褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ミッション(1986) 宣教師の活動が描かれています

2019年04月24日 | 映画(ま行)
 トム・クルーズ主演の大ヒットシリーズ映画のタイトル名とよく似ているが、あちらのようなスパイ映画でもなければ興奮するようなアクションシーンなんか無い。スペインのイエズス会から植民地の南米に派遣された宣教師たちの理想と現実を描いた宗教映画であり、史実に基づく歴史映画が今回紹介するミッション
 偏屈な考え方をしている俺なんかは、宣教師なんか植民地支配を強固にするための国家の手先だろう?ぐらいに思っていたのだが、本作の宣教師たちはえらくマトモ。彼らの布教活動の様子が最初の方で描かれるが、南米特有の大自然に大いに苦しめられ、先住民であるグアラニー族から敵視される様子に当時の布教活動の過酷さがよくわかる。そのことを表現する冒頭の殉教者が激流のイグアスの滝に放り投げられるシーンが衝撃的だ。しかし、それでも南米の先住民に対して、とても素晴らしいキリストの教えを広めようとするガブリエル神父(ジェレミー・アイアンズ)の無私無欲の姿勢は宣教師としてお手本だし、私利私欲で議員になりたがる政治家には彼の爪の垢を煎時て飲まさせてやりたいと思わせる。
 そんなイエズス会の宣教師たちと先住民であるグアラニー族の人々との交流だけが描かれていても充分に感動できる映画になっていたと思うが、本作がさらに優れているのは、キリストの愛をもってしても権力者の横暴を止めることができない事実を描いているところ。往々にして正義が必ず勝つとは限らないことは歴史が証明しているが、本作を観るとそのことを痛感する。しかし、何時の世にも正義の行いは次の世代に引き継がれ、決して忘れ去られることは無いのだ。

 自然と文明、平和と戦争、愛と憎しみ、罪と赦し等のような対立構造が重厚に描かれているストーリーの内容をできるだけ簡単に紹介を。
 18世紀の半ばの南米の奥地において。先住民のグアラニー族の人々にキリストの教えを説こうとして殉教してしまった前任者の後を受けて、ガブリエル神父(ジェレミー・アイアンズ)が布教にやってきた。再度やってきた宣教師に対して相変わらず警戒心を持ち続けていたグアラニー族の人々であったが、ガブリエル神父が奏でる音楽の力によって彼らには次第に交流の心が生まれてくる。
 しかし、ガブリエル神父の目の前でショックなことが起きる。それは奴隷商人であるメンドーサ(ロバート・デ・ニーロ)が、グアラニー族の人々を捕らえて売り飛ばしていたこと。ある日の事、メンドーサは恋人を取られたことに腹が立ち、弟を殺害。彼は独房に入る。
 メンドーサが独房に入っていることを聞きつけたガブリエル神父は、メンドーサと面会する。すっかり心を閉ざしてしまっていたメンドーサだったが、ガブリエル神父との再会は彼に希望を与え、彼の自らに課した重労働はグアラニー族の人々から赦しを得る。そしてガブリエル神父の弟子としてイエズス会に入信。すべてが丸く収まり、グアラニー族と宣教師たちの交流の場である土地は安住の地として平和な時間が過ぎていくはずだった。しかし、彼らの土地はスペインとポルトガルの領土の係争地になってしまい宣教師たちとグアラニー族たちは土地から立ち退きを迫られる。国家間の思惑に巻き込まれたガブリエル神父とメンドーサは対立してしまう。あくまでも平和的な解決を望もうとするガブリエル神父、再び剣を持って戦おうとするメンドーサ。そんな2人にスペインとポルトガルの軍隊が迫ってくるのだが・・・

 ガブリエル神父の博愛精神がメンドーサの心にも届いて感動した瞬間に、私利私欲にまみれた政治家たちが登場。自らの欲望のために権力を使いたい放題の偽政者の前には信仰、希望、愛を打ち砕いてしまうことを改めて痛感する。ガブリエル神父の愛にあふれた行動が全て台無しになるかのような展開にショックを受けるが、それでも小さな希望の灯を感じさせるエンディングに何故か救われた気分になる。
 しかし、個人的に本作で最も印象に残っているのが、ロバート・デ・ニーロ演じるメンドーサの贖罪を行うシーン。まるでイエス・キリストが十字架を背負ってゴルゴタの丘に向かっていくような宗教的なイメージを抱かせる感動的な場面だ。罪を償うことの厳しさ、罪を赦すことの寛大さを教えられる。
 厳しい自然を描き出す映像は勿論だが、今や音楽映画の巨匠として君臨するエンニオ・モリコーネの雄大な音楽は本当に素晴らしい。そして今や大ベテランの域に達している2人の名優ロバート・デ・ニーロジェレミー・アイアンズの演技派ぶりだけでなく、若きリーアム・ニーソンが重要な役で出演しているのも今観ればけっこうな驚きを得る。
 宗教映画はあんまり日本人には好まれない気がするが、本作には色々と普遍的なテーマが描かれており日本人にも共感できる要素がたくさんある。それにしても何故だろう?明日からは滅私奉公の精神で社会に貢献したいと思えるのは。そんな俺と同じように崇高な精神に導かれたい人に今回は映画ミッションをお勧めとして挙げておこう

ミッション HDニューマスター版 [DVD]
ロバート・デ・ニーロ,ジェレミー・アイアンズ,レイ・マカナリー,リーアム・ニーソン,エイダン・クイン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


 監督はローランド・ジョフィ。彼の映画監督デビュー作品にあたるカンボジア内戦を舞台にしたキリング・フィールドがお勧めです。


 

 

 

 

 


 
 
 


 




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