A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

戸川純、アーバンギャルド@新宿ロフト 2011.9.28(wed)

2011年09月30日 01時39分47秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界

「Shinjuku Loft Presents Lady Steady Go!!」。元祖不思議少女、戸川純ちゃんと現代の不思議系バンドの代表格アーバンギャルドの2マン・イベント。当然Sold Out。会場はアーバンギャルド・ファンのセーラー服や水玉模様のワンピースの少女たちと年配の往年の純ちゃんファンが入れ交じり雑然とした雰囲気。

まずアーバンギャルドが登場。この日発売のメジャー2ndシングル「ときめきに死す」からスタート。浜崎容子嬢のウィスパーヴォイスと松永天馬氏の変態ヴォーカルが絡み合い病的なトラウマテクノポップが炸裂する。ファンが掲げる赤い水玉フラッグが激しく左右に揺れる。恒例の"セックスは好きですか?"のコール&レスポンスも飛び出す。少女たちの一糸乱れぬノリに純ちゃん目当ての男性ファンもつられてリズムを取る。自身純ちゃんの大ファンだという彼らは「玉姫様」をカヴァー。あとで楽屋で純ちゃんに「上品な玉姫様ね」とお言葉をいただいたそう。平沢進ネタから「保健室で会った人なの」をやったり、ちょっとアブない加護ちゃんネタなど、いつものノリで1時間。

Set List:
01.ときめきに死す
02.スカート革命
03.ベビーブーム
04.玉姫様(戸川純ちゃんカヴァー)
05.女の子戦争
06.保健室で会った人なの
07.その少女、人形につき
08.あたま山荘事件
09.傷だらけのマリア
10.救生軍



続いて戸川純ちゃん。バンドは中原信雄(B)、デニス・ガン(G)、ライオン・メリィ(Key)、矢壁アツノブ(Dr)という3月のバースデイ・ライヴの時と同じ布陣。幕が上がると黄色い歓声が上がる。アーバンギャルドのファンの女の子たちも純ちゃんのことが大好きなのだ。純ちゃんが「セーラー服の方が多いけどアーバンギャルドのファンかしら?」と聞くと「純ちゃんのファンで~す」と応える。純ちゃんはベッドから落ちて胸や関節が痛打したという劣悪なコンディションでのステージだ。前回と同じく座ったままの歌唱だったがそれを感じさせないパワフルな歌。神聖かまってちゃんのの子氏と対談し、気に入ってかまってちゃんのCDを買ったとMC。「私を観に来る人は他にどなたが好きなのかしら?」の問い掛けに客席から平沢進、ヒカシュー、筋肉少女帯、岡村靖幸などの名前が上がり、それぞれにコメントを述べる純ちゃん。体調は悪そうだったがアンコールの「パンク蛹化の女」はフル・ヴァージョンで歌いきった。1時間20分のステージ。
純ちゃん東京はこの後、12/12にプノンペンモデルのライブにゲスト出演と、12/28にワンマンライブ。どちらも新宿ロフト。早く身体が治るといいね。

Set List:
01.踊れない
02.コレクター
03.締念プシガンガ
04.コンドルが飛んでくる
05.赤い戦車
06.少年A
07.蛹化の女
08.彼が殴るの
09.バージンブルース
10.肉屋のように
11.フリートーキング
12.電車でGO
13.バーバラ・セクサロイド
En.パンク蛹化の女



純ちゃんと
アーバンギャルドの
そろい踏み

女性の無限のパワーを全身に浴びた楽しいイベントだった。
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八十八ヶ所巡礼/東京カランコロン/SEBASTIAN X他@渋谷クラブクアトロ 2011.9.27(tue)

2011年09月29日 00時24分46秒 | 素晴らしき変態音楽

Beat Happening! MAX! 八十八ヶ所巡礼~reco発show~『ピンポンパンポン ようこそPalama・Jipangへ祭』というイベント。Beat Happening!というのは2009年に始まったJ-Rock系のイベント。既に600回以上を数え注目の若手バンドを数多く紹介し、渋谷、下北沢を中心に全国で毎日のようにこのイベントが開催されている。そのスペシャル・ヴァージョンが年数回クラブクアトロで開催されるBeat Happening! MAX!である。8月16日に観た嘘つきバービー他のライヴもMAX!だった。そのライヴでN'夙川BOYSが「Beat Happening!最高!」と連呼していたのが印象的だった。実際このイベントを足がかりにメジャー・シーンへ進出するきっかけになったバンドも多い。要注目のイベントである。

今回は2ndアルバム「SYG88」をリリースした八十八ヶ所巡礼をメインに、東京カランコロン/SEBASTIAN X/N'夙川BOYSの4組が出演。

開演に間に合わなくて最初のN'夙川BOYSの最後の2曲から参戦したのだが、クアトロは人の入る隙間もないほどの大盛況。もしかしたら前回より多いかもしれない。10~20代の客層中心で若さゆえの熱気が爆発している。N'夙川BOYSは前回同様弾けたステージングを披露。エンディングではマーヤが客席に飛び込んで大歓声を巻き起こす。大阪出身の彼らの東京での人気も定着したようだ。



続いてSEBASTIAN X。女性ヴォーカル、キーボード、男性ベース、ドラムスの4人組ギターレス・バンド。昔懐かしチャクラの小川美潮さんを思わせる独特の高音ヴォーカルがバンド・サウンドを強力に牽引していく。バンドはタイトで柔軟な演奏で彼女をバックアップする。歌の力を改めて実感させるパフォーマンスだった。



次は東京カランコロン。結構人気があるようでフロア前方にオーディエンスが押し寄せる。ギターx2、女性キーボード、ベース、ドラムスの5人組。決して過激ではない歌心溢れる演奏だが、どこか一本ネジが外れたような不可思議なサウンドである。ヴォーカル氏とベース氏は八十八ヶ所巡礼のマーガレット廣井氏と家が近くらしく、「ヤバいおばさんが自転車に乗って近づいてきた」と思ったらマーガレット氏だったというMCで笑わせる。



トリにこの日の主役、八十八ヶ所巡礼。彼らを観るのは3回目。今までの2回は圧倒的に女子のファンが多かったのだが、この日は最前列こそ背の低い女の子の列だがフロアの前半分は圧倒的に欲求不満の(?)男子。のっけから激しいモッシュが巻き起こる。確かに八十八ヶ所のサウンドはプログレ・ハード・ロックで暴れるには最適だ。特にドラムス賢三氏のパワフルな爆音がモッシュ・ボーイズを熱狂させる。"日本版スティーヴ・ヴァイ"のKatzuya Shimizu氏がステージ前に出て驚異的なテクニックのギター・ソロを聴かせると無数の拳が宙に振り上げられる。マーガレット氏はいつものように一升瓶片手にドレス姿で激しくベースを叩き弾く。途中で弦が切れるアクシデントも。背の高いベース・アンプによじ登ること2回。信じられない狂乱のステージに、前に出たバンドのことが頭から吹き飛んでしまう。前回の下北沢Club Queの時私はShimizu氏の真ん前で観ていたのだがこれほど激しい混乱は起こらず平和なライヴだった。クラブクアトロというハコのせいか、2ndアルバムが野郎どもの心を掴んだのか、いずれにせよステージ最前列で観るのは危険なバンドになってしまった。アンコールを含め1時間に亘るステージは変態衒学スラッシュ・メタルとでも呼べる素晴らしいものであった。3人のそれぞれ違った個性(「主犯格」「参謀と演技指導」「極道と含み笑い」)が見事なトライアングルを成しており、プロレス的なショーとしても面白い。



巡礼の
旅の果てには
何がある

10/24噂の大阪のジャンク・バンド下山 Gezanを迎えて下北沢THREEで八十八ヶ所巡礼のライヴ(これもBeat Happening!)があり楽しみだ。

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菊地成孔+山下洋輔@新宿ピットイン 2011.9.26(mon)

2011年09月28日 00時23分48秒 | 素晴らしき変態音楽

菊地成孔氏が毎年新宿ピットインで開催している3Days企画、今年は7年目だそうだ。デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンとして名門Impulseレーベルと契約しノリに乗っている彼の今年の1日目の共演者は山下洋輔さん。菊地氏は1993年に山下洋輔ニュー・トリオに参加、この巨匠のもとでフリージャズの語法をみっちり仕込まれた。それから20年余、ジャズ・ミュージシャンだけではなく文筆家、大学講師、評論家など幅広い活躍をする菊地氏の原点にはやはり洋輔さんがいるのだろう。

ピットインは今まで見たことない程の動員で、いつもは後ろまで並べられている椅子が前半分だけで後ろ半分はスタンディング。ダンディな菊地氏だけあって女性客も多い。私はギリギリで一番後ろの椅子に座れた。

ふたりが登場して、菊地氏のソプラノ・サックスで洋輔さんの「グガン」を演奏したところで、菊地氏がマウスピースを忘れたことに気づき楽屋へ取りに戻る。歯並びが悪いため護国寺の管楽器奏者専門の医者に作ってもらったもので、歯が唇に食い込まないようにするらしい。小さいのでしょっちゅう忘れてしまうそうだ。ひとくさりそんな話をしたところで、時間がなくなるのでもうMCはしない、と言いつつ話し続ける。さすが大学講師だけあって話が面白い。先日もNHK TVのマイルス・デイヴィス特集で解説を務めていたっけ。その後は演奏に専念。バラードを中心にところどころフリーなプレイを織り交ぜるところが素晴らしい。特に洋輔さんがソロになると得意の鍵盤駆け上り奏法を繰り出すのがエキサイティングだ。ちょうど1時間で1st Set終了。

2nd Setはより正統派ジャズよりのバラードを演奏。お客さんには1stよりも受けていたが、個人的には少し眠くなってしまった。ジャズの歌詞がいかに単純であるかについての菊地氏のトークが面白かった。

2時間たっぷり職人芸の演奏を堪能した。翌日の共演者は大友良英氏。


20年前の演奏↑

吹きまくり
弾きまくる
この興奮

ピットインへの道すがら模索舎へ寄って工藤冬里氏の新作CDRを購入。この店はサブカル系の書物やCDが揃っていて探求しがいのある書店である。
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割礼/埋火/ロバQ@東高円寺UFO CLUB 2011.9.25(sun) 

2011年09月27日 00時51分48秒 | 素晴らしき変態音楽

「発狂天国 vol.55 ~発狂天国10周年だよ!!! 9月編~」というイベント。出演はLIVE:割礼/埋火/ロバQ(岡山)/opening act:mmm/DJ:石原洋(rest stay relationship)/発狂チカ。

まずは石原氏のDJ。White Heaven~The Starsのリーダーであり、ゆらゆら帝国のプロデューサーとしても知られる石原氏がどんな曲をかけるのか楽しみだった。女性ヴォーカルものを中心に1970年代風の曲をプレイ。どれ一つとして知っている曲がないので相当ディープな選曲だったのだろう。

オープニング・アクトのmmm(ミーマイモー)。アコースティック・ギターの弾き語りである。彼女はシンガポール、アメリカ育ちらしく英語の曲の発音が自然でいい。スローテンポの曲では漂うようなアシッド・フォーク調、アップテンポの曲ではユーモラスな歌詞のコミカル調、と飽きさせることのない演奏だった。彼女のバンド「マリア・ハト」や今回共演の埋火のメンバー見汐麻衣嬢とのユニット「アニス&ラカンカ」も聴いてみたいものだ。



続いて岡山のフリーサイケ・バンド、ロバQ。名前は知っていたが聴くのは初めて。G/Vo,B,Dsのトリオでしっかりしたビートのギター・ロックを聴かせる。頭脳警察やだててんりゅうを思わせるハードな曲調とインスト・パートにおける3者が交錯する強力なインプロヴィゼーションが素晴らしい。もう少し覚えやすいメロディがあればもっと好きになるだろう。20年を超える年季はさすが。



次は見汐麻衣嬢率いるトリオ埋火。見汐嬢のソロは何度か観たことがあるがバンドは初めて。これがとても良かった。ソロでの心に染みる叙情的なメロディーが思いの他シャープなロック・サウンドに乗せて歌われる。彼女がギター・ソロを弾くのだが変にサイケを意識することなく自然な陶酔感を醸し出すところがいい。ドラムの志賀加奈子嬢のコーラスもいいアクセントになる。いわゆるガールズ・バンドとは質の違った女子力が印象的。10/5リリースのニュー・アルバムの曲を中心に演奏。



トリが割礼。ここ数週間私は割礼にハマっている。彼らのCDをすべてiPodに入れて外出時に聴き狂っている。宍戸幸司氏のスタイルは結成当時から変わっていない。精神の奥底に染み込んでいくような濃厚な歌と水中を漂うような幻惑的なギター。このスタイルを30年近く続けてきた彼らの存在は日本のサイケデリック/アンダーグラウンド・シーンでとてつもなく大きい。ライヴでは曲目こそ変わっても毎回同じ浮遊感で脳内シナプスを麻痺させる。とにかく中毒性の高いバンドである。今年2月の5時間ライヴは至福の時間だった。以来毎月のように彼らのライヴに通ってきたが、今回は6月以来3ヶ月ぶりである。胸がときめく。ゆっくりしたアルペジオが耳を優しく刺激する。鎌田氏のロングトーン・ギター、パリっとした山際氏(B)と松橋氏(Ds)のリズム隊が鳴り響くともう逃れられない。割礼ワールドに絡み取られる。彼らの曲は全部知っている筈なのに聴くたびに新鮮な発見がある。アンコールの「ゲーペーウー」を含め全5曲60分の夢の時間だった。終わったとたんに次のライヴが観たくなる。また長時間ライヴをやってくれないものだろうか。



割礼に
溺れっぱなしで
ゆれつづける

この日のUFO CLUBはサイケな香りが充満していた。私にとってはこれから始まるライヴ/イベント6連チャンの皮切りだ。
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夢に恋して~シュヴァンクマイエル「サヴァイヴィングライフ」@渋谷イメージフォーラム

2011年09月25日 00時25分29秒 | 映画やDVDのこと

昼間新橋に用事があったのでその帰りにずっと観たかったシュヴァンクマイエルの5年ぶりの長編映画「サヴァイヴィングライフ」を観てきた。公開からほぼ1ヶ月たった今でも7割の入りと人気ぶりが伺える。先日行ったシュヴァンクマイエル展@ラフォーレ原宿でもそうだったが、観客の多くは20代の若者だ。77歳の老芸術家のどこに彼らは惹かれるのだろう。シュールレアリスムというある意味アナクロな方法論を21世紀の今でも追求している希有なアーティスト。そのノスタルジックな手法といつの時代も変わらぬ現実/非現実への関心が若い世代の心に響くのかもしれない。

映画は冒頭にシュヴァンクマイエル自身が登場して前口上を述べる。曰く「製作予算がないので子供向けアニメでお馴染みの切り絵コラージュ作品となった」「制作費を押さえるため撮影はすべてスタジオ内でおこなった」「映画の尺が短か過ぎるので自分が登場して話している」という自虐的なもの。そのまま映画本編に雪崩れ込み観る者は気が付かないうちにシュヴァンクマイエルの迷宮世界に巻き込まれて行く。

その手法、ストーリーなどは予告編と公式HPを参照していただきたい。"夢は第二の人生"とサブタイトルされているように、夢の中で出会った女性に恋をした男の精神遍歴の物語である。フロイトとユングの理論を実践する女性精神科医や現実世界の妻や会社の上司と同僚、ロトくじ、夢の中で象徴的な言葉を呟く老婆、夢の女性の夫や子供などが入り交じって次第に現実と夢の境界が曖昧になっていく。シュヴァンクマイエルの嫌みを感じさせない画像処理が見事だ。ネタバレになるが、水泳の練習と赤い水という映画前編に出てきた言葉が映画ラストに重要な意味を持つ。

私は最近映画を観ると必ず眠ってしまうのだが、この映画は「コクリコ坂から」以来(笑)初めて眠らず最後まで楽しめた。心理学専攻の私としては所々に散りばめられたフロイトの「夢判断」からの引用および(意識的な)誤用が面白かった。



夢の中へ
行ってみたいと
思いませんか

シュヴァンクマイエルの泉は汲めども尽きることはない。10月初めまで公開しているようだから行ってみてはどうだろうか。


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「結界」灰野敬二、田中悠美子、一噌幸弘他@渋谷公園通りクラシックス 2011.9.22(thu)

2011年09月24日 00時18分03秒 | 灰野敬二さんのこと

フェスティバルFUKUSHIMA以来1ヶ月ぶりの灰野さんのライヴ。
正式には「田中悠美子の『結界』~灰野敬二を迎えて」というイベント。「日本の民族楽器の未知なる可能性を追い求める邦楽器奏者たちが、灰野敬二氏を迎えて、「どこにもない音楽」をめざします。」出演は田中悠美子(義太夫三味線)・一噌幸弘(笛・能管)・石川高(笙)・中村仁美(篳篥)ゲスト:灰野敬二(うた、ギター、そのほか)。灰野さんはゲスト扱いだったのだが、ステージ真ん中に大きな反響板が置いてありそこで灰野さんがパフォーマンス、その周りを邦楽演奏者4人が取り囲むという灰野さんを中心に据えたセッティングだった。

以前義太夫のことを良く言っていなかった灰野さんが義太夫を始めとする伝統邦楽奏者とどのような共演を繰り広げるのか興味は尽きない。しかし義太夫三味線奏者でありながら伝統の世界に拘らず柔軟な活動をしている田中悠美子嬢やジャズの世界でも活動する一噌幸弘氏などとの共演だから思った以上に両者が溶け合った素晴らしい時間を過ごした。

会場は灰野さんのファンだけじゃなく邦楽系のファンも多く満員の盛況ぶり。そこに道路が混んでいたため遅れて灰野さんが到着、楽器のセッティングも出来ないままイベントが始まった。

1stセットは邦楽奏者4人によるセッション。田中嬢は三味線をスライドバーで弾いたり、寝かせて叩いたり弓で弾いたり反則技の連発。思いのほか楽しめる演奏だった。

休憩の間にスタッフが急いで灰野さんの楽器を並べる。この日はパーカッションだ。2ndセットは各演奏者と灰野さんのデュオ・セッション。パーカッション&ダンスにヴォイス・パフォーマンスをあわせて鬼気迫る演奏を繰り広げる。和楽器は基本的に電気増幅しないアコースティックな楽器だからパーカッションや歌ととても親和性が高い。ぶっつけ本番なのに4者4様の異なった共演を見せるところが凄い。

最後のセットは全員でセッション。西洋音楽の要素が一切ない音楽は実に新鮮。灰野さんの超絶ヴォーカルをたっぷり堪能した。これほど豊穣な音楽を体験できることは本当に幸せである。



終演後の楽屋は和気あいあいとした雰囲気でステージの厳しさと好対照をなしていた。

灰野さん
邦楽セッション
いいじゃない

灰野さんは10月はナスノミツル氏の離場有浮(10/11高円寺ショーボート)、ペーター・ブロッツマン氏のゲスト(10/14新宿ピットイン)が決まっている。11月はドイツ・ツアーに行くらしい。
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Early 80'sアングラノイズの極地"Euqisumorih"幻の音源ついに公開

2011年09月23日 00時16分18秒 | 素晴らしき変態音楽

最近Tape Expressというカセットテープ・プレイヤーを買った。カセットの音源をMP3データに変換してくれるという優れものである。しかも値段が安い。その分、音質や性能には多少難ありだが、そもそもカセットテープの音質はいい訳じゃないからこれで充分満足のいく買い物だった。

早速昔から録り溜めしていたカセットテープを段ボールから引っ張り出してデータ化している。中学の時に初めて結成したキッスのコピー・バンド「あらまあ」、高校時代学園祭でセンセーションを巻き起こしたパンク・バンド「GLANDES」、大学のサークルで結成した女性ヴォーカルのニューウェイヴ・バンド「鰺tation」、ライヴハウスで活動した「Rajio」と「Flower Trip」。自分の録音テープが山のようにある。

その中にバンドではなく自分ひとりでコツコツとピンポン録音した、今で言えば宅録のカセットも発見した。「Euqisumorih 2」と題されたそれは丁度30年前私が花の浪人生だった時に勉強の合間に自室で録音したものである。カセット・デッキとラジカセを使って何度も多重録音を繰り返したものだ。元々高3の時にFlying Lizardsに影響を受けて多重録音を始めた。その頃に作品を1本作ったのだが、それはどちらかというとバンドの音を再現しようという試みだった。それに比べて「Euqisumorih 2」は録音自体が作品であり、当時のインダストリアル/オルタナティヴ/フリーミュージック/実験音楽の影響の色濃い鬱屈した暗黒のアングラノイズである。嫌がらせにこのカセットを10人くらいの友人に送りつけた。ピナコテカにも送った気がする。

シンセサイザーはおろかリズムボックスも持ってなかった。使った楽器はギター、各種エフェクター、ピアノ、トランペット、フルート、ピアニカ、短波ラジオ、段ボール箱、空き缶、スピーカーのコーンなど多種多様だ。

30年ぶりに聴くと浪人生でありながらこんな手の込んだ作業をしていた自分の歪んだ情熱に感心する。全体の印象はThrobbing Gristleにとても近い感じがするのだが、実は私は当時はスログリを聴いたことがなかった。一番影響を受けたのはThe Residentsと大竹伸朗さんの19/Jukeだった。このサウンドのネクラな雰囲気は1980年代初期特有の空気感なのであろうか。1981年。ハナタラシよりも暴力温泉芸者よりも早かった。

愛があれば


目を覚ませ


Pass


聴かなくて
いいですこれは
自己満足

露悪趣味の私としては皆さんのお耳汚しに音源を公開したわけである。
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原子力牧場/ファンシンちゃん他@東高円寺 二万電圧 2011.9.18(sun)

2011年09月20日 00時16分07秒 | 素晴らしき変態音楽

原子力牧場(静岡)とファンシンちゃん(東京)の共同企画「あとみっくふぁんしん」。両バンドが一緒にやりたいバンドを独断と偏見で(?)集めたユニークなイベントだ。出演はGolgotha / STINGIN'JUNKS / FOREIGNLAND / CULT FLOWERS /ファンシンちゃん / 原子力牧場の6バンド。

3連休の中日であり出演も無名のバンドばかりだったので動員は厳しかったが観に来た人にはホントに楽しい夢の企画だった。まずは入場時に柿ピーの小袋が配られる。原子力牧場の機関誌「あとみっくす」やファンシンちゃんの歌詞のプリントも。もよぽん(原子力牧場)とはくさん(ファンシンちゃん)が司会を務め、バンドの紹介をする。この手作り感が嬉しい。それに応えて各バンドとも個性的な演奏を繰り広げた。

トップバッターはGolgotha。"Gt,Vo/針、Dr,Vo/杉の二人組による静岡のハードコアバンド。耳を突き刺しそのまま心臓までえぐりだすような轟音ギターと激しいドラミングが脳を揺さぶる!"(バンド紹介HPより/以下同)。その通り、1分にも満たない曲が次々繰り出される様は「パンクの鬼」のゲロゲリゲゲゲを思わせる破天荒さ。駆け抜けるサウンドは15分ほどで終了。潔さが気持ちよかった。



2番目はSTINGIN'JUNKS。"暴れ白ツナギ三人衆!アンプ直結ガレージサウンドを堪能あれ!"。もよぽんが高校生の頃インターネットで見つけたバンドでイケメン3人組のストレートエッジなガレージロック。新宿JAMを拠点に活動しているという。ドクター・フィールグッドやミッシェルガンに通じるサウンドには男も惚れるぜ。



3番目は6人組のFOREIGNLAND。"Guitar&Vocal,ShorgeMasatakar/Keyboard,AkikorOuchir/Guitar,FukushimarMasahikor/Drms,RyujirYasukawar/PULSNUG Bass,BaburSanur
ロマンチック略してROCK☆ ポップでキュートで毒々しい、狂った遊園地のようなバンド。Foreinland EP 発売中!ちなみにベースのバブさんと、ファンシンちゃんのトランペットいずみんは職場がいっしょです。"この日一番つかみ所のないバンドで、私にはアニマル・コレクティヴやゴッド・スピード・ユー!ブラック・エンペラーなどのフリー・フォーク系に通じるものが感じられた。物販で無料で配布されていた数枚のCDRを入手したが、それを聴くとますます摩訶不思議な迷宮に迷い込む。ヴォーカルのShorgeMasatakarのソロCDRはまるでNurse With Woundやヘアスタのような奇天烈ノイズだし。



4番目は4人組CULT FLOWERS。"月と太陽の間を行き交う言葉を紙飛行機にのせて飛ばす、日本のロックンロールバンド。"影響を受けた音楽はネオアコ、ギターポップ、フォーク、モッズ、ロックンロールリバイバル等。これも男っぽくてカッコいいバンド。メロディーのしっかりしたストレートなR&Rサウンドは秀逸。歌詞がハッキリ聴き取れるヴォーカルも上手い。



5番目がファンシンちゃん。"元「おはやし」のはくさん率いる、東京で活動中のガールズロックバンド。鋭く激しく詩的な音が重なり合って、うみだされるのはどこか切なくてかなしくて、そしてやさしい世界。個性的で力強く歌い上げる声とたしかな演奏力で、絶賛活動中。/byもよぽん" もよぽんは高校生の頃、当時中学生だったはくさんの音源をインターネットで見つけ感激して生まれて初めてCDを通信販売でオーダーしたそうだ。G,Ds,トランペットのパンク・トリオ。トランペットの入ったパンクというのも珍しいが、不思議とサウンドに合っていて、時にジャジーに時にバカラック的にサウンドを彩る。トランペットのいずみんは今回のイベントのフライヤーのイラストも手がける才女。爆音だけじゃなくて歌心を持ったサウンドが新鮮。



トリが原子力牧場。"2010年、細々と原子力牧場として種まきしはじめる。刺々しさに毒々しさ、かわいいポップさが混ざり合った究極体。脳をゆさぶる音に、刺さるように意味のある言葉の数々。2011年現在、徐々に各所で認められつつある才能に今後も期待。/byはくのがわ" もよぽんが顔に血を思わせる赤で呪術的な文様を描いた毒々しいメイクで登場。前回の東京公演の時よりリラックスし、濃厚なヴェノム・ポップを展開。ドラムのはせのプレイはパワフルだし、ギターのもたんは鋭いフレーズを連発する。よりロックっぽさを打ち出したステージは独自の世界を現出した。アンコールの「クルタリテララン」がやはり最高だった。彼らは10月にリリースされる「Girls Sazanami Beat! Vol.4」に参加し、そのレコ発で再び東京へ来る。



これだけ音楽性の全く異なる6バンドが共演するというだけでも奇蹟的。アーティスト本人の企画ということで、ライヴハウス主体のブッキングとはひと味違った統一された空気感がありイベントとして心から楽しめた。長時間のスタンディングはロートルの身には辛かったが。あとみっくふぁんしん第2弾も是非企画して欲しい。

ファンシンちゃん
Atomic Farmと
戯れて

終演後もよぽんとはくさんが楽しそうにはしゃいでいたのが印象的だった。



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少年ナイフ/Condex Level/Extruders@渋谷LUSH 2011.9.17(sat)

2011年09月19日 01時09分44秒 | ロッケンロール万歳!

Condex Level 企画「Neuhaus」というイベント。元々3月12日に予定されていたライヴの振替公演だが、なんと無料ライヴということで、早々に予約した。主催者によると、無料ライヴにしたことに余り意味はなく、ドリンクとアーティストの物販でギャラを捻出したいとのことであった。「だから皆さんたくさん飲んでたくさん買って楽しんでください。」

渋谷LUSHは初めてだったが200人も入ればいっぱいの中規模のハコだった。開場と同時に入り前列を確保。少年ナイフ・ファンの年配の客層が目立つが意外に若い人も多く幅広い年齢層だった。外国人の姿もちらほら。

トップはExtruders。事前にインターネットで調べたらマイスペにページがあり、試聴したら宅録系の音だったのでライヴでどうやるのか想像がつかなかった。G,B,Dsのトリオ。20代半ばだろうか。ドラムはタム無しのスネアとバスドラ、シンバルだけのシンプルなセッティング。照明代わりに映像を投射しベーシストが呟くように歌う。ギタリストはほとんど弾かず時々発振器を操作して電子ノイズを奏でる。徹底してクールな感触は空間現代とも通じる新世代ロック。トータスやモグワイなどポスト・ロックの影響が強い。新鮮でいいバンドだった。



2番目に少年ナイフが登場。3日前にヨーロッパ・ツアーから戻ったばかりという3人は、ツアーのテンションそのままにいつも以上に弾けたステージを展開。ヨーロッパでは各地で大受けでとても盛り上がったそうだ。ラモーンズやカーペンターズのカヴァーを含む1時間強のステージ。後半客席では外人客がモッシュを始め背中から小突かれる。その狂騒に火をつけるようにアップテンポな激しい曲を連発する。「3コードのロッケンロールがあれば生きて行ける」と本気で思った。とにかく楽しいライヴだった。



トリがConvex Level。ナイフほどではないが20年を超える活動歴を持つ大阪出身のベテラン・トリオ。ジョイ・ディヴィジョンやキュアーなど80'sニューウェイヴの影響は感じられるが、その空気を自分たちのものにしてしまった圧倒的なオリジナリティ。ヴォーカルの歌詞がハッキリ聴き取れる歌い方がいい。緩急のメリハリの付け方はさすがベテランならではの素晴らしさ。ライヴを観るのは初めてだったがすっかり魅了された。



3バンドとも個性的でとてもいいイベントだった。このイベントが無料なんていいの!?

オリジナル
見事に見せた
3バンド

少年ナイフは翌日も秋葉原グッドマンでライヴ。なんて元気なガールズ!
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GREEN FLAMES/シベールの日曜日他@高円寺ショーボート 2011.9.15(thu)

2011年09月17日 01時01分41秒 | 素晴らしき変態音楽

「deep inside」というイベント。出演はCRACKS&RABBITS/シベールの日曜日/GREEN FLAMES[成田宗弘(g.vo)田畑満(b)氏家悠路(ds)]。

かねてからお知らせしているように大幅なメンバー・チェンジ後のシベールの日曜日と、元HIGHRISEの成田氏、氏家氏による轟音ロック・バンドGREEN FLAMESの対バンはサイケ好きには応えられない組み合わせだ。
ショーボートはいつもとは違って客席にあまり椅子を置かずスタンディング仕様になっている。平日ということもあるが集客は少し寂しい。未だ両バンドとも本来の実力に対して固定客が着いていないのが実情だ。これがUFO CLUBだったらサイケ好きの若者が集まったかもしれない。

一番手のCRACKS&RABBITSは初めて観る。G,B,Dsのトリオでメロディーのしっかりした曲調とファズギターが暴れる間奏が印象的ななかなかの実力派だった。個人的には何といってもギタリストがグヤトーンの4ピックアップ・ビザール・ギターを使っていたことに注目したい。というのも30年前私は同じギターを使っていたのだ。国分寺の古道具屋で12800円。恐らくこのバンドが使っていたのはリバイバル・モデルだろうが、観ていて懐かしくて泣きそうになった。



2番目がシベールの日曜日。元のサイド・ギタリストが再び参加、さらに壊れかけのテープレコーダーズの女性オルガン奏者、遊佐ちゃんも参加した5人編成でのステージだ。ギターが一人加わったことで音の厚みがグッと増す。前回のレッドクロスでは多少目立ち過ぎた感のある遊佐ちゃんのオルガンも全体のサウンドの中に溶け合ってより自然な響きを奏でる。トレード・マークのサイケな照明も相俟って宙へ浮かぶようなトリップ感のある演奏にどっぷり嵌まった。まだ新メンバーでのレパートリーが少ないので5曲で終了。後で坪内氏に尋ねたら、年内は後1回くらしかライヴをしないらしい。ラインナップが変わる可能性もあるそうだ。シベールにとって2011年後半は試行錯誤の季節である。



トリがGREEN FLAMES。観るのは1年振り。アングラ・ロック界の猛者3者による強力なヘヴィ・ロック・バンド。成田氏のワウワウとファズを多用したギターは相変わらず昇天モノのカッコよさ。比較的ストレートなロックンロールだが、そこに込められた情念の重みは巷にはびこる似非サイケ・バンドたちに見習わせたい。10月にはテレグラフのイベントでタコの山崎春美氏のバックを務める。



現在の
サイケの形
ここにあり

轟音ギターの夜は誰かを抱きしめたくなる。

コメント (4)
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