褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 宮廷画家ゴヤは見た(2006)ヨーロッパの歴史の怖さを知る?

2018年05月24日 | 映画(か行)
 先日のことになるが名作中の名作であるカッコーの巣の上でアマデウスを遺したチェコスロバキアが生んだ名監督ミロス・フォアマンが亡くなった。そんな彼の遺作になってしまったのが今回紹介する宮廷画家ゴヤは見た
 ベラスケスと並ぶスペイン最大の画家であるフランシスコ・デ・ゴヤ。まるでホラーを感じさせるような暗い画風の印象があるが、なぜそのような絵画や版画を制作したのか?
 さて、本作だがゴヤが王様に仕える宮廷画家として活躍していたスペインの時代が描かれている歴史映画である。

 本作を観終わった後に真っ先に思ったことは、中世のヨーロッパに生まれなくて良かったということ。改めて何事にも寛容な日本に生まれたことを、この時ばかりは感謝した。さて、マトモな神経では生きていけそうにない暗黒のヨーロッパの時代とはどのようなものなのか?それではストーリーの紹介を。

 1792年のスペインのマドリードにおいて。宮廷画家として名声を得ていたゴヤステランス・スカルスガルド)は、二人から依頼されていた肖像画の仕事中。1人は裕福な商人の娘で天使のような美しさを持つイネス(ナタリー・ポートマン)、もう1人がカトリックの修道僧であるロレンソ神父(バビエル・バルデム)。
 ロレンソ神父は失墜しかけているカトリックの権威を取り戻すために、異教徒たちを片っ端からひっ捕らえて拷問にかける。その中には居酒屋の席で豚肉を食べなかっただけでユダヤ教の疑いをかけられたイネスの姿もあった。
 イネスの父は無実である娘を取り戻すために、友人のゴヤを通してロレンソ神父を自宅に招き、取引をしようとするのだが・・・。

 絶対王政、異端審問、ナポレオンのヨーロッパ侵攻、魔女狩りなど、学生時代の世界史の授業でよく耳にした単語だが、本作を観るとそれらの言葉が持つ重要性がわかり、世界史って実はとてつもなく恐ろしい出来事を学ぶ授業だったことに気づく。
 時の権力者の私利私欲のために、一般庶民ですら理不尽に拷問にかけられ、戦争で命を失ってしまう長いヨーロッパの歴史。良心のかけらも通じない時代を生き抜くには、本作のロレンソ神父のように自らの信念を簡単に曲げ、昨日の友を裏切り、自分の身内さえ遠ざけないといけないのか!とんでもないクズ以下の人間性を見せつけられるが、こんな卑怯者が俺の身近にも見られるのが残念だ。
 ナタリー・ポートマンは綺麗だからレオン以来の彼女のファンは楽しめるだろうし、ゴヤの伝記映画ではないが彼の絵画が好きな人も芸術的な面で楽しめるだろう。少なくとも俺と同じように日本人に生まれて良かったと思えるし、信念のない人間は結局は哀れな結末を迎えるということがよくわかる。それにこれが真実の愛なのか?と思わせるエンディングは賛否両論あるかもしれないが、かなりの余韻を残す。特に世界史が大好きという人に映画宮廷画家ゴヤは見たをお勧め映画として挙げておこう。

宮廷画家ゴヤは見た [DVD]
ハビエル・バルデム,ナタリー・ポートマン,ステラン・スカルスガルド
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 監督は前述したようにミロス・フォアマン。冒頭の方で述べた2作品が勿論お勧めですが、エロ雑誌のハスラーの創刊者であるラリー・フリントの伝記映画でタイトルもそのままのラリー・フリントもお勧めです。  
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