褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 サムライ(1967) クールな殺し屋が見れます

2017年02月19日 | 映画(さ行)
 冒頭からなんだか意味深な文句が出てくる。『サムライの孤独ほど深いものはない・・・、武士道』。ちょんまげの格好をした侍(サムライ)が登場するのかと一瞬思ったが、本作は当時絶世のイケメンンの大スター、アラン・ドロン主演のフランス映画。フランスの大スターがカツラをかぶって、袴姿で刀を差して登場するわけがない。なるほどフランス人から見た日本のサムライ像とは、このようなものだったのかと少々わかったような気になる映画だ。
 アラン・ドラン演じるタイトル名のサムライとは拳銃一丁で人殺しを請け負う暗殺者のこと。とにかく寡黙で表情をほとんど変えず、高い報酬をもらう代わりに人殺しの任務を忠実に遂行するその様子は、まさに仕事のできる男の見本を見ているような気になる。それにしても暗殺者の行いから学ぼうとする俺の頭の中はどうかなってしまったのか?

 一匹狼の暗殺者の行動が丹念に描かれたフレンチ・フィルム・ノワールの傑作のストーリー紹介を。
 寂れたアパートの一室に、小鳥を一匹だけ飼っている孤独な暗殺者であるジェフ・コステロ(アラン・ドロン)。高い報酬を得るためにソフト帽にトレンチコートのいでたちで出かけて、今日もせっせと人殺しの任務を遂行する。
 いつも通りにひと仕事を終えたジェフ・コステロだが、帰り際にナイトクラブの女性歌手であるヴァレリーに見られてしまう・・・

 最初から暗い画調で台詞が無いまま結構な時間が過ぎるのだが、退屈など全くしない。それは殺し屋の主人公の不安、孤独、寂しさを表現する抜群の演出効果をもたらす。
 まあ、見た目はクールで、ストイックなアラン・ドロン演じる殺し屋だが、けっこうなオッチョコチョイな行動も見られたりする。俺から見れば全く信用できない奴にアリバイを頼んでいたり、まるでワザと誰かに見られてしまうように人殺しを行っていたり、孤独と言いながら綺麗なネエチャンの存在がいたり、カネの受け渡し場所にしてもソリャ~駄目だろうと思えたり・・・!それに数人の目撃者にしても目が悪すぎたり、たった一人の暗殺者を捕まえるのに、パリの警察はよほどヒマなのか笑えるぐらいの人数を動員したりでツッコミどころが多い。このように書いてしまうとボロボロの映画なのかと思えてしまうが、実はブログを書いていて思い返すと気づいたようなレベルで、観ている最中はアラン・ドロンが格好良いので全く気にならない。
 そしてラストのオトシマエのつけ方が、まるで侍の切腹シーンを感じさせ、しびれるぐらいに格好良い。この世の中、言い訳ばかりで行動が全く伴わない無責任な男が多すぎるが、本作を観れば男の美学を学べるわけだ。
 部屋の小鳥、輪っかに掛けられた大量の車のキー、ナンバープレート、札束、包帯など小さい事にも気を使われていて、繊細な描写はフランス映画らしく心地良い。
 すっかりドハデなドンパチする映画に飽きた人、フランス製の渋いサスペンス映画を観たい人、ペラペラ冗談ばかり話したがる男が嫌いな女性、男の美学を感じたい人に、映画サムライを今回は紹介しておこう

サムライ [DVD]
アラン・ドロン,フランソワ・ペリエ,ナタリー・ドロン,カティ・ロジエ
KADOKAWA / 角川書店


サムライ [Blu-ray]
アラン・ドロン,フランソワ・ペリエ,ナタリー・ドロン,カティ・ロジエ
KADOKAWA / 角川書店


 監督はジャン=ピエール・メルヴィル。渋いタッチでフィルム・ノワール作品に手腕を発揮するフランスの映画監督。ナチスドイツが占領していたフランスでのレジスタンス活動の様子を描いた影の軍隊がお勧め。



 
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