褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 波止場(1954) これこそ男の中の男です

2022年03月03日 | 映画(は行)
 ついにロシアのプーチン大統領が、ワケのわからん理由でウクライナに侵略を開始した。世界はウクライナを助けろ。そして、ロシア国内の中にもプーチンが武力を行使したことについて批判している人がたくさん居るはずだが、正義を信じるならば勇気をだしてプーチンをひっ捕らえて鉄槌を下せ。
 なかなか平気で人殺しをするような奴に表立って批判することは勇気がいるし、しかも殆どの人間は心の中では批判はしたいが、凶悪な権力者に対して命を賭してまで盾突くことができない。こんな偉そうなことを書いている俺自体が、実は全くの臆病者なのが情けない限りだ。さて今回紹介する映画波止場だが、ギャングの不正にたった一人で立ち向かう男のストーリー。プーチンを怖がっているロシア人には是非観て欲しい映画だ。

 正義と良心の呵責に悩み、そしてボロボロに殴られ、蹴られても立ち上がる男のストーリーの紹介を。
 ニューヨークにある波止場が舞台。元プロボクサーのテリー(マーロン・ブランド)は兄のチャーリー(ロッド・スタイガー)と一緒に、港湾の労働組合を支配するギャングのジョニー(リー・J・コッブ)の手下として働いている。ジョニーは日雇い労働者をピンハネして働かせ、組合費を高くカツアゲし、港湾の利益を殆ど独占していた。
 ある日の夜、テリーの友人のジョーイがアパートの屋上から突き落とされて殺されてしまう。ジョーイは労働組合の不正を犯罪調査委員会で暴露するつもりだったのだが、先手を打ってジョニーの手下どもによって殺されたのだ。ジョニーはジョーイ以外にも自分にとって邪魔になる者は殺害して口を封じ込めていて、多くの労働者たちも殺されるのが怖くて誰もジョニーの不正を告発しようという気になれないでいた。
 ジョーイの死体の側で彼の妹のイディ(エヴァ・マリー・セイント)は泣き崩れていた。結果的にジョーイの殺人に関わってしまうことになってしまったテリーは、悲しみに暮れているイディを見て、良心の呵責に悩まされ、イディに好意を抱くようになる。しかし、イディはテリーが兄の死について何かを知っているとにらんで質問攻め。自分は関係ないと言い張るテリーだったが、イディの事を愛するようになったテリーは、勇気をだして犯罪委員会でジョニーの支配する港湾労働組合の不正、ジョーイの殺人について真実を述べるのだが・・・

 次第に良心に目覚めだすテリーだが、運命は彼に厳しい現実を突きつける。ボスのジョニーはチャーリーに弟のテリーを殺せと指示し、結局弟を殺せなかった兄のチャーリーは見せしめの如く無惨にも殺される。最初こそは同じく兄を殺されていたイディは随分強気に出ており、不正を告発できないテリーに対して弱虫扱いしていたのだが、イディはこの場所がどれほど恐ろしい場所か理解してしまい、テリーと一緒に遠くの西部へ逃げて暮らすことを望み始める。しかし、兄チャーリーを殺されたテリーはボスのジョニーに対して復讐心で一杯だ。そしてテリーは逃げることなくジョニーに立ち向かっていくのだ。イディとテリーの心情が逆転してしまう構成がなかなか上手い。
 そして、勇気あるテリーの行動はさぞかし労働者の仲間達から賞賛されるのかと思いきや、自分の命が惜しい労働者達はテリーを遠ざける。俺がテリーなら金髪の綺麗なネエチャンであるエヴァ・マリー・セイント演じるイディと一緒に遠くへ逃げてしまう所だが、テリーは男の中の男だ。テリーの行動を今のロシア人は見習え。そして、本作にはカール・マルデンが演じるカトリックの神父がいるが、彼の言葉の数々が本当に素晴らしい。テリーを突き動かしたのは無惨に殺された兄の姿もあるが、神父が放つ言葉の数々によってテリーは自らの信念に火が点いたように思える。俺はキリスト教ではないのに、なぜかイエス様に見守られている気分になった。
 骨太なドラマを見たい人、弱者が強者に向かって行くストーリーが好きな人、二十世紀最高の俳優であるマーロン・ブランドに興味がある人、何時までも色あせない名作映画を観たい人・・・等に今回は映画波止場をお勧めしておこう

 監督は名匠エリア・カザン。多くの名作を遺した監督ですが、マッカーシー旋風の赤狩りは彼の人生に暗い影が付きまとい続けているだけに、少しばかり彼の人生を知ると今回紹介した波止場に対して色々と違った角度から見ることができます。他にお勧めは伝説と化したジェームズ・ディーン主演のエデンの東、アメリカ国内におけるユダヤ人差別を描いた紳士協定、テネシー・ウィリアムズの同名戯曲の映画化であり、ビビアン・リー、マーロン・ブランド共演の欲望という名の電車、これまたマーロン・ブランド主演のメキシコの英雄を描いた革命児サパタ等がお勧め。
 
 

 
 
 


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