褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 父親たちの星条旗(2006) 硫黄島の戦いをアメリカ側から描く

2016年08月12日 | 映画(た行)
 日本では毎年のことながら8月を迎えると、あの戦争のことについて語られることが多くなる。あの戦争とは日本が負けた大東亜戦争のこと。そんな中でも、日米が最も激しい戦いを繰り広げたのが硫黄島の戦い。硫黄島をアメリカに陥落させられてからは、日本の本土はアメリカの爆撃により、すっかり焼け野原となってしまう。
 大東亜戦争にしろ、他にも日本が否応無く巻き込まれた戦争も全て日本人が悪い、なんていうような自虐史観から戦後70年を過ぎても、未だにGHQの呪縛から解き放たれることができない我が国ニッポン!日本映画が戦争映画を描くと、まるで日本軍そのものが悪者のような狭い視野で描かれてしまっている作品が乱発してしまっている日本映画界の現状は嘆かわしい。しかし、戦争といえども立場が変われば大いに見方が変わるのは当然。硫黄島での戦いを日米の双方の視点に立って描いたのが父親たちの星条旗硫黄島からの手紙の硫黄島二部作。今回紹介するのは戦勝国であるアメリカ側からの視点で描いた父親たちの星条旗の方だ。

 
 アメリカ兵達が硫黄島の戦いを制した証に、星条旗を摺鉢山(すりばちやま)の頂上にに突き立てた有名な写真(上記の画像)があるが、あの一枚の中に様々な人間ドラマが凝縮されていた。果たして、あの写真に写っているアメリカ兵達は真の英雄か、それとも虚構にまみれた英雄象に過ぎないのか。

 
 それではあの写真に写っている6人の兵士達のその後の運命を描いたストーリーを出来るだけ簡単に紹介しよう。
 大東亜戦争もいよいよ終りに近づいてきた頃、日本との戦いに次々と犠牲者を出してしまうアメリカの世論は厭戦気分に満ちていた。しかし、ある一枚の写真を切っ掛けにアメリカ国民は一気に戦勝気分が盛り上がる。アメリカ政府は写真に写っていた6人の兵士のうち生き残った3人を帰国させて、すでに尽きかけていた戦費調達のために、戦時国債販売キャンペーンの宣伝マンに仕立て上げてアメリカ全土を駆けずりまわすのだが・・・

 手足は当たり前で、首も吹っ飛ぶシーンを見せつける戦闘シーンは、戦争の悲惨さを強調するのに充分すぎる効果がある。しかも、アメリカ軍は決して兵士を見捨てないという理想が、実は単なる幻想に過ぎないことを驚きを持って我々に見せつける。
 しかし、本当に地獄を見るのは、生き残った3人がアメリカに帰ってから。すっかりアメリカ政府のプロパガンダに利用された3人のその後の人生を考えると、むしろ硫黄島の戦いのためだけに身を捧げた方が良かったのではと思わせる。徹底した戦争の悲惨さを描いた反戦映画ではあるが、日本の反戦映画と決定的に違うのはラストシーン。今のある団体、組織に属する日本人は、あの戦争で命を散らしてしまった先祖や先人たちに対して、感謝をしないどころか、すっかり悪者扱い。しかし、本作のラストシーンを観ると、かつての敵国であるアメリカながらアッパレと拍手の一つでも贈りたくなったのは俺だけだろうか?
 戦争だけでなく何事も、勝った負けたと言うような結果だけで、善悪を決め付けてしまいたくは無いもの。善と悪の境目をはっきりと区別することの難しさを他の作品でも描き続けてきたクリント・イーストウッド監督の柔軟な姿勢は、戦争映画を描かせても好感が持てる。ハリウッド映画から硫黄島の戦いとは何だったのかを教えてもらうのも、我ながら変な気分に陥るが今回は父親たちの星条旗をお勧め映画として挙げておこう

父親たちの星条旗 (特別版) [DVD]
クリント・イーストウッド,ポール・ハギス,ウィリアムス・ブロイルズ・Jr
ワーナー・ホーム・ビデオ


父親たちの星条旗 [Blu-ray]
ライアン・フィリップ,ジェシー・ブラッドフォード,アダム・ビーチ,バリー・ペッパー,ジョン・ベンジャミン・ヒッキー
ワーナー・ホーム・ビデオ



 

 
 

 

 
 
 




 

 




 
 
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