褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 少年と自転車(2011) ほとんどボロボロですが希望を感じます

2013年08月24日 | 映画(さ行)
 ひたすら社会の底辺に生きる人々を描き続けているベルギーの至宝、ダルデンヌ兄弟監督。そんな世界的名監督が日本で聞いた話をヒントに撮り上げた映画が今回紹介する少年と自転車。このような有名人が日本に興味を持っているというのが、何とも嬉しい気分にさせてくれるではないか。

 しかし、ストーリーの大半が、施設に預けられている少年の非常に衝動的ではた迷惑な行動がほとんど。我がまま、言うこと聞かない、人をバットで殴る、金盗む、ナイフで傷つける・・・等々、一見すると本当にどうしようもない問題児の少年が主人公。俺も観ていて『あ~、この少年の将来は刑務所行きだな』と暗澹たる気持ちで観ざるをえなかった。

 しかし、この主人公の少年の境遇を考えてみると、決してこの少年が好き好んで問題児になったわけではないことに気づく。今は施設に預けられているが、いつか大好きなお父さんと一緒に暮らせることを夢見ている少年。しかしながら、何時の間にやらお父さんは何処かへ消えてしまっているし、何とかお父さんの居場所を探し出してハッピーと思ったら、そのお父さんから非情な通告。
 確かにこの少年の行動は決して褒められないが、彼のやり場のない怒り、苦しみ、悲しみを考えたら誰も頭ごなしに、この少年を非難できる資格を持っている人間など居ないはずだ。

 さて、とことん駄目な人間に向かっていく少年の姿が痛々しいが、やっぱり人間って素晴らしいと感じさせるストーリー内容とは如何なるものか
 施設に預けられている11歳の少年シリル(トマ・ドレ)は自分が父親から捨てられて現実を受け容れることが出来ずに、周囲の大人たちに反抗的な態度をとり続けている。シリル(トマ・ドレ)は学校へ行く振りをして、かつて父親と住んでいて団地に行ってみるが、やはりそこには父親の姿は無く、しかもお気に入りだった自分の自転車まで無くなっていた。
 そこへ学校の先生たちがシリル(トマ・ドレ)を捕まえにやってくるが、逃げる最中に、たまたましがみついた女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)と知り合いになる。
 サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)はシリル(トマ・ドレ)の週末だけの里親になってあげるだけでなく、彼の父親探しまで手伝う羽目になってしまう。

 サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)はシリル(トマ・ドレ)の父親の居場所を見つけ、二人で一緒にシリル(トマ・ドレ)の父親に会いに行くが、自分の事だけで精一杯の父親から『もう二度と会いに来るな』と突き放される。
 サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)の必死の励ましにも関わらず、ますます孤独感を深めるシリル(トマ・ドレ)の行動は更に悪い方向に転がっていく・・・

 本当に少年姿を観ていたら、どうしようもなくヤバイ方向へ転がっていくので観ていてハラハラドキドキさせるし、印象ほど退屈せずに観ることができる。しかし、この映画は少年の悪ガキぶりがメインであるのは確かだが、個人的にはそれ以上に偶然にも里親になってしまうサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)の行動が印象的だった。
 少年以外にも、少年のダメ親父、とんでもない不良グループのリーダーなど、本当にどうしようもない人間が登場するが、そんな中で聖母マリアみたいな存在なのがサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)。この女性が本当に優しい。せっかく彼氏が居てラブラブなのに、まるでそんな幸せな生活に邪魔するかのように悪童シリル(トマ・ドレ)が入り込んでくる。しかも、この悪ガキは彼女の言うことは聞かないし、挙げ句の果てに、彼女をナイフで刺して怪我を負わせてしまうし、金銭的な面でも迷惑をかける。
 しかし、それでもサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)はこの少年に慈悲の心で接するのだ。

 正直、この世の中自分さえ良ければ、と言う人間が蔓延してしまっている。だが、この映画のようなサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)のような人間が少なからず居ることに、我々は人間社会に希望が持てるのだ。
 そして、この映画のエンディングシーンが非常に意味深。もともとダルデンヌ兄弟監督作品の多くは、エンディングシーンは何だか中途半端に感じるシーンが多いが、実は希望的メッセージを込めていることが多い。勿論、それは本作品においても決して例外ではなく、大きくは無いが、ちっちゃな希望の光を感じることが出来る。
 本当に人との出会いが如何に大切かということを教えてくれるし、決して人生に絶望してはいけないということを教えてくれる。何だか生きていても悪いことばかりで、なぜ私は生きているんだか理解できない人に少年と自転車はお勧めです

少年と自転車 [DVD]
セシル・ドゥ・フランス,トマ・ドレ,ジェレミー・レニエ,ファブリツィオ・ロンジョーネ,オリヴィエ・グルメ
角川書店


 監督は前述したようにベルギー人のダルデンヌ兄弟。新作が発表される度に、常にカンヌ映画祭において上映されるなど世界的に注目を集める監督。前半は素人は撮った映画のように思われてつまらなく感じるが、途中から俄然と面白くなる息子のまなざしがお勧め。他に若者カップルが子供を産んでしまった時に男性と女性の気持ちの違いが、よく描かれているある子供、日本ではあんまり聞きなれない?国籍売買という社会問題を描いたロルナの祈りがお勧め。

 サマンサを演じるのがセシル・ドゥ・フランス。この人のお勧めはクリント・イーストウッド監督、マット・デイモン競演のヒアアフター、とっても感動し、そして癒されます。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ
     
 人気ブログランキングに参加しております。クリックお願いします


 
 

 
 
 

 

 



 
 
  

 
 
 
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする