A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

徹夜で灰野~不失者[灰野敬二]@高円寺Showboat 2007.12.30(sun)

2007年12月31日 22時26分56秒 | 灰野敬二さんのこと
灰野さん恒例の年末の高円寺ショーボートでのオールナイト公演。今回も5月のバースデイライヴと同様「不失者」名義になっているが灰野さんのソロである。
25時開場/25時半開演となっていたが、サウンドチェックが延びて25時半開場になった。私はその間に暖をとるためにワンカップ大関を飲んで待っていた。これがあとで辛い状況の元になるのだが。。。
待った甲斐があり最前列中央に座れた。オールナイトではあるが灰野さんのファンにとっては、バースデイライヴと並ぶ必須のライヴ、会場は満員だ。
ステージ上には発信器、エアシンセ、ドラムマシーン等を乗せたテーブルがふたつ、ガットギターとゴッタン、演奏用の椅子など、普段の灰野さんのライヴでは見ないような雑多なセッティングでステージがいっぱいだ。二部構成になるというアナウンスがあったから、エレキギターで暴れるのは後半になるようだ。
26時頃灰野さんがステージに登場。ガットギターでSteppenwolfの「Born To Be Wild」を英語のまま歌う。もちろん哀秘謡であるからメロディーはオリジナル。その後発信器へ移りゆっくりと波形を変化させていく。しかしこの発信器の演奏が長い。お酒を飲み過ぎた私はすっかり眠くなってしまった。灰野さんとしてもライヴの早い時間帯で瞑想的な世界を延々と繰り広げる事により聴き手の時間感覚を麻痺させてしまおうという意図があったのかもしれない。私はまんまとその罠にはまってしまった訳だ。演奏はドラムマシーン、ゴッタン、フルート、木製の縦笛、エアシンセと順々に変えていく。リバーヴたっぷりのヴォーカルも聴かせ、真っ暗な照明と相まって脳味噌が溶けて朦朧としてくる。こんな感じで前半は何と3時間半。
ここで30分の休憩。何故か休憩時間になると目が冴えてくる。
後半は予想通りSGの弾き語り。まずは轟音で目くらましをかましておいて、不失者のレパートリーへ突入。「暗号」「あっち」「ふわふわ」「ここ」「おまえ」など聴き覚えのある曲が次々と披露されていく。しかし再び睡魔と轟音の酩酊効果で意識朦朧のドツボへはまっていく私。歌が中心であまり激しいギターアクションはなかったように思う。2時間演奏し最後は再びガットギターを手に「Born To Be Wild」の日本語ヴァージョンで締め。この日本語ヴァージョンは直訳ではなく、曲が本当に言いたかった事を解体し、灰野さんが再解釈した日本語ヴァージョンとのこと。
この時点で31日の8:30AM。外はいい天気だ。灰野さんは楽器を片付けたらお茶の水のDisk Unionへ行くなんて言っている。とことん音楽馬鹿な人だな。

本年も
灰野と一緒に
暮れていく

残念ながら2008年の初ライヴは灰野さんじゃなさそうだ。


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灰野絶叫~工藤礼子「塵をなめる」

2007年12月28日 23時42分42秒 | 素晴らしき変態音楽
古くはNOISE、現マヘルシャラルハシュバズのシンガー、工藤礼子さんの1年半ぶりのソロ5作目。二枚同時発売だった前作「人」と「草」は自宅で工藤冬里さんをはじめマヘルのメンバーと共に録音された素朴な作品だったが、今作はvillage hototoguis studioというスタジオでレコーディングされている他は前作と手触りは変っていない。NOISE時代から礼子さんの声は子供のように無防備で繊細で、精霊を呼び起こす巫女のような雰囲気がある。曲調と歌詞はとことん単純で哀感漂うもの。
今回は殆ど冬里さんのピアノ,オルガン、ギターのバッキングのみでさらにシンプルで静寂になっている。灰野さんがギター、ドラム、ヴォーカルで参加している。特にラストナンバー「雪の山」では礼子さんの清浄な世界を破壊するかのような絶叫を聴かせており、礼子さんのファンからは不評だと聞く。しかし灰野さんはいつもこのような挑戦的な演奏をする人であることを理解する者には納得出来る演奏である。礼子さんもそんな灰野さんを期待して共演した筈だ。絶叫のあとに何事も無かったように歌う礼子さんの姿に歴戦の戦士の魂を感じる。

脆きもの
底に潜むは
強き意志

礼子さんはキリスト教のエホバの証人の信者であるとモダーンミュージックの店員から聞いた。聴き手には関係のないことだが。
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iPodを捨て街へ出よう

2007年12月27日 23時55分30秒 | ありきたりな日常
いつもiPodで大音量で音楽を聴きながら歩いているので、ふと思い立ってiPodを耳から外してみた。自動車やバイクの音、人ごみの足音や話し声など街のざわめきが耳に飛び込んできて新鮮な気持ちだった。耳栓を外したようだ。五月蝿いと思っていた都会の騒音も意外に静かで穏やかな調べに感じられた。自然のアンビエント音響。たまにはいい。
ノイズの元祖、Whitehouseの主催していた自主レーベルCome Organizationから80年代前半、New Orderというプロジェクトの「Bradford Red Light」というLPがリリースされていた。その片面はロンドンの赤線地帯を歩き回る音を録音しただけのフィールドレコーディング。ザッザッという足音だけが延々と繰り返される。
それとか以前書いたジョン・ケージの「4分33秒」の沈黙、そんなものを想起させる経験だった。

iPod
街へ出るなり
蝸牛

iPodをポケットに入れたまま「聴かない」という新しい聴き方を発見した。
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トリップしたR&Bシンガー~エリック・バードン&ジ・アニマルズ「ウィンズ・オブ・チェンジ」

2007年12月27日 00時13分02秒 | 素晴らしき変態音楽
アニマルズを変態音楽呼ばわりするのは語弊があるのだが、この60年代後半のアニマルズはアシッドで変調を来した時代の落し子ということで取り上げてみたい。先日この時代の4作が紙ジャケ、ボーナストラック入で再発されたお祝いでもある。
「朝日の当たる家」や「悲しき願い」のブリティッシュR&Bを代表するアニマルズはここにはいない。リーダーのエリック・バードンは60年代後半に入るとアシッドですっかり頭をやられてしまい、「これからはフラワーパワーだ!」と叫んだかどうだかは知らないが、オリジナル・アニマルズを解散、全く別のメンバーで新生アニマルズ(ニュー・アニマルズとも呼ばれた)を結成しサイケデリックロックを追求、アメリカで人気を得た。ちなみにオリジナル・アニマルズのベーシストだったチャス・チャンドラーは解散後マネージャー業へ進み、ジミ・ヘンドリックスを発掘することになった。皆がサイケヘッドになった時代だったのだ。新生アニマルズもモンタレー・ポップに出演している。
このアルバムは新生アニマルズのデビュー作で67年に発表され、収録曲の「サンフランシスコの夜」がTOP10ヒットになった。この曲は故鈴木ヒロミツ氏のモップスをはじめ多くのGSにカヴァーされたというから日本でもヒットしたのだろう。
冒頭からシタールのビヨ~ンという音に風の音のSEで幻想的に始まるアシッドロック満載の作品である。ストーンズの「黒くぬれ」のヴァイオリン入りの変態ヴァージョンや、延々とペスト渦について語る怪奇小説風語りがあったり、かなり頭のマッサージになる。
新生アニマルズはこのあと3作のアルバムをリリースするがどれもサイケファンにはお勧めである。ラストアルバム「ラヴ・イズ」のギタリストは後のザ・ポリスのアンディ・サマーズである。

トリップだ
右も左も
ラリパッパ

記憶が定かではないが15年くらい前エリック・バードンの来日公演を観た覚えがある。その頃はサイケではなく、旧アニマルズのヒット曲やR&Bナンバーを歌っていたような。

Eric Burdon & The Animals : San Franciscan Nights (Live 1967)


ERIC BURDON & THE ANIMALS - "Monterey"
コメント (2)
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変態クリスマス~The Residents「Santa Dog 78」

2007年12月25日 23時59分19秒 | 素晴らしき変態音楽
高校の頃「DOLL」の前身の音楽雑誌「ZOO」でレジデンツのことを知った。サンフランシスコのバンドでメンバー不詳、普通のロックとはほど遠いユーモラスで捻くれたサウンドを聴かせるマイナーバンドと紹介されていた。早速1976年リリースのサードアルバム「The Third Reich 'N' Roll」を買ってきた。「Let's Do The Twiest」「Pipeline」「Let It Be」などオールディーズナンバーを奇怪なアレンジでカヴァーしたアルバムで、私はそのミステリアスな魅力に夢中になった。他のアルバムも手に入れ、エスキモーの生態をサウンド化した「Eskimo」や1分間の曲が40曲入っている「Commercial Album」、モグラの世界を描いた三部作「Mole Trilogy」(3作目は未だにリリースされていない)、ジョージ・ガーシュイン、ジェームス・ブラウン、ハンク・ウィリアムスなどアメリカの作曲家の曲を取り上げた「American Composers Series」などはリアルタイムで手に入れた。
ゲゲゲの鬼太郎の目玉親父、といえば、ああ!と思う人もいるだろう。目玉の被り物をしていることで有名だ。80年代半ばにはパルコ劇場で来日公演も果たした。蛇のようなギタリスト、スネークフィンガー(故人)と共にグロテスクだけどお洒落なステージを繰り広げたと記憶している。
その後もCD-ROMやDVDなど新しいテクノロジーを使って現在まで作品を発表しているのだが、私はある時期から以降聴いていない。
そんな彼らがテーマにしているひとつが「サンタドッグ」プロジェクト。72年に始まって6年周期ぐらいで新しい「サンタドッグ」を発表している。通信販売やファンクラブ・オンリーのリリースで入手は非常に難しい。私はコンピで「サンタドッグ78」を聴いたが、クリスマスの華やかさとは無縁の怪気映画のサントラのような作品だ。でも世の中が浮かれるクリスマスの夜、レジデンツのクリスマスソングで聖夜を過ごす年があっても良い。
The Residents HP

レジデンツ
正体知られず
35年

当時パンク好きだった私がフランク・ザッパやキャプテン・ビーフハートにのめり込むきっかけになった思い出のバンドだ。
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灰野敬二+鬼怒無月@下北沢 Lady Jane 2007.12.23(sun)

2007年12月24日 00時55分37秒 | 灰野敬二さんのこと
この二人は今まで10回以上共演しているだが、今年は初めて。私は鬼怒さんはCOIL(解散してしまったそうだ)とかKIKI BANDで観たことはあるのだが、灰野さんとのデュオは初体験。鬼怒さん人気なのか、普段は余裕のあるLady Janeが満員の盛況ぶり。しかも女性一人客が目立つ。クリスマス直前だというのにこんなライヴへ来ていていいのか?(余計なお世話)。
今日はアコースティックギター、それもナイロン弦のいわゆるクラシックギター(ガットギター)2本の共演だ。鬼怒さんがアルペジオでコード進行を奏で,そこに灰野さんがアタックの強いフレーズで切り込んでいく、というのが基本パターン。鬼怒さんはプログレ派テクニシャンとして知られているが、確実なテクニックと理論でフリーな即興もこなす。灰野さんとの何度にも亘る共演がいい経験になった筈だ。所々で超絶技巧のギターソロも聴かせる。
前半は完全にインストの即興だった。ガットギター2本のみの即興というのは非常に繊細で、聴く方も結構体力を使う。後半も同じだったらどうしよう、と思っていたところ、後半は灰野さんがヴォーカルを取るスタイルだった。
まずは哀秘謡で「骨まで愛して」と「恋って不思議ね」、そしてオリジナルの歌唱。鬼怒さんも灰野さんと一緒に歌詞カードを見ながら素晴らしいバッキングを繰り出す。オリジナル曲はコードは決まっておらず、灰野さんが主導して展開していくが、歌自体が即興なのでギターもインプロ色が強い。だんだんギターのみになり、荒々しいカッティングのノイズが渦を巻く。ガットギターの通常の弾き方で騒音を産み出すのだから灰野さん、恐るべし。結局ノイズの嵐でライヴは終わり。思っていたよりも面白く(特に後半)2時間たっぷり楽しめた。

ガットギター
弾き手によって
ノイズギター

鬼怒さんとやるといつも疲れるよ、と灰野さん。ステージは相当の神経戦のようだ。
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なつかしアニメ~「楽しいムーミン一家」DVD

2007年12月21日 22時14分23秒 | 映画やDVDのこと
子供の頃テレビ・アニメのムーミンが大好きだった。ほのぼのとしたムーミン谷で起こるほのぼのとしたストーリーが面白かった。私が観ていたのは1970年に制作された♪ねえムーミン こっち向いて~♪というテーマ曲のアニメだった(私はこの歌の中の♪おネンネね♪という部分をムーミンが朝寝坊だという意味だと思っていた。)実はこのアニメ、原作者のトーベ・ヤンセンが「これは私のムーミンじゃない」と嘆いたという、ストーリーや世界観が原作とはかけ離れたものだった。
今回DVD発売されたのは1990年テレビ東京が制作した「楽しいムーミン一家」。ヤンセンも制作に関与し、原作に近いアニメに仕上がった。まったく無邪気で人を疑うことを知らないムーミンたちは、現代人にとっては憧れの癒しの存在だ。ムーミンのガールフレンドの名前が70年版の「ノンノ」から、「フローレン(フィンランド語で"お嬢さん"という意味。原作でも"スノークのお嬢さん"と呼ばれている)」に変わっている。白鳥恵美子が歌うテーマ曲が美しく、幻想的なムーミンの世界を見事に表現している。ストーリーは後半になるとタイムマシーンが出てきたりして滅茶苦茶な展開になっていくのだが、日本を代表するメルヘン・アニメの傑作であることは間違いない。ひさびさに童心に帰って楽しんでいる。
原作の小説は意外に哲学的で厭世的なテーマもあり、大人が読んでも面白い。

ムーミンで
子供に戻る
クリスマス

やはりニヒルな風来坊スナフキンに憧れる。



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ギターとSEX~ザ・ジミヘンドリックス・エクスペリエンス「ライヴ・アット・モンタレー」DVD

2007年12月19日 23時39分42秒 | 素晴らしき変態音楽
ジミ・ヘンドリックスの全米凱旋公演となった1967年6月18日モンタレー・ポップ・フェスティヴァルのステージをほぼ全編収録したDVD。ライヴ映像の前後には、マネージャーのチャス・チャンドラー、エクスペリエンスのメンバーのノエル・レディングとミッチ・ミッチェル、フェスティヴァル主催者のルー・アドラー、ジョン・フィリップス(ママス&パパス)、デレク・テイラー(ビートルズのパブリシスト)など既に鬼籍に入った人たちも含む回想談が収録されている。ロックで初の三日間に亘る大規模なコンサートであったこと、最初は商業的なイベントとして企画されたのが、ジョン・フィリップス等の参加によりチャリティー・コンサートとなったこと、当然参加ミュージシャンはノー・ギャラだったこと、テーマが「ミュージック・ラヴ&フラワーズ」だったこと、ポール・マッカートニーの推薦でザ・フーとジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスがイギリスから参加することになったことなど、興味深い裏話がたっぷり聞ける。
最終日に連続して出演することになったザ・フーとジミヘンが出演順で揉めて、コイントスで順番を決めたことは有名だが、先に出演したザ・フーはイギリスでも定番になっていた楽器破壊パフォーマンスを展開、観客が騒然としているうちにジミの出演になった。
ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズの紹介で登場したジミは、若干25歳の若さの割には落ち着いて堂々としている。当時のことだからドラッグをキメキメで登場したのだろうが、イギリスで培ったライヴ演奏への自信に漲っていたのだろう。最初の「キリング・フロアー」から飛ばしまくる。ギターを身体の一部のように自在に弾きこなす。歯で弾いたり、股の下や背中に回して弾きこなす。まるでアニメーションのような動きは観ていて思わず笑ってしまうほど凄い。ジミは歌いながらも口の中で何かを噛んでいる。ガムなのか噛みタバコなのか不明だがあれで歌を歌えるとは不思議である。最後に「素敵なショウをお観せしよう」と一言、アンプにギターを擦り付け、ギターにライター・オイルをかけ、火をつけて叩き壊す。有名なシーンだ。ザ・フーの楽器破壊が若気の至りの破壊衝動からきているとすれば、ジミヘンのそれは間違いなく性行為を模した儀式である。
またこのフィードバックと破壊音が後に非常階段などのノイズのルーツになったことは重要な事実である。
1970年に27歳の若さで他界してしまったジミだが、未だに彼を超える情念とテクニックを併せ持ったギタリストは登場していない。そんなジミヘンの絶頂期の姿がここにある。

ジミヘンの
義理の母親
日系人

当時日本ツアーが実現していたら、ビートルズ以上の衝撃だったかもしれない。それとも誰も理解できなかったか?

Jimi Hendrix "Wild Thing"


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21世紀のLIO~MEG「BEAM」

2007年12月19日 00時00分51秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界
真っ赤なハートに跨った足の長い女の子。ちょっと寂しげな表情のロリータ・フェイス。アルバムではカクテルグラスの中に座り、物憂げにこちらを見つめる。私が最近萌えまくっているのが、モデルもこなすクラブ系女性シンガーMEG。プロデュースはcapsuleの中田ヤスタカ氏。アキバ系で人気のテクノポップ3人娘Perfumeも手掛ける注目のクリエイターである。
サウンドはノリのよいポップなテクノ・ビート。そこにMEGの甘えるようなキュート・ヴォイスが乗る軽快な一枚である。ジャケットを見ながら聴くと年甲斐もなく目じりが下がって仕方がない。
ここで思い出すのが1980年にデビューしたフランスのアイドル、LIO。デビュー・アルバムその名も「美少女リオ」は、ベルギーのテクノポップ・グループ、Telexがバックを務め、ピコピコ・テクノにロリータ・ヴォイスで一世を風靡した。ジャケットが着せ替え人形になっているという罪作りな装丁。当時の純真な私には全曲キュート過ぎてドキドキな存在だった。後に「イパネマの娘」をカヴァーしてクラブ・ヒットさせ、フレンチ・アイドルの伝統に則り女優となりヌードもお披露目しちゃったけど。
あの若き日のときめきをMEGにも同じく感じる。ヴォーカルにエフェクトを掛け過ぎなのと若干曲が単調なのが難だが、それでも何度も聴いてしまう中毒性のあるシンガーだ。
MEG HP

MEGちゃんを
戸棚の中で
飼いたいな

それじゃ犯罪である。

MEG「OK」



Lio「Amoureux Solitaire」


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携帯CMでブレイク必至!?~ピエール・アンリ「サイケ・ロック」

2007年12月17日 22時57分05秒 | 素晴らしき変態音楽
最近携帯auのINFOBARのTV-CFで使われているグルーヴィーな曲を耳に留めた方も多いだろう。トロッグスの「ワイルドシング」に似たリフにキュルルルルという電子音が絡むあの曲を作ったのがフランスの電子音楽家ピエール・アンリだ。1927年生まれだからもう80歳の好々爺である。40年代後半から"ミュージック・コンクレート(具体音楽)"という電子音響の手法を研究し始めた。これは話し声や自然音、自動車の音、ガラスの割れる音など様々な具体音を録音し、それを細切れに繋ぎ合わせるという、録音技術をフル活用した制作方法だった。当時は厳密には電子音は使っていなかったので、いわゆる電子音楽からは亜流とされる。むしろアヴァンギャルドな音響彫刻と呼べるサウンドである。50年代半ばに先日他界した振付師モーリス・ベジャールと知り合い、彼のバレエのための作品をいくつも制作した。そのひとつが、映画音楽家ミシェル・コロンビエと共作した1967年の「現代のためのミサ」であり、その中の「サイケ・ロック」という曲が、現在TV-CFに使われているわけだ。この曲は当時フランスで流行した"ジャーク"(ツイストのようなもの)というダンス・ミュージックにエレクトロニクスを合体させ、そのキャッチーなサウンドで、現代音楽史上初のポップス・ヒットとなった。
以来アンリは自己の音響研究所を設立し、無数の電子音響作品を発表してきた。最近亡くなったシュトックハウゼンをはじめ、普通の(?)現代音楽の作曲家であれば、通常の楽器を使った作品も作曲しているのだが、アンリは現在まであくまでミュージック・コンクレートを核にした電子音楽のみをコツコツと創り続けてきたマッド・サイエンティストなのである。
10年ほど前、「現代のためのミサ」がテクノ/ハウスのアーティストに注目され、リミックスがリリースされヒットしたこともある。その頃のアンリの演奏風景のビデオを観たことがあるが、70歳にしてDJブースに仁王立ちする姿は神々しいほどのオーラを放っていた。
2000年頃には自らの作品を集大成するボックス・セットが4セット・リリースされ話題になった。内容は凄まじいの一言である。その辺のエレクトロニカやノイズなど裸足で逃げ出すような重厚な音響が渦を巻く。私もボックス・セットを揃えたが、その意志の強靭さと歴史の重さに茫然自失している有様だ。
入門編としては写真に載せたベスト盤「現代のためのミサ」がお勧めである。モンドでカッコいい「現代のためのミサ」の他にも、電子音がのたうち回るビョークのような曲や、ドアの軋む音だけで出来たアンビエント音響も収録されている。

アンリ翁
魑魅魍魎の
ノイズ道

しかしこの手強い音楽をコマーシャルに使ってしまう携帯会社も別の意味ですごいと言える。
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