Sightsong

自縄自縛日記

ジェームス・イルゲンフリッツ『Origami Cosmos』

2018-02-22 23:40:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジェームス・イルゲンフリッツ『Origami Cosmos』(Infrequent Seams、2016年)を聴く。

James Ilgenfritz (b)

コントラバスソロであり、マサオカ・ミヤやエリオット・シャープなどの曲を演奏している。

一聴しただけでかなり個性的な人だとわかる。印象としては、まるで弦が中心に屹立し、その振動を力技で、しかも綺麗に、増幅している。幅広い周波数の取り込みや、胴のきしみなどは逆にあまりない。それもひとつの方向性として、強靭さがあってこそ成り立っているのであり、ちょっと聴き惚れてしまう。

やはりコントラバスソロでのアンソニー・ブラクストン曲集を出したり、ジョシュ・シントンやジェレマイア・サイマーマンやルーカス・リゲティと組んだりと、その意味でもかなり癖がある人のようである。発見である。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo

2018-02-18 21:37:42 | アヴァンギャルド・ジャズ

本八幡のcooljojoにおいて、齋藤徹、喜多直毅、外山明という驚いてしまうトリオ(2018/2/17)。

Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b)
Naoki Kita 喜多直毅 (vln)
Akira Sotoyama 外山明 (ds)

齋藤・喜多両氏は多くの共演を重ねていることからも、やはりサプライズは外山明さんの参加である。注目の大きさゆえだろう、かなり多くのオーディエンスが集まった。というのも、外山さんのフィールドはジャズという印象が強いからだが、そのジャズでももとより規格外の存在だった(すべて腰から下に設置してあるドラムセットも実にユニークだ)。長いこと参加している松風鉱一さんのカルテットについても、松風さんは、「最初の演奏でもう解散だと思った」と笑いながら話していた、それほどなのだった。

とは言っても、昨年には大上流一、徳永将豪というどインプロのプレイヤーたちと共演もしている。そしてこの日わかったことは、外山明のプレイはどの文脈でも外山明ということだった。そういえば、昨年NYでヴォイスパフォーマーの山崎阿弥さんが、地下鉄の中でずっと、如何に外山さんの音が普通から逸脱しているかという「外山愛」を語り続けたこともあった。

ファーストセット。静かに音楽に入ってくる喜多・齋藤のふたり。外山さんは最初はバスドラとシンバルでその中に身を入れる。いきなり何かをじゃーんと作り上げてはならないのだ。テツさんは触るか触らないかといった弦へのアプローチを見せる。やがて各人の音は多彩化していき、また相互に触発されて次の音を出すのだが、それは追従という言葉とかけ離れている。勝手に独立して動いているわけでもない。このあたりが、三者三様のすぐれたインプロの面白さである。

喜多さんはロングトーンでスピードを求め、テツさんはエネルギーレベルを上げ、外山さんはドラムの端と中とで見事な対照を示した。潮目が変わり、大きなうねりが創出されてくる。テツさんと喜多さんが弓を振り風切り音を出すと、外山さんは悪乗り風に腕を振り息で風音を作った。弦ふたりのきしみと、シンバルの金属音。テツさんは驚くほど力強く指弾きでドライヴし、外山さんはようやくジャズドラム的なパルスを発した。ここで喜多さんがアジア的な旋律に持ち込み、そして、全員が浮力を求めた。外山さんはその浮力にバスドラを使って貢献した。また何度目か、潮目が変わり、テツさんが物語的な旋律、外山さんがスピード、喜多さんが琴のような音を、触発の連鎖により発した。触発というより常に移動する憑依かもしれない。喜多さんは最後に時間の流れの中心にあった。

セカンドセット。まずは外山さんが、スティックの指による摩擦を叩きへと変換する。喜多さんのかそけき音、テツさんの存在感のある音、この弦ふたりのサウンドが、ファーストセットに続き、アジア的なものへと接近するように聴こえた。やがてテツさんがハミングするように歌った。ここで見せた、外山さんの複雑なリズムは見事だった。喜多さんが周波数を連続的に変えてゆくのだが、サウンドはまたアジアへ、ムード歌謡にまで触手を伸ばした。

潮目が変わり、外山さんが奇妙なリズムで主導し、ときにふたりを煽る。テツさんはコントラバスを横たえた。しばらくするうちに、なぜだろう、リズムと弦の擦りとの主客逆転があって、耳の方向が変わっていった。

また誰が主導するでもなく別の時間が来て、弦のふたりは葬送を思わせる和音を奏で始めた。ドラムスはしばし沈黙した。その和音が飽和したのか、外山さんが再び介入した。弦による長い長いもの、ドラムスによる短く断続的なもの、その対照。最後は、テツさんがコントラバスを愛おしむようにやさしく撫でた。もしかすると、直前にコントラバスに亀裂を入れて修繕したことに起因する振る舞いなのかもしれなかったが、無粋かと思い、そのことを訊くことはやめた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●齋藤徹
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
2017年ベスト(JazzTokyo)
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)
『小林裕児と森』ライヴペインティング@日本橋三越(2017年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
長沢哲+齋藤徹@東北沢OTOOTO(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(2005年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン 

●喜多直毅
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)
黒田京子+喜多直毅@中野Sweet Rain(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
喜多直毅クアルテット@求道会館(2017年)
ハインツ・ガイザー+ゲリーノ・マッツォーラ+喜多直毅@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
喜多直毅クアルテット@幡ヶ谷アスピアホール(JazzTokyo)(2017年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)
喜多直毅+田中信正『Contigo en La Distancia』(2016年)
喜多直毅 Violin Monologue @代々木・松本弦楽器(2016年)
喜多直毅+黒田京子@雑司が谷エル・チョクロ(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年)
http://www.jazztokyo.com/best_cd_2015a/best_live_2015_local_06.html(「JazzTokyo」での2015年ベスト)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(2014年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
寺田町の映像『風が吹いてて光があって』(2011-12年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)

●外山明
Shield Reflection@Ftarri(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
渋谷毅+市野元彦+外山明『Childhood』(2015年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
纐纈雅代『Band of Eden』(2015年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
纐纈雅代 Band of Eden @新宿ピットイン(2013年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

『けーし風』読者の集い(34) 正念場を迎えるために

2018-02-18 20:00:14 | 沖縄

『けーし風』第97号(2018.1、新沖縄フォーラム刊行会議)の読者会に参加した(2018/2/10、秋葉原/御茶ノ水レンタルスペース会議室)。参加者は6人。

以下のような話題。

●村岡敬明さん(明治大学研究・知財戦略機構研究推進員)(参加者)による、読谷村の戦後写真のデジタルアーカイブ化運動。10月公開に向けて資金をクラウドファンディングで集めている。>> リンク
●APALA(アジア太平洋系米国人労働者連盟)のアメリカにおける大会(2017/8)。ここにオール沖縄など34名が参加し、沖縄の米軍基地拡張への反対、APALAの所属組合への働きかけ、米国議会への働きかけが採択された。ロビー活動など具体的なアクションはこれから。
●上原成信さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)が2017年10月に亡くなったこと。何年か前まで、いつもこの読者会に来ておられた。私も報道でご逝去を知った。ご冥福を。>> 上原成信・編著『那覇軍港に沈んだふるさと』
●山城博治さんの那覇地方裁における判決は2018/3/14。本誌には、一方的で強引な裁判であることが書かれている。
●産経新聞と八重山日報のフェイクニュース。この2紙は一応の謝罪文を掲載したが、東京MXテレビは両論併記の検証番組を放送しただけで、社として謝罪はしていない。
●名護市長選。残念ながら稲嶺市長が敗れた。当選した渡具知氏が基地推進を謳っていたわけではない。稲嶺優勢が伝えられていたにも関わらず、組織的な期日前投票と公明票によって結果が変わった。稲嶺市長は政府予算に頼らない財政健全化を行ったにもかかわらず、そのせいでオカネが入ってこないとする間違ったネガティブキャンペーンが行われた(それとは関係ないのに、名護のシャッター通りの映像が利用されたりもした)。舛添前都知事も、市民が経済を選んだと誤ったツイッターを発した。
●辺野古を争点のひとつにした選挙はこれで6回目。なぜこうも迫られなければならないか。
●名護市民の反応として、どうせ基地ができてしまうのなら取るものを取ろうという、どこでも見られる現実立脚主義があるのではないか。
●オール沖縄の行き詰まりはどうか。次回の県知事選で翁長知事はあやういのではないか。稲嶺市長が出馬する可能性はないか。
●名護市許田の宿が安い(2000円くらい)。
●ピーター・ガルビン氏(生物多様性センター)が、動物愛護は個人のもの、軍事はそうでないもの、それゆえ辺野古のジュゴン問題が難しいといった旨の発言をしていることへの違和感。環境NGOは政治との関わりを持っているものである。
●読谷村の若者がチビチリガマを荒らした事件。1回目は知花昌吉氏が日の丸に火を付けたあと、2回目が5年ほど前にあって、今回は3回目とのこと。沖縄の平和教育の退行ゆえではないかとの危機感があるようだ。金城実氏らが関わって更生プログラムを実現したことは沖縄ならではか。
●辺野古での大型特殊船ポセイドンによるボウリング調査は、活断層の存在が疑われるあたりを中心に行われている可能性。ここが活断層でないとの閣議決定は、防衛省がそれを示す公式資料がないとしたことによるものだが、実は、少なくとも4冊はあった。これで活断層なら詰み、あるいは、深部まで杭を打つことによってコストがかなり高いものとなる。それを誰が負担するのか。
●SACO合意における普天間返還の条件として、代替施設を県内に1箇所、県外に12箇所設置することが含まれている。稲田元防衛相が返還できない可能性を言ってしまったのは、仮に辺野古ができたとしてもアメリカが普天間を返還しない可能性についてであった。これを背景として、日本全国の民間空港でジェットが離発着できる軍民共用化が進んでいるのではないか。それは植民地そのものではないか。
●ふたたび出てきた徴兵制の話。あるいは経済的徴兵制。

情報
●「東京⇆沖縄池袋モンパルナスとニシムイ美術村」板橋区立美術館、2018/2/24-4/15 >> リンク
●真鍋和子さん(児童文学作家)による講演「沖縄と子どもの貧困を考える」2018/3/27、ブックハウスカフェ >> リンク (※真鍋さんも以前にこの読者会によくいらしていた)
●澤地久枝さん講演「満州の引き揚げ体験を語り継ぐ」2018/3/17、wam/女たちの戦争と平和資料館
●郷原信郎さん講演「美濃加茂市長事件は終わったのか」(アジア記者クラブ)2018/2/28、明治大学研究棟4階・第1会議室
●安孫子亘『「知事抹殺」の真実』2018/3/3、浦安市民プラザWave101中ホール
●「世界」2018年3月号・特集「辺野古新基地はつくれない」(岩波書店)
●「越境広場」4号・特集「目取真俊」
●佐古忠彦『「米軍が恐れた不屈の男」瀬長亀次郎の生涯』(講談社)
●明田川融『日米地位協定』(みすず書房)
●古関彰一、豊下楢彦『沖縄・憲法なき戦後』(みすず書房)
●鳩山友紀夫、大田昌秀、松島泰勝、木村朗『沖縄謀反』(かもがわ出版)
新城郁夫・鹿野政直『対談 沖縄を生きるということ』(岩波書店)
崎山多美『クジャ幻視行』(花書院)

●参照
『けーし風』 

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

アクセル・ドゥナー+村山政二朗@Ftarri

2018-02-13 01:24:32 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarriにおいて、アクセル・ドゥナー、村山政二朗デュオ(2018/2/12)。

Axel Dörner (tp)
村山政二朗 (voice)

時間前に着いて、近くのニューヨーカーズカフェで時間をつぶしていたら、気が付いたら、隣にこのふたりと二コラ・ハインが座っていた。ちょうど先週ベルリンのauslandでドゥナーさんと話したばかりでもあり、とりあえず握手。ハインさんは2/15のスーパーデラックスに出演するために来日したのであり、この日はオーディエンス。15日のあとは韓国でアルフレート・23・ハルトやドイツ・韓国のヴィデオアーティストと共演し、さらにマレーシアにも行くと話していた。

ライヴは20分の演奏を2本。ふたりとも、驚くほど静かな中で音を蒸留するかのように出してくる。絞り出すという肉体の傷め付けによるものではなく、震わせるという機能を拡張し、そのマージナルな部分を身体の外に持ち出すプロセスのように感じた。したがって、これ見よがしなものも、マッチョなものもない。そうではなく、振る舞いや動きが認識の部品となり、それぞれが、固有の音と関連付けられた。

Fuji X-E2、Xf35mmF1.4

●アクセル・ドゥナー
PIP、アクセル・ドゥナー+アンドレアス・ロイサム@ausland(2018年)
「失望」の『Vier Halbe』(2012年)
アクセル・ドゥナー+オッキュン・リー+アキム・カウフマン『Precipitates』(2011、-13年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
アクセル・ドゥナー + 今井和雄 + 井野信義 + 田中徳崇 『rostbestandige Zeit』(2008年)
『失望』の新作(2006年) 

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

藤井郷子オーケストラ東京@新宿ピットイン

2018-02-13 00:12:44 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットイン昼の部(2018/2/12)。やっぱりかなり人が入った。

早坂紗知、泉邦宏、松本健一、藤原大輔 (sax)
吉田隆一 (bs)
田村夏樹、福本佳仁、渡辺隆雄、城谷雄策 (tp)
はぐれ雲永松、高橋保行、古池寿浩 (tb)
藤井郷子 (conductor)
永田利樹 (b)
堀越彰 (ds)

ファーストセットは、オーケストラ東京の『Peace』からの選曲。藤原大輔のロジカルでふくよかな音色、松本健一の確信犯的なふん詰まり、集団のなかでも余裕で浮かび上がる泉邦宏のわけわかんなさ、においが立ち込めるような永田利樹のベース、早坂紗知の勢いとファナティックさ、吉田隆一の音の幅広さ、堀越彰のはじけぶりなど、個人技の面白さ満載。それと同様に、リーダー藤井郷子により自在にホーンをコントロールするアレンジと指揮の面白さがあった。

セカンドセットは新曲ばかり。うって変わって、藤井さんは大きく八の字を描いたり、腕をジグザグに動かしたり、手をひらひらさせたり。それはご本人の説明によれば、ブッチ・モリスのコンダクションを意識したものであり、演奏者はほぼ初見でサインに応じてインスピレーションによる演奏を行う。その自由さの分だけ、楽しさが溢れ出るような雰囲気となった。藤井さんは、「野放しの野獣が飼い馴らされないのが楽しい」と言った。

ここでも個人技は当然のように炸裂。早坂さんは周囲の空気にピキピキと亀裂を入れるような強度で吹き、アルトとソプラノの2本吹き。吉田さんは悪乗りのように爆裂、マシンガン。泉さんがそれに脱力する声を合わせた。

田村さん指揮の曲は傑作で、両腕や指で無茶振りするように演奏者を指名し、また次の曲ではそれぞれに声で表現させた(爆笑)。

驚くほどアナーキーで魅力要素だらけのオーケストラ。次は8月の初めにどこかで演奏して、8月14日に江古田のBuddyでレコーディングライヴを行うそうである。

ちなみにわたしが藤井さんのオーケストラを前回観たのは(調べてみると)2000年10月29日のことで、諸事情あってトラで師匠の松風鉱一さんが入り、誘われてNHKでの収録を観に行ったのだった。随分前だな~。

メンバーは以下らしい(半分くらいしか覚えていない)。永松賀津彦さんはいつ「はぐれ雲永松」になったのだろう。

藤井郷子 (p)、立花泰彦 (b)、植村昌弘 (ds)、田村夏樹、竹田恒夫、福本佳仁、渡辺隆雄 (tp)、永松賀津彦、東哲也、宮内岳太郎 (tb)、松風鉱一、泉邦宏 (as)、片山広明、松本健一 (ts)、吉田隆一 (bs)

●藤井郷子
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
This Is It! @なってるハウス(2017年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)
藤井郷子『Kitsune-Bi』、『Bell The Cat!』(1998、2001年)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

酒井俊+会田桃子+熊坂路得子@Sweet Rain

2018-02-12 11:20:32 | アヴァンギャルド・ジャズ

中野のSweet Rainに、酒井俊さんを観に行った(2018/2/11)。

Shun Sakai 酒井俊 (vo)
Momoko Aida 会田桃子 (vln)
Rutsuko Kumasaka 熊坂路得子 (accordeon)

最初は会田さんのやや乾いた音のヴァイオリンから、「My Funny Valentine」。メロディをヴァイオリンと少しずらした熊坂さんのアコーディオンが続き、しばし経って、酒井さんが入る。この、唯一無二の雰囲気。「ひとりぼっちのラブレター」では伴奏のふたりがつまむような音を出したかと思えば、猥雑でもある大きなうねりのアコーディオンの中にヴァイオリンが入り、ちょっとした快感を覚える。続いて「四丁目の犬」。「俊さん、ベトナムにコンビニはあるのか?」からはじまる語りにあわせて、熊坂さんはまるで風が吹いているような音、会田さんは合いの手、絶妙。ふたりの伴奏者は次第にノリノリになっていった。「Cheek to Chhek」では俊さんの歌からはじまり、やがてふたりが調子はずれの音からコードにのせてゆく。るつこさんのダッシュがみごと。ちあきなおみが歌った「紅い花」を経て、「Dream a Little Dream of Me」では、まるで遠くで聴こえるかのようなサウンドの中で、俊さんのハスキーな声が映えた。そしてファーストセットの最後は「ナーダム」(林栄一)。伴奏者がゆっくりと空気を取り込むようにはじめ、やがて、勢いも情もある歌。終盤でるつこさんの狂気とも思えるノリがあって、収束するかと思いきや、俊さんのスキャットからの展開。もちろんナーダムはモンゴルの祭りなのだけれど、俊さんは、別の風景を重ね合わせてもいたのだった(書いていいのかわからないので参照→)。

セカンドセットは、「酒と泪と男と女」から。こういう歌も酒井俊世界になってしまう。2曲目はなんだったか、そして3曲目はふたたび林栄一の「回想」。ちょうど休憩時間に外で俊さんと話していたことを、俊さんがステージで語り始めるものだから面白くなってしまった。会田さんの流麗なヴァイオリンも、るつこさんが髪を振り乱して盛り上げたアコーディオンも良い。そしてなんと、友川かずきが作詞作曲しちあきなおみが歌った「夜を急ぐ人」。「Starry Starry Night」やなんかを歌ったあとに、るつこさんフィーチャーで「お菓子と娘」(あとで調べると、西條八十の作詞!)、情感たっぷりの会田さんのヴァイオリンをフィーチャーした「Nearness of You」。アンコールは「真夜中のギター」。途中でつっかえる感じのある歌声が気持ちいい。

それにしても良い時間だった。ひょっとすると酒井さんは伴奏者との音のバランスを気にしていたのかもしれないけれど、客席からは、そのくらいカオティックなほうが場が猥雑に盛り上がって嬉しいものだった。

●酒井俊
酒井俊+永武幹子+柵木雄斗(律動画面)@神保町試聴室
(2017年)

●熊坂路得子
うたものシスターズ with ダンディーズ『Live at 音や金時』(2017年)
TUMO featuring 熊坂路得子@Bar Isshee(2017年)
『小林裕児と森』ライヴペインティング@日本橋三越(2017年)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ベルギー王立美術館のマグリットとブリューゲル

2018-02-12 10:46:06 | ヨーロッパ

ブリュッセルで空いた時間に、ベルギー王立美術館を覗いた。入館の際のチェックは厳重で、わりと時間がかかる。

ちょうどルネ・マグリットの特別展をやっていた。ブリュッセルにはマグリットが住んでいた家があって、2004年に観に行った。暖炉の上から列車が出てくる絵などはその家で描かれていて、中では暖炉と絵とを観ることができる。しかし、こちらの王立美術館に入るのははじめてだ。

中学生の頃から大好きな画家でもあり、もはやサプライズはないのだけれど、「光の帝国」2種類などの作品を観ることは嬉しい。

ところで、入口に、マグリットとマルセル・ブロータスが自動車に乗っている人形が展示されていた(ヨラ・ミナッチーというアーティストによる)。手にはマラルメの写真。後ろの座席にいる女性がカメラを持っており、それはおそらくニコマート(海外版ならNikkormatか)。ちょっと時代考証が甘いぜと思い調べてみると、ニコマートFTの発売は1965年、マグリットの没年は1967年、ブロータスの没年は1976年。おかしくはない。

 

それよりも(文字通り)度肝を抜かれたのはブリューゲル父子の作品群である。

「ベツレヘムの戸籍調査」は父子両方の作品が並べられており、比べると愉しい。偉大さでいえばオリジネイターの父なのだろうけれど、子の筆も仔細でまがまがしく、ポップでもあり、どれだけ凝視してもキリがないほど面白くドキドキする。

「謝肉祭と四旬節の喧嘩」は子の作品が展示されている(父の作品はウィーンにあるようだ)。なんなんだ、この奇怪な人たちは。おそるべしヨーロッパ中世。以下参照。

ああ、そういえば上野での展示も観に行かないと。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ベルリンのキーファーとボイス

2018-02-11 13:09:31 | ヨーロッパ

ベルリンでは夜以外に空き時間なんて無かったのだけど、移動日の朝に、ハンブルガー中央駅(という名前の駅を改造した美術館)を覗いた。

ちょうど「彫刻は彫刻は彫刻」と「マルクス・コレクション」の展示をやっていた。中でも目当てはやはりドイツでもあり、アンゼルム・キーファーとヨーゼフ・ボイス。このふたりはデュッセルドルフでともに学んだ仲である。

キーファーはナチ時代の弾圧と戦後の忘却に抗した作品を作り続けている。「Leviathan」は1939年に実施された統計調査を意識しており、文書が描き込まれている。それはホロコーストを行うための資料にもなったものだった。

また「Lilith at the Red Sea」は、アダムの最初の妻リリスが平等を求めて罰せられ、紅海へと移り住み、魔と化した神話をもとにしている。これと古着が貼り付けられていることとの関連は壁の解説を読んでもはっきりわからなかったのだが、放逐された者を古着で表現することは、やはりホロコーストを意識したクリスチャン・ボルタンスキーのインスタレーション「MONUMENTA 2010 / Personnes」にも共通しており、記憶の強い掘り起こし力を持つもののように思えた。

ヨーゼフ・ボイスのインスタレーションは贅沢な広いスペースを利用していくつも展示されていた。「Dau Kapital Raum 1970-1977」ではピアノと環境との共存がずいぶんラディカルな形で表現されている。また「Tallow」は羊や牛の大量の脂肪を溶かし押し固めたものであり、アクションを想像することとともに観るべき作品だった。

いまとなっては素朴かもしれないのだが、ボイスの精神はまだまだ過激なものとして伝わってくる。

ところで、ひとしきり観終わったあとに併設のカフェレストランに入り、サンドイッチを注文したところ、想像とは大きくかけ離れたものが出てきた。うまかったのだが、とても食べにくく、ぼろぼろとこぼしてしまった。

●参照
チェルシーのギャラリー村
クリスチャン・ボルタンスキー「MONUMENTA 2010 / Personnes」

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ブライアン・アレン+広瀬淳二+ダレン・ムーア@Ftarri

2018-02-11 01:11:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2018/2/10)。

Brian Allen (tb)
Junji Hirose 広瀬淳二 (ts)
Darren Moore (ds)

なんとフタリに、アレン氏がむかしピアノを教えていたという小さな女の子がふたり。演奏中ずっとまじまじと観て、スマホで写真を撮ったりして、ほのぼのとしたインプロの場。こういうのももちろん悪くない。

ファーストセットはブライアン・アレンのソロ。かれは地べたに座り、周囲に並べた玩具とトロンボーンによって飄々と楽しい音を出した。こうなるとトロンボーンのユーモラスな感じが活きてくる。

セカンドセットはトリオ。やはりダレンさんはスティックや針や発泡スチロールの摩擦によって浮遊の場を提示し、その中でパルスを発する。広瀬さんも最初は擦れ音で攻めていたのだが、ヒートアップしたときのテナーの何層もの重なり音に耳を持っていかれる。そのようにテナーの管が鳴るときに、アレンさんのトロンボーンとともにぶるんぶるんと共鳴し、さすがの時間を創り上げた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●広瀬淳二
ロジャー・ターナー+広瀬淳二+内橋和久@公園通りクラシックス(2017年)
クリス・ピッツィオコス+吉田達也+広瀬淳二+JOJO広重+スガダイロー@秋葉原GOODMAN(2017年)
広瀬淳二+今井和雄@なってるハウス(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
広瀬淳二『SSI-5』(2014年)
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)

●ダレン・ムーア
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri(2018年)
サイモン・ナバトフ@新宿ピットイン(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
Kiyasu Orchestra Concert@阿佐ヶ谷天(2017年)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ビニー+スミス+マーセル+ブランチャード@Archiduc

2018-02-06 14:53:14 | アヴァンギャルド・ジャズ

ブリュッセル。Archiducに足を運んだ(2018/2/4)。

David Binney (as)
Abel Marcel Calderon Arias (p)
Patrice Blanchard (b)
Greg Smith (ds)

デイヴィッド・ビニーを観るのは、昨年2017年9月のNY以来である。そのビニーが、欧州を拠点とする3人のミュージシャンと共演する形。とは言え、みんな出自は別々の場所である。ドラムスのグレッグ・スミスはカナダ出身でいまはロッテルダムが拠点。それゆえかヨアヒム・バーデンホルストとも共演している。ピアノのアベル・マーセル・カルデロン・アリアスはキューバ出身でいまはアムステルダムとロッテルダムが拠点。最近はデイヴィッド・マレイのバンドメンバーだったとのことである。ベースのパトリス・ブランチャードはマルティニーク(行政区域でいえば欧州なのだが)、やはり最近欧州本土に拠点を移している。

ハコは小さく、真ん中に2本の柱があり、2階席がぐるっと作られた、変わった形。そのためわたしにはスミスとブランチャードの演奏の様子がまったく視野に入らなかった。そしてやはり鷹揚で、女性スタッフも奇声をあげて楽しみまくっているし、出入りも管理しているものの適当、扉が適当に開くたびに寒くて誰かが適当に閉める。このくらいが良いのだ。

ビニーは樹脂のようにぬめぬめとしたマチエールの音色でアルトを吹き、エフェクターも少しかける。これ見よがしに前に出てくるプレイヤーでないのだが、こうしたシンプルな形であれば音の凄みがとても伝わってくる。フレーズはM-BASEからの系譜上にありそうなもので硬派、しかしときに「Straight, No Chaser」を引用するなど柔軟でもあった。周囲の観客もかなり圧倒されていたように見えた。

そしてブランチャードのファンクな感じのベースも、敢えて割れる音で激しくアタックするスミスもそれぞれに良かったのだが、鮮やかなプレイに驚かされたのはマーセルのピアノである。微妙に時間をずらして和音を出し、そのずれがサウンドの拡がりを創り出していた。ちょっとフォーク的でもあり、70年代のキース・ジャレットも想起させるものだった。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●デイヴィッド・ビニー
デイヴィッド・ビニーと仲間たち@Nublu(2017年)
デイヴィッド・ビニー『The Time Verses』(2016年)
ダニー・マッキャスリン『Beyond Now』(2016年)
デイヴィッド・ビニー『Anacapa』(2014年)
ダニー・マッキャスリン『Fast Future』(2014年)
ダニー・マッキャスリン『Casting for Gravity』(2012年)  

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

7 of 8 @ Jazzkeller 69

2018-02-03 16:21:19 | アヴァンギャルド・ジャズ

ベルリン。Jazzkeller 69に足を運んだ(2018/2/2)。開場が21時と遅く、1時間ほど1階のAufsturzでビールを飲んで時間をつぶした。

7 of 8:
Andreas Willers (g)
Matthias Schubert (ts)
Florian Bergmann (as, cl, bcl)
Nikolaus Neuser (tp)
Meinrad Kneer (b)
Christian Marien (ds)

ギターのアンドレアス・ヴィラーズがリーダーとなり、テナーのマティアス・シューバートがかなりフィーチャーされている形。

しかし、全員がそれぞれに見せ場を発揮するというのか、個人の演奏家として集団即興に参加し、そのことが役割という構造上のものにとらわれない個々の存在感を際立たせていた。こうして聴くと、たとえばブルースだとか歌の雰囲気だとかブラック・ミュージックの背負うものだとか、そうしたアメリカ的なものから自由なヨーロッパの集団即興なのだった。もちろんICPだってグローブ・ユニティだってコレクティーフだって共通の感覚を強く持っている。

何しろ印象付けられたのは、シューバートのテナーである。何かあざとく野生的な音を出すわけでもないのに、テナーの重たさがそのまま音のフラックスの太さや重さとなり、竜が空中でくねるかのようなサウンドを創り出した。ちょっと驚いた。藤井郷子グループでの演奏歴もある。

また、フローリアン・バーグマンのテクは大したものであり、クラもバスクラもとにかく管を鳴らし切り、一心にグループのサウンドに貢献していた。

バンドサウンド全体は、自発的な個々の働きかけで大きな流れとして生成されつつも、ヴィラーズのゆるやかな指示によって、余裕もユーモアもあって、とても楽しめるものだった。終盤に、ヴィラーズが笑顔を浮かべながら両手で大きな輪を描き、それに合わせて全員(とオーディエンス)が「うおおおお」と唸り、それを2回。そして3回目はヴィラーズが床の当たりで両手をひらひらと揺らしてタメをつくり、また両腕で一周。このわけのわからない笑いもまた、ヨーロッパに違いない。帰路、この笑いの感覚がずっと体内に残り、嬉しかった。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

PIP、アクセル・ドゥナー+アンドレアス・ロイサム@ausland

2018-02-02 15:50:01 | アヴァンギャルド・ジャズ

ベルリン。ドイツに来るのは3度目だがベルリンははじめてである。

せっかくなので、ベルリン在住の奥田梨恵子さんとお喋りをして(Dock 11でのダンスとのコラボレーションに出る前)、そのまま、auslandに足を運んだ。開場は20時だが寒いしちょっと前に入れてもらった。スタッフはふたりとも日本のインプロの場所について知っていて、七針、Ftarri、スーパーデラックス、キッドアイラックなんて名前が出てきた。

■ PIP

Torstein Lavik Larsen (tp)
Frederik Rasten (g)

ラーセンは延々と長い音を吹き、ミュートも使いつつ、音色や強さを変化させてゆく。一方のラステンだが、最初は小さな弓で弦を擦り、この連続的な音のラインを2本にした。そしてギターを横にしてエフェクターも使いつつ、朦朧とさせられるサウンドを作った。この異空間ぶりがなかなかのものであり、時差ボケのわたしは落ちそうになった。

■ アクセル・ドゥナー+アンドレアス・ロイサム

Axel Dorner (tp)
Andreas Roysum (cl)

ドゥナーのプレイを直に観るのは、1996年のベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ(BCJO)の来日公演以来だからもう20年以上が経っている(!)。その後日本に何度も来ていたが機会はなかった。

ロイサムのクラリネットは時間軸にすれば長めのうねりを作っている。その横で、ドゥナーはスライドトランペットを使い、「作業」のように奇妙なことを行い、奇妙な音を発し続ける。ピストンを左手で緩め、ピストンを押し、スライドさせ、そのひとつひとつの動きがそれぞれ固有の音となって現れる。また、沸騰するような効果を含め、ヘンな音を次々に提示する。その確信犯的なサウンドに驚きながら凝視した。

ドゥナーはまもなく来日する(2018年2月、4月)。2月は2/12のFtarriと2/15のスーパーデラックスの2回。4月はまだ固まっていないと話していた。

トリスタン・ホンジンガーらと共演した盤を含め、2枚のCDを20ユーロで買った。そういえばたしかIntaktから出たはずの「失望」の新作を聴くことを忘れていた。

Fuji X-E2、Xf35mmF1.4

●アクセル・ドゥナー
「失望」の『Vier Halbe』(2012年)
アクセル・ドゥナー+オッキュン・リー+アキム・カウフマン『Precipitates』(2011、-13年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
アクセル・ドゥナー + 今井和雄 + 井野信義 + 田中徳崇 『rostbestandige Zeit』(2008年)
『失望』の新作(2006年) 

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

川下直広+山崎弘一『I Guess Everything Reminds You of Something』

2018-01-29 23:59:11 | アヴァンギャルド・ジャズ

川下直広+山崎弘一『I Guess Everything Reminds You of Something』(地底レコード、-1997年)。

Naohiro Kawashita 川下直広 (ts, ss)
Koichi Yamazaki 山崎弘一 (b)

これが出た当時、まるでアーチー・シェップみたいだなと思ってずいぶん気に入ってよく聴いていた。血迷って手放し、最近、中古盤を見つけてまた手に入れた。やっぱり良い盤である。もう売らないぞ。「Blue Moon」なんて古い曲、いまの誰がやっているだろう。そんな選曲の妙もある。

川下直広さんのサックスがなにしろ濁っている。ヴィブラートの中に声成分が混じり、とにかく濁っている。そしてべらんめえ調ではなく、何といえばいいのだろう、自己流のよどみない大きな流れの中で吹いている。息継ぎのあとにどのようなフレーズが出てくるのか、じっと黙って聴き入る。テナーも良いのだが、「Yesterday」などでの手打ち麺のようによれるソプラノもまた良い。

一方の山崎弘一さんの重く悠然としたベース。「Pharaoh」では「川の流れのように」を思わせる旋律も聴こえてくる。情と重力のベースである。

●川下直広
川下直広カルテット@なってるハウス(2017年)
川下直広@ナベサン(2016年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
渡辺勝+川下直広@なってるハウス(2015年)
川下直広『漂浪者の肖像』(2005年)
『RAdIO』(1996, 99年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年) 

●山崎弘一
本多滋世トリオ@駒澤大学Bar Closed(2017年)
本多滋世@阿佐ヶ谷マンハッタン(2016年)
宮野裕司+中牟礼貞則+山崎弘一+本多滋世@小岩フルハウス(2013年) 
『生活向上委員会ライブ・イン・益田』(1976年)
明田川荘之『This Here Is Aketa Vol.1』(1975年)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ちあきなおみ『星影の小径』

2018-01-28 12:56:08 | ポップス

ちあきなおみ『星影の小径』(Victor、1985年)を聴く。

1985年の初出時のタイトルは『港が見える丘』。1993年にこのタイトルに変えられ、その後、またオリジナルのタイトルに戻されたようである。

ドラマチック歌謡、ムード歌謡、大人の歌謡。バックのサウンドは、当時にしては思い切ったアレンジなのだろう。いま聴けばモダンでベタベタな感じがない。もっともamazonのレビューなどを見る限りでは、ベタなものを求める人たちは多いのだろうね。

それにしても、奥が深く、愁いがあって、何かを必ず残す声。ときどき復活待望論が出てくる歌手だが、もう残された録音を聴くだけで十分なのだ。

収録曲は以下の通り。

1. 星影の小径
2. 雨に咲く花
3. 港が見える丘
4. 上海帰りのリル
5. 青春のパラダイス
6. ハワイの夜
7. 水色のワルツ
8. 雨のブルース
9. 夜霧のブルース

●参照
ちあきなおみのカヴァー曲集
降旗康男『居酒屋兆治』

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

フレッド・フリスとミシェル・ドネダのデュオ

2018-01-26 00:11:48 | アヴァンギャルド・ジャズ

『Fred Frith / Michel Doneda』(Vand'Oeuvre、2009年)を聴く。

Michel Doneda (ss, sopranino sax)
Fred Frith (g)

ちがう世界に棲んでいそうなふたり。かれらの移動性、越境性、その場での音の発見能力などをもってすれば、なにか化学変化が起きそうなものだ。

しかし、なにも降りてこなかったようである。ふたりの音は侵食し合わず、別々の世界のままである。何度繰り返して聴いても驚きのひとつもない。

●ミシェル・ドネダ
MLTトリオ(JazzTokyo)(2017年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン@バーバー富士(2017年)
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+今井和雄@東松戸・旧齋藤邸(2017年)
ミシェル・ドネダ『Everybody Digs Michel Doneda』(2013年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
ロル・コクスヒル+ミシェル・ドネダ『Sitting on Your Stairs』(2011年)
ドネダ+ラッセル+ターナー『The Cigar That Talks』(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ミシェル・ドネダ『OGOOUE-OGOWAY』(1994年)
バール・フィリップス(Barre's Trio)『no pieces』(1992年)
ミシェル・ドネダ+エルヴィン・ジョーンズ(1991-92年)

●フレッド・フリス
フレッド・フリス『Storytelling』(2017年)
ロッテ・アンカー+フレッド・フリス『Edge of the Light』(2010年)
フレッド・フリス+ジョン・ブッチャー『The Natural Order』(2009年)
高瀬アキ『St. Louis Blues』(2001年)
突然段ボールとフレッド・フリス、ロル・コクスヒル(1981、98年)
『Improvised Music New York 1981』(1981年)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加