A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

アコースティックギターでテクノ・ミュージックを演奏

2011年03月31日 00時21分43秒 | 素晴らしき変態音楽
カナダのギタリストが、ユニークな演奏を披露し話題を呼んでいる。リズムマシンやシンセサイザーで演奏することの多いテクノ・ミュージックを、アコースティックギター1本で挑戦しているのだ。彼の楽曲は、昨年12月の公開から話題を呼び、世界中のアマチュアミュージシャンによるカバー作品が多数登場しているのである。

アコースティックでテクノに挑戦したのは、カナダのギタリスト、イワン・ドブソン氏だ。長年クラシックギターを学んできた彼は、カナダで開催されるさまざまコンテストで、数多くの賞を獲得している。2009年に本格的に活動を開始して以来、カナダは元より、アメリカからも出演オファーが絶えない。2010年には、モントリオール・ジャズ・フェスティバルにも出演を果たし、セカンドアルバムを発売している

その彼が、YouTubeで楽曲を公開したところ、世界中から注目を集めるようになり、楽曲のカバーに挑むアマチュアミュージシャンまで、登場するに至ったのである。

演奏はエフェクターを活用して、テクノサウンドをうまく表現している。ちなみに昨年12月の公開から、すでに160万回再生されており、2万人以上が高い評価を与えている。是非一度、視聴して頂きたい。多くの人が高く評価することに、頷けるはずだ。
(RocketNews24)

心地よい
アコギで奏でる
テクノ節

この人はロバート・フリップやマイク・オールドフィールドやアシュラ・テンペルのマニュエル・ゲッチングやゴングのスティーヴ・ヒレッジなどが好きに違いない。

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キノコホテル@下北沢 Club Que 2011.3.28(mon)

2011年03月30日 00時41分22秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界
ニュー・アルバム発売を4月頭に控えてのキノコホテルの単独実演会「サロン・ド・キノコ~下北沢の乱」第2日目。行こうかどうしようか迷っていたが、直前になってmixiコミュで「チケット譲ります」とのコメントを見つけ急に行きたくなり早速連絡を取りチケットを入手。

2008年春にインターFMの朝の番組で流れた「真っ赤なゼリー」を耳にしたときからキノコホテルの虜になり、初期メンバーでの実演会に通った。その頃は観客はオタクっぽい男性が中心で彼女たちの熱演に対してお行儀良く反応するファンが多かったのだが、2010年のメジャー・デビュー以降メディア露出を通して人気が出てくると共に、所謂J-Rock的縦ノリの聴衆が増え、同年10月の新宿ロフトでの実演会ではモッシュまで起こり、前のほうで観ていた私はその渦に巻き込まれ死にそうな思いをした。今回はそれ以来の実演会参戦。ロフトの二の轍を踏まないように少し後ろのほうから観戦。

震災の後ライヴハウスに客が入らなくなったが、さすが人気うなぎ上りのキノコホテル、Club Queは二日間ソールド・アウト。新宿JAMと並んで彼女たちのホームグラウンドといえるライヴハウスなので演る方も観る方も慣れたものだ。女性客もかなり増えて男女比は7:3くらい。20代中心の若い客層だが中には年配の客もちらほら。衣装はCDジャケットと同じ新装のブラウンのミリタリー・ルック。メイクが濃くなりアイシャドーが歌舞伎の隈取のようだ。節電モードのライヴということで派手な照明は控えめだが、演奏はいつも通りエネルギッシュ。なぜかドラムのファビエンヌ猪苗代嬢がアイドル的な人気で「ファ~ビ~ッ!」という歓声が多く支配人のマリアンヌ東雲嬢が不満をもらす一幕も。演奏曲の1/3くらいが新曲で、ファズ・ギターのドライヴするビート・ナンバーが多くとてもカッコいい。遠藤ミチロウ・ファンを自認するマリアンヌ嬢はメガホンでサイレンを鳴らしたり、オルガンの上に立ち上がって天井の配管にぶら下がったり、ミチロウ張りのパフォーマンスで魅せる。バンドの演奏も格段に上手くなっており、度重なる地方ツアーで鍛えた腕を発揮する。2度のアンコールに応えのべ85分の演奏。物販では震災支援のリストバンドと写真集を販売していた。

恍惚の
キノコホテルの
艶姿

2ndアルバム「マリアンヌの恍惚」は4/6リリース。タワー・レコードではCDRが、Disk Unionでは直筆サイン入りポスターが特典として付く。初のインストア・イベントも予定されている。





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シベールの日曜日/壊れかけのテープレコーダーズ@新宿motion 2011.3.27(sun)

2011年03月29日 00時49分47秒 | 素晴らしき変態音楽
とてもあわただしく、しかし充実した日曜日だった。

ツイッターで舞踏家の南阿豆さんから井の頭公園で園田游さんと一緒に震災支援のワークショップを行うとのツイートを発見。久々に園田さんに会いたかったので昼過ぎに出かけてみた。公園の片隅で二人がパフォーマンス中だった。しかし20分ほどして公園の警備員からストップがかかる。公園でパフォーマンスをやるには管理事務所の許可を取らなきゃならないとのことで残念ながら撤収。次回は私も演奏で加わりたいと思う。




中原昌也氏から携帯にメール。新作CDRを渡したいとのこと。丁度新宿へライヴを観に行く予定だったのでその前に会うことに。震災でライヴが延期/中止になりお金が入らず経済的にかなり困窮しているとのこと。CDR8枚と出版前の自伝「死んでも何も残さない」を購入。TADZIOやCOMBOPIANOをはじめとする仙台のアーティストが皆無事だったことや最近の中古CD買取の値崩れ現象のことなどを話す。


それからライヴハウスmotionへ。シベールの日曜日 presents " SLOGUN "と題したシベールと壊れかけのテープレコーダーズの2マン・ライヴ。オープニング・アクトは小さいテレーズ。テレーズ20分、壊れかけ45分、シベール90分という演奏時間。

小さいテレーズは3月1日にUFO CLUBで観て以来2度目。女性ドラマー入りの脱力サイケデリック・トリオ。フロントの二人がギターとベースを持ち替え、曲によって編成が変わるがヘナチョコな腰砕けサウンドは変わらない。メインのアガサ森田氏は眉毛がなくぼさぼさの長髪でゆら帝の坂本氏を思わせる。雰囲気はあるのだが音楽が面白いかというともう少しインパクトが欲しいところだ。



次の壊れかけのテープレコーダーズも観るのは2回目だが余り記憶に残っていない。女性オルガン奏者を含む4人組。これが意外に良かった。レゲエやファンクの要素も取り入れつつ、ポップスのツボを押さえた覚えやすいメロディー、男女のヴォーカル・ハーモニーは今は活動していない大阪の良質なサイケ・ポップ・バンド、渚にてを想わせて私の好みである。時々ファズ・ギターが暴れまくる以外は割と正統的なJ-POP路線でその普通さが返って印象的だった。メジャーでも活躍出来るかもしれない。要注目。



そして目当てのシベールの日曜日。"函館のラリーズ"と呼ばれたこの4人組が東京に活動拠点を移してもう3年になるだろうか。ヴォーカル&ギターの坪内和夫氏はルックスもフレーズもラリーズの水谷孝さんを髣髴させる。90分という長尺ライヴだったので床に座って観ていたのだが、催眠的なプロジェクターの照明と鳴り続ける轟音ギターに睡魔に襲われ何度か意識が遠のいた。今までよりもヴォーカルのエコーが押さえ目で、ラリーズ色はそれほど濃くなく、意外にポップなメロディーが耳に残った。2枚のCDで聴けるセンチメンタルな感性がライヴでも表出しシベールらしさがいっそう明確になった演奏だった。5月1日高円寺ショーボートでワンマン・ライヴがある。きっと3時間くらいやるに違いないが、アコースティック・セットを交えたりしてメリハリをつけたらいいと思うがどうだろう。



新宿で
燃えるギターの
シャワー浴び

4日連続ライヴはこれで3日目。最後はキノコホテルのワンマン!

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Sutcliffe Jugend/Painjerk/ENDON他@新大久保 Earthdom 2011.3.26(sat)

2011年03月28日 00時46分18秒 | 素晴らしき変態音楽
「Between Silences」というイベント。当初の目玉はスイスのハーシュ・キングSudden Infantと日本のPainjerkとが合体したPain Infantというプロジェクトだったが、震災でSudden Infantの来日が中止になり、Painjerk単独の出演になった。こんな時に来日してくれたSutcliffe Jugendは偉い。

卒業式の謝恩会で若者で賑わう大久保通りをかき分けEarthdomに向かう。この前まで震災被害でフロア・パフォーマンス(客席に機材をおいて演奏する)をしていたEarthdomだが、回復したようでステージを使ってのライヴだった。観客もキャパの半分くらいだがいい感じの盛り上がり。

ステージ上には節電モードを無視して(?)テレビ・モニターが10台ぐらい重ねてセットしてある。これはトップ・バッターのENDON+DLSのセッティングだった。モニターに皮膚病の人物の顔がアップで映し出され外国語のナレーションが大音量で流れる。メンバーがモニターの後ろのステージに登場。ドラムとギター、エレクトロニクスが二人。轟音ノイズ演奏が始まる。そしてスキンヘッドの見るからに怖そうなヴォーカリストがステージから身を乗り出して客を煽る。ウイスキーの瓶を床で叩き割り、客席に降りてきて観客をど突いたりビンタを食らわしたり暴れ回る。仕舞いには重ねてあったテレビ・モニターをぶち倒し楽器を破壊するヴァイオレント・パフォーマンス。非常階段直系の極悪バンドだった。私は最初ステージ真ん前で観ていたのだが身の危険を感じて後方へ避難して難を逃れた。笑



瓦礫の山と化したステージをスタッフがきれいに撤収し、何もなくなった空間に非常階段のJunkoさんがひとり屹立し高周波のスクリームを聴かせる。非常階段では広重さんやインキャパの二人の発するノイズに紛れてあまり意識しないが、ソロでこの叫びを聴くと想像を絶する迫力だ。一度に3つくらいの周波数の違う声を発している。ノイズの極北というべき驚異的パフォーマンス。外人客が「彼女は世界一クールだ」と叫んでいた。



続いてあぶらだこ/kito-mizukumi rouberの長谷川裕倫氏(エレクトリック篳篥)と内田静男氏(b)のデュオ・ユニット長谷川静男。ドローン/アンビエント風に静かに始まってゆっくりと高まっていく音響のスケール感にピンク・フロイドやタンジェリン・ドリームなどのプログレに通じる世界を感じた。後半の激しいせめぎ合いは昇天ものだった。



そしてPainjerk。急遽ソロとなった彼だが、「デッド・ケネディーズのカヴァーをやります」と一言、PowerBookによる轟音ノイズを展開、健在ぶりを見せつける。途中でマイクを客席へ渡し、観客が入れ替わり立ち代わり絶叫するという参加型パフォーナンスに。Painjerkの五味氏もPowerBookを抱えてステージ前で煽る。ステージと客席の一体感が嬉しくて笑みがこぼれる。



トリはSutcliffe Jugend(サトクリフ・ユーゲント)。1982年にWhitehouseのメンバーだったKevin Tomkinsのサイド・プロジェクトとして活動を始めた伝説的ユニット。現在もKevinとPaul Taylorの二人組で精力的に活動している。Kevinはもういい歳だから少しは落ち着いたかと思ったらとんでもない。マイクを持って激しいアクションでアジテーションする。Paulが客席へダイビング、Kevinも客席へ乱入。観客は大喜び。こんな楽しいノイズ・イベントは久しぶりだ。



数年前のWhitehouseといい昨年のEsplendor Geometricoといい非常階段といい、ノイズのオリジネーターたちの元気な姿を観ると勇気づけられる。

ノイズとは
精神解放
踊るべし

家にデッキもないのに会場限定のPainjerkとENDONのSplitカセットを買ってしまった。
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梅津和時+山下洋輔+熊谷和徳@新宿 Pit Inn 2011.3.25 (fri)

2011年03月27日 01時09分10秒 | 素晴らしき変態音楽
6日間に亘る「2011春 梅津和時・プチ大仕事@新宿PIT INN」の4日目。梅津和時(Sax,Cl)山下洋輔(P)熊谷和徳(Tap)のトリオによる"Beat it out!"。

ピットインは満席。震災後のライヴでこれだけ盛況だったのは初めて。やはり老舗は違う。

タップダンスを生で観るのは久しぶりだったのだが、舐めてかかったらこれが凄い。素晴らしいリズム感とレスポンスのスピードに圧倒される。梅津さん&洋輔さんのデュオならばある程度予想も付くしどう聴けばよいか分かっている。しかしそこに熊谷氏のタップが加わることによって異化反応が起こり、真っ当なフリージャズがヴィジュアルも含めた非予定調和の即興空間に生まれ変わるのである。トリオ/デュオ/ソロと組み合わせを変えて行われるセッションに時間を忘れて没頭した。洋輔さんも梅津さんも還暦を過ぎているとは思えないパワフルな演奏。熊谷氏の若さ溢れるパフォーマンスが二人に火をつける。アンコールで演奏した洋輔さん作の5,7,5のリズムによる「俳句」がコミカルで面白かった。
梅津和時HP

梅津さんと熊谷氏はどちらも仙台の出身とのことで、話題は当然震災のことになる。梅津さんは震災以降曲が書けなくなっていたが、一曲だけ作った曲を「東北」と名付けて被災地に捧げた。今回のプチ大仕事では毎晩演奏しているそうだ。熊谷氏はタップのソロを途中で止めて義援金カンパを呼びかける。

大仕事
タップの力で
倍増だ

梅津さんは数年前までは灰野さんとの共演を定期的にやっていたが最近ご無沙汰なので、帰りがけに「また共演してください」とリクエストしておいた。「こないだ会ったんだけどね」と梅津さん。


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タコ(山崎春美)にまつわる回想

2011年03月26日 01時43分54秒 | 懐かしき想い出
1980年代前半山崎春美が率いたプロジェクト、タコの2作のアルバムが紙ジャケ再発された。ピナコテカ・レコードの1stのアナログLPと1990年代半ばに北村昌士氏のSSEレーベルからブートレッグ発売された「タコ大全」を持っているのだが、今回は山崎春美さんとEP-4の佐藤薫さんの監修で新マスタリング/特別解説付というので購入。Disk Union特典の収納ボックスが付いてきた。

1982年に一浪の末大学に入学した私(歳がばれるね)の先輩にプログレ/サブカル雑誌「Marquee Moon」(現在の「Marquee」)に寄稿していた榎本リュウイチさんという人がおり、彼の紹介で吉祥寺ぎゃていにバイトの職を得た。榎本氏は大学の自治会だか企画団体に属しており、その年の学園祭でいくつかの企画を計画した。

ひとつはギズム、ガーゼ、エクスキュート、アレルギー等のハードコア・パンクのオールナイト・ギグ。例によって教室の窓ガラスは全部割られ、消火器がぶちまかれて機材が泡だらけになった。私が貸したギター・アンプも錆びて使えなくなってしまった。弁償しろ!と憤ったが怖くて言い出せなかった。

もうひとつが吉祥寺マイナー関連のアーティストによるライヴである。十時劇場に出演していた人たちが7,8人出演したが、記憶が曖昧で、白石民夫さんがリズム・ボックスにのせてサックスのマウスピースを取り替えながらキーキーとフリークトーンを出していたのは覚えているが、他に誰が出演したのか定かではない。多分篠田昌已さん、石渡明廣さん、佐藤隆史さん、風巻隆さん、工藤冬里さん辺りだと思う。灰野さんがいなかったことは確かだ。ライヴの後に連続企業爆破事件で知られる東アジア反日武装戦線の情宣ビデオを観せられ鼻白んだ覚えがあるから、何か政治的背景のあるイベントだったのかもしれない。そこに恐らく山崎春美さんも出演していた筈である。タコとしての出演ではなくソロかセッションだった。

私はそのイベントの始まる前の昼間に、Nullの二人=岸野君(g)と岡野さん(vln)、即興道場で知り合った高校生のトランペッターと共にサックスで1時間ほどセッションした。私の両親以外に観客は居なかった。

また田中泯さんの「舞塾」が大学講堂前の広場で局部を隠しただけの白塗りの裸でパフォーマンスを行い(これも榎本さんの企画だったか?)今思うと不思議な学園祭だった。

以降私はぎゃていでカウンターのバイトおよびOther Roomとしてライヴ活動を続けたが、同年秋の山崎春美さんの自殺未遂ライヴにショックを受け、少しずつこの世界から足が遠のいて行った。タコのライヴは観たことはないが、春美さんの痙攣パフォーマンスはぎゃてい時代に何度も観ているし、彼はぎゃていの企画ミーティングにも参加していたと記憶している。因みに当時は春美さんに関わらず痙攣パフォーマンスが何故か流行っていた。

タコのLPが発売されたのは自殺未遂ライヴの前だったか後だったか覚えていない。いずれにしろ発売当時に新品で買ったのではなく、暫くしてから大学生協のバーゲンで購入した。坂本龍一が天皇の玉音放送を真似る「な・い・しょ・の・エンペラーマジック」や歌詞がシュールな「人捨て節」「嘔吐中枢は世界の源」などは、アングラ音楽に興味のない友人に聴かせても面白がられたものだ。

今回の再発は丁寧なジャケットの再現と興味深い解説(香山リカさんや野々村文宏氏、佐藤薫さん等が執筆)は素晴らしいが、肝心の音がマスターではなく盤起こしなのがチョット寂しい。

その昔
タコというバンドが
あったとさ

丁度今、大里俊晴さんの著作集「マイナー音楽のために」を読んでいる途中だからタイミングが良い。


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工藤冬里/羽野昌二+工藤丈輝@六本木 Super Deluxe 2011.3.23(wed)

2011年03月25日 00時45分13秒 | 素晴らしき変態音楽
「H_K_K_E」というイベント。当初はニューヨークからEyal Maoz Trioが来日する予定だったがキャンセルになり、日本人二組の出演となった。Eyal~のキャンセルのせいというよりも、時節柄観客が少ない。全部で15人程だろうか。こんなに空いているスーデラは初めてだった。

冬里さんはソロ名義だったからギターかピアノの弾き語りだと思ってたら、ツイッターでマヘルのはせがわまこさんやすずきみきこさんが「今日スーデラに参加することになった」とツイートがあった。蓋を開ければ殆どマヘルといってもいいラインナップでの演奏だった。まこさんがドラム、みきこさんがギター、さらにヴァイオリンとトランペットが2名という5人のバンドをバックに冬里さんがギター&ヴォーカル。といってもこれはマヘルじゃなく冬里さんのソロ・プロジェクトだ。演奏者にその意識があったかどうかは不明だが。演奏曲は2曲のみ。1曲目はマヘルの曲のリフを延々と繰り返してそこに冬里さんの型破りのギターが乗るインスト。30分の長尺演奏だ。ビーフハート的な乱調のリズムが精神を覚醒させ、壁面に映し出される本人たちの映像がハレーションを起こす。2曲目は「ことば」について冬里さんが15分に亘って語り続ける曲。津波をビデオで撮影しようとして命を落とした人のこと、不味いのに人気のあるカレー屋のことなど様々な話題が早口に語られる、要は「ことば」が「いのち」や「こころ」の上に来ることの不条理について述べていたように思う。演奏は淡々としたミニマルなもので、ヴェルヴェッツの「ザ・ギフト」を想わせた。

続いて羽野昌二さん(ドラム)と工藤丈輝氏(舞踏)デュオ。始まる前に震災の被害者に対して黙想を捧げた。丈輝氏はHPの写真では暗黒舞踏系の白塗りの裸体を晒しているが、この日はスーツにコートを羽織って登場。羽野さんは日本フリージャズ界を代表するドラマーのひとりで、阿部薫、近藤等則、灰野敬二、成田宗弘、デレク・ベイリー、ペーター・ブロッツマン等錚々たるアーティストと共演してきた猛者である。二人は2006年に共演して以来何度かステージを共にしているそうだが、デュオは初めてらしい。ドラムだけのシンプルなステージのスポットライトの中、丈輝氏が踊り始める。きびきびした動きに柔軟な羽野さんのドラムが響き渡る。二人の魂の交感は次第に熱を帯びてきて、丈輝氏の動きと羽野さんのドラミングはさらに激しくなっていく。コートを脱ぎ捨て、スーツもシャツも脱いで舞踏家らしい逞しい上半身が露になる。大野一雄、田中泯、園田游など私の好きな舞踏家の肉体は無駄が削ぎ落とされジャコメッティの彫刻のような惚れ惚れする美しさを持っている。いつか丈輝さんの舞踏公演を観てみたいものだ。冬里さんの聴き手をはぐらかすような諧謔的な演奏に比べて、このデュオのステージは魂を剥き出しにした真剣勝負そのもので、一時も目を離すことが出来ない緊張感に満ちていた。まさに対称的な二組の演奏だった。
羽野昌二HP
工藤丈輝HP

魂は
上って行くのか
沈むのか

何かというと自粛ムードの漂うご時世だからこそ、ライヴを決行する勇断に対して皆もっと応えてあげよう。ライヴを観に行くなら今しかないよ。





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溢れ出る情熱の奔流~上原ひろみ「ヴォイス」

2011年03月24日 00時52分40秒 | こんな音楽も聴くんです
スタンリー・クラーク・バンドのメンバーとして第53回グラミー賞で「ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム」を受賞し世界的な評価も著しい上原ひろみちゃんの7作目のリーダー・アルバム。今作の目玉は何といっても新たなトリオの面子だ。ベースのアンソニー・ジャクソンはひろみちゃんのバークレー音楽院時代の恩師であり、セッション・ベーシストとしてジャズ界では名士のひとりである。異色なのはドラムのサイモン・フィリップスの起用。元々はジャズからスタートしたらしいが、世に知られるのはジェフ・ベック、ジューダス・プリースト、マイケル・シェンカー・グループ、ホワイトスネイク、ザ・フー、ミック・ジャガー・バンド、TOTOなどロック系アーティストとの共演であろう。特に私にとっては1980年代再々結成後のザ・フーのドラマーとして結成25周年ツアーに参加したことで思い入れの深いドラマーである。

ひろみちゃんがなぜサイモンとトリオを結成することになったのか? 元々ひろみちゃんはジャズ、クラシックと並んで大のロック・ファンでもあり、ロック・ファンならば必ずサイモン・フィリップスのドラミングを耳にしたことがある筈だ。"手数王"の異名をとるサイモンの鮮やかなドラムは、ひろみちゃんが求める"高い技術に裏打ちされた情感に溢れたスケールの大きな音楽"にピッタリきた、という訳だろう。

その結果は実際にCDで聴いて欲しいが、今まで以上にポップで味わいのある七色のサウンドスケープが展開される。正に現代ジャズ界の最高峰といえる作品である。
上原ひろみHP

サイモン・フィリップスというともうひとつ思い出がある。1990年バブル時代の末期に横浜アリーナで開催された「THE BEST」というプロジェクトのライヴである。キース・エマーソン(エマーソン・レイク&パーマー、ナイス)、ジョー・ウォルシュ(イーグルス、ジェイムス・ギャング)、ジョン・エントウィッスル(ザ・フー)、ジェフ"スカンク"バクスター(スティーリー・ダン、ドゥービー・ブラザーズ)といったメンバーからなるスーパー・グループというふれ込みで公演し、この時のドラマーがサイモン・フィリップスだったのである。当時まだ来日が実現していなかったザ・フーのジョン・エントウィッスルが観られただけで私は満足したが、ライヴは全くの不入りで興行的には失敗に終わったと記憶している。私も招待状で入場した。最近ヨーロッパでこの時のライヴがCD/DVD化されたという。聴きたいような聴きたくないような複雑な気持ちである。

ひろみちゃん
新たな挑戦
素晴らしい

もしサイモンがひろみちゃんのトリオで来日することがあったなら何を置いても駆けつけたい。




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シェシズ/マヘル・シャラル・ハシュ・バズ@八丁堀 七針 2011.3.21(mon)

2011年03月23日 00時58分40秒 | 素晴らしき変態音楽
七針に行くのは初めて。そもそも八丁堀にライヴハウスがあること自体、妙な気分になる。元雀荘だった店を改装した、板張りにコンクリートの壁、防音もしていない四角い部屋にPAと機材、客席に幼稚園で使うような小さな折りたたみ椅子、とシンプル内装で30人も入れば満員の小さなハコだ。
七針

現在のような状況下でライヴを実施するのは難しいことだが、「自分たちに出来ることは音楽を演奏することしかない」と考えたシェシズの向井さんがお店と出演者と相談の上、予定通りの開催となった。素晴らしい。

開場と共に中へ入ると既にマヘルのメンバーがステージに揃っていた。女性ギター、ドラム(シェシズの高橋氏)、アコーディオン、ピアニカ、ヴァイオリン、トランペットの6人。譜面台を前に曲順がどうしたとか話している。これからライヴが始まるというのに緊張感が全く無いところがこのバンドの特徴だ。時間になると誰からともなく演奏が始まる。本番なのか音合わせなのか迷っているところへ工藤冬里さんが登場、テレキャスを抱えて歌い始めたので、ライヴがスタートしたことがやっと分かる。マヘルのライヴではいつものことだ。冬里さんは震災をテーマにした唄を歌ったりしてホンワカした演奏の中に硬派な意味合いを込める。それにしてもいつまでも変わらないな、マヘルのアマチュアリズムは。40分の演奏。

数年前シェシズを観たときはドラムの高橋氏が不在のトリオ編成だったので、今回が初の4人組シェシズ体験になる。向井千惠さん(vo.p.胡弓)、工藤冬里さん(g)、西村卓也氏(b)、高橋朝氏(ds)の1980年代半ばから不動の面子。マイナー調のメロディーに音程の不安定なヴォーカル&弓と自由度の高い即興演奏は、正直言って相当ユルい。しかし、今にも崩壊しそうな脆さの中に内包された気高い精神性に触れたとき、未明へと向かう幻惑的な美しさが聴く者の心を打つのである。最後は高橋氏がドラムをバラバラに倒しあんころ餅を食べるというダダイスティックなパフォーマンス。それが決して小難しい芸術性を纏わないところがシェシズならでは。充実の80分間だった。

地下に咲く
二つの花を
見つけたよ

同日深夜(翌日早朝)に渋谷Bar Issheeで再度行われた大友良英さんのヨーロッパ向け演奏のUSTアーカイヴが残っている。今回も凄まじいギター・ノイズ。
大友良英Solo Live in Tokyo



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ショック・ロックの勇者~アリス・クーパー「スクールズ・アウト」

2011年03月22日 00時27分47秒 | 素晴らしき変態音楽
ラジカセでラジオを聴き始めた中学生の頃、私のお気に入りはジョン・デンバーとビーチ・ボーイズだった。未だ見ぬアメリカの広大な大地と真っ青な空をイメージさせる音楽が私の憧れだった。

そのうち音楽雑誌を読んだりレコード屋に出入りしたりするようになり深みにはまっていく。ある時レコード屋にフィルム・コンサートを観に行った。クイーン、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープルのライヴが上映されたと記憶しているが、ディープ・パープルのライヴの最後にリッチー・ブラックモアがギターを破壊する姿に純真無垢な中学生の私は大きなショックを受け、「二度とロックなんて聴かないぞ」と決心したものだ(その数年後に自分でギター破壊のパフォーマンスをするとは思ってもいなかった)。その直後買ったのは冨田勲の「火の鳥」だった。シンセサイザーで作り上げた複雑で宇宙的なサウンドが気に入り、私のプログレ好きの萌芽になったレコードだ(その前に「エクソシストのテーマ」のシングル盤=マイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」を購入している)。

しかし音楽雑誌やラジオやレコード店頭でキッスやエアロスミス、ジョニー・ウィンターなどを知り、いつの間にかロック・ファンに戻っていった。その頃大貫憲章さんと渋谷陽一さんのラジオ番組でアリス・クーパー特集を聴き、そのエキセントリックなサウンドの虜になった。1972年発表の大ヒット・アルバム「スクールズ・アウト」は組み立てると学校の机の形になるギミック・ジャケットで、レコード盤は紙のパンティに包まれていた。そんなこだわりの世界にも惚れ込んだ。元々フランク・ザッパのレーベルからデビューしたこともあり、ハード・ロック・サウンドにプラスしてシアトリカルな要素が濃厚で、私のフェイバリット・アーティストになった。パンク勃興後もその元祖として存在感を誇っていた。

1980年代半ばにはセレブの仲間入りをし、グラミー賞のプレゼンテイターを務めたりして音楽活動から遠ざかっていたが、オジー・オズボーン、エアロスミス、トーキング・ヘッズ、ガンズ・アンド・ローゼズをはじめ、様々な時代の様々なロックスターがアリス・クーパーのファンであることを吐露、再びロッカーとして注目を集めシーンに復活。以後現在までコンスタントに活動を続けている。今年ロックの殿堂入りを果たし、5月には豪華アンソロジーBOXがリリースされる。

YouTubeで最新のTVショーでの演奏を観て、久々に心躍っている。もう63歳だが相変わらずカリスマ・ロッカーぶりを発揮している。

よみがえる
心のトキメキ
アリスさん

初期の2作「Pretties For You」と「Easy Action」は変態ロックの傑作である。



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