A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私の地下ジャズ愛好癖】"ジャズを遊ぶ"男女二人初夏物語『坂田明・Wah-ha-ha/死ぬ時は別』『高瀬アキ・井野信義/天衣無縫』

2018年05月31日 02時20分08秒 | 素晴らしき変態音楽


パンクからニューウェイヴに時代が変わった80年前後ポストパンクの中でも実験性を打ち出した一群のグループは「オルタネイティヴ・ロック」と呼ばれたことがあった。Alternative(オルタナティヴ)の発音を間違えたと思い込んでいたが、Alter(オルター/改造する)+Native(ネイティヴ/出自)と考えれば、従来の音楽の意味と形を革命するスタイルの名称としては「(二者択一の)別の方」という意味のオルタナティヴよりも相応しくはあるまいか?レジデンツやポップ・グループ、それらの元祖たるキャプテン・ビーフハートやフランク・ザッパ経由でサン・ラやアルバート・アイラー、アート・アンサブル・オブ・シカゴやヒューマン・アーツ・アンサンブルを知った筆者にとって、ロックやパンクやプログレよりも自由なフリージャズとの出会いは正に「出自が改造される」オルタネイティヴな体験だった。

その頃日本のジャズ界でもオルタネイティヴな動きが起こっていた。梅津和時、原田依幸らの生活向上委員会、藤川義明のイースタシア・オーケストラ、近藤等則のIMAなどが従来のフリージャズの形式をぶち壊す刺激的なサウンドスケープを産み出した。そして筆者に「ジャズを遊ぶ」喜びを教えてくれたのが坂田明と高瀬アキという男女二人のアーティストであった。

●坂田明:Wha-ha-ha/死ぬ時は別(Better Days ‎– YF-7018-AX / 1981)


1980年に山下洋輔トリオを脱退した坂田明はTV等でタレントとしても人気を得て、同年テクノ/ダブ・アルバム『TENOCH SAKANA』やハナモゲラ歌曲集『20人格』をリリース。チャクラの小川美潮、ダウンタウンファイティングブギウギバンドの千野秀一、シンセサイザー奏者の神谷重徳と意気投合して結成したフリー・ポップ・ユニットWha-ha-ha(わ・は・は)の81年のデビュー作が『死ぬ時は別』。坂田の名曲「イナナキ」から始まり、ジャズ/ロック/シャンソン/民謡/テクノ/現代音楽/電子音楽/ドドンパなどをごった煮したサウンドは、ヘンリー・カウのメンバーを中心とするの意識的音楽ムーヴメント「RIO(ロック・イン・オポジション)」とも共鳴し、輝ける八十年代の陰で変態音楽のパンドラの函を開けてしまった。「音楽は壮大な冗談である」と宣言した2作目『げたはいてこなくっちゃ』でB面すべてを使ったラジオドラマ組曲をやり切り満足したのかバンドは解体。メンバーそれぞれ別の道で才能を発揮することになる。

Wha-ha-ha - 米と醤油



●高瀬アキ・井野信義/天衣無縫(Mobys Record ‎– Mobys 0003 / 1985)


70年代、自己のグループや土岐英史(as)、日野元彦(ds)、中村誠一(ts)のグループなどに参加し活動、80年前半ベルリン・ジャズ・フェスをはじめとしてヨーロッパツアーを行い、87年からベルリンを拠点に国際的に活動するピアニスト高瀬アキ。グローブ・ユニティ・オーケストラの生みの親アレクサンダー.フォン・シュリッペンバッハのパートナーでもある。どちらかというと正統派フリージャズのイメージがある高瀬だが、その活動はジャズに拘らない。作家や舞踏家とのコラボを積極的に行う一方、ジャズ系ミュージシャンとの共演でも従来のジャズの形式を逸脱した表現を追求してきた。その好例が高柳昌行ニュー・ディレクションのメンバーでもあったベーシスト井野信義とのデュオによる本作。A面一曲目のミニマルな中国雑技団テーマ曲風チューンをはじめ、マーチやノクターン、ヴォイス・パフォーマンス、切れ味鋭いフリー・インプロヴィゼーションまで、文字通り天衣無縫の演奏が繰り広げられる。ライナーノーツで川本三郎氏が「音のおもちゃ箱」と評しているが、正に言い得て妙である。恥ずかしながら本作を含む数枚の80年代の作品以外、筆者は高瀬の作品を追ってはいないが、2014年9月に来日しICPオーケストラと共演したSuperDeluxeでの高瀬の奔放なプレイは、ジャズを遊ぶ喜びのトキメキに溢れていた。

Aki Takase & Nobuyoshi Ino - Amanojaku

ICP オーケストラ+高瀬アキ@六本木SuperDeluxe 2014.9.3(wed)

奇しくもこの両者の共演ライヴがまもなく開催される。上記のアルバムから30数年の月日を経て邂逅する「ジャズを遊ぶ」二人の演奏は、当時と変わらずオルタネイティヴな感動を与えてくれるに違いない。


photo: Kazue Yokoi

【初夏のアキ 2018】高瀬アキ&坂田明DUO

高瀬アキの「尊敬する先輩と共演したい」という言葉から2016年11月にスタートした坂田明とのデュオ。高瀬アキの帰国に合わせて、下記の予定でライヴを行う。オリジナル曲から自由で即興的なダイアローグへ、個と個が相見えるデュオならではの面白さと醍醐味を再び!

高瀬アキ(p) & 坂田明 (sax) DUO
6月3日(日) 東京 新宿ピットイン
開場 19:30 開演 20:00
料金:¥3500+消費税(1ドリンク付)
住所:東京都新宿区新宿2-12-4 アコード新宿 B1
Tel: 03-3354-2024

6月4日(月) 名古屋 ジャズ・イン・ラブリー
開場 18:00 開演 19:30
料金:ミュージックチャージ¥4000(飲食別)
名古屋市東区東桜1-10-15
Tel:052-951-6085

*また、12月1日新潟ジャズ・フラッシュ、2日柏崎でもこのデュオで演奏する予定。

サカタカセ
オルタネイティヴ
アキラアキ



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【緊急告知 】NYの激烈ベーシスト TIM DAHL(ティム・ダール)&吉田達也 JAPAN TOUR+追加公演 w/巻上公一

2018年05月30日 00時07分21秒 | 素晴らしき変態音楽


クリス・ピッツィオコスのCP Unitのニュー・アルバム『SILVER BULLET IN THE AUTUMN OF YOUR YEARS』がスペインのClean Feedからリリースされた。昨年9月の日本ツアーで吉田達也とのデュオでプロトタイプが披露された新曲も完全バンド編成で収録された全10曲は、2012年のNY即興シーン・デビュー当時から際立っていた激烈なスピード感覚をアクセル全開し、人間の情報処理能力を限界まで押し進めたハイパーミュージックを造り上げた。レコーディングは二つの異なるメンバー編成で行われた。そのうち4曲でベースをプレイしてるのがティム・ダール。CP Unitのデビュー作『Before The Heat Death』にも参加したピッツィオコスの盟友であり、ノー・ウェイヴの女王リディア・ランチからも信頼される、即興音楽のみならずロック/プログレ/ノイズ・シーンでも活躍するNYのキー・ミュージシャンのひとりである。

そのティム・ダールが単身来日し、吉田達也や巻上公一など日本のミュージシャンと共演する。クリス・ピッツィオコスや9月に来日が予定されるピーター・エヴァンスとともにNY即興シーンの「今」を象徴するティム・ダールの来日ツアーは、ジャズや即興を遥かに超えて「変容するニューヨーク」の可能性を提示しつつ、日米エクストリームミュージックの交流の極地を体験できる見逃せない機会になるだろう。(2018年5月29日 剛田武記)

CP Unit - at The Stone, NYC - November 26 2016


Child Abuse - live at Death By Audio, Brooklyn - July 2 2014


LYDIA LUNCH RETROVIRUS • Ampere, Munich December 10th 2017





TIM DAHL/ティム・ダール
ニューヨークのアヴァンギャルドシーンで最も注目される激烈ベーシストTIM DAHLが単身来日、ドラマー吉田達也とのツアーを敢行!CHILD ABUSE(幼児虐待)という不穏な名前を持つバンドではUDU WUDU期MAGMAの現代版とも言える超ヘヴィーなプログレッシブ・ノイズ・ロックを。昨年来日したCHRIS PITSIOKOSとのユニットなどでは即興演奏を展開し、ジャズアンサンブルPulverize The Soundでも活動。近年ではリディア・ランチのバンドでも頻繁にツアーを行っている。RUINS alone ベーシスト募集ツアーと称して行われたアメリカツアーでもトップの成績を収めたテクニシャンでもある。今回の来日ではインプロおよびChild AbuseやRUINSの曲の演奏と各地でそれぞれ違うゲストを迎えてのセッションを行う。

TIM DAHL Official Site

TIM DAHL&吉田達也 JAPAN TOUR
5/30 (wed) 東高円寺UFO club (with 内橋和久)
open19:00 start19:30 adv 2800 door 3300 (+drink)

5/31 (thu) 名古屋Valentine Drive (with Sax Ruins)
open19:00 start 19:30 adv 2700 door 3000 (+drink)

6/01 (fri) 京都 外 (with 山本精一)
open19:00 start19:30 adv 2500 door 3000

6/02 (sat) 神戸 Helluva lounge (with 河端一)
open18:30 start19:00 adv 2000 door 2500 (+drink)
http://helluva.jp

6/03 (sun) 彦根 ダンスホール紅花
open15:00 start 15:30 adv 2700 door 3000(飲食持ち込み自由)
with NANI∞GURU(砂十島NANI+河端一)(日本初ライブ)
学生無料(要学生証)
メール予約 hikonebenihana@gmail.com

追加公演
6月4日(月)超激ベースの世界
ティム・ダールと巻上公一 デュオライブ
小田原 Bread&English Pub Desture
出演者:TIM DAHL(bass)、巻上公一(voice,theremin)
チャージ:Adv ¥3000(ドリンク別) Door ¥3500(ドリンク別)
OPEN 19:30 START 20:00、終演予定21:20

ニューヨーク
遠くに在っても
日本に居る

吉田達也 RUINS Alone @ Revolver, Taipei
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【推しごと月報4月25日〜5月27日】爆裂女子/ネクロ魔/969/きゃんしろ/でんぱ組/ハミシス/ブクガ/キスエク/えいたそ/ドッツ/ヤナミューetc.

2018年05月29日 00時44分27秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


4月25日(水)渋谷クロスFM


爆裂女子の爆裂トーーーーク!!!!第3回
17:00〜
出演:爆裂女子





4月25日(水)タワーレコード渋谷店4F


969/NECRONOMIDOL ミニライブ&特典会
20:30〜

●NECRONOMIDOL


●969



4月26日(木)渋谷Club Asia


ラウドルフェス2018春
op14:00/st15:00
前売り¥2500
ヲルタナティヴ / NECRONOMIDOL / アンダービースティー / 爆裂女子-BURST GIRL- / TEARS / Alloy / CANDY GO!GO! / Candy♡Syrop




4月30日(月)江戸川総合文化センター


でんぱ組.incコスモツアー 2018〜惑星探査〜
16:00 / 17:00
指定席 ¥ 7,560 (税込)学生席 ¥ 6,480 (税込)






5月2日(水)渋谷O-east


CY8ER NEWGENE TOUR ファイナル公演
18:30 / 19:30
3500 / 4500 1000 / 2000






5月4日(金)渋谷DECEO mini


HAMIDASYSTEMのミーティングな昼
出演:HAMIDASYSTEMと、大人数人



5月4日(金)鴬谷 東京キネマ倶楽部


Maison book girl Solitude Hotel 4.91
18:00 / 19:00



5月5日(土)代々木 山野ホール


「でんぱの神神」DVD第10弾発売記念シークレット"神"イベント&オリジナル特典お渡し会
ご集合及びご整列時刻:11時30分/開演:12時30分(終演予定 14時30分)


【えいたそモダニズム】Episode 19『王道チャイルド』ビートルズ/ストーンズ/ジミヘン/パープル/クリムゾン/クラプトン/エアロ/ガンズetc.


5月5日(土)秋葉原Club Goodman


CLUB GOODMAN 22nd Anniversary Event
<GIGA IDOL2>
開場 12:30 / 開演 13:00
予約 ¥2,800/当日¥3,300(+1drink)

●花園distance


●xoxo(Kiss&Hug) EXTREME


●宇佐蔵べに


●IKAZUGOKE(北村早樹子+飯田華子)


●ゴリトピア(愛知)


●ラミ子


●イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチ


●SAKA-SAMA


●ニーハオ!!!!


●姫乃たま&美川俊治


●幸子と美保(薄幸幸子+若林美保)


●沖縄電子少女彩 + ドラびでお


●NECRONOMIDOL


●PRIVATE LESSONS (こたお/ from あヴぁんだんど × 友沢ミミヨ × 宇川直宏) GUEST:宇佐蔵べに / from あヴぁんだんど



5月6日(日)秋葉原 電気街出口


爆裂女子路上ライブ
12:00〜




5月6日(日)池袋TSUTAYA


BiS 「I Don't Miss It!!』発売記念ミニライブ&特典会
14:00〜



5月6日(日)新宿HMV Record Shop 新宿ALTA 6F


SAKA-SAMA 7インチシングル発売記念ミニライブ&特典会
15:00〜



5月10日(木)都内某所
NECRONOMIDOL レコーディングにコーラスで参加



5月12日(土) 押上ワロップ放送局3F


キスエクのギュッと!プログレッシヴ!vol.2
開場13:50 開演14:00
入場¥1,000-※ドリンク代不要
<MC>ジャイアントジャイアン



5月13日(日)下北沢Shelter


xoxo(Kiss&Hug) EXTREME 一色萌 生誕ライブ
OPEN 10:30 / START 11:00
ADV¥2000 / DOOR¥2500
xoxo(Kiss&Hug) EXTREME / NECRONOMIDOL / HAMIDASYSTEM / SAKA-SAMA / 沖縄電子少女彩

●沖縄電子少女彩


●一色萌 + HASEGAWA BEAT


●HAMIDASYSTEM


●NECRONOMIDOL


●xoxo(Kiss&Hug) EXTREME



5月13日(日)葛飾 KRY CLOTHING SHOP


爆裂女子×KRYコラボBIGTシャツ発売
11:00-15:30
ゆら.都子



5月16日(水)渋谷HMV&BOOKS TOKYO


Malcolm Mask McLaren ニュー・シングル『Light on!!』リリースイベント
19:30〜



5月18日(金)渋谷Milkyway


ギュウ農フェス presents
雷ヘッドライナー Vol.1
開場18時半 / 開演19時
当日2900円+1d
トキヲイキル、THE BANANA MONKEYS、爆裂女子-BURST GIRL-、みんなのこどもちゃん、CLOCK&BOTAN+グーグールル

●みんなのこどもちゃん


●CLOCK&BOTAN


●グーグールル


●トキヲイキル


●THE BANANA MONKEYS


●爆裂女子-BURST GIRL-



5月22日(火)渋谷 eggman


COSMICBOX vol.69
OPEN/START 18:00
ADV 2,500yen+1DDOOR 3,000yen+1D
143∽ / Candye♡Syrup / de’Barrier / NO MARK / 爆裂女子-BURST GIRL- / 必殺エモモモモ‼ / 煩悩Paradox / DJみりてん

●Candye♡Syrup


●爆裂女子-BURST GIRL-



5月23日(水)横浜アリーナ


FM-FUJI 開局30周年記念ライブ GIRLS POWER LIVE
BiSH / でんぱ組.inc / 乃木坂46



5月24日(木)渋谷 CBGKシブゲキ


舞台「信長の野望・大志 ー春の陣ー」
転化布武 〜金泥の首輪〜 Side浅井

19時開演(SIDE浅井)
前売S席パンフレット付 ¥9800



5月25日(金)大塚HEARTS


Hearts+ presents
ヒカシュー × ・・・・・・・・・ 2マンライブ『ヒカ・』
open 18:30 / start 19:00
adv 2800 / door 3300
ヒカシュー / ・・・・・・・・・

● ・・・・・・・・・


●ヒカシュー


●ヒカ・ふしぎなセッション




5月26日(土)新大久保Earthdom


悪の華外伝
Eurrope Tour 壮行会

OPEN 10:30 / START 11:00
前売 2000円 / 当日 2500円(別途ドリンク代 500円)
NECRONOMIDOL




5月26日(土)新宿


めろん畑 a go go路上パフォーマンス



5月27日(日)代官山UNIT


puddle tour final in TOKYO one man live
16:30 / 17:30
ADV 3,500yen (ドリンク代別)
LIVE : ヤなことそっとミュート




推しごとは
金と体力
そして愛

●都子ちゃん(爆裂女子) 裸のラリーズっぽい写真


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【オルガン・オーガズム】ジョリヴェ/メシアン/フランク/ビッグス/ギユー/イェ二ィ

2018年05月25日 08時33分06秒 | 素晴らしき変態音楽


千葉県船橋市で生まれてすぐに北海道の函館に引っ越した。住んでいた家には足踏みオルガンがあった。元々母が持っていたのか、子供の為に買い求めたのか、今となっては確かめようがないが、保育園の年長組の頃からヤマハ音楽教室にオルガンを習いに行った。家では足踏みオルガンで練習したが、母親の指導が厳しくていつもべそをかきながら弾いていた覚えがある。小学校に入学する年に宮城県仙台市に引っ越した時にオルガンは処分したようで、小学時代にオルガンを弾いた記憶はないが、近所の教会の日曜学校で牧師が弾くオルガンにあわせて賛美歌を歌っていた。

このように刷り込まれたせいか、オルガンの音にはあたかも媚薬のように抵抗できない魅惑を感じる。ハモンドオルガンやエレクトーンには何故か惹かれないが、ザ・ドアーズやザ・シーズの電子オルガンやB級サイケバンドのファーフィサ・オルガンは、ファズギター以上に酩酊館を覚えるし、80年代地下音楽の名盤『NOISE / 天皇』の歪んだオルガンや、サン・ラのオルガンやシンセの途轍もないランダムプレイには、地下音楽・地下ジャズの底知れぬ深淵を象徴する響きを感じとった。とは言いつつ14歳でロックにハマった自分にとってヒーローはギターやサックスであり、オルガンはそれを引立てるスパイスに過ぎなかった。

しかしその四倍近い齢になりクラシック畑を耕し始めた筆者は、現代音楽偏西風に導かれるままオルガン沼の淵に立つこととなった。このまま着の身着のままオルガン沼の漆黒の水面に身を投げる勇気はないが、怖いもの見たさで睡蓮の間から泥水を掻き分けて水底に堆積した歴史の垢を採種したい探求心は押えきれない。好奇心は猫を殺す(Curiosity killed the cat)という諺があるが、猫でも魚でもない俺はオルガンの調べでオーガズムに達することができるだろうか。

●アンドレ・ジョリヴェ


アンドレ・ジョリヴェ(André Jolivet, 1905年8月8日 - 1974年12月20日)は、フランスの作曲家、音楽教育者。様々な作曲技法を用いて、ラジカルな前衛音楽からポピュラーなCM音楽まで幅広い分野の作曲を行い、「音楽のジキルとハイド」と揶揄されるほどであった。

André Jolivet ‎– Hymne A Saint André / Hymne A L'Univers / Arioso Barocco / Mandala
(Arion ‎– ARN 38530 / 1980)


オルガン、ソプラノ、トランペットの組み合わせによる四つの作品を収録。ヴィシュヌ神のジャケット通り宇宙へのメッセージをコスミックなオルガンの調べに昇天必至。特にオルガンソロ曲「宇宙への讃歌」「曼荼羅」でロケット発射。

Andre Jolivet: Mandala - Martin Lücker



●オリヴィエ・メシアン


オリヴィエ=ウジェーヌ=プロスペール=シャルル・メシアン(Olivier-Eugène-Prosper-Charles Messiaen, 1908年12月10日 - 1992年4月27日)は、フランス、アヴィニョン生まれの現代音楽の作曲家、オルガン奏者、ピアニスト、音楽教育者である。

Olivier Messiaen ‎– Oeuvres Complètes Pour Orgue Vol.1
(Ducretet Thomson ‎– TOM 4517-9 / 1957)


メシアン自身のオルガン演奏は数多くレコードで発表されているが、50年代に録音されたこの10インチ盤には、モノラル録音特有の茫洋とした音像の中にあの世からの呼び声が内包されている。日本ディスク株式会社という名も知れぬレーベルから発売された分厚い紙ケースの3枚組日本盤。

Olivier Messiaen Improvisations



●セザール・フランク


セザール=オーギュスト=ジャン=ギヨーム=ユベール・フランク(César-Auguste-Jean-Guillaume-Hubert Franck、1822年12月10日 - 1890年11月8日)は、ベルギー出身、フランスで活躍した作曲家、オルガニスト。

César Franck, Kurt Rapf ‎– Sämtliche Orgelwerke (Victor VX-171-3)


バッハ以降これほどオルガンに魂をこめた作曲家があったろうか!と帯に書かれたフランク『大オルガン作品全集』3枚組。バロック様式の予定調和を突き崩す浪漫派の精が籠められた自由な空気に満ちている。

César Franck Prélude, fugue et variation.



●E.パワー・ビッグス


エドワード・ジョージ・パワー・ビッグス(Edward George Power Biggs、1906年3月29日 - 1977年3月10日)は、イギリス生まれ、アメリカ合衆国のオルガニスト。

E. Power Biggs ‎– The Historic Organs of Europe (CBS Sony SOCZ - 335-340)


「E-Power」なんてEP-4を思い出す名前の有名オルガン奏者がヨーロッパ各国のパイプオルガンを弾き倒す6枚組。国によって音も演奏も異なる。筆者としてはミニマルな演奏が収められたスイス盤がお気に入り。

Biggs - Pipe Organ - Bach - Passacaglia and Fugue in C minor, BWV 582 "Tracker Organ"



●ジャン・ギユー


ジャン・ギユー(Jean Guillou) 1930年、アンジェ市生まれ。10歳ごろに、早くも同市の教会のオルガン奏者となる。パリ・国立高等音楽院で学んだ後、54年、リスボン・高等文化学院(Instituto di AltaCultura)でオルガン演奏と作曲を教え、58年からベルリンに住みコンサートなどの音楽活動を行う。63年、パリ・サントゥスタッシュ教会の正式なオルガン奏者に就任。82年ニューヨークにて演奏家勲章受章、ブタペストにてリスト・アカデミー賞受賞。パイプオルガンの設計、製作にも携わる。

Jean Guillou ‎– Visions Cosmiques - Improvisations Dédiées À L'équipage D'Apollo 8
(Philips Prospective 21e Siècle ‎– 836.890 DSY / 1969)


フランス現音マニアにはお馴染みの銀ぴかジャケット『21世紀への展望』シリーズの一枚。ギユー自身の即興演奏はエクソシストのようにオルガンの中に棲む悪魔を解放する。『宇宙幻想』というタイトルがこれほど相応しいアルバムもあるまい。

Guillou Improvisation St Eustache



●ゾルタン・イェ二ィ


ハンガリー、ゾルノック生まれの作曲家。ウィーン学派やバルトークの影響を受けブーレーズ、シュトックハウゼンを学び、70年代にミニマリズムへ進む。とてもゆっくりした静謐な作風が特徴。

Zoltán Jeney ‎– To Apollo / For Glass And Metal / Soliloquium No. 3 (Hungaroton ‎– SLPX 12366 / 1982)


昨年ロンドンで購入したアルバム。イェニィ自身が弾くオルガンのリピートにシンバルと呪術的なコーラスが延々と続くミニマルなサウンドは、聴き進むうちに心の檻を溶かして宇宙の藻くずに同化させる。

HH09 hz13 Jeney Zoltán - Apollónhoz



オルガンは
コスモス畑に
水を遣る

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【私のB級サイケ蒐集癖】第13夜:バーバラ・キース、サイケからカントリーフォーク経由ハードロックへの転身

2018年05月23日 01時45分35秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


1980年代吉祥寺サンロードの今はペットショップになっている店舗の2階にトニーレコードというレコード店があった。本店は神保町にある老舗で、灰野敬二がSilver ApplesやNight Crawlersを見つけた店だと聞いたことがある。吉祥寺店もおそらく70年代半ばからあったと思われ、店内はアメリカ盤特有の埃臭いビニールの香りが漂う、レコード好きにはたまらない店だった。パンクやニューウェイヴやJ-POPよりも、ブルースやジャズ、60~70年代のアメリカン・ロックやポップスの品ぞろえが豊富だった。安売コーナーには傷あり盤やカット盤の名も知らぬレコードがあり、ジャケットやタイトルを見て買ったりしたものだ。そのうちの1枚が以前紹介したオレ的名盤『Douglas Fir /Hard Heartsingin‘』である。
【極私的名盤】ダグラス・ファー『ハード・ハートシンギン』~”全員号泣”サイケ・ブルース・バンド

もちろん安物コーナーだけを見ていたわけではなく、A~Zで分かれた通常コーナーもチェックしていた。その中に他より値段が高くて、そのせいかいつまでも売れずに残っていて、まるで売り場の『主』のようなレコードがあった。特に雑誌等に紹介されることもなく、アーティスト名も知らないながらも、強く印象に残ったレコードたち。トニーレコードは90年代に吉祥寺の別のちょっとお洒落な場所に移転して、なんとなく足が遠のいていたところ、いつの間にか閉店してしまったが、『主』のレコードたちは記憶に残っていた。そんな『主』の中に彼女はいた。

●カンガルー『カンガルー』 Kangaroo ‎– Kangaroo (MGM Records ‎– SE-4586 / 1968)


90年代ロサンゼルス出張の際に立ち寄ったレコード店でトニーレコードの主のひとつを見つけた。ジャケットにクリッシー・ハインド似の素敵な女の子が写った『Kangaroo』というバンドのアルバム。のちにオーリアンズを結成するジョン・ホール(b, g, steel-g, vo)、N.D.スマート二世(ds,vo)、テッド・スペリーズ(l-g, vo)、バーバラ・キース(vo)の4人組。名前も素敵なバーバラの想像通り美しいハーモニーと、粘っこいスチールギターがねじれたフレーズを奏でるサイケ・ポップに萌えに近い気持ちを抱き、バーバラ・キースはオレの推しメンになった。

Kangaroo - Such A Long Long Time 1968


ネットがない時代にどうやって調べたのか記憶にないが、彼女がソロ・アルバムをリリースしていることを知った。しかしこれまたネットで探すこともできず、レコード屋めぐりをしながら偶然出会えるのを待つしかなかった。思いが叶って93年と94年に別の中古盤店で二枚のソロ・アルバムを手に入れることができた。どちらもアルバム・タイトルは『Barbara Keith』というセルフ・タイトル。

●バーバラ・キース『バーバラ・キース』 Barbara Keith ‎– Barbara Keith (Verve Forecast ‎– FTS-3084 / Feb 1970)


1stソロ。ボストン出身のサイケバンド、ボ・グランプス Bo Grumupsのメンバーがバックをつとめていて、所々にサイケな香りが漂うアシッド・カントリーフォークを聴かせる。カントリーの名手ビル・キースのスティールギターが美しい。

Barbara Keith - Blue Eyed Boy



●バーバラ・キース『バーバラ・キース』 Barbara Keith ‎– Barbara Keith (Reprise Records ‎– MS 2087 / 1973)


2ndソロ。ギターにダニー・コーチマーやロウェル・ジョージ、ピアノにスプーナー・オールダム、ドラムにジム・ケルトナー、ストリング・アレンジにニック・デカロといった有名セッション・ミュージシャンが参加。ボブ・ディランの『見張塔からずっと』のグルーヴィなカヴァーの他はバーバラの自作曲。70年代SSWらしいしっとりと聴かせるナンバーが多く、バーバラ・ストライザンド、ローウェル・ジョージ、タニヤ・タッカー、デラニー&ボニー、ディラーズなどがこのアルバムの曲をカヴァーした。

Barbara Keith "All Along The Watchtower"


しかし2作ともセールス的に失敗し、バーバラはプロデューサーのダグ・ティブルス Doug Tibblesと結婚し、暫く音楽業界から遠ざかる。

90年代に夫のダグと息子のジョン・ティブルスと共に「AC/DCミーツ・パッツィー・クライン」と呼ばれるロック・トリオ、ザ・ストーン・コヨーテズを結成。カルト的な人気を得た。作家のエルモア・レオナルドElmore Leonarも支持者の一人で、連作『ゲット・ショーティ』『ビー・クール』にストーン・コヨーテズを登場させ、バーバラの曲を引用した。

●ザ・ストーン・コヨーテズ The Stone Coyotes


Barbara Keith (vo, g), Doug Tibbles (ds), John Tibbles (b)。1998年にデビュー以来14枚のアルバムをリリース。ハードロッカーさながらにギターを弾き倒しパワフルなヴォーカルを聴かせるバーバラ・キースをはじめ、骨太のアメリカンロックをシンプルなトリオ編成展開する。マサチューセッツのローカルバンドの地位を確立し、ツアーで人気を誇る彼らこそアメリカンロックの良心と言える。来日することは有り得ないだろうが、一度生で見てみたいものだ。

The Stone Coyotes Show

The Stone Coyotes Official Site

歌うため
生きる命を
限りなく

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【完全セットリスト+MIX音源公開】盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.13@渋谷EdgeEnd 2018.5.20 (sun)

2018年05月22日 01時32分57秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.13
La deuxième hérésie

2018.5.20(sun)
18:00 Open/Start  
Charge ¥1,000 incl.1drink
Shibuya DJ BAR EdgeEnd

Time Table
18:00-18:30 DJ Battle 1 : FREE ZONE:自由参加コーナー
18:30-19:00 DJ Rag aka Keiko KUSAKABE
19:00-19:30 DJ Vaby aka 大場弘規
19:30-20:00 DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
20:00-20:30 DJ Fujii Masahide a.k.a. FJ
20:30-21:00 DJ Battle 2 : DJ Ipetam aka 福田理恵 vs ??
21:00-21:30 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
21:30-22:00 DJ BEKATAROU aka 伊藤元
22:00-22:30 DJ amy aka モリモトアリオミ



【完全セットリスト】
●Undergroud DJ Battle "Free Zone":DJ Vaby aka 大場弘規 (V) vs DJ Necronomicon (N) vs DJゲーティアの悪魔 aka 吉峰佳 (G)


1. Organum / The Slaughter (V)
2. NECRONOMIDOL / あたいの爪痕 (N)
3. De Fabriek / Flowers Of Evil (V)
4. xoxo(Kiss&Hug) EXTREME / イロノナイセカイ (N)
5. Sigillum S / R.A.W. Mindfuck (V)
6. Ryr Feat.упьтрапопярное вторжение / рагнарек(Ragnarok)(G)
7. SAT Stoicizmo / Avionom (V)
8. Ryr Feat. упьтрапопярное вторжение / поспеднее спово(Last Word)(G)
9. Drillman / Floating Sun (V)
10. Ryr Feat. T-Wald /нет ничего кроме всего(There is Nothing Except Everything)(G)




●DJ Rag aka Keiko KUSAKABE


00. Cheikh Abdullah Al Matroud - Sourate Youssouf コーラン
挿入した音源
01. Donovan - Sunshine superman / サンシャイン・スーパーマン 1966
02. The Beach Boys - Good vibration / グッド・ヴァイブレーション 1966
03. ジャックス / The Jacks - Marianne / マリアンヌ 1968
04. The Beatles - Lucy in the Sky with Diamonds / ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ 1967
05. The Beatles - I am the Warlus / アイ・アム・ザ・ウォルラス 1968
06. Vanilla Fudge - Bang Bang 1968 / 原曲 Bang Bang ( My Baby shot me down ) Cher / Sonny Bono 1966
07. Audioslave - Show me how to live 2003
08. Secos & Molhados - Rosa de Hiroshima 1973
09. The Zombies - Time of the season / ふたりのシーズン 1968
10. David Bowie - Space Oddity / スペース・オディティ(シングル版) 1969
11. The Turtles - Happy Together / ハッピー・トゥゲザー 1967
12. The Beatles - Across the universe / アクロス・ザ・ユニヴァース(No ones gonna change our world版) 1969


●DJ Vaby aka 大場弘規


1. Ni Hao! / Laila
2. 須山公美子 / ライラ・ライラ
3. Sperma / Please Love Me Tonight
4. 金延幸子 / とべたら本こ
5. 石川セリ / 遠い海の記憶
6. Helena Espvall & Masaki Batoh / Kling Klang
7. Meredith Monk / Travelers 4~Churchyard Entertainment
8. Diamanda Galás / Solo Live In Amsterdam
9. Lydia Lunch / No Excuse
10. Live Skull / Raise The Manifestation




●DJ Necronomicon aka 剛田武


1. Pain Killer / Scud Attack
2. Weasel Walter & Chris Pitsiokos / Quartered
3. Konstrukt + Keiji Haino / The Darkness Of +(Plus) And The Paleness Of –(Minus) Drag Each To An Identical Distance And Reanalyse Blending In Some Pain (Part 1)
4. Derek Bailey, Jamie Muir / Dark Drug
5. knu! / Improvizialismus Abfeiern, Wo Immer Man Ihn Vorfindet
6. 大友良英 / HK
7. Rent Romus' Lords Of Outland / In the darkness we speak a sound brightness and life
8. Ornette Coleman / Rock The Clock
9. 近藤等則, Paul Lovens, Paul Lytton / Osaka 1982.9.27
10. Chris Pitsiokos - Philip White / Paroxysm Part 1
11. Evan Parker / Aerobatics 1
12. Burning Tree / Red Mercury
13. 高柳昌行 New Direction For The Arts / Free Form Suite
14. Pascal Niggenkemper / men of stone
15. Chris Pitsiokos CP UNIT / Improvisation 8


● DJ Fujii Masahide aka FJ


1・Deceit_F / Sri Lankan Phase
(a・Genta Bhuana Sari / Fajar Menyingsing)
2・Rozz Williams / Whorse
3・Madame B / Noisy Silence
(b・山下洋輔トリオ / ミナのセカンドテーマ)
4・透過性分子+内田静男+藤井政英 / タイトル不明
(c・山下洋輔トリオ / Clay)
5・Ataraxia / Anno Domini MDLVI
6・PYG / 花・太陽・雨
7・Cathedral / Entrance to Hell
8・Black Sabbath / Supertzar
9・Wu-Tang Clan / Da Mystery of Chessboxin'
10・Jimmy Page & Robert Plant / YALLAH
(d・William Basinski / For David Robert Jones)


●DJ Battle 2 : DJ Ipetam aka 福田理恵 (I) vs DJ Necronomicon aka 剛田武 (N)


1. SWANS / COP (I)
2. HAMIDASYSTEM / S (N)
3. MOE¥i$GOD / HATE SONG (I)
4. 爆裂女子 / BURST GIRL (N)
5. 赤い鳥 / 風は旅人 (I)
6. じゅじゅ / 黒糸 DJ Remix (N)
7. SPK / METAL DANCE (I)
8. xoxo(Kiss&Hug) EXTREME / Cutie Avengers (N)
9. 火取ゆき / 真昼の星空 (I)
10. Mikko Innanen & Innkvisitio / Clustrophy (N)
11. Daniel Dax / Hear Come The Harvest Buns (I)
12. Talibam! / Human Interference And The Failure To Ratify (N)
13. ramleh / PRISTINE WOMANKIND (I)
14. NECRONOMIDOL / Witching Hour (N)
15. Wink / 時計をとめて (I)




●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


1. Current93 / Imperium V(from the album Imperium)
2. Current 93 / Live at Bar Maldoror(from the album Live at Bar Maldoror)
3. Current 93 / Dawn (from the album Dawn)
4. Current 93 / Mi- Mort (from the album Mi-Mort)
5. Current 93 / How the Great Satanic Glory Faded (from the album Tamlin)
6. HÖH-Current 93 / Anyway, People die (from the album Island)
7. HÖH-Current 93 / To Blackend Earth (from the album Island)
8. Current93 / Hitler as Kalki (from the album Hitler as Kalki)
9. Current93 / Malediction (from the album swastikas For Goddy)
10. TSIDMZ / Beast, Men And Gods (from the album Ungern Von Sternberg Khan)
11. SIRIO GRY J / GENETIC ENHANCEMENT (from the album HUMAN ENHANCEMENT)
12. HÖH-Current93 / Field Of Rape And Smoke (from the album Island)
13.Alleluia et sequence de Pâques / Chœurs des moines des Abbayes du Bec Hellouin (from the album Immortel Gregorien)
14. Current93 / Dormition and Dominion (from the album Of Ruins or Some Blazing Starre)




●DJ BEKATAROU aka 伊藤元


1.今 史郎 / 12人の奏者と電子音のための音楽
2.灰野敬二 / うまくできない
3.VELTZ / アナログテレビに捧ぐ 第3楽章
4.SPK / day of pigs
5.SPK / wars of islam
6.MASONNA /ejaculation generater
7.GRIM / klara's song




●DJ amy aka モリモトアリオミ


1. 富樫雅彦 加古隆 「突風」+ 中島みゆき「元気ですか」
2. HYSTERIA-SAD 「LITTLE BOY」
3. アケボノイズ「かごめの不思議」
4. STIGMA 「粗大ゴミ」
5. Tight Rope「Rock'n Roll」
6. Pale Cocoon「自動人形」
7. ミッキー 「やめてクレ…ROCK'N'ROLL!」
8. Felix Hess 「Fogg Dam」
9. Folk Muk 「君は知ってるかい」
10. THE GRUDJIEFF「Optical Illusion」
11. 伊藤つかさ「二度目のファースト・ラブ」




★全音源をSoundcloudで公開!!!!★期間限定(次回開催まで)
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.13 Part 1(最初〜DJ Fujii Masahide aka FJ)



盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.13 Part 2(DJ Battle 2 〜DJ amy aka モリモトアリオミ)


盤魔殿
新規のお客さん
増えてます

【次回】
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.14
La maladie du jour du roc




2018.6.9(sat)
18:00 Open/Start  
Charge ¥1,000 incl.1drink
Shibuya DJ BAR EdgeEnd
Tel:03-5458-6385
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【地下アイドルへの招待】第6回:おやじ殺しの女子の罠〜パンク(爆裂女子)とプログレ(キスエク)とノイズ(沖縄電子少女彩)

2018年05月21日 01時30分31秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


地下アイドルへの招待
第6回:おやじ殺しの女子の罠~パンクとプログレとノイズ


DJ Necronomicon ネクロノミコン(aka 剛田武)


サーチ&デストロイのパンクと理論と技術至上主義のプログレと音楽破壊者ノイズ。一見真逆に見える三つのジャンルだが、三者とも大好きなへそ曲りも少なくないだろう。70年代半ば中学時代にパンクの洗礼を受け、高校時代に音楽雑誌やミニコミの影響でインダストリアルミュージックと反体制派ロック(Rock In Oppsition)に被れたオレにはノイズはパンク以上に過激に思えたし、ジョン・ライドンが影響を公言したCANをはじめ、ポストパンク文脈でノイ!やアモンデュール、ファウストを知ると同時に、ネオサイケから60年代サイケをたどり、ピンク・フロイドやソフト・マシーンやゴングに行きついたオレにとってプログレは変態音楽の天国に思えた。大学ではパンクとプログレとインプロノイズ・バンドを掛け持ちした。その当時のオレは周囲に迎合することを決して良しとしないストイックな美学に浸っていた。まさか30余年もたってからアイドル畑でおっさんホイホイの罠にまんまと引っかかり、パンクやプログレやノイズをパクった小娘たちに夢中になるとは信じられまい。穢れを知らない潔癖な正義感に満ちた20代のオレが見たら、怒りのあまりエレキギターを叩きつけてオレの頭蓋骨を跡形もなく破壊するかもしれない。しかしオレのデスマスクは、推しの為に命を落とした喜びに満足な笑みを浮かべているに違いない。


●爆裂女子-BURST GIRL-


2017年10月結成、セルフ運営・セルフプロデュースの暴れまくりパンクロックアイドルグループ。零、ゆらぴこ、りんちゃま、都子の4人とも昨年解散した「世界で一番激しいアイドル」偶想Dropのメンバーだった。グループ名は石井聰亙監督映画『爆裂都市 BURST CITY』(82)より。主題歌のバトル・ロッカーズ「セル・ナンバー8」をカヴァーしたり、スターリンやアナーキーのロゴを衣装にしたり、パンク親父が「こんな若い娘がなぜ?」と突っ込みを入れたくなるポイント多数。偶ドロ時代から推しだった筆者にしても、パンクをメインに打ち出したことで推し度が急上昇、モッシュ/ダイヴOKの激しい現場の最前列で暴れてしまう。オリジナル曲が増えるにつれパンクだけでない多様性を発揮するが、パンク精神はそのままに、四人四様のカッコいいアイドル像を突き進んで欲しい。

爆裂女子-BURST GIRL- / GREAT FXXKING MY WORLD【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

公式サイト


●xoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キスエク)


前身は2015年5月始動したプログレッシヴ・アイドルxoxo(Kiss&Hug)。いったん解散するも2016年12月にメンバーを一新してxoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キスエク)として再始動。マグマの公認カヴァーを始めイエスやクリムゾン、ジャズロックなど往年のプログレ・フレイバーあふれる楽曲で親父の心を掴む。メンバーは楠芽瑠、一色萌、小日向まお、小嶋りん。最初はおやじ狙いの意図が見え隠れして避けていた筆者だったが、ライヴを観て「プログレって何か知らないけど歌と踊りが楽しい」アイドル・オーラ全開のパフォーマンスに開眼。キュートな声が萌えポイント。爆裂女子とは真逆の普通のアイドル現場のノリも新鮮。個人的にシンフォニック系プログレはほとんど聴かないが、キスエクの王道プログレ路線はヲタ心の琴線に触れる。

凛音〜rinne〜 / xoxo(Kiss&Hug) EXTREME【Official MV】

公式サイト


●沖縄電子少女彩 Okinawa Electric Girl Saya


Saya17歳2016年6月沖縄アヴァンギャルドテクノアイドルTincyに加入。 2017年3月沖縄電子少女彩(Saya)としてソロデビュー。沖縄音楽、ノイズ、アンビエント、アブストラクトヒップホップ、フレンチポップなど多岐に渡る楽曲を展開。好きな事:ピアノ、読書、ボーッとする事、寝る事、ドクロLOVE、音フェチ&匂いフェチ。初めて観たのは2018年1月のGIGANOISEだった。金髪女子高制服姿で激烈ハーシュノイズを鳴らす姿にノイズヲタクの血が騒いだ。次に観た4月のギュウ農フェスではノイズだけでなく歌と踊りも披露(そっちの方が本流?)。意外に正統派のJ-POPダンスナンバーもあるが、インダストリアル/テクノイズ風の曲は80年代ジャーマンニューウェイヴを思わせて新鮮。史上初の「ノイエ・ドイチェ・ヴェレ・アイドル」を目指して欲しい、出来ればJKコスチュームで、と勝手に願っている。

沖縄電子少女彩 GIGANOISE 5 AKIHABARA CLUB GOODMAN 20180321

公式サイト

音楽を
愛するように
女子を推す

▼オレ的90年代パンクアイドル、ブリジット・ウェスト率いるNYルースの美麗ライヴ動画発見!
NY Loose - Rip Me Up + Pretty Suicide [1997]
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【えいたそモダニズム】Episode 20『最高のサイコ』〜ソニックス/ラモーンズ/T.ヘッズ/ジザメリ/ジョン・ライドン/BOØWY/ネクロ魔/でんぱ組

2018年05月20日 01時07分13秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


でんぱ組.inc コスモツアー 2018
2018/4/14(土)札幌市教育文化会館・大ホール
2018/4/28(土)茨城県立県民文化センター・大ホール
2018/4/30(月・祝)江戸川区総合文化センター
2018/5/2(水)広島・JMSアステールプラザ
2018/5/3(木・祝)NHK大阪ホール
2018/5/4(金・祝)一宮市民会館
ーーー以上終了ーーー



2018/6/16(土)仙台サンプラザホール
2018/6/17(日)栃木総合文化センター
2018/6/23(土)TOKYO DOME CITY HALL [追加公演]
2018/6/30(土)静岡市民文化会館・中ホール
2018/7/1 (日)日本特殊陶業市民会館・フォレストホール [追加公演]

でんぱ組.inc コスモツアー 2018 ~七月七日は七夕まつり編~
2018/7/7 (土)河口湖ステラシアター

▼根本凪(左)の表情にも注目


JOYSOUND presents でんぱ組.inc コスモツアー 2018 〜未知との遭遇〜
07/15(日)仙台 GIGS …CHARAMEL “ふなっしー(Vo.) アックマ(Gt.) カパル(Ba.) にゃんごすたー(Dr.)” / でんぱ組.inc
07/21(土)Zepp Osaka Bayside … 東京スカパラダイスオーケストラ / でんぱ組.inc
08/25(土)Zepp Nagoya … チャラン・ポ・ランタン / でんぱ組.inc
08/31(金)福岡 DRUM LOGOS …FLOW / でんぱ組.inc
09/27(木)Zepp DiverCity Tokyo … SILENT SIREN / でんぱ組.inc



新体制で挑む初の全国ツアー「でんぱ組.inc コスモツアー 2018」が前半を終えたところで、続々と先のツアーやイベントが発表になっている。上記以外にもフェスやイベントやソロ活動が多数予定されており、でんぱ組メンバー七人も多忙の極みであろう。くれぐれも健康に気をつけて楽しく過ごしていただきたいものである。2016年春以来の全国ツアーを満喫しているのはヲタクだけでなくメンバー自身に違いない。イエロー担当、えいたそこと成瀬瑛美さんはサンヵ所目の東京江戸川区民総合センターでの公演について以下のように感想を綴っていた。



えいたその最高発言は今に始まった口付けではない。丁度6年前の2012年5月17日のブログでも呟いている。

エキセントリックえいたそぶろぐ!!!☆ 2012年05月17日


今回は彼女の発言のキーワードである「最高」に注目してみよう。物事が最も望ましい状態にあること。この上なくすばらしいこと。また、そのさま。を意味する言葉であり、英語では「Awesome」「Sick」「Rock」「Epic」「Wicked」となる。ここに新たに「Psycho」を追加したい。「精神病」「霊魂」「霊的世界」を意味する。日本を訪れる外国人が「ニッポンサイコー」と言う時は「Awesome」ではなく「Psycho」だと思ったほうがいい。日本の根底にある宗教観の八百万神(やおろずのかみ)に触れてどう対処していいか分からない異文化人にとって「狂ってる」を意味する「サイコ/Psycho」は、思わず口をついて出る言葉としては、意味と行為が一致しているからである。



でんぱ組の「さいこう」ソングと言えば、テレビアニメ『斉木楠雄のΨ難(さいきくすおのサイなん)』第2クールオープニング・テーマでもある『最Ψ最好調!(さいさいさいこうちょう)』である。超能力者の高校生が主人公のドタバタギャグ漫画が原作。主人公の超能力にはサイコキネシス(念力)やサイコメトリー(残留記憶読取)もあり、Psychic PowerはPsychoであることが分かる。ジャケットのど真ん中で両手を広げ世界中にサイコパワーを拡散するえいたそこそサイコ女王に相応しい。

●でんぱ組.inc『最Ψ最好調!』


『週刊少年ジャンプ』にて連載のテレビアニメ『斉木楠雄のΨ難』のオープニング・テーマを収録したシングル。作詞/作曲は浅野尚志が担当。今作は、ブラックミュージックやサーフミュージック、EDM、RAPなどをミックスし、音楽ジャンルのボーダーを越えてPOPSへと昇華させた、でんぱ組.incらしさ溢れる楽しさ全開のパーティーチューン!

でんぱ組.inc「最Ψ最好調!」MV Full


これほどまでに最高のサイコ女子の瑛美さんにオレから指折りのサイコソングを捧げることにしよう。

▼ピンキー☆藤咲彩音&古川未鈴のパンチラ・ショット。



【えいたそモダニズム】Episode 20『最高のサイコ』
『サイコ』(Psycho)は、1960年に製作されたアメリカ合衆国の映画。アルフレッド・ヒッチコック監督によるサイコ・スリラー系のサスペンス映画で、全編モノクローム映像。この映画によって「サイコ」という言葉は日本を含む世界中に広まり、「精神異常」「多重人格」という意味を持つようになった。さらにここから様々な使われ方が派生した。ロック界でも様々なアーティストが「サイコ」ソングを歌って踊って人気を博すこととなる。発表年代順に検証していこう。

●ザ・ソニックス『サイコ』


1965年リリース。1960年にワシントン州タコマで結成された米国のロックバンド、ザ・ソニックス(The Sonics)の1st。1960年代中頃の米国ガレージロックの古典的名盤。有名なオリジナル曲3曲、「The Witch」、「Psycho」、「Strychnine」の他、「Do You Love Me」(ザ・コントゥアーズ)、「Roll Over Beethoven」(チャック・ベリー)、「Have Love, Will Travel」(リチャード・ベリー)、「Money」(バレット・ストロング)、「Walkin' the Dog」(ルーファス・トーマス)、「Night Time is the Right Time」(レイ・チャールズ)、「Good Golly Miss Molly」(リトル・リチャード)などの初期ロックンロール、R&B曲のカヴァーを多数収録。

いちローカルガレージパンクバンドだったソニックスが90年代のCDリイシューブームで世界中のマニアの間で再評価され2010年にはTHE BAWDIESの尽力で来日まで果たした。駆け抜ける青春時代のフラストレーションを発散するワイルドなロケンローは時代が変わっても思春期ボーイズ&ガールズの心を掴む。青春はサイコなのである。

The Sonics - Psycho



●スティーヴ・ハーリー&コックニー・レベル『さかしま(The Psychomodo)』


1974年6月リリース。70年代のロンドンに舞い降りた禁断の美形、スティーヴ・ハーリー率いるコックニー・レベルのセカンド・アルバム。アラン・パーソンズが共同プロデュース、当時の英国を象徴するデカダンス・グラムの最高作!

フランスの作家ジョリス=カルル・ユイスマンスのデカダン小説『À rebours』を『さかしま』=「逆さま」「道理にそむくこと」と訳したのは澁澤龍彦。『サイコモド(Psychimodo)』という原題に澁澤イズムを借用した邦題はスティーヴ・ハーリーの妖しい魅了を象徴している。グラムロックと呼ばれたが、イギリス特有の耽美性は時代を超えて受け継がれている。デカダンス(退廃主義)はサイコなのである。

Cockney Rebel - Psychomodo (Peel Session)



●トーキング・ヘッズ『サイコキラー』


1977年9月リリース。ニューヨークで勃発したパンク・ムーヴメントの舞台となったCBGB'sでデビューをし、その鋭い個性とパフォーマンスでシーンを牽引したトーキング・ヘッズ。新世代の幕開けを宣告した、記念すべきデビュー・アルバム『サイコ・キラー ‘77』(1977年作品)のタイトルトラック。

パンクは社会的メーセージだけでなく人間の精神世界を暴く歌も歌った。特にニューヨークのアート系ロッカーは暴力よりも知性で勝負した。脳天の先から声を出してロボットダンスをするデヴィッド・バーンは80年代アートロックの象徴だった。アフリカ音楽やミニマリズムにも接近する彼の出だしがサイコ・キラー(精神殺人鬼)だった。アートはサイコなのである。

Talking Heads - PsychoKiller



●ラモーンズ『サイコ・セラピー』


1983年2月リリース。ニューヨーク・パンクの先駆者であり、ロンドン・パンク・シーンにも影響を与えたラモーンズ。コア・パンクからポップ・パンクへの路線を突き詰め、ポップ・パンク・ブームの礎を築いた83年発表の8thアルバム『サブタレイニアン・ジャングル』に収録。

サイバーパンクの世界では精神療法(サイコセラピー)でロボット化される人間が描かれる。近未来の話ではなく心理セラピーによる人格操作や人格破壊は80年代には大きな問題になっていた。NYパンクのオリジネーター、ラモーンズが歌うサイコセラピーはパンク人生の逝く先を暗示していたのではないだろうか。人生はサイコなのである。

Ramones - Psycho Therapy (Official Music Video)



●ジーザス&メリー・チェイン『サイコ・キャンディ』


1985年11月リリース。エレクトリック・ギターを駆使して作り出したフィードバック・ノイズを前面に、扇動的なギター・ロック・サウンドでUKのみならず世界中に衝撃を与えたグループ、ジーザス・アンド・メリー・チェーンの歴史的デビュー・アルバム。UKロック史上に残る名盤として語り継がれている1985年作品。

後のシューゲイザーに大きな影響を与えたノイズギター+ヘヴンリーなメロディ様式を打ち立てたジザメリのデビュー作。リアルタイムで聴いたが、当時の筆者にとってはソニック・ユースやハードコアの方が刺激的に感じた。甘いだけで単調なメロディラインが気に入らなかったが、ヘアスタイルは気に入った。ポップとノイズの融合はロックの革命でもあった。革命はサイコなのである。

The Jesus and Mary Chain - Some Candy Talking (Official Video)



●BOØWY『PSYCHOPATH』


1987年9月5日リリース。BOØWY最後の作品となる6thアルバム。先立ってリリースされたシングル「MARIONETTE」は遂にシングル・チャート1位を獲得。成熟したBOØWYサウンドで、彼らのオリジナル・アルバムとしては最高のセールスを記録した。リリースから3ヶ月半後の12月24日、渋谷公会堂で解散宣言を行うこととなる。

筆者はまったく通って来なかったが、日本のロックシーンに於けるBOØWYの影響力は絶大とされる。布袋寅泰がオートモッドにいたことも最近まで知らなかった。唯一筆者の世界と交差したのは、2014年5月のでんぱ組.inc初の日本武道館単独公演で古川未鈴が言った「ディアステージ武道館店へようこそ!」というMCが、氷室京介の「ライヴハウス武道館へようこそ!」というMCをパクったという事実だけである。つまりライヴはサイコなのである。

BOØWY PSYCHOPATH LIVE



●ジョン・ライドン『サイコパス』


1997年リリース。P.I.L.の活動休止、まさかのセックス・ピストルズ再結成を経て、1997年に発表されたジョン・ライドン初のソロ・アルバム。ほとんどの演奏を自身でこなし、ジャケットまで手がけた渾身の作品。

1996年突然再結成したセックス・ピストルズの武道館公演はとても楽しかったが、逆にパンクがノスタルジーの対象になったことを実感し寂しい思いがした。金儲け目的と銘打った再結成ツアーだから当然だが。その翌年97年にジョン・ライドンが最初で最後のソロ・アルバムをリリースしていた。『Psycho's Path(精神異常者の小径)』と題されたアルバムは、ピストルズよりもずっと自然な彼の姿を明らかにしている。自然はサイコなのである。

John Lydon 'Pyschopath'



●NECRONOMIDOL『psychopomp』


2016年6月リリース。暗黒系アイドルユニット、ネクロノマイドル(ネクロ魔)のEP『from chaos born』に収録されたナンバー。ブラックメタル、ダークウェーヴからよりメタル/ロック色を強めた作風で、ファン層を広げることになった。ドラマティックな展開、切ないメロディで人気の代表曲。

同名異曲もあるが、ネクロ魔の『サイコポンプ』こそ最高にサイコなアイドル曲だと断言したい。冒頭の瑳里と今泉怜のクリスタルクリアなハイトーンヴォーカルに圧倒され、「嗚呼 ララララ」というリフレインの胸を切り裂く切なさの奔流に溺れながらも、分厚いファズギターと脅迫的なドラム&ベースに覚醒し「この手を握って 安らぎへ導くよ」と言う刹那の願いに翻弄される。名曲はサイコなのである。

NECRONOMIDOL - psychopomp Music Video


以上の考察により、えいたそ☆成瀬瑛美とでんぱ組.incが最高であることで、青春/デカダン/アート/人生/革命/ライヴ/自然/名曲という八つの徳を成し遂げられることが証明された。これからも最高を更新していってもらいたい。

えいたそちゃん
最高のサイコで
さあいこう!

▼今日5月19日はザ・フーのピート・タウンゼンドの誕生日。えいたそのピート・ジャンプ!

【えいたそ♥ピート説】でんぱ組.inc@立川たましんRISURUホール 2015.4.25(sat)
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【タイムテーブル&「盤魔殿AMALGAM」目次公開】5/20sun開催DJイベント『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.13』

2018年05月17日 13時00分51秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.13
La deuxième hérésie


2018.5.20(sun)
18:00 Open/Start  
Charge ¥1,000 incl.1drink
Shibuya DJ BAR EdgeEnd
Te:03-5458-6385

異端音楽+映像、2年めの怪異
Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Idol, Black Metal, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval, UnderGround,… Everything Weirdness About Music!

Time Table
18:00-18:30 DJ Battle 1 : FREE ZONE:自由参加コーナー
18:30-19:00 DJ Rag aka Keiko KUSAKABE
19:00-19:30 DJ Vaby aka 大場弘規
19:30-20:00 DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
20:00-20:30 DJ Fujii Masahide a.k.a. FJ
20:30-21:00 DJ Battle 2 : DJ Ipetam aka 福田理恵 vs ??
21:00-21:30 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
21:30-22:00 DJ BEKATAROU aka 伊藤元
22:00-22:30 DJ amy aka モリモトアリオミ



緊急参戦決定! DJ Rag aka Keiko KUSAKABE!
テーマは「不安と平安をともに宿す身体という自然の回復、地星人という体感の獲得」。内容は「サイケデリック・ミュージック」。最近ついサイケデリックを聴いてしまうのは何故かと思うと、きっと呼吸に必要なのだろうと。今日におけるサイケデリックミュージックは自分の身体に向きあい内なる声に耳を傾けるためのインスタントカーマ的役割を果たすに役立つと私の身体が告げているのだろうと。


来場者全員プレゼント!異端音楽ZINE
『盤魔殿AMALGAM vol.7』
【目次】
地下アイドルへの招待『第7回:おやじ殺しの女子の罠~パンクロックとプログレ』DJ Necronomicon ネクロノミコン(aka 剛田武)
ターン・オン、チューン・イン、スピン・アウト!!!『特集:現代魔女という生き様、そしてあなたの聴かない世界vol.15』DJ Athmodeus アスモデウス(aka 持田保)
喪われた地下音楽家VOL.7『Music Inspired by 4th Political Theory and so on…』DJ Qliphoth クリフォト(aka 宇田川岳夫)
『ナチスドイツの有機農業 (3)』DJ Bothis ボティス(aka MSS)
!!!激情のライブ録!!!『"小川直人" 盤魔殿 vol.12@edge end 2018/4/22』DJ BEKATAROU (aka 伊藤元)
【Complete Set List】 盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol. 12 2018.4.22 Sun渋谷EdgeEnd
etc...

盤魔殿
毎回ゲストが
豪華です







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NY即興シーンの新レーベル『アンタイコーザル・システムズ』〜フィリップ・ホワイト&クリス・ピッツィオコス/ウェストン・オーレンキ/シャーメイン・リー

2018年05月16日 00時06分56秒 | 素晴らしき変態音楽


2014年、クリス・ピッツィオコス/Chirs Pitsiokosとのデュオ作『パロクシズム/Paroxysm(発作)』で筆者の前に登場したフィリップ・ホワイト/Philip White。1981年生まれ、作曲家、演奏家、インプロヴァイザーとしてニューヨークをベースに活動。ハンドメイド・エレクトロニクスによる電子音楽/ノイズ演奏で知られる。日本の中村としまると同じノー・インプット・ミキシング・ボード奏者である。数多くの フリージャズ、即興音楽のミュージシャンと共演、様々なレーベルからレコーディング作品をリリースするホワイトが自ら立ち上げたレーベルが『アンタイコーザル・システムズ/AntiCausal Systems,』。

第一弾として4月29日に3枚のアルバムがデジタル・ダウンロードとカセットテープでリリースされた。

Philip White and Chris Pitsiokos / Collapse 
Weston Olencki / emulsions I-IV 
Charmaine Lee / Ggggg

「因果律(Casuality)」とは、哲学で、すべての事象は、必ずある原因によって起こり、原因なしには何ごとも起こらないという原理。物理学では、どの形式で事象を記述するかによって意味が異なる。古典物理学では、哲学と同じくすべての事象の原因と結果の間に一定の関係が存在し、原因は結果より時間的に必ず先行すると考え、ある時刻の系の状態が与えられれば、それ以後あるいは以前の系の状態が必然的かつ一意的に決定する。一方、量子力学においては、系の状態に因果性はあるが確率的に記述されるため、系の物理量の測定値を古典物理学のように確定的に予測することはできない。また、相対性理論においては、事象の時間的な前後関係が観測者によって異なる場合があるため、物体や場の変動(情報を伝える信号など)は光速度を超えて伝播しないという制限を課すことで因果律とする。

「反因果関係システム(anticausal system)」とは、将来の入力値のみに依存するアウトプットと内部状態を持つ仮説的システムである。また、過去の入力値に依存せず、現在の入力値に依存することを可能にするシステムと定義される場合もある。
「非因果関係システム(acausal system)」とは、将来の入力値に依存しつつ、過去または現在の入力値にも依存しうるシステムである。これは、現在および/または過去の入力値のみに依存する「因果関係システム(cousal system)」とは対照的である。これは特に制御理論とデジタル信号処理(DSP)の関連事項として話題になる。
反因果関係システムは、非因果でもあるが、その逆は正しいとは限らない。過去の入力値に少しでも依存する非因果システムは、反因果ではない。


Philip White’s self-sustaining systems

些か話が学術的になってきたが、音楽的に平たく言えば「何が飛出すのかわからない音楽」と言ってよかろう。そこにはデレク・ベイリー等が提唱するノンイディオマティック(非慣習的)インプロヴィゼーションも含まれるが、それは反因果律を創出する方法の一つでしかない。かくもややこしく衒学的な名称を冠したホワイトの意図はどこにあるのだろうか。

最新インタビューによればホワイトがレーベルを始めた理由は、風変わりな方法論を確立もしくは構築過程にいるアーティストをサポートするため。自分の周りの世界を説明するにあたって、新しい理解の仕方を提案したり、新しい可能性と新しい記述方法の扉を開こうとして自らの経験を表現しているアーティストに惹かれると言う。Anticausal Systemsはそういうアーティストに焦点を当て、我が道を行くアーティストを支援し激励するレーベルである。また、ホワイト自身のスタジオや機材を用いることでレコーディング、ミックス、マスタリングのコスト面で助けになることは、実験音楽が常に直面する財政面の負担を軽くすることが出来る。

カセットテープでリリースする理由は、第一にホワイトが所有するカセットダビング機材を活用することによる簡易性と省コスト化であるが、聴取経験としても、カセットテープをセットして「今から音楽を聴くぞ」と言うことは、イヤホンをして電車を待つのとは違いがあるとホワイトは語る。

第一弾リリースは、5年目に突入した自身とクリス・ピッツィオコスとのデュオ第二作と共に、二人のアーティストの作品がリリースされる。当初は5タイトルでスタート予定だったが、そのうち2作の制作が遅れた為に、この3作がスタートになった。今後のリリースについては、ひと月一作品、年内に約10タイトルを予定している。予定アーティストはLester St. Louis, Jessie Marino, Paula Matthussen, Henry Fraser’s The Full Salon, Juraj Kojs, Sam Weinbergなど。ホワイトによれば、いずれもジャンルやスタイルには限定されず特有の語法を発展させた/ているアーティストだとのこと。

最後に第一弾リリース作品を簡単に紹介しよう。

フィリップ・ホワイト&クリス・ピッツィオコス『コラプス(崩壊)』
Philip White and Chris Pitsiokos / Collapse 

Collapse bandcamp

2013年に初めてコラボして以来、5年目に入る若き即興サックス奏者クリス・ピッツィオコスとのデュオの第二作。『Paroxysm(発作)』というタイトル通りお互いに激しくぶつかり合った2014年の前作に比べて、遥かに統一され叙情的になった印象がある。ホワイトは前作レコーディングの後に全く新しい楽器を設計・製作した。基本的にはDavid Tudor的なアナログ式非線形フィードバックに基づいているが、すべてデジタルでコントロールされており、ピッツィオコスの演奏を即座に分析しダイレクトに反応する電子音響システムである。それにより、両者が恰もユニゾン、もしくはハーモニーを奏でているような錯覚を起こさせる場面が随所に現れる。しかし演奏は完全即興であり、両者の長年の経験、楽器自体のパフォーマンス特性(それに基づく限界点)により、共通語彙を構築・分解・再構築した音響作品が生まれた。ホワイトによれば、ピッツィオコスの演奏が自分の指向と同様に、ここ数年どんどん叙情的になっており、両者にとって極自然なプロセスで、音色主導のノイズ的要素とメロディアスな感受性を結びつけるスペースが広がっていると言う。

エレクトロニクス/ノイズとアコースティックな管楽器とのデュオ・コラボはこれまでも数多く存在するが、どちらかが一方的に歩み寄るのではなく、どちらも自己同一性を保ったままで、これほどまでに溶け合った演奏を聴かせる例はほとんどない。「崩壊」というタイトルは、機械と肉体、電気信号と呼吸、シーケンスのパルスと心臓の鼓動というまったく異質な存在の距離が破壊され喪失することを意味するのだろう。

Philip White, Chris Pitsiokos @ JACK 4-29-18




ウェストン・オーレンキ『エマルジョン I-IV』
Weston Olencki / emulsions I-IV 

emulsions bandcamp

ウェストン・オーレンキはNY, シカゴ, カリフォルニアで活動する即興演奏家/作曲家/音響アーティスト。サウンドアート、作曲、エレクトリック・ノイズの境界で、人間と機械の関係性を追求する。トロンボーン奏者として数多くのグループやプロジェクトで活躍する一方、シンセやエレクトロニクスによる電子音楽演奏家としても活動するオーレンキが新たにに構築した、ノンリニアフィードバック、特注のソフトウェアコントローラ、高密度音響彫刻構造を用いたモジュラー・シンセ・プロジェクトの最初の作品。
音の有機性が際立つ、密度の濃いエレクロニック・ミュージックは、単なる機械的なノイズやテクノとは異なり、生命を吹き込まれた電子機材が嬉々としてサウンドを発する幸福感に満ちた空間を造り上げている。同時に50年代に産声を上げた電子音楽の歴史を感じさせるノスタルジックな感触を有した音響も魅力的。

pylon [2017], excerpt


シャーメイン・リー『Ggggg(グググググ)』

Charmaine Lee / Ggggg

Ggggg bandcamp

オーストラリア・シドニー出身の即興ヴォイス・パフォーマー、シャーメイン・リーのデビュー作。人間の声の可能性を追求するパフォーマーは数多いが、彼女ほど楽器としての口蓋を活用し肉体感覚を共有するパフォーマーは他にはJunko(非常階段)しか思いつかない。顔を硝子に密着させたジャケット写真の奇形的な生々しさがそのまま音に転化されたサウンドアートは、人間の声のデフォルメとして、畏怖の念を覚えるほど奇矯な怪異である。橋本孝之のハーモニカ・ソロを連想したが、口とマイクロフォンの間に異物が混入し得ない直裁性的な生々しさに目を、否、耳を抉じ開けられる思いがする。時に金属のように冷たく、時に猫の舌のようにエロチックな口唇の摩擦音こそ、人体の神秘に肉薄する極端音楽のNORD(極北)に違いない。

Charmaine Lee solo @ JACK 4-29-18


因果律
崩壊した先
陰画妄想

Chris Pitsiokos, Weasel Walter, Philip White - at The Stone, NYC - Nov 23 2016
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