褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 男たちの挽歌(1986) 男の友情が熱すぎる

2014年09月07日 | 映画(あ行)
 かつての香港映画と言えばジャッキー・チェンに代表されるようなカンフー映画やマイケル・ホイに代表されるコメディ映画の印象がある。己の肉体を駆使して、まるで機械体操のような動きで格闘するカンフー映画もそれなりに楽しかったが、そんな香港映画の流れをぶっ飛ばしたのが、ジョン・ウー監督の名を一躍知らしめた本作男たちの挽歌。激しいガンアクション、ド派手な爆発、大量に流される血と汗など、男ならハートが熱くなれる香港製マフィア映画だ。しかし、それ以上に本作を熱くしているのが男同士の友情。その友情を感じさせるシーンだが、実はちょっと冷静になって考えてみるとアホらしい~行動、台詞が連発しているが、まるで少年のようなピュアな心を持った俺は心が震えまくり。一歩間違えたら白けた気分になりそうな場面でも、これだけハートを熱く燃えさせるとは、これぞジョン・ウー監督作品。やっぱり彼の映画は、こうでなくっちゃいけない

 しかしながらけっこう初めの方は、ずいぶんとのんびりした雰囲気が漂うし、チョウ・ユンファにしてもけっこうコミカルな動きを披露したりして、かなりチャライ奴に見える。親友同士、兄弟、恋人同士のやりとりはけっこう笑えてホノボノとさせる。まあ、最初の方は従来どおりの香港映画らしいコメディタッチがこの頃のジョン・ウー監督にしても抜け切れていないと言ったところか。
 しかし、一旦銃弾が飛び交えば増えていくのは死人の数。そして、この銃撃シーンの最中の男たちの表情が良い。顔中から汗水を垂らしている表情を観ていると、こいつらは全身全霊をかけて闘っているんだな~と感動し、男がストイックに人殺しとはいえ、一生懸命に仕事をしている様子は本当に格好良いし、女性が観ていてもきっとしびれるんじゃないか。チョウ・ユンファなんて二丁拳銃で撃ちまくってからは、ニヤニヤした表情が一変する。

 そして、本作はマフィア映画であるが、人間ドラマの部分でも見応え充分。主人公のマフィアの幹部である兄貴が、弟のために足を洗おうと一生懸命に努力し、償いをするシーンは見ていて泣けてくる。必死でマトモな人間になって人生をやり直すことが、どれほど大変なのか!昔のマフィア仲間が否応なく汚い手を使って、再び暗黒の世界に引きずり込んでくる様子は、まるでこの世のアリ地獄。そんな兄貴の切ない心情を察しながら見ると、きっと誰もが許しを請う事の大変さを痛感するはずだ。

 さて、香港映画界に一大革命を起こしたエポックメイキング的な作品である香港製マフィア映画の内容とは如何なるものなのか。
 香港マフィアの幹部であるホー(ティ・ロン)は病気でベットで寝たきりになっている父親からマフィアの世界から足を洗うように諭される。小さい頃から仲の良かった弟のキット(レスリー・チャン)が大学を卒業したら警官になろうとしていたからだ。キット(レスリー・チャン)は兄のホー(ティ・ロン)の仕事が、贋札を捌くマフィアの世界に身を置いているなど夢にも思っていなかった。ホー(ティ・ロン)は同じ組織で働く弟分であり大親友のマーク(チョウ・ユンファ)に、今回の台湾での贋札を捌く仕事を最後にして、マフィアの世界から足を洗うことを決意したことを語る。
 ところがホー(ティ・ロン)の台湾での仕事は地元の警察にバレバレになっており、本人は負傷した上に警官に囲まれて自首。そして3年間を刑務所暮らしをする羽目になってしまう。その間にマーク(チョウ・ユンファ)はホー(ティ・ロン)の敵討ちに行った際に足を負傷してしまい、キット(レスリー・チャン)は目の前で父親が殺され、兄ホー(ティ・ロン)の正体を知ってしまう。

 3年間の刑期を終えたホー(ティ・ロン)はマフィアの世界から足を洗うことを決意してキット(レスリー・チャン)の元に向かうが、今やキット(レスリー・チャン)は父親を殺したマフィアと同様ににホー(ティ・ロン)に対しても憎しみを抱いていて、叩き出され追い返されてしまう。そして、親友のマーク(チョウ・ユンファ)の元に行ってみると、そこにはすっかり落ちぶれてしまっているマーク(チョウ・ユンファ)の姿があった・・・

 兄のホー(ティ・ロン)が警官になった弟のキット(レスリー・チャン)に対して『俺の人生は間違ってた、お前の方が正しい』と急に偉そうぶって語りだしたりするが、今頃やっと気付いたのかよ~、と叫んでしまいそうになったり、またボロカス蹴られ、殴られ、ドラム缶で叩きのめされて、車から放り投げられたりなどフルボッコ状態になっているマーク(チョウ・ユンファ)を見て、ホー(ティ・ロン)が『早く救急箱を!』なんて、まるでかすり傷扱いの台詞には思わずプッと吐いてしまいそうになったり、かなり粗が目立つ。
 アクションシーンにしたって、推定何百人もいそうな敵の雑魚は銃弾一発で死んでしまうのに、こちらの主人公ときたら脇腹に一発喰らったぐらいでは軽症レベルで済んでしまう。チョウ・ユンファにしてもクライマックスシーンでは防御無しで、気合いと根性で撃ちまくっている様子は人間レベルを通り超えている。
 早い話が色々とツッコミどころ満載だが、観ている最中はそんなシーンですら感動しまくり、心が震えっぱなし。そして音楽がまたグッとくる効果を更に上げている。最近はアクション映画を観ていてもコンピューターの発達のせいで、嘘っぱちなシーンがバレバレで大して盛り上がらないのが多くなってきているが、本作はアナログ風な作りが逆に観ている我々に度肝を抜くような演出を見せてくれる。純粋な男たちの格好良さを堪能できる男たちの挽歌は、最近は何かと気持ちが冷めている人にはぜひお勧めしたい映画だ

男たちの挽歌<デジタル・リマスター版> [DVD]
チョウ・ユンファ,ティ・ロン,レスリー・チャン,エミリー・チュウ
ジェネオン エンタテインメント


 監督は前述しているようにジョン・ウー。個人的に彼の映画で1番好きなのは狼/男たちの挽歌・最終章、これもとにかく燃えます。ハリウッドに行ってから、熱さが足りなくなったのが残念ですが、ニコラス・ケイジ、ジョン・トラヴォルタ共演のフェイス/オフは面白い。他に熱さという点でニコラス・ケイジ主演の戦争映画ウインドトーカーズがお勧め。

 実は今回のチョウ・ユンファは主演ではありませんが、本作の続編からは彼が主演になっております。最近は渋みが増していますが、そんな彼のお勧めはアンリー監督の任侠映画グリーン・デスティニー、チャン・イーモウ監督の王妃の紋章がお勧め。

 弟のキット役はレスリー・チャン。46歳の若さでホテルから飛び降り自殺。大スターになっても色々悩みがあるんですね。彼のお勧めはチェン・カイコー監督のさらば、わが愛/覇王別姫、個人的には中国映画で最も好きな映画でお勧めです。

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