褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 寒い国から帰ったスパイ(1965) スパイの世界が知れます

2021年05月10日 | 映画(さ行)
 007シリーズやミッション・インポッシブルシリーズといった大ヒットシリーズのスパイ映画もド派手なシーンが多くて楽しめるとしたものだが、あまりにもリアリティが無さすぎて白けながら観ている人もいるだろう。もっと現実のスパイの世界を味わいたいという人にお勧めしたい映画が今回紹介する寒い国から帰ったスパイ。スパイ小説という分野を広く認知させたジョン・ル・カレによる代表作であり、それを原作とする映画化作品だ。ジョン・ル・カレの小説はたくさん映画化されてもいるが傑作だらけ。そんな中でも本作は抜群の出来栄えにして、昔から数多あるスパイ映画の中でも最高傑作と言って良いだろう。
 本作で描かれているのが、敵国に潜り込む二重スパイ。そもそもスパイなんか映画の世界だけの話だろう⁈なんて思っている人がいるが、実際に現在でも二重スパイの暗躍は当たり前にある。第二次世界大戦において日米が戦い引きずり込まれた要因として、ソ連が日米両国に送り込んだ二重スパイの存在もある。まあ、日本なんかはスパイ天国とよばれているぐらいだし、俺の近くにも日本人のふりをしながら、他所の国のスパイなんじゃねえ?なんて疑わしき者もいる。
 
 東西冷戦の時代で、ドイツにベルリンの壁が設置されている背景が懐かしく感じられるストーリーの紹介を。 
 ベルリンの壁の検問所でイギリスの諜報員であるリーメックが東ドイツ側から一斉に射撃を食らって殺される。敵国に送り込んだ優秀なスパイが次々に殺されてしまう等、ベルリン支部の諜報部の主任リーマス(リチャード・バートン)は、イギリスに呼び戻されて失敗だらけの責任を取らされて解雇。失意のどん底に陥ったリーマスは、すっかり酒浸りになり、酔った勢いで人を殴ってしまうなど荒んだ生活を送っていた。
 しかし、これは敵を欺くための作戦であり、頃合いを見て再びイギリス諜報部に呼ばれて極秘任務を受ける。それは東ドイツの凄腕諜報員のムント(ペーター・ファン・アイク)を失脚させること。リーマスは巧みに東ドイツへ潜り込み、ムントと内部で敵対するフィードラー(オスカー・ウェルナー)と接触することに成功。フィードラーにムントがイギリス側の二重スパイであることを吹きこみ、作戦成功するかと思われたのだが・・・

 前述した大ヒットシリーズの映画を観ている人の中には、主人公が格好良くアクションをこなし、綺麗なネエチャンを抱きまくるシーンを見て、俺もスパイになりたいなんて考えを持ってしまう人も居るかもしれないが、本作を観ればそんな考えはぶっ飛ぶ。祖国のために働きながらも、最後は使い捨て同然の扱いにスパイの悲哀を大いに感じることができるだろう。それにしてもベルリンの壁が壊れても、今も世界中で争いが絶えないのは何とも悲しい限りだ。
 ストーリーは非常に重厚で、二転三転する展開はサスペンス映画としても楽しめる。そして、ベルリンの壁が存在していた頃の世界情勢を知ることができる映画としても本作は歴史的価値の高い映画と言えるだろう。大人向きのスパイ映画が観たい人、ジョン・ル・カレの作品が好きな人、ベルリンの壁を舞台にした映画が好きな人・・・等に今回は寒い国から帰ったスパイをお勧め映画として挙げておこう

 監督はマーティン・リット。ポール・ニューマン主演のハッドがお勧めです。
 ジョン・ル・カレ原作のお勧め映画として、裏切りのサーカス、ユアン・マクレガー主演のわれらが背きし者、フィリップ・シーモア・ホフマン主演の誰よりも狙われた男、フェルナンド・メイレレス監督、レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ共演のナイロビの蜂がお勧めです。

 

 
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