な話だ。勿論私が申し込んだのだから自業自得だが。
「ハードなメルヘン」とタイトルされたこのアルバムは中原氏が新しく手に入れた機材を駆使して制作したらしい。そういわれてみれば音のキレが良くなっている気がする。特に3曲目以降ののヘッポコなリズムマシンの音には新機軸を感じる。ジャケットも中原氏ではなく田村尚子さんという女流カメラマンの作品である。
しかし脳みそを擦り麻痺させるヘアスタならではの延髄切りサウンドの世界に変化はない。これが後9枚も届くと思うと余りの喜びに朝布団から出たくなくなる。
今「嫌オタク流」という中原氏の参加した対談集を読んでいるのだが、氏の意外にまともな面が伺えて興味深い。私は中原氏はオタクの仲間だと思っていたが正反対のアンチ・オタクだとはねぇ。目から鱗の作品でした。

オタクかい
ヘアスタ聴いて
寝る奴は

意外に楽しい夢が見られます。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

英国の憂鬱~ニック・ドレイク「フルーツ・ツリー」

2008年06月23日 23時53分32秒 | 素晴らしき変態音楽
ニック・ドレイクは60年代末~70年代前半英国で活動し、26歳で急死した(自殺説もある)シンガー・ソングライター。その歌声は英国らしい陰影に満ちた憂いに貫かれていて、UKアシッド・フォークの代表格として特に死後、高い評価を得た。
このボックスは彼が生前残した3作のアルバム「ファイヴ・リーヴズ・レフト」(69年)、「ブライター・レイター」(70年)、「ピンク・ムーン」(72年)に、ドキュメンタリーDVDを加えた集大成的ボックス。DVDは本人の動画はないものの、彼の実姉やプロデューサー、アレンジャーの証言を元に美しい英国の風景を織り交ぜて作られていて、ニックの数奇な生涯を辿ることが出来る。卓越した音楽的才能を持ちながらも鬱病に悩み次第に孤独感を深めていくニックの精神遍歴は3枚のアルバムを順に聴くことで体験することが出来る。シド・バレットと並ぶ英国の幻視者だ。
近年の再評価がボックスのリリースに繋がっているのだろうが、現代にも通じる豊かな音楽性は英国好きには堪えることが出来ない。
Nick Drake HP

精神の
奥底からの
呟きよ

100ページもの内容の濃いブックレットも読み応えがある。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なんてカワイいの!~MEG「STEP」

2008年06月22日 23時13分38秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界
MEGちゃんの中田ヤスタカ・プロデュースの2作目のアルバムがリリースされた。「STEP」というタイトルはアルバム制作前からMEGちゃんの頭の中にあったそうだ。ガーリー・エレクトロニカというジャンルの第一人者として、またファッションと音楽を繋ぐ次世代ポップ・アイコンとして新たなステップを踏み出す作品だ。
感触的には前作の「BEAM」と大きく変わるところはない。全曲MEG作詞/中田ヤスタカ作曲、ディープなテクノから軽やかなステップのエレクトロ・ハウスまで、8曲+リミックス2曲収録。英語詞の曲が2曲ありどちらもハードなテクノ・ナンバーだ。その内の1曲「MAKE LOVE」の歌詞にはドキッとした。ぶっちゃけ"SEXしよ"って曲なのだ。健全なPerfumeに比べて質の高いエロスを感じさせるMEGちゃんである。
ブックレットの写真も素敵にエロかわいい。音だけじゃなくパッケージ全体がMEGの世界というトータル・アート作。
MEG HP

潤んだ目
仄かに開いた
唇よ

MEGちゃんはカロリナグレイサーというガールズ・ファッション・ブランドのデザイナーでもある。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

儚さの果てに~渚にて「よすが」

2008年06月21日 19時43分47秒 | 素晴らしき変態音楽
渚にての通算7作目、4年ぶりのニュー・アルバムがリリースされた。地元大阪ではたまにライヴをやっていたようだが、東京にはニュースが全く入ってこなかったので活動休止してしまったのかと心配していたところ、何の前触れもなく新作発表である。驚くと同時にほっとした。彼らの飾り気のないドリーミーなポップ・サウンドは現代日本のロック・シーンに輝く宝石である。
よりどころ、てがかりを意味する「よすが」というタイトルは今のロック・シーンに於ける彼らの存在を示唆している気がする。
13曲71分の収録。アナログなら2枚組である。柴山シンジ(今作からカタカナ表記になった)氏(vo,g)と竹山雅子氏(ds,vo)に古い付き合いの頭士奈生樹氏(g)他b,kbdが参加し、今まで以上に厚い編成だが持ち前の音数の少ない儚いサウンドはそのままだ。
渚にてとして活動する限りはこのスタンスは永遠に変らないだろう。まさに心あるロック・ファンの「よすが」である。
Org Records HP

いつまでも
変ることなく
このままで

6月30日には久々に渚にてとして東京でライヴがある。実際は柴山氏のソロらしいが、それでも楽しみだ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モーガン・フィッシャー@六本木Super Deluxe 2008.6.19(thu)

2008年06月20日 23時16分02秒 | 素晴らしき変態音楽
先日紹介したモーガン・フィッシャーのイベント「フィッシャーのオルガン」を観に行ってきた。事前に予約すればチャージ無料となる。モーガン自身このイベントを自分の音楽実験の場と捉えていて採算度外視なのかもしれない。
今回が何と51回目となる。Super Deluxeでも最長寿のイベントだ。
会場の真ん中に大小合わせて5台のヴィンテージ・キーボードが設置され、各50分に亘る即興演奏を2セット行う。壁面にはスライドや映画が映写され幻想的なイメージを盛り上げる。モーガンはそれらのキーボードやピアニカ、自らの声や玩具を駆使しディレイやサンプラーを通して音を織り上げていく。即興は即興でもアヴァンギャルドではなく(方法論は多分に前衛的だが)アンビエントでリラクシングなサウンドだ。目を閉じて聴いていると気持ちよくて思わず意識が遠のいてしまう。どちらかというとジャズやロックよりもクラシック寄りな演奏だった。

意次元に
迷い込んだか
雲の上

脳内を浄化したような清々しい体験だった。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

英国の誇り~デヴィッド・ポッツ「カミング・アップ・フォー・エア」

2008年06月20日 00時30分42秒 | ロッケンロール万歳!
ここ数日何故かUKロック付いている私である。今日は最近お気に入りの知られざる英国ロック・アーティストを紹介しよう。
デヴィッド・ポッツ(ポッツィー)とは1997年に元ジョイ・ディヴィジョン~ニュー・オーダーのベーシスト、ピーター・フック(フッキィー)と共にモナコというバンドを結成、英国で100万枚近いセールスを記録し大成功を収めたマンチェスター・ロック・シーンの顔役である。
モナコから11年たって彼がリリースしたソロ・デビュー作がこれ。盟友フッキィーもゲスト参加し、小細工なしのポップでモッズでサイケな英国ロックを聴かせる。流石ベテランらしい貫禄の中にも初心忘るるべからずの初期衝動に突き動かされた瑞々しい感性が光る、珠玉の作品に仕上がった。この王道ポップ路線は英国ロックに脈々と流れる大きな河のようなものだ。
David Potts HP

英国の
伝統誇る
燻し銀

7月にポッツィーの初来日公演が決まった。往年のブリットポップが好きな人なら必ず満足するはずだ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(今更ながら)華麗なる復活~クーラ・シェイカー

2008年06月18日 22時13分31秒 | ロッケンロール万歳!
昼間インターFMでクーラ・シェイカーの「ヘイ・デュード」がかかった。私は懐かしさのあまり仕事の手を止めて聴き入ってしまった。
1995年彼らのデビューは鮮烈だった。ブリットポップ全盛期にギターを全面に出したサイケデリックなサウンドで登場し、リーダーのクリスピアン・ミルズのカッコよさもあって日本でも大ヒットした。ジョー・サウス~ディープ・パープルの「ハッシュ」をカヴァーするというセンスやインドかぶれのアートワークも秀逸だった。
私も当時組んでいたバンド(一応サイケデリック・バンドを標榜していた)に彼らの影響を持ち込んだが、いかんせんヴォーカルが英国人の歌には遥かに及ばなかった。それから間もなくして私のバンドは自然消滅した。
クーラ・シェイカーも1999年にブリットポップの終焉と共に解散した。クリスピアンは別のバンドを組むがパッとせず終わっている。
しかし時代の要請か、2006年にクーラ・シェイカーが再結成され再び人気を博すことになる。Fuji Rockでも来日し大好評だった。今年春の来日ツアーも素晴らしかったと聞く。彼らのように時代の気まぐれで復活するバンドもあれば私のバンドのように闇から闇へと葬り去られるバンドもある。比べるのもおこがましいが。たまにはギターを押入れから出して弾いてみようと思った。
Kula Shaker HP English

復活だ!
呼ばれてないのに
ジャジャジャジャ~ン

ドッジーも再結成したがどうなっているんだろう。一応ツアーはやっているらしいが。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

実はかなりの確信犯?~ストーンド・グリーン・アップルズ

2008年06月17日 23時26分23秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界
昨日の朝日新聞夕刊にこのバンドのインタビューが載っていて驚いた。確かに名前のイメージは硬くて柔らかい(?)奇妙なものだし、テクニック的には素人同然の無邪気さがあり現在のロック・シーンでは光っている。でも同じ編成のデュオならあふりらんぽ(彼女達も結構話題になったが)がいるし、音の感触も最近の関西ゼロ世代や東京ノー・ウェイヴ(ぐしゃ人間など)と比べて特筆すべきものでもない。そんな二人が全国紙を飾るのはそのモデル並みのルックスや滅茶苦茶長いアルバム・タイトル「A red strange fruit was crushed with a little plosive sound,then it left me a green one.I bite it once in a while,when it rains.(赤い奇妙な果実が小さな破裂音をたてて潰れて、緑のものが残った。私は雨が降ると一度だけそれを齧る。)」 も含めたイメージ戦略の勝利といえるだろう。何といってもかつて渋谷系を仕掛けたクルーエル・レコードからのリリースだ。深読みもしたくなる。
しかしそのサウンドは70年代末のNo New Yorkを想わせるポップでヒリヒリした期待感に満ちたものだ。ギターのAYAは灰野さんに憧れているらしいし。一度ライヴを観なければなるまい。
Stoned Green Apples HP

ラリッてる
緑のりんごに
ご用心

長いタイトルも灰野さんの影響なのだろうか。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする