褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 シャイン(1996) 天才ピアニストのデイヴィッド・ヘルフゴッドを描く

2016年11月29日 | 映画(さ行)
 この世の中において天才と呼ばれる人間は古今東西において多くいたように思う。しかし、天才だからと言って、その人の人生が必ずしも順風満帆とは行かないのはご存知の通り。俺は今まで自分の事を天才だと思っていたのだが、天才には悲劇が付きまとうことを知って、天才を証明することを諦めて凡人として生きようと誓った。さて、今回紹介する映画シャインは、幼い頃から神童と呼ばれていた実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴッド(現在も健在です)の半生を描いた自伝的映画だ。
 冒頭から、雨に平気で打たれながらブツブツとワケのわからないことを言っている男が登場するが、誰もが一目でこいつはかなり頭がイカレてるとわかる。この男こそ天才ピアニストであるデイヴィッド・ヘルフゴッド、かなり重症の統合失調感情障害を患ってしまっているが、なぜ神童と呼ばれた彼が、このような酷い状態に陥ったのか?

 さて、デイヴィッド・ヘルフゴッドは天才という称号を得るために何を失い、またそのことから得るものは何かあるのか?それではストーリーの紹介を。
 オーストラリア、メルボルンの貧しい一家で生まれたデイヴィッド・ヘルフゴットジェフリー・ラッシュ(幼少期:ノア・テイラー))は、幼い頃より厳格で音楽好きな父親ピーター(アーミン・ミューラー=スタール)からピアニストになるべく厳しい練習を課せられていた。その甲斐もあって幼い頃からピアノコンテスト等で彼の名は瞬く間に有名になっていき、アメリカ留学を勧められるのだが、父親のピーターは経済的理由と、そして自分の側から息子のデイヴィッドが離れていくことを良しとせず、アメリカ留学の話は流れる。
 しかし、神童デイヴィッド・ヘルフゴットのピアニストとしての才能を世間が放っておかない。彼にイギリスの王立音楽院に奨学金で留学する招待がくると、父親の暴力、勘当にもめげずに今度こそイギリスの王立音楽院に留学する。
 素晴らしき先生に恵まれたデイヴィッド・ヘルフゴットは、猛練習の成果もあり、ピアノコンクールで最難関と言われるラフマニノフピアノ協奏曲第3番 を見事に弾きあげるのだが、その直後に彼は精神に異常をきたしてしまい・・・

 クラシック音楽のピアノの名曲といえばベートーベンの『エリーゼのために』が一番の俺には、正直なところラフマニノフピアノ協奏曲第3番 の凄さが始めて聴いた時はよくわからなかった。しかし、なぜヘルフゴッド父子がこの曲に情熱を注ぐのかは、演奏シーンを聴けばよくわかる。ちなみに俺は今回のピアノの演奏シーンには心が震えた。
 しかし、この一曲を弾きこなすために払ったヘルフゴッド父子の失った物はあまりにも大きい。それは家族、精神、音楽、そして天才と呼ばれた過去の名声。しかし、人間の普遍的テーマとして大きな物を失っても、その代わりに小さくても得るものがあるということ。デイヴィッド・ヘルフゴッドの場合は今まで抑圧されたものから解き放たれて、輝き(シャイン)を得た。確かに失った物は二度と戻ってこないかもしれない。しかし、人間は失って初めて気付くこともあり、失ったからこそ得る物があったりするから、そこに幸せを感じることができる人は未来が拓ける。
 デイヴィッド・ヘルフゴッドに興味がある人、そして本作を切っ掛けにして一躍演技派ナンバーワンに躍り出たジェフリー・ラッシュに興味が出てきた人、何時までもつまらない物を大事にして損をしている人・・・等に映画シャインはお勧めだ

シャイン [DVD]
ジェフリー・ラッシュ,ノア・テイラー,アーミン・ミューラー=スタール
パイオニアLDC





 
 

 

 
 




コメント (3)
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