A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のB級サイケ蒐集癖】第19夜:サイケ/ガレージの目印は半円マーク〜『デイヴィー・アラン&ジ・アロウズ』『テディ&ザ・パンダズ』

2018年10月22日 01時29分54秒 | 素晴らしき変態音楽


筆者がB級サイケを求めてレコード屋巡りをしていて、知らないレコードを買い求める時の目安のひとつに「ジャケット右上の半円マーク」がある。ビーチ・ボーイズやビートルズのアメリカ盤など、60年代キャピトルレコードUS盤のジャケットに入っているマークである。筆者の想像ではレーベル本社のキャピトル・タワーの円形を模していると思われるが、確かなことは分からない(正しい由来を知っている方がいたらご教示願いたい)。



とは言っても筆者がこのマークに気付いたのはビートルズやビーチ・ボーイズではない。きっかけは80年代半ばに大学生協の中古レコードセールの格安コーナーで購入したDavie Allan and The ArrowsのLPである。ベンチャーズのパクリだと思ったら、ビリビリ痺れるファズギター全開のガレージサイケインストロックで仰天した。レーベルは「Tower Records」。丁度その頃渋谷に初のタワーレコードがオープンした時期でもあり、関係あるのか気になったが、これも調べること無く現在に至る。そのジャケットに入っていたのが「半円マーク」だった。

Davie Allan&The arrows ‎– Cycle-Delic Sounds [Full Album]

【私のB級サイケ蒐集癖】第8夜<バイク映画のファズギター>デイヴィ・アラン&ジ・アローズ

それ以来「半円マーク」を意識して中古レコード屋を探すと、いかにも妖しいレコを幾つも見つけた。The Standells、The Chocolate Watchbandといったガレージサイケの有名バンド、The Smoke、Teddy and the Pandas、Max Frost & The Troopersといった企画もの風のB級バンド、それらを集めたRiot on Sunset Stripのサントラ盤などいずれもTowerレーベルだが、そのうちにクイックシルヴァー・メッセンジャー・サービスやスティーヴ・ミラー・バンドなどサンフランシスコ・ロックのレコードにも同じマークがあることに気付いた。それで自然に「半円マークはサイケの目印」と考えたわけである。もちろんキャピトル・レコードはアメリカの大メジャーだから、サイケやガレージロック以外のメインストリームのレコードも多数出ているはずだが、筆者の主現場である「サイケ/ガレージロック」コーナーで出会う半円は、大抵ハズレはなかった。

Teddy and the Pandas - Searchin' For the Good Times


半円マーク以外にも筆者のB級サイケ・ハンティングの目印は幾つかあるが、いずれも個人的な経験を基にした勝手な思い込みなので、真似したからと言って当たるとは限らないのでご了承いただきたい。

半円の
秘密を知らず
サイケ知る

本当はキャピトル・レコードのPEOPLEというバンドの紹介をしようと思ったのだが、半円マークで紙幅を使い果たした。PEOPLEについては別の機会に書くこととして、この辺で筆を置くことにしよう。

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ウィリアム・パーカー/八木美知依@六本木SuperDeluxe 2018.10.15(mon)

2018年10月18日 08時35分31秒 | 素晴らしき変態音楽


William Parker ウィリアム・パーカー
Open: 19:30 | Start: 20:00 SuperDeluxe
前売/Advance: 予約終了/Reservations closed | 当日/Door: ¥4,300
ドリンク別/Plus drink

ウィリアム・パーカー ソロ
オープニングアクト:八木美知依 ソロ

ウィリアム・パーカー奇跡的にスーパー・デラックス登場!ぜひお見逃しなく!
“The most consistently brilliant free jazz bassist of all time” -The Village Voice

ウィリアム・パーカーの名前は知っていたが存在を強く意識したのは2014年にリリースされたフランク・ロウの未発表ライヴLP『アウト・ラウド』(Triple Point Records TPR 209)だった。Frank Lowe (ts,ss,fl,vo,perc,hca,etc.)、Joseph Bowie (tb,congas)、William Parker (b)、Steve Reid (ds)のカルテットによる1974年ニューヨークのサバイバルスタジオとスタジオ・リヴビーでのライヴ演奏は、ロフトジャズの真髄を極めたドス黒くも解放感に満ちた叫びを記録していた。
【Disc Review】変態音楽今月の1枚~フランク・ロウ・カルテット『アウト・ラウド』

その原動力がウィリアム・パーカーの生命感に満ちたベースプレイだった。2015年7月超フリージャズと題してエヴァン・パーカー、土取利行とのトリオで日本公演。ブラックパワーに満ちたファンキーなベースに心が浄化された。
エヴァン・パーカー×土取利行×ウィリアム・パーカー@青山 草月ホール 2015.7.22(wed)

そのウィリアム・パーカーが単身来日しソロライヴを行った。10月13日に中国深センのOCT-LOFT Jazz Festivalに出演し、45年前『生活向上委員会NY支部』で共演した原田依幸と再会した。70年代ニューヨークと東京の先端音楽交流の縁は45年後の現在も受け継がれているのである。
#1341 『生活向上委員会ニューヨーク支部 / SEIKATSU KOJO IINKAI』ニューヨークの屋根裏に飛び込んだ音楽革命戦士の戦利品。

●八木美知依


オープニング・アクトを務めたのはハイパー箏奏者・八木美知依。17絃箏による謡(うたい)と即興の二部構成のソロ。最前列から観ると、謡の伴奏としての箏演奏と、破調のインプロヴィゼーションの楽器と精神セッティングの違いが顕著になる。それは伝統と革新の違いではなく、同じ楽器から表裏一体の聖と俗を分離させる試みと言えようか。駒を頻りに動かしながら最も感性にハマるチューニングポイントを探る演奏は、テクニックや音色を磨くだけでは楽器の力を100%発揮できないことに気がついた自覚的プレイヤーにのみ与えられた希有の業と呼ぶのが相応しい。ウィリアム・パーカー登場前に場を清めるステージだった。

●ウィリアム・パーカー


超フリージャズで魅せたブラックミュージック特有のグルーヴがウッドベースから溢れ出す。それは生命の祝祭である。一頻り演奏すると、ランディ・ウェストン、チャールズ・ミンガス、ソニー・ロリンズ、ビリー・ヒギンズ、アンドリュー・ヒル、デイヴィッド・S・ウェア、サニー・マレイ、ウィルバー・ウェア・・・様々なジャズメンとの個人的な逸話を止めどなく語り出す。昔話しではなく、今/ここで/発せられる言葉は、ベースから紡ぎ出される音/旋律と同じライヴパフォーマンス(生きた表現行為)であった。言葉とサウンドだけでなくパーカーは踊った。全身から発する生命感は単身演奏に於いてより輝きを見せた。「ベースの弦は光、弓はプリズム」と語るパーカーの肉体こそ「光の大聖堂(Cathedral of Light )」に違いない。

●ウィリアム・パーカー × 八木美知依


初めてのデュオ演奏はパーカーの尺八と八木の箏でスタート。和楽器同士であるが、その響き・彩りはコスモポリタニズムに満ちていた。伝統と革新が自然な形で肉体化された二人だからこその交歓模様が繰り広げられる。その印象はパーカーが踊るベースに移行した後半も変わらない。共演者を包み込む光の束はウィリアム・パーカーの真髄であろう。

OPTION: William Parker


話の続きを聞きたければ朝6時にニューヨークの自宅のベルを鳴らせ、とパーカーは語る。そんな気さくなベーシストに再び合いたいと願うのは筆者だけではないだろう。
JazzRightNow: ウィリアム・パーカー・インタビュー<前編>
JazzRightNow: ウィリアム・パーカー・インタビュー<後編>

明日は無い
今日を奏でる
感じるままに

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【告知:10/19 FRI 開催】盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.18〜ハロウィン・バトル&コラボ特集+ゲスト:草深公秀(K2)

2018年10月14日 02時50分03秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.18
Bataille décisive d'Halloween


2018.10.19 fri DJ Bar 渋谷EdgeEnd
19:00 Open/Start
Charge ¥1,000 incl. 1 drink

DJ×DJ BATTLE & COLLABO SPECIAL!!:
ハロウィン:バトル&コラボ・スペシャル by 盤魔殿DJ ALL STARS
+
GUEST : DJ Pathosonicus a.k.a. 草深公秀(K2)

音楽を解放するコミュニティ空間
Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Idol, Black Metal, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval, UnderGround,… Everything Weirdness About Music!

★平日金曜日開催。仕事帰りにどうぞ
★FREE ZONE【自由参加コーナー】拡大60分。CD/LP等音源持参で参加できます。
★無料ZINE『盤魔殿アマルガム』配布(予定)


Time Table
19:00-20:00 DJ Battle : FREE ZONE
20:00-20:30 DJ BEKATAROU aka 伊藤元 x DJ Vaby aka 大場弘規
20:30-21:00 DJ Bothis aka 山田遼 x DJ Athmodeus aka 持田保
21:00-21:30 DJ Necronomicon aka 剛田武 x DJ Paimon aka Moppy
21:30-22:00 DJ Pathosonicus aka 草深公秀(K2)
22:00-22:30 DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫+DJ Ipetam aka 福田理恵


今回の聴かせどころ
●DJ BEKATAROU aka 伊藤元 x DJ Vaby aka 大場弘規
皆さんのトラウマになるような夜にすべくDJ BEKATAROU x DJ Vaby のバトルはハロウィンに因んで古今東西ホラーサントラを中心にお互い攻めていく予定です!




●DJ Bothis aka 山田遼 x DJ Athmodeus aka 持田保
今回は山田遼氏とのバトルということで、事前にどんなスタイルでいくか氏に相談したところ「いや、フリースタイルで」との返答!これはきっとフリースタイル・ダンジョン的な氏からの戦線布告だと判断しエミネムばりに工場仕事の傍らリリックを磨く俺。"俺が最強!レペゼン盤魔殿!お前じゃ無理wマジ追いつけねぇ及第点!!"とYo Yoしてたら社長に見つかってメチャ怒られたのでやっぱ普通にATRAX MORGUEとかかけます。
DJ Athmodeus


https://www.youtube.com/watch?v=c5LZvcY4UMs&feature=youtu.be

今回のバトルの相手はいつもお世話になっている持田さんということですが、やらせ、ドッキリ、一切なしのガチンコファイトバトル並みの真剣勝負を挑みたいと存じます。ガチ・ムチ異端体育会系DJたちのほとばしる汗にご期待ください。
DJ Bothis





●DJ Necronomicon aka 剛田武 x DJ Paimon aka Moppy
情け無用のハンディキャップコラボ。DJ Necronomiconはアイドルと地下音楽/DJ Paimonはトルコと日本の自主盤、お互いの得意分野を封印したコラボレーション。生粋の音盤マニアで知られる両DJならネタには困らないだろうが、何をかけるかは相手任せ。深い信頼関係が詳らかにされるのか、疑心暗鬼のディスリ合い地獄が暴かれるのか、逝きつく先は誰にも分からない。

NO IDOL & NO UNDERGROUND MUSIC


NO TURKEY & NO J-INDIES



●GUEST : DJ Pathosonicus パトソニクス aka 草深公秀(K2)
プロフィール:
1983年からノイズ・ミュージック一筋、35年間。K2先生こと、DJ Pathosonicus(病理音響)! パンクに洗礼を受けたMB育ちのノイズ人。本業も某病院の病理医です。ただ今第3期K2にて、多量の作品をリリースし続けている。座右の銘「口頭発表はライブ、論文作成はレコーディング」音楽と病理学は全くのイコール。国内より海外でカルト的人気を誇り、「ジャバノイズ」とか「ハーシュ」とか言われたくない孤高のノイズ・メイカー。常に新しい音楽の発掘に余念がありません。今回、聴いたことのない音楽のに特化してお皿を回す予定です。




●DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫+DJ Ipetam aka 福田理恵
排除された詩的言語と黒い悲しみのロマンセの共謀による暗殺者の夜



今回の
ドレスコードは
仮装か白塗り
(強制ではありません)

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【私の地下ジャズ愛好癖】フリー・ミュージック不死鳥伝説!来日するシュリッぺンバッハ・トリオのパンク・スピリット。

2018年10月11日 01時43分47秒 | 素晴らしき変態音楽


フリージャズや即興音楽のことを筆者はいつ頃知ったのか。最初はポップ・グループやジェームス・チャンスやラウンジ・リザーズといったニューウェイヴ系、さらにキャプテン・ビーフハートやフランク・ザッパで、彼らがオーネット・コールマンやアルバート・アイラー、サン・ラと言ったアメリカの黒人ジャズメンへの入り口になったのは確かである。だが、ヨーロッパのフリー・ミュージックを知ったのきっかけは?思い返してみると、70年代後半愛読していたパンク雑誌『ZOO』(のちの『DOLL』)に、何故かヨーロッパ・フリー・ミュージックの紹介記事が載っていたことを思い出した。79年発行、DEVOが表紙のNo.21に「パンクとフリー・ミュージック」、PILが表紙のNo.22に「80年代の音楽『即興』」と題して飛田俊英というライターがコラムを書いていた。当時高校2年生で音楽欲が旺盛だった筆者にとって未知のジャンルはとても魅力的だったし、パンクと同様に古い音楽を破壊する存在としてフリー・ミュージックを説く文章に共感を覚えた。



とは言っても高校生の小遣いで買えるレコード枚数は限られていて、当時ビクターから「フリー&プログレッシヴ・ミュージック」シリーズとして日本盤が出たカンパニーやデレク・ベイリーやスティーヴ・レイシーなどLPを聴けるはずもなかった。実際に観たり聴したりするようになったのは、82年のICPオーケストラの来日以降だったと思う。『ZOO』の他に『Fool's Mate』や『MARQUEE』と言ったプログレ誌にも掲載されたフリー・ミュージックの記事から、極度にストイックでシリアス一辺倒の求道者のイメージを持っていた即興演奏家たちが、ワルツで踊ったり、音楽でずっこけギャグをかましたり、犬の遠吠えを真似したり、ユーモアたっぷりのエンターテイメントを見せつけたICPオーケストラを目の当たりにして、フリー・ミュージックで笑ってもいいんだ、と目から鱗の体験だった。

Kwela (live) MISHA MENGELBERG and ICP ORCHESTRA (1982 aud)


筆者の印象では、ヨーロピアン・フリー・ミュージックの二大巨頭がデレク・ベイリーとエヴァン・パーカーだった。両者にハン・ベニンクを加えたトリオによる『トポグラフィ・オブ・ラングス』は筆者が最初に買ったフリー・ミュージックのLPであり、今でも聴く度に背筋が正される思いがする。しかしながら、ドイツのFMP、オランダのICP、イギリスのINCUSという三大レーベルの作品は殆どが、ソロやセッションやワークショップ的集団即興ばかりで、所謂コンスタントなグループは少ない。フリー・ミュージックの演奏家はみんな特定のグループに属すことを良しとしない一匹狼、というイメージがあるのは確かだろう。実際ジャズの場合はロックと違って「○○トリオ」などと名乗っても、リーダー以外は流動的なのが普通である。いわんやフリー・ミュージックをや、という訳だ。

Evan Parker / Derek Bailey / Han Bennink - The Topography Of The Lungs (FULL ALBUM)


そう考えると70年代初頭から同じメンバーで現在まで活動しているシュリッペンバッハ・トリオは極めて異例である。アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(p)、エヴァン・パーカー(sax)、パウル・ローフェンス(ds)という山下洋輔トリオと同じ編成で、「音の一回性」というフリー・ミュージック精神を貫き通すトリオの在り方は、積み重ねた学習・経験や、同じ相手と四十年以上付き合う馴れ合いや慣習を、一旦ゼロにリセットしてから再スタートする気構えが無ければ成り立たないに違いない。特定の音楽集団が、因習に支配されない、つまり既存の音楽語法に依らない(デレク・ベイリー流に言えば「ノンイディオマティック」、灰野敬二の言を借りれば「なぞらない」)演奏行為を、いつまでやり続ける、即ちインプロヴィゼーションの理想形を保ち続けることが可能なのか、という挑戦である。それは恰も「一度失った無垢の魂を、学習により多数のイディオムを身につけた後で取り戻すことが出来るか[1]」という、筆者が演奏者に期待する命題を身を以て実践してくれているような気がする。なんてパンクな3人組であろうか。

Alexander von Schlippenbach Trio ‎- Pakistani Pomade (1973) FULL ALBUM


それを確かめる為にも、11月に予定されているシュリッペンバッハ・トリオの来日公演は大きな意義がある。来日するドラマーはローフェンスではなくポール・リットンだが、フリー・ミュージック・ドラマー界の”二大PAUL”の片割れで2歳年上のリットンならば完全に同志と考えていい。5回(うち1回は講演会)予定されている来日公演の中でも、2年前に「生活向上委員会大管弦楽団2016」として原田依幸(p)、梅津和時(sax)、ドン・モイエ(ds)が奇跡の熱演を繰り広げた座・高円寺2に同じ編成のシュリッペンバッハ・トリオが出演する11月23日は、生向委の「フリージャズ不死鳥伝説[2]」に続いて「フリー・ミュージック不死鳥伝説」の奇跡が起こるに違いない。ぜひ多くの愛好家に体験していただきたいものである。

Schlippenbach Trio Live @ Area Sismica


参考文献
1) 剛田武 Cross Review:ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018 at JazzTokyo Live Report #1033
2) 剛田武 生活向上委員会大管弦楽団2016 at JazzTokyo Live Report #922

不死鳥は
何回死んでも
ぶっ生き返す



シュリッペンバッハ・トリオ+高瀬アキ「冬の旅:日本編」
Schlippenbach Trio + Aki Takase “Winterreise in Japan”




伝説ではない!
ヨーロッパ・フリーのパイオニアでドイツを代表するジャズ/フリージャズ・ピアニスト、作編曲家のアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハが、1970年代初めより活動を続けているトリオで遂に来日!メンバーは、サックスの革新者エヴァン・パーカー、オリジナル・メンバーであるパウル・ローフェンスに変わって近年トリオのドラマーを務めることが多いポール・リットン。 また、座・高円寺2では高瀬アキとシュリッペンバッハそれぞれのソロとピアノ・デュオ(連弾)も。

シュリッペンバッハ・トリオ:
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(ピアノ)
エヴァン・パーカー(サックス)
ポール・リットン(ドラムス)

高瀬 アキ(ピアノ)

詳細なスケジュール⇒JazzTokyo 11/23〜27 シュリッペンバッハ・トリオ+高瀬アキ「冬の旅:日本編」
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是巨人+宮本玲/xoxo(Kiss&Hug) EXTREME/Akiko's Cosmo Space@吉祥寺シルバーエレファント 2018.10.6 (sat)

2018年10月09日 01時57分55秒 | 素晴らしき変態音楽


"Prog Tokyo 2018 Autumn"
10月6日(土)吉祥寺Silver Elephant
開演 17:00 開場 17:30 / 前売 ¥4,000 当日 ¥4,500

出演(出順通り)
Akiko's Cosmo Space
xoxo(Kiss&Hug) EXTREME
是巨人 with 宮本玲

吉祥寺シルバーエレファントは1978年オープンの歴史のあるライヴハウス。当時高校〜大学生だった筆者は吉祥寺マイナーやGATTYといった地下音楽系のライヴハウスに通っていたので、余り縁がなかったが、90年代初めに知り合いがやっていたジェネシス風のプログレバンド「シンデレラサーチ」を観に何度か観に行った。当時筆者がよく出演していた下北沢屋根裏や高円寺20000Vはスタンディングだったが、シルエレには座席があり、さすがプログレ専門店と妙に感心したことを覚えている。しかしそれ以降足を運ぶこと少なくなり、2000年以降は定期的にワンマンライヴをやっていたOverhang Partyを観に行く程度だった。

一昨年、L.L.E.の忘年会に参加したことをきっかけに、カトゥラ・トゥラーナ/ラクリモーザの齊藤千尋やネガスフィアのメンバーと知り合い、齊藤が主宰するプログレ系ライヴを観にシルエレに行った。ステージ後ろ上方に鏡があるステージは十数年前と殆ど変わっていない気がした。奏でられる音楽も、スペースロックやジャズロックやペイガンフォークで大きな変化はない。学生時代のサークルで、クリムゾンやジェネシス等プログレのカヴァーバンドをやっていたが、好んで聴いていたのはレコメン系チェンバーロックやザッパやビーフハートやフリージャズばかりだったので、所謂メジャーなプログレには弱い筆者だが、時代が巡り再会したプログレにノスタルジーよりも新鮮な感動を覚えた。

3,4年前に70年代王道ロックの名盤を安売りアナログコーナーで探し出すことに凝っていて、クリムゾンやイエス、ELP、ジェネシスのアルバムを買い集めていたが、今はSoptifyで五大プログレ以外のバンドも簡単に聴けるようになった。最近個人的に評価しているのはキャメルである。全盛期はファンタジー・ロックと呼ばれ、ムード先行のソフトなイメージがあって真剣に聴かなかったのだが、フルート入のクラシカルなフレーズや、意外にテクニカルな構成や展開、何よりも癖の無いヴォーカルが、すんなりと耳に入り飽きさせない。マグマのカヴァーでプログレ界の知名度を上げたキスエクも、「鬱」や「イロノナイセカイ」などキャメルに通じるファンタジックな曲が多い。現在もアンディ・ラティマーを中心に活動するキャメルはもっと再評価されてもいいのではないだろうか。

Camel in Birmingham 2014 - The Great Marsh / Rhayader / Rhayader Goes to Town


話が脱線したが、ほぼ1年ぶりにシルエレに行くことになったのは、プログレッシヴ・アイドル、キス&ハグエクストリーム(キスエク)のお陰であることは確かだが、吉田達也、ナスノミツル、宮崎理絵といった灰野敬二と所縁のあるミュージシャンが出演するオレ得のラインナップにも心が弾む。

●Akiko’s Cosmo Space


高橋明子(vo.dr.mac.)、宮崎理絵(b)、村上常博(g)、中嶋美香(key)
ゲスト:金澤京子(ウクレレ)from ARSNOVA、フェイ・ターン(テルミン)

1年前も観た「宇宙から来た宇宙人バンド」という設定の女3男1の4人組。ドラムのAkikoのハッチャけたMCと観客を巻き込んでの元気のいいパフォーマンスが名物。バカらしいと言わないで一緒に盛り上がるのが吉。ゲストに二人の女性ミュージシャンが加わった後半は加速度アップ。海外で受けるのも納得のお祭り空間の楽しさはアイドルにも負けない。

●xoxo(Kiss&Hug) EXTREME


楠芽瑠、一色萌、小日向まお、小嶋りん
林隆史 (g)、吉田一夫 (fl)、瀬戸尚幸 (b)、吉川弾 (ds)、杉直樹(key)

受験のため活動を休止していた小日向まおが復帰し、久々に4人組に戻ったキスエクがバンドセットで出演。プログレの聖地に本格的な生演奏で登場することは、メンバーや運営は勿論、ジャズロックバンド「Qui」のメンバーを中心とするバックバンドにとっても大きな意義がある。それぞれの本気がぶつかり合い、これまで観た中で最も迫力と気合いに満ちたステージを展開した。プレグレファンにとっても、いやプロフレファンだからこそ、この演奏とこの歌とこの踊りがひとつになる奇跡が実感できるに違いない。終演後にナスノミツルと話したら「かなり衝撃的だった」との感想だった。

●是巨人 with 宮本玲


吉田達也(ds)、鬼怒無月(g)、ナスノミツル(b)、guest:宮本玲(vln)

吉田とナスノは灰野敬二とのコラボを含め様々なユニットで観ているが、鬼怒のライヴを観るのは2012年12月のユミ・ハラ・コークウェルとの共演ライヴ以来5年半ぶり。鬼怒も灰野とは何度も共演したことがある。凄腕トリオにゲスト参加の紅一点はVampiliaのメンバーの宮本玲。キリッとした美形ヴァイオリニストだ。変拍子を超えた変幻自在のリズムで超早弾きでギターとヴァイオリンが鬩ぎあう。ドラムもベースもキメまくる。怒濤の展開過ぎて意識を失いかけた。是巨人を単独で観るのは初めてなので比べ様はないが、いつも以上に激しかったとしたら「玲ちゃん」の参加に加え、キスエクの気合いが伝染したからかもしれない。
ユミ・ハラ・コークウェル+浅野淳+吉田達也+鬼怒無月@荻窪ルースター 2012.12.11 (tue)

「プログレッシヴ・ロック」という括りの元に集まった三つのバンドにいずれもが、プログレの規制概念から逸脱するパフォーマンスを魅せてくれた素晴らしいシルエレの一夜は、アイドルイベントの既成概念ど真ん中の特典会で更けていった。

この巨人
明子の宇宙に
口づけを

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【JazzTokyo#246更新】『パク・ハンアル、C.シコラ、N.ディドゥコフスキー/エリス 136199』『Jazz Art せんがわ2018』『ピーター・エヴァンス』

2018年10月07日 23時23分43秒 | 素晴らしき変態音楽


Jazz Tokyo #246 が更新された。カバーストーリーは初来日を果たしたピーター・エヴァンス。他に「追悼:ランディ・ウェストン」「Jazz Art せんがわ2018」。剛田武は以下のディスク・レヴュー、ライヴ・レポート(一部を含む)を寄稿。

『パク・ハンアル、キャスリン・シコラ、ニック・ディドゥコフスキー/エリス 136199』

#1551 『Han-earl Park, Catherine Sikora and Nick Didkovsky / Eris 136199』

逸脱の極みは伝統賛美に通ず。
逸脱を極めれば極めるほど、古典や伝統への親和性が高くなる。異才ギタリスト、パク・ハンアル率いる無名の小惑星の名前を持つトリオの演奏は、まだ誰も提唱していない「特殊逸脱性理論(Special Deviation Theory)」の確立なのかもしれない。

Monopod: Eris 136199: Han-earl Park, Catherine Sikora and Nick Didkovsky (Brooklyn, 06-05-13)



JAZZ ART せんがわ 2018

#1030 JAZZ ART せんがわ 2018

何百億円も費やす国家的一大イベントに引けを取らない市民レベルの国際音楽交流の場『Jazz Art せんがわ』を経験出来る僕たちは、メダリストにも負けない貴重な記憶の更新者なのである。

9月15日(土)
坂本弘道ディレクション:ピーター・エヴァンス×石川高×今西紅雪/千野秀一/坂本弘道
巻上公一ディレクション:ヒカシュー×SAICOBAB

9月16日(日)
Quebec/Japanプログラム:ルネ・リュシエクインテット/原田節×巻上公一 Alive Painting:中山晃子
藤原清登ディレクション:坂田明×ピーター・エヴァンス×藤原清登×レジー・ニコルソン×藤山裕子

「JAZZ ART せんがわ」ダイジェスト



Cross Review:ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018

#1033 Cross Review:ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018

注目のトランペット奏者ピーター・エヴァンスの初来日公演「JAZZ ART せんがわ2018」でのステージを3人のコントリビューターがクロス・レビュー。それぞれ異なる視点から分析する。

Peter Evans- solo trumpet: Mirrors of Infinity


こどもたち
学習したら
おとなたち



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【私のB級サイケ蒐集癖】第18夜:ネクロ魔ロスに効く。クトゥルフに召喚された『H.P.ラヴクラフト』の幽玄アシッド・サイケ。

2018年10月07日 00時17分19秒 | 素晴らしき変態音楽


10月5日〜7日アメリカ・オレゴン州ポートランドで「2018 ラヴクラフト映画祭(23rd Annual H. P. Lovecraft Film Festival® and CthulhuCon)』が開催されている。今年で23回目になるこのフェスティバルは、アメリカの怪奇小説家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(英: Howard Phillips Lovecraft、1890年8月20日 - 1937年3月15日)以来、現代まで世界中で継承される「クトゥルフ神話」の研究者やファンが集まる国際的イベントである。今年は日本からアイドルユニットNECRONOMAIDOL(ネクロ魔)がゲストパフォーマーとして招待された。クトゥルフ神話に基づく暗黒系アイドルグループとして結成されたネクロ魔がいよいよ本拠地に乗り込む快挙に、魔ヲタとしては嬉しい限りである。



しかし一方でネクロ魔の日本でのライヴは10月12日(金)目黒・鹿鳴館の爆裂女子・都子ちゃん生誕祭までない。さらに筆者のもう一方の推しである爆裂女子のライヴもなし、というお預け状態。寂しさをどう紛らわせればいいのか?ネクロ魔公式からは「ラヴクラフト作品を読んでみては」というアドバイスがあった。


しかしながら音楽ヲタクの筆者が埃っぽいレコードラックから引っぱり出したのは『H.P.Lovecraft』という名のロックバンドのLPだった。80年代前半、学生時代にラヴクラフト・ブームが起こった頃、60年代サイケに夢中だった筆者は、明大前モダーン・ミュージックのサイケコーナーで彼らのレコードを見つけて、創元推理文庫の「ラヴクラフト全集」を片手に愛聴していた。バンド名をラヴクラフト協会から正式の許可を得たという彼らのサウンドは、同時代のガレージ・パンクとは異なり、陰影のあるメロディとツインヴォーカルのハーモニーが文学的なイメージを醸し出すアシッド・ロック。所属レーベルが「Dunwich Records(ダンウィッチの怪)」、曲名が「The White Ship(白い帆船)」「At The Mountains of Madness(狂気の山脈にて)」といったラヴクラフトへのオマージュも嬉しい。



●H.P.Lovecraft/H.P.ラヴクラフト

George Edwards (g,b,vo)
Dave Michaels (key,vo)
Tony Cavallari (g,vo)
Jerry McGeorge (b, vo / 1st album)
Jeffrey Boyan (b, vo / 2nd album)
Michael Tegza (ds, vo)

1966年シカゴでフォークシンガーとして活動していたジョージ・エドワーズのソロ・シングルのレコーディング・メンバーが発展的にバンドとなりH.P.ラヴクラフトとして67年初頭にトロッグスのカヴァー「Anyway That You Want Me」をPhilipsレーベルからリリース。同年後半にリリースされた1stアルバム『H.P.Lovecraft』(67)は半分がカヴァー曲だが、秀逸なオーケストラアレンジにより濃厚なゴシック感を醸し出す。シカゴの先輩格シャドウズ・オブ・ナイトを思わせるワイルドなR&B風味もあるが、ハイライトはラヴクラフトの小説に基づいた「The White Ship」。霧に覆われた海を漂う帆船を思わせる幽玄なハーモニーは、彼らが欲求不満のティーンエイジャーでもラリッたヒッピーでもなく、才能あふれる音楽家でありストーリーテラーであることを証明している。

H. P. Lovecraft - The White Ship (1967)


1968年2月にバンドはサンフランシスコへ拠点を移す。フィルモア・ウェストでピンク・フロイド、プロコル・ハルム、ドノヴァン、トラフィック等のオープニングを務め、ヘイト・アシュベリーのフラワーチルドレンにも人気を博す。その頃のステージはライヴ・アルバム『Live May 11, 1968』として1991年にリリースされた。

HP Lovecraft: I've Been Wrong Before


68年6月からロサンゼルスのI.D. Sound Studiosでレコーディングを開始。ライヴツアーが多く新曲のアレンジに専念できなかったため、即興的なレコーディング・セッションになった。その結果9月にリリースされた2ndアルバム『H.P.Lovecraft II』は、より自由度を増しアシッドなフォーク感覚を強めたプログレッシヴ作品になった。特にオルガンやピアノやハープシコードを駆使したデイヴ・マイケルズのキーボードと、ジェファーソン・エアプレインを彷彿させる2声のハーモニーが素晴らしい。

HP Lovecraft - At The Mountains Of Madness


しかし、リリース後にマイケルズが大学に復学するため脱退し、69年初頭に解散。ドラムのマイケル・テグザはプログレッシヴ・ロックバンドBangor Flying Circusに加入。69年エドワーズとテグザが新メンバーを加え「Lovecraft」として再結成するが、レコーディング前にエドワーズが脱退。残りのメンバーでアルバム『Valley of the Moon』をリリース。CS&Nに通じるレイドバックしたサウンドは悪くはないが、初期のサイケ風味は姿を消した。さらに75年にテグザが「Love Craft」としてアルバムを出したが完全なファンクR&Bになっていた。

Lovecraft - Valley of the Moon - FULL ALBUM


ジョージ・エドワーズは本名のイーサン・ケニング名義でシカゴで音楽活動を続けている。
The White Ship - an H.P.Lovecraft Fan Site

日米の
ラヴクラフティアン
交歓会

筆者にとって30余年前の愛聴盤を、ネクロ魔ロスの埋め合わせに聴きながら過ごすありきたりな土曜の午後、どこかからクトゥルフの呼び声が聞こえたような気がした。

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【私の地下ジャズ愛好癖】西海岸即興シーン虎の穴Edgetone Records秋の新作『シェルドン・ブラウン・グループ』『PG13(フィリップ・グリーンリーフ)』

2018年10月05日 02時06分41秒 | 素晴らしき変態音楽


アメリカ・サンフランシスコを拠点とするウェストコースト・アンダーグラウンドの中心人物でありアルトサックス奏者/作曲家のレント・ロムスが主宰するEdgetone Recordsから9月25日に2作の新作がリリースされた。BandacmpでオーダーしたCDはまだ届いていないが、どちらもとてもユニークな作品なので、いち早く紹介したいと思い筆を執った次第である。より詳細なレビューは音楽情報サイトJazzTokyoの11月更新号に寄稿する予定である。


『Sheldon Brown Group / Blood of the Air』
CD/DL : Edgetone Records EDT4198

Sheldon Brown: Alto Saxophone, Clarinet, Bass Clarinet
Darren Johnston: Trumpet
Lorin Benedict: Voice
Andrew Joron: Theremin
Dave MacNab: Electric Guitar
John Finkbeiner: Electric Guitar
Jonathan Alford: Piano
Michael Wilcox: Bass
Vijay Anderson: Drums
Alan Hall: Drums
Voice of Philip Lamantia

1. Oraibi Intro
2. Oraibi
3. To You Henry Miller, Part I
4. To You Henry Miller, Part II
5. First Star
6. Primavera
7. The Romantic Movement
8. To Have the Courage
9. Out of the Jungle / The Hand Grenade / Man is in Pain

Recorded at 25th Street Recording by David Lichtenstein, October 12 and 13, 2015, and Scott Bergstrom, September 29, 2016. Mixed, edited, and mastered by John Finkbeiner at New Improved Recording.

伝説的シュルレアリズム詩人と21世紀の即興演奏者の共演

ベイエリアで20年以上活動を続けるサックス奏者/作曲家のシェルドン・ブラウン率いるテンテットが、アメリカを代表するサンフランシスコ生まれのシュルレアリズム詩人フィリップ・ラマンティアの詩の朗読に、同時演奏で音楽を付ける画期的な試みにより作られた作品。アレン・ギンズバーグ、ジャック・ケルアック等ビート詩人とも交流を持つラマンティアの抑揚豊かなスポークン・ワードが、まるでジャズ・ヴォーカルやスキャットのように自然に演奏に溶け込み、フリーキーであると同時にイマジネーションとストーリー性たっぷりの即興演奏で「21世紀の超現実主義者」のサウンドトラックを描き出す。

Sheldon Brown’s Blood of the Air 7-27-17 16th Annual Outsound New Music Summit





『PG13 / PG13』
CD/DL : Edgetone Records EDT4200

Phillip Greenlief - alto saxophone, compositions
John Shiurba - guitar, compositions
Thomas Scandura - drums

1. Chapter 4
2. 13.1
3. Chapter 2
4. 13.2
5. Chapter 1
6. 13.3
7. Chapter 3

愛猫追悼から進化した怒濤のプログレメタルジャズ

ロサンゼルスのサックス奏者フィリップ・グリーンリーフが飼い猫のジョージ・クリーヴァーの死を悼んで結成したユニットPG13のデビュー作。ギタリストのジョン・シューバの作品も含み、プログレッシヴメタルとフリーインプロヴィゼーションを結合したサウンドはヘヴィでクール。レコメン系アヴァンロックに通じるカッコ良さ。ちなみにグリーンリーフはEdgetoneと並ぶ西海岸即興シーンの草の根レーベルEvander Musicを主宰している。

淵の音
深淵の人
西海岸

Ralph Carney Memorial 2018 0726 OutsoundSummit

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【私の地下ジャズ愛好癖】トルコ有機楽団『コンストラクト』のエスノ・グルーヴ三部作〜『For Ornette』『Bloppin'』『Oryantal』

2018年10月04日 08時18分07秒 | 素晴らしき変態音楽


トルコのフリージャズコンボ「コンストラクト」は2016年半ばにリズムセクションがメンバーチェンジし、同年12月イスタンブールに灰野敬二を招聘して交配した。その果実としてコンストラクト+灰野敬二のコラボによる『A Philosophy Warping, Little By Little That Way Lies A Quagmire = 少しずつ曲がっている哲学 その先には湿地がある』と題されたスタジオ録音盤とライヴ録音盤の2作がリリースされている。どちらもコンストラクトの自由なジャズ精神と灰野の屹立するロック魂がお互いに湾曲して二重螺旋を描きながら音のDNAから生命の泉が溢れ出し、渇いた「荒れ地」を灌漑し豊穣な「湿地」に変えている。東西の邂逅が産んだ熱の伝達度は、ブルーとオレンジのアートワークに描かれた炎のグラデーションそのままである。

01 Konstrukt & Keiji Haino - All Things Will Be Reduced To Equal D お Tっっ3 BBRc MMM あ元, ...


そんな「コンストラクト」が新メンバーによる単独音源をリリースした。7インチシングルが2枚、12インチ33rpmのEPが1枚。これまでのアルバム指向(特に2枚組LP)を考えると、野心的な作品と言えるだろう。

メンバーは5人。KorhanとUmut以外が新メンバー
Korhan Futacı : reeds, etc.
Umut Çağlar : g, reeds, fl, perc, etc.
Apostolos Sideris : b
Erdem Göymen : ds, perc
Berkan Tilavel : ds, elec-perc

『オーネットの為に(For Ornette)』と題された7インチはAB面の「Z-FUNK」というトラックを収録。ワイルドなお祭りビートに豪快なサックスが唸るファンクチューンは、オーネット・コールマンのファンク指向へのオマージュであろう。B面はドラムとサックスのデュオで、より70年代ロフトジャズに接近したサウンドを聴かせる。

『ブロッピン(Bloppin)』はストンピン(Stompin)のもじりだろう。AB面一続きの曲でやはり祝祭感に満ちた集団即興ファンクである。

『オリヤンタル(Oryantal)』は5〜7分のトラックを4曲収録した12インチではライヴの一部を切り抜いたTRANCYでCOOLなサウンドを展開。リーダーのUmtはギターではなくギンブリやバンブー・フルートなどの民族楽器を演奏し、エキゾチックな要素を強く打ち出している。

KONSTRUKT | A Night at Hayyam: ORYANTAL SESSION | YOL



コンストラクトの新たなる音宇宙を「エスノ」とか「グルーヴ」とか前時代的言い回しでしか形容できないのは筆者の筆の未熟さを露呈しているが、イースト・ミーツ・ウェストの拠点イスタンブールから届けられたニューディスクに新たな生命の息吹を感じたことをお伝えしたく筆を執った次第である。

ターキッシュ
伝統革新
構築者

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【私のB級サイケ蒐集癖】第17夜:万国の不能者(インポテンシスト)よ、接触(コンタクト)せよ!NY地下ロックの堕神『ザ・ゴッズ』の無為無能音楽。

2018年09月24日 00時05分18秒 | 素晴らしき変態音楽


80年代初頭高校時代にフリージャズに興味を持ち、中古レコードを漁るうち出会ったのがESPレーベルだった。アルバート・アイラーやサン・ラ、マリオン・ブラウン、バートン・グリーン等のLPジャケットの裏にはレーベルのカタログが載っていた。その中には明らかにジャズとは思えないレコードも含まれおり、ザ・ファッグス、ティモシー・リアリー等と並んでザ・ゴッズ(The Godz)のレコードが掲載されていた。The Godz(神)を名乗るバンドは他にもいるが、NY地下音楽を象徴するESPの神バンドとは何者か?

その当時ESPの6〜70年代のオリジナル盤も然程珍しくはなかったが、ちょうどイタリアのBASEレコードがESPのカタログを再発しており、西新宿にあったTOP TEN CLUBという輸入レコード店で購入したのは『Godz 2』の再発LPだった。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを思わせるジャケットに惹かれたのだが、数曲を除いてフォークギターやパーカッションを掻き鳴らしてばか騒ぎする脳天気なサウンドは、既にザ・ファッグスのレコードは聴いていたし、レジデンツやレッド・クレイヨラ、ペル・ウブ等オルタネイティヴミュージックを愛聴していた筆者にとっても、なんだこれ?という印象だった。初期アモン・デュールのラリッたセッションをアメリカの貧乏学生が家に転がっているガラクタで真似た感じ、と言えばいいだろうか。

The Godz, Godz 2 (1967)


ESPの初期作品はそんな調子のジャンクなサウンドだが、中心メンバーのひとりジム・マッカーシーのソロ作『Alien』(1973)はESPに似合わぬカントリーロックで拍子抜けした。得てして60年代にドラッグを散々やって学生運動にのめり込んだ世代は、その後体制側に取り込まれ反動保守にどっぷり浸かりがちである。この謎の神バンドも然り、自らのルーツのパンアメリカン主義の軍門に下ったのだろうか。

The Godz "So Beautiful"


THE GODZ
Jay Dillon (autoharp)
Jim McCarthy (g, plastic fl, hca, vo)
Larry Kessler (bag, vln, vo)
Paul Thornton (d, g, maracas, vo)


60年代半ばニューヨークの49丁目ストリートの楽器店サム・グッディーズで働いていたジム、ラリー、ポールにより結成される。「3人でラリーの家の居間でジョイントを決めていた。部屋にはいろんな打楽器が転がっていて、僕は我慢できなくなってタンバリンを叩きはじめたんだ。みんなで日常の欲求不満を発散するように一心不乱に騒音を鳴らしたのさ。そしたらラリーが正気を疑うような提案をした。この即席バンドでESPのオーディションを受けようってね。」ジム・マッカーシー

既にニューヨークの地下ロックバンド、ザ・ファッグスをリリースしていたESPディスクは、以前ラリーが働いていた縁もあり、この無名のグループと晴れて契約を結んだ。最初のレコーディング・セッションは1966年9月28日に行われ、1stアルバム『Contact High with the Godz(ザ・ゴッズと高次元の接触せよ)』として66年にリリースされた。2nd『The Godz 2』を67年リリースした後、ジェイ・ディロンが脱退。残る3人で、他のミュージシャン友達を加えた二つのユニットThe MultitudeとThe Dogz、そして3人だけのThe Godzを収録したフリークアウト・アルバム『The Third Testament (第三の聖書)』(68)をリリース。73年にラスト・アルバム『Godzundheit(女神)』をリリースして一旦解散。

2007年にジム、ラリー、ポールで再結成(ジェイは2005年に死去)。2014年にラリーがライヴメンバーを集め「The Godz」として現在もツアーやレコーディングを行っている。



ビート詩人の流れを汲むザ・ファッグスに比べ、何も無い状態から発祥したフリークバンド、ザ・ゴッズの音楽に必然性や思想性は希薄かもしれないが、世の中に飽き飽きしてドロップアウトした不能主義者が産み出した無為無能の音楽は、時代の進化性をインポテンツ化する武器として今こそ聴かれるべきであろう。

インポ主義
時代の恥垢を
吐き尽くす


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