A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二+太田惠資@下北沢Lady Jane 2019.9.15 sun

2019年09月18日 00時29分39秒 | 灰野敬二さんのこと


立待の月聴覚の月

start 7:30 pm 2 stages
charge:¥3,300(予約¥2,800)+ Drink Fee

灰野敬二 (g, polygonola)
太田惠資 (vln, voice)

西瓜を眺めていた櫻井博士が生んだポリゴノーラという、音階を持って倍音を奏でる手強い多角形楽器に挑む、悲しみのヴァイオリニストであり妖かしのヴォイスも油断大敵なのだ。



灰野がここ5年くらい特にアコースティック寄りのライヴで好んで使う創作打楽器がポリゴノーラ。広島大学の櫻井直樹教授が、スイカを叩いた時の音をヒントに発明した楽器である。数ヶ月前NHK「ためしてガッテン」の「おいしいスイカの選び方」特集で、突然灰野のライヴ動画がオンエアされてSNSで話題になったが、それがスイカから生まれた楽器ポリゴノーラの紹介のひとつだった。過去ブログを遡ったところ、筆者がこの楽器を初めて観たのは、2014年10月19日渋谷ラストワルツでの灰野敬二と狩俣道夫のデュオライヴだった。そのときはガムランのような民俗音楽用の楽器だと思ったが、同年12月6日下北沢Lady Janeでの灰野と太田惠資のデュオライヴでは、当時「OTO」と呼ばれていたポリゴノーラがメインの楽器として使われた。金属を叩く音にも関わらずメタルの冷たさではなく有機的な円やかさを帯びた音響が厄払いの火打石のように思えた、とある。


朝生愛, 樋口寿人@八丁堀七針/灰野敬二、太田惠資@下北沢Lady Jane 2014.12.6(sat)

それから5年近く経ち、五角形や六角形や吊り下げ型もでポリゴノーラの種類が増え、同時に灰野の編み出した演奏法もバラエティが増えた。様々なポリゴノーラから紡ぎ出されるバイオニック・サウンドが、太田のエスノ風味のバイオリンプレイと絶妙にミックス/リエゾンし、どこの国にもない不思議な民俗音楽を産み出す。この日はさらに、中近東テイストのフレーズを奏でるバイオリンに、灰野がチャルメラで絡む展開があり、見事なまでに不可知な邪宗無国籍エスノ空間を産み出し、下北沢をアラビアンナイトの千一夜物語にワープさせるマインド辺境の旅へ誘ってくれた。



変化し続ける街の様相を横目に、40年前と殆ど変わらぬ豊穣な空間を保ち続けるLady Janeに座って、新しくも懐かしいスイカから生まれた不思議な楽器の音色を聴いていると、音楽も政治も人生もすべて人間の営みの自然な滋養の基として味わうべきだと心の底から叫びたくなる。そんな衝動を心の底に秘めて、二人の音楽の達人による極上の音楽体験を味わい尽くした日曜日の夜であった。

西瓜とは
違った音の
ポリゴノーラ

【灰野敬二ライヴ情報】
9月23日(月祭)東京・秋葉原CLUB GOODMAN
RICHARD PINHAS LAST JAPAN TOUR

open18:30 start19:00
adv.¥3300 door¥3800 (+drink order)
出演:RICHARD PINHAS/灰野敬二/吉田達也/武田理沙




10月18日(土) 福岡UTERO
GOUACHE fukuoka mens & meld presents
『不失者ライブ』

OPEN/START 18:00/19:00
ADV/DOOR 4,000/4,500 (ドリンク別)

不失者(灰野敬二、ナスノミツル、RyosukeKiyasu)
ドンマツオ(ズボンズ)
Nyantora(ナカコー)+duenn

TICKET予約:
twitter @meld_fuk
instagram @meld_fuk
のそれぞれのDM
または
gouache.nakamura@gmail.com




10月27日(日) 東京・渋谷 宇田川町空き地
DANCE TRUCK TOKYO : 2019

2019年10月26日(土)・27日(日)
18:00-20:00
入場無料(事前予約不要)
*灰野敬二は10月27日(日)に出演

ACT出演:Abe"M"ARIA、五十嵐結也、川村美紀子、きたまり、しでかすおともだち、白井剛/Dill、灰野敬二、東野祥子、メガネ(座)、森下真樹/森下スタンド、山川冬樹、ロクディム


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【PUNK LIVES! 2019】ラフィンノーズ/スタークラブ/ロリータ18号/ライダーズ/ニューロティカ/コックニー・リジェクツetc.+爆裂女子 零ちゃん卒業へ向けて

2019年09月16日 12時23分14秒 | ロッケンロール万歳!


[PUNK LIVES! 2019]
〜10th ANNIVERSARY〜

9/8(日)新木場STUDIO COAST
前売¥5,800(スタンディング・税込み・ドリンク代別途)
OPEN 10:00 / START 11:00

[出演]
ANGER FLARES / BEYOND HATE / BRAHMAN / THE CHINA WIFE MOTORS / COCKNEY REJECTS (UK) / FIVE NO RISK / THE DISASTER POINTS / FUNGUS / GBH (UK) / GOOD4NOTHING / HAT TRICKERS/ JUNIOR/ KiM / LAUGHIN' NOSE / locofrank / MONOEYES / THE PRISONER / RADIOTS / THE RYDERS / SA / THE STAR CLUB / RAISE A FLAG / Resolute Immortal Partizan / VIBRATE TWO FINGERS / 九狼吽 / the原爆オナニーズ / ニューロティカ / 壬生狼 / 雷矢 / ロリータ18号



パンクとは何か?という問いは生命とは何か?宇宙とは何か?万物とは何か?という問いと同様にこれまで数多くの人達が頭を悩ませて来た究極の疑問のひとつに違いない。ダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』によると生命と宇宙と万物の答えは「42」であった。しかしパンクとは何か?という疑問の答えはパンク勃発から43年経った今でも未だハッキリしてはいない。

●原爆オナニーズ


拙著『地下音楽への招待』(ロフトブックス)の帯には「パンクよりも自由な世界へ」と書かれている。これは筆者ではなく編集担当の加藤彰氏が考えた文句だが、世界的なパンクムーヴメントの影に隠れるように70年代後半から80年代前半の日本で密かに興った特異な音楽現象=地下音楽を表すのに誠に分かり易いキャッチコピーであることは確かだ。しかしよく考えるとパンクは自由な世界を求める現象だったのだろうか?

●THE PRISONER


元々パンクロックとは60年代アメリカを中心にビートルズやローリング・ストーンズに憧れたテーィンエイジャーが結成したガレージバンドを表す言葉だった。両親や学校への反抗心、日常生活への欲求不満をロックビートに乗せて歌う衝動的なロックンロールは、雁字搦めの社会からの自由を求める動きだったと言えるだろう。

●JUNIOR


70年代後半にニューヨークとロンドンで勃発したパンクムーヴメントも、商業化したロックビジネスから、自分たちの手にロックを取り戻す試みであり、保守的な社会への反抗であった。その意味で自由を取り戻す運動ではあったが、すぐに新たな流行のひとつとして資本主義システムの中に取り込まれていった。

●RADIOTS


その一方で東京や大阪の小さなライヴハウスやカフェやイベントスペースで他人とは異なる表現活動を実践していた地下音楽家は、圧倒的少数派(マイナー)故に資本主義に塗れることもなく、売れる売れないという商業ベースではなく、Do It Yourselfの精神を保ちつづけて、自分のやりたいようにやれる自由を求めつづけたのである。

●THE STAR CLUB


筆者がパンクロックにハマったのは1977年中学3年の時ラジオや雑誌を通してだった。キッスやエアロスミスといったハードロックだけでは満足できず、プログレやブルースなど別のスタイルに興味を持ちはじめた14歳の筆者の目には、髪をツンツンに立て破れたTシャツを着て鋭い目つきでこちらを睨みつけるパンクロッカーは衝撃的なカッコ良さだった。ギターソロのない2,3分のシンプルなロックンロールは弾丸のように心臓ではなく心に刺さった。

●THE RYDERS


日本でも東京ロッカーズをはじめとするパンク/ニューウェイヴ系のバンドが紹介されはじめ1979年には吉祥寺マイナーや荻窪ロフト等でフリクション、ミラーズ、SYZE、BOYS BOYSなど個性的なバンドを観た。同年高校の同級生とGLANDESというパンクバンドを結成し学園祭に出演した。セックス・ピストルズ、クラッシュ、ジェネレーションX、ジャムに加えてアナーキーやSEX(SYZE)のカヴァーで、エンディングでヴォーカリストがマイクスタンドを破壊するパフォーマンスが大受けだった。

●BRAHMAN


一浪して大学へ入学した82年には好みはポストパンクやオルタネイティブロックに移っていて、真っ当なパンクロックを聴くことは減った。学園祭でオールナイトのハードコアパンクイベントが開催されたが、続々集まってきた革ジャンモヒカンのパンクス集団が怖くなり観るのは断念した。しかしラフィン・ノーズやウィラード、ばちかぶり等は学園祭やライヴハウスに観に行った。特にばちかぶりの変拍子のハードコアサウンドと田口トモロウの目を見開いた異形にはリアルパンクのスリルを感じた。86年就職したころブルーハーツのデビューアルバムを聴いてパンクの血が騒いだ。

●GOOD4NOTHING


しかし90年代に入ると洋楽ロック、特にオリジナルサイケやブリットポップ一本やりになり、パンクロックを聴くことは殆どなくなった。グリーンデイやランシドなどのパンク・リバイバルやハイスタンダードなどのメロコアにも興味は惹かれなかった。自分の中ではパンクは死語に近いイメージになっていった気がする。

●HAT TRICKERS


2000年4月に渋谷On Air Eastで開催されたJapan Puck Rock Festival 2000というイベントに友人に誘われて観に行った。ライダーズ、コブラ、アナーキー、スタークラブ、ラフィンノーズといった80年代日本のパンクバンドが集結し、会場には色とりどりのモヒカンやスパイキーヘアが鋲付きの革ジャンで多数集結していて、82年のオールナイトハードコアライヴで見た光景を思い出させた。懐かしさと共にシンプルでポップなパンクサウンドが新鮮で十代に戻った気がした。中古盤屋で日本のパンクのCDを買い集めたが、興味は再びノイズ/アヴァンギャルドに移り、パンクのCDは棚の奥に締まって聴くことは無くなった。

●ロリータ18号


ノイズや地下音楽のライヴに通ううち、新宿ロフトの企画で原爆オナニーズ、スターリン(遠藤ミチロウ)、非常階段の合体ユニット原爆スター階段や、パンタとアナーキーの合体ライヴを観たり、ガールズガレージバンドの対バンでロリータ18号を観たりすることはあり、時折パンク熱が高まりかけることはあったが、燃え上がることはなく無難な日々が続いた。

●COCKNEY REJECTS


2012年7月に初めて観たでんぱ組のライヴでのハードコアやスラッシュメタルを彷彿させるヲタクの盛り上がりに驚愕し、BiSのハードパンクサウンドに心酔。2015年頃から通いはじめた地下アイドルのライヴ現場は目黒鹿鳴館、新宿ロフト、高円寺2万電圧といった、かつてパンクやメタルを観たライヴハウス。メタルやパンク、オルタナやプログレなど様々な音楽要素を持ったアイドルがカオスを楽しむ饗宴は混沌の80年代の天国注射の昼や愛欲人民十時劇場といった地下ベントを思わせた。

●ニューロティカ


その中でも世界で一番激しいアイドル・偶想Dropを前身とし、2018年1月にデビューした爆裂女子-Burst Girl-が筆者の第3次パンクロック熱の起爆剤だった。石井聰亙監督の映画『爆裂都市 Burst City』に因んで命名され、同映画の主題歌バトル・ロッカーズ「セル・ナンバー8」のカヴァーをはじめ、オリジナル・パンクロックの要素の強いシンプルかつポップなパンクナンバーは、40年前と同じく弾丸のように心臓ではなく心に刺さった。その勢いでガーゼやスタークラブ、復活した亜無亜危異といったパンクのライヴへ通いはじめた。

●LAUGHIN' NOSE


そして2019年9月8日台風が近づく中『PUNK LIVES 2019』という昼から夜まで11時間に及ぶパンクロックフェスに参戦した。以前は激しすぎて立ち入れなかった最前エリアでステージダイブを避けながら腕を振り上げてモッシュする自分の体力に我ながら感心する。これも爆裂女子の激しすぎるライヴで鍛えられたお陰である。なによりも年齢も性別も経歴も思想も異なる人達がすべてを忘れて音楽を楽しむ環境に身を置くことの出来る喜び。パンクとは何か、という問い自体が意味をなさない、人間の根源的な欲求を発散できる場所、それがパンクロックに違いない。

●ANGER FLARES


パンクには
感謝の気持ち
忘れない

それを教えてくれた爆裂女子の中心メンバーしばくぞ零ちゃんが、本日卒業ライヴを行う。これから会場の目黒鹿鳴館へ向かう直前に、感謝を籠めた本ブログをアップできて感無量である。今日は自分が一番楽しむことにしよう。

●爆裂女子


爆裂女子-BURST GIRL-/ナンシー【OFFICIAL MUSIC VIDEO】














コメント

【えいたそモダニズム】Episode 30『アヒル・デ・フェスタ』レジデンツ/グリムス/M.マクラーレン/ステレオラブ/NWW/D.ジョンストン/K.チーフス/でんぱ組etc.

2019年09月11日 00時01分34秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


7月16日秋葉原Club Goodmanでの成瀬瑛美ワンマンライヴの1ヶ月後の8月16日渋谷EdgeEndでの盤魔殿vol.27で筆者はでんぱ組.inc『プレシャスサマー!』へのオマージュとして『レリジャスサマー!』として宗教縛りのDJをした。キリスト教、般若心経、法華経、イスラム教、ヒンドゥ教、ハレクリシュナ、創価学会、幸福の科学、エホバの証人、オウム真理教、バカボン教、テンプル・オブ・ザ・サイキック・ユース、ビクトル・ユーゴー、ヤホワ13、暗黒教団といった宗教ソングの中に筆者が籠めた想いは“僕たちは愛し合う/神にそむいて”(オックス「神にそむいて」)という瑛美への禁断の愛であった。それが瑛美に届いたかどうかは分からないが、でんぱ組が活動を続ける限り、そして瑛美がソロを含め人前に出てくる限り、筆者の想いは変わることがないと断言しよう。そんな一途な想いが叶ったのか、再び瑛美と(衆人環視の中)二人で話す機会が訪れた。



8月27日(火)渋谷ヴィレッジヴァンガード
『ポン・デ・フェスタ』発売記念!
『浴衣・デ・フェスタ』〜成瀬瑛美2ショットチェキ撮影会

8月9日にTOY’S STOREとヴィレッジヴァンガード一部店舗で限定販売されたでんぱ組のニューシングル『ボン・デ・フェスタ』の購入者特典会。浴衣姿というのが肝だったが、気付いたら自宅に浴衣や和服が見つからず、秋葉原グッドマンワンマンの時に買ったえい10周年Tシャツで臨んだ。登場してすぐ予定外の『ボン・デ・フェスタ』ひとりアカペラ歌唱の大サービス。これこそまさに太陽神降臨。黄色い浴衣姿の美しさに目が眩みながらステージへ上がる時手にしたのは家を出がけにポケットに入れたアヒルのゴム人形だった。「アヒルだよ」と差し出したところ「わあい」と喜んで素敵な笑顔でチェキに収まる。浴衣が素敵だね、と褒めつつ新たなお題を求めると「アヒルにしようか。きっといろいろあるよね?」との応え。珍しくこちらのネタに乗ってきたよ、とほくそ笑んで短いながらも心温まる瞬間を噛み締めた。



●でんぱ組.inc『ボン・デ・フェスタ』


でんぱ組.incが贈る2019夏ソング『ボン・デ・フェスタ』は、作詞 只野菜摘によるお盆をテーマに、人との出会いや別れを通して、時代を超え今ここで生きている素晴らしさを歌ったナンバー。作曲・編曲は、Tom-H@ckによる情報量溢れ、展開の激しいでんぱ組.incど真ん中なサウンドに仕上がっている。イラストアートワークは前作に引き続き、エース明が担当。竜宮城をテーマに、どこかギーク感や昭和感が滲み出る作品になっている。

前作『子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡』ではぴょんぴょん=ウサギ、コケコッコー=ニワトリに化したえいたそが、今回はカメになって悪戯っ子たち=未鈴、ねも、ぺろりんに虐められたり、浦島太郎=ピンキーを竜宮城に連れて行く過酷な役柄を笑顔で熱演。でんぱ組の元気のもとはえいたそにあり。「えいたそは宗教」と夢眠ねむがオフレコで語ったとか。

でんぱ組.inc「ボン・デ・フェスタ」Music Video


【えいたそモダニズム】Episode 30『アヒル・デ・フェスタ』
そんな重責を担う瑛美が、筆者が持参した黄色いアヒルを見て癒されたとしても不思議ではない。素直な気持ちがそのまま口から出たのかもしれない。幼い頃に一緒にお風呂に入ったアヒルの人形の思い出は、瑛美の純真を取り戻すヒーリングパワーを持っている。そんな「アヒルのパーティー(アヒル・デ・フェスタ)」を筆者の愛に溢れた妄想力で紐解いて行くとしよう。



●The Residents『Duck Stab!』


アメリカを代表する前衛ロックコンボ、レジデンツが1978年にリリースした7インチEP。それまでの作品に比べ分かり易いポップな作風で彼らにとっては珍しくすぐに完売したという。同年末にLP『Duck Stab/Buster & Glen』として再リリースされた。

瑛美に「お題はアヒル」と言われた瞬間筆者の頭に浮かんだのがアヒルをナイフで突き刺すこのジャケット。1978年新宿CISCOで筆者が初めて買ったレジデンツのレコードだった。このEPで聴けるサウンドは意外に取っ付き易く、雑誌ZOOの記事やPlayer誌の八木康夫の連載で読んで想像していた難解で訳の分からない変態バンドとは少し違っていた。しかしその後『サード・ライヒン・ロール』を買って変態節に心酔するキッカケとなったEPであり、後々実は奇天烈な『謎サウンド』の宝庫であることに気付き今は一番の愛聴盤。不滅のレジデンツ愛はえいたそ愛に繋がっている。

The Residents - Duck Stab! / Buster & Glen (1978) [Full Album]



●Federal Duck『Federal Duck』


フェデラル・ダックは60年代末にペンシルヴァニア州ハバフォード大学で結成された。地元のダンスパーティやフェスティバルで人気を博し、Musicor Recordsから1968年にアルバム『フェデラル・ダック』をリリース。キャッチーなサイケポップやアシッドフォークから管楽器を加えたクラシカルなナンバーやグッドタイムミュージックまで多彩な音楽性を持つB級サイケの名盤。バンドはこの一作で解散し、メンバーの何人かはカントリー/ブルーグラス・シーンで活動した。

80年代半ばから60年代サイケのレコードを集め始めた。就職して90年代は海外出張に行く機会が多く、その度に現地の中古レコード屋で盤を掘った。「連邦政府のアヒル」という名のこのレコードは94年にニューオリンズで購入した。ジャケットはバブルガムポップに有りがちな子供狙いのコミカル風味が濃いが、サウンドは結構本気のサイケデリア。現在はそこそこのレア盤になっているようだ。カラフル衣装のサイケアヒルの本性を見た。

Federal Duck - Federal Duck 1968 (FULL ALBUM) [Psychedelic Rock]



●Fuzzy Duck『Fuzzy Duck』


ファジー・ダックは1970年に元AndromedaのMick HawkswothやTucky BuzzardのPaul Francisらによって結成されたハード・ロック・グループ。翌年に小レーベルのMAMからセルフ・タイトルのアルバムでデビューを飾る。Roy Sharlandのハモンド・オルガンが印象的な正統派HRの良作。1972年12月解散。解散後Hawksworthは末期のKilling Floorに加入。Watt-RoyはEast Of Edenに加わっている。

「ファジー Fuzzy」とは毛羽立った/フワフワしたという意味から転じて「曖昧な/ハッキリしない」という意味で使われる。「曖昧なアヒル」を意味するこのバンドのサウンドは寧ろ明快なブリティッシュハードロック。わずか500枚限定のマイナー・プレスのため後年になってマニアに高値で取引されるレア・アイテムとなったが、現在ではSpotifyでも手軽に聴けるスタンダード・アイテムに。マイナーからスタンダードへ、マイナスからスタートしたでんぱ組や瑛美の生き方に似たレコ話である。

FuzzyDuck



●Grimms『Rockin' Duck』


グリムスはボンゾ・ドッグ・バンド、ザ・スキャフォルド、リヴァプール・シーンの三つのバンドのメンバーにより1971年に結成された6人組バンド。ロック、コメディ、ポエトリーを融合したスタイルでブリティッシュポップらしい洒脱サウンドを展開した。73年の2ndアルバム『ロッキン・ダック』はジャケットのアヒルが立体的に飛出すギミックジャケットでリリースされた。グリムスとしての活動は76年に終了するが、メンバーのニール・イネスはソロやビートルズのパロディバンド、ラットルズ等で活躍した。

ブリティッシュポップの源流のひとつにコメディがある。モンティ・パイソンに代表されるウィットに富んだ庶民の笑いが特徴。音楽だけでなく文学やコメディの要素を持つグリムスの世界の象徴がアヒルである。ステージで頭に被り、1stアルバム『Grimms』のジャケットに地紋として登場したアヒルをメインに据えた本作こそ、英国諧謔ポップミュージックの真髄と言えよう。いつも笑顔でみんなを笑わせるえいたその世界もアヒルがいればもっと輝くだろう。

"Rockin' Duck", Grimms (Rockin' Duck, 1973)



●Malcolm Mclaren『Duck Rock』


セックス・ピストルズの仕掛人マルコム・マクラーレンの83年の1stソロアルバム、邦題『俺がマルコムだ!』。NYでまだマイナーだったHip-Hopとアフリカ音楽を融合、Hip-Hopを世間に知らしめた歴史的名盤として評価されている。トレヴァー・ホーンが共作、プロデュースを担当。スクラッチを初めて導入した先行シングル「バッファーロー・ギャルズ」もヒットしている。

ニューヨーク・ドールズとセックス・ピストルズで猥雑で破壊的なロックのアンチヒーローを産み出したマルコム・マクラーレンは元々ファッション・デザイナー。次なる流行ヒップホップをいち早く取り入れてポップチャートに送り込んだ才覚はペテン師ならではの閃き。duckには「(責任を)避ける、身をかわす」という意味があるから、Duck Rockとは世渡り上手なロックという意味かもしれない。えいたそもアヒルのように世渡り上手になって芸能界を生き抜いてほしい。

Malcolm Mclaren - Duck Rock (1983)



●Nurse With Wound / Stereolab『Crumb Duck』


エレクトロ系ロックバンド、ステレオラブと英国地下音楽の重鎮ナース・ウィズ・ウーンド(NWW)のコラボ作品。93年に10インチEPとしてリリースされた。クラウトロックバンド、ファウストに捧げられた「Animal or Vegetable (A Wonderful Wooden Reason ......)」とステレオラブの曲をNWWのスティーヴン・ステイプルトンがリミックスした「Exploding Head Movie」の2曲を収録。後にコンピレーションでリリースされるも既に廃盤。

90年代、筆者はギターロック一本やりだったのでステレオラブはあまり聴かなかったのだが、変態魔王NWWとのコラボにはちょっと驚いた。ノイ!やクラスター等音響系クラウトロックの影響がNWWにより肥大化し頭痛がするほどポップなサウンドが生まれた。「アヒルを粉砕せよ」というタイトルで言い得て妙。人差し指と人差し指に挟まれたアヒルの困惑した表情がカワイイ。瑛美がこんな表情をしたらキュン死しちゃうに違いない。

Nurse With Wound / Stereolab - Animal Or Vegetable (A Wonderful Wooden Reason)



●Daniel Johnston『Space Ducks:Soundtrack』


アメリカのアウトサイダーシンガーソングライター、ダニエル・ジョンストンのコミック・ブック『Space Ducks: An Infinite Comic Book of Musical Greatness』のサウンドトラック・アルバム。2012年リリース。D.ジョンストンの楽曲以外に他のアーティストがコミック『Space Duck』にインスパイアされた楽曲を提供している。

ビートルズとお化けのキャスパーとキャプテン・アメリカとマウンテン・デューを愛する永遠の12歳「世界イチピュアなおっさん」と呼ばれるダニエル・ジョンストンもアヒルが大好き。自分で描いた宇宙アヒルの冒険漫画に自ら音楽を付けて喜ぶ自己満足が世界中の音楽ファンを楽しませる。えいたそが自分が好きなことを追い求めると世界がハッピーになるのに似ている。

daniel johnston - space ducks - 2012



●Kaiser Chiefs『Duck』


2003年夏に結成。英国リーズ出身の5人組。今までのアルバム6枚全てが全英TOP10入りしている英国人気バンド=カイザー・チーフス、2016年アルバム『Stay Together』以来、3年振りのニュー・アルバム!プロデュースは2015年アルバム『Education, Education, Education & War』を手がけたBen H. Allen IIIと、Snow Patrol、James Bay、Jake Bugg等で知られるIain Archer。

遅れて来たブリットポップバンド、カイザー・チーフスはギターロックのスピリットを保ち続けて今や英国を代表する人気バンドに成長した。久々のアルバムに「アヒル」と名付けた真意は分からないが、太陽も登場する明るく楽しいサウンドは掛け値なしのロックの王道。8月に横浜アリーナで開催されたアイドルフェス「@JAM EXPO 2019」の選抜ユニット・@JAM ALLSTARS 2019のセンターに選出されたえいたそも名実共にアイドルの王道。王者の貫禄で突き進もう。

Kaiser Chiefs - People Know How To Love One Another (Official Video)


アヒルとは
サイケでパンクな
アイドル像

▼相性は70%くらいがベスト。


▼ラバーダックレースを一緒にやるのが夢。
Buck Creek Duck Race
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【セットリスト&音源公開】9/1開催『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.28:Fête d'observation de la lune noire 暗黒月見会』

2019年09月04日 07時47分39秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.28
Fête d'observation de la lune noire 暗黒月見会


渋谷 DJ Bar EdgeEnd
2019/9/1 sun
18:00 Open/Start 
1000yen incl. 1drink

18:00-18:30 Free Zone (自由参加)
18:30-19:00 DJ Bothis aka 山田遼 
19:00-19:30 DJ BEKATAROU aka 伊藤元 
19:30-20:00 DJ SatosicK 
20:00-20:30 DJ Necronomicon aka 剛田武 
20:30-21:00 DJ ケロリン aka ケロッピー前田
21:00-21:30 DJ Vaby aka 大場弘規 
21:30-22:00 DJ emamouse 
22:00-22:30 DJ Paimon aka Moppy 



●Free Zone (自由参加)


DJ Vaby
1. O.S.T. The Exorcist / Tubular Bells
2. Danielle Dax / Big Hollow Man

DJ BEKATAROU
1. WOLF VOSTELL / Heuwagen
2. Yannick Franck / Copy Cat
3. Yannick Franck / What Can I Do

DJ Necronomicon
1. クラフト / 曇りのち晴れ
2. 喜多郎 / 朝の祈り




●DJ Bothis aka 山田遼 


broken flagレーベル特集
1. Ramleh / Ramleh
2. JFK / Penisator
3. S.P.I.T.E. / Untitled (From “Violence”)
4. Death Mag 52 / Untitled Track 1 (From “Death Mag 52”)
5. Ramleh / deathtoll
6. Toll / Out2
7. Male Rape Group / S/T
8. Consumer Electronics / Filthy Art
9. Ramleh / Leavin' Here
10. Ramleh / Purge






●DJ BEKATAROU aka 伊藤元 


金属等の雨
1. WOLF VOSTELL / Radio-dé-coll/ age
2. ほぶらきん / 村のかじや
3. Hogg / Religion Is Fun & Bathing Is Free
4. Yannick Franck / Just Like A River
5. エスキモーの歌 :
現地録音・監修 / 小泉文夫
歌 / アラスカエスキモー
(1).子守唄
(2).もしもロシア人がエスキモーの大統領になったら
(3).ネクタイを締めてダンスへ行こう
(4).狩の歌
(5).魚獲りのうた
(6).土を掘る歌
(7).幸せの歌
6. Komare / Substrate




●DJ SatosicK


ダークパンク/ポジティヴパンクをメインに
1. Datsustora / Of Final
2. Darkcell / Into The Cell
3. Progetto Morte / New Life
4. Jennifer Veillerobe / Untitled (from Luftlöcher)
5. Controlled Death / Untitled (from Evil Discharge)
6. Necrofilia / Essere Per La Morte
7. The Klinik / Public Pressure


 

●DJ Necronomicon aka 剛田武

 
デスイージーリスニング
1. 都立清瀬高等学校第11回卒業式 / 5組 We Are The World
2. Nocturnal Emissions / You Temped Me
3. Paul Mauriat and his Orchestra / Michelle
4. 新潟交通民謡研究会 / 佐渡おけさ
5. F.B. Mache / Terre de Feu, 2nd Version
6. 沖縄電子少女彩 / 赤い靴 / キャプテン・ビーフハートに捧ぐ
7. 哀秘謡(灰野敬二 ) / 赤い靴
8. ザ・キャンディ / 花はどこへ行った
9. 川島誠 / Improvisation
10. 春日井直樹 / Sex Sex Seventeen
11. Raymond Lefevre / Allegro de la 40eme Symphonie de Mozart
12. 武満徹 / Vocalism A.1
13. Euqisumorih / セキセイインコ
14. N.S.P. / 赤い糸の伝説





●DJ ケロリン aka ケロッピー前田


サウンドのネイキッドランチ
1. Cabaret Voltaire / Western Mantra from “Three Mantras”
2. Brian Jones / War Song/Standing + One Half (Kaim Oua Nos) from “the Pipes of Pan at Joujouka”
3. William Burroughs / Origin And Theory Of The Tape Cut-Ups from “Break Through In Grey Room”
4. Stelarc & Petros Vouris / StickMan Alive (Live performance excerpt) from “StickMan: Aural Body Autopsy”
5. Jon Hassell & Brian Eno / Ba-Benzélé from “Fourth World, Vol. 1: Possible Musics”
6. William Burroughs / K-9 Was In Combat With The Alien Mind Screens from “Break Through In Grey Room”
7. DJ TKD & Keroppy Maeda / BURST Generation Vol,2 (Original Track)
8. Jon Hassell / Farafina / Tales Of The Near Future from ‎”Flash Of The Spirit”
9. David Tudor / Phonemes from “Three Works for Live Electronics”
10. David Tudor / Pepsibird from “The Art Of David Tudor 1963–1992”
11. Ornette Coleman / Midnight Sunrise from “Dancing in Your Head”
12. Brian Jones / Your Eyes Are Like a Cup of Tea from “the Pipes of Pan at Joujouka”




●DJ Vaby aka 大場弘規
 

オールTNB(関連)
1. The New Blockaders / The Pulp Sessions Part I (Ltd 250)
2. The New Blockaders / Live At Morden Tower 13th July 1983 (Ltd 100)
3. The New Blockaders With Vortex Campaign / Mandrakemanfits (Ltd 100)
4. The New Blockaders / Le Retentir Non (Ltd 16)
5. The New Blockaders & Kommissar Hjuler Und Frau / Kampfer, Die Nicht Kampfen (Ltd 75)
6. The New Blockaders & Mama Baer / Klimpermusik (Ltd 177)
7. GX Jupitter-Larsen With The New Blockaders / Live At The Schimpfluch Carnival (Ltd 250)
8. The New Blockaders & Xtematic / Part I (Ltd 80)
9. The New Blockaders & The New Movement / Nihilisten Auf Schienen (Ltd 20)
10. The New Blockaders / Epater Les Bourgeois (LTD 10)
11. The New Blockaders And Ferial Confine / Gesamtkunstwerk
12. New Blockaders With Ferial Confine / Untitled (Ltd 300)






●DJ emamouse


踊れてキモくて素敵で楽しい辺境のニュー民族音楽
*DJ emamouseのセットリストはJerome mix fileのサイトで9/15頃公開予定。 


●DJ Paimon aka Moppy 


UKダブ&レゲエ
1. The Mothmen / Afghan Farmer Driving Cattle
2. African Head Charge / Off The Beaten Track
3. Missing Brazilians / Crocodile’s Court
4. Prince Far I and the Arabs / Back Weh
5. Jonah Dan / Inter Galctic Dub Rock
6. New Age Steppers / Fade Away
7. Ranking Ann / Moonlight Lover
8. Doctor Pablo & The Dub Syndicate / Man of Mystery




●MIX音源公開:ダウンロード期限 2019年11月1日(金)
*接続の不調により音質と定位にお聴き苦しい箇所があります。ご了承ください。

GigaFile Link

月は亡く
盤魔の音が
響くのみ

次回予告
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.29
Jour Physique sans dieu 神無体育の日


Shibuya DJ Bar EdgeEnd
2019/10/14 Monday/Holiday
18:00 Open/Start 22:30 End
1000yen incl. 1dtink

Regular DJs and Special Secret Guests
コメント

【寫眞集天國】『佐藤ジン:Underground GIG 東京1978 – 1987』『爆裂女子写真集:Riot Girls』『Gallery Nomart:アートの奇跡』

2019年09月03日 02時32分43秒 | 書物について


自分でも忘れかけていたのだが、筆者は中学1年の時「写真部」に入っていた。放課後に活動する部活ではなく(そちらは軟式テニス部だった)、授業のひと枠のクラブ活動の時間だったと思う。特に写真が好きだった訳ではないが、子供の頃集めたTVヒーローのブロマイドや大阪万博の絵はがきが好きで、写真に憧れはあった。デジタルカメラやスマホが普及した現代からは信じられないが、昭和50年代は写真は金のかかる趣味だった。小中学生で自分のカメラを持っているのは金持ちのボンボンだけだった。だから写真部に入れば親のカメラを自分の物にできるし、写真屋に出すと高価な現像やプリントが自分で出来るので、安上がりで楽しめると考えたのかもしれない。オートマチックカメラを手に意気揚々と撮影に臨んだのだが、カッコいい被写体が思い浮かばず、近所の原っぱで遊んでいる妹や、テレビ漫画の画面を撮影する程度だった。学校の暗室で丸い缶に現像液と撮影済みのフィルムを入れてかき混ぜるのだが、蓋のしめ方がユルくて光が入ってしまいダメにしたり、上手く現像できても印画紙に投影する時に焦点が合わずボケ写真になったりで、結局まともな写真は出来なかった。悔しくて、奇麗に出来た他人の写真をくすねて、自分の写真と偽って親に見せた暗い思い出がある。



それ以来写真熱は冷めてしまい、大学時代の自分のバンドの写真もあまり残っていない。特に吉祥寺GATTYに出演していた即興ユニットOTHER ROOMの写真が1枚もないのは返す返す残念でならない。80年末に一眼レフを買って(もちろんフィルム式)子供を中心に家族写真をたくさん撮った。90年代には「写るんです」等使い捨てカメラが人気になり写真を撮る機会も増えた。増え続ける写真を、最初のうちはアルバムに整理していたが、次第に面倒くさくなり、子供が中学に進学して以降は段ボールに詰め込んだまま放置してある。



2000年代からデジタルカメラが普及しはじめ写真屋に現像を頼む必要が無くなり、さらにスマートフォンの写真機能の向上により、いつでもどこでも高度な写真/動画が撮れるようになった。しかし今度は撮り放題撮り過ぎてスマホの中の写真は万単位の枚数になり、もはや整理どころか見返すことも大仕事になった。無尽蔵に増える写真データをどうにかしてまとめてお気に入りの写真集を作ることを夢みてはや何年も経つ。そんな筆者の手元にほぼ同時期に素晴らしい写真集が3冊届いた。ジャンルもテイストも異なるが、筆者が愛好する世界を凝縮した感慨深い写真ばかりである。家へ帰り食事や風呂やブログ執筆を終えてから、お気に入りのレコードを聴きながら写真集のページを捲るのが、筆者の秋の夜長の理想的な過ごし方になるだろう。



●佐藤ジン『Underground GIG Tokyo 1978 – 1987 Action Portrait by Gin SATOH』


灰野敬二の1stアルバム『わたしだけ?』のジャケット写真を撮影したことで筆者が最大にリスペクトするカメラマン佐藤ジンは、70年代末に発生した日本のパンク/ニューウェイヴ/地下音楽のシーンを、楽器やマイクの代わりにカメラで記録した、というより描き出した。つまり「行動する肖像(アクション・ポートレート)」である。86年刊行のオリジナル版『GIG』が週刊誌を思わせるザラ紙の印刷だったのに比べ、新装版は高品位紙の印刷なのでかなり質感は異なる。しかし佐藤ジンにより描き出された行動する写真の迫真性は、変わらないどころか、30年以上の時間を経て、より鮮烈・鮮明に心と魂に刺激を与える気がする。実物を見た記憶はどうしても時間と共に変化してしまうが、写真を見る=記憶を感じることは、実体験を超えるほどリアルなエクスペリアンス足り得ることを実感する。

Friction フリクション Rare VHS Clip / Japanese Rock 軋轢

版元ドットコム


●爆裂女子写真集『Riot Girl』


デビューして1年半のパンクロックアイドル爆裂女子の初のオフショット写真集。2019年1月7日新宿ロフトで開催されたデビュー1周年ワンマンライヴ『No Future Idol?』の写真集は、激し過ぎるライヴパフォーマンスの魅力をそのまま記録したパンクなフォトドキュメントだったが、今回の写真集は「女の子」であり「アイドル」である4人の笑顔を自然体で捉えたハッピーなフォトブックである。タータンチェックのステージ衣装でソファの上で戯れるセッションは、仲のよい4人の笑いの絶えない楽屋風景を思わせるし、多摩川の河原で撮影したという私服のアウトドアセッションではそれぞれのメンバーの魅力を最も良く引き出すシチュエーションで、最もいい表情を撮ったキュートなポートレートばかり。ライヴの激しさと写真集の愛らしさの落差は、筆者の推しメン都子ちゃんの「ライヴはストロング、心はセンチメンタル」というキャッチフレーズそのもの。こんなに素敵な写真の数々を形に残せる幸せを心に刻んだ4人の、今後の躍進に期待が高まるばかりである。

爆裂女子 2019.7.28「爆裂地獄バスツアー」@ライブバス

まんだらけ公式サイト


●ノマル30周年記念BOOK『アートの奇跡』


橋本孝之とsaraからなるコンテンポラリーミュージックユニット.es(ドットエス)の本拠地である大阪のギャラリーNomart(ノマル)は、1989年大阪で版画工房としてスタートした。その後デザイン編集スタジオ、現代美術ギャラリー、前衛音楽のレーベルと拡張を続け、現代を生きるアーティストたちと共に創造し続けるノマルの30年間の記録をまとめた書籍。写真も多数あしらわれているが、写真集というよりは記録集と呼べるだろう。残念ながら筆者はまだノマルを訪れたことはないが、橋本孝之が言うには超アンダーグランドな基本理念を貫き通す希有なギャラリーの膨大な関連作品カタログや展覧会記録をページを捲って行くに連れて、大阪のみならず日本、アジア、世界中のアートの闘いの歴史を俯瞰するような気持ちになる。なによりも嬉しいのはノマル・ディレクターの林聡をはじめ、写真に写るアーティストやミュージシャンたちの表情がみな充実した笑顔で輝いていることである。

.es(ドットエス 橋本孝之 Takayuki Hashimoto & sara) 2019/8/3 Gallery Nomart

Nomart Store

『アートの奇跡』の表紙に記された「人はアートがなくても生きられるが、活きるためにはアートが必要である。」という言葉は、アートをミュージックに置き換えても真理である。その意味ではこの3冊の写真集は、「人」が本当に生きる(活きる)ために必要なものが何なのか、雄弁に語ってると言えるだろう。少なくとも筆者にが活きるためにこの3冊がこの上なく励みになることは確かである。

地下音楽と
アイドルとアートの
写真集

  



 
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【JazzTokyo #257更新】UP Unit(クリス・ピッツィオコス・ユニット)『Riding Photon TIme(光子時間に乗って)』

2019年09月01日 09時40分42秒 | 素晴らしき変態音楽


音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が公開された。カヴァー特集は『姜泰煥+高田みどり/永遠の刹那』。剛田武は下記のディスクレビューを寄稿した。

●CP Unit / Riding Photon Time

#1630 『CP Unit / Riding Photon Time』

観客の息の根を止めるクリス・ピッツィオコス・ユニットの真空ライヴ空間。
ピッツィオコスたちが、享楽的なコールマンや、エモすぎるアイラーや、理知に支配されたブラクストンよりも、神秘的なコルトレーンの世界に無意識のうちに近づいていることを意味している。

光速で
走る石には
苔は生さない

CP UNIT - Live at Unlimited 32, Schlachthof, Wels, Austria, 2018-11-11
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【地下アイドルへの招待 】 闇営業と病み営業と地下営業~始発待ちアンダーグラウンド/沖縄電子少女彩

2019年08月30日 01時31分33秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


地下アイドルへの招待  
第21回:闇営業と病み営業と地下営業
~始発待ちアンダーグラウンド/沖縄電子少女彩

DJ Necronomicon ネクロノミコン(aka 剛田武)

お笑い芸人の闇営業が話題になったのは6月頃だが、気に入らないのは"反"社会的勢力との繋がりばかり話題にするマスゴミの姿勢である。闇営業の相手は"反=アンチ"に限らない。"非=ノン","不=イル","外=アウトオブ"を含む社会的勢力、つまり「非合法の活動を行う非公然の組織」つまり「地下組織」に他ならない。そして地下組織の活動、つまり「地下営業」こそ筆者が提唱・推奨・実践する『地下音楽/地下アイドルへの招待』の導く人生の理想型に違いない。翻って考えてみると、地下アイドルの世界では「闇」ならぬ「病み」営業が白昼堂々公然と行われて来た歴史があり「闇」も「病み」も許されるYummy(おいしい)な現場である。「病み」を前面に押し出せば、気分が乗らずドタキャンしてもOK、キレた挙げ句の暴力行為や自傷行為も問題なし。そのうちに、病みすぎてライヴ現場にメンバーが誰ひとり現れない究極の病み系アイドルが登場するかもしれない。その日の病みが比較的軽いメンバーが自室から固定画面で声だけのインスタライブで出演し、歌詞は歌わず、殆どが「みんな大嫌い」「死にたい」「草葉の陰から一生呪ってやるからそう思え」といった呟きのみ。特典会でチェキ券を1枚1000円で販売するが、メンバーが現場に居ないのでヲタクのソロチェキオンリー、ヲタクが自分で落書きする用にパステルカラーのポスカを用意してあるサービスが大好評。リリース音源はすべてアンタイレコードならぬアンタイストリーミング。Apple Music、iTunes、Line Music、Spotifyなど配信サイトで配信中だが、グループ名も曲名も非公開なので、誰ひとり聴くことが出来ない幻の音源、万が一聴いてしまったら恐ろしい運命が待ち受けているという都市伝説で人気爆発。楽曲制作費や衣装代・振り付け料どころか、メンバーも要らない(インスタライブは寝たきり老人の寝言を加工したテープ)ので、元手ゼロでアイドル運営が出来てぼろ儲け。そうだ、やったもん勝ちだから俺が最初にやってしまおうか等と非合法的な思考を重ねることが地下営業への近道かもしれない。

閑話休題、現在地下営業で目覚ましい成果を上げつつある注目の地下アイドルの最新作を紹介しよう。。


●始発待ちアンダーグラウンド『始発待ちアンダーグラウンド』


渋谷で終電を逃しちゃったから結成、2018年2月より活動開始。オクヤマ・ウイ、フカミ・アスミ、ムラタ・ヒナギクの3人グループ。初めて観たのは今年6月2日ネクロ魔、爆裂女子との対バンだったが、グループ名の「アンダーグラウンド」に相応しいグラムロック/GS/ロカビリー風サウンドとメンバーのロック女子ぶりが気に入った。デビューアルバム『始発待ちアンダーグラウンド』は60年代サイケポップやグラム歌謡の要素が色濃く、真夜中過ぎの地下鉄ホームの闇の中で始発を待つ女子の独白で綴る寺山修司の戯曲を思わせる曲もある。深夜を過ぎて寝る前のYummyな時間を彩るちょとだけ病んだ世界に浸れる。

始発待ちアンダーグラウンド - 風街タイムトラベル【MV】】



●沖縄電子少女彩『黒い天使』


高校を卒業し、8月に19歳になったばかりの沖縄出身のアヴァンギャルドアイドル&ノイズミュージシャン。生誕ライヴは、昼の部アイドル(キスエク、めろん畑、リリカオ等)、夜の部ノイズ(灰野敬二、ドラびでお、美川俊治、ASTRO等)、昼と夜/陰と陽/光と影の両面備えた本領を発揮。2ndアルバム『黒の天使』は、ドラびでお、美川俊治、森田潤、魚住有希、宇川直宏等がゲスト参加。ポップス〜ノイズ〜テクノ〜民族音楽〜昭和歌謡〜ダンスミュージックが並列に並んだバラエティ豊かなアルバムになっている。以前盤魔殿にゲスト出演した東京リチュアルのバンギ・アブドゥル氏と繋がりが判明。近々盤魔殿出演が実現するかも。


沖縄電子少女彩『黒の天使』MV / Okinawa Electric Girl Saya『Black Angel』


注:この2アーティストの音源はストリーミングでもちゃんと聴けますのでご安心ください。

闇の中
病んだ魂
地下活動

ULTRA DARK IDOL FROM JAPAN
NECRONOMIDOL // Live at NärCon 🇸🇪 July 27,2019

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ハイパー能『睡蓮』桜井真樹子/灰野敬二/加藤ひろえ@成城学園 アトリエ第Q藝術 2019.8.23 fri

2019年08月26日 00時56分20秒 | 灰野敬二さんのこと


ハイパー能『睡蓮』

開場:19:00
開演:19:30 (21:00 終演予定)
入場料:前売り¥3,500 当日¥4,000 

アーティスト
シテ:桜井真樹子(妖精、ジャンヌ・ダルク、龍笛)
ワキ:灰野敬二(クロード・モネ、ポリゴノーラ)
後見:加藤ひろえ(蓮、生け花)



ハイパー能「睡蓮」は桜井真樹子の書下しによるストーリーを持った舞台藝術である。入場時に配布された資料には、植物学者である兄の櫻井直樹氏が考案した楽器ポリゴノーラと灰野敬二の関係⇒別の場で出会った生け花パフォーマー加藤ひろえからの共演の誘い。そこから、花⇒蓮⇒クロード・モネ⇒ルーアン大聖堂⇒ジャンル・ダルクの処刑⇒セーヌ川⇒睡蓮の庭⇒写真技術の登場と連想が繋がり、最後に辿り着いたのが「モネが出会ったジャンヌの物語」だったと綴られている。筆者が「えいたそモダニズム」をはじめとするブログ記事で時折展開する妄想論によく似た手法と言えないだろうか。しかし筆者の妄想がアトランダムな奇想の羅列に過ぎないのに対して、桜井は個々の連想を深く吟味してひとつの幻想譚に纏め上げているのが表現者たる所以である。



天井から睡蓮の葉が吊り下げられている。右手のテーブル奥に灰野が立ち、銅鑼のように垂直に吊るされたポリゴノーラを演奏する。水平に置かれる場合と異なり、叩く面の裏と表に関係なく音が解放されるので、文字通り通りのいい伸びやかな音が広がる。左手後ろから謡いながら桜井が登場、ステージ中を舞いながら呪文/祝詞を謡う。モネ役の灰野が朗々とした声で台詞を歌う。謡と歌、祝詞と台詞、その違いはパフォーマーとしての出自と経験の違いを反映している。桜井が龍笛を吹き、灰野がシンバルを手に激しい舞踏。桜井が手にぶら下げたポリゴノーラを叩く。二人が舞う中で加藤が天井に吊るした睡蓮の花をひとつひとつ地面へ下ろす。桜井が丸い和紙の葉を撒きながら祈りを捧げると、天から光が沼の中に降り注ぐ。加藤が藤の蔦を花瓶に差して龍の舞のような生け花を作り上げ、灰野がいろんな形のポリゴノーラから時に銅鑼のような、時に鈴のような、時に弦楽器のような多彩な音色を紡ぎ出し、桜井が凛とした声で謡いながら舞う。3人の意志の力で聴き手の全身が目になり耳になり、集中力が研ぎ澄まされっぱなしの90分の濃厚な時間は、崇光な美と豊潤な表現性に満ちあふれていた。



能に似たシリアスな舞台ではあるが、邦楽の範疇には収まらない汎音楽の試み。スーパー(超)でもウルトラ(極)でもなくハイパー(超越)と名付けた意図が理解できた。ジャンルやスタイルを超越するパフォーマンスの真髄に触れた1日だった。



睡蓮の
形に似てる
ポリゴノーラ

<灰野敬二ライヴ情報>
9月15日 (日) 東京 下北沢 Lady Jane
立待の月聴覚の月

start 7:30 pm 2 stages
charge:¥3,300(予約¥2,800)+ Drink Fee

灰野敬二 (g, polygonola)
太田惠資 (vln, voice)
西瓜を眺めていた櫻井博士が生んだポリゴノーラという、音階を持って倍音を奏でる手強い多角形楽器に挑む、悲しみのヴァイオリニストであり妖かしのヴォイスも油断大敵なのだ。




9月23日(月祭)東京・秋葉原CLUB GOODMAN
RICHARD PINHAS LAST JAPAN TOUR

open18:30 start19:00
adv.¥3300 door¥3800 (+drink order)

出演:RICHARD PINHAS/灰野敬二/吉田達也/武田理沙




10月18日(土) 福岡UTERO
GOUACHE fukuoka mens & meld presents
『不失者ライブ』

OPEN/START 18:00/19:00
ADV/DOOR 4,000/4,500 (ドリンク別)

不失者(灰野敬二、ナスノミツル、RyosukeKiyasu)
ドンマツオ(ズボンズ)
Nyantora(ナカコー)+duenn

TICKET予約:
twitter @meld_fuk
instagram @meld_fuk
のそれぞれのDM
または
gouache.nakamura@gmail.com




10月27日(日) 東京・渋谷 宇田川町空き地
DANCE TRUCK TOKYO : 2019

2019年10月26日(土)・27日(日)
18:00-20:00
入場無料(事前予約不要)
*灰野敬二は10月27日(日)に出演

出演:Abe"M"ARIA、五十嵐結也、川村美紀子、きたまり、しでかすおともだち、白井剛/Dill、灰野敬二、東野祥子、メガネ(座)、森下真樹/森下スタンド、山川冬樹、ロクディム

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【拡散希望】9/1(日)不思議音楽DJイベント『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.28:Fête d'observation de la lune noire 暗黒月見会』

2019年08月25日 00時20分02秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.28
Fête d'observation de la lune noire 暗黒月見会


渋谷 DJ Bar EdgeEnd
2019/9/1 sun

18:00 Open/Start 
1000yen incl. 1drink

Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Black Metal, Underground Idol, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval… Everything Weirdness About Music!

DJ Bothis / DJ Necronomicon / DJ Vaby / DJ BEKATAROU / DJ Paimon / DJ ケロリン (ケロッピー前田) / DJ SatosicK / DJ emamouse / VJ Qliphoth

異端音楽レギュラーDJに加えてスペシャル・ゲストDJが3人参加。
☆TBS TV『クレイジージャーニー』で人気のケロッピー前田ことDJケロリン
☆ゴス/インダストリアル・シーンで人気の女性DJ SatosicK
☆ForestLimit等で活躍するアヴァンギャルドな覆面女子DJ

来場者全員にマニアックな音楽ZINE『盤魔殿アマルガム』を無料進呈
目次
・地下アイドルへの招待〜沖縄電子少女彩/始発待ちアンダーグラウンド
・ターン・オン、チューン・イン、スピン・アウト!!!〜未来魔女会議について
・埋もれた地下音楽家〜ASKA TEMPLE
・スプラッター千夜一夜〜センチネル[原題: The Sentinel]
・完全セットリスト〜盤魔殿vol.27
and more....



TIME TABLE
18:00-18:30 Free Zone (自由参加)
18:30-19:00 DJ Bothis aka 山田遼 
19:00-19:30 DJ BEKATAROU aka 伊藤元 
19:30-20:00 DJ SatosicK 
20:00-20:30 DJ Necronomicon aka 剛田武 
20:30-21:00 DJ ケロリン aka ケロッピー前田
21:00-21:30 DJ Vaby aka 大場弘規 
21:30-22:00 DJ emamouse 
22:00-22:30 DJ Paimon aka Moppy 


【出演DJの聴かせどころ】
Guest DJs:
●DJ ケロリン aka ケロッピー前田
好評イベント『クレイジーミュージック探訪』のDJバージョン、11月11日開催予定の「ウィリアム・バロウズ&ブライオン・ガイシン編」を先取りして、オルタナティブ、フリージャズ、電子音楽までをカットアップ&フィールドイン! サウンドのネイキッド・ランチに挑む! 祝『バースト・ジェネレーション』Vol.2 刊行!Nothing is true, everything is permitted.








●DJ SatosicK
盤魔殿初登場。
以前こちらに遊びに来た際、DJ概念を見事にぶち壊されました(笑)
今回普段なかなかかけない(かけられない)ものから、音楽を聴きたくない時期に聴いていた音楽(矛盾)などもまわす予定です。
面白い音が沢山聴けるイベントなので楽しみです!

ゴスイベントなどでダークパンク/ポジティヴパンクをメインにspookyかつストレンジなスピンを展開。
Goth, PositivePunk, Deathrock, DarkPunk, IndustrialNoise, DarkAmbient, etc




●DJ emamouse
現代アート的電波アイドル風ハードコア調シンガー・トラックメイカー。
現実逃避で没入したゲームの世界(仮想空間)を、仮装することで現実世界とアイデンティファイしている。
つまり皮膚という設定のマスクを被って2015年よりLIVE活動を開始。自身をモチーフとしたイラストレーションや動画、実際には無いゲームのサウンドトラックや、自分が存在する世界とは少しレイヤーのズレた様々な世界をテーマとしたアルバムなどを制作。自身の表現全体を使ってもう一つの別次元を作る活動をしている。
Psalmus Diuersae、Quantum Natives、Primordial Void等のレーベルから音源や映像作品等をリリース。2018年にBandcamp、2019年、The Japan Timesに単独インタビューが掲載される。

DJは素材として他人様の曲を使った作曲だと思っているので、基本的に現代のアンダーグラウンド音楽をアンダーグラウンド音楽でマッシュアップしつつ、長めの素敵な一曲を作れたらと思っています。「踊れてキモくて素敵で楽しい辺境のニュー民族音楽」がテーマです。




Regular DJs:
●DJ Bothis a.k.a. 山田遼
ramlehを中心にbroken flagレーベルを特集し、初期ノイズに回帰します。




●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
【DEATH EASY LISTENING】90年代渋谷系ブームの裏でデス渋谷系と呼ばれたのが中原昌也こと暴力温泉芸者であった。それに先立つ70年代ラジオや街中のBGM、校内放送でもてはやされたムード音楽やイージーリスニングの裏にはドロドロしたデス系が存在した筈だ。イージーリスニングとその対極のハーディーリスニング、そしてラヴサウンドの裏に隠れたヘイトサウンドを暴き出すDJプレイをお聴かせします。






●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
Even Anti-Art Is Art... That Is Why We Reject It!胸に手を当てTNBのマニフェストを叫んだところで、今回のテーマはオールTNB(関連)、しかもヴァイナル・オンリーで攻めたいと思います。伝説のTwo Thousand Maniacsの限定50枚7inchやオフィシャルでありながら10枚限定の幻のアレとかもアレしちゃうかも?(笑)とにもかくにも今回のVaby's Choiceは100%ピュアなHarsh(ハーシュ)なので覚悟して来やしゃんせ。




●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
この度は金属等の雨を降らせる所存であります…




●DJ Paimon a.k.a. Moppy
過ぎ行く夏を惜しみながら(嘘)ON-U Soundを中心にUKのダブやレゲエを選曲します。




●DJ & VJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
Qliphothは今回はVJに徹しますが、最初のフリーゾーンでDJしながらVJします。映像はすべてオーディオリアクティブ。Touch Designer でシンセサイザーを作り、その音に合わせて図形を変化させることを5分くらいしたらDHとVJします。ミニミニライブ・アンド・VJ



盤魔殿
月世界への
音楽旅行

[日本語字幕]『月世界旅行』(1902)"Le Voyage dans la Lune / A Trip to the Moon"
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【私のB級サイケ蒐集癖】第23夜:歌も顔も名前もないサイケ歌謡『アニメイテッド・エッグ』『アンダーグラウンド・セット』

2019年08月23日 02時05分45秒 | 素晴らしき変態音楽


テレビの歌謡曲やアニメ主題歌は好きだったが特別音楽好きではなかった筆者がレコード蒐集を始めたキッカケは、小学校高学年だった1974年頃、母親がポータブルレコードプレイヤーを買ってくれたことだった。電蓄と呼ばれるプラスチック製の安物だったが、スピーカーが二個付いていて初めてステレオ効果を実感した。その時一緒に金沢市片町のレコード店山蓄で買ったシングル盤が映画『アラン・ドロンのゾロ』の主題歌。とりわけ映画好きでもなかったが、アラン・ドロンは有名だったし、歌謡曲よりもお洒落で憧れていたのだろう。イタリア語の陽気なテーマ曲は日本のウェットな歌謡曲にはないハイカラなお洒落感があった。その後暫くは映画音楽、特に西部劇のテーマ曲のシングル盤を集めることに専念した。特に好きだったのは『続・夕陽のガンマン』。アワアワワ〜というコーラスも面白いが、エレキギターの乾いた音色がカッコ良かった。

「続・夕陽のガンマン The Good, the Bad and the Ugly」サウンド・トラック Sound・Track


1975年に中学に進学して洋楽ポップスに目覚め、ジョン・デンバーに憧れてマーチンの12弦フォークギターを買おうと思っていた筆者が、やっぱりエレキギターが欲しい!と思いはじめたキッカケはベンチャーズだった。ラジオで聴いた「10番街の殺人」「ウォーク・ドント・ラン」「ダイヤモンドヘッド」などの電気加工されたギターサウンドは、未来の音楽のように聴こえて、スピード感あるビートに心をときめかせた。エルヴィス・プレスリーやビートルズも悪くなかったが、エレキギターが主役のベンチャーズには叶わなかった。当時販売されていた日本製モズライトギターのカタログを眺めていた。だがその後、76年にKISSやエアロスミス、ジョニー・ウィンターといったアメリカンロック、77年にパンクロックに痺れてヴォーカル入のロックバンドに興味が移ったのでベンチャーズのようなインストゥルメンタルを聴くことは少なくなった。ちなみに最初に買ったエレキギターはジョニー・ウィンターに憧れてグレコのファイアーバード・モデルだった。

10番街の殺人 Slaughter on 10th Avenue '65 【Resize-HQ】 The Ventures


しかしながら80年代から細々とはじめたサイケレコード蒐集の中で筆者のギター初期衝動のエレキインストとの出会いが増えて来た。そのひとつがデイヴィ・アラン&ジ・アロウズ Davie Allan & The Arrowsをはじめとするバイク映画サントラのファズギターである。映画のサントラ用に集められた無名のミュージシャンによる歌も顔も名前もないインスト曲は、十代の暴動を描いたセックス・ドラッグス&ヴァイオレント映画に相応しかった。さらにB級サイケの奥の細道に入り込んだ筆者は、他にも匿名プロジェクトによるエレキインストが多数存在することを知ったのである。大震災で歪んだままのレコード棚から歌も顔も名前もないサイケ企画盤を引っ張り出して聴きながら夏休みを過ごしている。
【私のB級サイケ蒐集癖】第8夜<バイク映画のファズギター>デイヴィ・アラン&ジ・アローズ

●The Animated Egg ‎/ The Animated Egg
Alshire ‎– S-5104 / 1968


“卵が先かニワトリが先か、という昔からの質問に答えはない。しかしここにアニメイテッド・エッグが登場した。才能豊かな「ニュー・サウンド」のミュージシャンによるエキサイティングなアシッドロックのメッセージ”(ライナーノーツ翻訳)

どう見てもジャケット写真のメキシコ系の男女グループが演奏しているとは思えないファズやエフェクト全開のサイケギターによるラリったサーフロックが秀逸な1枚。メンバー名も作曲者名も書かれていない。リリース元のAlshireレーベルは廉価盤専門レーベルで、イージーリス二ングの101ストリングスをはじめとするファミリー層向けのレコードを多数リリースしている。そんな中に時代の悪戯で紛れ込んだこのアルバムは、西海岸のセッション・ギタリスト、ジェリー・コール Jerry Coleを中心としたスタジオ・セッションの作品である。コールの記憶によると他の参加ミュージシャンは、 エドガー・ラマー Edgar Lamarとドン・デクスター Don Dexterがドラム、とミー・リー Tommy Leeとグレン・キャス Glenn Cassがベース、ビリー・ジョー・ヘイスティングズプレストン Billy Joe Hastingsとノーマン・キャス Norm Cassがギター、ビリー・プレストン Billy Prestonがオルガン。ジェリー・コールの同じセッションは他にも様々なグループ名を冠した「サイケ企画盤 psychsploitation」がリリースされており、それらを集めたコンピレーション『The Animated Egg / Guitar Freakout』が2008年にSundazedからリリースされている。

THE ANIMATED EGG - A Love Built On Sand


●The Underground Set ‎/ The Underground Set
Pantonic ‎– PAN 6302 / 1970


ファズギターと共にハモンドオルガンが大幅にフィーチャーされ、プログレ/ハードロック風味の強いサイケポップを聴かせる。イギリスのバンドだと思われがちだが、イタリアのプログレッシヴロックバンド、ヌーヴァ・イデア Nuova Ideaが契約上の理由で変名で制作したプロジェクトである。この1stのあとに2ndアルバム『War In The Night Before』(71)をリリースした。また、ザ・サイケグラウンド・グループ The Psycheground Groupという変名で『Psychedelic And Underground Music』(71)というアルバムもリリースしている。プロデュースはヌーヴァ・イデアの他にレ・オルメを手がけるジャン・ピエロ・レヴァルベリ Gian Piero Reverberi。イタリアらしいモンドなグルーヴナンバーやスキャット風のコーラスはサイケに限定されない60年代ヨーロピアンポップの魅力を伝える。

ヌーヴァ・イデアは1969 – 1973の間に3枚のアルバムをリリースし解散。メンバーの何人かはニュー・トロルスに参加。日本での知名度は低いが、オルガン中心のシンフォニック・ロックの完成度は高く、ニュー・トロルスやオザンナに引けは取らない。現在はドラマーのパオロ・シアー二 Paolo Sianiをメインに再結成され活動中。

Underground Set - 1970 The Underground Set - 10 7' meridiano


エレキギター
弾けば電気が
ビリビリだ

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