ピカピカふぁんたじんツアー
きゃりーぱみゅぱみゅの雲の上のHEAVEN´S DOOR
先日知人から「まだきゃりーを追っかけてるの?」と呆れられた。1年前はきゃりーが一番面白いと云っていた彼は、現在でんぱ組ヲタ状態。「きゃりーは1stアルバムが一番良かった。2枚目はまあまあだったが、3枚目の『ピカピカふぁんたじん』は買ってもいない」とドヤ顔で云われて、心当たる節もなくはなかった。CM出演が増えると同時にライヴ会場に親子連れが増え、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオのように家族で楽しめる安心印エンターテインメントとなった。ライヴをテーマパーク化することはきゃりーの意向でもあるので、本人は満足かもしれない。しかし、弐年前の日本武道館の頭脳改革ショーを体験した身に取っては、自分の心の中に黒く色どられていない処しかないような、モヤモヤした不完全燃焼のセックスを繰り返すような、そんな虚しさを感じることもないとは云えない。
とか言いながら、この日はピカピカふぁんたじんホールツアーの3公演目。パッケージショーだからセトリや演出はすべて同じだし、FC優先で何公演も予約して、後で別のライヴが被り悔いることもある。今回の市川市文化会館は、全4公演参戦した昨年の「なんだこれくしょんツアー~きゃりーぱみゅぱみゅの宇宙シアター」初日の会場だったので、初めての場所のトキメキも薄い。よっぽどチケットを誰かに譲って別のライヴに行こうかと悩んだりもした。しかし、9列目という良席が惜しくて、気がつくと総武線を東に向かう列車の中に居た。一番端だったが、ステージまでの距離は今までのホール公演の中で最も近い。ボッチ客にとって目障りなカップルも近くにおらず、解放的な気分で存分に観戦。きゃりーの表情がよく見え、前方に出てきた時レスをもらった気がした。PAが近いので音がデカい。天国と地獄のストーリーは三度目なので、新鮮味は無い。
「それ」が起ったのは5曲目「こいこいこい」だった。カワイイオーラ全開で小気味よく進んできたライヴステージが、こいこいこい~という蛇行するメロディーと歌詞に、一瞬ブレたように見えた。0.8秒と衝撃の後に目の焦点が元に戻ったが、きゃりーの小さな身体から出ている電波に気づいてしまった。でんぱ組が世界にお届けするWORLD WIDE DEMPAではなく、極一部の同志に向けて発せられる秘密の電脳波形。原宿カワイイも、100%の自分も、ファッションモンスターもどうでもいい。私は人の心を狂わす変異発光体よ!と念じる波動、もしくはテレパシー。2012年春に今は亡き渋谷AXで語った赤い悪夢(かりんとうを銜えて綱渡りすると途中で足を踏み外し、また最初から綱を渡る、を∞にリピート)が再び襲い来る予感。
直後に幾何学模様のミニワンピに網タイツの悩殺コス。前回はガードルに目が釘付けだったが、赤青緑の衣装の柄が、きゃりーの身体から離脱して、蛇のように絡み付くのを目撃してしまった。頭が蛇のメデューサのきゃりーが、自らの髪の毛に呪縛されている。ワンコーラスだけ歌った「スローモ」の超スローモーションの映像の間に、きゃりーの内側と外側がクルリと裏返るのが見えた。「ファッションモンスター」の聴き手の平衡感覚を狂わせるダブミックスや変則ビートこそ、きゃりーが蛹から脱皮し、未知の生物に変態したことの証。お色直しの幕間に現れた仮面の魔術師が、世界がもう元に戻れないことを、空中浮遊マジックで明らかにする。
そのまま一気に駆け抜けるステージ上で進行するストーリーをよく吟味すると、天国・地獄・現実・虚実・2.5次元・魔法少女未満、すべてを超越した超自我の次元、即ちユングの言うところの曼荼羅への旅程であることが詳らかになる。前日の幕張メッセでのBABYMETAL悪魔降臨の儀式よりも遥かに恐ろしい洗脳行為が、いち地方都市のど真ん中で白昼堂々と行われていることに戦慄しない者はおるまい。あたかも、卒倒した少女の頭蓋を八針縫合して、多量のレキソニンを投与した直後のノンストップダンスの如く、想像を絶する苦行の果てに辿り着いた涅槃に立つきゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅに後光が差すような光景であった。
信者の群れ
⇒世界のきゃりーぱみゅぱみゅ 海図を描いた男たち
<Set List>
(Opening Movie)
M00. ピカピカふぁんたじん
M01. きらきらキラー
M02. ファミリーパーティー
(MC-1)
M03. トーキョーハイウェイ
M04. do do pi do (CAPSULE)
M05. こいこいこい
(SHOW 1)
M06. シリアスひとみ
M07. スローモ [ 1-chorus ]
M08. ファッションモンスター
(SHOW 2)
M09. Medley 1:にんじゃりばんばん/インベーダーインベーダー/ふりそでーしょん
(MC-2)
M10. もったいないとらんど
M11. Scanty Skimpy
M12. Medley 2:CANDY CANDY/PONPONPON/つけまつける
(SHOW 3)
M13. ゆめのはじまりんりん
(MC-3) ※ (502/42
市川公演のみ; M14. Ring a Bell の,あたらしい 会場一体型の振り付けの練習を
M14. Ring a Bell
(MC-4)
M15. エクスプローラー
~ Encore ~
(MC-5)
M16(En-01). ちゃんちゃかちゃんちゃん
きゃりーちゃん
アリーナツアーで
原点回帰
ツアータイトル決定!:ピカピカふぁんたじんツアー
「きゃりーぱみゅぱみゅのからふるぱにっくTOY BOX」
⇒きゃりーぱみゅぱみゅ初のアリーナツアー開催